いさ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
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ジョバンニの島の感想・評価はどうでしたか?
いさ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
かんぱり さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
のどかで平和に暮らしていた色丹島の島民たち。
1945年8月15日に戦争が終わり、これからの生活に不安を抱きながらも平穏に暮らしていた9月のある日。
突然ソ連の軍隊が島に上陸して、島民たちの生活は一変してしまいます。
住んでいた土地や家は奪われ、入植してきたロシア人が住み始め、島に住む純平と寛太の兄弟の家も、ロシア将校の家として使われてしまい・・
そんな中、ロシア将校の娘ターニャと純平はだんだんと仲良くなって、淡い恋心も抱くようになります。
ソ連の侵攻がなかったら出会わなかった二人。
でも。
こんな出会いじゃなかったら良かったのにって・・
1947年9月25日。
{netabare}色丹島に住んでいた日本人は全員、強制退去させられてしまいます。
ターニャとの突然の別れ・・{/netabare}
でも {netabare}日本に帰れると思った純平たちが着いたのはソ連の収容所でした。
劣悪な生活環境で大人たちは重い労働をさせられ、子供たちは病気になる子もいて・・{/netabare}
{netabare}離れ離れになっていた親子の再会。
日本に帰る直前に病気で亡くなった弟の寛太。{/netabare}
そして {netabare}数十年ぶりに色丹島を訪れた純平たちがやっとできた卒業式。
年をとった先生が卒業証書を渡すシーンは{/netabare}泣きそうになりました。
戦争を描いた作品はほかにもありますが、北方領土を舞台にしたものはなかなかないし、もっと知られても良い作品だと思います。
tinzei さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
タマランチ会長 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
退会済のユーザー さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
日本音楽事業者協会創立50周年記念作品
宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』をモチーフとした、実話をもとにした作品
想像して見てください。
ある日突然、故郷を奪われた人々がいる事を――。
少年と少女。
戦争が背景にあり翻弄されながら交流を重ねて。
派手なアニメ的な要素は少ない。
戦争の凄惨さは現実的で「地味」な死で描かれる。
実話を元にしている作品。
歴史、時代背景を知る一つのピースとして視聴しておいて損のない作品だろう。
自分用メモ
{netabare}
戦争の歴史を学ぶときは双方向の視点を持つ
事実を受け入れ自己の解釈を挟んではいけない
深くのめり込まず過去ばかりに視線を向け今をないがしろにしない
ロシア民謡「カチューシャ」
「あぁ、きっといくよ」
{/netabare}
DEIMOS さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
北方領土がどのようにしてロシアに領権主張されるに至ったかを子供目線の感動ストーリーで描いたお話。日本人の中には、いつどうやって北方領土問題が生まれ、その時の現実はどのようなものであったか知らない人は多いだろう。この映画を見れば、当時の様子がどのようなものであったかのイメージを得ることができる。日本人であれば、その問題に真摯に向き合う必要がある。
しかし、単なる退屈な勉強アニメになっているわけではない。先住の日本人の男子と侵攻したロシア人の女子の心の交流と恋心の芽生え、そして、日本人の強制退去による別れ。分かりやすい展開ながら、リアリティが故に感動できる。アニメーションの幅の広さを実感できる良作だ。
又、プロダクションイIGが想像以上のマンパワーを投入しており、作画面での見所がたっぷり。IG作画陣の主力メンバはもちろん、カリスマアニメーター井上俊之氏によるラストのダンスシーンは必見。
renton000 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。
初見でした。100分くらい。実話をもとにした作品。
終戦前の色丹島を舞台として始まり、その後のソ連軍侵攻によって起きた生活の変化を描いた作品です。これを俯瞰的な視点ではなく、一つの家族の視点から見続けます。現在の北方領土問題のきっかけとも呼べるものですが、政治的な主張は脇に外し、あくまでも家族愛や人間愛を描くことに主眼に置いています。
視聴に際して特に基礎知識は必要ありませんが、余裕があれば二つのことを予習しておくといいと思います。
一つ目は、歴史的な背景です。
最初から最後まで一家族からの視点で描かれますから、大局的な視点による解説というのはほとんど入りません。その裏で何が起こっていたのかは、視聴者側の知識に委ねられています。ですから、最低限の歴史的な背景は押さえておくと更に理解が進むものと思います。
二つ目は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』(以下、『銀河』)に関する知識です。
タイトルに入っている「ジョバンニ」は『銀河』の主人公の名前ですし、重要なシーンは『銀河』の描写と絡めた演出がされています。この作品自体が『銀河』をモチーフにしていますから、『銀河』に関する知識があれば、より楽しめるでしょう。
誤解してほしくないのですが、基礎知識がなければダメ、というわけではありません。この作品自体はきちんと完結したものとして成立していますし、知らなくても十分楽しめることは間違いありません。ただ、この作品を見た後にこれらの知識を習得しようとする欲求が出てくるものと思います。ならば、後手を打つよりも、先手を打つ方がいいのではないのかな、と思った次第です。
とはいえ、「めんどくさい!」という方も多いでしょうから、このレビューではその補完を目標として位置付けたいと思います。
歴史的背景:{netabare}
1945年2月 ヤルタ協定(全ての元凶のような…)
4月5日 ソビエト、日ソ中立条約の不延長通告(一方的な条約破棄)
8月8日 ソビエト、対日参戦
8月11日 ソビエト、日本の国境侵犯
8月14日 日本、ポツダム宣言受諾(事実上の戦争終結)
8月25日 ソビエト、南樺太占領(日本の武装放棄後の侵攻)
9月2日 日本、降伏文書調印調印(形式上の戦争終結)
8月28日~9月5日 ソビエト、択捉・国後・積丹・歯舞群島占領
1946年2月2日 ソビエト、北方四島の自国領編入
1947年~1949年 日本人の強制帰国
作品内で描かれる期間は、玉音放送前から日本への帰国までです。ソ連軍が侵攻してきたものの、ポツダム宣言受諾後であるため交戦できず…と展開していきます。
{/netabare}
『銀河』のテーマ①:{netabare}
『銀河』は多くの作品に引用されていますが、引用される中心はほぼ決まっています。蝎(サソリ)の話です。「ほんとうの幸」について考える主人公ジョバンニが、「蝎のようになりたい」と願う話。
蝎は虫を殺して食べて生きていた。ある時イタチに見つかって食べられそうになってしまった。一生懸命逃げたけど、いよいよ捕まりそうになってしまった。その時、井戸に落ちて溺れてしまった。
蝎はイタチに食べられなかったことを後悔した。どうせ死ぬのなら、イタチに食べられていたら彼を一日生かすことができたのに。神様お願いします。むなしく死ぬくらいなら、まことのみんなの幸のためにこの体を使ってください。
すると蝎は真っ赤なうつくしい火となって、闇を照らし続けた。
私の他作品のレビューでも『銀河』については触れていますが、今作のレビューとしてはもう少しだけ踏み込みます。
{/netabare}
『銀河』のテーマ②:{netabare}
「蝎は虫を殺して食べて生きていた」というのは、原罪について述べられたものです。「生きるためには、他者を犠牲にしなければいけない」ということ。
これに続く「逃げる蝎」というのは、心情について述べられたものです。「他者を犠牲にすることは厭わないけど、自分が犠牲になるのは嫌だ」ということ。
蝎が井戸に落ちた際に感じたのは、自分が犠牲にならずに死ぬことが、結果として無駄死にになってしまうのではないかということです。「原罪を避け心情を優先したことに価値はあるのだろうか」ということ。
そして、蝎が見せたエゴから自己犠牲への転換が、世界に希望をもたらしました。
ジョバンニは、この「無駄ではない死に方をすること」を「自分の生き方」と捉え、「みんなのほんとうの幸」のために身を捧げようと心に決めます。ですが、「みんなのほんとうの幸」というのが何なのか分かりませんでした。これを探すことがジョバンニの目標となり、同時に私たちに対する問題提起となります。
『銀河』における銀河鉄道とは、この世からあの世へと向かう鉄道です。そこにジョバンニとカンパネルラの二人が乗り合わせることで、死に方と生き方を考える話、これが『銀河』なんだと思います。
おそらく、『ジョバンニの島』を見た方は、私が何を言わんとしているのかは分かると思います。
「生きるために犯す罪とは何なのか」「自己犠牲を厭わないほどのほんとうの幸いとは何なのか」「なぜ銀河鉄道に乗れないのか」「なぜ銀河鉄道に乗れてしまうのか」、この『銀河』と関連したテーマが作中で描かれていきます。
蛇足ですが、私は他のレビューでも『銀河』の話を書いていますが、特別この作品が好きなわけではありません。ただ、多くの作品に引用されていることを考えると、教養としては成立しているんだろうな、とは思います。
{/netabare}
基礎知識は以上で終わりです。次項は単なる感想です。
国の狭間、人種の狭間、親子の狭間など様々な狭間が描かれているこの作品。私が視聴後に感じた時間の狭間と共感の狭間について述べてみたいと思います。
時間の狭間と共感の狭間:{netabare}
時間には二つの概念があります。クロノスとカイロス。
クロノスというのは、刻一刻と流れる客観的な時間の流れを指します。実時間とも訳されます。「時刻」や「スケジュール」や「タイム」をいうときの時間の概念に相当します。
カイロスというのは、体感時間とも訳される主観的な時間の概念です。「集中しているときは時間の進みが早い」というときの「時間」はカイロスに含まれます。また、ある書籍によれば、カイロスは「その出来事が起きる前と後で、人間に質的変化が起きる時間」であると書かれていました。つまり、「タイミング」の概念です。
例えば、「私が誕生した日」は、私の家族には質的変化をもたらしたでしょうから、私の家族にとってのカイロスに該当します。ですが、その他の人々にとっては「いつもと変わらぬ日」でしょうから、単なるクロノスに過ぎません。つまり、同じ時間に対しても、立場の違いによって認識の相違は当然生まれ得るということです。
このカイロスによる共感というのは、個人的なものだけには留まりません。多くの日本人にとってのカイロスというものも存在しています。カイロスの質的変化に着目するのなら、現代の日本人にとってのカイロスは二つあると思います。一つ目が1945年8月15日の終戦の日、二つ目が2011年3月11日の東日本大震災の日です。
もちろんここで俎上に載せたいのは、前者の方です。
1945年8月15日が私たち日本人のカイロスになっているからといって、それが世界的な共通観念となっているわけではありません。英米ソなどにとっての終戦のカイロスは、おそらく1945年9月2日だと思います。なぜなら、これらの国々は、日本が降伏文書に調印した日をもって対日戦勝記念日としているからです。
現在の日ロ間における北方領土問題は、政治的または法的に解決することは出来ると思います。ですが、どのような解決策が図られたとしても、両国民間におけるカイロスの差は埋まらないように思えます。おそらく、その差は感情の差として表出することでしょう。フォークランド紛争によってイギリスとアルゼンチンの領土問題が解決したとしても、両国民間の不和が拡大したように、です。個人的なカイロスに差があるように、集団的なカイロスにもまた差がある。
この作品のエンディングがあのような形になったのは、国や人種の差はあれど、同じ時間を過ごしたという個人的なカイロスの共有が出来ていたからだろうな、と感じました。これは、国や人種が違えども個人的なカイロスなら共有できるという希望の形の一つだと思います。
ですが、この延長線上に集団的なカイロスの共有があるのかは、私には分かりません。延長線上なのかもしれないし、別次元なのかもしれない。クロノスをカイロスにすることができるのかも、個人的なカイロスが集団的なカイロスになるのかも、別のカイロスを持つ集団同士が歩み寄れるのかも分かりません。端的に言えば、どこまで共感を育むことができるのか分からない、ということです。
私は合理主義的な性格も強いですから、どのような問題にも「白黒はっきり解決させろ」という意見を持つことが多いことは自覚しています。ですが、何を持って解決とするのかという問題解決のスタート、やはりここが一番難しいようにも思えます。
{/netabare}
対象年齢等:
家族愛と人間愛が主題ですから、全年齢が対象で良いと思います。戦争ものではありますが、凄惨な場面というのも描かれませんからね。
ここに関しては「凄惨でない戦争があるか!」との批判もあるかもしれませんが、私はこの作品に関してその批判をするのはやや的外れなような気もしています。この物語はあくまでも主観で進行しているため、凄惨な場面に出会わなければ凄惨さは描きようもないでしょうからね。実際にそうだったのかは分かりませんけれど。
私の感想はともかくとして、視聴後のすっきり感もいいですし、素直に見てよかったなと思える作品でした。何を見ようか迷っている方はこの作品に手を出してみてはいかがでしょうか。
イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
色丹島の少年と家族、ロシアの少女ターニャとの交流や
戦争に翻弄される姿を宮澤賢治をモチーフに切なく描いて
います。
奥行きある美しい画像で戦争の悲惨さや北方領土問題を
考えさせる優れたアニメだと思いました。
樺太のシーンが印象的でした。
監督/西久保瑞穂
2014年2月22日公開
ゅず さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
【一言紹介】
ジョバンニとカンパネルラの星の旅
【思ったこと】
{netabare}
始まりから最後まで
色も音も
切なくて、悲しくて、
苦しくて、寂しい
そうゆう感情を堪えるのに
精一杯だった。
涙もでそうだった。
最後のあの世界はなんだったんだろう。
表だけ楽しそうにして
心の中は真っ暗なのを
まるで隠してるようで
とてもとても私には心苦しくて
明るい気分になれないような
終わり方に思えた。
{/netabare}
【ゅずワールド】
{netabare}
人と人って
なんでこんなに
分かり合えないんだろうね。
ただ生きていることだけで
幸せなはずなのに
好きになったり
憎んだり。
人間はそうゆう感情を持てることも
すごく幸せな存在だよね。
まるで海、否、銀河の底で
息を止めるような
感覚になった。
【おとぎ星】
星が見える
その星の音を繋いで
楽譜にしよう。
一つの星の音だけじゃ
奏でれないメロディー。
その星達は
競り合って
高め合って
響き合う。
三拍子、四拍子、
それぞれ違う星と
重なり音を奏でる
それぞれ星は違うけれど
こんなにそばにいて
こんなに遠くにいる
そんな星達の
音とおとぎ話。
【星めぐりの空】
あの二つ星に出会わなければ
僕はこんなにもこの空を
見たいと思うことはなかっただろう。
君達が流れ星になって
僕の中をかけめぐる
こんなにも素敵に輝く星達を
大切に大切に思う
金平糖を食べたら、みんな星になって
この銀河の中でも息ができるよ
僕たちはどこまでもどこまでも一緒にいけるだろうか…
僕はどこまでもどこまでも君達とかけめぐりたいな。
{/netabare}
シェリー さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
第二次世界大戦が終わりを告げ、アメリカの占領下に置かれ変わっていく日本。北方領土だけはソ連に占領された。
戦時下であったのにも関わらず、静かで穏やかだった村の人々は、武装したソ連の兵隊を見て一瞬にして恐怖に凍りついたのだった。
この作品は北方の色丹島のある一家の兄弟に視点をあてたお話。
映画自体は、全体的にスムーズな進行で飽きることなく最後まで観ることはできるが、
戦争の影響で抑圧された人々を描くには、いささかその内容とフットワークは軽過ぎる。
ストーリーは、貧しく辛い環境の中でもなんとか楽しく暮らしている描写から、だんだんと雲行きが怪しくなるように進んでいく。
初めは戦争の枠内で描かれてきたことは、少しずつ主人公の純平と寛太にフォーカスされていく。
戦争の中で生きる幼い兄弟のことを描くつもりが、兄弟愛に傾き過ぎているように(少なくとも僕にはそう)見える。
ちょうど天秤の秩序が乱れ片側に傾くように、ストーリーの大きな2つの要素のバランスを欠いてしまっていることが、この作品の玉に瑕なところである。
そうなると何がいけないのかというと、せっかく実際に起きたことを持ち出して語ろうとしているのに、
それをてこにしてしまい、この作品が匿名的な感動ものへと落ち着いてしまうことにある。
抑圧に耐えながらも必死に生きるという話は、兄弟愛を描いた泣ける作品へとシフトしてしまっている。
結果、実際に観ても心に迫ってくるものはないし、骨身に沁みるような感触もまったくない。
こんなに悲しいこともないんじゃないかな。
この作品には宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が出てくる。純平と寛太のお父さんが好きで彼らも影響されて読んでいる。
ちなみに、”純平”と”寛太”はの名はそれぞれ、”ジョバンニ”と”カンパネルラ”からきている。
本の内容が出てくるシーンはとても綺麗である。夢や希望は空にある星のようにひたすら輝き続ける。
彼らもそれに手を伸ばす。
『赤毛のアン』のようなクレイジーさはないにしろ、ちょっとした現実逃避や明るい未来の幻想を抱くがために、彼らの前に銀河鉄道はどこからともなく現れる。
そんなものを見ることができたら誰だって、宇宙の果てまで連れて行ってくれるのだろうと思わずにはいられない。
純平と寛太も、あるいはジョバンニとカンパネルラも、そう思わずにはいられないのだ。
僕は『銀河鉄道の夜』をそんなに熱心に読んだことはないのでわからないけれど、
おそらくは、本とこの作品は筋書き通りに関係していたと思う。そのへんは詳しい人に。
否定的なことも言ってきたが、当時の人々が見たこともない外人に押しのけられるようにして生活している描写には、
やはり観ていて辛いものがある。その絵は比較的簡素に描かれる。影の付け方なんかは独特で不安を感じさせる。
引きで映るときの建物や、教室を俯瞰で映す際に画面の隅に映るものを極端に曲げて描いている。
これも、そこには見えない重圧があることを示唆しているように感じる。
人々の不安や混乱、ぶつけようのない怒りはこうしたものを通して十分に描かれている。
アニメであることの意味はちゃんとあったけれど、ストーリーの辿り着く先はいまひとつだった。
それは何に重点を置くかによって大きく異なっただろうと思う。
しかし、戦争というテーマを引っ張り出してきながらも、誰もが手に取りやすい作品を作ろうとしていたならば、これは正しかったと思う。
子どもでも入っていきやすいし、画面上で起こっていることがじんじんと伝わってくる。
個人的にはもう一歩二歩踏み込んでも良かったような気もするが、そういうことであるならば頷ける良い作品である。
余談
僕はもっともっとこういう作品が増えればいいな、と思う。
アニメだから少年漫画原作、ラノベ原作であることはないし、必要以上にファンタジックになることもない。
もっとアクチュアルなものを取り入れて、現実にコミットするだけのパワーを持った作品があっていいと思う。
エンタメや娯楽ばかりの「アニメ」だけでは、アニメーション自体が停滞を続け、ヲタクのものだと蔑視を受けたままだ。
「アニメ」が日本の文化だなんて僕はちょっと言えない。
それはたまたまコーラがよく売れるから、たくさん売っていることと同じことだ。そこには進化も、発展も、昇華の可能性もない。少し極端な意見だけれど、もうちょっとマシなものが受け入れられる余地があってもいいなと思う。
そうすれば声優も、わざわざ有名人なんて使わなくたって、本職の方々にやってもらえたりしないかな?
まあ、ともかく『ジョバンニの島』のような作品がもっともっと増えることを僕は期待したいです。
退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
戦争
私は知らない。両親も知らない。
私の思いは伝えることができますが、私の口から次の世代へ伝えることは難しいです。
曽祖父母の体験談、学校での授業、
ドラマ、映画、アニメ、漫画、本
そんなものたちからしか知りえないです。
この作品を通して、
私はまたひとつ、戦争のことを知りました。
内容というよりも、私の感じたことを書いていきます。
{netabare}
終戦したのだけれど、ソ連軍に色丹島占領されてしまう。
今までの暮らしはできなくなる。
馴染めない文化が唐突に入ってくる。
それでも子どもたちは受け入れることをしていく柔軟さ。
歌っていた歌もいつのまにか互いの国の歌。
そしてひとりのロシアの少女と交流していく。淡い恋心と共に。
この様子をみていたら、
子どもの目に映るものは国の立場など関係なくどちらの国も一緒、
戦争を望んでいる子などいなくて、
大人たちの戦争に巻き込まれてしまっているだけなんだ、と改めて感じました。
子どもが亡くなる
これほど私にダメージを与えるシーンは他にはないです。
小さなうちは、セキをコトリとするだけで芯からひやっとしたものです。
大人だと信じられないようですが、子どもは肺炎になりやすくすぐ危ない状況に陥ります。
私などは傍で見守ることしかできず、ただ願うだけです。
あぁどうかこの小さな命が消えてしまわぬように、と。
父親に会いたい、その一心。
そんなにも会いたいものなのかと思いますが、
実際私もそうでした。
母や父に会いたいという子どもの想いほど強いものはないのですね。
泣いてしまうというより、私は思い出しました。
ひとりの命の灯火というのが、こんなにもあっけなく消えてしまうことがあることを。
お父さんに会えてよかった。
手に、指に、触れることができてよかった。
そんなことばかりが頭をかすめてしまいました。
銀河鉄道の夜のセリフ、映像、それはとても綺麗でした。
ふたりの生きる世界とリンクするように物語が進んでいくのですが、
私にはまるで違う様に感じました。
現実は生々しく、宮沢賢治の世界はあまりにも幻想的なのでした。
どこまでも行ける魔法の切符。
けれど私はそんな凄い切符などより、カンパネルラと同じ切符がいいと思ってしまう。
もう動かない弟、寛太を背中におぶっているとき、純平が何を感じたのか考えると胸が詰まりました。
涙が出てやまなかった。
魔法の切符、悲しすぎます。
けれど、どこまでもどこまでもふたりは一緒なのですね。
{/netabare}
ラストに流れる「星めぐりの歌」
宮沢賢治の世界がよく表現されている美しい歌です。
この作品の最後に相応しい歌でした。
この映画の冒頭で記されていた賢治の綴った文章
「けれども、本当のさいわいは一体何だろう」
とても深い言葉で、私はまだ分かっていないです。
これから段々と分かるようになってゆくのでしょうか。
kunitono92 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
北方領土の色丹島で起こった史実をもとにアニメ化した作品。
民族と文化は、平和的な交流できっとお互いを豊かにし得るもの。
しかし、戦争はその全てを理不尽に切り裂くということを改めて感じさせられました。
北海道で暮らす自分にとっては、身近な問題として早急な平和的な解決を望む「北方領土問題」
みなさんもぜひこの作品から何かを感じ取ってもらいたいです(._.)
退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
2014年冬作品なのに、画像が無くて残念。
これは本当に美しかったです。
島の景色、暮らし、空の色、花の波。子供達の遊び。
戦争が終わってホッとしたのもつかの間、ソ連軍がやって来て色丹島を占領する。それまでとは違う暮らしを強いられ、先の読めない生活となって…。
日本の子供とソ連の子供が近づいてゆく描写がまた素晴らしかった。
とったとられたの関係でも、そばで暮らしていれば否が応でも文化は影響しあってゆく。
耳で覚えあった歌声を重ねる姿。
壁越しに汽車を走らせるシーンは、目を見張る鮮やかな陰影が走り抜けていきました。
そんな時代でも、身近な物から魔法のように刺激される、子供時代の遊び心が伝わってきます。演出は「ばらかもん」の橘正紀でした。
ここ以外でも、汽車のシーンは映えていて、作品を最後まで引っ張っていきました。
様々な大人たちの存在が極立っていました。
{netabare}漁師として海で死ぬことが自分の人生だと決めていたおじいちゃん。
兵隊が来ても普段通りを毅然として通そうとした先生。
ちゃらんぽらんだけど、いつでも生き抜くことを諦めず、力を分けてくれたおじさん。
責務を背負ってどんな時も背筋を伸ばしていたお父さん。
自分が出来る範囲で助けてくれた異国の人。 {/netabare}
美化はあるのだろうし、原作(「北の国から」演出家の杉田成道 作)のグロテスクな部分は抜きにしてあるらしいけれど。
戦後の復興期のたくましさを描いたドラマはよく見かける中、その恩恵の下に入れずに抑留されたままだった人々も居るのだと、美しさを交えながら語ったアニメ作品です。
絵の色合いは絵の具を拭きぬぐったようなマチエールが重ねられていて、人物の線は柔らかく省略が小気味良いです。アニメにセンスを求める方にも、充分響くものがあると思います。
(Production I.G.制作、キャラデザと作画監督が「四畳半神話大系」の伊東伸高、原画はそうそうたるメンバーです)
「銀河鉄道の夜」のセリフが重ねられた内容でもあります。ラストに流れる、宮沢賢治の詩にさだまさしが曲をつけ、幾人もで唄われた歌も、とても優しく流麗です。
みのるしさんの実感のこもったアツいレビューで観てみましたが、私もおすすめします。d(^_^o)
子供と観ていたので、私はつい泣けなかったのですが、純度の高さに幾度も波が押し寄せました。
みのるし さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
めちゃくちゃ泣きました。
とにかく最後のダンスシーンはもうダメでしたなー。
ゴッドファーザーPart3のラストのダンスシーンもめっちゃくちゃ泣きましたけど、それ以上でしたよう。
しかも最後の字幕は涙でまったく見えなかったので、こんなに声をあててはった人らがビッグネームな人らだったとは後から知ったとゆう。
ボクのおとんは戦後満州から命からがら逃げてきた人で、当時のロシア人の日本人に対するふるまいに対して死ぬまで怒っていたわけでしたので、正直違和感があり、見てみようかなとゆう衝動に駆られませんでした。
ややあって、けみかけさんのレビューやら前田有一さんの批評やら見てるうちにやっぱり見てみよかなとなったんですが、いやはや見てよかったですわ。
子供目線で戦争のハナシを描いたのんはいままでも結構あって見るたびに涙腺崩壊してるんですが(『ホタルの●●』とか『少年●』とか崩壊せんへんのんもありますけど)、これは爆発的な破壊力を持ってましたですな!
映像もほんとに素晴らしく、どのカットも無駄のない、それぞれのシーンひとうひとつにその意味や思いがこめられているのが伝わってきて『いい映画だなー』としみじみ感じましたですよ。
当時のロシア人と日本人との交流もややゆるめの緊張感の中で微妙な均衡を保っていた的なこともどうやらホントにあったことらしいので、ボクのおとんから聞いていたロシア人象とは全くことなりますけども、そおゆうことならそうなんだろうと。
北方領土返還の問題についてはもつれにもつれてもはや高度な政治的問題に発展しちゃってる感もあるのでこのことについて語るならエンタメ・アニメーションではないほうがええ思うのですが、北方領土への侵攻とゆうのはある日突然上陸用舟艇から戦車が降りてきて漁民を踏みつぶし、建物を破壊し、女を犯しまくって蹂躙したロシア人がやってきたのだ的なうがった見方(たしかにそおゆう部分もあったにはあったでしょうけども)から解放されるだけでも現代を生きる日本人とロシア人にとってよい結果をもたらすに違いないと思うのでした。
ただ、嫁はんと子供に『この映画すんごいええから一緒に見ようぜ』といったところ、政治的なイデオロギーが介在しているようなアニメーションはよくわからないので却下!的なことをゆわれてしまいました。
いくらええ映画を作っても見る側がこんなんではどないもなりませんな。
こおゆうテーマの映画が抱える問題点を身近なところで垣間見ました(滝汗)
おとんが生きていれば一緒に見て、ご意見賜りたかったかもですなw
けみかけ さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
北方領土の一つ、色丹島を舞台に「終戦~ソ連侵攻~日本人強制退去」を描くフィクションです
作品の随所に宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフとしたイメージを挟み込んでくるのが特徴
この映画を観る前、北海道を旅したときに訪れた札幌の北海道庁旧本庁舎にいらした北方領土出身のガイドさんのお話を思い出しました
結局、北方領土に住んでいなかった僕ら世代が、あの島の問題をとやかく言っても肩透かしなんだと、虚しさを感じた話でしたね
ただ生まれ育った故郷に帰れない人々がいる、その事実を僕らは知っておかなければいけないわけです
キャッチコピーが「忘れてはいけない物語」と、なっていますがこれはちょっと違うと感じますね
1945年、戦時下の色丹島では比較的緩やかな日々が送られていた
しかし終戦直後、ソ連軍による突然の占領を受けて島を守っていた日本軍は武装解除とシベリアへの抑留を余儀なくされ、残された島民達もソ連軍による制圧や略奪を受ける
密やかに、しかし必死に今日を生き抜こうとする島民たち
そんな島の一部始終を、父親が島の防衛隊長を務めている兄弟、ジュンペイとカンタは幼い目で見つめていた
やがて島にやってきたロシア人の少女ターニャやその家族、ロシア人の子供達と自然と打ち溶け合って交流を深めていく日本人の子供達
しかし兄弟の父親がソ連軍に隠れて日本人に備蓄品の配給を行っていたことが発覚
父はソ連軍に連行され、歩み寄っていたかに思えた日本人とロシア人の間にまたも軋轢が生じる
そしていよいよ日本人は島を追われることとなってしまう・・・
まず興味深いポイントなのが戦争という題材を軍人や政治家ではなく市井の人々の目線で描いている部分でしょう
それもどちらか一方に偏ることなく、日本とソ連の両面が描写されているのが説教臭くなくていい
大人のピリピリした空気をヨソに、日本の子供が「カチューシャ」を歌い、ソ連の子供が「赤とんぼ」を歌い出す場面はミュージカル風で特に印象的
今作はあくまで領土問題を示唆することがメインなのではなく、双方の人々を好意的に描いているのが素晴らしい
プロ声優は用いず有名俳優や声優未経験の役者だけで固められたキャスティングも恐らくこれ以上は無い!というぐらいバッチリ決まっており、強烈なキャラクターのユースケ・サンタマリアや一家を見守る担任教師役の仲間由紀恵も良かったです
なによりジュンペイとカンタの幼い二人を演じた子役達には力一杯の賛辞を送りたい
天才です!最高!b
随所に挿入される『銀河鉄道の夜』の一文は、妹の死で傷心した宮沢賢治が訪れた樺太の地で体験したことが執筆の元となっているという説によるもの
主人公のジュンペイとカンタの兄弟の名前も、ジョバンニとカンパネルラを文字っているもの
また、想像の中に登場する銀河鉄道が巡る世界のイメージの表現も美しい
作画スタッフに西尾鉄也や黄瀬和哉や大平晋也といった実力派アニメーターを揃え、芝居、表情、光、影、雪、煙、etc,etc・・・
キャラクター造形や背景、ハッチング、CG、そのどれもが大変素晴らしいかったです
史実を学ぶことはそれこそ大切なことです
でもこんな名作が埋もれてしまうこともほっとけない
いい映画ですb
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(まぁw7月とはいえ色丹の海に飛び込む冒頭のシークエンスはちょっとありえないと思いましたがw)
退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もずメ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
pop22 さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
▲猫 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
Qこん さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ShouyouACL さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
blue_with さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
おふとん さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
藤乃 さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ryuu さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
rebiatan さんの感想・評価
3.2
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
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色丹(しこたん)島を舞台に、主人公たち少年の視点から、ソ連軍の進駐する光景や島民の不安、ソ連側の人々とのふれあい、そして家族の絆を描く。(アニメ映画『ジョバンニの島』のwikipedia・公式サイト等参照)
市村正親、仲間由紀恵、柳原可奈子、ユースケ・サンタマリア、横山幸汰、谷合純矢、ポリーナ・イリュシェンコ、北島三郎、犬塚弘、八千草薫、仲代達矢
原作:杉田成道、キャラクター原案:福島敦子、 監督:西久保瑞穂、企画・製作:一般社団法人日本音楽事業者協会、脚本:櫻井圭記/杉田成道、脚本協力:池端俊策、キャラクター設定・作画監督:伊東伸高、色彩設計:遊佐久美子、車輌設定:荒川眞嗣、美術設定:岩熊茜、小物設定:海島千本、総美術監督:Santiago Montiel、美術監督:稲葉邦彦/林孝輔、CG監督:井野元英二 、撮影監督:中田裕美子、ビジュアルエフェクト:江面久/齋藤瑛、編集:植松淳一、演出:橘正紀、製作協力:日本映画衛星放送株式会社/株式会社FILM
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