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「<harmony/>(アニメ映画)」

総合得点
65.2
感想・評価
272
棚に入れた
1418
ランキング
3443
★★★★☆ 3.7 (272)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.6

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<harmony/>の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

何が人を変えるのか

美しくて、醜くて、とても難しい作品でした。(原作は未読)

いつもなら初見は一気見するのですが、今回は途中からシナリオが追えなくなり、REVボタンを押してはまた再生するという、私的には久しぶりの視聴パターンになりました。

正味2時間の作品にそれなりの時間をかけたので、観終わったとき、ようやくか・・という安堵の気持ちと、作品の持つ訴求性にたじたじになりました。
環境と立場のあまりの隔たりに、心を深く抉られた感じでした。

それは、つまらないとか、見るんじゃなかったとかの負の感情ではなくて、骨太の世界観と、複雑なキャラの心理設定に心が涙したという共感性であり、こんな作品が世の中にあったのかという驚きが近いように思います。

全体像としては、優しさのひとかけらもない世界。
そんな印象を持ちました。
私は、終始傍観者の立場に縛られ、当てるべき焦点も見つけられず、どうにも収まりのつかない心苦しさに悶々とする思いに耽っていました。

これは劇場で観るべき作品だったのかもという考えと、むしろレンタルで良かったという気分に分かれました。
思考回路のそれは、相反しながらも混じりあうもので、作品への評価の落としどころをしばらく探す羽目になりました。



世界観の設定は、緻密に構成され、反論を許さない説得力があります。

物語の初発は2019年と設定されています。
あるアクシデント(大災禍=ザ・メイルストロム)からパンデミックが発生し、世界が崩壊しかけ、その半世紀後からが物語の本流です。

奇しくも、かの国にコロナが発生したのも2019年(12月)。
ピタリと一致するこの符合にほんとうに驚きました。
なぜなら、原作は2008年の刊行、映像化は2015年なのですから。

世界は今も、その高いツケを支払わされています。
それぞれの陣営は、望ましいハーモニーを求めて右往左往し、喧々諤々としています。
これらを意図する者たちは、いったい人間をどこへ向かわせようと考えているのでしょう。



本作では、病気にならないこと、健康であることが、幸福を享受する唯一無二の価値(ハーモニー・プログラム)と位置づけられています。
そのために人々は、二次成長期が終わるとナノマシン(= WatchMe)を体内に注入し、自分の肉体と意識の安寧を、生府(パンデミック生存者?)に委ねています。

その技術と性能は、理解を超えて驚異的ですらあります。(重要な伏線)
おそらくはパンデミックへの恐怖と教訓から、人類存続のための決定打、最適解として採用・運用されているのでしょう。

わが国も、個人情報の一元的な管理(まずはマイナカードから)が始まろうとしています。
行政システムの簡便化(本末転倒?)はもちろん、接触頻度の低減(知らぬが仏?)、利用者サービス(海老で鯛を釣る?)、紛失回避の2枚持ち(月夜に提灯?)など、もはや何のための利便性なのか、損得を超えて善し悪しがわからない仕組みに感じます。

いずれせよ国家権力に個人情報の根幹を献上するわけですので、ハッキングや漏洩などの恣意的なリスクを考えると、不安を断ち切ることは容易ではありません。
ですが、本作のコンセプトは、それ以上のアクティブセーフティーを保証するものとしてのナノマシンの体内直注という荒ワザ。

言うなれば、それは血液のサイボーグ化、遺伝情報のマルチリンク化なのですから、マイナカードなど微笑ましいレベル、可愛らしいソーシャライゼイション(社会化)なのだろうと思います。



話が横道にそれました。

0歳からの健康寿命が、24時間365日、管理され続けるという社会体制=思想と倫理。
そのシステムをテロリストがハッキングし、殺生与奪権を強奪、生死活殺を自在に操ることで社会転覆を狙うという大局観に迫るシナリオです。

ハーモニー・プログラムを暴走させ、プライバシーを人間のDNAに取り戻すことは、いったい善か悪か。
しかし、万一パンデミックが再来すれば、人類は朝露の如く消えるか、廃墟に身を寄せる弱者になりかねません。

思春期特有の共感性に生じる語感の心地よさとは真逆の、思春期ならではの反語的テーマがそこには隠されてあるような気がします。
果たして健康への必要なコストとは何か、生き方を自由に選択するリスクとは何か。
主人公たちは何に抗い、対立しあい、どんな最適解を視聴者に示そうとするのか。

生命哲学と社会倫理の調和の難しさを、局地戦で真を問うのが本作のドラマのようです。
答えの出しようのない答えを求められる・・・、そんな圧力にえぐられては、脳神経が激しく揺さぶられる思いになりました。



パンデミックから約半世紀後(2062年頃)、仲良し3人組の女子高生のトァン(主人公)、ミァハ(キーパーソン)、キアン(共通の友人)が、そのとき何を考え、選択したのかが物語のスタートです。
そしてその13年後(2075年頃)、成人した彼女らが、過去をどう評価し、未来にどう生きるかという筋立てでリスタートします。

友情物語の陰で、言わばパンデミックによる世界の分断と、その対処としての社会思想の分岐点が少しづつ示されます。
それは、まったく悍ましいほどの情念をからめながら、凄まじい世界線が一気呵成のスピードで開示されていくのです。

ユートピアとディストピアの狭間で、お互いのアイデンティティをぶつけ合うトァンとミァハ。
キアンはその亀裂に落とし込まれ、 {netabare} 自らの手で(しかし意思は生きようとしながら)命を落とします。 {/netabare}

かつて胸襟を開きあった3人組が、監察官、唱導者、犠牲者という立ち位置に分かれてしまう道理と不条理。
美しくあるはずの友情と信頼は、生き方の両極地で牙を剥きあい、命の存在価値を削りあうのです。



すこぶるハードSFです。
盛り込まれているテーマは、個人と社会の相関性、自由と規律のバランス、生きることの希望と憎悪など、とにかく一つ一つが重いです。

パンデミックの教訓は、パンデミックを二度と起こさないこと。
強力なそのバイアスが、命と肉体はもとより、意思そのものの自己所有感すら社会へと外化させる。
それは新手の思想統制であり、一種の優生思想であり、宗教に似た選民思想に感じます。

その片隅で、高校生のミァハとトァンとキアンは、 {netabare} 集団自決 {/netabare} という手段で自由への脱出を試みます。
その選択は、思春期に芽生える純粋思想を昇華させ、若々しい肉体を穢れなく保ち、最高の境地へと導く唯一のプランだったのです。

おそらく、それが彼女たちのハーモニーを約束するものだったのではないかと思います。

ただ、どうしてミァハがそこまでを求めるのか、彼女の動機が今一つ分かりませんでした。
ですが、最終盤になってそれが明かされたとき、彼女の深い悲しみと尽きぬ怒りとが私の胸を鋭く突いてきたのです。



そこには生命と自我への圧倒的な暴力と、ジェンダーへの無慈悲な凌辱があったのです。
彼女の魂を丸ごと破壊し支配するのが一つの世界なら、命をかけて復讐するミァハの気持ちもまた、"自明の世界" を取り戻そうとする彼女なりのハーモニーへの意志だと理解できなくもありません。

"自明" は重要なキーワードだと思います。
作品のなかでも説明されていますが、独自解釈として、私は「民族自決権」と捉えたいと思います。
それは、ソ連崩壊後、チェチェン共和国としての独立を、ロシアからも国際社会からも、その承認を得られなかった人たちの "生存する権利" のことです。

ロシアとチェチェンとの因縁と紛争は、16世紀半ばから今もなお継続しており、チェチェン紛争(1994~2009年)のみでも20万人以上の死傷者というデータもあります。
宗教的、地政学的、人権的に棄損され続け、世代を超えて苦しみを背負っているチェチェンの人たち。

こうした現代史をなぞりながら本作を俯瞰してみると、チェチェンに生まれたミァハの生い立ちやその背景が俄かに立ち上がってきます。
彼女の "意識" が、その場所で、その行為の中で生まれた原体験と、日本で感じ取ったハーモニー・プログラム下での追体験も。

彼女の思い、感情、意図は、同情もするし否定できるものではありません。
ですが、同時にそれはテロリストの理論であり、立場であり、方法論でもあります。
ミァハがキアンに為した行為も、しかし、トァンがミァハに為した行為も、是非もなく非難されるべきことと思うのです。

でも、それもまたそれぞれの価値観(宗教・国家・人権・生命倫理など)のハーモニーを天秤に掛けた結果だとしたら・・。
本作品が示そうとするテーマが、ここにあるように思います。



いたいけな少女たちは、いったい何にもてあそばれ、何に蹂躙されたのか。

友情を美しく信じるがゆえに同調と共鳴を求め、しかし、正義と善とを決する不協和がその道を分けてしまう・・。

自らの意志で自由に生きることの充実感と、他者によって無難に生かされることでの亡失感をモチーフにしながら、遠くに感じる国際情勢を身近に感じられる課題・問題としてのアプローチを落とし込んでいます。

生き方への調和性にまつわる少女たちの親和性と乖離性に、一分の慈悲も与えない作品。
それを、あえて<harmony/>と掲げることの重たさ・・。

久しぶりに、骨のある作品に出あいました。

投稿 : 2024/11/17
閲覧 : 55
サンキュー:

5

ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

感謝を捧げます――

多分もう4、5回は見てます。原作もその度に読み返している気がします。

一応時代設定としては「虐殺器官」の後の時代、なのですが、別に虐殺器官を知らなくても十分に楽しめます。なんなら虐殺器官要素が出てくるのは一瞬ですし、それも丁寧に説明されますので、知らない方でも安心して楽しめます

原作既読済みです。
ゼロ年代SFの歴史を変えたとまで言われる虐殺器官の作者である伊藤計劃先生の2作目、ということで注目もされていましたが、伊藤計劃先生の遺作(屍者の帝国の方を遺作と呼ぶのかは人によりますが)、ということでも注目を浴びた本作。読まないはずもなく。
「アイデンティティの自覚と喪失の発見の描写を具現的に表現しているのすっごいなぁ」と尊敬の眼差しを向けていたのを覚えています。

しかし、と言うべきなのか。
アニメ映画(本作)は小説とはかなり異なります。理由(私推測)はネタバレになるので言いません
起こっている事象は同じなのですが心情が違います。
これを是とするか非とするかで、伊藤計劃先生の真のファンか否かが決まってしまうのかもしれませんが、私は嫌いにはなれませんでした

原作の方が好きな方もいらっしゃるでしょうし、本作の方が好きな方もいらっしゃるでしょうし。見て見ないことには分からない、と言うしか無いです。

個人的には本作を含めて好きです。どちらが、という訳ではありません。が、本作は「完成」されている、と私は思います

主人公の声優はまさかの沢城みゆきさん。少し意外。しかし今となっては沢城みゆきさん以外に選択肢があったのか、と言うぐらいピッタリな役配分だったと思っています。首席は絶対榊原良子さんだと思ってました。榊原良子さんでした。ありがとうございます。開幕斧アツシさんで失神しかけました。声好きぃ

こっから大長文(当社比)です。原作既読前提で進めます
ストーリー
{netabare}
生命主義が基本概念となった社会の逃げ場としてエリートである螺旋監察官となった主人公(トァン)は上司に横領がバレ、日本に戻される。再開した友人(キァン)と食事をしていたが急に自殺。同時に6000人以上が自死を試みたという事件の捜査として心当たりのある場所へ行く。そこは13年前にキァンと3人で自殺を試みた主犯格兼イデオローグ(ミァハ)の家だった。母親から養子ということを聞き、キァンから献体に出されたということを聞いた主人公は父親(ヌァザ)の元教授(佐伯)のもとを訪れ意識について聞かされる。「1週間以内に殺人しなければ死ぬ」と宣言され、バグダッドの研究所の所長(ガブリエル)に意識操作の話を聞き、父親と接触する。その際主人公に接触してきた男(バシロフ)が父親を射殺し瀕死のバシロフを主人公が射殺。最後の手がかりを頼りにチェチェンへ向かい全ての元凶であるミァハと再開する。ミァハが元々意識を持っていなかったがロシア兵に犯され意識を持ったこと、人類を愛した故に人類を「救済」しようとしてること、世界に調和(ハーモニー)をもたらし意識を消そうとしてること、トァンならわかってくれること、全てを知った主人公はミァハを愛したが故にミァハを殺し、世界から意識が消えた。文字を映し出していた白いオブジェクトの前から学生が離れる。

なっが。いやごめんなさい。まじで好きなんです。どこも抜けない。原作とはちょこちょこ違いますが、原作とアニメを含めて愛してる。
なので、アニメ映画として、というより「Harmony/」というコンテンツを愛しています

原作との大きな相違点。感情が違う。
1番違うのは最後。小説では憎悪の感情が大きかったですが、本作では愛の感情が全てです。解釈、と呼べなくもないですが、これは個人的には監督が本作の主題を読み解き回答しようとした、だと思っています
意識や感情を無くそうとするミァハはトァンの感情によって殺されます。これが対比となり思想(感情)の矛盾や生命の意義の疑念を意味したりするのですが、恐らく監督はこの感情は憎悪であるべきでは無い、と考えたのでしょう。人を愛し人を慈しみ人を敬う社会を憎悪したミァハを殺すのは同じ憎悪でなく、同じ志を持つトァンという少女の愛であるべきだと。皮肉や風刺という意味も幾分かあるかもしれませんが、純粋に愛を知ったミァハの超個人的な傲慢な調和に対して、トァンの超個人的な傲慢な殺害がなんとも...美しいのです。もちろん復讐も個人的な欲です。が、「自分が愛した少女のままでいて欲しいから」という理由で愛した人を殺すのです。これ以上の傲慢があるでしょうか。
言語化しにくいです。
伊藤計劃先生は本作で「答えは出なかった」と言いました。答えのひとつとして本作は、監督は示したかったのではないでしょうか。

あとキァンの有無(というと大袈裟ですが)です。原作ではキァンとヌァザの復讐としてミァハに二発打ち込んでいます。しかし、正直2人でご飯すら食べた事のない友人を殺され、(生かしてくれた事を本気で感謝している友人であることには間違いないでしょうし、友人を殺したということに腹を立てるのは十分にわかるのですが、)脳内で何回も殺したいと思うほどですかね。私はどうにも「ミァハを止めたい」から行ったように思えるんですよね。

それにわざわざキァンだけをトァンの目の前で殺し、トァンを生かし「ここに来るならトァンだと思ったよ」と発言したのと、かつて同じ憎悪を共有してたのにも関わらずトァンの復讐の憎悪を予期・感じ取れなかったのとは辻褄が合わないような気がします。なのでトァンを生かし、何もかもを予期していたとしたら、ミァハもトァンに殺されたかったのではないかな、という私の推測。

これらを総合すると、ミァハはトァンに愛を持って殺されるために仕組んだのでは無いか、という私なりの解釈です。それをこの作品、監督、制作陣は映像化してくれました。伊藤計劃先生が許してくれるかどうか分かりませんが、私はHarmony/という作品は考えながら解釈を通してようやく「完成」すると思ってます。故に私は私の中の「完成品」をアニメ映画として見ることができて非常に嬉しいのです。

はい。これが終盤について。あとの違いはこの終盤への微調整と表現方法と尺関係ですかね

表現方法が当然ながらアニメと小説だと違います。
小説の方は感情を追体験できるテキスト、という感じで淡々としている印象ですが、アニメではその場面場面が鮮明に映像化されているため、出ている感情の印象が異なるというのが割と多々。キァンについて(は先程と繋がっていますが、 )キァンに対するイメージの過度な上昇を避けるために主人公が無感情、ヌァザの死やインターポールの殺害に対して感情を出しているようなカット、ガブリエルの口調が嫌味たらしく聞こえる、首席の激励時なにか後悔を感じる、などなど。
これこそ本当に解釈の域なので個人の持つ印象と違ったり同じだったりしますが、チリツモ。ちょくちょく違えば全然違うように受け取れるかも知れません。

恐らく表現方法の差ということでは本当のラスト。制服を着た学生が白いマシーンから離れるシーン。非常に神秘的かつ大胆なシーンですね。原作を読んでいれば、「なるほど。多分このマシーンはライブラリ的なものであり、ここは色々なデータが残っている場所なんだな」とわかるのでしょうが、これ初見じゃ絶対理解できないですよね。あと、まわりに全然人がいない、というのも意識がない人類の合理性が垣間見えて好きです。

映画見て「あれ!?キスしてたっけ!?」となって急いで原作確認したのは私だけじゃないはず。まぁラストが違うんでそりゃそうか、て感じですが。

ウーヴェが消されました。正確に言うと最初からいるのですが、原作の立場(ポジション)としては消されたと言って良いでしょう。泣きました。まぁ確かにラストを愛の話にするならウーヴェで共感性を得て人間意志を、自分自身を重視するひとつのきっかけとなるような場面は、いらないっちゃ要らないのかな。

公園でのジャングルジムの下り、結構世界観を説明するのに優秀なシーンだと思うんですけどね。なんか無慈悲に消されちゃった...
代わりに名刺が非常に重要視されましたね。まだプライベートが残ってた時代の自己を証明する手軽な社会的道具であった名刺。3人の思想を繋ぐ具体的象徴である名刺。ヌァザを殺したヴァシロフが持ち、愛用していた名刺。トァンとミァハの最後の出会いの合図となる名刺。世界観を説明するのには十分すぎる意味を持ってたような気がします。
名刺という一般的なものにここまで意味を持たせるのは素晴らしいというしかありません。
{/netabare}

お気に入りです。ですが、アニメ単体という訳ではなく、「ハーモニーというコンテンツ」がお気に入りなのであって原作未読者にいきなり本作(アニメ)をオススメしません。見るか迷っている方は是非原作を読んでから。

投稿 : 2023/06/11
閲覧 : 346
サンキュー:

7

れい78 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

理想とする国が再現されていた

優しい人しかいない優しい日本。
自分のした行いに対しつけられる点数、コンタクトにより身体に悪いものを接種したり、行うと出る警告画面、全てが見られデータ管理される日本。
犯罪者がいない真っさらな国。
そして最終的には自分の意識さえなくなるハーモニープログラム。

難しくて近未来なお話ですが、何故か現実味があってもしかしたらずっと先の未来では起こり得るような気がして見入ってしまいました。終わり方も私的にはとても良かったです。

投稿 : 2022/11/05
閲覧 : 90
サンキュー:

1

ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

意識はデッドメディアか

原作を少し前に読んでいたが、まあそこそこ、という感じの評価でこちらも同じ感じ。
原作と今作の違いとしては大方の展開は同じだが、微妙に力点の起き方とか、あと特に最後の展開が違っている。

個人的には中盤の博士との対話で「意識と肉体どちらがデッドメディアか」ということについての対話が省かれていることが残念だった。
地面に落ちたフロッピーディスクを見て、博士は「人間の身体もこのようなデッドメディアになるのかもしれない、意識をデジタル化して、コンピュータの中に居場所を移すのかも」というようなことを言う。
それに対してトァンは「人間が肉体の増殖と保存を求めて進化、繁栄してきたことを考えるなら、肉体が精神の入れ物なのではなく、精神は肉体の増殖のための手段だ。だからデッドメディアなのは肉体というより、精神なのではないか」というようなことを言う。
これがこの作品の作者の一番のアイディアをうまく言い得ている文だと個人的には思う。
つまり今までのユートピア系の作品は結論として「社会の進歩は今日の人間の自由や尊厳といったものを否定し、不自由で虚無的なむしろ精神衛生上不幸な生活をもたらすだろう」というものがあったのだけど、それを逆転させてしまうのだ。
我々は社会を進歩させることができた。しかし一方で精神は原始的なままなので、社会と精神の間で軋轢がある。なら解決策は精神を社会に適応させてしまうことだ、と。

ただこれはそういう逆転として見た場合に面白いのであって、やること自体はある意味人類補完計画とかの使い古しとさして代わりないのと、その解決策として言明される「意識の消失」がやや突拍子もなく非科学的な上、どういうことになるのかが投げっぱなしなので残念。(多分現状のロボット的脳だと意識と同等に柔軟性のある処理を行うことは不可能だし、「我思う」を都合よく取り去って柔軟な思考の余地を残したりするのは不可能な気がする。)

もう一つのこの作品の面白いアイディアは「健康は尊い」という思想がその他の政治思想宗教を超えて巨大な権力を持つだろうという考え。
今の時勢だとデリケートだがホットなテーマである。

投稿 : 2021/12/15
閲覧 : 233
サンキュー:

3

ネタバレ

ISSA さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

望まなかった貴方の自我と私の意識

フィクション作家、 伊藤計劃(いとう けいかく)さん原作のアニメ映画。
他作品の虐殺器官は視聴、屍者の帝国はHDDで冬眠中…

面白いのは面白い…ん~なんだろ、原作の力不足か?アニメとしての力不足なのか…
判るけど、何を伝えたいのかが理解しにくい。

もう少し最初に世界観の説明が欲しいし百合描写やグロ描写がしつこい気がします。

{netabare} ~あとラストの部分
イデオンエンドの落ちは良いとして、もう少し余韻が欲しい、最後主人公の心理描写が欲しい…
ED曲EGOISTさんの「Ghost of a smile」が浄化される感じが凄く良いのでもったいないEDだった。{/netabare}

主人公、意思の強い 霧慧 トァン(きりえ トァン)役を演じた沢城みゆきさん
主人公の友人で可愛さと狂気が同居する 御冷 ミァハ(みひえ ミァハ)役を演じた上田麗奈さん
お二人共に素晴らしい演技でした。

もったいないけど、視聴して損は無いアニメ映画だった思います。

投稿 : 2021/01/15
閲覧 : 311
サンキュー:

13

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

CGを使ったグロ映像が際立っている。

近未来のディストピアSF、健康第一に基づいて構成される世界観は緻密で丁寧に描かれていたように思える。
ただこの作品の場合中盤のグロ映像の方ばかりが記憶に残ったという難点はある。CG映像だからだろうね。無機質なんだけどグロすぎた。
キャラはミアハが魅力的だった。終盤の対話シーンで犯されたことを比喩的表現で話していたところとかはうわっとなりましたね。
最終的には世界というか意識が終わった、ということで良いのだろうか。真っ白な空間が生まれて終わったけど元々何もなかった、という様にも受け取れる。
自分はこの作者の作品では虐殺器官の方が好きかな、結末がハッキリしていたし。終盤までの展開もあちらの方が上手く悲劇を描けていたと思ってる。

投稿 : 2020/11/09
閲覧 : 387

既読です。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

楽しいアニメではない。

圧政と言う程管理されている訳でもなく
安穏とした幸せを保障された世界に
息苦しさを感じて自死に誘われるミァハと
その美しさと才能に惹かれるトァンとキアン。

自分達の自死がそんな社会へのアンチテーゼ
として響くことになるはずと、
どんどん言いくるめられ集団自死を
図る流れになってなっていくのですが・・・

映画「ハプニング」のようなシーンが
連続しますので正視に耐えません。

各自が選んだ世界に生きている人を無理矢理
自分の世界に巻き込むのはどうなんでしょう?

物語の中盤からリードされているのが解り
どう決着を着けるのだろうと観ましたが
ああ、やっぱりという感じ。

墓標にミァハが言うところの永遠に残る
文字がプログラミング言語のように
現れるシーンは切なかったです。

今だ絶望を知らないぼんくらな私には
とても理解できない世界でした。

投稿 : 2020/07/05
閲覧 : 303
サンキュー:

3

ちょっちゅね~ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 2.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

中途半端3Dアニメーション

物語/音楽性は素晴しいが、作画(3DCG)/演出が駄作へと落とした。

生前の伊藤計劃氏の最終作となった作品であり、円城塔氏が自己満足で不要な要素を付け足した「屍者の帝国」とは違い、作品世界に集中させてくれる作品。

話の内容は
医療技術の発達した世界にて、各個人の生体情報を常に監視されながらも病や老いといった不安が排除された幸福な世界。
その中で人が元来持つ不安や痛みといった意思が失われ、ディストピアだと考えてる少女Aと2人の友達。
少女Aと2人の友人はディストピアからの解放を願って自殺を図ったが、少女Aのみ死亡。
その後、13年の年月がたち、2人の友達うち片方(主人公)は世界を支配する一員となっており、数日前に発生した「同時多発自殺事件」の真相解明を行っていると、13年前に自殺した少女Aが関与している事を突き止めるのだった・・・。


物語は余計な物が無くてスッキリした作品なのに、下記の要素が駄作にした。
・主人公が中途半端な3Dキャラで非常に浮いた状態
・ぐるぐる回る意味の無い、言い訳的なカメラ演出
・キャラの顔を半透明にしてバック画面に別映像を流す(演歌歌手のPVに使用されてそう…。)


素材が優秀なのに、料理人が3.5流レベルで素材を無駄に消費して調理した作品。

投稿 : 2020/05/08
閲覧 : 334
サンキュー:

1

ネタバレ

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

強いて言えば雰囲気アニメ

絵も綺麗、音楽も綺麗。
キャラやストーリーは中二というより、もうちょっと上の年齢層が拗らせると好きなタイプ。

ストーリー性は存在するけど、余りにマクロ的な事について限定で語っているので個人が考えさせられるような話でもないと思った。
その為一見小難しい話に見えるが、ちゃんと見なくても言おうとしてる事はなんとなくわかるし、しっかり見てもそんなに深い事も話してる訳でも無いかなという感じ。
飽くまで物語上のエッセンスとして添えられているだけ。

真に着目するべき点って、みんなが言う小難しいエッセンスの話ではなくて、主人公とヒロインの恋物語についてなんじゃないかな?って俺は思った。

原作は知らないけど、この映画はその土台でこっちをメインに作ってるんじゃないかな。
実際レビュー見てても、話をちゃんと理解しちゃってる人の方が不満多いし、つまりそれは多分楽しみ方が違うんだと思った。

だから、恐らく製作者の真意的にはただの恋愛アニメ。
余りに深く考えてしまった人には期待したニーズが存在しないクソアニメ。

ただそれについて漠然と考えてくれる視聴者が多い以上、雰囲気アニメとしての需要なのかなって。

投稿 : 2020/03/23
閲覧 : 321
サンキュー:

1

つきひちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

難しい…

近未来的なお話。
世界観はすごくよく考えられているように感じました。

細かい内容に関しては、少しついていけずでしたので。。。スイマセン

投稿 : 2020/02/11
閲覧 : 251
サンキュー:

0

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

深遠な闇から浮かび上がる恐怖

享年34歳という若さで亡くなった伊藤計劃氏原作のSF長編アニメです。


冷戦時代より世界大戦へ進まんとする流れを、大国の「権力]によってコントロールし、
政治的に利用され続けている現在。その流れがもしそのまま突き進んでしまっていたなら。

この物語は、その後の人類が求め、行きつく先を想定し描く世界。
医療福祉と称し、絶対的な権力を持って人類を管理せんと目指す世界。

その後人類が築き上げた、病死や老いが無くなった医療福祉社会の中で、
この世界に抗う白髪の美少女ミァハが口にする「ミシェル・フーコー」。

フランスの哲学者ミシェル・フーコーの定義する「医療への権力論」とは。

真理には権力が伴う。合理性を理解出来ない者を排除し、効率的に人々を統治かつ制御する。
そして人々を監視し管理する社会。「正常」という概念を権力によって定義され、
同時に逸脱の定義によって監視し飼いならされる人々。

ミァハが求めた「権力」からの脱却方法は死することのみであるという事。
そして、ミァハが望む「完璧なHarmony」とは、選択という「意志」が無ければ「意識」も無い、
説明のいらない明白な道理のみが存在する、苦しみや悩み、そして哀しみや喜びも存在しない
恍惚の世界。

それは、この世界に生きながらも権力に抗おうとするトァンとは相容れぬ世界。

ミァハが言う「権利が押し付ける優しさや倫理、病気や老いの無い世界など、
決して人間に幸福をもたらすものでない」という言葉。

しかし、だからと言って人を排他していいものでは絶対にない。
人の意思の選択や意識のコントロールなどは絶対すべきではない。
ミァハを撃ったトァンが伝える思いとは、きっとそういう事なのでしょうか。

いつの日か絶対医療の世界が達成された時、人々は同じように管理し、管理されてしまうもの
なのでしょうか。医学の進歩と高度な遺伝子工学(ナノマシン)はいずれこの様な世界を生み
出してしまうのでしょうか。考える程に恐怖心が高まる作品です。

投稿 : 2019/08/06
閲覧 : 279

双真 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

★★★★☆☆

おもしろかった。

投稿 : 2019/05/01
閲覧 : 259
サンキュー:

0

大重 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

とても美しい世界観の傑作

これは非常に素晴らしかったです。世界観が美しい。作画も3Dですが、よく出来ていましたね。
キャラの名前が覚えにくいですが。
ミャハが非常に美しく魅力的で、そんな彼女に心酔するトゥアンの気持ちも非常に良く分かる。

百合物は苦手なのですが、これはとても美しい百合だったので、非常に良かったです。

投稿 : 2019/04/13
閲覧 : 257
サンキュー:

3

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

面白すぎる

いつも漠然と考えていることがあるのですが、この映画のテーマがそれと重なっていてめちゃくちゃハマりました。
かなり深くて難しい内容なので、暇な人におすすめのアニメです。忙しい人が観たら「めんどくせー!」ってなると思います。
原作小説を読んだ方の解説サイトを見るとより理解が深まって良いと思います。
この作品のことを全く知らない方は、「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」の順で視聴することをおすすめします。

考え込んでしまうような難しい内容が好きな人、考え込む時間がある暇な人、におすすめのアニメです。

投稿 : 2019/03/14
閲覧 : 319
サンキュー:

3

ネタバレ

lucia さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

感想

原作未読
以下感想

小難しいアニメを見たかったので視聴。
期待通り難しいアニメだったので満足なのだが、
私の頭ではなんとなくでしか理解できなかった。

基本的には会話メインで物語が構成されていて、
かつ内容を理解するのに頭を使うので、
漠然と眺めているだけだと話の半分も理解できないと思う。
ただ、アクションシーンもあるので、途中でだれたりとか、
そういったことはなかった。
哲学的な話を見たい人は一度視聴してみてはいかがだろうか。

{netabare}
「ハーモニープログラム」を実行することによって、
どういった現象が起きるのか、漠然としか理解できなかった。

脳を制御することによって、欲求を制限する。
それによって、調和のとれた意思が作られる。
ただし副作用がある。
全てが「自明」の元に行動するようになり、意識が消滅した。

たしか作中ではそんなことを言っていた気がする。
なるほど、わからん。

本来、人は、何か行動を選択する時、
人が持つ「意思」を介して行動を選択しているが、
「ハーモニープログラム」の元では、「意思」を介さずに行動を選択するようになる。
「意思」の消滅、「意識」の消滅。
「意思」=「意識」という解釈でよいのか。
そういったことを言いたかったのかのだろうか?
(「意思」と「意識」は違うような気がするが)

脳を制御することによって、最適な行動をとるようになる。
つまりは全てが「自明」の元に行動している。
これは理解した。

「自明」の元に行動する=意識の消滅である。
これは理解できなかった。

作中でもうちょっと説明欲しかったかな、よくわからん。
ただこういったテーマはすごく楽しいと思った。
{/netabare}

以下、雑記
映像に関して、一部視聴していて目が疲れる箇所があって、
そこはどうにかして欲しかった。
人物を起点にカメラが周りをゆっくり回るのだが、
目が回ってキツかった。
{netabare}
そのシーンだけ目をつぶって台詞だけ聞いていたのだが、
何か物事が進展したので、目を開けると
ナイフを喉に突き刺していてびっくりしたぞい。
{/netabare}

投稿 : 2018/12/07
閲覧 : 295
サンキュー:

1

ネタバレ

TaroTanaka さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

SF小説のアニメ化の成功作

カメラワーク及びエンディングが秀逸。
SF的ディテールを詳細に描写した人類補完計画みたいな感じ。

投稿 : 2018/11/03
閲覧 : 327
サンキュー:

2

ネタバレ

さくらっぷ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

内容むずっ!そしてエロい!

動画配信サイトで視聴しました。

アカデミックなセリフがあり気楽に鑑賞できませんでした。。。ただ百合アニメとしては楽しめました笑

視聴する前にミシェルフーコーの生権力という概念を、少し理解しとくと、内容に入り込みやすいと思いました。

ハーモニーの舞台(生政府)はこの生かす権力の事であり、作中でもミシェルフーコーの言葉が出てきます。


生権力とは簡単に、、、権力にとって注目するポイントが、殺す事から社会にとって都合のいいように生かす方へ変わった事です。

昔の王様が支配していた時代はルールに従わせるのに、破るやつはなりふりかまわずブチ殺す(処刑)していたのに対して、近代では、お前は見られてるぞ!と意識させる事でルールを守らせ、医療や福祉でより生かそうとする社会、それがフーコーの生権力です。



{netabare} ミァハの『向こう側にいたら銃によって殺される。こちら側いたら優しさによって殺される』 このセリフは銃によって自由(主体性)を奪われ、生権力が蔓延した日本では優しさによって自由をうばわれると自分は解釈しました。 {/netabare}



作品名はハーモニーとありますが、内容が難しくて頭ん中は不協和でした。笑

投稿 : 2018/09/23
閲覧 : 306
サンキュー:

2

ネタバレ

たいにーぱんくす さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

寝れる

不完全燃焼、沢城ファンの為のアニメ

投稿 : 2018/09/19
閲覧 : 216
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0

ネタバレ

jack さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ズバリ、雰囲気アニメ☆3

u-nextで視聴
ミァハの重要性がよくわからない
そこまで重要ならなぜ組織は彼女を逃がしてしまったのか
最後主人公がミアハを殺した意味
主人公が好きだったミアハのままが良い、という意味は
物語の根幹を担う部分を不透明なまま終わらせる必要性

率直に言うと映画としては不完全だと思う
でも退屈で見れないというわけでもなかった

投稿 : 2018/07/03
閲覧 : 306
サンキュー:

0

ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

声優さんの演技はよかった

作中に登場するデバイスが攻殻機動隊の設定と類似していて、ストーリーは攻殻機動隊とエヴァンゲリオンに類似していると思った。

{netabare} この世界の人間は、ウォッチミーというデバイスを体内に埋め込まれている人が多いということだが、ビジュアル上は左の肩付近に機械がついているくらいである。
しかし、登場人物の視界には、明らかにゲームっぽい画面と人物の点数などが表示されているし、ウォッチミーを介して脳を支配するという展開からも、ウォッチミーが脳とリンクしているデバイスであることは間違いない。
しかし、ウォッチミーそのものの形状やどこに埋め込まれているかなどの説明はなく、ちょっと雑な設定に感じた。

ハーモニーシステムとそれを起動させようとするミァハは、エヴァの人類補完計画とそれを実行しようとするゼーレに似ているなーと思った。次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループの主流派がネルフかな。

この作品が書かれた年代や当時の作者の年齢から考えても、攻殻機動隊とエヴァンゲリオンに多大な影響を受けていると思われるが(もちろん違うかもしれないが)、この2つの作品を見た後だと、本作品には真新しさを感じなかった。

ハーモニーシステムが起動された後もウォッチミーを体内に入れていない人には影響がないはずだが、全世界的に意識が消失したような描写がなされていたのが疑問。 {/netabare}

投稿 : 2018/05/31
閲覧 : 267
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3

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

そのときであった、イデが発動したのは

数年前「早逝した小説家の作品をアニメ化する」みたいなネットニュース(マングローブの倒産で、作品完成はそのニュースの数年後でしたが)で、初めて伊藤計劃さんという方の名を知りました。
しかし正直「虐殺器官」というタイトルがあまり好きではなくて、完全に敬遠していました。僕は、センセーショナルだったり直接的なタイトルの作品は敬遠しがちです(ラノベのタイトルとか特に)。

しかし今年、ハリウッド映画の「メッセージ」を観たときに、"言語SF"というジャンルに大変興味を持ちました。そこで、"言語SF"を扱った小説を読みたくなってネット検索をしている中で、「虐殺器官」と再び出会うことになりました。

ただまあ、買うだけ買ってまだ読めてはいないです(笑)。
なので、「虐殺器官」のアニメは未見です。小説を読んでから観ようと思っています。

前置きが長くなりましたが、今作は小説を読まずに観ました。なので、僕が初めて触れた伊藤計劃さんの作品になりました。その選択が正しかったのかどうかはわかりませんが、
とても楽しむことができましたし、現在「ハーモニー」の原作小説が読みたくてたまりませんよ!

観て、思い出した作品は「アップルシード」(バイオロイド)「PSYCHO-PASS サイコパス」(シビュラシステム)・・・など他にもいくつか挙げることができます。しかし逆にここまで語られつくしている(と素人である僕は感じてしまう)
ジャンルでありテーマに、新鮮な風を呼び込んでいるなとも感じました。

長台詞のシーンでは、映像が次々と切り替わることに脳を割きすぎて、台詞があまり頭に入らない時もありました。その点からも、ますます原作小説をじっくり読みたいなと感じました。

若い人が今作から古いSF作品などに触れてくれたらうれしいですし、僕も彼らが影響を受けた作品とかには、これからもさかのぼって出会っていきたいなと思いました。

声優陣では、やはり上田麗奈さんでしょう。これまでも彼女の演技力の高さは、いくつかの作品で強く感じていましたが、今作で極まったな、と。主演の沢城みゆきさんを食ってしまうほどでした。
悪役(とミァハを言っていいのかわかりませんが)こそがあらゆる作品のキモなのだな、と改めて感じました。

コミカライズの出来も素晴らしいようなので、今作は少なくとも三度楽しみたいと思います。




P.S.「屍者の帝国」は観る(あるいは読む)べきなのか悩みます・・・。

投稿 : 2018/05/06
閲覧 : 410
サンキュー:

8

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ディストピアを描いているが監督の力量不足

温故知新、ディストピア映画というのは1970年代から現在に至るまでかなり作られていますが、同作者の「虐殺器官」に比べて監督力量不足としか言いようがないほど出来が良くないです。

ハリウッド映画のそういったSF映画を見てないとは言わせません。こういうものを作るに至ってはきちんと歴史を踏まえたうえで、現代的に再構築することに意味があるので、といってもこの題材を選んだ時点で触れないはずがないからです。

「メトロポリス」「少年と犬」「ソイレントグリーン」「時計じかけのオレンジ」「ニューヨーク1997」「未来世紀ブラジル」「THX1138」「惑星ザルドス」「1984」「猿の惑星」「マッドマックス」「ボディースナッチャー」「デューン」「ブレードランナー」「ターミネーター」「トータルリコール」「マトリックス」「マイノリティリポート」などなどほかにもごまんと良い素材になる映画はたくさんあるのに、この演出、作劇じゃあ満足しませんよ。

本当にがっかりしました。

投稿 : 2018/04/24
閲覧 : 378
サンキュー:

8

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

現代医療の在り方に対する危機感を掻き立てられた作品。政治思想的レビューです。

2015年放送の劇場版アニメ 120分

原作 伊藤計劃 監督 なかむらたかし マイケル・アリアス 脚本 山本幸治
制作 STUDIO 4°C

原作は2008年にハヤカワSFシリーズとして刊行された伊藤計劃の長編小説。

2019年に起こった大災禍「メイルストロム」(世界戦争と未知のウイルスの蔓延)により、
世界は新しい統治機構によって医療経済社会が築かれた。
全ての人類が社会のために健康・幸福であれ、がこの社会の名目である。

舞台は新世界確立から50数年後の日本やバグダッドやチェチェン。
主人公は
霧慧トァン CV沢城みゆき
御冷ミァハ CV上田麗奈

監督のマイケル・アリアスと制作会社は鉄コン筋クリートのスタッフ。

さて、この作品は本格SF小説のノイタミナ系アニメ化と言うことで、
地味に話題になってそれなりの動員は記録したようです。
日本のアニメファンのレベルの高さが証明されて嬉しいことです。

病気の無い幸せな世界と言われれば、同じノイタミナ枠で放送された、
犯罪の無い幸せなはずの世界「サイコパス」を思い出しました。
世界の設定が少し似ていますが、こちらの原作が先発なので参考にされたと思われます。

感想としてはサイコパスを観ていなければ設定の緻密さに驚いたであろうと言う程度です。
現代から続く世界的組織WHO(世界保健機関)が独裁的ではないにしても、
強大な権力を持っていて、「メイルストロム」のような危機に備えています。

医療経済社会に関しては現在進行形なので警告を発する作品かと思いましたが、
それほどのメッセージ性は感じられませんでした。

現代日本に例えれば、国民保健を値上げすることで、絶対多数の下層階級から金を巻き上げ、
癌などの無駄な医療で医療機関に金を回し、一部だけの景気を上げる。
国民保健医療機関は脱税が不可能なので、財務省に金が入り、
下層階級のなけなしの金は医療と言う名のもとに国に吸い上げられているのです。
それでいて日本の医療は先進国中最低レベルです。
金が入るタイプの医療にしか興味が無いからです。
サイコパスにおいても厚労省の肥大化が描かれましたが、現在進行形です。

日本が貧乏になった理由は原子力と医療に金を吸い上げられたため、
資格が紙切れになったのは医師免許に権力が集中したためです。

このSFアニメを観ればこういった日本の現状が思い浮かびますが、
それだけで、作品によるメッセージは見当たりません。
当然ですね、権力が集中しつつある医療には逆らえないからです。

日本は抗がん剤の実験場になっていますが、だからと言って海外諸国がまともとも思えません。
癌の治療法を開発したシモンチーニ博士は抗がん剤マフィアに命を狙われ、
現在はイタリア軍の厳重な保護下にあります。
これただの重曹治療でですよ。

WHOが厳重に摂取を抑制させようとしている「塩」は癌予防薬です。
エイズや新型インフルエンザをばらまいたのがどの組織なのか、
知識人なら常識ですね。

このアニメはストーリーよりもこのような会話をしたくなる作品です。
利権を持っている者、医療関係者や公務員は必死の攻撃を始めます。
それは現代のファシズムと言ってよいでしょう。

癌センターや指定病院を現代のアウシュビッツと呼ぶ人も居ます。

投稿 : 2018/04/24
閲覧 : 763
サンキュー:

23

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

人は感情によって動く

高度化された管理社会というとどうしても攻殻機動隊を思い出してしまう…
ただ、あちらはハードウェア、こちらはソフトウェアに焦点を当ててる感じ。
「意識」の扱い方が興味深い。

抑圧からの解放、自由への欲求、それらを渇望する叫びみたいな。
これを書いた人はとても生きづらかったんじゃないかって気がする。

主人公の極めて個人的かつ感情的な動機によって終わらせたラストが、
何ものにも管理されない、実に人間的な部分を象徴していた。

投稿 : 2018/01/20
閲覧 : 243

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

衝撃が走った

この作品の感想は「すごい」です。

これ以外何も出て来ません。
上映が終わり場内が明るくなっても、しばらくは席を立てなくなるほどの陰鬱なラストに言葉を失い、
ハイレベルなセルルック3Dの映像に感動して舌を巻かれ、
セカイ系と言ってしまえば簡単ですが、独自の世界観・話の運び方の奇抜性は一度では整理できないほどの情報量を持っており、
伝えたい・賞賛したい・貶したい色んな感情を持っても上手く言葉に出来ない複雑さがあります。

この作品はまさに芸術の一つなのです。

投稿 : 2017/12/24
閲覧 : 320
サンキュー:

7

ネタバレ

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

絶対いるよね?

ミァハがレイプされたって言うシーンでオッ勃った奴、仲間だ

投稿 : 2017/11/12
閲覧 : 301
サンキュー:

0

じぇりー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 3.0 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

遊園地のコーヒーカップのように、クルクルとよく回る映画(謎

同じ原作者による映画は「屍者の帝国」も観たが、これら2作品には共通点が多く見られる。

① 鬱展開
② 人智を超えた何かを得ようとする人の業のようなものを描いている
③ グロい(映画なので余計に…ね)
④ 若干の百合要素(「屍者の帝国」はBL要素)

まずはとにかく、これは本当にノイタミナなのか?映画なのに?と思わせる程、作画の粗が目立つ。
CGをふんだんに使用しているが、これが一昔前のCGを取り入れ始めた頃のゲーム作品程度のクォリティーで、どうにも安っぽく見えてしまう。
また、演出としてやたら画面がグルグル回るのだが、なぜこんなに回るのか分からない。回す意味が分からない。

恐らくだが、画面に少しでも動きをつけるための苦肉の策だったのだのかな、と推察する。
というのもこの作品、なぜに映画にしたのか疑問に思う程に、キャラクターの動くシーンが少ない。(例:戦闘シーンなど)
ストーリーは主に、会話やモノローグで進んでいき、それが結構難解なので、やや説明がちな作品となってしまったのが残念だ。

きっかり2時間の映画なので、気になる方は見られたらいいと思うが、PG12(個人的にはR15くらいでもおかしくないと思った)なので、それなりのグロ耐性は必要かと思われる。

声優に関して一言。ファンの方もいるだろうから、どのキャラの声かは明かさないことにするが、絶望的に演技に難を感じるキャストがいる。プロ声優なのに。
割と直近観た他作品でこの人の演技を聞いた時も全く同じ印象を抱いので、今回で2度目。確信した。私、この人ダメです。

世界の崩壊をきっかけに、人々をまるで巨大システムの端末のように管理し、無理矢理に秩序を保とうとする世の中―こういう設定の作品が昨今増えてきたように思う。
以前は何の気なしに見ていたが、最近思うのだ。

本当にこういう世の中が、迫ってきているのかもしれない…と。

投稿 : 2017/11/09
閲覧 : 359
サンキュー:

5

ネタバレ

ともゆき! さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人と人が繋がりすぎた世界。

誰かに管理された世界。
繋がりすぎた世界。
孤独に慣れない世界。

自分は自分、自分で善悪を決められない世界。

汚いものは見ないで。誰かが作った正義、善だけを見て生きていける世界。
それって幸せなのだろうか。

生きるということは難しいし、自分の目的、目標を見つけることも難しい。
うまくいかないことばかりそれが現実。
生きるというのは辛いこと、難しい事。

でもその難しい現実を生きるということが生きるということなのだろう。


誰もが同じ、誰もが同じ善を持ち、同じ方向を進む。それってとても気持ち悪ことなんだと感じた。

悩むことそして自分の正義を見つけることそれが生きるということなのだろう。

投稿 : 2017/10/26
閲覧 : 241
サンキュー:

5

daruma さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ミァハの演技が良い

 「屍者の帝国」よりかはすっきりしていて楽しめた。
 発達しすぎた過保護な社会の中で生きる人間は人間らしく生きているといえるのか?というテーマや、ミァハのキャラなどがPSYCHOPASSの牧島と重なった。(やろうとしていることは真逆だったけど)
 上田麗奈のミァハの演技が神懸ってた。
 オチがすっきりしないというかテーマ回収はしてたけど、エヴァのオチみたいに「で?」という感想が一番に来てしまったので今一つスッキリしなかった。

投稿 : 2017/10/24
閲覧 : 254
サンキュー:

2

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<harmony/>のストーリー・あらすじ

優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?(アニメ映画『<harmony/>』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2015年11月13日
制作会社
STUDIO4℃
公式サイト
project-itoh.com/
主題歌
《主題歌》EGOIST『Ghost of a smile』

声優・キャラクター

沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

スタッフ

原作:伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫JA)、キャラクター原案:redjuice
監督:なかむらたかし/マイケル・アリアス、脚本:山本幸治、キャラクターデザイン・総作画監督:田中孝弘、作画監督:竹内一義、メカデザイン・エフェクト作画監督:渡辺浩二、色彩設計:成毛久美子、美術監督:新林希文/狹田修、編集:重村建吾、音楽:池頼広、録音演出:名倉靖、音響デザイン:笠松広司

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