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「<harmony/>(アニメ映画)」

総合得点
65.2
感想・評価
272
棚に入れた
1421
ランキング
3447
★★★★☆ 3.7 (272)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.6

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<harmony/>の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

何が人を変えるのか

美しくて、醜くて、とても難しい作品でした。(原作は未読)

いつもなら初見は一気見するのですが、今回は途中からシナリオが追えなくなり、REVボタンを押してはまた再生するという、私的には久しぶりの視聴パターンになりました。

正味2時間の作品にそれなりの時間をかけたので、観終わったとき、ようやくか・・という安堵の気持ちと、作品の持つ訴求性にたじたじになりました。
環境と立場のあまりの隔たりに、心を深く抉られた感じでした。

それは、つまらないとか、見るんじゃなかったとかの負の感情ではなくて、骨太の世界観と、複雑なキャラの心理設定に心が涙したという共感性であり、こんな作品が世の中にあったのかという驚きが近いように思います。

全体像としては、優しさのひとかけらもない世界。
そんな印象を持ちました。
私は、終始傍観者の立場に縛られ、当てるべき焦点も見つけられず、どうにも収まりのつかない心苦しさに悶々とする思いに耽っていました。

これは劇場で観るべき作品だったのかもという考えと、むしろレンタルで良かったという気分に分かれました。
思考回路のそれは、相反しながらも混じりあうもので、作品への評価の落としどころをしばらく探す羽目になりました。



世界観の設定は、緻密に構成され、反論を許さない説得力があります。

物語の初発は2019年と設定されています。
あるアクシデント(大災禍=ザ・メイルストロム)からパンデミックが発生し、世界が崩壊しかけ、その半世紀後からが物語の本流です。

奇しくも、かの国にコロナが発生したのも2019年(12月)。
ピタリと一致するこの符合にほんとうに驚きました。
なぜなら、原作は2008年の刊行、映像化は2015年なのですから。

世界は今も、その高いツケを支払わされています。
それぞれの陣営は、望ましいハーモニーを求めて右往左往し、喧々諤々としています。
これらを意図する者たちは、いったい人間をどこへ向かわせようと考えているのでしょう。



本作では、病気にならないこと、健康であることが、幸福を享受する唯一無二の価値(ハーモニー・プログラム)と位置づけられています。
そのために人々は、二次成長期が終わるとナノマシン(= WatchMe)を体内に注入し、自分の肉体と意識の安寧を、生府(パンデミック生存者?)に委ねています。

その技術と性能は、理解を超えて驚異的ですらあります。(重要な伏線)
おそらくはパンデミックへの恐怖と教訓から、人類存続のための決定打、最適解として採用・運用されているのでしょう。

わが国も、個人情報の一元的な管理(まずはマイナカードから)が始まろうとしています。
行政システムの簡便化(本末転倒?)はもちろん、接触頻度の低減(知らぬが仏?)、利用者サービス(海老で鯛を釣る?)、紛失回避の2枚持ち(月夜に提灯?)など、もはや何のための利便性なのか、損得を超えて善し悪しがわからない仕組みに感じます。

いずれせよ国家権力に個人情報の根幹を献上するわけですので、ハッキングや漏洩などの恣意的なリスクを考えると、不安を断ち切ることは容易ではありません。
ですが、本作のコンセプトは、それ以上のアクティブセーフティーを保証するものとしてのナノマシンの体内直注という荒ワザ。

言うなれば、それは血液のサイボーグ化、遺伝情報のマルチリンク化なのですから、マイナカードなど微笑ましいレベル、可愛らしいソーシャライゼイション(社会化)なのだろうと思います。



話が横道にそれました。

0歳からの健康寿命が、24時間365日、管理され続けるという社会体制=思想と倫理。
そのシステムをテロリストがハッキングし、殺生与奪権を強奪、生死活殺を自在に操ることで社会転覆を狙うという大局観に迫るシナリオです。

ハーモニー・プログラムを暴走させ、プライバシーを人間のDNAに取り戻すことは、いったい善か悪か。
しかし、万一パンデミックが再来すれば、人類は朝露の如く消えるか、廃墟に身を寄せる弱者になりかねません。

思春期特有の共感性に生じる語感の心地よさとは真逆の、思春期ならではの反語的テーマがそこには隠されてあるような気がします。
果たして健康への必要なコストとは何か、生き方を自由に選択するリスクとは何か。
主人公たちは何に抗い、対立しあい、どんな最適解を視聴者に示そうとするのか。

生命哲学と社会倫理の調和の難しさを、局地戦で真を問うのが本作のドラマのようです。
答えの出しようのない答えを求められる・・・、そんな圧力にえぐられては、脳神経が激しく揺さぶられる思いになりました。



パンデミックから約半世紀後(2062年頃)、仲良し3人組の女子高生のトァン(主人公)、ミァハ(キーパーソン)、キアン(共通の友人)が、そのとき何を考え、選択したのかが物語のスタートです。
そしてその13年後(2075年頃)、成人した彼女らが、過去をどう評価し、未来にどう生きるかという筋立てでリスタートします。

友情物語の陰で、言わばパンデミックによる世界の分断と、その対処としての社会思想の分岐点が少しづつ示されます。
それは、まったく悍ましいほどの情念をからめながら、凄まじい世界線が一気呵成のスピードで開示されていくのです。

ユートピアとディストピアの狭間で、お互いのアイデンティティをぶつけ合うトァンとミァハ。
キアンはその亀裂に落とし込まれ、 {netabare} 自らの手で(しかし意思は生きようとしながら)命を落とします。 {/netabare}

かつて胸襟を開きあった3人組が、監察官、唱導者、犠牲者という立ち位置に分かれてしまう道理と不条理。
美しくあるはずの友情と信頼は、生き方の両極地で牙を剥きあい、命の存在価値を削りあうのです。



すこぶるハードSFです。
盛り込まれているテーマは、個人と社会の相関性、自由と規律のバランス、生きることの希望と憎悪など、とにかく一つ一つが重いです。

パンデミックの教訓は、パンデミックを二度と起こさないこと。
強力なそのバイアスが、命と肉体はもとより、意思そのものの自己所有感すら社会へと外化させる。
それは新手の思想統制であり、一種の優生思想であり、宗教に似た選民思想に感じます。

その片隅で、高校生のミァハとトァンとキアンは、 {netabare} 集団自決 {/netabare} という手段で自由への脱出を試みます。
その選択は、思春期に芽生える純粋思想を昇華させ、若々しい肉体を穢れなく保ち、最高の境地へと導く唯一のプランだったのです。

おそらく、それが彼女たちのハーモニーを約束するものだったのではないかと思います。

ただ、どうしてミァハがそこまでを求めるのか、彼女の動機が今一つ分かりませんでした。
ですが、最終盤になってそれが明かされたとき、彼女の深い悲しみと尽きぬ怒りとが私の胸を鋭く突いてきたのです。



そこには生命と自我への圧倒的な暴力と、ジェンダーへの無慈悲な凌辱があったのです。
彼女の魂を丸ごと破壊し支配するのが一つの世界なら、命をかけて復讐するミァハの気持ちもまた、"自明の世界" を取り戻そうとする彼女なりのハーモニーへの意志だと理解できなくもありません。

"自明" は重要なキーワードだと思います。
作品のなかでも説明されていますが、独自解釈として、私は「民族自決権」と捉えたいと思います。
それは、ソ連崩壊後、チェチェン共和国としての独立を、ロシアからも国際社会からも、その承認を得られなかった人たちの "生存する権利" のことです。

ロシアとチェチェンとの因縁と紛争は、16世紀半ばから今もなお継続しており、チェチェン紛争(1994~2009年)のみでも20万人以上の死傷者というデータもあります。
宗教的、地政学的、人権的に棄損され続け、世代を超えて苦しみを背負っているチェチェンの人たち。

こうした現代史をなぞりながら本作を俯瞰してみると、チェチェンに生まれたミァハの生い立ちやその背景が俄かに立ち上がってきます。
彼女の "意識" が、その場所で、その行為の中で生まれた原体験と、日本で感じ取ったハーモニー・プログラム下での追体験も。

彼女の思い、感情、意図は、同情もするし否定できるものではありません。
ですが、同時にそれはテロリストの理論であり、立場であり、方法論でもあります。
ミァハがキアンに為した行為も、しかし、トァンがミァハに為した行為も、是非もなく非難されるべきことと思うのです。

でも、それもまたそれぞれの価値観(宗教・国家・人権・生命倫理など)のハーモニーを天秤に掛けた結果だとしたら・・。
本作品が示そうとするテーマが、ここにあるように思います。



いたいけな少女たちは、いったい何にもてあそばれ、何に蹂躙されたのか。

友情を美しく信じるがゆえに同調と共鳴を求め、しかし、正義と善とを決する不協和がその道を分けてしまう・・。

自らの意志で自由に生きることの充実感と、他者によって無難に生かされることでの亡失感をモチーフにしながら、遠くに感じる国際情勢を身近に感じられる課題・問題としてのアプローチを落とし込んでいます。

生き方への調和性にまつわる少女たちの親和性と乖離性に、一分の慈悲も与えない作品。
それを、あえて<harmony/>と掲げることの重たさ・・。

久しぶりに、骨のある作品に出あいました。

投稿 : 2024/11/17
閲覧 : 85
サンキュー:

5

ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

意識はデッドメディアか

原作を少し前に読んでいたが、まあそこそこ、という感じの評価でこちらも同じ感じ。
原作と今作の違いとしては大方の展開は同じだが、微妙に力点の起き方とか、あと特に最後の展開が違っている。

個人的には中盤の博士との対話で「意識と肉体どちらがデッドメディアか」ということについての対話が省かれていることが残念だった。
地面に落ちたフロッピーディスクを見て、博士は「人間の身体もこのようなデッドメディアになるのかもしれない、意識をデジタル化して、コンピュータの中に居場所を移すのかも」というようなことを言う。
それに対してトァンは「人間が肉体の増殖と保存を求めて進化、繁栄してきたことを考えるなら、肉体が精神の入れ物なのではなく、精神は肉体の増殖のための手段だ。だからデッドメディアなのは肉体というより、精神なのではないか」というようなことを言う。
これがこの作品の作者の一番のアイディアをうまく言い得ている文だと個人的には思う。
つまり今までのユートピア系の作品は結論として「社会の進歩は今日の人間の自由や尊厳といったものを否定し、不自由で虚無的なむしろ精神衛生上不幸な生活をもたらすだろう」というものがあったのだけど、それを逆転させてしまうのだ。
我々は社会を進歩させることができた。しかし一方で精神は原始的なままなので、社会と精神の間で軋轢がある。なら解決策は精神を社会に適応させてしまうことだ、と。

ただこれはそういう逆転として見た場合に面白いのであって、やること自体はある意味人類補完計画とかの使い古しとさして代わりないのと、その解決策として言明される「意識の消失」がやや突拍子もなく非科学的な上、どういうことになるのかが投げっぱなしなので残念。(多分現状のロボット的脳だと意識と同等に柔軟性のある処理を行うことは不可能だし、「我思う」を都合よく取り去って柔軟な思考の余地を残したりするのは不可能な気がする。)

もう一つのこの作品の面白いアイディアは「健康は尊い」という思想がその他の政治思想宗教を超えて巨大な権力を持つだろうという考え。
今の時勢だとデリケートだがホットなテーマである。

投稿 : 2021/12/15
閲覧 : 234
サンキュー:

3

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

CGを使ったグロ映像が際立っている。

近未来のディストピアSF、健康第一に基づいて構成される世界観は緻密で丁寧に描かれていたように思える。
ただこの作品の場合中盤のグロ映像の方ばかりが記憶に残ったという難点はある。CG映像だからだろうね。無機質なんだけどグロすぎた。
キャラはミアハが魅力的だった。終盤の対話シーンで犯されたことを比喩的表現で話していたところとかはうわっとなりましたね。
最終的には世界というか意識が終わった、ということで良いのだろうか。真っ白な空間が生まれて終わったけど元々何もなかった、という様にも受け取れる。
自分はこの作者の作品では虐殺器官の方が好きかな、結末がハッキリしていたし。終盤までの展開もあちらの方が上手く悲劇を描けていたと思ってる。

投稿 : 2020/11/09
閲覧 : 391
ネタバレ

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

強いて言えば雰囲気アニメ

絵も綺麗、音楽も綺麗。
キャラやストーリーは中二というより、もうちょっと上の年齢層が拗らせると好きなタイプ。

ストーリー性は存在するけど、余りにマクロ的な事について限定で語っているので個人が考えさせられるような話でもないと思った。
その為一見小難しい話に見えるが、ちゃんと見なくても言おうとしてる事はなんとなくわかるし、しっかり見てもそんなに深い事も話してる訳でも無いかなという感じ。
飽くまで物語上のエッセンスとして添えられているだけ。

真に着目するべき点って、みんなが言う小難しいエッセンスの話ではなくて、主人公とヒロインの恋物語についてなんじゃないかな?って俺は思った。

原作は知らないけど、この映画はその土台でこっちをメインに作ってるんじゃないかな。
実際レビュー見てても、話をちゃんと理解しちゃってる人の方が不満多いし、つまりそれは多分楽しみ方が違うんだと思った。

だから、恐らく製作者の真意的にはただの恋愛アニメ。
余りに深く考えてしまった人には期待したニーズが存在しないクソアニメ。

ただそれについて漠然と考えてくれる視聴者が多い以上、雰囲気アニメとしての需要なのかなって。

投稿 : 2020/03/23
閲覧 : 326
サンキュー:

1

ネタバレ

TaroTanaka さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

SF小説のアニメ化の成功作

カメラワーク及びエンディングが秀逸。
SF的ディテールを詳細に描写した人類補完計画みたいな感じ。

投稿 : 2018/11/03
閲覧 : 333
サンキュー:

2

ネタバレ

たいにーぱんくす さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

寝れる

不完全燃焼、沢城ファンの為のアニメ

投稿 : 2018/09/19
閲覧 : 217
サンキュー:

0

ネタバレ

jack さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ズバリ、雰囲気アニメ☆3

u-nextで視聴
ミァハの重要性がよくわからない
そこまで重要ならなぜ組織は彼女を逃がしてしまったのか
最後主人公がミアハを殺した意味
主人公が好きだったミアハのままが良い、という意味は
物語の根幹を担う部分を不透明なまま終わらせる必要性

率直に言うと映画としては不完全だと思う
でも退屈で見れないというわけでもなかった

投稿 : 2018/07/03
閲覧 : 309
サンキュー:

0

ネタバレ

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

絶対いるよね?

ミァハがレイプされたって言うシーンでオッ勃った奴、仲間だ

投稿 : 2017/11/12
閲覧 : 304
サンキュー:

0

ネタバレ

ともゆき! さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人と人が繋がりすぎた世界。

誰かに管理された世界。
繋がりすぎた世界。
孤独に慣れない世界。

自分は自分、自分で善悪を決められない世界。

汚いものは見ないで。誰かが作った正義、善だけを見て生きていける世界。
それって幸せなのだろうか。

生きるということは難しいし、自分の目的、目標を見つけることも難しい。
うまくいかないことばかりそれが現実。
生きるというのは辛いこと、難しい事。

でもその難しい現実を生きるということが生きるということなのだろう。


誰もが同じ、誰もが同じ善を持ち、同じ方向を進む。それってとても気持ち悪ことなんだと感じた。

悩むことそして自分の正義を見つけることそれが生きるということなのだろう。

投稿 : 2017/10/26
閲覧 : 241
サンキュー:

5

ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

あなた方は、ほどほどということを知らない

原作未読。原作は未読だが、原作者の息遣いと言葉の重みを感じさせる。同じノイタミナということもあってか、全体的な雰囲気が「PSYCHO-PASS サイコパス」と似ている印象。

作品全体の感想は複雑で難解かつグロテスク、そして同時に強いメッセージ性を持った独特の作品。非常に負荷の高い作品で見る人を選び、決して気持ちのいい余韻を残す物語ではない。しかし作品の中に散りばめられた言葉の数々が各々の信念を持ち、言葉を具現化する力強さをもった魅力的な作品でもある。
タイトルが「harmony」ではなく、「<harmony/> 」であることが作品の最後になって明らかになるわけだが、原作未読者にとっては少々解釈が難しい表現構成ではあった。ただその意味がわかった時の感動は衝撃だった。

この作品の中心人物、ミァハ。彼女がこの作品の大きな提言の象徴としての存在であり、また評価の別れるキャラクターでもある。彼女が壮絶な経験を強いられた野蛮で悲惨な外の世界の現実、過度な健康や幸福を押し付けるあまり、かえって息苦しさを感じる中の世界の実情。そんな世界でミァハが全ての人間を一つの個として意識の限界を超え、ハーモニーの世界へと導くという思想は全てではないが個人的に理解できた。とはいえそれは彼女の自己中心的な思想の押し付けでもあるとも捉えられるし、極端な思想であったことも否定できない。誰よりも純粋であったミィハ、誰よりも狂っていたミィハ、彼女をどう評価するかがこの作品全体の評価に繋がると思う。個人的にはミィアの存在や思想はとても興味的で、好意的に受け止めた。

近未来の舞台設定でありながら、現代の豊かであるとされる社会への問題提起や警鐘という意味合いも含んだ、非常に考えさせられる一作。現代社会でも私たちの身の回りにある必要過多のモノやサービスが、かえって私たち人間としての本質的な何かをを押し潰しているのではないか、とふと感じることがある。それを思い出させてくれたのが本作なのかもしれない。

作品の最も印象的なセリフとして、砂漠の民・アサフ
「あなた方は、ほどほどということを知らない」
という言葉が妙に心に染みわたる。

投稿 : 2017/05/09
閲覧 : 419
サンキュー:

9

ネタバレ

はる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

理解力を問われるかも?

少し内容が難しかったかな。登場人物の発する言葉の意味とかその人の心情とかを捉えるのが難しかった。他の人の感想読んでなんとなくだけどこの作品を理解できた気がする。最後に座ってたのはキアンかな?

投稿 : 2016/05/24
閲覧 : 227
サンキュー:

0

ネタバレ

CountZero さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

メディアと、わたしの、ふたりっきり。孤独の持久力。

さてと。
ようやく観終わりました。
ゼロ年代最高と名高いSF作家伊藤計劃さんの長編が原作です。
原作が大好きな作品なので、とても期待していました。

見終わって、ほぼ原作通りに台詞回しや、独白がなされていたので、全編を通して説明臭さが人によっては疲れてしまったかもしれません。
しかしそれでも残念ながら、「虐殺器官」とセットで対になっている作品なので、「ハーモニー」だけでは世界観の全体を掴むのはなかなか難しくなってしまったとも思いました。
観るなら「虐殺器官」を見てから「ハーモニー」を見るのがやっぱりいいです。
もちろん「虐殺器官」が完成すればなんですけれども。

伊藤計劃さんの文章で描かれる窒息しそうなくらいの息苦しさは、アニメーションではあまり感じることができず、ホラーでグロテスクな描写もただの大量出血になってしまっていたのは残念でした。
あと最も残念だったのは、ラストかな。
{netabare} トァンがミァハを愛して求めていたのは間違い無いけれど、原作で描かれているようにトァンのセリフが無いと彼女の行動の理由が最後の最後で、ブレてしまうというか不明瞭で弱くなってしまいました。
あれではただただ、ミァハのわがままに、世界が巻き込まれてしまったかのようでした。
もちろんある意味ではそうなんですけれど…。{/netabare}

アニメとしての出来は悪くなかったですが、原作が近年稀に見る傑作だっただけに、映画には少しがっかりしてしまいました。
沢城みゆきさんの声を堪能できたのは、大満足です。
ミァハ役の上田麗奈さんも、彼女の不思議な感じがよく出ていてよかったです。
ラストのegoistはベストマッチですね!
なので、アニメ映画としては個人的には及第点をあげたかったんですが、やはり原作改変しているところがどうしても気になってしまったので、消化不良で残念でした。
あとは、他の二作に期待します。
特に「虐殺器官」!

投稿 : 2016/04/05
閲覧 : 447
サンキュー:

34

ネタバレ

移リ木うらら さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ある種の極論

究極の自暴自棄の話だなぁと思いました。
平和なのも嫌だし、戦争がある世も嫌だし、その間。今みたいな世界も嫌だ。
みたいな。

子供として描かれたミアハが本当に子供らしいというか、
世を憎む子供の思想を正しく描けていて、それを突き詰めるとこんな作品が出来上がるんだなぁと感激しました。

確かに、無力感の先は破壊ですもんね。無。

絶好調の時は忘れがちですけど、どうしようもないと思った時はこういう思考にもなるなぁということを作品として焼き付けてくれる作品。
なので、なんとなくで過ぎ去らせずに済むっていう点では良いのかも。

ただ、観ていて面白い!!スッキリ!!とかは無いですね。
最後の決断と同じように 無力感 で満たされます。

これをみた人が世界がこんなものだと思わないと良いなって思いました(笑
これはあくまで物語で世界が自分にとってどんなものかを決めるかはやはり本人ですからね。作中に登場するキャラクター達も自分がどうあるかを決めていますし。結果だけを見て落胆しないでと言っておきたくなりました。

それにしても、EDとっても良いですね!
こういう物語ですぅと出されてこの歌詞出てくるってすごくないですか?
なんかオペラみたいなので終わるの?怖い!!と思ったらEGOISTの歌流れたので良かったです。

投稿 : 2016/04/03
閲覧 : 374
サンキュー:

9

ネタバレ

marogem さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

未来について考えさせられる映画

3DCGだけどほぼアクションは無し。
おそらくシンギュラリティ後の超管理社会が舞台で色々考えさせられるます。
割と過激な描写もありますが観てよかった!

投稿 : 2015/12/14
閲覧 : 252
サンキュー:

0

ネタバレ

かかのん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 2.0 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

予算の足りない映画ほど惨めなモノはない

全編これキャラのセリフ、モノローグ、会話とドラマCDかと思うほど!

因みに原作は読了済みで好きな作品なのですが…

とにかくキャラのバストアップが多く又意図の薄いカメラワークが多いです
なので映画館でみると睡くなるか非常に見づらい映画になっています。

最初のCGを使うシーケンスに意図も意味も感じないのは私の気のせいでしょうか?

ラストシーンの改変にも意味も意図も感じられないのはどうかと?
トアンとミァハ無意味な同性愛表現に増加にも閉口しました

確かにトアンは葛藤しつつミァハを殺害するのだけれどミァハの行動には明らかに「NO!」を突き付けにチェチェンに行き最初から殺すつもりだったのは原作からは読み取れるはずなんですが…この改変には「NO!」ですねw

兎に角映像が整理されてなくてとっちらかっていて映画の体をなしていません!劇場レベルのアニメなのに所々で作画崩壊してるし…最早失笑の域です。

比較的原作に忠実なのでそこは+で物語の評価2.0にしましたが。

予算と時間が無い&演出が原作を読み解けていない映画でした。

投稿 : 2015/12/10
閲覧 : 267
サンキュー:

5

ネタバレ

zu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一人一殺

21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。
医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する"ユートピア"。
そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した――

それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはすの少女の影を見る――
『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。日本SF大賞受賞作。(ハヤカワ文庫JA 商品詳細より)

フジテレビ「ノイタミナムービー」「Project Itoh」の一環として2015年11月13日に公開された。「ハーモニー」

この「Project Itoh」「虐殺器官 ,ハーモニー,屍者の帝国」の3作品とも「redjuice」さんのキャラクター原案だったし、この「ハーモニー」は近未来SFという、自分が好きな要素が多かったので、公開されて直ぐ観に行き、これは面白いなと原作を読んでからもう一度観てきました。個人的には「屍者の帝国」より「ハーモニー」の方が好みだった。

特に上田麗奈さんが演じていた「御冷 ミァハ」(みひえ ミァハ)のキャラデザ(ギルクラのいのりをちょっとキツめにした感じ)も好きなタイプで印象的だった。

自分の中では、上田麗奈さんって「てさぐれ!部活もの」園田 萌舞子(そのた もぶこ)のモブキャライメージが強かったんですが、この作品の中心人物のミァハ役では、「私と一緒に死ぬ気ある?キリエ トァンさん」などのセリフひとつでも、イントネーションとかの演技がとても印象的でかなり好印象だったし(原作を読んでいる時も完全に上田麗奈さんの声で脳内再生していた)とてもいいキャラだった!


そして、原作を読んで観てみるとかなり原作に忠実な作品の作りになってましたが、原作の方では登場人物の思想や言葉、感情を示す架空のマークアップ言語「etml」がかなり使われているのに対して、映画の方では、殆ど省略されているので、原作を知らないと??なると思います。(一回目の自分がそうでしたw)

それと、終盤にミァハに会いにいく時にトァンが言った「ここから先は、プライベートだから」のセリフも管理されたこの作品の世界では、プライベートとは、ほとんどセックス系の事を表しているというのもちょっとおもしろかった。

原作と映画の最後の結末は同じだったけど、トァンのミァハに対しての気持ち(意識)が復讐と愛の違いがあったが、原作のトァンとミャハの最後の描写は入れてもらいたかったなぁ!

完璧に管理され、病気や犯罪が無くなった(ただ。医療合意共同体を拒む人達との戦闘はあるんだけど)近未来SFの世界(この作品の場合は生府「ヴァイガメント」医療合意共同体)でしたが、これをシビュラシステムに置き換えると、物語の内容もサイコパスにかなり近いなぁというか本作をお手本にしたんだろうと思いました。

特にトァンの上司「オスカー・シュタウフェンベルク」(螺旋監察官を統括している首席監察官)がサイコパスの禾生(かせい)公安局局長の榊原良子さんがやっていたからなぁ…w

原作の最後のページに

「感謝を捧げます― 私の困難な時にあってささえてくれた両親、叔父母に。」

で終わっているので、著者の伊藤計劃さんは病気により自身の寿命があと少しだというのがわかっていて、病院の中で書き上げた「ハーモニー」という作品の中にこんな未来が来ればいいなと思ったのではないのかと感じたし、自分はこの作品に出会えたことがとても良かった。(出来れば「虐殺器官」の方から観たかったんですが仕方がよなぁ…)

あと、この作品には数は少ないですが、かなりグロい描写があるので耐性がない方は注意が必要だと思います…

タイトルの「一人一殺」とは、物語の中でのミァハの宣言によるキーワードになってます。

ちなみに入場者特典のしおりは2枚ともミャハでした。
「屍者の帝国」と同じく裏面のQRコードで声優さんが朗読してくれます


Project Ito展が秋葉のアニメーションセンターでやっていたのを知ったのが、終了日の夕方で見に行けなかったのは、とても残念だったな(泣)

イントロダクション
夭折の作家、伊藤計劃-
僕達は、彼が計劃した世界を生きる。
伊藤計劃(1974-2009)は2つのオリジナル長編小説『虐殺器官』『ハーモニー』を遺し、34歳の若さで病没した。冒頭30枚だけが遺された『屍者の帝国』は、盟友・円城塔によって書き継がれることになる。
自らの命が終わる予感の中で、伊藤計劃が見た風景、遺した物語とは。
彼は人間や世界に対する「絶望」と「希望」を物語に封じ込めた。
それは、今を生き続けるものに対して、強烈に「未来」を問いかけている。
彼は、「伊藤計劃」という自らの名前を決めたときから、自分自身の作家としての生涯を「計劃」していたのかもしれない。彼の死後、それは「物語」として我々を揺さぶる。
〈計劃―Project-〉は止まらない。(Project Ito展サイトより)

投稿 : 2015/11/29
閲覧 : 434
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46

ネタバレ

NBT さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 1.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

映像クオリティが低すぎる……

※原作と劇場版、両方のネタバレをかなり含むのでご注意を。


原作はかなり好きだったので期待して見に行ったが、全体を通して原作の魅力を引き出せていないように感じた。

■映像について
まず何と言っても映像のクオリティが酷い。
2D絵は問題なく綺麗なのだが、時折挟まれる3Dが酷い。
3Dのモデリングは、正直テレビ版のシ○ニアやア○ペジオ以下だと思う。
戦闘など動きのある部分に使用するのは分かるが、予算の節約のためか、動きの少ないシーンでも低クオリティの3Dを多用していて萎えた。綺麗な2D絵と交互に映るもんだから余計にそう感じたのかも。

まぁまだそこだけなら我慢できるのだが、オーグ会議(電脳会議みたいなもの)のクオリティが酷すぎる。冗談抜きでプレーステーション1レベル、良く言ってもPS2初期のポリゴン。
ラスト前の老人達の巨大な顔が出てくる演出も、PS1時代のゲームを彷彿とさせるようなもので、ここでかなり興を削がれた。正直劇場アニメの映像クオリティじゃない。

また、会話中心の物語なので仕方がない気もするのだが、会話中に同じカットを繰り返し映したり風景を延々と映しているのは、リソースの節約にしても酷いと思った。
会話中に映すものが無いのなら、せっかくの近未来SF世界だし、『気持ち悪いほど人を思いやる世界』なのだから、そういった場面を映せばいいのになぁと思った。
例えば原作に出てきたグニャグニャのジャングルジムとか。


■内容について
内容は割と原作通りなのだが、大事な部分が省略されすぎていると感じた。
時間の都合上ある程度省略するのは仕方が無いが、中途半端に原作に忠実に描写するもんだから、おそらく初見の人は??????ってなるだろう。

まずETML。
ラストにETMLの説明をしないのなら、なぜ中途半端に出したのか。
最初と最後に出てきた墓石のようなものは、恐らくトァンの記憶をETMLで体験する装置なのだろうが、ETMLの説明がないから全く訳がわからん。
他にも、キアン視点の映像でやたらカプレーゼを映している割にその伏線を回収していない等、無駄な描写が多すぎる。
あと脳の報酬系の話はかなり複雑なので、淡々とセリフで説明するのは厳しいんじゃないか。そこらへんは変に原作に忠実にせず、上手く改変すればいいのになぁと思った。

そして内容に関しての一番の問題点は、キャラの魅力を引き出せていないこと。
まずミァハだが、原作ではトァンの回想でミステリアスな魅力が引き出されていたのだが、劇場版ではただの中二病のイタイ奴にしか見えなかった。
ミァハの代名詞とも言える、『って知ってる……』をなぜ一度しか使わなかったのか理解できない。
ただ、原作ラストのタップダンスをうまく改変したのは良かった。原作ではタンタンひゅーひゅーって何度も出てきて急にチープに思えたので。

キアン関連も酷いものだった。
{netabare}
あの昼食会にて、トァンはキアンの本当の強さを知り、自分はなんて愚かだったんだ、逆にキアンはなんて大人だったんだ、ということに気づいた直後にキアンが死ぬという過程を経ているので、たったそれだけのシーンでキアンの魅力を引き出せていたのに。
映画版では、トァンのリアクションがまるで愚痴を聞くカウンセラーのような感じだったので、キアンとトァンの絆も描写できていなかったし、キアンの魅力も引き出せていなかった。
{/netabare}
原作では、ごめんねミァハ、というセリフを見ただけで目頭が熱くなったものだが、キアンの魅力が削がれたことと連動してこのセリフの魅力も半減したように感じる。
個人的には原作で一番好きなシーンだっただけにもの凄く残念。


ラストは原作から大きく改変されていて、結構不評なようだが、個人的には劇場版のラストはアリだと思った。
{netabare}
確か原作ではキアンと父親の復讐のためにミァハを殺したが、上述したように劇場版ではキアンの魅力もキアンとトァンの絆も表現できていなかったために、もし原作通りなら『はぁ? 今更復讐? 何言ってんだ?』となったと思う。
劇場版は全体を通して百合成分が多かったので、トァンの個人的な私情で殺すという展開のほうが個人的にはしっくりくると思った。
{/netabare}



けっこう内容に関してボロクソ書いたが、全体を見れば上手く原作を纏めたなぁという感想。しかし、いかんせん映像クオリティの低さが足を引っ張って内容に没頭できなかったので、総括としてはかなり残念な出来だった。

こんな出来なら、あと数ヶ月公開を遅らせてでももっとクオリティ上げて欲しかった。
原作が大好きだし、かなり期待していただけに本当に残念。

投稿 : 2015/11/16
閲覧 : 260
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6

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

近未来SFと耽美的少女愛

 現在、公開中の作品なので詳細は書きません。

 原作は未読。
 原作者の伊藤 計劃氏の作品はいずれも未読だが、前アニメ作品の「屍者の帝国」(共著だが)が
19世紀を舞台にしたスチームパンク的雰囲気が漂うものだったのに対して、本作は近未来SFと
かなり雰囲気が異なる。
 原作未読ゆえに、現代から作品舞台の時代に至るまでの歴史的変遷から推察して、近未来と
書いてしまったが、都市部の建造物、主人公である霧慧 トァンの搭乗する飛行体などは
近未来と言うより、もっと先の未来といった印象。この辺のデザインはなかなか目を楽しませて
くれる。
 雰囲気、時代設定こそ「屍者の帝国」とは異なるが、いずれも意識と体の問題を扱っており、
この辺が伊藤氏の共通するテーマなのかな、と思ったり。

 ストーリーはトァンを通じて、自ら命を絶った友人の御冷 ミァハを巡る過去と、同時多発
自殺事件が起きる現在が交差するように描かれ、この事件を追っていくトァンの前にこの2つの
関連性が明らかにになっていくという、ミステリータッチのサスペンスもので、この辺の展開は
なかなか魅せてくれる。
 ただトァンの捜査は特に困難もなく、順調に進んでしまうし、全体的空気感も淡々と
しているため、躍動感溢れるサスペンスを期待すると肩すかしを食らうかも。
 このトァンとミァハの関係性はなかなかエロティシズム溢れるもので、百合と言えばそうなの
だが、既出作品では少女が少女まま死を選択するような作品が幾つかあり、そういった作品の
耽美的要素も感じられるので、個人的には少女愛と呼びたいかな。

 ディストピアものの要素もあるが、その管理社会からの解放の先にあるものは。。。
 この結末はかなり怖いが、言葉通りのハッピーエンドではある。かなり皮肉が入ったものでは
あるけど。
 
 映像的印象は「赤」が目に付く。
 これはトァンの監察官としての制服であるマント OR コート?が赤であることも大きく、更に
血の印象。
 この作品とにかく血の描写が多く、それが生々しい感じで、グロ描写が苦手な人は避けた方が
いいかも。

 キャスト的にはトァン役の沢城 みゆき氏の演技が良かった。

投稿 : 2015/11/15
閲覧 : 256
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7

ネタバレ

arias さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

キアンの前でレズるのはやめなさい(自分用メモです)

SF/サイコレズ/PG-12(ショッキングなシーンあり)/原作小説
11月15日Movix仙台にて


<harmony/>


霧慧 トァン:沢城みゆき
御冷 ミァハ:上田麗奈
零下堂 キアン:洲崎綾



虐殺器官の会社のマングローブが倒産したため急遽2015年11月13日公開になった作品

システムに管理された近未来を舞台にある人物が反旗を翻そうとする、といった作品。
さまざまな自殺シーンがあるためその点注意が必要ですね。
内蔵が見えたり、実写映画『パニック』ほど奇抜な死に方はありませんが血は出るのでうわっとはなります。さすがPG12

あとレズいシーンが盛りだくさんです。ネタバレになるのであまり言いませんが

映像自体はまあまあだった。CGで作ったシーンがちょっと怪しいとこありましたね。
会社も違うし屍者の帝国と比べるのもなんですが、映像美というところでは屍者の帝国のほうが良いかと

あとこれはあえて何でしょうが日本国の建築造形がキモすぎる。
システムで管理されてようがこんな生物の内蔵をでかくしたみたいなピンク色の建築物しかなかったら絶対心病むよ!
未来の日本人のセンスヤバすぎる

声ではミァハが良かったですね!役柄にピッタリだったんでは?
上田麗奈という方らしいですがちょっと注目してみます。
声といえば大塚明夫目当てで鑑賞なさる方はちょっと後悔するかも。出番少ないので



ここから↓は思いっきりネタバレですので注意してください


最後のシーン。
チェチェンで引き金を引いたトァンはあの後自殺したんじゃないかなと。
たとえプログラムが作動していない結末があったとしても、彼女は合理的に迷いなく自殺の道を選んだんじゃないかな。
あのシーンにも現れるけどなんだかんだ今も「あの」ミァハを愛していたわけだしね。

しかし引き金を引くという選択よりもその直前のトァンの発言には驚きました。それほどトァンはミァハの事を想っていたんですね。
成長後のトァンはミァハの髪型を真似たり知識を蓄えたりとそういった節はあったんですが、それでもあの展開には「えっ」となりました。
レズ怖いですね(違う)

そんなレズ共と何故か一緒にツルンでたキアンちゃん。
目の前でチュー見せつけられるし一緒に死のうとか言われるし13年後にはトァンにガッカリされてるし速攻で『殺される』し……
キアンの扱いがあんまりだぁ。

来場特典はキアンの栞だったのでせめて私の手でだけでも大切に扱ってあげよう。そう思わせられた、アニメーション映画<harmony/>でした


おわり

投稿 : 2015/11/15
閲覧 : 284
サンキュー:

7

ネタバレ

織田信長 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

百合かな?

原作未読。

公開初日に見てきました♪
平日だから、そんなに客が入っていなくてよかったです。

さて、ストーリーですが2019年アメリカで発生した暴動をきっかけに全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延した大災禍(ザ・メイルストロム)
によって従来の政府は崩壊し、医療経済社会へと変わっていったのである。
この社会では、極端な健康、幸福、調和の思想の社会へとなっていったのである。それから13年後の世界に螺旋監察事務局の上級監察官として活動していたトァンは、ニジェールの戦場で生府が禁止する飲酒・喫煙を行っていたことが露見し日本に送還されてしまう所から物語は動き始めます。


さて感想ですが、
はっきりいうと屍者の帝国よりはお腹いっぱいにならなかったです。
まあ、将来人間の健康状態を監視するシステムがあった場合こういうことが起こるんだろうなってのはすごく思いました。
また、予想だにしていなかった百合の雰囲気がどうも受け入れられなかったです。
{netabare}
てか、「キアン死ぬの早くない?」って思いましたw
私は、てっきり3人を中心に話が進むのかなって思っていましたが
トァン、ミァハを中心にした百合百合物語でした。
あと、終わり方も「えっ。。。。」って感じでしたね。
{/netabare}
しかし、トァン役の沢城みゆきさんはメッチャクチャはまってましたね。彼女以外にトァン役適任者はいないでしょう。


他の方も書いていましたが、これ全年齢対象でいいのかな? 笑

投稿 : 2015/11/15
閲覧 : 246
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11

プティ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/18
閲覧 : 4

okiku さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/04
閲覧 : 6

mfqSQ44309 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/04/12
閲覧 : 38

いさ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/03/17
閲覧 : 12

FJSDR37436 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 2.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/12/21
閲覧 : 11

こはく さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/06/13
閲覧 : 14

しらす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/26
閲覧 : 20

nana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/07
閲覧 : 57

プーチン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:----

投稿 : 2022/02/18
閲覧 : 19

publica さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/02/17
閲覧 : 20
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<harmony/>のストーリー・あらすじ

優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?(アニメ映画『<harmony/>』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2015年11月13日
制作会社
STUDIO4℃
公式サイト
project-itoh.com/
主題歌
《主題歌》EGOIST『Ghost of a smile』

声優・キャラクター

沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

スタッフ

原作:伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫JA)、キャラクター原案:redjuice
監督:なかむらたかし/マイケル・アリアス、脚本:山本幸治、キャラクターデザイン・総作画監督:田中孝弘、作画監督:竹内一義、メカデザイン・エフェクト作画監督:渡辺浩二、色彩設計:成毛久美子、美術監督:新林希文/狹田修、編集:重村建吾、音楽:池頼広、録音演出:名倉靖、音響デザイン:笠松広司

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