nyaro さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
バイクCGはすごいが人間との一体感ではライドバックに負けている。
第一印象ですけど、作画のレベルがアンバランスで画面作りはどうかなあ、という作品でした。
バイクメーカーのPRということでバイクのCGは細密ですごいのでしょうけど、アニメ作品の中にそれを置いたときにどう見えるか、です。そして、バイクのCGに引っ張られて人間のCGが不気味の谷に片足を突っ込んでいます。一方で、冒頭の食事のシーンのスパゲティの作画は適当だし。
この作品が2015年です。そしてバイクのCGと言えば「ライドバック(2009年)」になるわけですが、白いドレスをたなびかせてバイクで疾走する美少女の作画は素晴らしいものでした。人間とマシンの一体感が凄くでていて「踊る」というテーマにふさわしい「人馬一体」感が画面から溢れていました。
この作品は、バイクは人と一体になってこそのものだ、というのが画面から伝わってきません。6年前の作品に負けています。バイクメーカーのPRとしては広報はそこにこだわらないと駄目でしょう。
ストーリーそのものは人間の動きをサポートする外部の動力とバイクの開発を絡めた何かの陰謀のような雰囲気でした。それ自体はつまらなくはないんですけど、キャラの見せ方は下手なので、視点がばらついて感情移入が出来づらかったです。
ただ、PRの作品の割にはストーリーもあるし試みとしては面白いと思います。
で、広報の人は、ある一線で妥協するとせっかくのアニメを使ったPRがマイナスになり結果的にアニメ業界にマイナスになります。作品のイメージに突っ込みを入れたほうがいいと思います。
それとこれも初めの方で「カバレッジを開始したアナリストの一覧」というセリフがあります。
これは誰向けのアニメだよ、という気がします。このセリフを聞いて一発で内容を理解できる人はいるでしょうか?そして、それが後につながる伏線にも、キャラを描くにも役立っていません。
参考までに。この意味するところは、アナリストは証券アナリストの事です。証券アナリストにはバイサイドとセルサイドがいます。
そのうち、セルサイドはレポートを書いて、株の売買を行う投資家に情報を提供します。このアナリストが定期的にリポートする会社を「カバーしている」と言います。それを名詞化したのが「カバレッジ」とかいう言葉です。
と考えると、この作品はひょっとしたらアナリスト向けのIR資料だった?
単なるカッコつけのセリフを使うのは特にこういう短い作品では、どうかと思います。一言一句、画面の隅々まで命を吹き込めるのがアニメのいいところですから。