nyaro さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
アニメ界で唯一ジャンル全体としてレベルが低いのがアダルト
花と蛇はSM文学として有名ですが、その中身は正直文学と呼べるのか?という内容です。
団鬼六氏は素直に自分の描きたいものを描いているだけに見えます。SM小説としては、素晴らしいものなのでしょう。昭和39年に1部の連載を終えたあとがきによると、サジスト(サディストのこと)の知り合いが実際にSMで撮影した1枚のフォート(フォトのこと)に触発されて書いたのがこの作品ということでした。
つまり団氏の欲望を文章化したものであり、日本で最も有名な「エロ小説」というのが正当な評価なのでしょう。当時はカストリ紙のエログロナンセンスの流れでおそらくは大衆に受け入れられ消費されたのでしょう。
そこに不条理として哲学的な何かを見出すことはできるでしょうし、金持ちの奥様を貶めるという階級闘争的な意味を付与することもできます。しかし、それは作者の想いからするとずれていて、あくまで性的なエロ小説を描きたかったんだと理解しています。結果として文学になることはあったとしても、です。
さて、肝心のアニメ評ですけど、正直出来は悪いです。「花と蛇」そのものは1巻はストーリーを明確に記憶していますが、設定はなぞっていますが展開はほぼアニオリ…というか、SMシーンだけですので、あまり関係はないです。
正直「花と蛇」である必然性がまったくなく、アニメ作品としては価値はほぼないでしょう。何より作画のレベルが低すぎます。まあ、アダルトで肝心なのはストーリーだという人ならいいかもしれませんが、それにしても…という作画です。古い作品なので余計です。
で、思ったのが日本のアニメのジャンルでもっとも出来が悪いのがアダルトアニメだと思っています。というのは消費マーケットが極端に少ない故に、予算をかけられないということがあるのでしょう。
名作と呼ばれる作品でも、噴飯ものが多いです。唯一認めているのが「A KITE」ですけど、あれをアダルトものと言っていいかどうか。だし、アダルトシーンはそれほどでもないです。
あとは「スクールデイズ」「ヨスガノソラ」などがアダルト的要素がある一般アニメとして成立してますけどね。そっちの方がまだいいですけど、やっぱりアダルトシーンはそうでもありません。
コミックスがアダルト同人誌→一般、アダルト商業誌→一般の流れがあるし、実力がある人がアダルト出身なのでアダルトコミックの出来はいいんですけど、集団作業であるアニメだとどうしても経済性がでるんでしょう。
ゲーム内コンテンツとしてのアダルトシーンや、CG、AI生成などで今後どうなって行くのかわかりませんけど、この分野だけは本当に魅力がないなあ、ということが言いたくて本作をレビューしました。