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「風立ちぬ(アニメ映画)」

総合得点
71.8
感想・評価
815
棚に入れた
4289
ランキング
1270
★★★★☆ 3.8 (815)
物語
3.9
作画
4.3
声優
3.3
音楽
4.0
キャラ
3.7

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風立ちぬの感想・評価はどうでしたか?

ちゃちゃ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

夢と現実がごっちゃになったイタイ男の話

声が悪いです。庵野下手。

ジブリは千と千尋までは良かったけど、
ハウル以降は面白く感じなくなりました。

作品が悪くなったのか、
年と共に感性が合わなくなったのか。

ジブリはやっぱ、
子供心をくすぐるファンタジーでないと。
おっさんの飛行機愛を延々と語られても。。。

夢と現実がごっちゃになって、
訳が分からなかったよ。
普通にイタイ男ですよね。

投稿 : 2015/02/21
閲覧 : 301
サンキュー:

7

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

大人向け

ジブリって、子供がみても楽しめるような作品が多いのですが
これは完全に大人向けで
しかも、アニオタだと楽しめないかもしれない。
どちらかというと、実写の映画のような造りになってて
面白いとか云々よりも
ロマンやら哀愁やら大人の恋愛だとか
普段アニメ見ない人で、尚かつ大人の人向けってところでしょうか。
最後迄見ましたけど私は好みです。
結構批判も多いし、今迄のジブリとは違った印象を受けるのかもしれません。

最近思うのですが、知ってるほうがより楽しめるなって。
その頃の時代背景とかその時代がどんなものであったかを
知らないでみたら面白くないものも
知って見るのとでは楽しみ方に違いがあるのだと。

まっすぐに、情熱を傾け、より良いものを作りたい。
職人ならそう思うはず。
淡々と話が進むし、今のアニメとはまた違う表現なので
通常のアニメ見慣れている人には不向きかもしれません。

EDでユーミンのひこうき雲が流れますが
静かに胸にくるものがあって。
私は良い作品だと思います。
胸に届いて切なさや物思いといいますか
涙ぐみましたもん。

いくつになっても知る事、興味、って大事ですね。
情熱を傾け精一杯生きたであろう二人。
視聴の際の感情にも左右されるかもしれませんね。

今、色んな方向性を試してるのかなって。
そう思った作品でした。

投稿 : 2015/02/21
閲覧 : 439
サンキュー:

33

ネタバレ

ざんば さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

面白いじゃあないですか!!

金曜ロードショーでやっていたので早速視聴。

映画館で見れなかったのが非常に悔しかったので
放送されると知ったときは飛び跳ねるくらい嬉しかったですね♪

あまりいい評判は聞かなかったので
どうなんだろう・・・と少し心配でした。

そんな心配をよそに始まったわけですが。

面白いじゃないですか!!
心配して損しましたよ!

確かにまあ、従来のジブリ作品と比べると
ファンタジーではないので、地味に見えなくもないですし
純粋な面白さは少ないとは思いますが・・・

でもそれを余りあるくらいの魅力を
この作品から感じましたね。

と、言ってもうまく説明はできないのですが・・・w


言えることといえば、やはり登場人物ですね。

二郎と菜穂子はどちらもカッコよくて魅力的でした。

「生きてる」
って感じがダイレクトに伝わってきて自然と見入ってしまいました

それに2人の関係は凄く大人で、凄く素敵なものでした。
2人が愛し合って
話したり、手を握ったり、抱き合ったり、キスをしたり・・・
ただそれだけなのに、見ていると自然と涙が溢れてきました。

最後まで精一杯生きた2人には力いっぱいの拍手を送りたいですね。


そしてEDのユーミンの「ひこうき雲」
流石としか言えないですね。
元々、いい曲だと思っていましたが
EDとして聞くとまた一段と素晴らしいですね。
いい映画の余韻に浸ることが出来ました。


ラピュタみたいな冒険物もいいけど
こういったジブリもいいですね。

投稿 : 2015/02/21
閲覧 : 451
サンキュー:

36

ネタバレ

ValkyOarai さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

宮崎駿さん ラスト 夢と儚い恋を捧ぐ

これが宮崎さんのラスト
これ以降長男に受け継がれる

空を飛ぶことは昔において誰もが憧れる夢であり、ここは大正だ
空を飛んでると魔女の宅急便を思い出すな
そう簡単に流れ星が見られることはまずない

飛行機は戦争の道具でも商売道具でもない
夢だ
機関車で上京中、地震はおこった
関東大震災だ

そこで女性を助けた
これが運命の道を辿ることに

上京して荘に下宿して就職できたが、今度は不景気が襲う
牛が飛行機を発着場に送るのか、時間かかるわ~
夢を見てるとどうしても飛行機が無残に壊されていく
これが別な意味で夢なのだろうか?

彼女は汽車で帰った。せっかく結ばれたのに
でも病気を患っており、末期だった。だから彼女の分も生きねばならぬ
それが人間の定めだ

投稿 : 2015/02/20
閲覧 : 399
サンキュー:

5

ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

賛否両論は仕方ない。。。(補足追記)

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 二度目の視聴後のレビューになります。
 この作品は、良質な文学作品のように非常に緻密に構成されています。表面的なストーリーを追うよりは、各シーンから二郎と菜穂子の人物像を読み解いていく作業に集中すると、より楽しめると思います。
 なお、過去のジブリ作品における経験をこの作品に持ち込むと、大抵の場合は期待外れになるような気がします。期待外れがプラスに働くかマイナスに働くかは見る人次第ですが、物語を感情的に捉える人にはマイナスに、構造的に捉える人にはプラスに働くのではないでしょうか。
 もちろんこれは視聴方法の好みであって、優劣の問題ではありませんけどね。今作のように構造に寄った作品は今までの宮崎駿作品にはなかったように思います。私は、宮崎駿作品に限らず、他の全ての作品と一線を画す傑作に仕上がっていると思っています。(追記しました)


テーマ・ジャンル:
 テーマやジャンルを特定するのは難しいですが、いわゆる私小説的な作品ですね。二郎の幼少期から菜穂子との別離までを描いたものです。幻想の世界というファンタジー要素も含んでいますが、震災や戦争はテーマではありません。時代が人に影響を与えることは避けられませんので、時代背景としては不可欠なものですが、殊更構えて見るべきではないと思います。

人物像:
 二郎と菜穂子の人物像を語ることで物語の考察の大半が終了します。端的に述べますと、二郎は「夢見るくそったれ」で、菜穂子は「したたかでかわいい女性」となるでしょう。上手い表現が見つからずに心苦しいのですが、遠からずといった表現にはなっていると思います。過去の宮崎作品の主人公像を、絶対に持ち込んではいけません。
 以下ではその裏付けとなるエピソードについて記述していきます。

1.二郎
①初恋{netabare}
 二郎が最初に恋をしたのは、菜穂子ではなくお絹です。菜穂子に恋をするのが当然と思い視聴してしまうのですが、震災時の描写で最初の違和感が現れます。
 避難先の境内において、二郎が水を運んでくる描写があるのですが、菜穂子ではなくお絹に水を飲ませています。菜穂子はおこぼれに預かるのみで、顔を拭うことしか出来ませんでした。怪我人に気を使うのは当然として、小さな体で荷物を持ってくれた菜穂子にも当然気遣うべきところです。しかし、二郎にそんなそぶりは全くありません。
 確信するのは後日荷物を届けてもらうシーンです。頭に浮かぶのはお絹の姿だけです。菜穂子ではなく、菜穂子とお絹でもありませんでした。
{/netabare}

②女性{netabare}
 二郎はいわゆる女好きではありませんが、かなり女性に興味を持っています。
 初出勤時、上司となる黒川に案内され廊下を歩くシーンでは、二郎の視線が左右に振れています。目線の先には女性・女性・飛行機(※)です。また、夢の中ではまるでアイドルかのように女性から黄色い声を向けられています。全て若い女性です。二郎にとっては飛行機・サバの骨に並列する美しいものとして若い女性があるのは間違いありません。菜穂子に目が向くようになるのはさらに先の話です。
{/netabare}
★追記内容は、ここの(※)の補足です★


③菜穂子{netabare}
 二郎は菜穂子に2通の手紙を送っています。どちらの手紙も2行目までは菜穂子を気遣っているのですが、3行目からは仕事の話しか書いていないようです。つまり、二郎にとっての美しいものとは、飛行機・サバの骨・若い女性なのですが、「目の前にある」という限定が付くのです。目の前にいない菜穂子は、二郎にとって興味の対象にはなり得ませんでした。結局、菜穂子は山を下りるしかありませんでした。
 会っている最中、二郎が菜穂子を褒めるのは「きれい」な部分だけでした。ひたすら「きれい」を繰り返し、その優しさなどの内面には最後まで言及することはありません。二郎が菜穂子を理解しようとすらしない中で、菜穂子は二郎のことをよく理解していました。この描写は菜穂子が二郎の眼鏡を外すシーンに表れています。菜穂子は二郎の眼鏡を外し、素顔(内面)を確認します。二郎は寝ていたため、最後まで裸眼で菜穂子に接することは出来ませんでした。
 そして、美しさを維持できず、二郎の興味を引けないと悟った菜穂子は山に帰ります。「美しいところだけ」を見てもらったという黒川夫人のセリフは、とても残酷な響きを持っています。実際は見せなかったのではなく、二郎がきれいな部分だけしか評価をしなかったために、見せられないだけでした。おそらく二人で年を取っていくことは夢物語です。老いた菜穂子を二郎を見ないでしょう。病気の有無によらず、二人に「時間がない」ことは必然だったと思われます。
{/netabare}

④加代{netabare}
 加代も二郎の素顔を見たことのある理解者です。2度二郎を訪問してきますが、2度とも二郎に待たされています。加代はあの時代で女医になるのですから、相当優秀なのでしょう。しかし、二郎にとっての美しいものではないからか、二郎は彼女に興味を向けません。2度目の来訪時には視線すら合わせずに休んでしまします。加代は、視聴者と菜穂子の思いを代弁して、二郎が「薄情」であると繰り返します。
{/netabare}

⑤ピラミッド{netabare}
 カプローニとの会話の中で、「ピラミッド」という単語が出てきます。イタリア人と日本人の設計士がエジプトのピラミッドについて語り合う、というのはおかしいので、何らかのメッセージが込められているとみていいでしょう。
 ピラミッドから想像されるのは、「造形美」と「ピラミッド構造」だと思います。ピラミッドの造形美とは、職人が一人で作る作品とは異なり、多大な労力を費やさねば成立し得ないものです。ピラミッド構造とは、上位の者が下位の者を支配する構造です。二郎は飛行機を作るためにピラミッドのある世界を肯定します。つまり、美しいものを追及するためには、他の犠牲は厭わないと宣言しているのです。
 二郎は当時のエリートに該当します。人々が取り付け騒ぎで混乱しようとも、車中から他人事のように眺めています。電車や車を日常的に使っているために、人々が歩いている理由すら分かりません。弱者である子供(しかも複数)を前に、施しすらしようとするのです。しかも自分が置かれている恵まれた環境を、本庄に批判されるまで気付かないのです。施しは「やさしさ」ではなく、「エゴイズム」から来たものでした。
 同じような境遇にいながらも、その業を理解している本庄の方がよっぽど人間的な感性を持ち合わせています。
{/netabare}

⑥二郎の人物像{netabare}
 以上を鑑みると、二郎は一般的な「いい人」とはかけ離れた存在と言えるでしょう。人並みの心がある人物ではありません。「やさしい人」など以ての外です。したがって、心情表現なるものは不要なのです。プロの声優や役者を充てなかったのではなく、充てられなかったというべきだと思います。二郎は、美しいものだけに興味を向け、夢を叶えるために全てを犠牲にする覚悟を持っている、そういう人物です。
{/netabare}

2.菜穂子
①再会時{netabare}
 菜穂子は二郎に気付きますが、二郎は菜穂子に気付きません。菜穂子が二郎に気付いてもらおうとする仕掛けが幼少期の出会いのシーンと対比されて表現されています。
 出会いのシーンでは、二郎の帽子が飛ばされ、掴んだ菜穂子が「セーフ」、二郎の「ナイスプレイ」と続きます。再会時は、菜穂子のパラソルが飛ばされ、掴んだ二郎に菜穂子が「ナイスキャッチ」と言いますが、二郎から菜穂子宛ての発言はありませんでした。初対面時と同じ英語・野球の表現で思い出してもらおうとしますが、残念ながら二郎から野球と絡めた返答を得られず、叶いませんでした。
{/netabare}

②森の小道{netabare}
 菜穂子は新たな仕掛けを用意します。
 絵はかなり描き進んでいますので、再会時と同じ絵の続きを描いているはずです。にもかかわらず、丘の上から木陰へと移動しています。絵の続きを描いているのに移動する理由はありませんから、二郎を袋小路へと誘い込むためのものであると思われます。菜穂子が袋小路の先にいることに気付いてもらうために、わざとパラソルを目立つように開いた上で寝かせてあるのです。結果、二郎は袋小路に足を踏み入れ、再会時と異なり通過することも出来ずに、足を止めます。そして、菜穂子は女の武器「涙」を見せるのです。
{/netabare}

③雨{netabare}
 第三の仕掛けがあります。
 二郎が袋小路に誘い込まれたのち、雨が降ったことで二人は同じパラソルに入ることになります。二郎は逃げ場を完全に失います。その上で菜穂子は、二郎の初恋の人のお絹が、荷物を届けた二日後に結婚したことを伝えます。二郎は話をそらそうとしますが、畳み掛けるように先日二人目の子供を産んだと伝えます。二郎は、心理的にも袋小路に追い込まれ、その後の菜穂子への興味へと移っていくことになります。菜穂子の仕掛けが成就すると図ったかのように雨が止みます。もちろん菜穂子の意図ではなく、監督の意図です。
{/netabare}

④二郎との生活
 二郎の項目の③菜穂子を参照してください。

⑤菜穂子の人物像{netabare}
 以上から、菜穂子は、自分の思いを遂げるためには、手段を尽くす女性であることが窺えます。この点に限定すれば、二郎の価値観と酷似するのです。では、なぜ視聴者は菜穂子にだけは好感を持ってしまうのでしょうか。それは犠牲の範囲が異なるからです。菜穂子にとっての犠牲は、自分の身体のみです。自身の寿命を削ることはあっても、誰かを不幸にすることはありません。だからこそ、したたかで賢いにもかかわらず、「献身的でかわいい」と思えるのです。
{/netabare}

3.エンディング{netabare}
 エンディングは、菜穂子から二郎への「許容(許し)」が描かれています。気を付けなければいけないのは、幻想の世界であることです(現実世界では、菜穂子は初夜のシーンで既に二郎を受け入れていますが、最後の別れの前に二郎への許しは表現されませんでした)。幻想の世界は、常に二郎を肯定するために存在する世界です。つまり、菜穂子が二郎を許すのは、当然の帰着のように思います。解釈が分かれるところかもしれませんが、私は二郎が「自己弁明」をしているようにも見えました。宮崎駿監督の自己弁明とも言えます。
{/netabare}


総評:
 「好きか嫌いか」と「良い作品か悪い作品か」というのは別のベクトルです。この作品の良さを認めつつも、嫌いと評価することを否定はしません。私は二郎というキャラクターは嫌いです。しかし、この作品は好きです。風の表現など、ここでは述べなかった見どころはまだまだあります。ですが、人の生き様を描いた作品ですので、人物から目をそらしては欲しくないというのが本音です。
 物作り・スポーツ・勉強・仕事、何かに打ち込んでいる人は、二郎を理解してしまうところはあるでしょう。ですが、過剰に共感してはいけないようにも思えます。私は少し反省しました。。

対象年齢:
 大人を推奨します。細かな描写まで拾える力が必要となりますので、高校生くらいだと厳しいかもしれません。
 一度見ておいて、面白くなかったら「将来の宿題にしておこう」程度に気軽に捉えてみてはどうでしょうか。子供には見せないほうが良いかもしれません。この作品の良さを知る前に嫌いになる可能性があります。


★★追記ここから★★
(※)初出勤時のシーンについての補足{netabare}
 「二郎の人物像が最も描かれたシーンはどこか?」と聞かれたら、私はこの初出勤時のシーンを挙げると思います。取付騒ぎのあと、時間でいうと30分過ぎくらいのところです。ストーリー上の重要シーンではありませんし、非常に短い時間ですが、こと二郎の人物像に関してはエッセンスの詰め込まれたシーンだと思います。
 このシーンでは、表面の描写と裏面の描写、その双方で二郎の人物像を描いていました。

 二郎は、黒川に「初出勤の日にちが遅い」と叱責されながら、廊下を通って仕事場へ向かっています。
 表面的には、怒られているのにケロッとしている二郎が描かれています。普通なら肩をすくめてもおかしくないところですから、二郎の「飛行機作り以外は気にしない人」というのが分かりやすく伝わってきます。

 ただ、二郎の視線からは別の側面が見えてきます。注目すべきは視線のみで表現された裏面の描写です。
 このシーンにおいて、二郎の進行方向に対して何が出てくるかを確認してみます。①左に女性、②右に女性、③左に「男性」、④右に飛行機、です。
 このときの二郎の視線は、①を見て、②を見て、③を「見ず」に、④を見る、です。
 左右から出てくる人に対して、左・右と視線を振って挨拶しているわけですから、その後に左から人が来れば視線が左に振れるはずだ、と予想すると思います。ですが、二郎は左の男性を無視して、右の飛行機に視線を移します。

 この場面で一番大事な登場(人)物は③の男性です。③が無かったら、二郎は、出てきたもの全てに視線を送る人物、となります。出てくるもの全てに興味を向けるわけですから、「好奇心が旺盛な人」という描写になります。視線を向けたときに行っているのは挨拶ですから、「礼儀正しい人」にも映ります。
 仮に、このときの首の振り方がせわしない動きをしていたのならば「落ち着きのない人」とも描けるでしょう。

 わざわざ③の男性を描いているのに、あえてそれを見ないように表現しているから、二郎は「好奇心が旺盛な人」ではなく、「選んで見ている人」「好きなものだけ見る人」だと分かります。
 一般的な人ならば、挨拶をしてから好きなものを見ると思います。自分の「興味」よりも他者への「礼儀」を重視するはずです。少なくとも私はそうです。ですが、二郎は他人への「礼儀」よりも自分の「興味」を優先しているのだと表現されているのです。

 このシーンから二郎の好きの度合いも分かります。二郎は女性をチラッと見ます。飛行機は首をひねるほどにジーッと見ます。飛行機>>>>>女性ですね。男性はもちろん論外、となります。

 怒られているシーンでどうに対応するか、というのがこのシーンの中心です。ですが、その裏面では二郎の別の部分を掘り下げていたわけです。主題である「飛行機好き」に、既に描いている「女性も美しいものの範疇であること」を絡ませることで、それぞれの好きの度合いを表現していました。そして、新たに男性を絡ませることで、好奇心が狭小であることと一般的な価値観とは乖離していることを表現していました。
 この作品では、このような「細かい表現」が結構多いです。漫然と見ずに、「なぜそのような描写になっているのか」「何を表現したいのか」の解明していくことで、二郎を含む登場人物の人物像により近づけていくのだと思います。

 宮崎駿監督に対して、「人物描写が上手い」「描写が丁寧」などと指摘しているレビューや評論を見かけることって、結構多いですよね。ただ、その理由まではあまり説明してくれません。ですが、この指摘は「私にとっては」正しいものだと思っています。
 上記のような表と裏を使った密度の高い描写が多いから、宮崎駿監督は「人物描写が上手い」んです。
 また、「目(視線)を見ろ」という指示も「女性好き」も、「飛行機好き」と同くオープニングで描かれてます。説明に厚いから「描写が丁寧」なんだとも思えるのです。{/netabare}
★★追記ここまで★★

投稿 : 2015/02/15
閲覧 : 630
サンキュー:

8

-?- さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

芸術的かつ大人向けアニメ 宮崎駿最後の作品?

宮崎駿監督によるジブリ最後の作品
(現時点では…)
実に美しい作品ですが賛否両論も良くわかる作品


物語:飛行機を作る夢を追った男の物語、あえて戦争を全面に押し出さない点がイイ

作画:安心のジブリクオリティー、美しい

声優:主役の声、庵野秀明・・・んー

キャラ:リアルな人物像がb

音楽:BGM自体も使い方もすばらしい、音楽の使い方はこうでなくては、EDもb


日本の文学小説を読んでるような感じになる作品
リアルな人物像、ジブリの美しい作画、大正~昭和の時代背景が垣間見える美しい作品
ですが
賛否両論になる点としては
主役の声庵野秀明(エヴァの監督)
(リアリティーな声を求めたがゆえに?)
悪い言い方をすればアニメでなくてもできる内容
(派手な戦闘とかでないし、キャラに感情移入するものでもないので)
今までのジブリ作品で考えると、火垂るの墓・耳をすませば見たいなリアリティーを重視した作品です

大人向けであり日本の文学小説が好きな人にかなりお勧めです

投稿 : 2015/02/09
閲覧 : 282
サンキュー:

7

ぬらかべ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

才子佳人

面白いです。
ただ、千と千尋やもののけ姫のような宮崎駿ファンタジーが好きな方はご遠慮ください。
東京の歴史を大まかに観ていたようでした。アニメ独特のすこし美化された世界感が広がってきたところに声優の現実味あふれる演技もいいと言えばいいところでした。(わたしはすこし嫌でしたが)
落ち着いた話運びに悲劇、今までにないようなジブリ映画であったのでこの作品が宮崎駿さんの引退作だというのには納得してしまいました。
エンディング曲もいい(いまさらw)内容にマッチしすぎて泣きそうになりました。
まとめると今までにないジブリが観れて大満足です。批判したくなる気持ちもわからないでもないですが、こういう映画も私は好きです。

投稿 : 2015/02/02
閲覧 : 359
サンキュー:

8

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

遺作にふさわしい内容だったかな

やはりこの監督、人物一人一人に丁寧に動きを加えているところがいいですね。もっとも、ふつうのアニメでは予算の関係からやらないのでしょうけれど・・・

投稿 : 2015/01/28
閲覧 : 283

ちゃいにーず☆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

宮崎駿の集大成

まさに集大成だった。
映画をみていてここまで完成度の高いものなんてなかなかないだろう。
宮崎駿監督の映画がもうみれないとなるとすごく悲しいけど、これが最後の作品ならやはり宮崎駿はすごいと思った。
自分の子どもにも絶対みせたい作品。

投稿 : 2015/01/15
閲覧 : 239
サンキュー:

4

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

引退作品、主題歌「ひこうき雲」

最初の雰囲気は「火垂るの墓」と似てる気がする...
そして、ただ淡々と展開していった
主人公の成長を伴って、なんか心がギュっとなった・・・
私の文章力では、ちょっと上手く言えません。
一言では表せませんが、あえて言うなら、
宮崎駿の集大成とも言えるふさわしい引退作品だと思います。

主題歌「ひこうき雲」 作詞・作曲・歌 - 荒井由実  映画の内容とはぴったりで感動で素晴らしい歌です!!
聞いてて泣きそうになる......

投稿 : 2014/12/24
閲覧 : 1051
サンキュー:

91

ネタバレ

37111 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

これが最後かと思うと残念

もっとスカッと何も考えずに楽しめるものを作ってほしかった。

社会に訴えかけるメッセージ的なものは不要。

後、声優はちゃんとプロを使ってくれ。


長い間お疲れ様でした。

投稿 : 2014/12/10
閲覧 : 268
サンキュー:

2

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

思っていたより面白かった

賛否両論が激しい風立ちぬですが僕としては面白かったです。
なんとなく賛否両論になる気持ちが分からなくもないですね、あまりジブリっぽくないかも・・・

気になった点は主人公の声優さんですね
キャラクターと合ってないです棒読み過ぎますw
これは僕が深夜アニメ見すぎた影響でそう感じるだけかもしれませんが

投稿 : 2014/11/28
閲覧 : 271

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 2.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

技術とは、創造し想像することによって、より良いものを作り上げること。

宮崎駿監督の最後の長編アニメ。
最後にいい仕事ですね。
ただし、最後まで、声優の起用方針は理解できませんでしたが・・・。

作画は美しく微細です。
さすがジブリ。
背景を丁寧に作り込んでいるので相当の時間を要している筈です。
とくに、関東大震災のシーンはすごい。
地震波の伝達表現は迫力満点。
リアリティーは全くありませんが、デフォルメ力に感服しました。

時代は大正から昭和初期。
暗い世相ですが、人々が活き活きと描かれ悲壮さはありません。
舞台は、東京・長野(軽井沢?)・名古屋。
何気に出てくる80年前の名古屋駅、名古屋の街。
今の名古屋と比べると、「えっ」でした。

主人公は航空エンジニアの青年。
私がこのアニメで共感したのは、エンジニアの恋より技術力でした。
流体力学をもとに機体の構造計算を行っています。
それも、計算尺を用いた手計算。
そして、独自のアイデアや冷静な観察により、想像力を駆使し、最終成果を作り出す。
そんな昔の技術者の苦労と努力と心意気に感銘を受けました。

早く飛びたいという純粋な思いにより開発したゼロ戦は結局・・・。
暗に戦争の理不尽さを象徴しているかのようでした。

投稿 : 2014/11/23
閲覧 : 398
サンキュー:

48

神撃のニャンコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

史実と創作のネルネルネ~ル♪

最初この作品は、堀越二郎さんの
飛行機に対する情熱と青春をアニメに写した物かなっと

そう思い観ましたが、なんか妙に綺麗に過ぎたので
ググって見たら 風立ちぬの堀越さんの妻は

実際には居ない架空の設定上の人物だったみたいですね
原作 風立ちぬ には、モデルが居ますが

ゴチャゴチャしてて 頭の中が
シェイク♪シェイク♪のネルネルネ~ル♪

これには、少しばかりクラリとしました; 兎に角
これは、実際の堀越二郎さんの歩んだ人生と乖離した

パラレルワールドみたいな作品ですね
エンターティメントなので許容できますが

見終えた方もこれから観る方も 勘違いなさらないよう
ご注意くださいね

でも 時代風景や描写等 その時代を知らない私ですが
観てて楽しい物が、ありました

架空の設定も娯楽ですので それはそれで良き物だったと思います

投稿 : 2014/11/21
閲覧 : 242
サンキュー:

1

泉 星羅 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 1.0 作画 : 5.0 声優 : 1.0 音楽 : 5.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

タイトルなし

感想。飛行機が飛んでいきました。以上。


追記
野村萬斎さんの演技だけは素晴らしかった。

投稿 : 2014/11/09
閲覧 : 245
サンキュー:

1

kazu0258in さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 1.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

評価が難しい…

駿監督の作品はポニョ以外全て好きでしたがこの作品は一度見ただけでは作品の良さが引き出せない印象を受けました。主人公はまだ若いのに50は越えようかというオッサン声にボー読み…この手の作品で途中で投げ出してしまったのは初ですw
ストーリーを心で感じようと思っても声優の違和感が気になりそれどころじゃなくなってしまいました。
セリフは少ないし、本当につまらなかったです。

投稿 : 2014/10/30
閲覧 : 219
サンキュー:

3

honoharu☆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

おもしろい」

面白かったです!
ゆーみんの曲がメッチャ心に残ってる(^^♪

投稿 : 2014/10/28
閲覧 : 271
サンキュー:

1

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

見上げ続ける空、うつつと地続きの夢のあとさき

端々に不吉な予感が漂っているように見えてしまうのは、歴史の後先を知ってしまっているからなのか、音が効果的なのか?不吉さと浪漫とが混ざり合います。

技術の追求欲にとりつかれた者たちの、果敢で哀れで滑稽で純粋な生き様でした。力強くも儚く面白かったです。
昭和の暮らしぶりの描き込みも見応えありました。
様々なシーンが蘇ります。

上司の髪がわっさわっさ揺れながら飛び歩く姿もおかしかったです。


歴史を俯瞰的に見つめる視点は情景描写にも表れていて
関東大震災の起きる様が、ドン、と水面を叩いたあと円形に波打つように広がって、大地の上の家々も円形の波動を受けて大きく手前と奥と上下する描き方が、強力で斬新と思いました。




見返りを求めずやるべき事にたんたんと真っ直ぐ向かい、表情が読めない瓶底眼鏡の主人公。
しかし想い人の吐血の知らせに動揺しながら、向かう列車の隙間で身を屈めて仕事の書類に必死で書き込みながら、涙がボタボタと落ちる様は、言葉にならない哀れさが伝わりました。


この人は飛行機を作っているけれど、列車が似合いますね。
混み合った客車を避けて、接続部分近くに後ろ向きか横向きに腰を下ろして。行き先に向かって、止められない列車。

創造と破壊の荒風の中で作り続けられる、夢の飛行機。



東日本大震災で津波に工房をさらわれた木工作家の方の記事で、
瓦礫の中でぼうぜんと立ち尽くしていたら、ふと木製のおもちゃのクルマや人形を見つけた…
かつて、生まれた子供に遊んで欲しくて、喜んでくれるのが嬉しくて作った、素朴な形の物だけが、道標のように残されていた…
賞取りや作家の力量を現すために作ったものは全て流されていたのに。
これから作るべき物がそこに示されている気がした、という文章を読みました。

そんなふうに足元に小さな真理を求める人もいる。

宮崎監督にとっては、そういう原点的な素朴な作品は、「パンダコパンダ」でしょうか。



この主人公は足元は見ず、関東大震災にあっても「風が吹いている」と空を見上げ、舞い飛ぶ火の粉に飛行機を重ね、先に続く大きな仕事のことを夢見ていた。
幼い頃、夢の中の先達の語りかけに「ハイッ」と大きな寝言を言えた程の素直さそのままに、「美しい」夢だけを追い続けた。
この、繰り返される夢の地続きな示し方も、昔の邦画のようで心憎いですね。





庵野秀明の声。
wikiに監督による主人公の声のイメージは「滑舌良く早口で明朗」とありましたが、そのイメージは少年期のみでは…?
青年期担当の庵野声はモソモソとうわの空で腹に力入ってませんよ?でも、それがよくあっていたと思います。この主人公はうわの空がぴったりですよ。菜穂子さんを抱いていても、人体肋骨と鯖の骨のラインの違いと飛行性能を考えていたかもしれません。
そう納得するととても自虐的で、やはり大人向けで、うーん、面白いです。

投稿 : 2014/10/28
閲覧 : 423
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sanary さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

思ってた感じと違って

結構、嫌煙してた作品なんですが
見終わってみると見てよかったなぁと感じました

序盤あたりとかは、ボイパ・・・になじめなかったんですけど
あれは、あぁしないといけなかったんだろうか
個人的には、あれがなかったらもう少し違和感感じずにみれたと思ってしまう

エンジン音とかなんか恐いし
ホラー的恐怖をちょこちょこあたえられてるかんじでした。

投稿 : 2014/10/28
閲覧 : 230
サンキュー:

4

midas さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

いいね!!

人を作る夢!夢が作る人!

人が作る夢!夢を作る人!

人の体をドクドクと流れるものが、夢だったらどんなにすばらしいだろう。

投稿 : 2014/10/23
閲覧 : 287
サンキュー:

2

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

☆零戦を作った人

震災のシーンがよくできてました。あと傘が飛ぶシーン
の風とかが素晴らしい感じでした(*^^*)♪

全体的に堀越二郎さんが零戦を作る課程をロマンスと
平行して時代の流れを描いていて素晴らしい作品でした☆


監督/宮崎駿


作画監督/高坂希太郎


美術監督/武重洋二

製作会社:スタジオジブリ


公開2013.7.20

配給:東宝



主観的評価(A)



追記欄_

投稿 : 2014/10/10
閲覧 : 227
サンキュー:

4

wininng さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

期待より面白くなかった

テレビなどで取り上げられていたから

見たけど思ったのと違かった

投稿 : 2014/10/08
閲覧 : 178
サンキュー:

0

ほたろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

タイトルなし

評判悪いみたいですが、そこまで悪くないように思います。

全体、終わり方、そこそこ良かったです。

もう1度見たいとは思わないですが、何か見るついでで借りてみるといいかも。


ただ、駿さんの最後の長編アニメがこれってのはちょっと残念かな。

投稿 : 2014/09/13
閲覧 : 207
サンキュー:

1

ネタバレ

Dr.コトォ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

あなたを乗せた飛行機が

宮崎駿氏の長編アニメ最後の作品(?)。

正直言って、「最後」の作品としては本当に素晴らしいものを見せてくれたと
思いました。

物語は、堀越次郎という実在の人物を元に、
美しい飛行機を作りたいと願う設計士の半生を描きます。

{netabare}
現実の堀越次郎は第2次世界大戦にて国内で多用された戦闘機「零戦」の設計者なのですが、
宮崎駿監督の物語の中で描かれる堀越次郎は、
ただただ、ひたすらに純粋です。
美しい飛行機を作りたい、
その飛行機にどんな人が乗ってもいい、
どんな用途に使われたっていい、
ただ美しく空を飛ぶ飛行機が作りたいと願い、努力し続けます。

そんな中、里見菜穂子という女性と出会い恋に落ちます。
しかし菜穂子は当時不治の病といわれた結核を患い、体は弱っていました。
二人に既に時間は残されておらず、二人は早々に結婚します。

次郎は変わらず美しい飛行機を夢見続け、仕事に没頭します。
体の弱った菜穂子は当然、次郎と会う事がなかなかできません。
しかし、菜穂子もまた、仕事に没頭する次郎を見るのが好きなのです。
{/netabare}
やがて次郎は、自身最高の飛行機を作り上げます。まさに夢の結晶。
しかしそれが何に使われるかといえば、戦争です。命を奪うために使われたのです。
だから次郎は、夢に向かって走り続けるうちに、すべてを失っていくのです。

いや、むしろこれではまだ有りがちな物語でしょう。
じゃあこの作品は単なる夢破れた者の物語なのかといえば、そうも見えません。
終盤、次郎は泣きはしますが、
苦渋に満ちた、あるいは生気を失った様な表情は少しも見せません。
むしろすがすがしさすら感じさせています。

きっとそれは、どんな悲劇を引き起こしたとしても、自分の夢を追い続けられたからでしょう。
どんなものが失われようとも、その記憶は単に自分の夢の色付けに使われていく。

これはエゴだと自分は感じました。
何かを作る人間が抱くエゴ…ですね。
だからこれで最後なんですね、何かを作る人間の究極の夢がここにあるのだと気づかされました。

だからこのキャスティングなんですね、庵野秀明氏。
何かを作って誰かに伝える人間のエゴを表現できた駿監督の友人。
賛否両論ありましたが、今ではこの声以外ではこの作品は成り立たないと強く感じます。

最後は自分も他人も全てがズタズタ…、でもそんな話題さえも酒の肴にできる。
良い悪いの議論にもはや意味など無く、
そういう人間だから作れる物語なんだと思います。

投稿 : 2014/08/29
閲覧 : 268
サンキュー:

15

hatch. さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

最後まで観て感動する

深い話ですね…大人の恋愛の話です
何を伝えたいのかというとキャチフレーズになっている
「生きねば」ということですかね

途中はなんだか深すぎて退屈になってきます(笑)
しかしオチが衝撃的で重くて深くて…
最後まで観て、あぁ生きなきゃだな。と思えます

菜穂子はほんとに勝手ですねぇ
二郎さんをこんなに振り回して…ずるい女です(泣)
それでも2人で懸命に生きている姿はほんとに感動しました

本庄さんのセリフ等もいちいちかっこよくて
観終わった頃には恋におちてますね(笑)

もののけ姫から16年、この映画にはほんとに
たくさんの人が関わっており、色々な試行錯誤があって
完成した作品です

飛行機の音はすべて人間の声だったり
裏話も面白いですよ

投稿 : 2014/08/22
閲覧 : 202
サンキュー:

2

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かしろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

生きた証として

宮﨑駿監督の長編アニメからの引退作品。
映画館には見に行けず。
先日発売のブルーレイボックスにて鑑賞。

感想{netabare}
零式艦上戦闘機の設計者堀越二郎の半生を堀辰雄の小説「風立ちぬ」とミックスして描いたフィクション。

見て思ったのは、監督自身のことなのかな、と。
美しいものに魅入られると同時に、飛行機設計という才能を持ってしまったが故に背負う堀越二郎の業を描いている。
これは、ピュアで美しい子供という存在に魅入られると同時に、アニメーション制作という才能を持ってしまった自分が背負っている業を堀越二郎というキャラクターを通して発表しているのでは、と思ったのだ。


劇中の二郎は徹底して美しいものにしか興味が無い。
震災時に出会うジャリの菜穂子は記憶から消し、美しいお絹しか覚えてない。
成長した菜穂子が美しいから興味をもつ。
美しくない妹との約束は尽く忘れている。
鯖の骨の美しい曲線を活かした美しい飛行機の設計にのめり込み、婚約者の菜穂子を二の次にする。
まぁ、酷い男である。
しかし厄介なことに、彼にそれらに対する悪意が微塵もない。ただただ純粋純真に美しいものにしか意識がいかないのである。


また、二郎は美しい飛行機を作りたく実行するのだが、その結果、それは戦闘機として多くの人間を死に追いやることとなる。
一方の宮﨑駿はたしかこんなことを語っていた。
「子供に”自然はこんなに楽しく色んなとこが待っているんだよ”と分かって欲しくてトトロを作った。
ところが、ビデオでトトロをもう何十回も見てます、とか親御さんに言われ、外で遊ばずテレビに夢中になる子を作ってしまった」。
自分の望みとやったことに対する報い。
その先にたどり着いた生と死の間、煉獄。
そこに辿り付いてなお、まだ作り続けたいと思う業の深さ。


こんな人間が自分なんですよ。
こういう風にアニメーションを作って来たんですよ。
自分が背負っている業とはこういうものなのですよ。
これをさらけ出し、引退作とする。

そうか。そうやって考えると、この作品てアニメーション制作者として生きた証を自らの手で表現しているのか。
うん、何というか、凄い作品だ。{/netabare}

声優庵野秀明について{netabare}
主人公の声をエヴァの監督庵野秀明がやっている。
当たり前だが、上手くない。巧いとか以前の問題である。
では、なんで庵野秀明にやらせたんだろうか?
勝手に推測してみよう。

1.感情を込めたくない、過剰な演技をさせたくない
堀越二郎というキャラを考えると、あんまりカチッと演技をしてしまうと、その性格が酷いものになり過ぎる。巧い声優にあまり感情を込めないで、と言えばやってくれるだろうが、それではあくまで感情を込めない演技になってしまう。よって、演技云々以前の素人でイメージに合った人を選んだ。
2.照れくさい
感想にも書いたが、堀越二郎を通して自分を描いていると思う。つまり、自分の声をあんまり格好良い人にパシッとやってもらうことに対する照れがあるのではなかろうか。
3.バトンタッチの顔見世興行
長編映画を去る自分がバトンを渡せるのは庵野しかいないと思ったから。
完成会見で「ナウシカの続編を作ることを許可しても良いかも」と言ってみたり、NHKの番組で「庵野に絵コンテだけは仕上げてから倒れてくれと言われてる。絵コンテだけ仕上げてくれたら後はやるから、って」とか言っているのを見てそういう一面もあるのかな、と。
4.興行的に
声優を使わないジブリだが、有名俳優でもない庵野の起用は、興行的には一般向けとは言い難いから無いか。

庵野秀明の起用は、その意味を考え、意図を汲み取ろうとすると有りなんだが、映画という娯楽を単純に楽しむにはあの上手く無さはさすがに邪魔。{/netabare}

投稿 : 2014/08/20
閲覧 : 274
サンキュー:

6

ネタバレ

ぽぽたん さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

残念だが観る価値無し

久々に酷い作品を観た。
低レベルな下品に近い声優。

物語に「軸」が無いので観ている者に不愉快を与える。

なんとか最後まで観れば、設計者をリスペクトする内容が!
はぁ!?
これは、何のアニメだ!

この低レベルアニメを世界に発信した感覚が理解できず。

投稿 : 2014/08/14
閲覧 : 319
サンキュー:

10

金魚が7匹 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

おもしろい

安定の面白さのジブリでした。
少し大人向きかなと思いましたが、楽しめました。
ひこうき雲がよっかった。

投稿 : 2014/08/11
閲覧 : 188
サンキュー:

1

クールジャパン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

絵はきれいだったけど、言いたいことが感じられなかった

話題性が高かったので観てみました。

絵はすごくきれいでしたが、宮崎アニメとしてこの作品が何を言いたかったかが良くわかりませんでした。

かつてラピュタやコナン、カリオストロといった素晴らしい作品を生み出していた宮崎アニメですが、ここ何年もそういった感動は得られていませんでした。

期待しつつも不安な気持ちもあって観たのですが、終わった後で残念な気持ちになってしまいました。

もっと何というか、楽しさとかワクワク感、夢などの感動がほしいと思います。

それから、主人公の声も、第一声「なんだこれは」、と非常に違和感を覚えました。

もう2度と観ることはないでしょう。

投稿 : 2014/08/09
閲覧 : 200
サンキュー:

8

kakizaki さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

恥ずかしながら、レビュー削除しました。(再視聴後書きます)

岡田斗司夫さんの風立ちぬの総評を聞き、自分の浅はかな視聴だったため、削除させて頂きました(再視聴後また書かせて頂きます。)

投稿 : 2014/08/04
閲覧 : 247
サンキュー:

3

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風立ちぬのストーリー・あらすじ

かつて、日本で戦争があった。大正から昭和へ、1920年代の日本は、不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに生きるのに辛い時代だった。そして、日本は戦争へ突入していった。当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、後に神話と化した零戦の誕生、薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く──。堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて。生きねば。(アニメ映画『風立ちぬ』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2013年7月20日
制作会社
スタジオジブリ
主題歌
≪ED≫荒井由実『ひこうき雲』

声優・キャラクター

庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫、竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎

スタッフ

原作:宮崎駿、 監督:宮崎駿、脚本:宮崎駿、音楽:久石譲

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