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「岸辺のふたり(アニメ映画)」

総合得点
62.5
感想・評価
17
棚に入れた
49
ランキング
4888
★★★★☆ 3.4 (17)
物語
3.8
作画
3.7
声優
2.9
音楽
3.4
キャラ
3.3

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岸辺のふたりの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

文化としてのアニメーション作品のひとつ。世界は分かり合えるはず。

ステキな作品に出会いました。
先輩レビュアーさんに感謝です。

アニメーションが、文化の一翼を担うに十分なポテンシャルを持っていることを感じさせてくれる作品です。
シンプルな作画と表現性にあっても、深く、ゆたかな情緒性を滲ませる作風です。


本作は、パントマイマーほどの仕草にもないのですが、娘と父が巡らせるもどかしい想いは、ささやかながらも十二分に表現されていて、そこに鋭い痛みを感じるほどです。
それは、楽しい夕餉と微笑ましい団欒を保てなくなってしまったという推測がそう予感させるのかもしれません。

いやがうえにも娘に定められ、彼女が歩んできた人生に、いつしか気持ちは絆され、あたたかく見守りたくなりました。
やがて、物語のほうから手を伸ばしてきて抱擁を求め、そして温かみのあるエナジーを胸の中に供給してくれるかのような面持ちになりました。


作画は、影絵のように描かれていて、表情を窺い知ることは難しそうです。
それは、物語に没入できるのか、心のうちに一抹の不安の兆しを呼び起こさせますが、また反対に、郷愁の先に控えている永遠(とわ)の安寧を深く感じさせるものにもつながっているようにも思えます。

表情をあえてスポイルすることで、人物像に自由を与えており、観る人のそれぞれのヒストリーとストーリーを自在に織り込めるように配慮されていて、どなたの情感をいかように膨らませても、安心して鑑賞に堪えられるように演出されていると思います。


色の演出は、セピアとブラックの2色に限られています。

父との別れが、娘の心から鮮やかな色彩を、根こそぎ奪い取っていったからなのでしょうか。
あるいは、父への憧憬と焦燥の想いの強さが、世界そのものを褪色させてしまったのでしょうか。
でも、ほのかな熾火に照らされていて、消しようのない愛着を未だに残しているようにも思えます。


しかしながら、ときに表わされるわずかな色彩もあり、自転車のベルの音を取り交わすさまにも、父の記憶を呼び覚まそうとしている娘のささやかな嗜(たしな)みのようにも思えます。
もしかしたら、父との絆を確かめる、心ならずのお作法なのかもしれませんね。


私は、自転車のベルの音に絆されました。
その響きには、娘から父への呼びかけの想い焦がれる切ない祈りが滲んでいるようにさえ感じられ、何度か耳にするたびに、娘のつまされる思いに感傷が膨らみ、しばし、たそがれに浸ってしまいました。
リンの音から得た心象は、幼いころに、自転車の後ろで励ましてくれた父の面影をどこかで感じとり、センチメンタルに耽ってしまったからだろうと思います。えっと、ちびっと恥ずかしいかな。
でも、魂がほんのりとした温かさに包まれたような気持ちになりました。


大判の絵本もあるようなので、紙芝居として捉えても良いでしょうね。
物語の冒頭と末尾に流れるアコーディオンのメロディーは、本作の魅力を引きだすレトリックとしては秀逸です。
また、伴劇は、物語を美しく修辞し、彩を添え、味わいを深めさせてくれています。いずれも記憶に残っているメロディー。懐かしいです。

絵本のほうには、文字がちゃんと載っていますので、作品を深めるに参考になさってもいいかもしれません。


アニメーションは大衆娯楽ではあるけれど、文化の一翼をたしかに担っている。そんなふうに感じさせる作品でした。
皆さまも、ぜひご覧になっていただき、それぞれに感じ取っていただければ嬉しく思います。

どうか本作が、皆さまに愛されますように。

投稿 : 2018/12/10
閲覧 : 287
サンキュー:

11

ネタバレ

天地人 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

もっと私的アニメ感想簿47

ニャンキチ君さんのレビュー見て知りました。
アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しただけあって、視聴した後、人生の移り変わりの中でも変わらぬ父を想う娘の気持ちを感じる事が出来ました。
(何か、言葉にすると陳腐ですね)

セピア色の色彩
音はあるがセリフはなく、ただ父と別れた岸辺にかよう娘
やがて成長していく彼女
結婚し老いていく彼女と反対に自転車ですれ違う女性はどんどん若くなっていきます。
回る自転車の車輪は時の移り変わりを示すのか
すれ違う女性は最初に出てきた彼女と同じ位になった時、最後の時は訪れます。
どうやっても倒れてしまう自転車
地面に朽ちて捨てられた小舟で眠る老婆となった彼女
目を覚ました彼女の前に現れたのは・・・

まあ、ここから先は実際に見て下さい(って、ここまで書いておいて、それかよ)

いつもはネタ(おいっ)を書くところですが、たまには真面目な感想で終わりたいと思います。
いいものを見せてもらいました。

投稿 : 2018/12/10
閲覧 : 245
サンキュー:

6

ネタバレ

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

あなたに会いたくて

 オランダ生まれのマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の作品で数々の賞を受賞しました。原題は「Father and Daughter」です。
私は映像が絵本になったもの(うちだややこ 訳)を読んで初めて知りました。


 セピア色の映像は、シンプルで美しく 表現豊かに動き アコーディオンとピアノとのドナウ川のさざ波の曲は郷愁を呼び起こします。

 わずか8分の中に 自転車の車輪のごとく くるくると巡りゆく人生が進んでいきます。

見終えた後 父を想う娘の思いが、心の中で広がり そっと優しく閉じていきました。

投稿 : 2018/12/09
閲覧 : 285
サンキュー:

24

nana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/05/07
閲覧 : 14

AKIRA777 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/11/20
閲覧 : 66

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2018/12/10
閲覧 : 73

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2018/05/15
閲覧 : 88

kuronotuki さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2016/04/13
閲覧 : 90

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

投稿 : 2014/10/22
閲覧 : 120

どんとこい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2013/11/12
閲覧 : 111

sayu_luv さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1
物語 : 3.5 作画 : 2.5 声優 : 2.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.5 状態:----

投稿 : 2013/08/06
閲覧 : 132

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岸辺のふたりのストーリー・あらすじ

2001年のアカデミー賞短編アニメーション賞受賞をはじめ数々の映画賞を獲得した傑作アニメ。幼い時に岸辺からボートで去って行った父を想いその岸辺に立ち続ける娘に訪れる奇跡を、繊細にして哀愁に満ちたタッチで綴る。2003年6月のDVD発売後、日本でも評判を呼び、2004年12月にロードショー公開が実現。 自転車に乗った父親と幼い娘がとある川の岸辺へとやって来る。やがて父親は後ろ髪を引かれる思いでボートに乗り込むと、娘を岸に残したまま行ってしまった。そしてそのまま戻ってくることはなかった。その日以来、娘は雨の日も風の日も、父親の帰りを待って岸辺を訪れ続けた。やがて月日は経ち、娘も少女から大人へと成長していく。四季は繰り返し、娘は恋をし、自分の家族を持つ。それでも娘は岸辺にやって来ては、父の面影に思いを馳せる。娘もいつしかあのときの父の年齢を越え、老女となっていた。そしてある時、彼女に奇跡が起こる。(アニメ映画『岸辺のふたり』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2004年12月18日

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