nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
サスペンスホラーにふさわしい人物の表情の演技に注目です。
るーみっくわーるどの1,2と素晴らしい作品でしたが、この3は出色です。話が面白いのはもちろんですが、キャラの表情の描写がとてもいいです。サスペンスホラーを表現するのにふさわしいキャラの喜怒哀楽がちゃんと描かれています。
高橋留美子さんの1話完結ものの完成度の高さはいつも通りというかいつも以上です。暗い話は本来お得意なんでしょう…というか、楳図かずおさんがそうであった通り、ギャグとホラーは感情の正負の符合を入れ替えるだけです。ギャグが上手いということは、ホラーも上手いに決まっています。あるいは受けての感情も恐怖と笑いは紙一重なのかもしれません。
さて、ストーリーですが、一言で言えば女の情念と執着です。内容そのものはありきたりといえばありきたり。早い段階で結末まで一直線で予想できます。飼い犬が出た時点で「あっ(察し)」という感じです。
ただ、やっぱり舞台・世界観・キャラ設定が秀逸なので、そこの描写を堪能することができます。特にアズサは家という背景があり、過去の事件のようなこともあり、なぜ今に至ったのか、そして、孤立・孤独の中、主人公に執着する理由なども見えてきます。
ホラー描写そのものも、おどろおどろしいデザインの化け物をこれでもか、と出すのではなく、1種類に留めてそれすら漠然としているのが凄いです。要するに本当のホラーは誰なのか、です。
この作品、一点だけ不満があるとすると、冒頭でアズサが取りつかれるシーンですけど、代々家に伝わる家名への執着の蓄積とも取れるし、親の教育によるアズサのねじ曲がりとも取れます。何が形になったのが餓鬼なのかがもうちょっと表現されると私はもっと納得感がありました。
さて、るーみっくわーるどの3ということですが、1,2,3とまったくジャンルが違います。そして、この完成度。さすがとしか言いようがありません。
この作品は面白かったーというより、サスペンスホラーにふさわしい人物描写に注目でしょう。