nyaro さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
作画は色が最高に良かったです。話は凡作と良作の間くらいかな。
以前からキービジュアルの色の綺麗さで注目していました。実際見てみましたが、素晴らしいです。動きはそれほどではないですが、場面によっては指や髪の毛がサラリと流れるところまで丁寧に作画され、破綻がない非常に美しい映像でした。女子は可愛いし、人物も背景も色が鮮やかです。
逆にアート的な点はほぼないとも言えますが、ラノベ的物語をアニメにして動かすという点においては、もう今では見られない最高水準と言えるでしょう。
話はSF的な部分でいえば、かぐや姫です。罪人ではない…いや結果的に罪人か…ですが、憧れの風景ですね。SF的な設定はちゃんとストーリーに落とし込まれているものの、舞台装置以上のものではなかったです。ただ、映像は良かったです。宇宙船はちょっと「鉄腕バーディー」のコミック版のデザインセンスに似ている気がしました。
恋愛部分は…うーん…まあ、いいんですけどね。結末も含めて。盛り上がりも引き裂かれる要素もあって。ただなあ…なんで?が付きまといます。恋愛に理由は必ずしも必要ありませんが、感情の動きがちょっと全体的に不自然な気はしました。それは12話分青春群像劇にしなければならないという要請からでしょう。メインヒロインより負けヒロインが視聴者からは内面がわかりやすく魅力的なだけに、そこはちゃんと描けてないのがやっぱりよくないです。
まあ、話としてはよくある話なので、言うほど不満ではないのですが、やっぱり話としての不自然さはちょっと気になりました。むしろハーレムでお色気ドタバタ要員にしてしまったほうが良かったかも。
この構造なら100分くらいの映画でヒロインと主人公だけに注目した方が自然で乗っかれる物語になった気がします。
それと「おねがいティーチャー」に似ているなあと思ったら、同じスタッフの方が作ったんですね。同作は薄い本がいっぱいあったのでデザインだけはよく知っていました。
あのロリキャラは世界観を合わせている感じ?制服一緒ですよね?そこは当時のファンにはいいかもしれませんが、後付けだとよくわかりませんでした。キャラとしては悪くないですけどね。
ということで、話はまあまあで凡作と良作の中間くらいの微妙さです。話の構造は平凡で、結末も演出としてはいいですが意外性はありません。SFも映画もテーマとして活かせていたような小道具で終わったようなところも微妙感があります。
やはり見るべきところは映像でしょうね。色に関して言えば本当にほれぼれするくらいのアニメーションでした。とはいえ2010年くらいまではこのレベルの作画は結構あったかもしれません。動きが乏しいのと、若干線の数が物足りないかもしれませんが、作品の内容とはぴったりだったと思います。
例えば「無職転生」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「おにまい」「フリーレン」等々の作画がいくら良いとしても、本作の風合いはもう作られないだろうな、という気がします。
作画は4.5。他は3.5という感じでした。