テングタケ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
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虐殺器官の感想・評価はどうでしたか?
テングタケ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
クワル さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
shino さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
伊藤計劃原作、PROJECT第3弾。
ゼロ年代SFベスト国内篇第1位。
核の炎がサラエボの街を焼いた。
テロの脅威に対抗すべく先進国では、
科学技術により監視の網の目が張り巡らされ、
一方発展途上国では内戦と民族対立により、
無数のジェノサイドが頻発していた。
虐殺の陰に常に存在が囁かれるジョンポール。
ジョンポールとは何者か!?
{netabare}アメリカ国防総省で言語を研究していた彼は、
ある日を境に公然と姿を消した。{/netabare}
頻発する内戦と彼との因果関係は!?
内戦の混乱の中、主人公クラヴィスを中心に、
アメリカ軍によるジョンポール捕獲作戦が開始される。
伊藤PROJECTでは最も理解が容易い作品です。
ジョンポールの目的は明確でした。
{netabare}ホロコーストの歴史を学び、
ルワンダやカンボジアの虐殺を学び、
彼は人が持つ古い機能を見つけたのです。
人には虐殺を司る「器官」が存在し、
その器官を刺激し活性化させる「文法」があると。
言葉が人間の行動にいかに影響を及ぼすのか。
良心を捻じ曲げテロリストの芽を育てる。{/netabare}
戦場の少年兵を平易に殺戮するクラヴィスは、
感情を最適化された現代人の象徴でしょうか。
極めて理性的で空虚な人物たちの物語。
皆様にもぜひ触れて頂きたい。
nyaro さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「屍者の帝国」に比べて圧倒的に面白かったです。
9.11の影響によるテロを名目とした監視社会が前提となっていました。プライバシーの侵害と引き換えに安全が保障されたように見える社会の話です。
言語の問題を扱い、おそらくはノーム・チョムスキーの生成文法を下敷きにしていると思います。作中でも説明がありましたが、なぜ人間は1歳までに言語を習得できるのか?それは脳あるいは心の中に人類共通の言語構造があるから、というのが生成文法です。
ただし、これはSF的なギミックで、どちらかといえば認知・認識・意思の問題になっていました。人間の深層心理上あるいは脳科学上での条件反射のようなものをイメージしていたんだと思います。
なんらかの言葉のスイッチを押してゆくと、望んだ方向意思を誘導できるというのが、ジョンポールの能力でしょう。音楽はそれをショートカットできるとも言っていました。この辺りはSF的には特に目新しい概念ではありません。
そこから、人間の性善説・性悪説を人類の性善説・性悪説のような形で押し広げていった感じですね。そして、どちらも正しい。だから安心して生きるために人類を分断してしまおうということだったと思います。
クラヴィス側は感情をコントロールされていました。アメフトの場面を見るとあの場面はアメリカの幸せの象徴でもあるし、また、誰かから与えられた幸せのようなもの、と見る事もできました。
そして、誰がなんのために戦っているのか?が重要なポイントになっていました。
自由意志とは、他者の言葉によって形成された借り物の欲望である。つまり、構造主義の影響がかなり強く「構造の奴隷」的絶望感が色濃く感じられました。ラカンあたりの影響も感じられました。
不思議なのがルツィアという女性の存在でした。彼女は重要なファクターにはなりますが、しかし、クラヴィスの彼女に対する思慕というのは、なんだったんでしょう?ひょっとしてこれが、ジョンポールの仕掛けたちょっとした条件付けなんでしょうか?「進化の必要性」って恋愛の事?
あとはカフカの「城」ですね。「城」という人格を持たない命令、「城」を中心とした理解できない命令系統に翻弄される男の話なので、ある種大衆のアナロジーなんでしょう。
近未来の兵器・兵装は良く考えられていました。通貨やソーシャルカメラなどもかなり練っています。戦闘場面の迫力はすごかったです。
映像の見せ方はハリウッド的な演出を取り入れたのでしょう。映画を見ているような展開でした。これをアニメでやるのはかなりゴージャスな作画だと思います。キャラデザもあるでしょうがちょっとハサウエィっぽかったです。
ということで、言語学それもソシュール的な物だけでなく、チョムスキーの生成文法を持ち出した点。自由の奴隷、ラカン的な「他者」といった構造主義、そしてカフカ的不条理などなど、見る人の教養と理解力を問われるような映画でした。
かといって、エンタメ的にもかなり面白くできていました。映像もSF設定も素晴らしかったです。
もちろん私も初見では、消化しきれないので2回目を見たいと思います。たしか原作は表紙買いして、どこかに積んであったと思うので読んでみます。
camuson さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
2017年公開の劇場アニメ。netflix視聴。
伊藤計劃による原作小説は既読。
原作小説を読んだ時は、
緻密に構築された近未来的世界の社会情勢のディテールそのものに、
いたく感銘を受けた反面、
主題であるジョン・ポールや虐殺器官に関わる話が、
あまり心に響かなかったというのが、正直な感想になります。
本映像化作品も、当たり前なのですが「虐殺器官」がテーマで、
私が原作で感銘を受けた以外のところにフォーカスを当てているので、
丁寧につくったアニメーションであるにもかかわらず、
奥まで刺さってこなかった気がしました。
原作では、内戦現場の血と土が混ざった匂いが鮮烈に鼻を突き、
主人公からはそこはかとない悲愴が感じられたような気がしていたのですが、
10年以上前の遠い感覚的記憶なので定かではありません。
これを機に原作を読み直してみたい気にはなっています。
キャラクターデザインが、劇場版攻殻に近いリアル志向で、
かつキャラクターにあまり特徴が無いこともあって、
凄く薄味に感じられてしまうのですよね。
だからと言って、キャラを立たせるのが正解とも思えず、
なかなか難しいものだなと。
_ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
初めて観たのは数年前だが、いまだに何度観ても全ての作品の中で最も面白い。
初見時、原作(小説)未読であったが難しい話をしていてもするすると理解出来た。
攻殻機動隊、PSYCHO-PASSなど好きな層が好みそうな作品。(実際PSYCHO-PASSの劇中に当作品が出てくる。)
劇画調で非常にキャラデザが良い。動かすのが難しい造形だと思うが、作画が良く品質が保たれている。(アニメ会社が倒産し、虐殺器官genocide orgnのために作られた「geno studio」に引き継がれた)
エンディングはDubstep(音楽ジャンル)。個人的にDubstepをいつも聞いていてあまりのハマり具合に衝撃を受けた。歌手がおそらく普段Dubstepの領域ではないような不慣れな感じがしたのは不満だったが曲がハマっていて作品に適した余韻だった。
えりりん908 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
本来は、殺戮者と暗殺部隊の攻防というシンプルなストーリーなのに、
会話劇の難しさや、演出がたくみに視聴者を錯綜した雰囲気に誘導するので、
壮大で悲惨な感覚に飲み込まれたような視聴感に、苛まれました。
この感じって、観た人にはわかって貰えると思いますが、
作品鑑賞後に、言いたいことは山ほどある筈なのに、
上手く考えがまとまらなくて、
この作品を観てしまった自分も、何か不可解な生得的文法に支配されているのかも知れないと、
うそ寒い気分にさせられる不思議な作品です。
近未来を舞台に、戦闘に特化した小道具類の、
ひとつひとつがSFチックで面白いです。
攻殻機動隊でおなじみの光学迷彩も出て来ますが、
そういう近未来的ガジェットが満載です。
敵兵のIDチップを強奪して偽装する手段の見せ方とその手際のよさとか、
肉眼に可視情報が映るモニターを目薬に搭載させて、
多分友軍やアメリカ本国の指令本部までモニター出来るようにしているとか、
作戦実施のとき高空から落下していき、地上に近づくと自動的に分解してミサイルや多弾頭弾を連射するポッド(棺桶)とか、
あるいは潜伏捜査の際に、味方に移動位置を知らせるチルチルミチルの小石みたいな機能の液体とか、
訪問先の空気を鼻で吸収して、鼻に仕込んだ吸着装置で成分分析するとか、
そういうのがいっぱい出て来て、SFを好きならすごく楽しいことになっています。
でも、この作品でいちばん重要なツールは、
痛みや、精神状態の過度な興奮や、仕事で行う殺戮への罪悪感を抑える「マスキング」だと思いました。
この小道具があるおかげで、アメリカの特殊部隊員たちは、
あくまでも仕事として、
虐殺を繰り返す他国の指導者を暗殺します。
ターゲットである「虐殺の王」とつながりのあるらしい民間人組織を急襲して虐殺します。
少年兵を使役している内乱軍を、少年兵を使役しているから反人道的軍隊と認定して、
内乱軍の中に侵攻して、その少年兵たちを片っ端から惨殺します。
人道の罪をかぶせておいて、反人道的としか見えない虐殺を繰り返し続ける正義の軍隊。
「虐殺器官」という言葉の意味が、「虐殺の王=ジョン・ポール」に由来していながら、
「アメリカ軍=世界平和の番人自体」を指していることに、否応もなく気づかせられます。
虐殺の凄惨さを訴求するために、必要な表現だと納得できますが、
敵味方問わず、殺されてゆく人の死に様が残酷で悲惨です。
原作者の伊藤計劃さんが訴えたかった筈のことは、
9.11のあとにアメリカ軍が他国に仕掛けた、
ゲームの画面のような空爆録画を
漫然と眺めている私たちにだって、
ちょっと考えれば爆撃画面の外には
被害を受けて怪我したり死んだりする生身の人間がいるということ。
飢餓に苦しみ死んで行く人たちを抱えた国がある一方で、
ピザやハンバーガーを食べ散らかし、捨てているのが自分たちだということ。
そこに、ガジェットは存在しないけど、
私たちは既に、
見たくないものは見ないで生きていく方法を、生得的に身につけているということ。
マスキングされて、悲惨で残酷な現実から隔絶されて生きている自分の生き様を突かれて、
何の解決も考えられなくて、暗澹とした感覚が強く残る。
そんな、後味の悪い、でも考え続けなくてはいけないことがあると
思わせられた重い作品でした。
芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
オパマ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
近未来SFコンバットもの。
ただし、脚本の意図するところは本レビューのタイトル通り。
人は見たいものしか見ないのはその通りだと思う。
戦争や虐殺、それを悲劇として傍観する無関心も無くならないんだろうね。
悲しいことだけど。
だから反出生主義という思想が芽生えたのかな。
本能と理性。
本能を満たすために言葉を操るのか。
それとも、知性体として改善のために理性で本能を制御するのか、出来るのか。
そういうことを考えさせられる作品。
自分自身、個々人があらゆる情報媒体によって洗脳されていることを自覚することから始めなくては、何も変わらないんだろうな。
ハウトゥーバトル さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
視聴前 たのしみ
視聴後 …
この話はアメリカ政府の暗殺機関の話
ジャンルはグロ・戦闘・近未来
伊藤計劃原作ですね。
もう、本当に楽しみで。
もう本作の原作が発売されたときからずっとファンと言っても過言ではないくらい伊藤計劃さんのことが好きでした。残念ながら本作上映の随分前にはもう。
しかし小説は死にません。もうなんど読み返したか。ハーモニーと合わせて何度も何度も読みました。ものすごく好きな話なんですよ。
さて本作の率直な感想です。
原作通りにしてほしかった…
時間の都合上仕方のないものなのかもしれませんが、数多くのシーンがカットされてありました。{netabare}母親を消しちゃだめでしょ…{/netabare}
非常に残念極まりないですが、上映されてしまったものは仕方がありません。
一応原作を知っている者からすると本作は(別作品とはいわずとも)離れた作品という印象が強いでしょう。3行くらいにまとめた内容は同じかもしれませんが、きっと6行書いたら差異がでるでしょう。
どっちが好きかと言われたら個人的には小説ですが、もしかしたら映画のほうが好きという方がいるかも知れません。が、やはり小説を私は推します
原作を知らない人からすれば本作は割と面白いものとなるでしょう。
必要最低限の説明と印象的な会話や行動により物語の方向性や結末はわかるはずです。原作と違うとはいえ、物語が成立していないわけではないので、原作を読む必要はありません。まぁ必要最低限しかされていないため、物語を深く楽しみたい方は小説を是非ともおすすめしますが。
虐殺機関というタイトルだけあって、結構グロテスクな描写が多めです。
でも頭が吹っ飛んだり、手だけになってたり、腸がはみ出てたり、悲鳴をあげながら家族を殺したり、灰になったり程度なので気にしなくても良いかもしれませんが、一応覚悟を。
{netabare}さすがに母親の死をバーで話すシーンは必要でしょ。
あそこで一旦「ぼくは一般の人と違うんだ」という自覚を取り戻すんですから。
人間らしさが一瞬で死ぬ瞬間ですよ?重要なのに…
まぁ、あのラストは小説に勝ると思います。
付箋からの「これが私の物語です」でのシメはぐっと来ましたね。個人的にはあのラストは好きです。
{/netabare}
監督・脚本・キャラデザは村瀬修功さん。
劇伴は池頼広さん。船を編むなどの方ですね
アニメ制作はmanglobeさんとジェノスタジオさん。まさかの経営危機で延長になるとは思いませでしたが
作画は良かったと思います。どこかアメリカチックを感じ、個人的には好きなやつです
主題歌はEGOISTさんの「リローデッド」
総合評価 見ても良いと思いますが、是非原作も
まにわに さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
{netabare}そうなっているとわかっているが、なぜそうなっているのかわかっていないのが言葉の機能。
現実の出来事だが、知ろうとしないのが虐殺。
これらを同源とし、器官といっても体内にある必要はないから、作中のように情報媒体が発達すれば、こういうことも現実に起こりうる、部分的にすでに起こっていると思える内容にはなっている。
が、見たいものしか見ない、と言い出したあたりから様子が変わってきたように思う。
どちらかというと社会派、誰がどう表現するかで出来事の意味が変わってくる、歴史でよく言われるようなテーマ性。
どうせなら、人間の言語能力が実質そのように機能するリアリティのSFで見たかった。
さらに言うと、せっかくなのだからこのテーマでもっと楽しい話が見たかった。
(ここの感想を見て思ったのだが、器官を設定しての、人は見たいものしか見ない、が本題なの?){/netabare}
栞織 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
waon.n さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
非常に思い入れのある作品です。私をSFの世界へさらなる一歩を踏み込ませた作品であり、人物です。
この作品以前からジョージ・オーウェル小説の『1984』であったり、ディックの『アンドロイドは電気羊は夢を見るか』くらいはたしなんでおりました。
映画でもSFというジャンルは好きでよく観ているわけですが、SFとファンタジーの違いとかあんまり考えずに『ブレラン』や『エイリアン』などを楽しんできたわけです。
それでも十分に良いんですけれど、SFのジャンルに対して特別な意識を持ったのはこの伊藤計劃さんの作品に触れてからという事になるかと思います。
この伊藤計劃さんの作品には今に繋がる未来だったり過去だったりを感じる事ができる。そこにSFとファンタジーの違いがあることを見せつけてくるんですよね。
特にこの虐殺器官という作品に関しては特に今に繋がっているように感じられますし、この物語の問題っていうのは明日にでも核爆弾でテロが行われてしまい、この作品と同じ流れを世界が作ってしまう可能性があるのではないかという恐怖をもつことができます。
シミュレーションになっているという点がこの作品の魅力であり、SFのひとつの楽しみかたなのではないでしょうか。
本作品の中には色々な未来のデバイスが登場します。まだ開発されていないかもしれないが、ナノテクノロジーにしたって実用化レベルに至っていないだけで、実際にあると聞く。まずは軍用化からされて、民間レベルまで落ちてくるのにどれくらいの時間を要するかは分からないけれど、そう遠くない未来がかんじられます。
人工筋肉も義手や義足のレベルは驚くほど進化しているので、不可能と断定することもないでしょう。
また、デバイスもさることながら、国際情勢もポリティカルフィクションの要素も含んでいるため、設定が作りこまれています。
原作読んでる前提になってしまうので、アニメのレビューをするこの場にはもしかしたら相応しくないのだろうが、いちファンの戯言と吐き捨てここは許してもらおう。
この作品においてなぜ、サラエボが核爆弾テロの標的となったかという話は過去、現在、未来へと繋がっているのです。
『戦争広告代理店』という本があるのをご存知でしょうか(暇と興味があればぜひ手に取ってもらいたい)。ボスニア紛争をドキュメントで書き下ろした一冊なのですが、ボスニアヘルツェゴビナの首都サラエボは今でこそ美しい街並みであり、多人種、多民族が入り混じっている平和な国となっているが、1990年代にセルビアとボスニアの間に紛争が起こりました。ボスニアの取った行動が今の美しい景観をしたサラエボという町を作り出した。ただし、当然ながら犠牲もあり、敗者もある。
敗者がいれば、憎しみも生まれるだろう。それにアメリカが絡んでいる事は想像がつくと思います。なんなら最近の戦争でアメリカが絡んでないものなんてあるのかという位ですね。さかのぼれば第二次世界大戦なども絡んできますね。例えば、ユダヤ人虐殺の話にまでまでも触れています。フランツ・カフカが現在はチェコのプラハが出世地でユダヤ人であることが文脈のなかで語られ、ユダヤ人虐殺が物語のなかに必要不可欠な要素として組み込まれているなど、造詣は細かく深い。
こういった過去から現在(書かれた当時)の国際情勢や歴史を話に盛り込ませることができている作品です。
他にも大人の子供に対する扱い。平和な暮らしを安定して供給されている裏側にあるものはなにか。など様々なテーマが散りばめられていて、どれを掬い取り、目を向けることができるのか。それは見ている個人に委ねられているのではないでしょうか。
日本で描かれる戦争もの映画ってなぜか日本人、可哀想とかやられちゃう系が多いんですよね。被害者であるように描かれているように思えるんですが、戦争って被害者とか加害者とかじゃないと思う。
伊藤計劃って人の凄いところは日本人でありながら外国の戦争を描けていることで、しっかりと加害者であるし、それによって生まれる兵士の苦悩というのが描かれています。いわゆる「PTSD」というやつで、これはイラク戦争での実在した兵士による伝記をもとに映画制作された『アメリカンスナイパー』ではないでしょうか。
こちら側を描ける、描けている作家は日本にはそうはいないと感じます。
ここまでは小説の話になってしまっていましたが、この前段階を踏んで語りたかったんです。
アニメとして映像化されるにあたり、何やら紆余曲折あったようですね。当初制作していた制作会社が破産してしまい、新しい制作会社に引き継がれるなどして完成をむかえたそうです(wiki)。
さて、アニメを制作のスタッフです。
監督には『Ergo Proxy』でも監督をした、村瀬修功さん。もともと原画畑だった人のようで、やはりその動きや見せ方はカッコいい。最近では『GANGSTA』でも監督をしており、どう語らせるかよりもどう見せるかを意識している監督のように思っています。今作もその良さはしっかりと出ていました。
また、キャラクターデザインもやっているようで、懐かしの『機動戦記ガンダムW』のキャラクターデザインもやっていたそうです。
今回は脚本も兼任している。個人的にこういった内容のものを原画畑の人が脚本をすることには懐疑的でした。というのも、リドリー・スコットのようにカッコいい映像や音の感じで内容を決めてしまうのではないかという点が付いて回るためです。(リドリーは他にもちゃんと良いところたくさんあります。……多分)
しかし、そんなのも杞憂でした。原作で描いている内容がしっかりと読み解かれて映像化されているように感じました。むしろ、このアニメを見て原作をまた一段上で楽しめるようになったのは村瀬さんの能力の高さだと感じます。
音楽は池 頼広さん。『Ergo Proxy』でも音楽を担当していたので村瀬さんが推薦したのかどうなのか定かではないですが、再びこのタッグが実現するわけですね。個人的には『神撃のバハムート』での音楽が好きでした。
表現している音楽の幅が広いなーすごいなーくらいでしたが記憶に残っていました。
美術監督は田村せいきさん。レビューを書くにあたりもう一度見直してみたところ発見したのですが、廊下を進む描写で歩いている足を見せるカットがあるんですが、そこで木製の廊下から、石造りの廊下に変わる。これはおそらく、バロック様式で石造りだった部分とその後イギリスの植民地となりアメリカ的な木造建築に切り替わったため増築や改修などのさいに混在したことでこうなったのではないか。それを再現している、もしくは表現しているのはこだわりを感じました。他にも調度品や、未来的なデバイスの表現も良いです。
声優さんには中村悠一さん、櫻井孝宏さんはイメージにピッタリという感じで、大塚明夫さんに関してもこういう役本当にハマっているし、『メタルギア』ファンの伊藤計劃さん的にも嬉しかったのではないでしょうか。
個人的には小林沙苗さんが嬉しかった。長いセリフのなかにある、澱ませたり、間を取る感じが良いんですよね。
この物語はあくまでも戦争や紛争を描いています。それは過去、現在、未来とつながりがあります。一つの物語でつながるのではなく、リアルな視聴者のとのつながりでもあります。
楽しむという表現とは少し違いますが、前述しているようにシュミレーションであり、それはそのまま未来への危惧でもあります。映画『ターミネータ』のように未来では人工知能をもった機械に人間が殺されてしまうという未来を見せることでこんな危険も存在するという恐怖をシュミレーションするのと同じことです。
ここを楽しめるかどうかがこの作品にハマることができるかどうかの境界線になるのではないでしょうか。
個人的には素晴らしい作品でしたので、多くの人の目に留まり、楽しんでもらえたらと思います。
この伊藤計劃という作家の作品に触れて感じたのは自分の教養や知識によって芸術(ここでは広義な意味で)は楽しめる幅が広がったり、見方がかわったりするのだという事です。
これってすっごく当たり前で私がこうして書くまでもなく、誰しもが感じたことがあるはずで、小さい頃に観た漫画や映画、アニメを大人になって観返すと「違う面白さに気づく」みたいなことなんですよね。「言われるまでもねーやい!」ってなったかたは申し訳ありませんでした。
恥ずかしながら私が気づいたのは最近でして『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』なる本でも買うかと迷っているほどです。
とりあえず、この作品に対してのレビューはおしまい。ここはら超絶蛇足になります。
レビューを書くまでにだいぶ時間がかかりました。好きな作品はしっかりと書きたいし、読んでもらう事に対してその時の感情だけで書くのは避けたいという気持ちから躊躇われたわけです。
そんなレビューがあと3作品ほど溜まっていたりもして、いつかは……と思っているのです。
今回は他のかたが書いている虐殺器官のレビューを読んで触発されたというか勇気をもらったというかモチベーションが上がったというか……。
そしてちゃんとアニメのレビューになっているのか怪しい。
今回はイレギュラー的に原作とアニメの両方で語ってみたのですが、上手く分けられていないようにも感じてきて消してしまおうかとか消極的なことも考えていますが、ちゃんと投稿します。
長くなりましたが、勇気を与えてくれたレビューを書いている皆さまありがとうございます。そしてよもやここまで長ったらしいモノを読んでくれる人がいたらその人にもありがとうございます。
『人は見たいものだけしか見えないようにできているんだ』
ではおつかれさまでした。
ぺー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
または
虐殺をジャスティファ~イ
いつもながら原作は未読。本編もレビューも不穏なタイトルですね。文字通り不穏なやつです。
少し前に遇々『バビロン』という迷作に触れ、その作品談義で頻出してたタイトルがこれでした。
・34歳の若さで早逝した原作者伊藤計劃
・原作『虐殺器官』その評価の高さ
・ノイタミナムービーなるブランド
これまで知らなかったことを知ることができました。これだけでもお得感あるかしら。
早逝したこともあり数少ない輩出作品をアニメ化する試み「Project Itoh」三部作の締めを飾った作品。2017年2月公開のR15+指定。115分です。
あらすじ:サラエボで起きた各爆弾テロを機に世界各国でテロが激化。アメリカを筆頭にテロに対抗する中で先進国では沈静化の方向。後進国では内戦や虐殺が頻発。といったIFストーリー。
後進国で指導層に接触し対立を煽り、内戦や民族対立による虐殺などを引き起こす黒幕として暗躍すると見做されたとある人物を暗殺せよ!
その実行役である特殊部隊員クラヴィス・シェパード大尉が主役の物語です。
戦闘行為にまつわるグロ表現っぷりでR15+指定となってます。
詳細に触れると、タイトル“虐殺”から想像しそうなスプラッター的おどろおどろしさが主成分のグロではありません。あくまで銃撃戦で斃れる敵兵の描写がそれらしいだけ。想像と違ってライト風味かもよってことは指摘しておきます。程度や具合は18禁ではなくR15指定ということでお察しくだされ。
年齢制限が入るのはクリエイターがやりたい表現をできていることの裏返しな部分もあって、本作のミリタリ描写はアニメの中でも超一級の部類に入ると思われます。オペレーションの合理性や演出の迫力などモノが違う感じがします。
『劇場版PSYCHO-PASS』のミリタリ描写との既視感を覚えましたが、プロデューサーがご一緒ということで納得。ノイタミナで辣腕をふるった山本幸治さんです。それでノイタミナムービーということもあるのね。いろいろ繋がってきました。
世界観 ◎ ※後述
軍描写 ◎
軍事作戦がベースにあるお話なので根っこが変だと台無しになっちゃいますがその心配はありません。
あとは通しでの物語の面白みであったり、黒幕ジョン・ポールの目的が腑に落ちるものかだったり、やはりというか作品から受け取るメッセージへの共感の有無が気になります。
物語 △と○の間
タイトル回収を済ませ、大国のエゴも匂わせる国家の繋がりや人間の持つ原罪のようなものへの言及。おそらくこうだろうと想像できる結末もアリといえばアリ。ただしいかんせんよくわからない。
{netabare}雰囲気だけかっこいい?{/netabare}
劇場版なので視聴者に想像させる手法を否定しないけど軽い匂わせ止まり。肉を焼く匂いで白飯を食べるような感覚。もう少し踏み込んで欲しかったです。
ところがふとしたとこで原作のネタバレを聞き、
物語・改 ○と◎の間
となりました。
※原作ネタバレ
{netabare}ジョン・ポールの遺志を継いだクラヴィス・シェパードがアメリカに戻り、“虐殺の文法”を駆使してアメリカを内戦に導いていく。{/netabare}
{netabare}小国の犠牲の上にある大国の繁栄について自問自答が描かれてたとのことです。南北問題ですね。{/netabare}
“人工筋肉”なるガジェットが途上国の子供たちによる搾取的な労働に支えられている、とフェアトレード運動に通底するネタが挟まれてましたが、そんなネタが最終的に繋がっていくところまで提示しないのはもったいなかったですね。
とは言っても雰囲気や見た目を馬鹿にするなかれ、です。映画を観てる時間だけその世界に浸れる幸せを実感できる劇場版作品でしょう。その点で買い!優秀な娯楽作品です。
※後述…の世界観◎について
■United Nations
“国際連合”とは意図的な誤訳です。“連合国”が正しくその国連憲章には日本を敵国と見做した条項が残存していることをご存知でしょうか。たかが条文、実態は違うとも言われますが、この敵国条項を除こうと日本が働きかけてもしっかりChinaは潰しにきてくれたりするのが現実です。
永らく“平和のための国際組織”と喧伝され教科書でもそう習ってきた私たちですが、非常に矛盾を孕んでいるのです。直近の事例だと国連の専門機関WHOの武漢肺炎をめぐるグダグダっぷりでしょうか。
金だけ出して口は出さないでね
日本に求められてる役割がこれ。よって個人的にはあまりこの組織をよく思ってません。そんなとこへ作品の冒頭↓
{netabare}「寛容と多文化主義がこの国の美徳だったのに」と今は民族浄化に勤しむ途上国の指導者がベートーベンの『月光』をバックにシェパード大尉に独白します。
何故自国民に手をかけたのかわからない。黒幕ジョン・ポールの存在を匂わせる一幕です。その前段。
シェパード:
「その国民を殺して回る。あんたの言う政府とやらはどの国連加盟国からも承認されていない」
えらい人:
「国連?我々の文化を土足で踏みにじり、自決権を鼻で笑う最悪の帝国主義者どもが…」{/netabare}
主人公へのシンパシーはもちろんのこと小国の哀しみなんかをこの指導者に見ることができます。きちんと序盤から下地を作っているのです。
■1974年と1975年
原作者伊藤計劃氏とプロデューサー山本幸治氏の生年です。けっこう作品に影響しているような感じ。
だいたいにして小学生時代のバイブル。ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』が原題『A計劃』。これホント漢字なの?と伊藤少年の脳裏に焼き付いてたことは想像に難くありません。
多感な中高生時代で起こった世の中の出来事と暇な大学生時代に触れたであろう作品群。この年代特有の感覚が作品に反映されているとふんでます。
15歳前後で「ベルリンの壁崩壊」「ソ連崩壊」を経験。なんとなく大きなうねりが起こっていることを感じつつ、チャウシェスクの銃殺遺体のインパクトだけ覚えていた思春期。
中学の社会科では、“コルホーズ”“ソフホーズ”などを例にとり計画経済を好意的に捉えていた教科書で学んでました。なんせまだ崩壊前だったので。
その後の東欧民主化で泡を食ったのが欧州の火薬庫バルカン半島。ユーゴ紛争が停戦合意したのが彼らが社会に出る頃合い2000年頃でした。
思索に励むことが可能な大学生時代には小林よしのりの『戦争論』が大ヒット。United Nations(連合国)が構築したWWⅡ後の枠組みに疑義を呈した意欲作と言えましょう。
ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品『MONSTER』(浦沢直樹)
ユーゴ紛争で故郷を破壊した者への復讐の物語『PEACE MAKER』
90年代後半に発表された東欧を舞台にした名作群もきっと学生時代に目にしてるんでしょうね。
思えば「ソ連崩壊」とはもの凄く大きな出来事で共産主義の敗北に象徴される第二次世界大戦後の枠組みが崩れたことを意味してました。余波は覇権国アメリカにもおよび歪みの極地が“9.11”にと。
そういえば『MONSTER』のヨハンもニナも1975年生まれの設定です。
朝日・岩波的な言説がインテリの条件だった時代から潮目が変わったのはこのへんの年代からかしら。
国際紛争やミリタリ要素の強い作品を描く時にチェコやユーゴの東欧を舞台にしたくなる気持ちがわからんでもない世代。
お話にしやすい国際情勢の煽りを若かりし頃に浴びちゃったこともあるし、中東やジャングルでの紛争よりも身近に感じることのできるエリアでした。今は情勢も落ち着いてますので実際訪れてみるのをおすすめしますよ。異世界ものにありそうな古き良きヨーロッパの風景は中欧・東欧に残ってます。
視聴時期:2020年3月
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2020.12.09追記
5月が初稿の本レビュー。半年経過して“武漢肺炎”の呼称は聞かなくなりましたね。“新型コロナ”で定着した感があります。こうして振り返って気づくことはままあります。
定点観測することで変化に気づく。現在の断面だけ見て踊らされることのなんと多いことか…
2020.05.18 初稿
2020.12.09 追記
宇宙開発長門有希 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アメリカやヨーロッパの外交を見ていると。白色人種特有の陰湿さや陰険さを感じることがある。例を挙げるなら、中韓に対し日本への反日と憎悪を煽ってるのはアメリカとヨーロッパの国々だ。
彼らはこのようにして民族同士を巧みに対立させ戦争へ導き武器を売りさばいてそれにより疲弊した国々に乗り込みその地域全体の資源と利権を強奪する。現在の中東を見れば一目瞭然であろう。
この傾向は白色人種が世界を植民地化した500年前からなんら変わらない。戦国時代の日本にも彼らが乗り込み武器を売りさばき火薬と交換に多くの日本女性が性奴隷として世界中に売り飛ばされた。その後天下人となった秀吉と家康が彼らを追放した。それが出来たのは日本が海に囲まれた島国であり世界の技術水準が未熟だったからである。陸続きの弱小国のアフリカとアジアの国々は次々と植民地となった。それから技術が数段向上した1945年に日本は占領され基地を置かれ現在まで監視下にある。彼らの凄まじい支配欲と執念深さと貪欲さは異常であり想像を遥かに超える。
そのくせハリウッド映画で見る彼らはカッコ良く、寛大で優しく正義の味方である。これは彼らのプロパガンダで彼らの本当の醜い姿を隠すものだ。
彼らの尋常ではない支配欲と執念深さと貪欲さの原因の一つに彼らの合理性にあると思う。手っ取り早く大儲けするには戦争が一番だからだ。そして多くの人間を洗脳して意のままに動かすことが出来きれば永遠に搾取することが出来る。彼らの中に戦争と支配と洗脳が繁栄の公式として出来上がってしまったのだろう。その公式の元多くの無辜の人間が殺されてもいいのである。
現在のグローバル化も彼らが作った洗脳であり彼らが最も儲けられる仕組みだ。言葉の力は絶大で彼らの書籍を読んだ世界中の識者やビジネスマンが見事に洗脳されグローバル化を支持しているのが現状だ。
結局、費用対効果を極めるなら、人間を無感覚のロボットにするしかない。しかし人間の心は無感覚にはなれない。そこにこのアニメから感じる救いようのない悲劇があるのだろうと思う。また欧米人特有のゾッとする陰気さもそこから生じるものだと思った。
Jun さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ありさ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「戦争」、「鬱」、「リアリティさ」、「グロ」。
これらが受け入れられる方は、楽しめると思います。
ただ、人を選ぶ作品だとは思う・・・。
私は、映画館にて視聴しました。
伊藤計劃作品は全て視聴済みですが、この作品が一番好きです。
特に、「テロ」と「虐殺」というキーワードにおいて、色々と考えさせられる作品でした。
※以下、ネタバレありです。
{netabare}
主人公が子供を銃で次々と殺戮していくシーンは、アニメ作品じゃないと見れなかったと思います。
また、心理カウンセラーの「これで、子供は殺せそうですか?」というセリフは鳥肌ものでした。
まあ、これらがこの作品の「虐殺」という点を際立たせるシーンだったと思います。
正直、大声で「名作だった!」とは言い難いですね。
{/netabare}
個人的には、お気に入り作品の一つですが、他の人に「絶対見て!」とは勧められないです。
どうやら、ハリウッド映画化が進んでいるようで・・・。
あまり内容を脚色せず、このままの通りに映像化してほしいですね。
クタクタ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ちょっちゅね~ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
総合的にまとまっており、必要な要素を本当に選択した作品。
話の内容は、
情報や貨幣がデジタル化されたアメリカにて、アメリカ軍の中でも虐殺を実行している指導者の暗殺を主任務とする部隊「特殊検索群i分遣隊」が存在する。
そんな中、あるアメリカの言語学者が虐殺を実行している指導者の殆どと接点があり、虐殺の元凶ではと政府が考え、特殊検索群i分遣隊に極秘裏に逮捕するように命令する。
命令を実行するように情報を集めているうちに、言葉による虐殺とは何か、アメリカの言語学者の本意は何かといった闇に触れていく・・・。
聞き手(視聴者)に対し、理由など説明しながら進む展開は非常に好感が持て、さらに中途半端な3DCGや不要な要素を入れない演出/映像/物語には拍手を送りたい。
無理やり難点を挙げるとすれば、主人公やモブといったキャラのデザインが似たり寄ったりで特別感が出ていない点のみ
kazz さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ドリア戦記 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
Progress さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
端的に言えば、アメリカの特殊部隊に所属するシェパードが、世界各地で虐殺を扇動するジョンという男を捕まえようとする話です。
{netabare}
シェパード達特殊部隊の隊員は、マスキングと呼ばれる、ナノマシンによる痛覚遮断技術、および感情調整における何事にも動じない兵士という、近未来的兵士を描いています。
このマスキング、感情調整という、フラットを生み出す設定が、心身の痛みに鈍感になった人間達を暗に示しており、鈍感な人間社会に住む一人のシェパードが、鈍感さを失っていく話になります。
私のように後追いで見た者の見方としては、「どれどれ、本当に何事にも動じない兵士なのかじっくり観察しようかな」なんて思うのですが、シェパードに関しては、ジョンの虐殺文法と呼ばれる手法に引っかかった敵や、ジョン本人に対しても、感情を揺り動かされ、ルツィアに関しては特別な思い入れまで入っていたように思えます。
まあですから、この作品は、特殊部隊が大事な仲間を失いながらも仕事を全うするようなアダルトなものではなく、社会に支配された(ここはジョンとシェパードの最初の会話、国家への隷属の部分)個人が、支配から逃れるまでに変化する物語だと思います。
シェパードとルツイアの関係は、最初こそ、情報軍のスパイと、チェコ語教師(ジョンの元恋人)という関係に過ぎませんでした。ところが、ルツイアがここで死ななくてもよかったとか、個人軽視の社会の個人感情を消した兵士(少年兵であろうが躊躇なく殺せる兵士)であるシェパードが個人の価値というものを見出しています。
どこで変化したか、ジョンとの会話の中でか、楽し気なルツイアとの会話の中か。(後者であるなら、調査対象に情が入るなんともお粗末なスパイなので、前者を押したいですね)もしも前者を押すなら、土壇場で言語学を専門とするジョンの巧みな会話による精神誘導に引っかかったともとれるので、やはり兵士としてはお粗末、なのですが、この作品のそもそもが兵士としての優秀さを描くものではないことは上の方で述べた通りです。
そのため感情に揺り動かされて無能な兵士であっても、兵士を感情のない兵器であるとするなら、そこからの脱却を描いたのが今作品だと思います。
ここで無感情の脱却という点で、いくつかのセリフとシーンが繋がります。
遠い場所で起きている虐殺で、アメリカに住んでいる人たちに届く話はほんの僅か。この意味と、ピザを食べながらテレビでラグビー(アメフト?)を見ているシェパードと、ウィリアムズのシーンは共通するものがあります。
世界のどこかで起きている虐殺、それを感情的に深入りしようとする人はほとんどいません。ニュースとして聞き流し、そんなことがあったのかと日常に戻る。感情的に起伏がない(フラット)のです。それが悪いかどうか、悪くはないでしょう。ただ、あまりにも世界の遠くで起きている虐殺に、痛みを感じなさすぎなのではないかと、そういうことを感じるのです。
一方でラグビーを見るシェパード達は、日常の中での痛みへの無感情を描いています。彼らが見ているラグビーの試合では毎回けが人が出ます。その怪我に対して驚くわけでも、悲しむわけでもない、フラットな感情なままです。ウイリアムズに至っては、バカなルールだと何気なく言う始末。同情ではなく、なんでこんなバカなスポーツやってるんだという、嘲笑(それを見ている彼らの鈍感さ)。
彼ら兵士にとって、ラグビーはどこか遠いようで近い、怪我をしてでも任務を遂行する所が似ているように感じてからの、仕事に対しての皮肉でしょうか。
しかし、2回目に映し出されたそのラグビー鑑賞シーンで、けが人が回復したときに、少しの安堵のようなものがその場に広がった時、彼らは鈍感な社会、鈍感な職業にいながらも、どこかで感情を持っているという、人間臭さを出しているのが伺えます。
さて、色々書きたいことはまだありますが、今回はこれで。
ありがとうございました。
【再視聴~雑多なシーンとテーマについて】
ストリーミング期間があるので、再視聴までそんなに期間を置かずに視聴しました。
まずは、ストーリーとはあまり関係のない、いくつかのシーンにおいて、気付いた事をメモ程度に示そうと思います
まず、赤髪の敵女兵士について。
印象的なシーンは、シェパードが路面電車に何気なく乗り込んで来ようとする赤髪の女を見て、ルツイアに「仲間か!?」と聞いた所。
なぜシェパードが赤髪の女を、敵兵士として認識できたか。
それは、赤髪の女の初登場シーンがその前にあるからです。ルツイアとチェコ語のレッスンを受ける契約をしたその日の帰り道、シェパードは何者かに付け狙われます。その時、シェパードの乗った地下鉄の電車に入ってくる怪しい者たちの中に、赤髪の女がいた。それをシェパードは記憶していたからです。
次に、序盤の仲間の死体置き去りと、ルツイアの死体置き去りの比較について。
まあ、これはシェパード自身が語っていますが、ルツイアの死体を置いてきてしまった、大切な人の死体は物に見えない。
つまり序盤で死んだ仲間の死体については、シェパードは物としてみていました。
その差異について何故発生したか、というのは、シェパードが特別な感情をルツイアに持ち、その感情を持つまでにシェパードが変化したから。
ここで差異の理由を述べるよりも、映像で見たときのシェパードの変化を見たほうが、ありありと彼の変化や感情を受け取れると思います。
民間軍事会社がなぜジョンを取り戻そうとしたか。
これは邪推に過ぎませんが、内戦が起きることによって軍需があり、軍需が発生し続ける限り、ジョンを生かすメリットがあったのではないでしょうか。
ここから、一つのテーマの話になります。世界の選択の責任
ここでいう選択は、世界の真実を知るべきか知らざるべきか。情報の隠蔽と選択。
知らなくてもいいことは知らず、安穏とした堕落した生活を守りたいと思う人、ジョンやウイリアムスがそれに当たります。(彼らにはそれを提供したい恋人や家族がいました)
世界で虐殺が起きている事を知らせるべきと思うのが、最終的なシェパードやルツイア。人々に今の生活がある理由を知らせ、その中で選択すべきという考え。
ルーシャスのセリフ、高度な自由であったり、人は見たいものしか見えない、人工筋肉の悲惨な生産現場など、便利や安全を得る自由を何気なく選択しているが、その自由を得るために使われている犠牲を人々は知るべきか知らざるべきか。
そういったテーマがある中で、ルツイアの願い「突然大切な人が奪われることがないような世界」をかなえるためにジョンが遠い世界の人間の命を天秤に掛けて選択します。結局、ルツイアはジョンの作り出そうとした願いの世界を否定するという、未だにジョンを好きだったはずのルツイアの選択、ジョンの間違いを描いた恋人の関係を描かれています。精神的依存がルツイアにあると視聴者に思わせていた状態から、実はジョンがルツイアの願いをかなえたいという、ジョンの依存精神を描いている、人物の精神的強弱の逆転、もしくは入れ変わりが面白かったですね。
メモ {netabare}
重要な言葉をいくつか挙げてみたいと思います。
虐殺、器官、言葉、痛み、マスキング、少年兵、サラエボ、フラット、ピザ、ラグビー、個人、国家、世界、心、感情調整、PTSD、遠い場所で起きている、伝わってくる話はごくわずか、潜在的意識、存在の消えた傭兵、人工筋肉、イルカ、クジラ、
二回目
民間軍事会社 情報の隠蔽 頭の中の地獄 仲間殺し 究極の兵士 ウィリアムズ 仲間意識 生得的文生成機能 赤い髪の女(電車) 指紋 網膜認証 俺は誰でもない 情報社会とのバランス(ルツイヤ)
自由の選択 プライバシーの自由と、テロの抑圧からの自由 指紋認証の銃 諜報機関 それほどの隷属(国家と兵士) ルーシャス ナノマシン 人は見たいものしかみえないようにできている 犯人は軍事会社 僕は知らない オルタナ(ナノマシン) 仕事と鈍感 心に覆いをする(ジョン) 中国製ヘリ マスキングされた敵兵士 計数されざる者たち 軍事企業がなぜジョンを助けるのか 内戦の勃発による軍需 自分が生まれた世界を守る 選んだ世界への責任 嘘っぱち 死体を置き去り(冒頭の置き去りとの比較)大切な人の死体はものに見えない 大切な誰かを突然失ったりしない世界 人の命の天秤 罪を背負う
{/netabare}
{/netabare}
daruma さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
原作既読
原作からシェパードのトラウマ要素を削ってしまったことが残念だった。ルツィにこだわる理由や、葛藤が無いのでシェパードの人間的な深さが薄まって感じてしまった。
戦闘シーンが生々しかったが、作品の残酷性を表現する上で重要だと思う。そういう意味では映像化されていた方がこの作品を楽しめるのかもしれない。
アレックスが暴走するなどの改変は、ジョンポールの不気味さを表現する上でナイスな改変だった。しかし、どのタイミングで洗脳されたのかはわからなかった。(スピーカー放送を聴いてたときかな?)
人工筋肉や未来的なデバイスなどSF要素がふんだんに詰め込まれていて、SFファンなら必見な作品だと思う。
EGOISTのリローデッドが良くマッチしていた。
まだ初心者 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
何の予備知識も無く観たのですが、めちゃくちゃ面白かったです。
テロとか軍とか国家とか好きな人なら絶対ハマると思います。
残虐な描写もあり、ストーリー的にも小難しい内容なので気楽に見れるアニメではないです。
この作品のことを全く知らない方は、「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」の順で視聴することをおすすめします。
ストーリー重視、バトルもの、ミリタリーもの、SFものが好きな方におすすめです。
ヘラチオ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
あなる さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
これは屍者の帝国、harmony/とは違って、原作を読まなくても理解出来た。なにより、声優の演技が素晴らしい。
ato00 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
K さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
reena さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ジャンル的には軍隊モノ。
何かこう設定を盛り込みすぎて、リアルなんだけど、尺足りなくて設定だけで話が終わってしまったような感じで、勿体ない作品だなぁと。
まず、近未来のSFの中で生きる、しかもガチ軍隊の主人公への感情移入がイマイチできないという所があり、話の展開も早いせいで、視聴者を置き去りにしてしまっている所が残念かと。
ストーリーの圧巻というか、視聴者のカタルシスはどこ?的な感じです。
これは尺の問題かなぁと。
後、設定を近未来というよりは現代のリアルに近づけるように配慮している一方で、犯人の動機がイマイチ、ぶっ飛んでいるというか、近未来的というか非現代的でない部分があって、そのバランス感の無さが、結局の所の作品のリアリティを損ねているような感じです.
そして、それを無理やり成立させるためのなのか、犯人の神秘性を上げるためなのか、よく分からないんですが、意味があるようでない難しい問答を入れすぎですね。好きな人は好きだと思うけど、よく聞くと中身がなくて、んな事あるかwwという印象を持ってしまいました。
とはいえ、作画やリアルな?戦闘シーンは悪くなかったような気がします。攻殻機動隊とかサイコパスとか、そういうのが好きな人は、多少似ている世界観があるので、本作をスキになり易いのではないでしょうか...?
虐殺器官のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。
あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら。
虐殺器官のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら
こちらのフォーム よりお問い合わせください。
世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?(アニメ映画『虐殺器官』のwikipedia・公式サイト等参照)
中村悠一、三上哲、石川界人、梶裕貴、小林沙苗、大塚明夫、櫻井孝宏
原作:伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫JA)、キャラクター原案:redjuice、 監督:村瀬修功、脚本:村瀬修功、デザインワークス:荒牧伸志/山根公利/臼井伸二/神宮司訓之/山田正樹、美術監督:田村せいき、撮影監督:山田和弘/中西康祐、色彩設計:茂木孝浩、CGディレクター:増尾隆幸、アフレコ演出:長崎行男、編集:長坂智樹、音楽:池頼広
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