無毒蠍 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
これ一つで劇場版三作品を楽しむことができるのはお得だと思います。
劇場版第一作 「(超)劇場版!地獄先生ぬ~べ~」
ぬ~べ~の教え子でもある飯島久美子がある日、
指名手配犯を見つけ通報したことから物語は展開していきます。
その後車で逃走する殺人犯ですが逃走中に事故にあい意識不明の重症に…
そのとき事故をおこした場所が
天狗塚という悪人を落とすための冥府への入り口がある場所だったんですよね。
殺人犯は天狗洞の悪霊に取り付かれ通報した人物を探しさまよう日々を送る事に…
主な流れはそんな感じです、
悪霊が探してる人物のヒントは赤いリボンとイニシャルがK.Iという事だけなんですが、
早い段階で事態を把握してきた久美子は恐怖のあまりリボンを捨てようとするんですよね。
そこを郷子に見つかってしまい捨てるくらいならちょうだいとリボンをもらわれてしまいます。
何を隠そう稲葉郷子もイニシャルはK.Iだったのです…
最初はどうかなとも思いましたが結構面白かったです。
というのもこの作品で描写されていたのが久美子の弱さと強さだったんですよ。
悪霊に対する恐怖だったり郷子に対する後ろめたさから
何もアクションをおこせない久美子でしたが
最後は勇気をふりしぼってその強さをしめしてくれました。
久美子の特性として優しさがあります。
殺人犯が事故にあったときも自分が通報したせいだと責めるんです、
悪霊と向き合ったときでさえ自分がそうさせてしまったと責めました。
今回の悪霊はそんな久美子の優しさを踏みにじるようなやからでして、
そもそも悪霊の正体は殺人犯なんかではなかったんです。
殺人犯が天狗塚で事故ったときにできた亀裂で天狗洞から這い出てきた、ただの悪霊なんです。
ただ一度天狗洞に落ちたものは再び天狗洞に戻されるらしく、
それを回避するために久美子を身代わりにし天狗洞に落とそうとしてました。
殺人犯の悪意に取り入り久美子の善意につけこむ…結構な悪党ですよ。
久美子の自責の念が悪霊の力になるらしく殺人犯になりきり久美子を追い詰めてたんですな。
しかしその正体がバレた後はさすがの久美子も怒りをあらわにし、
「あんたなんか地獄に落ちて当然の存在よ!」というような思いのたけをぶつけます。
この行動がぬ~べ~勝利の鍵にもなっていましたし久美子ちゃん大活躍です。
久美子の恐怖心を食らい成長し続けた悪霊は結構手強く、
鬼の手をもってしても一筋縄ではいきませんでした。
悪霊を再び天狗洞に落とすために穴を開けたのですがその穴が結構な小ささですw
しかし久美子が思いのたけをぶつけた瞬間、穴が急速に拡大したんですよね。
天狗塚の番人は悪霊を落とすくらいだからいい人なのでしょう、
その番人が久美子の勇気に動かされたというところかな?
悪霊は正体をあらわすまで黒マント姿で行動していました。
ぬ~べ~と交戦中に急に苦しみだして逃走することもありましたね。
まるでウルトラマンみたいなやつで長時間戦えないんじゃ?というような印象を抱きました。
それには理由があってなんでも天狗洞に落とされたものには罰があたえられてるらしく、
一日に三回、数千度にもなる玉を飲み込まないといけないらしいです。
悪霊はそういった苦しみから解放されたかったんだろうねぇ。
そして忘れちゃいけないのが久美子を守るために奔走するクラスメイトたち。
郷子なんて悪霊の狙いが久美子だと気づいても自身が身代わりになろうとしてましたからね。
小学生とは思えない勇気と行動でした。
事故にあい久美子を恨んでいた殺人犯も悪霊を介して久美子の声が聞こえてたみたいです。
「あんたなんか地獄に落ちて当然の存在よ!」
久美子のこの言葉を聞いた殺人犯はなぜだか涙してました…
このとき初めて彼は自身の行いを悔い改めたのかもしれませんね。
事件解決後は嘘のように久美子が強くなりクラスのガキ大将にも意見します。
今回の一件で本当に久美子は成長しました。
この作品はぬ~べ~の強さより久美子の優しさや成長を楽しむものだと思います。
もちろんぬ~べ~はいつも通り教え子を助けるべく奔走しますのでそこは安心して大丈夫かと。
劇場版第二作 「地獄先生ぬ~べ~ 午前0時ぬ~べ~死す!」
ぬ~べ~のクラスに転校してきた加々美潤はクラスに馴染めずに泣いていました。
その時鏡の中からピエロの仮面があらわれて潤は身につけます。
その仮面のおかげか不思議な予言まで出来一躍クラスの人気者に。
しかしその予言はクラスの子達を苦しめるものばかりで…
主な流れはそんな感じです。
クラスに馴染めない潤が仮面の力に魅了されてしまうという展開。
全ては潤の影である鏡の世界の住人、ピエロをかたどった妖怪の仕業でしたね。
ピエロの姿をしてはいますが潤の迷いが生み出した妖怪にすぎません。
潤を象徴するものがピエロだったのでこういった姿で生まれたのでしょう。
そもそも予言の力もインチキで全てピエロが予言どおり実行していただけでした。
ピエロの狙いは潤の信頼を手に入れて潤と入れ替わることでした、
潤を鏡の世界に入れて自分は表の世界にでてきたかったんだね。
実際潤はピエロを信じて入れ替わっちゃいましたから。
前作と同じように描写されていたのは潤の成長です。
仮面の力で人気者になったことを喜ぶ潤と、
そんなものは必要なかったんだと気づく潤。
仮面なしで笑うことなどありえなかった彼も
事件後はクラスにとけこんで笑顔をみせてます。
ピエロは潤の心から生まれただけあって結構こものに感じました。
というのもピエロが最大の妖気になる午前0時。
その時間帯を迎えてもたいした強さではありませんでした。
ピエロというだけあって手口が変則的なんですよね。
ぬ~べ~を倒すためにとった手段が広や郷子たち教え子をあやつって
戦わせるというものです、もちろん教え子と戦うことなど出来るはずもなく大苦戦でした。
緊迫したシーンだったはずなのにどことなくギャグテイストだったんですよね。
特にピエロ化した美樹なんて自慢の巨乳でぬ~べ~の顔をビンタしてましたw
攻撃なのかな?いやご褒美でしょ、ぬ~べ~は苦しんでましたがw
ピエロにあやつられてぬ~べ~を攻撃する教え子たちは、
あやつられていながら涙していました…
心と肉体の不一致…痛々しかったですね。
こんなふうにピエロは直接対決は苦手なようです。
最後は今までピエロにあやつられていた潤に逆にあやつられ鏡の世界に戻されてしまいます。
しょせん影でしかないピエロなので潤がその気になればどうとでもなる存在だったんですよね。
ただ今までの潤からするとありえない行動だったのは確かです。
ここらへんでも成長を感じ取れました。
鏡の中に戻されたといっても潤も一緒に鏡の世界へ落ちていきます。
それをぬ~べ~が鏡の世界に行き救出するというのが最後の展開です。
このとき崩れゆく鏡の世界をみて絶望しかないピエロ…
ぬ~べ~が来たときも鬼にしかみえずおびえまくりw
かなり小心者でしたね。
もうちょい実力者の妖怪だったほうが盛り上がったと思うので残念です。
ぬ~べ~死すとは言いますがそういったシーンは特に感じ取れませんでした。
ピンチに陥ることはありますがこの程度なら通常回でもよくあるピンチです。
死すというくらいですから、もっと絶望的な展開を期待していました。
原作にあった死神のやつくらいの絶望感がほしかったかな。
劇場版第三作 「地獄先生ぬ~べ~ 恐怖の夏休み!! 妖しの海の伝説!」
夏休み、ぬ~べ~に引き連れられてやってきた南の島。
そこで出会ったのは天真爛漫な渚という少女です。
その純粋な魅力にひきつけられ仲良くなっていく生徒たちだったが…
というのが主な流れです。
渚が登場してからしだいに慌しくなって妖怪なんかも登場します。
まず最初に登場したのがミサキという妖怪。
こいつは孤立した郷子を海に引きずりこもうとしましたが、
駆けつけたぬ~べ~、そして渚の助力で救出に成功しました。
このときから渚が只者ではないような描写がありましたね、
海の中であれだけの速度をだすのは少々異常に感じました。
そして次にあらわれたのが磯女、狙われたのは律子先生です。
ぬ~べ~のおかげで助けることが出来ましたがなぞは多く残ります、
なぜ急に妖怪が活発化しだしたのか?
どうして人間をさらうのか…
それは全てこの海に伝わる海蜘蛛伝説が関係していました、
齢200歳になると人間を喰らうという海蜘蛛…
その海蜘蛛というのが渚だったのです。
まぁそれ以外に考えられませんよね。
妖怪たちは人間をさらって渚に食べさせようとしていましたが、
そこについては妖怪なりに理由があったんですよ。
満月の夜までに食べさせることが出来なければ、
渚は妖怪でも人間でもない化物になってしまうらしいです。
そして破壊のかぎりをつくし暴れまわると…
妖怪たちは海の平和を維持するために渚を海蜘蛛にしようとしていたみたいだね。
この渚が悪いやつだったらここまで複雑にならなかったんだけど、
渚は人間を喰らえという衝動に抗ってましたし、
本当に純粋に友達と仲良くなりたかっただけなんだよね。
海蜘蛛の姿になっても渚としての理性は多少残っていたみたいで、
ぬ~べ~の声にも耳を傾けてくれたように思えます。
渚の最後の願い…
それはみんなを傷つけてしまう前に消して欲しいというものでした…
ぬ~べ~は苦渋の表情を浮かべながらも願いを受け入れようとしましたが、
それに生徒たちはもちろん、妖怪のゆきめでさえ反対。
「妖怪は幸せになっちゃいけないんですか?」
ゆきめのこの言葉には正直なんて答えたらいいかわかりませんよね。
最後は生徒たちの体から光の管のようなものが出現し、
渚は消え去ってしまいます。
しかし帰りの船の中で生徒たちがみた渚そっくりの人魚…
ぬ~べ~は確認しようとしましたが途中でやめました。
確認なんてしなくてもその人魚は渚だ、それでいいじゃないかと。
「人の醜い心から生まれるのが妖怪なら人の美しい心から生まれるのもまた妖怪」
もしそうなのだとしたらあの時生徒たちから出現した光の管は、
渚を消したのではなく、転生させたのかもしれませんね。
人魚というのは人々を魅了する渚にお似合いの姿だと思います。
今後は恐ろしい海蜘蛛伝説から美しい人魚伝説へなっていくことでしょう。
劇場版三作品が収録されていて結構お得だったと思います。
そう考えるとドラゴンボールってコストパフォーマンス悪かったんだな。
ぬ~べ~の活躍というよりは妖怪に関係してしまった人物の心情だったり、
成長というものをメインで描写していたように思えました。
欲を言えば一つくらい長編で観てみたかったですね。
それと劇場版には玉藻先生が登場していませんでした。
まぁ玉藻先生よりもゆきめを登場させてくれたほうが嬉しいですが。
妖怪の話って面白いですよね、うしおととらも好きでした。
【A80点】
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