退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
最終話:田中は本当に告白したのか?
遅まきながら最終話まで見ました。感想としては個々人のモラトリアム脱却をテーマにして上手に纏め上げていると感じました。特に文化祭のシーンは大団円と呼ぶに相応しく、こみ上げてくるものがあります。歌の力ってすごい。
で、本題なのですが、以前より紗羽と友人以上の関係になるのではないかと感じさせていた田中が、紗羽の旅立ちのシーンでなんか言っているシーンについてです。音声は無いものの、田中が顔を赤らめていることからか、告白したのではないかと取り沙汰されています。それに関してちょっと思うところがありますので書き連ねていきます。
結論から言うと、田中は紗羽に告白はしていないと考えています。それは、「もし田中が告白していたら」と仮定すると不自然な点が多々生じるからです。
では、その不自然な点とは何かです。田中が告白したとしてそれに対して紗羽は何か答えています。その返答の内容として考えられるのは簡単に、「はい」「いいえ」「保留」の三つです。「はい」は、田中と紗羽は恋人になります。「いいえ」は、田中がふられます。「保留」は、紗羽自身の答えを先延ばしにするものです。
まず、「いいえ」と田中をふったとは考えにくいです。それは、卒業式に紗羽に対してビデオレターを送る場面で、来夏が田中を茶化していることからわかります。
来夏「田中は何か言わなくていいの?」
田中「うるせぇ」
というやりとりです。流石に田中がふられていたら、来夏も空気を呼んでこんなことは言わないでしょう。
次に、告白に対する返答を「保留」した可能性です。これは、ちょっとズルイ気がしますが、物語の構成上ありえないと思われます。現実ならどうかわかりませんが、これから遠い異国の地に旅立つ異性に対して告白をしたのに、その答えを言わずに行ってしまうというのはあまりにもつまらない。ジブリ映画「耳をすませば」のラストで考えて見るとわかると思います。現実的にもあの場で答えの「保留」は、「拒否」と考えても差し支えないのではないでしょうか。
最後に一番ありえそうな2人が恋人になるという展開です。ここで再び卒業式のシーンを思い出してみてください。来夏は田中を茶化します。それをぶっきらぼうに田中は返します。田中は、結構行動力があり、誠実な人間です。それは、背景や衣装製作の彼の活躍を見ると強く感じます。もし紗羽と恋仲であるなら、ビデオレターに気遣いの言葉の一つでも入れるのではないでしょうか。それに、来夏の「何か言わなくていいの?」の何かとは、告白のことだと考えれば、田中の反応もうなずけます。
以上よりあの紗羽の旅立ちのシーンでは、田中は告白はしていないと思われます。第一、田中は恋愛に疎そうですし、周りの人間も2人が親密になっていると感づいている描写は全くありません。(特に来夏が意識していないのがおかしい!)それなのに突如田中が告白するなんて考えにくいのです。
では、何を言ったかが問題になります。ここからは想像するしかないと思いますが(何か手がかりがある場合はぜひ教えていただきたいです)田中は「お前が夢を叶えて帰ってくるのを待っている」みたいなことを言ったのかも知れません。それで紗羽は「ありがとう。必ず夢を・・・」とくるのです。
田中と紗羽はそもそも明確なそして大きな夢を持っている同士という繋がりで親しくなっていました。田中が紗羽を異性として見るようになったきっかけは恐らく写真をとった時だと思いますが、それ以降も表面上は友人として付き合っていたのでしょう。だから周り(来夏)も気づかなかったのです。空港での田中の一言は紗羽だけでなく周囲の人にとっても驚きだったはずなのです。
で、来夏は田中が紗羽のことを好いていると思って卒業式のシーンに繋がると考えるのが、一番しっくりくるのでは?と考えました。
本作品は恋愛をテーマにしているわけではありませんで、以上のことはあくまでサブ扱いだとは思いますが、おもしろい演出で想像が膨らんだので書きました。
こういうさわやかで調和的な青春物語がこれから増えてくればいいなと切に願います。