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「氷菓(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
8361
棚に入れた
35405
ランキング
53
★★★★★ 4.1 (8361)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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氷菓の感想・評価はどうでしたか?

英国紳士 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

米澤穂信さん的

過去に米澤さんの作品をいくつか読破したのだが、あまり面白さは感じられなかった。そのためこの作品を視聴していなかったのだが、どうhしてもミステリー作品が観たかったため、選択した。
結果としては小説と似た印象を受け、くどい、クドイ言い回しにうんざりし、断念。小説でも苛立ちを感じていたが、アニメでは一層だ。
ただ米澤さんの作品は、発売の度にミステリーの賞をとっているため、素晴らしい作品なのは疑いようがないだろう。

投稿 : 2024/12/13
閲覧 : 13
サンキュー:

0

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

また春が訪れる

京都アニメーション制作。

日常系青春ミステリ、
米澤穂信原作の古典部シリーズ。

深刻な事件が起こるわけではなく、
日常のちょっとした謎にまつわるお話。
好奇心旺盛なヒロインがかわいいです。
田舎の風景ものどかで作画は美しい、
派手さはないけど雰囲気がとても良いですね。

お薦めは「クドリャフカの順番」
神山高校文化祭で起こる連続盗難事件、
十文字事件に古典部が挑む。
{netabare}奉太郎は省エネをモットーに生きていますが、
彼が他者に歩み寄る話でもあるのです。{/netabare}
少しづつ社会性を獲得していく、
それはとても大事なことでしょう。

そして、また春が訪れる。
{netabare}桜並木の夕暮れの風景、静かに歩く2人、
心が洗われるほど美しい終幕です。
きっといつか気持ちも伝わるでしょう。{/netabare}
小さな街の小さな世界にも幸せはあるのだ。

青春は揺れて、挫けて、ホロ苦い。
それで良いじゃないか。

投稿 : 2024/12/09
閲覧 : 1018
サンキュー:

118

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

小市民を見て、本作はキャラが原作改変かなあと気が付きました。

「小市民」を見て「小市民」は潔く小佐内を原作通りに描いたのに対し、本作はそういえばかなり原作改変をしたなあと気が付きました。話の筋は99%は原作準拠です。ですが、その中に含まれる暗いドロドロしたものですね。これを非常に上手くデオドラントしたなあと思いました。

 まず、姉妹の話ですね。原作だと最後に仲良くしているシーンはありません。これは姉妹にあこがれる千反田が実際の兄弟姉妹はそんなにいいものではないと気が付くというオチになります。
 映画の話の入須先輩が最後のほうでホータローに謝罪のように取れる言葉を言いますが、これも原作にはないものです。つまり、入須は実はもっと冷酷な印象になります。もちろん「氷菓」事件自体がまったく救いのない話です。
 
 この2つの事件の悪意を消したことで非常に作品全体がマイルドな印象になりました。

 で、主要メンバーです。バレンタインや文化祭の話で分かる通り里志の知識欲はコンプレックスであり、彼は自分の居心地のために摩耶花との関係性を自分の思う通りにコントロールしています。それは摩耶花を認めたうえで自分との釣り合いと言っていますが、なぜ答えがだせないのか。この里志の自問自答って好きかどうかって入ってないんですよね。その辺どうとらえればいいんでしょうか?彼はそれを自分に問うているのかどうかですね。
 ホータローへの対抗心がなくなったら、ひょっとしたら摩耶花の申し出を受けるかもしれませんが、その時には摩耶花は里志に魅力を感じるかどうかも含めてわかりません。

 摩耶花は文化祭でわかるとおり、正しい事しか言えない面倒くさい女です。あのキツイ態度は自己評価の低さかなとも思われます。
 あとはフロル「11人いる」萩尾望都作品のコスプレというところに意識高い系であり、はっちゃけられない性格も表現していました。エスパー魔美のコスプレは原作にはあったかな?

 千反田ですね。彼女が大事です。彼女は豪農の娘で、おにぎりを手早く握れ、米を研ぐのが上手いです。描かれている特徴が好奇心以外は全部「米」に関することです。逆に言えば、旧家の因習にとらわれて自分の将来を縛られていることに窮屈さを感じしかもそのことをあきらめています。千反田の自室の描写などはアニメ版でも匂わせていたのかな?つまり、女子高生らしく生きられないということです。

 そして、ホータローの能力を見極めた上で自分への協力を求めます。この辺のマインドにしたたかさを感じます。そして他言を許さないところでプライドの高さも感じます。あの閉じ込められたときもそうですね。

 つまり、彼女は天然であっても芯に地域を支える惣領の娘としての自尊心と閉塞感があることがわかります。「遠回りする雛」は結構これが読み取れる形でした。ホータローなどが直答できないレベルのお嬢様。そして、ホータローなどよりよほどしっかりした役割を果たしている。恋愛の話に見えますが、ホータローは千反田を見下していたのが、逆転した瞬間ですね。演出で灰色がピンク色になるところに目を奪われますけどね。ここはある意味で「小市民」との共通点になります。だから…ですが、私はこのままではキャラに忠実であろうとすれば、原作者はホータローは千反田との破局を書かざるを得ないと思います。

 彼女が解放されるときは、つまりホータローがいらなくなる時です。もっとハイレベルの世界に行くでしょう。「俺が経営的戦略眼…」が愛の自覚であると同時に絶望的な差を感じた瞬間でした。里志と同様にそれが口に出せないところがポイントです。「灰色」「省エネ」では彼は千反田に追いつけません。姉はホータローが堕落するのが分かっていて誘導した気がします。

 ホータローの姉ですよね。ホータローを海外から遠隔操作し入須の思惑を見抜く。その交友関係、古典部にいたという事実からカンヤ祭の件などとうにわかっている気がします。バックナンバーの件もあるし、ひょっとしたら千反田を裏でそそのかしている可能性もちょっと考えますけどね。それはどこにも書いてありません。ありませんが、入須のところで2人のつながりをちょっと匂わせていました。つまり、千反田を利用してホータローを変える作戦だったのかなと思います。

 という感じで、それぞれの事件の裏の動機・思惑とは別に、ここのキャラクターを紐解いてゆくと、本当はものすごく内面のドロドロした話になっている気がします。「手作りチョコレート事件」「遠回りする雛」で一旦本作原作は区切りです。
 つまり、この2作が原作者が描きたかったことでしょう。となると、4人は成長とともに離れていく関係性のように見えます。古典部という枠が無くなれば、一緒にいる理由がない4人になる気がします。あとは2人の男たちの成長がどうなるかで、能天気な高校時代の恋愛からの結婚の将来も描けるでしょうが、描き方を素直にとると大学、社会人と4人が一緒にいられるとは思えません。

 京アニ版の本作も、ストーリでは忠実ではあります。ですが、何かそういう裏を感じさせないような演出だったかなと思いました。

 この辺の裏を考察すると、アニメ版の氷菓はライトにエンタメにしましたが、本当は「小市民」同様そんなに軽い日常系の推理だけの話ではありません。つまり、キャラの性格を巧妙に隠してキャラの奥にある闇を感じる作品を明るいエンタメにしたことで、その点は原作改変だなあと改めて「小市民」を見て気が付きました。




以前のレビューです。22年4月

「2重構造の日常の謎にバラ色を探すホータローの青春。一番好きな推理小説です。」

 推理ですので、謎の解答については触れていません。本当は本作の素晴らしさを語るには謎解きについて書きたいですが、ネタバレで隠すことはできますが、推理小説のネタバレをアップするのは止めておきます。

 この作品は特にメインになる話において日常の謎解きの下に真の謎がある、と言う構造です。ヒューマンドラマが隠れています。さらにホータローが千反田に対する距離が縮まって行くプロセスが描かれます。

 つまり、推理ではありますが、ホータローがバラ色の高校生活…それは千反田でした、というラブコメでもありました。更にホータローが主体性を獲得して行き自ら行動して行くという成長が見られました。
 ラブコメとしての水準は非常に高いです。主人公の心の変化をここまで丁寧に面白く描いた作品は数少ないでしょう。

 ここに見えない登場人物、姉の存在があります。恐らくですがホータローの学園生活について思うところがあったんでしょうね。海外からでもホータローを遠隔操作できる強者でした。前半は活躍しますが後半はフェードアウトします。

 桁上がりの4名家とかもうまいですよね。名家という存在でさりげなく舞台が田舎で因習があることを表現していたし、名家のつながりが交友関係やストーリーの要素になったりします。

 なお、1話目について、前後半別れた話で導入のような軽い話ですが後半の女郎蜘蛛の会…これ、重要です。千反田との距離感についてこれが喫茶店のシーンにつながり、そして最後は遠回りする雛につながってゆきます。

 刑事事件にもならない日常系推理ではありますが、謎の中には、本人たちにとっては自分事で大きな意味を持つ事件もありました。

 氷菓は千反田、映画はホータロー、文化祭はマヤカそしてサトシのプライドの問題でもありました。もちろん遠回りする雛はホータローの「自覚」でした。バレンタインはサトシとマヤカです。
 優れた推理とこの主人公たちの内面と恋愛感情の部分を言葉で説明しないでストーリーで見せたところがいいですね。ホータローのバラ色の生活を含めて、重層的な意味を描けた本作は本当に素晴らしいと思います。


 映像・アニメ表現に関しては、キャラデザ・作画は最高です。原作のイメージ通りで、しかも破綻が一切ないと思います。ヒロインの髪、瞳の輝き、雪や桜の表現など効果的で美しかったです。
 主人公、ヒロインその他、声優も雰囲気がぴったりあっていあました。

 幻想的な映像表現で遊びの部分もありましたが、そのレベルが高くてともすれば映像的には地味な本作について上手く処理したなあという感じです。

 演出では、もともと高校生にしては大人びすぎているキャラばかりの中で、マヤカの性格作りが原作に比べてきつすぎるかなあ、というところがありました。

 アニメ版になってマイルドな性格になった登場人物もいて、原作の意味が若干変わっているところはありますが、見ている側からするとよい改変です。もし、原作を読むなら比べるといいかもしれません。

 キャラでは十文字先輩の見た目としゃべり方が素晴らしいです。短時間しかでませんが、育ちの良さをちゃんと表現できています。
 もちろんヒロイン千反田のキャラデザ、ぶっとんだ天然ぶりも素晴らしです。ヒロインのエロシーン(温泉回と水着回)もあるといえばありますが残念ながら全然エロくありません。これは意図的な演出の気もしますが。11.5話の水着回でかろうじて…いや、やっぱりエロくはないですね。


 総評としては、推理小説を題材にしたアニメはいろいろありますが、出色の出来です。青春ラブコメとしても、かなりの水準です。アニメの出来、演出、ストーリー…5年、10年後に見ても古さを感じないでしょう。

 なお、自慢になりますが、遠まわりする雛、ふたりの距離の概算、いまさら翼といわれても、は初版本を持っています。それくらい本作は原作時代からのめり込んでいました。

 以前のレビューを大幅に修正しました。

投稿 : 2024/09/26
閲覧 : 479
サンキュー:

20

ネタバレ

YOU0824 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

折木の性格が好き

こんな風に「日常性」を描いた作品は
ないのではないか。
さすが京アニだと思う。
意欲作だろう。

「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことは手短に」

が信条の折木。
この省エネ志向が好きだ。
今の時代にしっくりくると思う

古典部というのがいい。
ハルヒのSOS団に同じ(笑)
たしかに所々の謎解きは小粒な印象だが
それは脇役で
日常の瑣事を巧みに描きたかったのだと解釈している。

個人的には「ヘリコプター」の話が心に残った
それと最終話の「生き雛祭り」。
えるの地元志向が神々しかったのと
折木の態度になんとも言えない余韻を感じた

投稿 : 2024/09/16
閲覧 : 26
サンキュー:

1

ネタバレ

xinxin22 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:----

新時代の招隠の歌

『氷菓』は京都アニメーションが一年の準備期間を経て放つ意欲作であり、作画と音楽はどちらも非常に優れています。カット割りは完璧と言えるほどで、画面の構図は、私に言わせれば、美学的な配慮だけでなく、物語や感情の必要に最も適した視点が用いられています。また、米澤穂信の『さよなら妖精』で得た少しの人気を基に、『氷菓』は彼のデビュー作として現在も連載中ですから、多少の注目を集めるのは当然と言えるでしょう。しかし、残念なことに、『氷菓』は現在、あまり人気が出ておらず、京都アニメーション自身が商業的に失敗と考える『日常』よりも注目されていない状況です。

この冷淡な反応の背後にある理由を深く考えてみると、確かに良いアニメは現在非常に多いですが、それ以上に京都アニメーション自身のマーケティング戦略の失策が大きな要因と言えます。『氷菓』は「学園推理」というジャンルで注目を集めたかもしれませんが、初見の印象としては、学園要素は特に特徴がなく、推理要素もやや小規模なものに留まっているため、視聴者に失望感を与え、見限られることも少なくありません。しかし、実際のところ、『氷菓』の本質は、「学園」や「推理」という一般的な概念では表しきれないものがあります。

原作の巻数で見ると、五巻のうち四巻が既に出ており、『氷菓』の意図は次第に明らかになってきています。率直に言えば、『氷菓』は学園推理という皮を被った、新しい日本の世代への訓話でしかありません。折木奉太郎という「省エネ主義」のキャラクター設定が徐々に覆されていく過程から、『氷菓』が60年代という敏感な時代についての一端を垣間見せる探求、「愚者の末裔」が各人の意見の展示と調整のプロセスを模擬し、「遠まわりする雛」の家族愛の探求と楽観的な見通し、そして現在の「クドリャフカの順番」では、人の能力とその使い方への嘆きなど、すべてが日本の新しい世代を新しい社会の構築に誘うための懸命な努力であることがわかります。

一つの簡単な例を挙げると、『氷菓』という物語を全篇のタイトルと冒頭に据えるのは、実際のところ商業的には非常に不賢明な行動です。なぜなら、1960年代は日本にとって、言ってみれば中国にとっての1980年代と同じで、誰もが触れたくない、むしろ嫌悪感を抱くようなテーマだからです。当時の若者たちの燃え上がる情熱が無惨に打ち砕かれたその残響は、今日まで完全に癒えていないかもしれません。その時代の物語を次世代に語ることで、その時代が灰色のベールで覆われることになるのです。特に、多くの人々が日本の新しい世代、特にオタク文化を自己中心的で怠惰、視野が狭く、世間との関わりを避け、自暴自棄に陥っていると考えている中で、そういった話題を持ち出すことは、商業的には自殺行為と同じです。

しかし、京都アニメーションはそれをあえて意図的に無視したのか、あるいはたとえそう考えても、この状況を放置することができなかったのかもしれません。日本中央政府は腐敗し、遅々として進まない一方で、日本の民衆は不満を抱きつつも冷淡です。しかし、最近の大阪府の選挙は、日本の政治界に一筋の光明をもたらしました。京都府も隣接する地域として、少なからずその影響を受けていることでしょう。京都アニメーションは、オタクたちの中にも折木奉太郎や陸山宗芳のような消極的な態度ながらも才能に恵まれた人物がいると信じ、彼らが自己改革を通じて何かしらの成果を上げることを望んでいます。同時に、あまり「才能」がないように見える人々に対しても、千反田のような励まし役、福部のようなデータベース役、伊原のような実践者など、適切な役割を見出してくれるのです。推理の面では折木に劣るとしても、各キャラクターにはそれぞれの強みがあります。千反田の記憶力と好奇心、伊原の料理の腕前、福部の情報収集能力と表現欲求、これらすべてがかけがえのない才能です。折木も彼らがいなければ何事も成し遂げることはできなかったでしょう。この考え方は、「クドリャフカの順番」編で非常にうまく深化されています。

さらに価値があるのは、『氷菓』の後の章では、「I Scream」という信条で「自分の意見を勇気を持って表現し、無為に過ごしてはいけない」という考えを伝えた後、「愚者の末裔」編では、実際には各人の意見は必ずしも一致しないものの、それぞれの意見には価値があり、尊重されるべきであることを示しています。ここに至って、『氷菓』はすでに日本の新しい世代に対する一連のガイダンスを構築していると言えるでしょう:自分の意見を述べ、他人の意見に耳を傾け、各自の長所を発揮する。問題を提起し、その解決策を示している点で、『氷菓』の情熱には非常に感銘を受けました。京都アニメーションが多大なリスクを冒してこの作品を世に送り出したのは、単に社会的責任感の発露にほかなりませんが、今やこのような責任感を持つアニメ制作会社がどれだけあるでしょうか。

そして、このような一連の繊細で自然な表現方法による穏やかな説得は、実は我が国の若者にも無視できない啓発の意義を持っています。私たちが直面している問題は、日本と非常に似ており、むしろ程度としてはより深刻です。「木秀於林風必摧之」という中庸思想は代々受け継がれ、私たちの口を封じています。合理的な徳育の欠如とこの苛立ちの多い社会の中で、私たちは異なる意見を尊重することを学んでいません。利己的な社会の風潮と画一的な職業計画は、私たちに自分の適正を見極め、自分が本当に好きで適した仕事をすることを教えてくれません。『氷菓』は私たちに欠けている部分を示してくれており、非常に有益で、深く考えさせられる内容であり、『氷菓』を他のアニメとは一線を画す存在にしているのです。
https://www.mangakoinu.com/manga-4465.html

投稿 : 2024/08/27
閲覧 : 50
サンキュー:

3

ネタバレ

gakkie0111 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

12年経って初めて観たが、実はこんな感じ

・ミステリーものだが、学園ものなので殺人といったサスペンスは無く、基本盗まれた物探し。
・相思相愛なのは判るが、主人公奉太郎とヒロインえるの恋愛シーンはほぼ無い。
・TVアニメ本編にはサービス回は温泉と学園祭でのコスプレ撮影くらい。雑誌ピンナップで見る水着回は、セル作品のみの11.5話。
・氷菓というタイトルだが、その意味は作中4〜5話辺りで早くも明かされてしまう。後半はこのタイトルである理由は??
・現代の高校生っぽく無い。戦前というか、文学や哲学に入れ込んでいる大学生というか…小難しい事ばかり考え、ニーチェとか諳んじそうなキャラが多い。軍人みたいな口調の女性の先輩も。
・部活の殿堂という学校だが、この子達は大学受験大丈夫なのか?という感じ。
・えるは世界が狭いキャラクターでは無いが、田舎の豪農の跡取りである事を、自分の運命や役割として受け入れている。奉太郎にも自分の街を知ってほしかった旨のセリフがあるが、それならば奉太郎は都会からの移住者という設定にした方が良かった。奉太郎は少なくとも中学時代からここで育っている。

投稿 : 2024/07/10
閲覧 : 61
サンキュー:

3

ネタバレ

AO さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 1.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:途中で断念した

人を選ぶ

ジャンルはミステリーだが、殺人などの重いテーマではなく日常の些細な問題の解決を主軸に置いており、全体的な雰囲気が少しリアルに近い(過剰なリアクションなどの2次元的な表現が抑え目)ため、アニメをあまり見たことない人でもすんなり入りやすい印象

一方でストーリーが単調でキャラが曲者揃いなのでかなり好みが別れると思う

全体的な雰囲気を楽しむ作品だと思うが、個人的にはあんまりハマりきれなくて途中で断念してしまった

京アニさんの作画は10年前とは思えないキレイさです

投稿 : 2024/06/22
閲覧 : 215
サンキュー:

6

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

安心して見れるミステリーもの

作画がとても綺麗!さすが京アニ

{netabare}
むずかしいギミックはあまりないミステリーなのですが、展開が速いため(自分の頭が悪いせい)か、自分はさっぱり真相を見つけることができませんでしたが、登場人物が死んだり大怪我をしたりしないので、とても安心してみれました。

こんなミステリーが増えるといいんだけどな~
人が死ぬのはあまり好きでないので(。。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/16
閲覧 : 302

ヒロインコレクター さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2012年No.1アニメ

今まで京アニさんの作品色々見てきたけど圧倒的に一番面白かった作品だと思っています
セーラー服のデザインや千反田えるという神キャラに加えて見やすいというのもかなり高い評価をしています
名曲も多いしまどろみの約束はアニメ作品屈指の神曲です
Sランクアニメで500点満点中490点です

投稿 : 2024/04/15
閲覧 : 132
サンキュー:

6

ヨハネ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

台詞回しが良くライトな推理ものなので観やすい

【評価したい点】
・台詞回しにセンスを感じる
・くどくない推理ものなので観やすい
・各キャラに好感を持ちやすい

【評価しがたい点】
・もう少し山場が欲しかった

【ヨハネ的採点】(10段階評価)
ストーリー:7
構成:7
演出:7
独創性:6
エンタメ性:6

キャラ同士の掛け合いだけでも飽きずに観ていられる。ストーリーも推理パートも安定していたと思う。これはこういうテイストの作品だと言ってしまえばそれまでなのだがストーリーに大きい山場があればさらに評価されていたのではなかろうか。氷菓だけに。

投稿 : 2024/04/06
閲覧 : 115
サンキュー:

3

櫻井敦司 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

微妙

京アニだからといって過大評価されている

1回目
3話で断念

2回目
友人が面白いと言っていたので我慢して5話まで観るも断念

3回目
評価が高いから面白くなるはず!と思い頑張って頑張って見続けたが
結局面白くなかった

投稿 : 2024/01/21
閲覧 : 122
サンキュー:

3

ネタバレ

チャリア さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ミステリー作品としては弱い

高校生の日常生活の中でのミステリーを古典部メンバーが解き明かしていくストーリーで、殺人事件が起こらないという事で暴力や血が苦手な人でも見れるミステリー作品になってます。「殺人事件が起こるミステリー作品は素晴らしい」とは言いませんが、暴力や血が苦手な人は普段からミステリー作品をあまり見ないが故に、そういう人達から見たら、素晴らしいミステリー作品に見えるのかなぁと最初は思ってました・・

17話の十文字事件、推理愛好家でも無い人にそんな事件を起こした所で意図が伝わる訳ないと思いながらも、天才に対する凡人の格闘は面白かった。次の18話で心優しい先生の行為を、見た目だけで変人扱いした主人公が「人の気も知らないで行為の上っ面だけをとらえてしまうような思慮の浅い判断は無神経すぎた」と自分を改めた所は、17話を凡作と考えた私に対しての京アニからのメッセージだと思って、より面白かった。

理想の青春像をテーマに描かれた本作だが、同じテーマであるどたばたコメディの「涼宮ハルヒの憂鬱」の方が好きかな

良い作品ではあるが、異様な評判の高さほどの作品には感じないです

投稿 : 2024/01/18
閲覧 : 104
サンキュー:

3

ヤマナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

一時代築いた。…んだろうなって作品。

友達に猛プッシュされ評価も高いから期待して視聴。
今のアニメにも全く遜色ない作画。
放送時期の他作品と比べると群を抜いてただろうな。
派手さはないけど、日常の中にあるちょっとした疑問を
友達達で面白おかしく解いていく。
確かに、一緒に考えれやり取りも面白い。
主人公は等身大なキャラでわりと感情移入しやすい。

ここからは個人的にうーんなポイント。
ヒロインは天然お嬢様って感じでキャラ設定が綺麗すぎて好み別れそうかな。
サブの二人の方が人間味があり魅力的だった。
あと、盛り上がりにも欠けるかも。
一番は好みの問題なんだけど、ミステリー要素が大袈裟かな。
そんなに気にならないことを取り上げ、こんな伏線どう?すごい?って押し売り感を感じてしまった。
些細なネタを大きく見せる技術だったり会話の構成はすごい上手だとは思う。
ただ、ピンポイントに謎や会話に焦点を当てていて
物語全体でみたら物足りなさを感じてしまう。
期待値が相当高く厳しい評価だと思うが、
面白いけど評判程ではと正直な感想。
ただ、平均以上の作品である事は間違いなくたくさんの人に見てもらっていろんな意見を見たくなる作品。

投稿 : 2024/01/14
閲覧 : 108
サンキュー:

4

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

日常の謎

どんな物語にも多かれ少なかれ謎があると思います。
主人公とヒロインがどんな経緯でどんな気持ちでどんな方法でラストをむかえるか。
不思議な力を持つ者、得体の知れない怪異などの存在も、拡大解釈すれば謎に当たる。謎があるから物語があり、余白があるから想像をめぐらす。

本作、氷菓は「日常の謎」を主に解決するミステリー作品。
ミステリー作品は大体刑事事件が多い印象。
まず気になるのは犯人は誰なのか、という点であると思われますが、「日常の謎」の面白さは動機が気になるところ。
私感ですが刑事事件はネガティブな感情が動機になるケースが多く、その点、日常の謎は色々なケースがあると鑑みます。 ※どちらが良い悪いという感想ではありません。あくまでも一側面であり、リアルに言及しているわけではないです。

45年前の古典部の謎、秘密クラブの勧誘メモ、毎週返却される本、手作りチョコレート事件、等々

誰かの行動には色々な背景がある。
大きな事件はなくても日常には小さな謎があり、そこには様々な人の状況や感情が交錯している。そういう意味からも本作は群像劇の側面も多分にある作品で、真相が分かってからのエモーショナルさも本作ならでは。青春という最大の謎の行方も見所。

投稿 : 2023/09/20
閲覧 : 168
サンキュー:

22

白毛和牛 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

千反田さんのキャラの可愛さは格別

この作品はミステリー要素も加わった学園日常アニメという感じだけど
とにかく本作に付いては千反田さんのキャラクターの可愛さが格別で
個人的には本作を楽しめた大半の要因は千反田さんのキャラクターに依るのと、
それと千反田さんと奉太郎のやり取りが中々楽しく見られて、
後は京アニという事もあり映像クオリティの方も素晴らしいレベルで
本作は今から11年前の作品になるけど映像クオリティのレベルは現在のアニメと比較してもトップクラスと言えますね。

【評価】

94点・2A級

投稿 : 2023/09/20
閲覧 : 174
サンキュー:

2

あと さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ミステリーと青春群像劇を良質な作画で描いたビターな作品。

省エネに日々を過ごす主人公が古典部に入ったことで学園の中外で出会う様々な謎と対峙し、また、その生活の中で友達と生活し、親密な距離感の中で恋を見つける話で、とても良かったです。
あまり青春を謳歌していなかった主人公のもとにヒロインが出会い、様々な問題とぶつかりながら、何かをすることの面倒くささを体感し、しっかり緻密な人間ドラマの中で自分が踏み込むことの後悔なども知る、苦い感情であったり、必ずしも謎を解いたところで幸せな結末にもならず、ビターな、ほろ苦い終わり方をするところが良かったです。また、日々を過ごす中で自分のアイデンティティーに悩む少年少女たちの葛藤があり、青春群像劇としてリアルな心情描写が描かれていました。
特に良かったのが作画で、とても丁寧に描くことでこのアニメのリアルな世界観や雰囲気の良さを高めていたと想います。
とても雰囲気の良いアニメで、面白かったですが、とても楽しめるかというと、そういうわけではなく、謎もスッキリとした解き方ではなくビターで曖昧な終わり方をするので、このアニメのキャラたちの葛藤や衝突で感情が動く青春ドラマの側面のほうが好きな方のほうが合う気がします。

投稿 : 2023/05/21
閲覧 : 136
サンキュー:

4

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

BD-BOX で観たのだが…

『氷菓 BD-BOX』(KAXA-9806)
で観たのだが、トップメニューもポップアップメニューも表示されない仕様でした。

BD-BOX には、第11.5話も収録されています。

投稿 : 2023/05/01
閲覧 : 159

スィースィーレモン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

懐かしいですね

今、みると可愛いですね〜
えるちゃん、まやかちゃんはもちろん
サトシくん、そしてホウタロウくん
特にホウタロウくんが可愛いですね
捻くれ方が可愛いです。
そして、青春時代の雰囲気の表現がいいですね

投稿 : 2023/04/21
閲覧 : 126
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4

ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

氷菓の評価

出たころに視聴しようとしましたが、途中断念でした。
というのが当時はコードギアスとか超展開で
ロボットドンパチの激しい作品しか見てなかったので、
毎回寝落ちして全然視聴が進まなかったためです。

ARIAなどでまったり作品にも耐性がついた…ではなく
まったり作品の魅力も感じられるようになった今ならと
再トライ。

【作品概要】
 やらなくていいことはやらない、やるべきことは手短にの
 超省エネ最優先(天才だがやる気がない)高校生の折木奉太郎。
 姉の命令で古典部に入部することになり、
 そこで千反田える(興味の暴走列車)と出会います。
 しょうもないことから学校全体を巻き込んでまでの
 謎解きミステリー。
 ミステリーですが人は死にません。

【作品に対する感想】
 私にとってどストライクのヒロイン千反田えるが
 この作品の魅力の30%を占めています。

 なぞ解きは程良い難易度で、1回視聴で大体大丈夫と思います。
 (十文字のは2回視聴しましたが)

 ちょーっと気になったのは最後のほうがちょっと
 詰め込み感があったかなと。
{netabare}
 神山祭終わったあたりから急に奉太郎とえるが
 意識してる描写が入ってきて、唐突感がありました。
{/netabare} 
 で詰め込んだ割に「結局どうなん!?」という消化不良気味な
 ラストは賛否分かれそうです。 


2)作画
 最初のED「まどろみの約束」が妙に艶めかしいです。
 えると摩耶花がネグリジェ(?)姿でまどろんでいるんですが、
 アングルや仕草、表情にこだわりを感じます
 本編で二人がそういう表情を見せないだけに、
 ギャップ萌ですね。

4)音楽
 クラシック音楽を多用してます。
 心地よいです。
 
5)キャラ
 ①千反田える
  キャラデザ良し、知的なのにやや天然…
  サイコーのヒロインです。
  この子パーソナルスペースが極端に狭いようで、
  近い近い!と何度思ったことか。
  大天使チタンダエル マジ天使!

 ②折木奉太郎
  嫌いな考え方故、最初いまいち好きになれなかった
  キャラですが、えるにひっかきまわされてるうちに
  だんだん省エネ主義が薄れていきます。
  あまりにやる気ない言動が多いので、色恋沙汰も
  枯れてるのかと思いきやこの辺は普通に
  お年頃のようですね。
  ぼそっと突っ込む心の声が笑えます。

 ③福部里志
  この手の作品の助演男子は使えない奴が多い気がしますが、
  奉太郎とベクトルが違うだけで十分優秀な奴と思います。
  データベースからのうんちくはなかなか楽しめました。
  ただバレンタインの
{netabare}
  良く分からないこだわりで良く分からない行動に出て
  女子を傷つけたのはいただけません。
  あと自分の得手不得手を理解するのはいいですが、
  15,6の若さで簡単に割り切ってしまうのは勿体ないなと。
{/netabare}

 ④入須冬美
  高校生でこんな策士いるか?という突っ込みはなしで。
  奉太郎をも手のひらの上で転がしたまさに女帝。
  えるとの絡みが結構好きでした。
  

印象深いシーン
{netabare}
 ①私、気になります(1st)
  えるの髪に絡め取られていく奉太郎の絵が印象的。
  奉太郎(の灰色生活)詰んだ…そういうことですね。

 ②温泉回
  ま、お決まりなんですが、女子の脱ぎ脱ぎだけでなく
  男子の脱ぎ脱ぎまであんなに丁寧に描くあたり
  こだわりを感じます。
  奉太郎の年頃の男の子な部分も見られてなかなかよかったと。

 ③神山祭
  藁しべ長者と漫研の内部抗争とミステリーが絡んだ、
  お酒飲みながらではちょっとややこしいイベントでした。
  2回目見るとトリックの部分がちゃんと見えます。
  すごいアクティブな文化祭で、いいなーって思えました。

 ④神社で閉じ込められ
  ベタですが温め合いイベント発生かと思いました。
  テンプレに走らなかった製作陣に拍手したい半面、
  そういういちゃラブを見たかったという消化不良感。
  複雑です。

 ⑤生き雛祭り
  天然暴走列車のえるが突然名家の娘らしい言動で、
  違和感すごかったです。
  
  奉太郎が「経営担当」と思ったはどのくらいの
  深い意味だったのかがわたし、気になります。
  一緒に仕事しよう?
  一緒になりたい?
  
  私がたまこらを視聴した後だっただけに
  「奉太郎へたれか!」という思いと消化不良感が
  半端なしでした。

{/netabare}

投稿 : 2023/03/26
閲覧 : 490
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30

もっちょん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

好き嫌い分かれるかも

無気力系主人公が依頼を解決するという展開で話が進んでいく。

京アニクオリティ顕在。

1個1個謎を解決するといった,ゆっくりとしたストーリー展開のため好き嫌いが分かれる。

投稿 : 2023/03/22
閲覧 : 130
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6

ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

「米澤穂信」×「京アニ」奇跡のマリアージュ! (でも書きたいのは「2期の可能性キター!!」)

【レビューNo.26】(初回登録:2023/2/1)
小説原作の2012年作品。全22話。
米澤穂信の青春ミステリー小説「古典部シリーズ」をアニメ化。
(「氷菓」はシリーズ第1作にして同氏のデビュー作)

(ストーリー)
主人公・折木奉太郎は
「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」
をモットーとする省エネ主義者。そんな奉太郎は姉からの脅迫(?)をきっかけに廃部寸前だった、
古典部に入部することに。そこで出会った千反田えるに推理力を見込まれ、彼女の叔父にまつわ
る謎解きを依頼されることになる。古典部には親友の福部里志と彼に思いを寄せる伊原摩耶花も
加わって・・・

(評 価)
・米澤穂信のココが凄い
 本作品は数話にわたる長編と1話完結の短編からなる22話で構成されています。
 ミステリーとはいえ、高校生の日常が舞台なので作風としては地味ではあります。
 (基本事件内容的にはショボい)  
 なので10編程のエピソードには正直面白さの当たり外れはありますが、どのエピソードも単なる
 謎解きで終わらず含みのあるテーマ等が盛り込まれておりに味のある仕上がりになっています。
 特に長編3編は本格的なミステリーっぽく、解き明かした謎は決して後味のいいものではない
 のですが、その「ほろ苦さ」やエピソードの締めまでを含め同氏の技量の高さを伺わせます。
 個人的には長編はもちろん見応えがあって好きなのですが、19話「心あたりのある者は」という
 短編が秀逸だと思います。 
 {netabare}「理屈と膏薬はどこへでもつく」これを証明するために、一本の校内放送内容からどんな事件が
 あったをひたすら(でっちあげ的な)推論を展開していくという奉太郎と千反田の会話劇ですが、
 いかにも遊び心に溢れて、最後にちゃんとオチまでつけるという異色作ですね。{/netabare}

・京アニのココが凄い
 ・ヒロイン「千反田える」がとにかく魅力的
  活発な瞳が特徴的なキャラデザに加え、愛らしい性格からくるその言動、それでいて自分には
  厳しい一面も持ち合わせており「動く千反田える」は本当に魅力的です。さすが「涼宮ハルヒ」
  で社会現象を巻き起こした京アニ。ヒロインをどう描けば面白くなるかを分かっていらっしゃる!
  放送から10年程が経ちますが、今なお「好きなヒロインランキング」があれば上位に入ってくる
  超人気キャラですね。
 ・作画や魅せる演出等全てのレベルが高い
  上述の通り地味目な作風ですが、(舞台の神山市:岐阜県高山市が聖地らしい)上高地の風光明媚
  で長閑な情景を丁寧な作画で描いており、この作品の雰囲気と見事にマッチしています。
  またミステリー作品にありがちな冗長な会話劇も、カメラアングルの小まめな切替や音楽や作画の
  演出効果等で退屈させずに魅せる工夫が素晴らしいです。何というか細部にまで気を配りアニメを
  面白く魅せるこだわりが感じられるみたいな・・・

原作既読ですが、個人的にはアニメは原作を超える面白さだなっと。米澤穂信の原作の良さを引き出し
つつも「何故アニメで見せるのか」その命題にしっかり応えている京アニの仕事ぶりには脱帽です。

【2期の可能性について考察 (実はこっちが本命)】
2期待望の声が高い作品ですが、(業界云々の話は置いといて)本作には致命的な問題があります。
それは2期ができるだけのストックがないということです。あと少し書いてくれれば1クールいけそう
なんですが、古典部シリーズの最新刊も2016年11月で止まっており新作が待たれる状態です。
(アニメ映画化という手もありますが、明快がきっかけがないと今更って感じでしょうね。)

★「古典部シリーズ・長編」ついにキター!!!!!
 実はこのレビュー書いてる最中に再確認したら、すいません見落としてました!
 Twitterで1年程前にこのような発表があったようです。
 「KADOKAWAさんから出る新刊は、〈古典部〉シリーズの長篇にしようとご相談しています。
  — 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) Feb 4, 2022」
 エピソード的には、これでギリ1クールいけるかって感じですね。まあ1年経ってまだ発刊まで至っ
 ていないので、アニメ化があったとしても2024年以降って感じですが、今までの絶望的な状況から
 かなり見通しが明るくなったのは確かですね。今年中の新刊発表に期待!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下ボツネタw(上述情報確認前)
・米澤穂信の多才さ
 古典部シリーズでデビューした同氏ですが、その後本格派ミステリーに取り組み高い評価を得ること
 になります。2022年に「黒牢城」で「直木賞」も獲っちゃったしね。なので古典部シリーズより優先
 的に書きたいものがあるのかなって感じる部分があります。それを如実に感じたのが
 「本と鍵の季節」(2018年12月発売)
 って作品なんですが、「高校生男子2人が日常の謎を解き明かしていく短編集」ものなんですが、
 「古典部シリーズとめっちゃ被っちゃってるやん!!」
 (内容的は古典部よりかなりビターなんで差別化はできているんですが)本書を読んだ感想は
 「同氏的には古典部よりこちらにご執心でシリーズ化するのでは?」
 という不安でした。図らずもこの予感は的中し、続編が2022年11月に発売されました。
 (未読ですが)これを最近知ったので、思わず本レビューを書いた次第です。
 これでますます原作発表が遠のいたという印象ですね。

・本当は米澤穂信も続編が書きたい?!
 では古典部シリーズに愛着がなくなったのといえば、それも違うかなっと。むしろ愛する作品ゆえに
 中途半端なものを出したくないから筆が止まっている気がします。・・・知らんけどw
 アニメ化の部分で古典部活動の1年間を結構描いてしまった感があるので、ここから先の展開が意外
 と難しいんですよね。2年になって同じことの繰り返しでは芸がないですし。それに体育祭や修学旅
 行等で青春してる千反田たちを見たいかといえば、それも違うだろうって話だし。
 ~ここからアニメ化以降のネタバレ含みます~
 {netabare}
 以降の話では、摩耶花の大きな環境の変化や千反田の別の1面や(高い理想を掲げるがゆえの)苦悩など
 各主要キャラの掘り下げをメインに展開している感がありますね。ネタ的には
  ・里志回や奉太郎の将来を模索する様を描く等の掘り下げ回
  ・謎多き奉太郎・姉や入須先輩の卒業エピソードetc
 まだいろいろ書けそうな気がしますが。あとアニメ化だと「ラストにふさわしいエピソードは?」
 って話もありそうですね。アニメでは
 「千反田の新たなる決意と自分の将来について向き合い始める奉太郎」
 という図式を京アニらしく綺麗に締め括りましたが、2期にふさわしい結末とは?{/netabare}

 業界的には「10年前の作品の続編を今更やるメリットは?」って話もありそうですが、もし実現すれ
 ばかなり反響があると思うので、原作さえ書き上げてくれれば期待できるんじゃないかとみてます。
 「古典部シリーズに飽きたんじゃない!きっといい作品にするために思案を巡らせているんだ!!」
 個人的には好意的に捉えて、「これぞ古典部シリーズ!」いう作品を引っ提げての凱旋を期待です。

投稿 : 2023/03/08
閲覧 : 2261
サンキュー:

25

パンツ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

上品!

青春だぁー

投稿 : 2023/01/21
閲覧 : 249
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3

ねじまき さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

京アニ

京アニが真っ当にアニメーションを作った心意気を評価したい作品です
別段他のアニメが悪いワケではないのですが、ターゲットを絞らずに万人に観て欲しいと素直に思えることが嬉しいのです。
京アニの素晴らしい作画は萌え以外にもちゃんと地力がある事を謳った成功例だと思います。
とは言っても、ちゃんと女の子も可愛いんですけど

追記 10年ぶりくらいに見直したのです最近のアニメで目が肥えたかと思っていたのに「あれ?こんなに良かったけ?」と思うくらいこれ名作でした
キャラクターがすごく魅力的でお話もさすがのミステリー小説って感じもたっぷりです
ぜひもっと沢山の人に見てほしいです
強く思う

投稿 : 2023/01/18
閲覧 : 320
サンキュー:

10

さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

素晴らしいアニメーション、そして素晴らしい最終回

私が高校生の頃にやっていた作品ですが今まで縁がなく、最近、アラサーになってから初めて試聴しました。学生の頃リアルタイムで視聴しなかったことを悔やみました。

私はミステリー作品は未経験なので、ミステリーとしての出来を相対評価することはできません。しかし、少なくとも話の辻褄が気になる性分の自分でも腹落ちできるような内容がほとんどだったと思います。
アニメーションの中での謎解きのヒントや伏線の出し方がとてもうまいと思います。例えば、不自然すぎるほどではないが若干意味ありげなカットや登場人物の表情、セリフによって「あぁ、これは謎解きのヒントなのだな」と気付くことができる場面が多くあります。しかしそれは手掛かりと気付いたところで安易に答えに辿り着けるほどのものではない。その塩梅が非常にうまいと感じました。
これは原作が素晴らしいことも当然あると思いますが、アニメーション制作陣の演出力、作画力、そして声優陣の演技力など一流の技術がなせるものだと思います。

主要キャラクターの4人はそれぞれが少し変わっていて個性的な印象を受けますが、物語が進むにつれ高校生なりの内面がまだ柔らかくて不安定な感じが丁寧に描かれ、共感や懐かしさを覚えます。
ヒロインの千反田えるはまさに萌えの王道とも言うべきキャラクターですが、好奇心旺盛で真摯ながら建設的な考え方は、忘れかけていた自分がありたい姿を思い出させてくれるような魅力を持っています。最終回で語られる彼女の境遇と未来についての考え方にはとても感銘を受けました。

声優の方々の演技も前述の通りとても良く、主要メンバー以外のキャストも実力のある方々でかためられています。主要キャストの中では伊原さん役の茅野愛衣さんが特に良く、この作品のミステリーらしく全体的に締まった雰囲気は彼女の演技力による寄与が大きいと思います。

音楽面では作中のBGMにクラシックやそれに準ずる雰囲気の曲が多用されており、それが心理描写のひとつとして効果的に機能しており、非常に良かったです。

本作は"なぜか続編が来ない"作品の一つとしてよく挙げられます。もし二期や劇場版が来てくれたらそれはそれで嬉しいですが、原作はまだ続いているとはいえ、2クールアニメとしてはトップクラスに美しく爽やかな最終回が描かれていると思います。
この作品には私が青春時代にのめり込んだ10年代アニメの真髄とも言えるような魅力がたっぷり詰まっており、金字塔の一つとしてこの先も大切に扱われていって欲しいと感じるような作品でした。

投稿 : 2023/01/16
閲覧 : 158
サンキュー:

8

hiyama さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

京アニ製の化物アニメ

「氷菓」から始まる古典部シリーズのアニメ化作品。

一応ライトノベルとして発表されている作品であり、ストーリーに重さはないしキャラクターも若い層に受け入れられやすい設定にされているとは思う。
内容としては学園ミステリー。そして青春小説的な要素も含まれる。

作風としてはザ・ライトノベルという印象ではなく、むしろ一般小説の雰囲気・趣が強い。
ただ、キャラクタ―デザインや声優の演技などとっつきにくい印象はなくやはり若い層にも受け入れられやすいように作っていると思われる。
男性キャラも女性キャラも妙に可愛い。

そしてとにかく怖いくらいの完成度を誇るアニメ。

最初から最後までとにかく乱れない作画の美麗さは何なのだろうか。

内容的にもアクションというわけではないし、会話パートの多さゆえに動き自体はものすごく多いというわけではないはずの作品で、これだけ動きを与えているにも関わらずまるで崩れる様子がないという京アニの実力には畏怖を超えて恐怖すら覚える。

画や色彩の美しさが一々際立つ上、力を入れるべきシーンではその美はさらに絶大に増す。
しかも、何気ないシーンにすらどんだけ気合を入れているのかと…ある種の狂気を感じる。本当に怖い。

しかも学園ミステリィ故の長い会話パートにさえ飽きさせないようなキャラクターの動きだけでなく、シャフトの物語シリーズのような楽しめる画の演出が豊富。
手を抜かないにも程があるというかどれだけ力を入れているのか…。


なおストーリーは原作に概ね忠実で多少オリジナル改変がある程度。キャラクターも大きく逸脱しているわけではないが描き方や印象は変化している。
ただ、どれもマイナスとは言い難いほど丁寧。

勿論ストーリーやキャラクター、キャラデザや原作との違いなどの好き嫌いはあるとは思うが…しかし、このアニメの異常なクオリティを認められない人はまずいないと思われる。
それくらい凄まじい出来栄え。

単純にクオリティで判断すれば2010年代では最高クラスの作品の一つ。
10年後の今でもこのレベルの作品はまずお目にかかれない。


『クラナド』『涼宮ハルヒの憂鬱』『AIR』『らきすた』
『けいおん』『響けユーフォニアム』『日常』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『小林さんちのメイドラゴン』

等々…。

名作傑作の枚挙に暇がない京都アニメーション作品の中でも…話の内容から作画、各和・全話の脚本・構成・演出・展開…個人的なベストを上げるなら氷菓を推す。

投稿 : 2023/01/05
閲覧 : 128
サンキュー:

3

U-yan さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

日常のミステリーアニメなのに評価されている人気作。

完全にネットの評判だけで視聴しました。1,2話観た感想で言うと完成度は高いアニメだけど・・・。くらいの感じでした。高校生による校内でのちょっとした謎解き。これっておもしろくなるのかな・・・。と思いました。主軸としては、考察力は高いが無駄嫌いの省エネ男の子が、「私、気になります」でお馴染みの、好奇心旺盛で謎解き大好きな女の子に振り回されるといったところでしょうか。学園だけどザ・ラブコメって感じでもない。謎解きだけど死や身の危険って事でもない。それでも、他のアニメにはないテーマや雰囲気、声優さんや作画や音楽、そしてキャラの個性とそれぞれの心の動きの描き方が素晴らしく、気付けば3日で観ちゃいましたw

投稿 : 2022/12/02
閲覧 : 143
サンキュー:

6

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

青春がミステリー

原作既読での感想です。と、言うよりもアニメを見てから原作を買った口です。
加筆しすぎて、ネタバレのところは文体が統一されてないのでご容赦を。

2022年10月、愚者のエンドロール編について追記しました。

原作古典部シリーズは3つの主なストーリーがあり、
このレビューではわかりやすい順、時系列を遡る形で書いていこうと思います。
各話のあらすじを書かないことをご容赦ください。

【クドリャフカの順番編】
{netabare}
話の中にちょくちょく出てきた文化祭の話。個人的にはいよいよ文化祭だなと感じる構成だと思う。
(文化祭のために文集「氷菓」を作る→文化祭の為の映画を見る、の後の話になるので)

聡志の「期待とあきらめ」の発言を軸に見ると登場人物達が何を思ったのか良くわかると思う。
文化祭での聡志の折木への一方的な期待の感情の裏にある自分への諦めの感情は、
こうち先輩と「夕べには骸に」の作者にもいえる。
真犯人とは別の、もう一つの謎、登場人物の気持ちがわかるだろう。
高知先輩が何を思ったのか考えてみてほしい。

また、風紀委員会委員長と生徒会長の関係も、自分への諦めと期待の関係だと思われる。
委員長は生徒会長の才能を認めることで諦めを持ち、期待しているからこそ、
「夕べには躯に」の次回作を書かないこと、才能を持ちながら行使しない生徒会長に対して、
怒りのような感情を持っているのかもしれない。
登場人物が何を思ってそんな言葉を言うのか、それを解いていくのがこの作品だと思っている。

ちなみに聡志の「データベースは結論を出せない」という口癖は、
折木という才能をみて諦めの中からでた言葉なのだろう。
その道の才能が無いから、他の道を探す。それは逃げから来る言葉だが、
クドリャフカ編で犯人を暴こうとした聡志の行動からも、
聡志があきらめ切れないことがわかり、やりきれない。
こういった感情で行動方針を変えようとする辺り、
実に青春をしていて現実の人間らしいのが福部聡志なのだと思う。

また、「まわりがどうあれ基本属性が薔薇色なんだよ」という言葉もあったが、
これは他人から見れば、自分は薔薇色に見えるだろうという諦めが入った感じだった。
「誰かが薔薇色に染めようとしても駄目さ、染まってあげない」というのは、
中学時代の過去とは違い誰かが自分に勝負を仕掛けてきても、
自分は受け流すというスタンスを取りたかったのかなと思う。
聡志は人に流されず自分を見つけたかったのだろうなと思えた。

【伊原の涙について】
高知先輩の話を聞いて、なぜ伊原は涙を流したのだろうか?
「名作は最初から名作として生まれてくるんです」
「ボディトーク、やっぱりこれも良い」この言葉は「夕べには骸に」との比較。
「私のは100枚落ちる」この言葉が高知先輩を自分に置き換えたらどうなる?という意味として捉えてみた。
努力をしてきて生まれた「ボディトーク」という作品が、
努力の先に名作が出来るという気持ちの肯定をする作品なら、
「夕べには骸に」は伊原の「名作は最初から名作としてうまれてくるんです」という理想の肯定に見える。
「夕べには骸に」を肯定してしまえば、圧倒的な差に対して諦めを持ち、
他人に期待をするしかなくなる。
今までの努力はなんだったのかという無力感も感じるだろう。努力の否定になってしまう。
そのことがわかって、自身も努力していつか名作になる作品を書いてやろうと思っている伊原は、
自分の才能のなさへの自覚や自分の無神経さに涙を流したのだろうと思う。

【折木の推理に対する聡の怒りについて】

「どうやってさ!」
折木が真犯人を探し出す手がかりについて、聡の提示した被害にあった部室の共通点や、
十文字のミスでも見つけたかという事に対して、どちらも否定した時の聡の怒りの言葉。
そしてその後に「期待してるよ」

伊原の涙について考えてこの件も整理が出来た。聡が努力して探していた点に対して全く否定する折木。
聡志の努力が無駄であるかのような折木の主張に対する怒り。
そして気付く、圧倒的な視点の違い。才能の差。それを感じてしまったから「期待してるよ」ではないだろうか。
これは、高知先輩と「夕べには骸に」作者との関係とまるで同じではないだろうか。

【生徒会長陸山宗芳がクドリャフカの順番を読まなかった理由】

「おつかれ!」陸山は田辺に向かってわざわざなぜこのように声を掛けたのだろうか?
その言葉を掛けたときの陸山の笑顔からしても、
「クドリャフカの順番を読んだのか」という田辺のメッセージは届いていないように思える。
ただ、田辺が自分に対してメッセージを送ったことには気付いているようにも見える。

では、「夕べには骸に」は陸山にとって、遊びだったのだろうか?
折木の「(あれが遊び?)」という、
夕べには骸にが陸山にとって遊びだと主張した田辺の言葉への反応を見ると、よほどの作画だと想定してみる。

sideストーリーである伊原と高知先輩のラストの会話から、
陸山も高知先輩と同じ方向の事を考えたのではないだろうか?
陸山も高知と同じく漫画をよく読んで、漫画を描いていたのかもしれない。
そして、安城春菜の才能と出会ってしまい、諦めを覚えてしまったのだろうか。
陸山が「夕べには骸を」を読んで、届かない才能に諦めを持ち、さらにその作画を担当することで、
漫画を描くことをやめるほどの感情を持ってしまったとしたら。それは、友達という枠を超えてしまったのか?
友達の原作をほおりだしてまで描かない理由とは?それも原作を1ページも開きもしない理由とは?
とても気になるが、与えられたヒントでは答えの出ない疑問として残された物なのかもしれない。

だが、「おつかれ!」は原作にはないセリフだった。
ただ、「あれが遊び?」や、「原作を開いてもいなかった」というヒントから、
上記の推論も、多少は原作でも成立するのではないだろうか。


{/netabare}
【愚者のエンドロール編】
{netabare}
文化祭で上映するミステリー映画の犯人を当てる話。
今回の、ストーリーの正解を当てる⇔推理小説作家を実はやらされている、
というすり替えのトリックは多くの人がこれに気づいたとき、
自分は身勝手だなと思うかもしれない。
本郷という作り手の人間を無視して、
計算問題のように無機質に問題を回答しようとしたことに罪悪感を折木が感じたように。
(少なくても自分はそのすり替えに気づいたとき、初視聴時にひたすら密室のトリックを考え続け、
本郷の気持ちを考えていないというメッセージも受け取れなかったことに自分の浅はかさに悲しくなった)
千反田がトリック問題が解けない、人の気持ちを誰よりも思いやる心を持っていたからこそ、
折木はその過ちに気づけたのだと思う。

ちなみに折木が最初に出した「万人の死角」の結末(回答)が
「文章問題」と折木自身に言わしめた理由の裏づけとしてだが、
「カメラを気にしていたキャスト」という「オチがわかった行動」をしている人間がいるのなら、
キャスト達に結末を聞けばいい。
それが出来ないのは、結末をキャストが知らないためであり、
カメラを気にしていたのは、キャストが不慣れだったということだろう。

注意深く視聴していくと、イリスの「観方を変える」発言について気付くことができるだろう。
また、千反田がイリスの術中にはまらず、観方が変わっていないことも描かれている。
イリスと折木が対決する茶屋のシーン、そして今後持つ折木のイリスへの不信感は、
他人の気持ちをないがしろにするイリスに対しては当然といえばそうだろう。

だからこそ最後のシーンで自分の視点で動いたことにはしたくなかったイリスが描かれている。
全体のためという大義名分がなくなり、本当にエゴで人の気持ちを利用して、
使い捨ててしまった自分を肯定できないのだから。

イリスは、折木の姉に、クラスメイトが悪い、自分(イリス)は本郷を救ってやった立場という自分の主張を否定された。
「あなたの主観で判断した事に責任を持つ」という折木姉の言葉に、
自分が善か悪かで答えてしまうイリス。
「私はあのプロジェクトを失敗させるわけにはいかない立場でした」という正当化だったが、
「自分の所属するクラス出し物の成功」という自分の利益の為に本郷の脚本を切り捨てていたにもかかわらず、その業を自分で背負わなかったことへの責めは、どうしても自分の人間性の否定に繋がるので反論したかったのだろう。本郷を助けてやりたかったという善人的な目的ではなく、堂々と自身の利益を追求したといえないイリスを、折木姉は批判したのだろう。


【えるの本郷先輩への固執について】
「きっと志半ばで筆を折った本郷さんの無念が、叫びが、隠されていると思うんです」
川原での折木との会話のシーン。この「無念」と「叫び」は、
氷菓編でえるの叔父が文集「氷菓」に隠した思いと同じではないだろうか?
えるが本郷先輩の隠された思いを汲み取りたい理由は、
叔父の時のような悲しい「思い」をだれかが明らかにして、
当事者にとって良い方向に物事を持って行きたい、
もしくはその悲しい思いを供養するような、そういう感情が働いているのだと感じた。

【折木とイリスの対決について~折木の怒りについて】
「だれでも自分を自覚すべきだといったあの言葉も嘘ですか!」
折木はなぜここでこれほど激怒したのだろうか?
折木はイリスに乗せられて推理と称した脚本コンテストに乗せられてしまった。
名探偵を一瞬でも気取り、本郷の思いを無視してしまった自分に対しての怒りと、
そうさせたイリスに対して、あれほど怒るのは自責の念がそれほど強かったからではないだろうか。

2022.10.6 追記
上記レビューの至らなさに反省しきりです。
折木が起こった理由、それはシンプルに「あなたは特別よ」「だれでも自分を自覚すべき」」というイリスの言葉によって自分の器を特別なものと意識させられた、そしてその言葉が建前、嘘であったこと、嘘により利用されたことが理由でしょう。
返して言えば、折木を利用するために折木自身が自分の評価を「特別」であるように思いこませる嘘をイリスにつかれたわけです。
それは折木にとって、自分を自覚する、あるいは自覚した行動、それは自分というものをポジティブに再評価できた、人生の分岐点のようなものだったわけですが、イリスという標識は、折木の人生の利益ではなく、自分自身の利益の為に折木を誘導し、折木はそれにはまってしまった訳ですから、
その自身の利益をイリスに再確認(可能性はゼロでも)せずにはいられなかったのでしょう。イリスの回答がわかっていたからこそ、折木は問い詰めたときに激怒していた、それが私の今の感想です。


【聡志「それにしても、羨ましい限りだね、全く」について】
聡志のこの言葉は、折木に対して言われたものであるが、
探偵役として人に物を頼まれる折木が羨ましく見えた・・・だけではないだろう。
折木が聡志の才能に対するフォローをした後の言葉だったわけであって、
皮肉であると捉えるのもいいだろう。折木は持っている才能が発揮され、
活躍している立場からの聡志への言葉だからこそ、
聡志は自分が日陰者で折木が表舞台に立っているような状態を、
日陰者として皮肉っぽく言ったのではないだろうか。

【江波倉子は何を思った?】
「私は企画に参加していません 興味がなかったので」
「本郷は生真面目で注意深く 責任感が強くて馬鹿みたいにやさしく 脆い 私の親友です」

これが江波の人間性が見えるセリフ。このセリフから読み解けるように、
映画企画は自由参加であり、興味が無い人は参加しなくても良かった。
興味が無いからと参加しないのは、人の輪に交わる必要性を感じていない性格といえる。
エピローグでの本郷のチャットでのセリフからも、
江波と本郷は対照的な人物でありながら、親友であった。
二つ目のセリフは本郷の性格を示すことで脚本の正体を暗に示しているが、千反田の仮説と合わせて考えると、
江波が何を思って案内役を引き受けていたのか、謎が深まっていく。

そして千反田の江波に対する仮説がこうだ。
「本郷さんは脚本の見通しを最後まで持っていたと思うんです 
途中で倒れたとしても 聞くことは出来たと思います 
それすら出来ない容態なら 
親友といっていた江波さんは絶対にクラスの皆さんを許さないくらい怒ると思うんです 
案内役なんて引き受けないくらいに 」

江波倉子は一体どのような立ち位置にいたのだろうか?
本郷の本当の状態を知っていたのだろうか?
イリスによる台本作りに乗って、本郷をかばおうとしたのだろうか?
本郷の脚本の結末を知った上での行動だろうか?
だがその場合、本郷の脚本が出来ているのをもみ消すイリスに対して、江波はどんな感情を抱くだろうか?

そして、台本作りをさせていることをわかっていたなら、古典部にどんな気持ちを持っていただろうか。


江波が本郷に嘘をつかれていたとしたら?本郷は病欠が多かったが、
それがあったために、江波はいつもの事とあまり気にしなかった?本当に?
江波は本郷と親友だと言ったなら、倒れた後に連絡をするはずだろう。
そこで、親友とまで言っている二人の間に嘘が存在するだろうか?
原作者の作品は暗いオチが多いので、それも考えられるが・・・

他薦で脚本は本郷と決まったというが、それは参加不参加の前だったのか、
参加の表明をした後だったのか、それはわからない。
だが、そこの真実で江波の中で本郷の自己責任だったという気持ちがあったかなかったか、
そんな事も考えられるだろう。

【本郷の脚本とえるの結末への興味】
えるが本郷の脚本の結末で気になっていたところ、それは、犯人と被害者が、どういう関係性であったのか、という部分にある。
それは、えるが想像した、密室への回答も含めた本郷の脚本であり、人の心情を考える、というえるらしい興味だと思う。
そこには、なぜその人物がその行動をとったか、という行動の裏付けの動機、確かに感情が存在する。それをえるは考えていたんだと私が気付いたとき、私はまた、この作品に新たな新鮮さと胸いっぱいの暖かさを感じた。
私はまだまだ、この作品を読み解けていないのだなという悔しさも味わいながら。(2022.10.6追記)

{/netabare}
【氷菓編】
{netabare}
文集氷菓を読み解き45年前の真実を解いていくお話。
関谷純が千反田に残した言葉の意味、氷菓二号における文芸部員の言葉の意味から、
時間の経過によって古典になってしまった45年前の真実が解き明かされる。

最後の謎解きで折木がイラついた理由、それは氷菓の示す関谷の残した苦悩のメッセージを、
気づいてやるべき後輩達(自分達)が気づいてくれない事に対してだろう。
関谷の苦悩を知ったとき、叫びたくても叫べない、生きながら死ぬ、
その苦しさや無念に少しでも共感をする事ができたなら、この作品が好きになっていることだろう。

悲鳴も上げられず死ぬとはどういうことだろう。
周りが悲鳴を上げることも許してくれない。
周りがなんと言おうと悲鳴を上げる勇気も必要なのではないか。
だれかに弱いと思われたり、言われたりしても、叫んだり泣く事も自分を守るためには必要なのではないか。
千反田に対して「強くなれ、生きたまま死ぬことになる」といった、
関谷純のその時の感じた恐怖、悲しさ、無念さ、辛さを感じることができただろうか。
(私には、自分にはどうしようも出来ない物事の大きさに恐怖し、
自分が大きな流れに声も上げられず潰されていく苦しさ、
自分の全てが終わってしまったような無念さ、そのどれもが辛く、苦しく共感を覚えた。)

「全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく」
氷菓編にこんな言葉が出てくる。主観性とは、当事者の気持ちであり、
今伝えられているお話は当事者の気持ちが失われたお話であり、それを表面的に読んでも、
当時の人が何を思ったのかは分からないという事だ。
その言葉からも、関谷純の感じた感情が薄らいでいくことへの無常さ、
そういったものがこの作品の儚さに繋がっているのだと思う。

再度書くことになるが、
このアニメは提示された謎解き(氷菓、映画のストーリー、泥棒の犯人)だけが謎解きではない。
登場人物が何を思ったのかを考え、どんな気持ちだったかを考えることが視聴者に送られた謎なのだろうと私は思う。

【薔薇色について】
折木は自分の灰色の高校生活の中で薔薇色に憧れがあったのかもしれない。
そして45年前の真実は薔薇色だったのかに疑問を持つ。
つまり、45年前の事件の真実を知ることで、自分が薔薇色に対して憧れがあるのか?
自分がなぜ他の人間を見て落ち着かないのかに答えを出したかったのではないか?
それが折木を推理に向かわせた原動力ではないだろうか。
そしてその落ち着かなさの理由はは他人が感情に揺さぶられ一喜一憂している姿を見ているからだろう。
最終回でのエア告白では折木は感情に揺さぶられ薔薇色になっているのかもしれない。

【生きたまま死ぬ?について】
これがえるのトラウマになったか、元々死への恐怖が人一倍あったのかは分からないが、
「愚者のエンドロール」編のエピローグで、死ぬお話に抵抗があると打ち明けている。
えるが本郷先輩の脚本にこだわった理由がここからきているのかもしれない。

「今感じた私の気持ち、それが将来どうでもよくなっているかもなんて、今は思いたくないんです」
えるの、人の思いを大切にしたいという気持ちの現れだろう。
時間が惜しいという意味ではない。未来の自分に胸を張りたいという思いでもない。
恐らく、すべての事に意味があると思いたいのではないのか。
対立する2つの事があっても、
どちらにも言い分があるという考えをするのが千反田えるではないだろうか(「大罪を犯す」を見てほしい)。
なにであろうと、無価値と思うことに抵抗が有り、失われていく記憶の中にある思いも、
価値があったと送り出してやりたい、そういう気持ちがあるのではないだろうか。
折木の「お前の中で時効になっていくのかもな」という言葉に反応し、
恥や外聞を捨ててまで45年前の真実を明らかにしようとした事からも、
千反田の性格の根幹にあるものではないか。

{/netabare}

【折木の成長について】
{netabare}
では、折木はこの問題を解いていきどのように成長したのだろうか。
1話目では「保留」千反田という感情の塊のような存在に、
無機質な回答しか行ってこなかった折木は答えが出せず「保留」した。
この保留は「不慣れな者は奇をてらう」という事を身をもって実行したことについてだった。
現状の状態に変化を求めず、様子見をしたかった、という折木の気持ちを福部聡は保留という言葉で言い表した。
しかし、この屈託が高くつくと予想した聡の言葉通り、
千反田は折木の能力を買って折木に頼ることになり、折木は変化を求められることになる。

2~5話では姉に書いた手紙で自分の省エネ主義へ疑問を向けたことを明かした。
折木は自分が周りが青春を謳歌し、なにも楽しめない自分に違和感を感じていたが、
氷菓の事件を追求することで自分の主義は悪くないと確認し、今まであった居心地の悪さを解消した。
少なくとも折木の中で「変化」があったことは確かだろう。
薔薇色と呼ばれる青春時代は誰かの犠牲の上に成り立っているのかもしれない。
そう考えると灰色の青春を過ごす自分には、
薔薇色は誰かを犠牲にしてまで手にいれるものじゃないな、と思ったのだろうか。

折木が氷菓事件の最後にイラついたことからも、問題解決に客観性を持ちつつ回答していくが、
誰かの感情に気づくことが出来るようになったことは人間として、大切な成長を遂げたと思う。
だが、千反田が関谷純との思い出でなぜ泣いたのかが、千反田が4話で疑問を解消できず、
5話で謎が全て解けたときに千反田が思い出して折木はその泣いた理由を知る。
その事からも、折木にはまだ人の感情まで推理に組み込む力はまだないと思う。


8話から11話では自分の能力と向き合い始め、
初めて大きな挫折をすることで、折木が成長する糧になった。
この挫折には、自分が問題の答えを外したから悔しい、ということではなく、
自分が他人の思いを考えてやれなかった自責のようなものが折木の心に深く残ったのだろう。

12話から17話では福部のセリフにもあったように、折木の才能が遺憾なく発揮された。
これは、挫折(愚者のエンドロール編での挫折)を味わったことで折木に成長があったということだと思う。
その成長は計算問題のように謎を解くのではなく、
他人の思いを考えることがより出来るようになったことではないだろうか。

最終話では折木が省エネ主義から脱却しそうになる。
折木の中で少しずつえるの存在が大きくなっていき、
えるに関してのことは「やるべきこと」になっていくのが伺える。
それは、折木の「やるべきこと」が少しずつ見え始めているともとれる。
{/netabare}

以下、1話完結の話のレビューです。
【正体見たり】
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1話完結。古典部員達がまやかのツテで温泉旅館に泊まりに行き、
まやかのみた幽霊の正体を解き明かすという話。

この話で何が枯れ雄花なのかというのは、折木からすれば、幽霊は枯れ雄花であり、
有りもしない幻想や妄想に入る。同じくして、折木にすれば仲の良い兄弟など枯れ雄花である。

つまり、折木達は幽霊など存在しないということを明らかにしながら、
仲の良い姉妹というえるの理想も枯れ雄花である現実も明らかにしてしまった。
ラスト前、真実を知ったときのえると夕焼けの空が、
現実を知ることで、大人になるような、儚い気持ちを思わせた。

実はこの話の最後のシーン、原作とは異なる。詳しくは原作を読んでほしいが、
個人的には(兄弟のいる身として)アニメ版は救いがあって良いと思う。
確かに幼い姉妹兄弟はケンカばかりするものだが、
根底では兄弟愛というものが存在しているかも知れないを思う良い改変だった。
{/netabare}
【連峰は晴れているか】
{netabare}
折木の中学の先生がふとヘリを見て「ヘリが好きなんだ」と言った理由を突き止める話。
私は結構人の気持ちがわからないんだなと、改めて思い知らされた話。
折木は、仲間の心配をした先生の気持ちを考えてやれた。
えるは過去の他人の気持ちを考えて上げられる折木に対して、言い表せない感情を抱いた。
(折木が優しいというのもおかしいと思ったのだろう、
あえて言うなら、人の思いを大切にしてくれる人、だろうか)
私は折木の言葉も、えるの気持ちも察することができなかった。
人の思い、その時の感情、それを大切にしたい、
それを考えてやれる人間になりたいと、またひとつ、この作品に教えてもらった。
この話、原作の書籍には載っていない話なので
(野性時代か何かに載っていたのみらしい)漫画での書籍化が非常に楽しみだ。

追記【千反田の興味が折木に向いた】
折木がなぜ小木先生のヘリ好きが気になったか、それが気になってしまった千反田。
それは折木が他人のためには頑張って頭を働かせ、いつも自身の事には無頓着だった折木が、
自発的に自分の疑問を解決する為に動いたように千反田には見えたからだ。
単純に折木が気になるからではなく、
折木という人間をよく観察して人間性を分析しつつ千反田は疑問をぶつけている。
だが、単純に異性に対して「あなたの事が気になるんです」といわれるシチュエーションに折木は何を思っただろう。

{/netabare}

【手作りチョコレート事件】
{netabare}
あらすじ
バレンタインの日、まやかが聡志にチョコレートを渡すつもりだったが、
部室に置いていたチョコレートが誰かに盗まれてしまう。
千反田はチョコレートを盗まれた責任を感じ、古典部男子二人と一緒に犯人を捜す。

この話に関しては、まだまだ、考察しきれていない。
特に折木と橋の上で話したときの聡志の思いが中々難解。
勝ちにこだわった中学時代は高校生になった聡志はつまらないと評した。

そして、こだわることを辞めて、こだわらないことにこだわるようになった1高校時代の今を毎日が楽しいと言う。
聡志に「つまらなかった」と評された中学時代は、他人と自分を常に比較し続け、
自分の価値が、他人より上か下かの判断しかなかった自分に「つまらなかった」といったんじゃないか
その中で、自分のアイデンティティが貧相なことを悟り、こだわることをやめたのではないかと思う。
では何にもこだわらない高校時代を毎日が楽しいと評しているのは、
勝ち負けの世界を抜け出して、他人のいい所を直視し、自分と他人の境界を引き始めたため、
今まで見えなかった世界が見えるようになった、
もしくは他人と自分を比較しない世界(オンリーワンでいられる世界)が気楽で、
「楽しい」という自己評価に繋がったのではないだろうか。

また、「僕はまやかにこだわってもいいのかな」というセリフからは、
勝ち負けの世界からフェードアウトした自分が、勝ち負けの世界がまやかの住む世界や社会だとしたら、
その世界のルールを外れた自分が、まやかを独占することは許されない事、
という思いを持っているんではないか。
まあそんな事(世界の誰かが許さない事なんて)はないと思うのだが・・・。
自分の行いを許さない人が見てるかもなんて、
それこそいるかわからない神様に遠慮してるようなものだろう。
だけどそういう部分に許せない部分(非合理的)があるのが青春っぽくもある。

「あとちょっとでわかりそうなんだ」
聡志が折木に言ったその言葉は、
こだわらないことにこだわることで、
自分のアイデンティティ、進むべき道のようなものがはっきりとわかりそうだと思っているのだが、
でも今はもやに包まれた感じがする。そのような思いなのかもしれない。


{/netabare}

【遠回りする雛】
{netabare}
折木は千反田に頼まれ、いき雛祭りで傘持ちの役をしにいく話。

「しまった…よくない、これはよくない。
多分なんとしても俺は、ここにくるべきではなかった。
俺の省エネ主義が、致命的におびかされてる…」

千反田のいき雛姿を見て、こんな事を思う折木。
折木は千反田の顔が見たくてしょうがなくなる。
ここで、折木は「顔がみたい」という「やるべき事」かわからないことに執着する。
折木の省エネ主義は「やらなくてもいいことはやらない、やるべきことなら手短に」という考え。
やるべきことじゃない事をやろうとしている折木は自ら省エネ主義を壊そうとしている。
それほどに千反田に気持ちが傾いていて、折木の中では1秒が1分にも感じるような緊迫感があり、
しかし期待のようなものを感じてしまうワンシーンです。

「見てください、折木さん。ここが私の場所です。
水と土しかありません。人も段々、老い、疲れてきています。
私はここを最高に美しいとは思いません。
可能性に満ちているとも思っていません。
でも、、、、、折木さんに紹介したかったんです。」

千反田が桜の下で折木に言ったこの言葉は誰にでもいえるものと受け取った。
自分が生まれ育ってきた風景を特別愛しているわけでもない、憎むわけでもない。
千反田は自分がうまれ、見てきた風景を折木知ってほしかった。
折木に自分の事を知ってほしかった。
それは自分の事を知ってほしい相手に対して誰しも思うことがある思いだと感じた。
これは千反田にとっての告白なのかもしれない。
遠回りしてしまった雛のように遠回りな告白。
いろんなしがらみを抱える世界にいる千反田が、
少しでも折木に自分を知ってほしいという気持ちが伝わり、
いじらしく、綺麗なシーン。

折木「・・・寒くなって来たな。」
 千反田「いいえ。もう春です。」

告白とも取れる事を言いそびれた折木は言葉に詰まってごまかす。
寒くもないのに「寒くなってきたな」。その返しが「いいえ。もう春です」。

折木がいつものような会話でごまかす。
それに対し千反田もいつものような会話で返す。
お互いがお互いを理解し、いつもの関係を維持しながらも少し関係が進んだような終わりかたが、
いじらしさと喜びのようなものを感じさせてくれた。

{/netabare}

【持つべきものは】
{netabare}
そもそも省エネ主義をモットーとする折木がバイトをするという時点で、
既に折木に変化があったと見ていいだろう。
このときの折木は省エネ主義がぼやけている。
「愚者のエンドロール編」でのイリスとのやりとりで自分の立ち位置が分からなくなったのだろう。
特別でもなんでもない自分が何か特別な主義主張があるのが嫌気が差していたのかもしれない。
それが自分がモットーにしてきた省エネ主義であったとしても。
特別を気取ってしまった自分に対する嫌気が
「どちらにしろ俺は普通だ」なのではないだろうか。

「(大丈夫だ)」という折木の確認は、自分の気持ちに折り合いをつけたのだろう。
その気持ちは、「めんどくさ」という最後の言葉からも省エネ主義に立ち返ってはいるのだろうが、
「たまに頼られるのもいいな」という言葉からも多少灰色からの脱却も入っている。
頼られることで救われたのは折木だった。
それは折木が特別だとか普通だとかの非日常的な憂鬱な考えにとらわれていた所を、
古典部の面々に頼られることにより日常に戻れたことからの発言ではないだろうか。



{/netabare}

全体の感想として、日常的な青春の感じだけど、非日常な青春も交じり、
非常に羨ましく思う部分もあり、共感できるような出来事や人物の立ち位置、
登場人物に対する感情移入が多く、楽しめた作品でした。

未だに氷菓の本当の魅力を伝えきれずむずむずしています(笑)。
私が氷菓に心を打たれた理由が未だに伝えられない。
今のところ、「人の感情や思いを考えることの素晴らしさ」を気づかされた、
という感じにしか書けませんが、私のレビューで、
氷菓という作品に込められた思いを少しでも感じ取って下さる方がいれば嬉しく思います。

投稿 : 2022/10/07
閲覧 : 2334
サンキュー:

216

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 1.5 状態:途中で断念した

IQ180の世界なのか?

「私気になります」
で有名なこの作品。
作画も美しいとの事で気になっていたが
見ていなかった作品。

期待感も高まり、ようやく
見てみるか〜と思って視聴開始。

したが…

まさかの1話でギブアップ…

なにこの頭が回りまくる登場人物達…

そしてこんなかわいい女子と話してるのに
なにもリアクションがない男子高校生…

今後もこういうテンションで展開が進むことが
予想され…そっとじ

変な迷宮事件的な事柄に女子が首を突っ込み
それを皆で解決していって
その流れの中で恋愛とかしちゃうんやろなって思うと
心底、どうでもいいわ

ってなっちゃった。

個人的な好き嫌いも大きいと思うが
こういう不可解な謎を
IQ高いイケメン朴念仁が
さっそうと解いてくスト-リ-
に興味がわかなかった…。

投稿 : 2022/10/05
閲覧 : 224
ネタバレ

これ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

日常+ミステリー

原作は小説らしいですね
作画に関しては安定の京アニ文句なしで
季節感がすごいよくできてる作品だなあと言った感じ
またキャラクターは色々出てきてはいるが主にメインは4人なので少ない分わかりやすく一人一人が濃いのもいい
個人的には文化祭編がヤマ場でかなり見所がおおいのと
こんな学校憧れるってアニメランキング1位だと思う
だって部活にしても文化祭にしても魅力ありすぎでしょってくらいたっぷり魅力あったもんね!
あと折木の真似したくなるくらいカッコよくて中学生だったら真似したくなりそうなキャラだったね
優しさの理由もかなりいい曲なのでぜひ聞いてみて

投稿 : 2022/09/03
閲覧 : 167
サンキュー:

11

まめ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

見応え満タン

これだけの話数でこんなに満足できるのはすごい。
京アニ?を崇拝するきっかけになったぞよ!

投稿 : 2022/07/25
閲覧 : 207
サンキュー:

4

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氷菓のストーリー・あらすじ

何事にも積極的に関わらない奉太郎が、姉の命令で入部させられた古典部で、部員の少女の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫る。省エネ少年と好奇心少女が繰り広げる青春ミステリー。(TVアニメ動画『氷菓』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2012年春アニメ
制作会社
京都アニメーション
主題歌
≪OP≫ChouCho『優しさの理由』、こだまさおり『未完成ストライド』≪ED≫千反田える(佐藤聡美)・伊原摩耶花(茅野愛衣)『まどろみの約束』、千反田える(佐藤聡美)・伊原摩耶花(茅野愛衣)『『君にまつわるミステリー』

声優・キャラクター

中村悠一、佐藤聡美、阪口大助、茅野愛衣、ゆきのさつき、置鮎龍太郎、ゆかな、小山茉美、早見沙織、悠木碧、川原慶久、浅野真澄、豊崎愛生、小倉唯、阿部敦、伊瀬茉莉也、入野自由、小清水亜美、広橋涼、秦勇気、山崎たくみ、小西克幸、こぶしのぶゆき、日笠陽子、伊藤かな恵、升望、近藤孝行、森川智之、進藤尚美、茅原実里、寺島拓篤、竹達彩奈、寿美菜子、福山潤、杉田智和、谷山紀章、杉山紀彰、平川大輔、吉野裕行、石塚運昇、永井一郎、西村知道、二又一成、田中正彦、千葉繁、諏訪部順一

スタッフ

原作・構成協力:米澤穂信(角川文庫刊『古典部シリーズから』・少年エース連載)、 監督:武本康弘、シリーズ構成:賀東招二、キャラクターデザイン:西屋太志、色彩設計:石田奈央美、美術監督:奥出修平、撮影監督:中上竜太、設定:唐田洋、編集:重村建吾、音響監督:鶴岡陽太、音楽:田中公平

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