101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
『My life is at a crossroads.』
【物語 3.5点】
2014年春に「Z会の通信教育」宣伝用に作られた新海 誠監督の短編アニメーション。
15秒、30秒のテレビCM、120秒のYouTube公開バージョンがあり。
離島から東京の大学進学を目指す女子高生。
都内でアルバイトをしながら受験勉強に励む男子高校生のお話。
塾がない田舎でも、時間がなくても
通信教育なら夢を掴める!とZ会の利点をアピールしつつw
見知らぬ少年少女が、思いも寄らぬキッカケで結ばれる。
というプロットは、次作『君の名は。』に向けた叩き台となる。
新海監督にとってはCMも小遣い稼ぎではなく、
アニメーション制作はプロモーション含めて、
個人制作時代の如くコントロールしたい
という強固な方針の一環であることが、ここでも表れる。
【作画 4.5点】
アニメーション制作・コミックス・ウェーブ・フィルム
“二つの太陽”に照らされた東京の街並み、路線といった、
特徴的な光源処理を長年、新海監督作品を制作してきた同スタジオも参加して構築。
特に、陽射しが差し込む試験会場にて、開始と共に、一斉に答案をめくるシーンがエモいです。
が、野暮ですが、私が受験生だったら、
眩しすぎるからカーテン閉めて下さいと訴えると思いますw
キャラクターデザイン・作画監督には、
『あの花』他、長井 龍雪監督作などで実績がある田中 将賀氏を迎える。
プレッシャーを受けてカチコチになるヒロインの表情など、
繊細で痛切な新海監督作品に、コメディ対応力と大衆性を付加。
田中氏は以後、次作『君の名は。』、『天気の子』でもキャラデザを務め、
新海作品ブレイクの起爆剤となる。
【キャラ 3.5点】
120秒Ver.で登場する数学添削担当のベテラン男性講師。
ヒロインと男子主人公の証明問題等の解答の癖が似ていると、
二人の運命を強調しつつ、
一人一人丁寧な添削で、心まで読んで寄り添う!とZ会を美化w
典型的な文系脳である私にとっては、数学を用いた心理分析能力は憧れです。
【声優 3.5点】
離島の女子高生・倉橋 海帆(みほ)(CV.佐倉 綾音さん)
都内の男子高校生・高村 翔太(CV.小野 賢章さん)
Z会の先生(CV.田中 正彦さん)
他、塾にも通ってない受験生の進路を懸念する、
通信教育の引き立て役ボイスなどが少々。
本気で勉強している奴は、表には出さず、秘める物という受験アルアルを、
やや危なっかしいヒロイン属性のあやねるボイスと、
余裕のイケボで、真剣なモノローグをカムフラージュし体現。
【音楽 4.0点】
「クロスロード」
やなぎなぎさんの8thシングル・カップリング曲。
アイルランド民謡のゆったりとした、
四季とふるさとを想起させるバラード曲「ロンドンデリーの歌」を、
アップテンポのバンド曲にアレンジ。
作詞は新海監督自ら行い、元曲を個人レベルの胸キュン青春ソングに改造♪
監督が全幅の信頼を置いて指名した、やなぎさんのクリアボイスが
二人を優しく包み込むように見守る。
【余談】
『君の名は。』公開年の2016年11月に、上映前CMとして一部で“劇場公開”もされた本作。
私は『君の名は。』は夏の公開直後と、翌春の終映間際の二回鑑賞だったので見逃していて、
それが、結構、心残りだったりw
また本作には桐山 なると氏によるノベライズ『クロスロード in their cases』もあって、
レビュタイは同作から拝借。
ただ、シナリオやキャラ設定は原作とはまた違った物になっているので、
CMからの深掘りなどを期待するのは禁物か。