Witch さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
原作者の実体験が生きる、大人こそ観るべき青春群像劇
【レビューNo.8】(初回登録:2023/1/2)
コミック原作の2016年作品。全13話。
(背 景)
原作者・夜宵草先生自身も親の都合で転校を何度も経験したり、入社3か
月で会社を辞めたりしてるそうで、その実体験を基に作品をつくられたよ
うです。
(ストーリー)
主人公海崎新太は現在27歳のフリーター。
浪人・大学院を経てようやく就職するも、入社3か月で会社を辞めてしまう。
そんな崖っぷち人生の最中「リライフ研究所の職員」を名乗る男が現れ、
「社会復帰プログラム実験」として(謎の薬を使って若返り)1年間の高校
生活を送る秘密実験に参加することを提案される。
その提案に乗って編入した高校には、成績優秀だがコミュ障でボッチ女子の
日代千鶴がいて・・・
そんな彼女ら高校生とかかわりながら、アニメでは夏休みまでのエピソード
を描いた作品となっています。
(評 価)
・キャラクターが魅力的
{netabare}上述ストーリーを読むと主人公はヘタレのように見えますが、決してそう
ではありません。
その真っすぐで人のために動くことができる性格ゆえに会社を辞めること
になったこと、またそんな優秀な人材だからこそ、この「社会復帰プログ
ラム実験」の被験者に選ばれたとも言えます。
そんな主人公が日代他各登場人物と関わっていくことになりますが、各キ
ャラも心にいろいろな葛藤を抱えており、それが主人公とも関わっていく
ことで、主人公共々どう成長していくのかがこの作品の魅力のひとつだと
思います。
まあ王道展開といえば王道ですが、その辺りを丁寧に描いているのが、
好感が持てます。{/netabare}
・「社会復帰プログラム実験」という舞台装置が秀逸
{netabare}この設定以外は高校生活での友情や恋愛等を描いた極めて王道的な物語
が展開されていきます。
でも主人公は実際は27歳のおっさんなんですよね。
そんなおっさんだからこそ知っている、「この青春という時間は1度きり、
だから皆にはできるだけ悔いなく過ごして欲しい」という熱い思いだった
り、「自分は1年で消えてしまう人間、どこまで関わっていいのか」と思
い悩む葛藤だったりと、この設定が他の青春群像劇作品と一線を画す重要
な役割を担っています。
またこの設定を活かした新たなる仕掛けが終盤に用意されていて、最後ま
で飽きさせない展開となっています。
決して出落ちで終わらせない、この舞台装置をフルに生かしたストーリー
展開は本当に素晴らしいです。{/netabare}
「あの頃に戻ってやり直したい」
大人なら誰でも描く願望ではあります。
でもそれを「なろう系」作品のように若返って「俺tueee」するような安っ
ぽい作品ではなく、きちんと人との関わりを通じで自分を見つめ直すという
しっかりとした作品に仕上がっています。
だからこそこの作品は本当に面白いんでしょう。
惜しむべきは、1期1クールで途中で終わってしまうところでしょうか。
(原作15巻中7巻までのアニメ化)
一応その後OVAで完結編が出るのですが、有り体にいえばダイジェスト版
という感じで、ちゃんと2期を作って欲しかったなと。
(詳細はOVAレビューでまた書きます)
そこまで人気なかったのだろうか。本当にいい作品なのになあ。
それでも1クールで綺麗にまとまっているので、十分楽しめます。
PENGUIN RESEARCHのOPも神曲で、EDは2000年前後のJ-POPのヒット
曲メドレーという形になっています。
(作中で主人公の家にあるMDをみて、友達が何これ?みたいな描写がある。
(えっMDを知らない世代?! こういう細かい演出がニクイ(笑))
主人公が高校時代MDで聴いてた曲をチョイスみたいなコンセプト)