Witch さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「週刊少年マガジン」らしさ溢れる「不器用な主人公×ハ-レム展開」
【レビューNo.171】(初回登録:2025/2/23)
コミック原作で2015年作品。全12話。
最近「週マガ」原作のラブコメがイマイチなので、たまにABEMAで一気見配信し
ている本作のレビューでもして、昔を懐かしもうかと。
(ストーリー)
朱雀高校に通う高校生・山田竜は、学園きっての問題児で不良少年。
(ある事件もあり)学校では浮いた存在で、つまらない学校生活を送っていた。
ある日、階段から落ちた弾みで優等生・白石うららとキスしてしまったところ、
2人の身体が入れ替わるという不思議な現象に見舞われる。
いくつかの実験と検証によって、
・うらら→「キスした相手と精神を入れ替える能力」
・山田→「キスで魔女の能力をコピーする能力」
を持っていることが判明する。
生徒会副会長・宮村虎之介に秘密をあっさり見破られるも、彼は2人のために
(休部扱いの)「超常現象研究部」の再始動を提案。
ここに超常現象マニアの伊藤雅らも加わって・・・
朱雀高校に存在する(特殊能力を有する)「7人の魔女」探しで、山田やうら
らの味気のない日々が、にわかに色付き始めるのだった。
(評 価)
・「週刊少年マガジン」らしさ溢れる「不器用な主人公×ハ-レム展開」
本作は「週刊少年マガジン」連載のようですが、近年だと
・『五等分の花嫁』
・『カッコウの許嫁』
・『女神のカフェテラス』
・『甘神さんちの縁結び』
・『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』
に代表されるように、本誌のお家芸ともいうべき
「不器用な主人公×ハ-レム展開」
の先輩格に相応しく、ドタバタ感溢れるコメディ展開が魅力なラブコメ作品
となります。
主人公の山田は
・不良で腕っぷしは強いが、意外と常識人(キレのあるツッコミ担当w)
・周りに合わせるのが苦手で誤解されやすい
・しかし仲間思いで正義感も併せ持ち、恋愛には一途
という不器用ながらも律儀で熱いキャラとして描かれています。
最初は周囲から浮いた存在で味気のない日々を過ごす山田ですが、うららと
出会い、「超常現象研究部」の仲間を得て、他の魔女のために奔走すること
で、ドタバタながらも充実した日々を送る姿が何とも微笑ましい。
・ヒロイン「白石うららの成長」も見どころのひとつ
今ではほとんど見かけなくなりましたが、
「不良男子×優等生女子」
というひと昔前だと定番的な組み合わせのラブコメになります。
導入の第1話がなかなかに秀逸で、
・勉強することにしか興味を示さず、冷めた性格のうららが
・山田との衝撃的な出会いにも、常に冷静で合理的に対処
・しかし優等生の影の部分も描かれ、そこに踏みこんできた山田に反発しつ
つも感謝を示すと
・ドタバタ劇を経て「超常現象研究部」の誘いに「部活動って楽しそう」と
心を開くようなそぶりで快諾
人間味の薄かった彼女の世界が色付き始める様がきれいに収められていて、
彼女の魅力が一気に解放される感じなんですよね。
その後も
・「勉強はどこでも出来るから大学進学に意味はない」と合理的に判断して
いたが、山田の説得により”非合理的な感情”にも目を向けるようになる
・「超常現象研究部」との仲間との日々で醸成される”仲間を想う気持ち”
・自分も魔女だからこそ分かる、他の魔女への”寄り添う気持ち”
という、本作は「白石うららの成長物語」でもあるのかなっと。
それにこの辺り『俺ガイル2』の「ゆきのん」などもあって、早見さんがノリ
にノッてる時期でしたね。
・他の魔女の特殊能力を活かしたストーリー展開
本作はうららを含め7人の魔女が存在するので
・他の6人の魔女探し
・この学校で絶大な力をもつ「生徒会」の暗躍と次期会長選び
を軸に物語が描かれていきます。
うららの以外の特種能力も描かれますが、
・うららの「自分の置かれている状況に不満」→「入れ替わり能力」に代表
されるように、彼女達は何かを望んだから特殊能力を引き寄せた
・そんな彼女達だからこそ、誰かに見つけて欲しい(救ってほしい)と切に
願っている
と(単にストーリー都合だけでなく)原作者の主張がしっかりしている点は
評価できると思います。
ただ、
・魔女を探し出して、彼女達を救っていくというパターンの繰り返し
(展開されるエピソードも少し雑かな)
・また魔女のキャラも多彩な反面、合わないキャラもいる
・このマンネリ化を解消するために「生徒会」要素を挟んでくるが、あまり
魅力を感じなかった
と、個人的には少し不満が残りましたね。
しかし、大技小技を巧みに絡めてくるコメディ展開がかなり秀逸で、これが
作品にテンポと勢いを生み出していて最後まで楽しめるという、それなりに
完成度の高い作品でもあります。
それに
・「山田×うらら」の恋愛模様
・朱雀高校に伝承される「魔女の特種能力」騒動
にきちんと決着をつけ(アニメとして)完結させてくれる点もポイントが高
いですね。
(原作はまだここから続いていくようですが)
「ふとしたきっかけで男女の体が入れ替わる」
始まりは古典的なネタですが、そこに
・キスがトリガー
・他にも特殊能力を持つ魔女が登場(ハーレム要素)
加えて学園モノの王道展開で
・主人公とヒロインのラブコメ展開
・ぼっち→仲間達とのにぎやかな青春ドラマ
本作は少年誌連載らしいポイントを押さえて、上手く物語に落とし込んでいる
ように思いますね。それにコメディの切れ味は抜群ですし。
上述のように少し不満もありますが、総合的には
「1クールで完結する、テンポのいいラブコメ」
として、オススメ作品ではありますね。
OP「くちづけDiamond/WEAVER」
・「WEAVER、名前聞かなくなったなあ」と思ったら、こんなところで活動して
たんかと。彼ららしい音楽性の高い良曲かなっと。
ED「CANDY MAGIC/ みみめめMIMI」
・OPの圧倒的な知名度に隠れていますが、個人的にはこちらの方が好みで即
ダウンロードしたんだよな。
(追 記)
本作に比べると最近の「週マガ」原作のラブコメはなあ・・・
雑でオリジナルに欠けるというかテンポなんかもイマイチというか、どんどん
質が落ちていっているように感じますね。
自称「ラブコメハンター」の私としては、この頃のような勢いある作品の復活
を期待ですね。