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「<harmony/>(アニメ映画)」

総合得点
65.3
感想・評価
272
棚に入れた
1428
ランキング
3443
★★★★☆ 3.7 (272)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.6

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<harmony/>の感想・評価はどうでしたか?

Dica さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

/ethm>

ひとがそれをするのは、それが善意だから、
優先席で、席を譲ったり、道端で何か、拾ったらそれを届けたり
それは、本人の意思では、なくて、
それが、絶対的な善意であるから
そして、善意は、それをしない=悪を生みます
ハーモニープログラムの正体は、善意で満ちた世界にする事です。
そうなれば、そこにその人の意思は、存在しなくなります。
恐ろしい事です。
何気なく生きていく中で、善悪の本質を考えた事のある人って意外と少ないのかもしれません。
なのでこの物語を理解できる人は逆に生きにくい人かも
そして残念ながら自分もその一人
このアニメはそんな善悪の違和感についてとても上手く描いた作品です
正直こんなすばらしい作品に出会えてよかった。それに尽きます。
やさしさに殺されるとはよく言ったものです。

投稿 : 2017/07/07
閲覧 : 281
サンキュー:

9

ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

あなた方は、ほどほどということを知らない

原作未読。原作は未読だが、原作者の息遣いと言葉の重みを感じさせる。同じノイタミナということもあってか、全体的な雰囲気が「PSYCHO-PASS サイコパス」と似ている印象。

作品全体の感想は複雑で難解かつグロテスク、そして同時に強いメッセージ性を持った独特の作品。非常に負荷の高い作品で見る人を選び、決して気持ちのいい余韻を残す物語ではない。しかし作品の中に散りばめられた言葉の数々が各々の信念を持ち、言葉を具現化する力強さをもった魅力的な作品でもある。
タイトルが「harmony」ではなく、「<harmony/> 」であることが作品の最後になって明らかになるわけだが、原作未読者にとっては少々解釈が難しい表現構成ではあった。ただその意味がわかった時の感動は衝撃だった。

この作品の中心人物、ミァハ。彼女がこの作品の大きな提言の象徴としての存在であり、また評価の別れるキャラクターでもある。彼女が壮絶な経験を強いられた野蛮で悲惨な外の世界の現実、過度な健康や幸福を押し付けるあまり、かえって息苦しさを感じる中の世界の実情。そんな世界でミァハが全ての人間を一つの個として意識の限界を超え、ハーモニーの世界へと導くという思想は全てではないが個人的に理解できた。とはいえそれは彼女の自己中心的な思想の押し付けでもあるとも捉えられるし、極端な思想であったことも否定できない。誰よりも純粋であったミィハ、誰よりも狂っていたミィハ、彼女をどう評価するかがこの作品全体の評価に繋がると思う。個人的にはミィアの存在や思想はとても興味的で、好意的に受け止めた。

近未来の舞台設定でありながら、現代の豊かであるとされる社会への問題提起や警鐘という意味合いも含んだ、非常に考えさせられる一作。現代社会でも私たちの身の回りにある必要過多のモノやサービスが、かえって私たち人間としての本質的な何かをを押し潰しているのではないか、とふと感じることがある。それを思い出させてくれたのが本作なのかもしれない。

作品の最も印象的なセリフとして、砂漠の民・アサフ
「あなた方は、ほどほどということを知らない」
という言葉が妙に心に染みわたる。

投稿 : 2017/05/09
閲覧 : 460
サンキュー:

9

ahirunoko さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

これ、この尺で視聴者に理解させるの無理じゃね?

若くして亡くなった伊藤計劃氏原作。未読。

内容メチャ濃いけど、残念ながらイマイチ伝わらない。
雰囲気で分かるけど説得力不足。

映像はキレイ!

テレビ放映で見たけどこれは劇場で観たらもっと評価下げるな。
金払ってこれじゃあね。

でも、また書くがこのストーリーは凄いね!

投稿 : 2017/05/06
閲覧 : 270
サンキュー:

4

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

微妙。

喋ることに一生懸命で、映像化にはあまり向かない作品かなーと思いました。きっと小説で読んだら、もう少し面白く感じるんじゃないかなと思うんだけど、原作に手を出すかは悩むな〜。
あんまり映像がぱっぱぱっぱ切り替わったりしないから、ながら見するのにはちょうどいいと思うけど(^^;

投稿 : 2017/02/15
閲覧 : 210

小田原富士夫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

ゲームしながら

途中からゲームしながら見ました。

何これ?

百合ですか?

投稿 : 2017/02/13
閲覧 : 214
サンキュー:

0

ろれ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

雰囲気アニメ?

設定としては「サイコパス」ぽかったです。
2時間ひたすら喋ってるだけで動きの激しいシーンは少なかったです。

この作品の見所は上田麗奈さんの演技です。
カリスマオーラが半端ない美少女をやってます。
(途中まで花澤香菜さんだと思っていた)

これだけで見る価値はあります。

私が見たのは数日前にやってた地上波放送なのですが、EDがカットされてたみたいです。
カットされたシーンもあるという書き込みも見ました。
が、そのために見なおそうということもないかなという感じ。

投稿 : 2017/02/09
閲覧 : 233
サンキュー:

0

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

映画作品としては<49>

お話は設定的には新鮮味があったけど、出て来る重要人物がほぼ主人公の知人って狭さの展開なのはいかがなものか。
あと、途中のかったるさ。意味ありげ美風景に間を持たせる期待しすぎじゃぜ。
最後、意識を消滅した人間がマークアップ言語を表示する時計みたいなのになってたのはイメージなのか。

キャラの顔とか単純な線で描きやすくデザインしたって感じであんま魅力ないなぁ。
虐殺期間は美麗じゃないか。これがアレだから劇場に見に行ったりはしないけど。
柳沼和良が4℃をディスってる理由がちょっとわかった作品でした。

投稿 : 2017/02/06
閲覧 : 211
サンキュー:

1

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

すばらしい新世界-Brave New World-

2015年11月27日記載
さっそくレビューを始めていきたいと思います。
今回は伊藤計劃『ハーモニー』の映画を観てきました。
私の個人的感想を徒然と書いていくので、よろしければご参考までにどうぞ。

まずは世界観説明から
2019年のアメリカ合衆国で暴動が起こりました。
それをきっかけとして全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延
人類の多くが死に絶えたそれは「大災禍(ザ・メイルストロム)」という名前で後に語られ、その反動か、従来存在していた政府と言う概念は崩壊し、新たな統治機構「生府(ヴァイガメント)」の下で高度な医療経済社会が築かれる世界が誕生します。
そこに参加する人々自身が社会のために健康・幸福であれと願う世界が構築された、優しい牢獄の世界
これはそんな社会に反抗し続けた少女達の物語なのです…

さて、ここからは私の感想を書いていきたいと思います。
今回、正直言ってこのアニメはレビューを書こうかどうか大変迷いました。
伊藤計劃作品は全部レビューしていこうと、前回の『屍者の帝国』を観てから固く誓ったのですが、この作品を見てからはちょっと決心が揺らいだ位です(笑)
これは自分の個人的価値観のせいでもあるのですが…
まあ、その理由については下記の方で書いていきたいと思います。
なので、フォローも交えて説明していきますが、今回の『ハーモニー』のアニメ映画に好感を持てた方、百合というよりレズ描写、グロ描写が大好きな方、原作未読の方はもしかしたら納得できない部分も多々あるかもしれません。
なので、この先を閲覧するかどうかは自己判断でお願いします。





では、これより説明していきたいと思います。
大まかな理由として
1.理解する事と共感する事は違うという事
2.レズ描写の増加
3.小説から映画への転換と2に伴って起こる原作改変
この3つが挙げられます。

まず、1から
私は原作既読なのですが、正直に言って、原作を読んだ時は生命主義体制(ライフイズム)もミァハの思想も共感できるものではありませんでした。
何と言うか、ひどく極端なんですね…
生命を社会的公共財として捉える生府(ヴァイガメント)の理念も、ミァハの生命主義(ライフイズム)に対して行うテロ行為も客観的に見たらとても横暴なんですよ。
勝手な考えで人々を動かしているのはどっちも変わらないじゃんと最初に読んだ時は酷く冷めた目で感じていました。
なので、今回の映画で何か心が傾く要因となる物が出てくるか、少し期待して観に行ったんです。
観に行った結果として、私が揺り動かされる事はありませんでした。
むしろ、逆に横暴だと言う自分の考えがさらに強固になった次第です(笑)
うん、やっぱりどっちにも理解は出来るけど共感は出来ない。
しかし、この映画を見てどちらかに共感する人は必ず出てくると思います。
人間の考えは千差万別です。
むしろ当てはまらない自分みたいな奴が異端なのだと思います(笑)
なので、この映画を見てどう感じるか
生府(ヴァイガメント)の理念に共感できるか、はたまた、ミァハの理念に共感できるか、もしくはどちらの意見にも共感できないか自分の眼で見極めてほしい。
その為にもまだ観ていない方は是非、1度は映画館や後に出てくるであろうレンタルなどで観てほしいと私は思いました。

次は2について
単刀直入に言います、原作よりレズ描写が明らかに多いです。
原作では普通だった箇所もレズっぽくなってます。
また、新たに作ったのか、はたまた私が忘れているのか分かりませんが、自分の知らないレズシーンまでありました。
私は随分前に見た某アニメのおかげで、女同士の恋愛に対しては嫌悪感を覚えるまでのトラウマを抱えてしまったので、正直観ててつらかったです…
小説でも百合を1つの土台としてはいるものの、地の文と組み合わせて淡々と表現しているので、そこまで悪寒はしなかったのですが、映像化するとなると恐ろしいですね…改めてそう感じました(笑)
また、グロシーンも結構すごいです。
『屍者の帝国』よりも気持ち悪く感じました、精神的にきます、驚きます、血がドバドバ出ます。
これらが嫌いな人は少し覚悟して観た方がいいでしょう。
ああ、勿論大好きな方はどうぞ期待して観てください。

最後に3について
これがこの映画で1番納得できない部分でした。
1や2については主に私だけの個人的問題なのでいいのですが、この3だけは原作既読の方でも納得できない人は多いかと思います。
端的に説明していきましょう。
まず、説明セリフのオンパレードです。
未読の方はこの映画だけを観て理解できるのか、少し分かりませんね…
あまりにも喋っている場面が多いので、聞き逃すとストーリーが把握できなくなるかもしれないです。
映画として表現するにあたっての工夫があまり感じられないような気がしました。
ただ、小説をそのまま映像化しただけのような…
まあ、これは原作自体が説明の多い小説ですし、演出を吟味した結果なのだとしたらしょうがない事なのでしょう。
次に重要なシーンが結構抜かれています。
最初に上映した『屍者の帝国』も重要なシーンは抜かれていますし、映画では登場していない人物も数多くいました。
しかし、あの映画は再構成と言う形で未読の方にも分かりやすく伝わるよう工夫した結果、牧原亮太郎監督版『屍者の帝国』として生まれ変わったのです。
この点に関してはただ、素直に拍手を送りたいです。
さて、『ハーモニー』の映画はそれとは逆に原作を忠実に作りました。
ただ、その結果、フォローの回りきれていない部分があったように思います。
最初の物体は何なのか?
意識が消失すると言う細かい意味とは?
最後に登場した人物は一体誰なのか?
あんなにキャラクター達が喋っているのに、説明不足な点が多いですからね…
改めて、映画化するにあたっての難しさを感じたような気がします(笑)
まあ、しかし、やはり原作全てを映像化するのは不可能な事
2時間で収めるならば、所々カットしなければいけない箇所もあるかと思いますので、これもまた、しょうがない事でしょう。

しかし、これだけは言わせてください。
ラストシーンを変えたのは流石にどうでしょうか?
原作では霧慧トァンという1人の女性が御冷ミァハという女性の影をある種の執念で追い続け、最終的にはミァハからの独立、明確なトァンという1つの個へと至る物語でした。
しかし、この映画では最初から最後までトァンはミァハの事しか考えていません。
その結果、ミァハという自分に指針を与えてくれた親の如き存在から離れ、前に進んでいくトァンの成長というカタルシスがろくに感じられなかったのが心残りでした。
そして、最後に彼女はミァハに対して自分の答えを出す為にある行為をします。
その行為をした理由となる答えも原作とは変えられ、しかも原作の方が好きだったので、これもまたちょっと心残りでしたね…


以上を持ちまして、個人的感想を終了したいと思います。
ここまで長々とした駄文を読んでくださってありがとうございました。
今回は少し毒の強いレビューとなってしまったので、ちょっと残念です。
しかし、ここで1つ言っておきたいのですが…
この『ハーモニー』映画の全体的出来としては決して悪い訳ではありません。
上手く原作をまとめているなあと感じる部分もありましたし、改変でよかった箇所もありました。
恐らく、この作品は映画と小説、両方見て初めて完成する作品なのだと思います。

「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉があります。
現実に起こる出来事は、作られた物語の中で起こる事よりも不思議で面白いものだという意味の諺です。
正直、私自身にとってみればあまり実感のない言葉でした。
その意味についても本当にそうだろうか?と首をかしげている普通の一般的な現代人です。
現実よりも小説の方が面白く感じる時もあるし、そんな考えに至るには、毎日、充実した日々を過ごすしかない。
だが、そんな幸福に溢れた生活などあり得ないと、その言葉を最初に学んだ時は斜に構えた眼で見ていました。
しかし、この映画を見てから、その諺の意味が少しだけ理解出来たような気がします。

よく考えてみると、この諺は決して現実と物語を分けてはいません。
物語は現実と断絶して存在している訳ではない。
確実にそれは読者にも何かしらの影響を与え、その結果、変わらない日常が変化していく人も中にはいます。
「影響」と言う言葉で片付けるにはあまりにも強い力
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んで自殺者が急増するように
坂口安吾の『堕落論』を読んで若者が新たな価値観を植え付けられるように
物語に感化された御冷ミァハから影響を受けた霧慧トァンのように
そして、伊藤計劃という個人の作品に没入している私達のように……
その結果、彼らは、私達はどのような方向へ導かれていくのか?
それは誰にもわかりません、歴史もしくは観ている我々、傍観者が判断するしかない事でしょう。
ただ1つだけ言えるとするならば
その力こそが現実を面白くさせる1つの起爆剤になるのではないかという事

それはこの映画からも同じことが言えます。
あなたは『ハーモニー』を観て、どんな影響を受けるでしょうか?
もしくは何も感じずに終わるでしょうか?
しかとこの目で確かめる為にも、この映画1度は見るべきかと存じます……

ここまで読んでくださってありがとうございました!!

「フィクションには、本には、言葉には、人を殺す事のできる力が宿っているんだよ、すごいと思わない?」
伊藤計劃『ハーモニー』p.224,早川書房


2016年1月24日追記
いまから語るのは、
〈declaration:calculation〉
〈pls:敗残者の物語〉
〈pls:脱走者の物語〉
〈eql:つまりわたし〉
〈/declaration〉 [ハーモニー]
と言っても、この映画については1年前に概ね語り尽くしましたね…
今作の批評も、今思えば感情に任せて書いた文章でございます。
しかし、よく考えたらそのスタンスは現在の自分と未だに変わっていないというか、未だによく行っている事に書いていて気付きました。
自分の理性的であり合理的な部分を占める成長は、この先「闇」しかないのかもしれません(笑)

しかし、この『ハーモニー』と言う映画
観ていてつくづく考えてしまうのは、社会を構成していく難しさです(ディストピア小説なので当然と言えば、当然の話なんですが)
より良い社会に住みたいと思う事は万人において普遍的な共通性ですが、しかし、その社会的「善政」が万人に良い効果をもたらすとは限らない…
構成員である人々誰もが「善性」であれば、社会は幸せになるのか?
『ハーモニー』と言う作品はそんな問いにも深く言及しているようです(まあ、私が1番好きなキャラはキアンなんですけど(笑))
しかし、社会は無理でも世界なら…
2人ぼっちの世界なら…
-----------------------------------------
彼女が死んでいく間、私は誓った。
天国とまではいわないけれど、できるかぎりここを、この場所を良くしてみせるよ、と。
彼女はそれを聞くと、にっこり微笑んだ。
そうね、天国とはいわないけれど、天国の隅っこくらいまではたどり着きたいわね、と。
それが彼女の最後の言葉だった。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「フォックスの葬送」より
-----------------------------------------

さて、前作『屍者の帝国』から始まり、今作で分岐点を迎えた長いプロジェクトは来月の「終わりの始まり」を上映する事によって、遂に終焉を迎えます。
ここまで至る道は1年以上に亘った大変長い物でしたが、何、なんて事ありません。
人間の魂に及んだ解答が1年と少しで解明されたんです、こんなに短い物は無いでしょう…
しかも、どうやら深夜に『屍者の帝国』と『ハーモ二ー』が放送されるそうですね、こんなに嬉しい事は無いでしょう…
私も深夜放送で「終わりの始まり」に至るまでの雄姿をもう1度拝見し、それから最後の戦場、ジョン・ポールとの戦いへ臨みたいと思います。
そして、「伊藤計劃」の全てが揃ったその時はもう1度全体を観るとしましょう、読みましょう!!
「物語…それは死してなお、この世界にあり続ける技術」

-----------------------------------------
さあ、行進しよう、とぼくは穏やかに呼びかけた。
のろまも、せっかちも、思い思いに。
足並みなんてばらばらでかまわない。
のっぽも、ちびも、僕らは歩く。
丘を下って。
人の営み、生活の匂い
それを運ぶ涼やかな風の上方へと。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「The Indifference Engine」より
-----------------------------------------

投稿 : 2017/01/24
閲覧 : 716
サンキュー:

15

ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

クオリア論と哲学的ゾンビが題材なんですが映画だけ見ても伝わらないと思います

来週ついに虐殺器官が公開されるようなので
虐殺器官を見に行く前に<harmony/>を見ておこう
なんて考える人がいてもおかしくないので
それに「待った」をかける意味で書いておきます

この作品はProject Itoh3部作の第3作として公開される予定でした
しかし虐殺器官の制作会社であったマングローブが倒産した関係で
順番を前倒ししてこちらが先に公開されることとなりました

屍者の帝国は他の2作品とは関係ない作りとなっていますが
この<harmony/>は虐殺器官の事件が引き金となった「大災禍」
から数十年たった後の話となっており
「大災禍」という単語が当然知っているものとして出てきます

その意味が理解できなくてもそれほど困ることはないので
先にこちらを見ない方がいいというレベルではないのですが
虐殺器官を先に見ることができるのならば
本来予定されていた通りにその順番で見ることをお勧めします

私はこの作品の原作が伊藤計劃の最高傑作であると思っています
しかし同時に映像化にははっきり言って向いていない作品だと思っていました

伊藤計劃の持ち味と言えば細かすぎるほどのディテールです
綿密なディテールによって映像を伴わずにイメージを想起させ
近未来SFの世界の現実には存在しないガジェットを
リアリティを持った存在に昇華する天才でした

映像で伝えるのは大して難しいものでないところを
映像なしでイメージさせるところにそれが生かされているのであって
彼の筆記したものをそのまま映像化しても
単に情報過多なだけの印象で
その情報も画面の中で埋没してしまいました

原作を知っている人はある種の答え合わせをする楽しみがあるかもしれませんが
原作未読であれば物語の本筋から離れた要素は
おそらくほとんど頭に残ることなく進んでいくことでしょう
これはメディアの違いというやつで
小説であることに意義がある部分というのが強いです

屍者の帝国は原作通りであることよりも
映画として面白いことを優先し
<harmony/>の方は原作に忠実であることを優先した
という感じでしょうか?
残念ながら映像作品として面白いのは屍者の帝国の方だったと思います

そしてもう一つ残念なのが
小説全体を包み込むある種の叙述トリックが
まったく理解できるような状態になっていないという点

映画のオープニングとラストの映像は
小説を読んでいれば叙述トリック部分を映像的に表現するための
いわば苦肉の策だったことが読み取れますが
そうでなければ全く何が何だかわからないことでしょう
<harmony/>という題字の</>が示す意味を
映画だけを見て読み取るのは不可能です
結局その部分をうまく表現できなかったために
この作品自体何のために映像化したのか
いまいちよくわからないものになってしましました

このアニメはおすすめですか?と訊かれたら
私は迷わず原作を薦めます
原作を読んだうえでどんなふうに映像化されたのか気になる
そんな人だけにしか薦められない映画になってしまいました

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

映画だけ見た人は物語の意味が理解できないと思うので
ちょっとした解説を載せておきます
映画だけ見てわかるようにできていないので
わからなくて当然なんですけどね

屍者の帝国はスチームパンクな世界を舞台にしたゾンビ映画でしたが
実はこの<harmony/>もある意味でゾンビ映画なんです
{netabare}ただし、この映画に出てくるのは
一般にイメージされるブードゥー教のお化けではなく
哲学的ゾンビというものです

20世紀の終わりごろに流行った哲学論争に
クオリア論というものがあるのをご存知でしょうか?
残念ながら私にはクオリアをきれいに説明できる程の文才がないので
wikipedia先生に頼ることにします

{netabare}簡単に言えば、クオリアとは「感じ」のことである。「イチゴのあの赤い感じ」、「空のあの青々とした感じ」、「二日酔いで頭がズキズキ痛むあの感じ」、「面白い映画を見ている時のワクワクするあの感じ」といった、主観的に体験される様々な質のことである。

外部からの刺激(情報)を体の感覚器が捕え、それが神経細胞の活動電位として脳に伝達される。すると何らかの質感が経験される。例えば波長700ナノメートルの光(視覚刺激)を目を通じて脳が受け取ったとき、あなたは「赤さ」を感じる。このあなたが感じる「赤さ」がクオリアの一種である。

人が痛みを感じるとき、脳の神経細胞網を走るのは、「痛みの感触そのもの」ではなく電気信号である(活動電位)。脳が特定の状態になると痛みを感じるという対応関係があるだろうものの、痛みは電気信号や脳の状態とは別のものである。クオリアとは、ここで「痛みの感覚それ自体」にあたるものである。

クオリアは身近な概念でありながら、科学的にはうまく扱えるかどうかがはっきりしていない。この問題は説明のギャップ、「クオリア問題」または「意識のハードプロブレム」などと呼ばれている。現在のところ、クオリアとはどういうものなのか、科学的な「物質」とどういう関係にあるのかという基本的な点に関して、研究者らによる定説はない。現在のクオリアに関する議論は、この「クオリア問題」または「意識のハードプロブレム」を何らかの形で解決しよう、または解決できないにしても何らかの合意点ぐらいは見出そう、という方向で行われており、「これは擬似問題にすぎないのではないか」という立場から「クオリアの振る舞いを記述する新しい自然法則が存在するのではないか」という立場まで、様々な考え方が提出されている。

現在こうした議論は、哲学の側では心の哲学(心身問題や自由意志の問題などを扱う哲学の一分科)を中心に、古来からの哲学的テーマである心身問題を議論する際に中心的な役割を果たす概念として、展開・議論されている。

また科学の側では、神経科学、認知科学といった人間の心を扱う分野を中心にクオリアの問題が議論されている。ただし科学分野では形而上学的な議論を避けるために、意識や気づきの研究として扱われている。{/netabare}

いまいちよくわからないという人が多いと思います
それもそのはず
クオリアが存在するかどうか?
という最低限の段階ですら
偉い学者さんたちが大論争して結論が出ていないので
詳しく知りたい方はちゃんと自分で調べてみてください

このクオリアが存在するのかどうか?
という哲学論争の中で生まれたのが哲学的ゾンビという思考実験です
こちらもWikipediaから

{netabare}哲学的ゾンビ(Neurological Zombie)
脳の神経細胞の状態まで含む、すべての観測可能な物理的状態に関して、普通の人間と区別する事が出来ないゾンビ。

哲学的ゾンビという言葉は、心の哲学の分野における純粋な理論的なアイデアであって、単なる議論の道具であり、「外面的には普通の人間と全く同じように振る舞うが、その際に内面的な経験(意識やクオリア)を持たない人間」という形で定義された仮想の存在である。哲学的ゾンビが実際にいる、と信じている人は哲学者の中にもほとんどおらず「哲学的ゾンビは存在可能なのか」「なぜ我々は哲学的ゾンビではないのか」などが心の哲学の他の諸問題と絡めて議論される。

仮に“哲学的ゾンビが存在する”として、哲学的ゾンビとどれだけ長年付き添っても、普通の人間と区別することは誰にも出来ない。それは、普通の人間と全く同じように、笑いもするし、怒りもするし、熱心に哲学の議論をしさえする。物理的化学的電気的反応としては、普通の人間とまったく同じであり区別できない。もし区別できたならば、それは哲学的ゾンビではなく行動的ゾンビである。

しかし普通の人間と哲学的ゾンビの唯一の違いは、哲学的ゾンビにはその際に「楽しさ」の意識も、「怒り」の意識も、議論の厄介さに対する「苛々する」という意識も持つことがなく、“意識(クオリア)”というものが全くない、という点である。哲学的ゾンビにとっては、それらは物理的化学的電気的反応の集合体でしかない。{/netabare}

つまり哲学的ゾンビというものは
外からは普通の人間と全く変わりないように見え
実際の人間と変わらないように行動するが
クオリアを持っていない存在ということですね

もしもある日突然
世界中のあなた以外の全ての人が哲学的ゾンビになってしまったら
いったいどうなるでしょうか?

答えは簡単
何も変わりません
クオリアを持っているかどうかは外部からは判断がつかないのです

近年人工知能が発達し
2014年にはロシアのコンピュータがチューリングテストを突破しました
これはモニター越しに人工知能や人間と文字だけで会話し
応対していた相手が人間か人工知能か答えさせるテストで
30%以上の人に人間と会話していると錯覚させることに成功しました

哲学的ゾンビというのはこれの究極系と言っても良いでしょう
文字による会話だけではなく人間と同じ肉体を持ち
人間とまったく同じように行動します
感情は持っていませんが、感情表現はできます
あなたの隣にいる人が人間か哲学的ゾンビか
判定する方法はありません

話を物語に戻しましょう

ミァハの一族はチェチェンの奥地にある
外界から隔絶された陸の孤島の中でガラパゴス化し
クオリアを失い哲学的ゾンビとなった一族でした

ミァハがロシア兵に一族を虐殺されレイプされている際に
彼女の中に眠っていたクオリアが覚醒し
哲学的ゾンビから普通の人間へと変化しました

ミァハを調べた学者たちの手によって
脳のクオリアを司る部分が解明され
WatchMeを通じて全人類(一部の少数民族を除く)が
一斉に哲学的ゾンビに変わることになりました

というのが事件の全貌です

生府に所属する人々は
みな哲学的ゾンビへと変わってしまったわけですが
ではそれによって一体何が変化するか?

答えは先ほどと同じ
何も変わりません

生府に所属しない人々は
事件によって生府の人々に変化があったことにさえ気が付かず
クオリアの存在しない哲学的ゾンビと
今まで通りに接していくことでしょう

さてさて、我々が映画を楽しむように
哲学的ゾンビたちも類似品を楽しみます
いえ楽しんでいるように見えます
そんな彼らに人気の物語は
クオリアを持っていた最後の人間
霧慧トァンのWatchMeの記録を通じて
彼女の体験を疑似体験するプログラム
その名は<harmony/>

つまり自分たちが今まで見ていた映画は
哲学的ゾンビのための作品でした
というのがこの作品のオチなわけですね{/netabare}

投稿 : 2017/01/24
閲覧 : 511
サンキュー:

16

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

劇場版だとここまで綺麗ですか!

流石に劇場版だけあって映像が綺麗過ぎる!
少し?グロいシーンがあるので観るときには注意が必要です。
先ず注目するのは勿論映像美なのですが、主人公役の沢城みゆきさんの声も素晴らしいのです(°∀°)化物語の神原駿河役で初めて聞きましたが、何とも魅力的な声をされてるんですよねぇ(*^^*)
近未来という世界観にグロ百合要素アリのストーリー。
内容もちゃんと纏まっているとは思います。説明不足な感じもしなかったかな?
ラストはハッピーエンド?それともバッドエンド?捉え方次第ではどちらにもなると思われます。僕は・・・ハッピーエンドでしたかね(°∀°)
劇場版と言うこともあり、2時間程で観れるので空いた時間にサクッと観れるのも良いですね(*^^*)

投稿 : 2016/12/22
閲覧 : 224

ディルド村田 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ちょっと 難しいです

いや!見栄張りました

だいぶ!!難しいです

脳ミソの話でたびたびポカーンとなっちゃいました

絵キレイですよ
ちょとアクションもあって
動きとか格好良いんですよ
メカも良かった

血の色が赤黒くて
びゅびゅって


ただなぁ
脳味噌ポカーンでしたねぇ

物語の☆は見栄張って3.5にしました

投稿 : 2016/12/02
閲覧 : 228
サンキュー:

5

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 1.5 音楽 : 3.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

虐殺器官とかといっしょにCMされていた

世界観に入り込めなかった、内容のよくわからなかった。15点です。

ハーモニー、死者、虐殺器官の3つを同時に広告していて気になっていた作品。
2016/9現在、ハーモニーと死者は公開済みかつ見終わっていますが、どちらもダメでした。

内容がスカスカなのであれば、30分程度のショートアニメにきれいにまとめるべき。みていてワクワクもなければ、ゾクゾクもないです。

サイコパスみたいな内容を作りたかったのかな?
残念な感じです。

投稿 : 2016/09/24
閲覧 : 218

Yatima さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

原作が良いだけに残念

夭逝した伊藤計劃原作のアニメ映画。
前作にあたる「虐殺器官」の世界観を踏まえている。
近未来を舞台にした正統派のSF作品で、ストーリーの流れも分かりやすくとても良くできている。

また、話の軸となる“意識”の捉え方がまた面白い。
前作を含め、こんな斬新な発想を持てる作家が夭逝してしまったことは酷く悔やまれる。

投稿 : 2016/08/29
閲覧 : 276
サンキュー:

0

ネタバレ

はる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

理解力を問われるかも?

少し内容が難しかったかな。登場人物の発する言葉の意味とかその人の心情とかを捉えるのが難しかった。他の人の感想読んでなんとなくだけどこの作品を理解できた気がする。最後に座ってたのはキアンかな?

投稿 : 2016/05/24
閲覧 : 237
サンキュー:

0

もろう さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

百合だと聞いていたので避けていたアニメ

冒頭の向日葵が凄く綺麗。
世界から監視されているという面では、アニメサイコパスと少し設定が似ている。
誰も彼もが他人と同じであることに安心するというのは、いまの日本でもよくある事だと思った。(特別悪い事であるとは思わない)

百合が苦手で、観るのをずっと迷っていたが、いざ観てみると観るのを断念する程では無く安心した。ただグロシーンが多い為、苦手な人には進められない作品。

ミァハの声が綺麗だった。
キャラクターの個性を生かしきれていないように感じた。

つまらない訳ではないのだが、もう一度観返したいと思う作品では無かった。

投稿 : 2016/05/16
閲覧 : 262
サンキュー:

4

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一回だけじゃ、分からない。

アニメを見てきた中で、初めて見終わった後に自分の中でのこの作品の位置付けが出来なかった。
なので見終わった後はもう、放心状態になって従来とは違う意味で余韻に浸ってます。

投稿 : 2016/05/10
閲覧 : 200
ネタバレ

CountZero さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

メディアと、わたしの、ふたりっきり。孤独の持久力。

さてと。
ようやく観終わりました。
ゼロ年代最高と名高いSF作家伊藤計劃さんの長編が原作です。
原作が大好きな作品なので、とても期待していました。

見終わって、ほぼ原作通りに台詞回しや、独白がなされていたので、全編を通して説明臭さが人によっては疲れてしまったかもしれません。
しかしそれでも残念ながら、「虐殺器官」とセットで対になっている作品なので、「ハーモニー」だけでは世界観の全体を掴むのはなかなか難しくなってしまったとも思いました。
観るなら「虐殺器官」を見てから「ハーモニー」を見るのがやっぱりいいです。
もちろん「虐殺器官」が完成すればなんですけれども。

伊藤計劃さんの文章で描かれる窒息しそうなくらいの息苦しさは、アニメーションではあまり感じることができず、ホラーでグロテスクな描写もただの大量出血になってしまっていたのは残念でした。
あと最も残念だったのは、ラストかな。
{netabare} トァンがミァハを愛して求めていたのは間違い無いけれど、原作で描かれているようにトァンのセリフが無いと彼女の行動の理由が最後の最後で、ブレてしまうというか不明瞭で弱くなってしまいました。
あれではただただ、ミァハのわがままに、世界が巻き込まれてしまったかのようでした。
もちろんある意味ではそうなんですけれど…。{/netabare}

アニメとしての出来は悪くなかったですが、原作が近年稀に見る傑作だっただけに、映画には少しがっかりしてしまいました。
沢城みゆきさんの声を堪能できたのは、大満足です。
ミァハ役の上田麗奈さんも、彼女の不思議な感じがよく出ていてよかったです。
ラストのegoistはベストマッチですね!
なので、アニメ映画としては個人的には及第点をあげたかったんですが、やはり原作改変しているところがどうしても気になってしまったので、消化不良で残念でした。
あとは、他の二作に期待します。
特に「虐殺器官」!

投稿 : 2016/04/05
閲覧 : 455
サンキュー:

34

ネタバレ

移リ木うらら さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ある種の極論

究極の自暴自棄の話だなぁと思いました。
平和なのも嫌だし、戦争がある世も嫌だし、その間。今みたいな世界も嫌だ。
みたいな。

子供として描かれたミアハが本当に子供らしいというか、
世を憎む子供の思想を正しく描けていて、それを突き詰めるとこんな作品が出来上がるんだなぁと感激しました。

確かに、無力感の先は破壊ですもんね。無。

絶好調の時は忘れがちですけど、どうしようもないと思った時はこういう思考にもなるなぁということを作品として焼き付けてくれる作品。
なので、なんとなくで過ぎ去らせずに済むっていう点では良いのかも。

ただ、観ていて面白い!!スッキリ!!とかは無いですね。
最後の決断と同じように 無力感 で満たされます。

これをみた人が世界がこんなものだと思わないと良いなって思いました(笑
これはあくまで物語で世界が自分にとってどんなものかを決めるかはやはり本人ですからね。作中に登場するキャラクター達も自分がどうあるかを決めていますし。結果だけを見て落胆しないでと言っておきたくなりました。

それにしても、EDとっても良いですね!
こういう物語ですぅと出されてこの歌詞出てくるってすごくないですか?
なんかオペラみたいなので終わるの?怖い!!と思ったらEGOISTの歌流れたので良かったです。

投稿 : 2016/04/03
閲覧 : 380
サンキュー:

9

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ある人類の結論

故・伊藤 計劃原作の小説『ハーモニー』のアニメ映画化です。
原作未読。

タイトルの「ハーモニー」。
合唱などで複数の声、音が調和した状態のことを言ったり、「ハモる」なんて略されたりしてるあのハーモニーのことですね。
歌は歌いませんが「調和」に関する作品というのは言えると思います。

音楽でもそうなんですが、チューニングやリズムが1つでもズレてると、途端に音楽全体が聞き辛いものになったりしますよね。でも、みんながちょっとづつハズしてたり、なんかよくわかんない雑音が入ってても、それはそれである種のハーモニーといえる状態になったりする。
その逆で、全ての音が全く同じ音階、音量、リズムで奏でられたら、それはもう「ハーモニー」ではなくなります。

その2つは正反対ではあるけどハーモニーではない。つまり、合奏(合唱)になってないという意味では共通しています。


では、わたし達人類が共にハーモニーを奏でるという社会的に調和した状態とはどういう状態で、
そして、そのハーモニーはわたし達に何をもたらすのか?

幸福か?それとも・・

こんな疑問を想起させる作品でした。

所謂、問題提起してくる作品だったと思います。
むしろ問題提起しすぎていて脳で見ている感覚だったといってもいいかもしれない。キャラクターにも作画にもほとんど体温を感じさせない無機質さがあり、この世界に生きる誰かの物語。というよりは、哲学的な観念自体が主人公で・・という
個人的には小説として読むべき作品。という印象を受けました。

ハーモニーという意味では、「キャラクターや作画」が「テーマ」に寄り添い過ぎていて、響き合うというよりは、似た楽器が高音域だけでアンサンブルしていたのかなと。

個人的には、低音域に相当するベース音みたいな部分が欲しかったところだけど、高音域だけのアンサンブルが生み出す無機質感自体が作品のテーマでもあると思うので、この作品に体温みたいなものを求めるのはひょっとしたら間違っているのかもとも思う。

ただ、テーマ自体は非常に面白かった。アニメ「サイコパス」のシステムに通ずる総管理社会的部分や、物語の結論。それらはなかなか考えさせられるテーマで、タイトル「ハーモニー」の逆説的な意味合いにも目からウロコな感じがあって楽しめた。

登場人物の御冷ミァハのキャラ、声がかなり合っていて、これが作品の色になっていたと思う。

作画も綺麗で、無機質な中に微かな生命感が表現されていたりと工夫も感じられた。後半のある部分の壮大な作画には目を奪われたし、主人公2人が対峙する部分での音の反響なんか「おぉぉぉ」って感心させられた。

オススメかどうかはほんと難しい。観念的な作品としてはまあ成功している部類だと感じたが、そもそも観念的な作品が好きかどうか。
まあ、これに尽きるでしょうか。

以上です。

投稿 : 2016/03/26
閲覧 : 339
サンキュー:

23

ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 2.5 作画 : 2.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

映像化のDISCORD

生命の保全を目的とした管理が、いつの間にか人格や思考の管理まで拡張した「真綿で首を締める様な」本作の「生府」の支配する「世界」は、作中でフーコーに言及されているように、現実世界の生権力を可視化するべく戯画的に創作された世界だ。

{netabare}「生権力」は、持って回った言葉遊びででっち上げられた「思想」などでは無いことは、本作の映像化にあたって、原作小説のヒロインの喫煙シーンが一切排除され、固執する悪癖が「煙草」から「酒」にすり替えられている事で明瞭なように、端的な現実だ。

安易に生権力の規制に妥協する映像化は、これとリンクする作中の「生府」の描写が曖昧化するのではないかという疑念を生じさせるが、疑念は悪い方向に実現される。
「非健康的」な嗜癖に対する執着がほとんど描かれないため、ヒロインと鋭角的に対立する「生府」の抑圧性の輪郭がぼやけたままだ。

ビジュアルもまた、この曖昧性を助長する。
何処か重さを持たないような街並みや背景の映像は設定にマッチしているのだが、これに合わせた、単純化した線で構成されたようなキャラデザインは、定型化した大げさな感情表現の描写がキャラの性格や物語によって導かれる思弁性と大きく違和を感じさせて、感情や行動に、上滑りしているような人工性を感じさせてしまう。

管理のために数値化されたデータとしての肉体と、実体としての「私の」身体という相剋が物語とテーマを支えるキーストーンであるはずだが、ビジュアル化によって期待された身体性を表現する描写上の工夫がないために、観念的な思弁の応酬をする人形じみて見せてしまっている。
身体性の表現が不十分である結果、これを抑圧する「生府」の強権性もまた、十分に伝わってこない。

本作の独創は、生命や健康というフィジカルな領域での管理=支配が、自意識や人格といった領域まで支配を拡大する必然を、「脳科学」による「意識」の解釈というフィジカルなロジックで結び付けて主題化したところにある。

この主題を佳く展開するには、固有の生身の身体性を対比として描写しない事には説得力が減殺されてしまうのだが、本作のキャラデザインの方向性は、残念ながら効果を上げてはいないように見える。

少女時代の回想における、強く性的なイメージを漂わせる同性愛的な描写は、おそらく、ここで身体性の導入を意図したものなのだろう。
が、キャラの人形的な人工的造形を覆すに十分な印象は与えられない。

この工夫が、物語の結末が「愛」へと引きずられる事態を招いてしまう。
「愛」という、「あの人」の人格=自意識の絶対性を不可欠の前提とする「情動」を大声で持ち込むことで、SF的な「ロジック」で生権力が「意識」の領域を取り込むことにくさびを打ち込もうと企てた物語のスリルが一気に曖昧化して、単なる悲劇として終幕を迎えることになる。


原作小説のプロモーション、という言い方は好きではないのだが、どうも、ビジュアル化によって原作の魅力を拡大している、とは評価できないようだ。
本作でこのストーリーに興味を待ったのであれば、ぜひ原作小説を読んで、結末の違いに触れてみてほしい。


哲学的な認識論では、「世界」は「私の世界」として主体の認識に現れる以外に存在の形態を持たない/持てない。
「私」という主観=自意識が消滅した後の世界とは、「私」がいない以上、存在を問うことができない、「私」にとって実体のない空想の対象に過ぎない。

意識のない=主体ではない「私」と「世界」の関係を実体として考察することは、「私」の外部に「私」と「世界」を見比べる視点を「仮設」する科学の思考方法だ。
「仮設」は、科学という論理体系が方法的に導入した「仮定」だが、別に科学は適当な土台に構築された仮想物だという事を意味しているのではない。
方法としてこの「仮定」を導入したからこそ、科学体系は巨大な成果を上げたのであり、有効な方法ではある。
が、「仮定」である以上、成果があるからと言ってこれが「真理」であると「証明」することは、同じ科学的論理では原理的に不可能だというだけだ。

科学体系は、自身の論理で自身が「真理」であると決して証明できない。
認識の限界を問うような領域では、それが明瞭に表れてくる。


意識の根源のような問題に、それでも「科学的」にギリギリの考察を試み、哲学的認識論へ接続する「小説」としてまとめ上げる本作の原作小説は、まさしく「サイエンス/フィクション」にしかできない表現だった。

主題を描き切るためのSF小説の全力に、本作は「アニメ」の全力で応え得たと、はたして言えるだろうか。{/netabare}

投稿 : 2016/03/16
閲覧 : 469
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6

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

中々に重いお話ですぞ

HTML書式風味?で始まる未来の光景からは
想像つかない程にラストは濃厚。
脳医学ちょっとかじってれば
理解できると思うけれども、別に知らなくても
他に見所は沢山あるので問題無し。

中1の時の自分の思考や言動をなぞっているようでしたよ
ミァハ

思考停止
いわゆる考えるのをやめた☆
ようなちょっと想像するとラストは怖いのですが

憎しみ・恨み・怒りのエネルギーというのは絶大なもので
生きる力に変換できるほどの威力を持っています。
相手を殺すか自分が死ぬかの二択と思われがちなのですが
実は3の道があります。
これがベリーハードモードで
死んだがマシと思えるほどの苦痛

脳みそって良くできていて
失った機能をサポートしてくれる場合もあるのね
シナプスが勝手につながる感じ?
これがミァハの言うところの意識の覚醒だと思うんだけど
痛みも苦痛も意識下で認識してないと
認識してないととるわけ
何も感じない訳でもなく緊急避難的に
なかったことにするか自我を殺して
何も感じないようにもできるわけ。
すごいよね、脳みそ。

葬式があるだけマシというか
健全なのかな
死をまだ身近で感じられる分
そんな事を考えながら見ていたのでした。

マイケル・アリアスとSTUDIO4℃
鉄コンコンビですね。
「Ghost of a smile」
主題歌は EGOIST

意識に思いをはせられる哲学的な一品です
カテゴリーはSFになるんだろうけど。

投稿 : 2016/03/14
閲覧 : 662
サンキュー:

24

ひらめ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

<title>面白い世界観</title>

食事とか、健康管理とかも常に政府に監視されて
見た目も格好もみんな同じ
みんなして社会のために行動とか
いいことなんだろうけど
もう不気味に感じるくらいで
なかなか考えさせられました。




関係ないけど、しおりはトァンかミァハが欲しかった・・・

投稿 : 2016/01/22
閲覧 : 218
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1

ネタバレ

愛花 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ハーモニーの世界へ

作画は3DCGと手描きを融合したものだそうですが、、
最初の方ではCGが強くて違和感というか見にくさを感じてしまいました(>_<)
動きはとても滑らかだったと思うのですが…(*。・ω・`*)!
アニメなのに立体的に見えることに抵抗があったのかな。。
後半では慣れたのかCGが少なくなったのかあまり気にならなくなりました。

絵自体は本当に綺麗でした!
特に雨が綺麗だと思いました。
窓ガラスを流れる雨が、実写の映像みたいでした(^^)

声優さんは、ミァハの上田麗奈さんがとても良かったと思います!
ミァハの儚くて美しくて不思議な感じによく合っていました‼︎


{netabare}
屍者の帝国での反省から(?)、ハーモニーは原作を読んでから観に行きました♪
その結果思ったことは、小説をそのままトァン;沢城さんが読み上げてるかのような映画だな〜ってことです。。
動きや場面の変化が控えめだったので、トァンの独白が多い感じが。。
ストーリー的に仕方なかったかもしれませんが(>_<)


原作を改変したところがいくつかありましたが、原作の方が良かったなと思ってしまいました(>_<)
1番はめちゃレズ化していたところでしょうか、、
ラストの、ミァハを殺した意味さえ変わってしまいましたからね、、
(原作では、ヌァザとキアンを殺した報復としてミァハを2発撃ちました)

良かったところは原作の世界観を忠実に再現していたところでしょうか(*^_^*)
全てがピンクで溢れかえった世界、個人情報が全て晒される世界、みんなが優しい世界、、
原作で読んでぼんやりと想像していましたが、ああ、こんな感じか、と納得しました(*。・ω・`*)
この世界の人々が行ったら窒息死してしまいそうですね、、
そういう意味では、私たちはトァンに感情移入しやすいのでしょうかね(´・ω・`)

ハーモニープログラムが起動されて、世界から「意識」が消えました。
「意識」が消えた世界とはどんな感じなのでしょう。。
屍者の帝国で、ロシアで生きたまま屍者化された村人たちが生活していましたが、そんな風でしょうか。。
屍者の帝国ではワトソンが魂の在処≒意思の有無と解釈していましたが、ハーモニーではミァハのように意識を持たない種族がいますね。
意思、意識とはなんなのでしょう。。
伊藤計劃さんはそういうテーマのお話を書くのでしょうか⁇

世界から「意識」が消えたら。。人々は必ず合理的な行動をとるようになるといいます。
しかし意識の消失とともに感情も消えて、、
確かに不合理な争い諸々は消えるかもしれませんが、それって「生きている」と言えるのでしょうか…⁇
私にはハーモニーの世界を目指したミァハはもちろん、その世界を受け入れたトァンも理解できません…
意識も感情もなくただ合理的な行動を取り続けるのって、ロボットみたいなものじゃないでしょうか。。

すごく大きなテーマを投げかけられているようですが多分私はその半分も受け取れたのかな。。
見終わった後心がずーーんとして席を立てない…気分になりました。

{/netabare}

投稿 : 2016/01/22
閲覧 : 236
サンキュー:

10

しゃあ・あずなぶる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ごめんね、ミァハ

ノイタミナの「Project Itoh」第2弾。
ノイタミナはそこそこのクオリティを出すイメージがあるし(面白いかどうかは別)、伊藤計劃の作品を3つやりますってのも気合いが入っている感じで興味を持った。
それまで伊藤計劃って作家は知らなかったけど・・・


健康まで管理され病気も殆ど無くなった高度な医療経済社会の近未来。
その世界を憎悪する友人、御冷ミァハ。
ミァハに共感する主人公、霧慧トァンは、零下堂キアンを含めた3人で自殺を図るがミァハだけが死んでしまう。

13年後、突然世界で6000人以上の人々が自殺を図る事件が発生し、主人公は捜査をしていくとかつての友人ミァハが関係していると考え事件を追う・・・


予備知識なく見たから世界観の細かいところなどは解らないけど、内容は何となく理解出来た。
作画も劇場作品だけあって高クオリティだし、3D部分もそんなに違和感は感じなかった。
寧ろ、近未来世界にマッチしていたと思う。

主演の沢城みゆきの学生時代と今の演じ分けや、上田麗奈のミァハも良かった。
個人的に大好きな榊原良子が出演しているのも良いw

音楽は劇伴の池頼広は問題ないんだけど、主題歌のEGOISTだけは違和感があるなぁ。
嫌いじゃないけど、EGOISTはやっぱギルティクラウンの印象が大きい。
ギルクラ以降もちょいちょいアニメやってるから構わないんだけど、なんでProject Itoh3部作も全てEGOISTなの?これには裏を感じてしまってマイナスだよ・・・


取り敢えず原作も買ったので、読んだ後にどう印象が変わるか楽しみだ^ー^

投稿 : 2015/12/17
閲覧 : 322
サンキュー:

15

ネタバレ

marogem さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

未来について考えさせられる映画

3DCGだけどほぼアクションは無し。
おそらくシンギュラリティ後の超管理社会が舞台で色々考えさせられるます。
割と過激な描写もありますが観てよかった!

投稿 : 2015/12/14
閲覧 : 264
サンキュー:

0

ネタバレ

かかのん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 2.0 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

予算の足りない映画ほど惨めなモノはない

全編これキャラのセリフ、モノローグ、会話とドラマCDかと思うほど!

因みに原作は読了済みで好きな作品なのですが…

とにかくキャラのバストアップが多く又意図の薄いカメラワークが多いです
なので映画館でみると睡くなるか非常に見づらい映画になっています。

最初のCGを使うシーケンスに意図も意味も感じないのは私の気のせいでしょうか?

ラストシーンの改変にも意味も意図も感じられないのはどうかと?
トアンとミァハ無意味な同性愛表現に増加にも閉口しました

確かにトアンは葛藤しつつミァハを殺害するのだけれどミァハの行動には明らかに「NO!」を突き付けにチェチェンに行き最初から殺すつもりだったのは原作からは読み取れるはずなんですが…この改変には「NO!」ですねw

兎に角映像が整理されてなくてとっちらかっていて映画の体をなしていません!劇場レベルのアニメなのに所々で作画崩壊してるし…最早失笑の域です。

比較的原作に忠実なのでそこは+で物語の評価2.0にしましたが。

予算と時間が無い&演出が原作を読み解けていない映画でした。

投稿 : 2015/12/10
閲覧 : 276
サンキュー:

5

ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

我思う故に我あり

私のアニメ定義から逸脱した作品。
萌えや笑いやエンターテイメントはありません。
あるのは殺伐と悲惨と微百合です。

近未来SFサスペンスアニメの皮を被った哲学作品と言えるかな。
ハッキリいって難しい。
上映が終わったとたん、あまり瞬きしていないことに気づいた。
目はシバシバ、頭の奥はジーンと痺れる。
とにかく疲れるアニメです。

絵は3Dで美しい。
動きのあるシーンは滑らかで大迫力。
{netabare}しかし、人が死ぬシーンが多い。
しかも、血しぶきがドバっと。
これがまたリアル。
過剰演出気味です。

テーマはわかりにくいですね。
私が思うに、
人の内面の充足感を如何に捉えるか。
生きる価値とは何かを問いかけられているような気がします。
最終的には、明確な結論は告げられず。
後は自分で考えて!的な球が投げられます。
どうキャッチするかは、個人の自由のようです。{/netabare}

声の出演は沢城みゆきさん。
ワイルドな監察官役なので、大抵のことには動じません。
それに主人公のモノローグが多いので、沢城節を堪能できます。
冷静かつ渋い演技をご覧下さい。

投稿 : 2015/12/05
閲覧 : 555
サンキュー:

31

kakelu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

超高度医療社会が行き着く先とは?

大まかなこの作品を説明すると、
極端な健康思考と社会の調和を重んじた、まるで天国のような超高度医療社会。そんな社会から抗おうとする、一人の少女の話です。


まず、この作品のことで言いたいことは、
作画が『3DCG』がメインで使われていることです。
『3DCG』という名前は僕も今まで知らなかったのですが、作品を例に出すこと「シドニアの騎士」や「学園追放」での作画のことです。これは好き嫌いが分かれると思います。
ちなみに、僕は苦手で、「屍者の帝国」と同じ制作だと思い込んでいたので、見ている途中で気づき少しがっかりしてしまいました。ただ、あからさまに立体に見える時と見えない時があったので、あからさまに立体に見える時が減れば、感じ方も変わっていたのかも、です。

背景やメカに関しては、とても細かく綺麗でしたが、キャラの表情が固かったり、カメラの視点があまり変わらないと粗が目立っていたと感じました。「虐殺器官」との順番変更で制作が間に合わなかったのだと思いますが、もう少し頑張って欲しかったなー。


物語の中身は、やはり深い!!まぁ、その分難しかったですが、「屍者の帝国」よりは理解しやすかったように思います。
普通、健康と調和は良いもの、推奨すべきものだと考えると思いますが、その考えを大きく変えられました。行き過ぎた平和が辿る結末がまさかあんなふうになるとは…
現実に成るかもしれないと思うとぞっとしますね(汗


キャラで目立ったことは、トァンとミァハとの百合百合し過ぎ!
僕は百合についてよく分かりませんが、胸を揉んだり、キスしたりするのが普通なの?僕には二人の男女の恋人以上にいちゃいちゃしている関係を遠い存在に感じました。


この作品は、視聴後いろいろと考えさせられる良作だと思います。そして、その思考に耽ることが心地よく感じました。
3DCGのことさえ、事前に把握していれば、もっと評価が上がったかも。
見に行く人は、そこだけは注意して下さい!

投稿 : 2015/12/05
閲覧 : 299
サンキュー:

16

ネタバレ

zu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一人一殺

21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。
医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する"ユートピア"。
そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した――

それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはすの少女の影を見る――
『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。日本SF大賞受賞作。(ハヤカワ文庫JA 商品詳細より)

フジテレビ「ノイタミナムービー」「Project Itoh」の一環として2015年11月13日に公開された。「ハーモニー」

この「Project Itoh」「虐殺器官 ,ハーモニー,屍者の帝国」の3作品とも「redjuice」さんのキャラクター原案だったし、この「ハーモニー」は近未来SFという、自分が好きな要素が多かったので、公開されて直ぐ観に行き、これは面白いなと原作を読んでからもう一度観てきました。個人的には「屍者の帝国」より「ハーモニー」の方が好みだった。

特に上田麗奈さんが演じていた「御冷 ミァハ」(みひえ ミァハ)のキャラデザ(ギルクラのいのりをちょっとキツめにした感じ)も好きなタイプで印象的だった。

自分の中では、上田麗奈さんって「てさぐれ!部活もの」園田 萌舞子(そのた もぶこ)のモブキャライメージが強かったんですが、この作品の中心人物のミァハ役では、「私と一緒に死ぬ気ある?キリエ トァンさん」などのセリフひとつでも、イントネーションとかの演技がとても印象的でかなり好印象だったし(原作を読んでいる時も完全に上田麗奈さんの声で脳内再生していた)とてもいいキャラだった!


そして、原作を読んで観てみるとかなり原作に忠実な作品の作りになってましたが、原作の方では登場人物の思想や言葉、感情を示す架空のマークアップ言語「etml」がかなり使われているのに対して、映画の方では、殆ど省略されているので、原作を知らないと??なると思います。(一回目の自分がそうでしたw)

それと、終盤にミァハに会いにいく時にトァンが言った「ここから先は、プライベートだから」のセリフも管理されたこの作品の世界では、プライベートとは、ほとんどセックス系の事を表しているというのもちょっとおもしろかった。

原作と映画の最後の結末は同じだったけど、トァンのミァハに対しての気持ち(意識)が復讐と愛の違いがあったが、原作のトァンとミャハの最後の描写は入れてもらいたかったなぁ!

完璧に管理され、病気や犯罪が無くなった(ただ。医療合意共同体を拒む人達との戦闘はあるんだけど)近未来SFの世界(この作品の場合は生府「ヴァイガメント」医療合意共同体)でしたが、これをシビュラシステムに置き換えると、物語の内容もサイコパスにかなり近いなぁというか本作をお手本にしたんだろうと思いました。

特にトァンの上司「オスカー・シュタウフェンベルク」(螺旋監察官を統括している首席監察官)がサイコパスの禾生(かせい)公安局局長の榊原良子さんがやっていたからなぁ…w

原作の最後のページに

「感謝を捧げます― 私の困難な時にあってささえてくれた両親、叔父母に。」

で終わっているので、著者の伊藤計劃さんは病気により自身の寿命があと少しだというのがわかっていて、病院の中で書き上げた「ハーモニー」という作品の中にこんな未来が来ればいいなと思ったのではないのかと感じたし、自分はこの作品に出会えたことがとても良かった。(出来れば「虐殺器官」の方から観たかったんですが仕方がよなぁ…)

あと、この作品には数は少ないですが、かなりグロい描写があるので耐性がない方は注意が必要だと思います…

タイトルの「一人一殺」とは、物語の中でのミァハの宣言によるキーワードになってます。

ちなみに入場者特典のしおりは2枚ともミャハでした。
「屍者の帝国」と同じく裏面のQRコードで声優さんが朗読してくれます


Project Ito展が秋葉のアニメーションセンターでやっていたのを知ったのが、終了日の夕方で見に行けなかったのは、とても残念だったな(泣)

イントロダクション
夭折の作家、伊藤計劃-
僕達は、彼が計劃した世界を生きる。
伊藤計劃(1974-2009)は2つのオリジナル長編小説『虐殺器官』『ハーモニー』を遺し、34歳の若さで病没した。冒頭30枚だけが遺された『屍者の帝国』は、盟友・円城塔によって書き継がれることになる。
自らの命が終わる予感の中で、伊藤計劃が見た風景、遺した物語とは。
彼は人間や世界に対する「絶望」と「希望」を物語に封じ込めた。
それは、今を生き続けるものに対して、強烈に「未来」を問いかけている。
彼は、「伊藤計劃」という自らの名前を決めたときから、自分自身の作家としての生涯を「計劃」していたのかもしれない。彼の死後、それは「物語」として我々を揺さぶる。
〈計劃―Project-〉は止まらない。(Project Ito展サイトより)

投稿 : 2015/11/29
閲覧 : 448
サンキュー:

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けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

壮大かつ圧倒的なヴィジュアルで魅せるディストピアSF&サイコミステリ・・・だけどあえて言おう、これは二人の女の喧嘩が世界を滅ぼす話

【先に言っておきますがオイラはredjuiceさんの絵をアニメのキャラ原案にすることには『ギルクラ』の頃から反対でした!】


伊藤計劃アニメ映画化三部作の第2弾・・・ですが元々シリーズの完結作として公開される予定でした
(ご周知の通り『虐殺器官』の公開延期に伴って公開が前倒しされました)
と、いうのも原作既読のぽ~か~さんに解説してもらいましたが『虐殺器官』と今作は直接同じ時間軸の延長線上にある作品らしいのです
その為、今作には『虐殺器官』の内容を示唆する「大災渦」という単語が唐突に登場してきます
その他にも今作独特のキーワード、「生命主義」だの「螺旋監察官」だの多くの専門用語が登場します
こういったものの処理が苦手な方にはハッキリ言ってオススメしません
まあ原作未読のオイラが一回観ただけで把握できる内容なので真剣に観れば誰でも理解できると思いますが;


舞台は人体の健康を出生と同時に埋め込んだ装置「WatchMe」によって監視して、そのシステムと連動して必要な薬を自動精製することが出来る「メディケア」の普及によって高度に健康管理がされた未来
WHOの一組織にして、医療管理された未来社会において非常に大きな権限を持つ螺旋監察官の女性、トァンの口から物語は語られます
彼女はとある事情により謹慎を命じられ毛嫌いしていた日本への帰国をする
親友だったキアンと再会し、食事や思い出話をしていたのも束の間、キアンを含めた数千人が世界中でほぼ同時に自殺を図った
螺旋監察官として、キアンの友人として、世界同時多発大量自死事件を単独で追い始めるトァン
しかし彼女は気付いていた
この事件の裏にはかつて自分が陶酔し、自分とキアンに心中を求めていた少女の・・・今は死んだはずのミァハという少女の影を感じていたことを・・・


まず目に付くのディストピアSFというジャンルらしい息苦しい未来社会の姿
東京の街は建物のほとんどが新宿コクーンタワーのような外観をしており、乗り物や道路に至るまで街全体が淡いピンク色に包まれている、という極端に悪趣味な世界として描かれております
これはこれでディストピアSFとして正解なんでしょう、ただ流石にちょっと目が疲れるw
それと螺旋監察官の電脳会議はなんであんなノイズ交じりなんだw
カッコイイと思いつつも、失笑してしまった
それとトゥーンシェードを用いたカットのトァンは【可愛くない(爆)】のに電脳会議中のトァンのモデリングは可愛い感じがしたのは何故なのかw


次にサイコミステリとしての面白み
一緒に自殺を図ったトァン、キアン、ミァハだったが、ミァハだけが死に、その業に耐え切れず日本を離れたトァン
しかし今まさに世界を混沌の渦に貶めようとしているのが、死んだはずのミァハ
自死事件の首謀者から犯行声明が流れるシークエンスでは真っ暗な画面に“VOICE ONLY”の固定テロップだけが映し出され、静まり返った画面から変声機の声だけがゆっくりと顛末を語りだし、やがてドコからともなく池頼広さんの劇伴がすぅっと入ってきて緊張が高まっていく演出に恐怖を感じましたね
今敏監督亡き今、アニメでサイコサスペンスをやってくれるのは凄く嬉しいです


で、原作はどうか存じませんがこの映画としては“カリスマミァハと思春期の少女達の友情”=“百合”=“結果としてレズだったトァン”って解釈に落ち着くんですが、百合っぽいのが良いとか悪いとかって感想をよく目にするんですけど、そんな生優しい映画には観えませんでした
だって犯人を(ミァハの影)追って世界各地を転々としていくトァンの執念の凄まじさたるやイヤハヤなんとも・・・
この映画は女二人が世界人類を巻き添えにしながら喧嘩するっていうひでぇ作品ですよ(笑)


先にも言ったとおり、映像に惹き付けられつつも、その映像こそが最も視聴者にストレスを与える作品でもあります
あまりオススメは出来ません、グロいし
全く個人的には『屍者の帝国』のフライデー萌えみたいな要素は特に無く、純粋にお話が面白かったですね
トァンと同じようにミァハに心酔してしまうか、やっぱこの娘は可愛くないよとドン退くか
或いは怖いものが観たいアナタになら、、、オススメ出来ますよw

投稿 : 2015/11/29
閲覧 : 597
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<harmony/>のストーリー・あらすじ

優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?(アニメ映画『<harmony/>』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2015年11月13日
制作会社
STUDIO4℃
公式サイト
project-itoh.com/
主題歌
《主題歌》EGOIST『Ghost of a smile』

声優・キャラクター

沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

スタッフ

原作:伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫JA)、キャラクター原案:redjuice
監督:なかむらたかし/マイケル・アリアス、脚本:山本幸治、キャラクターデザイン・総作画監督:田中孝弘、作画監督:竹内一義、メカデザイン・エフェクト作画監督:渡辺浩二、色彩設計:成毛久美子、美術監督:新林希文/狹田修、編集:重村建吾、音楽:池頼広、録音演出:名倉靖、音響デザイン:笠松広司

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