どらむろ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
虫プロ制作「ミクロの決死隊」番組ラストに手塚治虫先生が解説してくれます♪
手塚治虫が企画と監修を手がけた「ミクロの決死隊」ぽい内容のSFアクションです。
全26話ですが低視聴率でTV放送版は再編集版の24話のみ。
…当時同時放送が「めぞん一刻」という超人気作故に知名度低い不遇作ですが、人体の神秘や命の大切さをテーマにした中々の佳作です。
1997年度のNHKアニメ「救命戦士ナノセイバー」の先輩でしょうか。
{netabare}『物語』
ビジュール星人という異星人が地球人の人体を侵略しに来ていて、主人公たちホワイトペガサス隊が「ワンダービート号」というミクロ化出来る船で人体に潜り、ビジュール星人とバトル…
基本1話完結で前半パートに色々とドラマあり、後半パート異星人が人体侵入、ワンダービート号出撃!→人体の神秘を見せつつバトル!→解決
なパターン。
その過程で人体の組織や機能を解説したりする感じ、人体の神秘と生命のすばらしさ的なテーマがある、教育的なアニメでした。
…番組ラストで手塚治虫先生自らが今回題材になった人体部位の解説してくれるコーナーあり、医学に造詣の深い手塚先生の語り良かったです。
各話の脚本は安定しており、主人公ススムが色んな出来事で成長していく。
各回侵入される部位にまつわるエピソード(サッカー少年回なら足、歌手少女なら喉など)でススムとゲストキャラ達の交流が見所でした。
殆どススム回ですが、10話でサポートロボ・ビオが幼女に恋心抱く微笑ましいエピソードも。
バトルは現在からみるとワンパターンなのですが、射撃戦や砲撃戦など当時としては激しい。
SFアクションとしてはまずまずなのでは。
全体の流れとしては、ススムの父がビジュール星人との接触で行方不明、地球を裏切ったのでは?
と汚名背負っている父に対しても信じ続けるという重い設定あり。
でも仲間たちが皆良いチームメイトなので、さほどの悲壮感やストレスは無いのが良い。
もうひとつのポイントは「生命元素」なるモノをビジュール星人が狙っているらしい事。
滅びかけの母星の為に、生命力あふれる地球人の秘密は生命元素にあり!毎度違う部位に侵入して探すぞー!
異星人が地球人の人体を侵略する理由づけとして成程と思った。
他にも要所で父の存在感匂わす展開もあり、全編通して飽きさせない構成上手いです。
ターニングポイントは16話「応答せよビジュラ姫」で、敵の指揮官であるお姫様・ビジュラ姫とススムが交流…
ビジュラ姫の心に地球人の持つ生命力や感情の大切さが芽生え始める…。
敵本拠地への単独侵入という緊迫感と、敵ながらヒロイン格との交流は、本作で一番の見せ場でした。
…なんですが。
本作はここからが意外と盛り上がらなかった感。
ビジュラ姫は敵指揮官だが主人公と交流してデレるのかな?
もしくは立場が危うくなってピンチというのも萌えるな~?
…と期待してたのに。
実権は失うもそのままウヤムヤな感じ、せっかく盛り上がるかと思ったのに。
後半以降はワンダービート号の隊員たち個別エピソードでキャラ紹介を深める流れ。
リー隊長と年長の陶芸家とのちょっと大人な尊敬の形は、良いエピソードでした。
生意気な問題児が新加入ちょっと遅すぎ(21話、残り尺が無い…)ですが、相対的にススムの成長は実感できる。
ここら辺良エピソード多いのですが、短期打ち切りの為残り尺が無く、チームメイトの見せ場少なかったのは残念。
また、人体部位解説という意味では、前半に比べてやや雑な感も。
メインのストーリー進行に忙しくて余裕が無かったのかな…
終盤の纏めは意外なドンデン返し、{netabare} 生命元素なんて実は無かった。文明進み過ぎて活力失ったビジュール人が、地球人の活力に学んで生きる力を取り戻す。生命元素とは…生命の輝きの中にこそあるのだ! {/netabare}
天空の城ラピュタ的なテーマ(文明に対する生命と共に生きる)
各話で繰り返された人体や生命の神秘と素晴らしさをラストで実感できる纏めは良かったです。
TV放送版は駆け足でアッサリ解決、消化不良感あるものの違和感は少ない。
26話版はビジュール内部のドラマ少しあり、でもちょっとツッコミ所多い(ズダー将軍あんたそんなこと思ってたのか知らなかったw)
※2015年春アニメ「ガンスリンガーストラトス」のずっと昔にも2種類ラストなアニメあったんですな。
こちらは打ち切り苦肉の策、ガンスリンガーストラトスは拘ってスベッたという違いはありますけど。
総じて、ミクロの決死隊っぽいSFアクション風味で人体の神秘や生きる輝きを分かり易く伝わるアニメでした。
終盤駆け足以外は脚本のクオリティー高いのですが…意外と大きく盛り上がらず、地味な面も。
ビジュラ姫が惜しいなぁ~。
4点か迷いました。
『作画』
1986年度としてはキャラデザも作画水準も十分に良いです。
強過ぎたライバル・めぞん一刻より良いかも。
マユミちゃんやカトリーヌさん等今見ても十分可愛いです。
毎度のバンクや人体探検シーン、銃撃戦バトルも中々。
ただしバトルは今の水準からだと地味かも。
…2000年代前半の粗製乱造アニメよりは断然作画は良い。
『声優』
ススムは田中真弓さん、元気印の少年といえばこの人。
堀川亮さんはナマイキキャラといえばこの人。
マユミは荘真由美さん、本作は「まゆみ」に拘りがある模様。
鶴ひろみさんのお姫様、小山茉美さんの凛としたクールビューティーもよかった。
このほか亡くなられた方含め豪華声優陣です。
塩沢兼人さんはこの手のイケメン嫌味キャラの定番ですな。
…ゲストキャラ含めると、現在の感覚だと棒演技もちらほらと。
『音楽』
前半ED(OP無いので主題歌)「ワンダービート」が主題に素直でアニソン的にはこちら。
後半の「瞳はコスモス」は80年代らしいラブソングで良曲ではありますが合ってない。
BGMが爽快感あり良かったです。
『キャラ』
ススムは子供向け教育番組の主人公らしく元気活発でナマイキだが少しずつ成長する少年でした。
チームメイトではリー隊長が凛々しくてステキな女性。
各キャラ個別エピソードありましたが、キャラ立っているかは微妙。
カトリーヌさんマユミちゃん可愛いんですけど影が薄い…。
サポートメカのビオが健気でよかった。
ゲストキャラも安定感あり、10話の幼女萌え。
ビジュール側ではズダー将軍がテンプレな敵でした。
ビジュラ姫はスキンヘッド…なのに結構可愛い。
…本作はビジュラ姫がもっと積極的にヒロインしてくれていれば、もう一段印象強まったかも。
非常においしいポジションのヒロインでしたので。
両陣営とも安定感はあるのですが、あと一歩足りない感じが…{/netabare}
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