せいさぶんせき さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
とても面白いだけに実に惜しい。
最近、まとめて一気に視聴してみました。
創作物としてですが全体的に及第点にはあり、
とても面白いと思いました。
ただし、様々な点において考えなければならない事が浮き彫りになった感じです。参考になるかはわかりませんが、下記はあくまでも私個人としての所感と見解です。また、最後にちょっとした注意喚起もさせていただきました。
1つ目は、
11話にてクリスハイト(総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課の菊岡誠二郎)がアスナの問いに対して、「セキュリティは鉄板、モニタリングも盤石だよ。すぐ傍に人はいるし、キリト君の現実の身体に危険がないのは責任を持って保証する。」「場所は千代田区御茶ノ水の病院だが。」という回答を引き出した後、12話にて実際にアスナがキリト君がダイブしている病院に駆け付けたシーンについてです。ゲーム内とはいえ殺人事件の潜入捜査であるのにも関わらず、病院の廊下や病室前に一人もSPや警察官が描かれていないのは問題があるのではと思いました。特にリアルの総務省と同じ組織設定ならば総務省は警察庁を管轄しており、殺人事件の潜入捜査なのでダイブ中の無防備なキリト君の周りにはSPや警察官による厳重警備が手配されている事が妥当と考えます。しかし、警備にあたる人影が全くない。ダイブ中は現実世界のキリト君の身体を守れさえすれば殺されることはないと結論付けていたのにも関わらず、警備にあたるSPや警察官が近くにいないわけです。例え担当していた女性看護師が単独で一騎当千の戦闘力を持っていたとしても警護体制としてはNGです。どこが「セキュリティは鉄板」なのか理解しがたかったです。私には共感できませんでした。
2つ目は、
11話にてクリスハイト(総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課の菊岡誠二郎)が「アミュスフィアではどんな手段を用いようとも毛ほどの傷もつけられない。ましてや、機械と直接リンクしていない心臓を止めるなど不可能だ。僕とキリト君は先週リアルでたっぷり議論し、最終的にそう結論付けた。ゲーム内からの銃撃で現実の肉体を殺す術はないと。」と語っていたが、あくまでも私個人としてですが疑義があります。
オンラインゲームの雛型となっている茅場晶彦が開発したダイブシステムでは、人体の五感である視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる)などといった5つの感覚を実現できています。実際にゲーム内で痛みや味、寒暖差など、様々な描写がなされています。
結論から言うと、人体は五感に対して極めて耐えがたい激しい感覚に襲われると、高い確率でショックによる心肺停止が想定されると考えます。例えば、人体が熱い炎に包まれると、肉体の原型を維持している極めて早い段階であっても、極めて耐えがたい激しい熱さというショックに襲われて心肺が停止する筈です。例えゲーム内であっても、五感に対して極めて耐えがたい激しい感覚を再現できれば容易に心肺停止に至らしめる事が可能と思います。私は当初その線でシナリオが構成されていると思っていたのですが、まさか現実世界におけるアナログ的な犯行による心肺停止とは思いもよりませんでした。どちらにしても、茅場晶彦が開発したダイブシステムでは人体の五感に作用する事が可能なので、精神的な面をも含めて人体に対して心肺停止にまで至らしめる何らかの極めて強いストレスを与える事は十分に可能と思います。
例えば、手術中の痛みや意識を取り除く全身麻酔をせずに、胸部の外科手術を受けた場合を想像してみてください。おそらく、胸にメスを入れるくらいまでは耐えられるかもしれませんが、術野を確保するために開胸器で肋骨と肋骨の間や胸骨の間を広げられた時に正気を保てる自信がありますか?しかも、あくまでもそれは手術の序盤であって、さらに人体にメスを入れて手術が進行される事になります。リアルにおいて拷問中にショック性の心肺停止という歴史もあるわけです。焼身刑ならば、間違いなく早い段階でのショックによる心肺停止が想定されるという事です。
1期にてオベイロン(須郷伸之)がGM権限を悪用してキリト君のペインアブソーバーのレベルを下げ、キリト君が激しい痛みに苦しむシーンがありました。現状の茅場晶彦が開発したダイブシステムでは、現実世界と仮想現実の世界における情報量の差から、例え内臓器の痛みまでの精密な再現性はないとしても、最低でも人体表層の痛みまでは十分に再現できているわけです。キリト君に顔面を貫かれたオベイロン(須郷伸之)は現実世界にて、顔面や視力に酷い後遺症が出ていました。つまり、チート設定などでペインアブソーバーのレベルをマイナスにて増幅的な調整をすれば、ショック性の心肺停止にまで至らしめる事も可能と考えます。そういった1期の劇中描写をも鑑みると、11話にクリスハイト(総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課の菊岡誠二郎)が断言した「機械と直接リンクしていない心臓を止めるなど不可能だ。」という認識は明らかに危険な誤りであると私は考えています。もっと言えば、アニメ劇中の総務官僚には想像力とソリューションスキルを併せ持った情報処理技術者は誰もいない設定なのでしょうか?私には共感できませんでした。
3つ目は、
命に係わる危険性の度合いに関係なく、殺人事件の潜入捜査に未成年者である高校生を利用するのは非常に問題があると思いました。しかも、親や保護者への事前報告や了承もないわけです。というか、大切な子供を殺人事件の潜入捜査に参加させる馬鹿な親や保護者は絶対にいません。警察機関や行政機関が行う潜入捜査とは、その内容の一切を親兄弟子供といった近しい親族であっても内容を明かす事は厳重に禁止され、殉職した場合には日常勤務中の不幸な事故死などとして処理され、殉職後、遺族に対して詳細な経緯説明がなされる事は絶対にないというのが原則と思います。また、架空の総務省ではありますが、殺人事件の潜入捜査に未成年者の高校生を利用する事に、強く反対する常識ある総務官僚などが劇中にて一人も描かれていないところが、私個人としては非常に残念なポイントでありました。総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課は最高責任者を含めて常識人が全く存在しない闇組織なんですかね?これでは、架空の創作作品とはいえリアルの総務省と警察庁に対しての認識に悪い意味での誤解が生まれかねないと思いました。簡単に言うと、創作の世界とはいえ総務省が『未成年者の高校生に対して、殺人事件の潜入捜査という高額報酬を伴った闇バイトを斡旋』しているわけです。そんな事を総務省主導で行っていたら大きな社会問題となります。当然、悪い事は何時かは明るみに出るわけですから、いつか劇中の菊岡誠二郎にも国家公務員法第82条の懲戒処分が適用されるストーリーはあってしかりと考えます。リアルの総務省や警察庁が殺人事件の潜入捜査に未成年者である高校生を利用する事は絶対にありえないので、リアルの総務省や警察庁に対して悪い印象を持たないで欲しいと切に思いました。創作の世界とはいえ、総務省という用語を引用している以上、リアリティがなければ共感に繋がらないので非常に残念なポイントであると思いました。私には共感できませんでした。
最後に未成年の子供達を守るためのお願い。
【子供たちへ】
行政機関や警察機関から何らかの依頼があった場合には親や保護者に速やかに報告し、
その場では絶対に何も回答しない事。
できれば、スマホなどで会話内容を全て録音して親や保護者に速やかに聞いてもらう事。
【親や保護者の方々へ】
お子さんからの報告内容を速やかに確認し、
依頼してきた省庁や警察署の問い合わせ窓口ではなく、
政府のトップである首相官邸の問い合わせ窓口に速やかに通報する事。
閣僚である担当大臣にトップダウンで対応してもらう事が重要。
『未成年者の高校生に対して、殺人事件の潜入捜査という高額報酬を伴った闇バイトを斡旋』
の様な事案は官僚レベルで内々に対応することではありません。
大きな社会問題でもある事から、トップである政府と担当大臣に協力を仰ぎ、
子供たちを守る為の最善を考えなくてはならないからです。
普段から大切な子供たちと以上の様な打ち合わせを綿密にしておく事。
特殊詐欺や闇バイトから子供たちを守らなくてはなりません。
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