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「コクリコ坂から(アニメ映画)」

総合得点
66.2
感想・評価
563
棚に入れた
2850
ランキング
2980
★★★★☆ 3.6 (563)
物語
3.5
作画
4.0
声優
3.3
音楽
3.7
キャラ
3.5

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コクリコ坂からの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

60年代エリート高校の活気が見所の雰囲気アニメ?内容は悪くないが平坦で盛り上がりに欠ける

宮崎吾朗監督による91分の映画。
1963年の横浜を舞台に、朝鮮戦争で船乗りだった父を亡くした女子高生と、取り壊し予定の部室?の存続運動やってる男子高校生が恋したり、実は兄妹!?と揺れ動いたり。

【良い点】
昭和38年当時高校生だった世代の、良い意味で戦前の気風が色濃く残りつつも、自由闊達な活力ある青春風景。
モブ含めて教養や志が高く、哲学や天文や文学に打ち込んだり、上官(理事長)に軍国的な受け答えが清々しかったり、こういう雰囲気も良いなぁと。
主人公(女子高生)はかなりの名門かエリート校と思われ、生徒の自主性や戦後民主主義教育を重んじつつ、活発に言論したり目標に邁進する様はある種の良き青春な憧れを感じる。

これを昭和38年の横浜の情緒や古い校舎などのジブリ美麗作画で活写、これだけで雰囲気アニメとして91分見られる内容はある。
キャラデザは普通だが背景描写含めれば流石のジブリ。
楽曲も「上を向いて歩こう」他、雰囲気に合った良曲あり。
声優は長澤まさみ氏が流石の好演。

ラブコメというかロマンス面も、主人公の海と俊が青春劇の過程で惹かれ合う→実は兄妹!?という波乱でまずまず。
ふたりとも教養と気品があり、昔のエリート学生ならでは?の奥ゆかしい交際は良かった。

【悪い点】
地味で盛り上がりに欠ける。淡々と進行。この映画で特に印象的だった場面が見当たらず。
ストーリーの軸は主に旧建物取り壊し反対運動と、主人公らの恋の行方だけど、いずれも中途半端。

前者に関しては、海には特に思い入れがある経緯や描写が乏しい。
運動の経緯も、とちらかというと民主主義学生運動ごっこ(ごっこ、というのは意地が悪いけれど)を見せたかったように見える。
話のわかる理事長への直談判成功で殆ど波乱なし、盛り上がりに欠ける。
またこの運動を糧に主人公らの関係深まったかも微妙。

後者に関しては悪くは無いが、前述の通り学生運動と恋進展が結びつきにくいのと、後半の兄妹問題からの疎遠や大団円の過程が雑。
実は兄妹!?な禁断は凄く盛り上がるシチュエーションなのに盛り上がらず。
何となくキャラが脚本に動かされている感。
原作は未読たけど、原作にあったであろう掘り下げや機微が尺不足で抜け落ちている印象。
その割に無駄尺(冒頭の冗長な出だしとか、雑な学生運動)多いのも気になる。学生運動に関しては雰囲気は好きだけど。

キャラは古き良き昭和の優等生の域を出ず地味。

作画は綺麗だがキャラデザは普通。2011年という制作年代を考慮すると見所としては微妙。
楽曲は良いが、作劇を盛り上げ方が地味。
声優陣は悪いわけではないが、本職に対して特に優位な感じがしない。

【総合評価】4点
アニメーションと(多分)原作のクオリティーが高い故に最低限の見所は確保しているが、90分映画としては微妙。
たぶん、監督が描きたかったモノは「古き良き戦前の気風も残しつつも戦後の自由や民主主義に輝く青春」という印象。
これはそこそこ良かったけれど、実体験が伴わないためか?表層をなぞるに留まった感じ。
評価は良いでもいいんだけど、ジブリとしては微妙という事で「普通」

時代背景は違うけれど、エリート高校生の知的な青春劇という点では翌年京アニの「氷菓」がずば抜けて面白い。
または京都大学舞台(と思われる)「四畳半神話大系」とか、年代が新しい(未来?)「映像研には手を出すな」辺り。
コクリコ坂の比較対象は上記と見ているので、コクリコ坂は地味な佳作という認識。

投稿 : 2023/07/15
閲覧 : 82
サンキュー:

1

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

ノスタル爺。

【概要】

アニメーション制作:スタジオジブリ
2011年7月16日に公開された91分間の劇場版アニメ。
佐山哲郎の原作、高橋千鶴に作画によって、
『なかよし』で連載されていた少女漫画作品が原作。

監督は、宮崎吾朗。
企画・脚本で、宮崎駿がクレジットされている。
(脚本は丹羽圭子と併記)

【あらすじ】

1964年東京オリンピックの前年の昭和38年の横浜。

主人公で高校2年生の松崎海(メル)は、
海の見える丘にある「コクリコ荘」という祖母と営んでいる下宿で、
祖母と妹と弟と下宿人らと食卓を囲む生活をしていて、
家事など一切を自分でやっている。
亡くなった船乗りの父に向けて航海の安全を祈る信号旗を上げていたが、
それを詠んだ詩が、学級新聞に載ってしまう。

海が通う港南学園は歴史ある木造建築の校舎で、
明治時代に建てられた元が洋館の男子文化部の部室棟「カルチェラタン」があり、
老朽化による取り壊しを巡って、生徒間で集会を開いて激しい論戦が繰り広げられていた。

反対派で3年生の風間俊は、カルチェラタン存続運動の中心人物で、
部室を使って、週刊で学校新聞を発行している。

何度も行動をともにしていくうちに、お互いに惹かれ合っていく海と俊だが、
1枚の写真が原因で、俊は海へ距離をおいた態度をとっていく。
海が俊に詰めよってみると、自分たちは同じ父親を持つ兄妹。
役所で確認してきたと言うのだった。

【感想】

原作は1980年代を舞台にした少女漫画ですが、
amazonのkindle版にて冒頭部分の無料サンプルを読んだところ、
キャラの見た目も性格も全く違います。
海はアニメでは礼儀正しい生真面目優等生ですが、原作では表情豊かで仕事で雑な部分がありますし、
これまた真面目そうな見た目と口調の俊は、原作では軽薄そうな見た目です。
ついでに、下宿人の北斗さんは原作では男性で海の憧れの人ですが、
その手の話を避けたのかアニメでは女性になっています。

青春アニメ映画を作ろうということですが、
宮崎駿氏(1941年生まれ)と鈴木敏夫氏(1948年生まれ)がノスタルジーを全開にして、
自分らの理想の青春を押し付けるために、わざわざ1963年に設定を変えて、
キャラを人格改造して年寄り目線での自分の理想の少年少女にしてまで、
息子の宮崎吾朗に監督にしてアニメを作らせてしまったモノ。

若者は学生運動が盛んでみんな元気があった、昭和のあの時代は良かったと懐かしむ、
その老人の武勇伝みたいな話は、「平成狸合戦ぽんぽこ」ではリアリストな高畑勲氏と比べると、
昭和を美化した宮崎駿氏のロマンチストぶりに非常に後ろ向きな内容に思えました。

ジブリが毒にも薬にもならない日常アニメを作ったらこうなったというモノですが、
キャラの生活や感情にシンパシーがあればとても心地よい優しい世界に酔えるのでしょうが、
キレイな明るく楽しい学生運動と物わかりの良すぎる権力者などが自分としては、
とある思想の持ち主によって美化された妄想の昭和の世界に閉じ込められてるかのようで、
ある種の気持ち悪さで拒絶反応が起きてしまい、10分おきに中断しながら観ていました。

思い出も大事ですが今を大切に生きましょうというメッセージ性のある「オトナ帝国の逆襲」と違い、
21世紀の現実世界と断絶したような妄想アニメ。
それはジブリのアニメを象徴してるかのような内容でして、
好きな人には大変申し訳無いのですが、自分の心に刺さるものは何もなかったですね。

情緒豊かな日常アニメは本来は好きなのですが、
昭和から使い古された演出を繰り返すジブリのやり方と、
それを教科書にして伝統芸能のようにただ受け継ごうとしただけの宮崎吾朗監督。
自分にとってはジブリは過去の存在なんだなと、ただそれしか心に残らない作品でした。

先人の技術を参考にしつつも先鞭をつける存在として、
アニメの未来を切り開いていっているアニメ会社の方が好ましいという自分の考え方が、
ジブリ作品を色褪せて見せている。ただ、それだけの話かもしれませんけどね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/10/10
閲覧 : 163
サンキュー:

19

ネタバレ

栞織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これはいい映画だったと思う

これも映画館で見ました。これはすごくいい作品でしたね。公開前に原作の少女漫画を読もうとしましたが、昔の絵柄で入り込めないので、ほとんど読まないで映画館に行きました。この原作少女漫画ですが、原作がさらについている作品で、どうもその原作も左翼系の方だったのかなあ。ふつうの少女漫画と違って、ネームがずらずら出て来て、まるで小説のようでした。さすが宮崎監督がアニメ化したいと言うだけあるなと思いましたです。

この宮崎吾郎監督の前の作品が「ゲド戦記」でしたから、かなり期待せずに映画館に行ったんですが、それがかえってよかったですね。思わぬサプライズがあったように感じました。サプライズと言えば、映画館だけに出て来たトリスおじさんの人形とか、60年代当時の風物が見ていてとても懐かしかったです。ただこれは若い人たちには通じなかったろうなあと思いました。家の前の道が舗装道路ではないのも、私たちニュータイプ世代が知っている最後の世代ではないでしょうか。東京都内のビルの満艦飾の電飾看板の様子とかも、今では見ることのできない風景です。台所の流しの下に、床下の貯蔵庫がついていたりするのも「ああいうのあったなあ」と思いました。そんな風に、タイムスリップできる作品だったのでとてもうれしかったです。

ただ話としては、年若い人には抵抗感があったと思います。と言うのも、ヒロインのメルがヤングケアラーみたいな生活を送っているという設定だからです。ジブリヒロインはだいたい生活優等生ですが、これはちょっとやりすぎ感を感じました。それでラストでヒロインが父母の幻影に逢うというのがメインになっているのですが、それで許せるのかというのがありましたです。それ以外は実は兄妹なんじゃと悩む話とか、ドラマとして面白い展開で、よかったと思います。当時のふつうの学生たちの様子とかもうまく描かれていて、いいジブリ映画だったと思います。作画もすごくよかったです。主題歌もいい歌でした。当時やっとまた「耳をすませば」のようなジブリ作品が見られたと思った作品です。

投稿 : 2022/03/21
閲覧 : 617
サンキュー:

3

ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

後半だけ良かった

物語について、映画作品なので時間の関係で仕方ないのかもしれないが、海が風間のどこにどう惹かれて親しくなったのかが全くわからなかった。原作ではそのへんの描写があるのかもしれない。
物語の後半は良かったと思うので、思い切って、海と風間が付き合っているという前提で物語を始めたらより良かったんじゃないかと思う。

音楽は、音楽それ自体を聴くなら良い曲が多かったと思うのだが、絵を引き立てる劇伴という意味では、主張が強い曲が多くて良くなかったと思う。

声優は、どのキャラも最悪に近い。

投稿 : 2021/12/18
閲覧 : 207
サンキュー:

2

ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

高度成長期に、のびのびと青春を謳歌した若者たち

スタジオジブリ作品ですが、監督は宮崎吾朗さん。
父親の宮崎駿さんは脚本を担当しています。

『なかよし』で連載された全8話の漫画が原作。
ジブリなのに原作?と聞いて意外な感じがしましたが、宮崎駿さん以外が監督する場合は基本的に原作のある作品を題材にしているそうですね。

主人公・松崎海の声を担当したのは長澤まさみさん。決して上手とは言えませんでしたが、慣れればなんとか聴けるレベル。
でも、準主役の風間俊を演じた岡田准一さんは、かなり聞き辛かったかな……。俳優としては好きな方なんですけど、声だけだと、かなり滑舌が悪く感じました。

重要な役には最低限の演技ができる方を起用して欲しいですが、本作に関して言えば、高度成長期の日本を舞台にした非ファンタジー作品なので、本職声優にはないナチュラルな空気感というものもそれなりにプラスに機能していたように思います。

ただ、俊の父親の明雄を演じた大森南朋さんだけはかなり気になりました。
そこそこ重要な役どころなんですが、絵と声が合ってなさすぎて、喋るたびに「これじゃない」感が凄かった……。

作画に関しては、人物などにやや粗さが目に付きました。
2011年公開だから、というのもあるでしょうが、「千と千尋の神隠し」から10年経っていると考えると、ほとんど進歩がないような……。
監督や作監の違いもあるのかな?
ただ、美術面に関しては、昭和のノスタルジックな町並みをかなり綺麗に再現されていたと思います。

挿入歌もかなり多かったですね。
坂本九さんや手嶌葵さんなど、時代を象徴する名曲がふんだんに使われていました。
個人的には、歌の力を借りてエモくする手法はあまり好きではありませんが、本作の場合は、どちらか言うと時代背景を演出する意味合いが強かったように思います。
ジブリでは珍しく、ジャズ音楽を多様されていたのも特徴的でした。

ストーリーは、至ってシンプル。
カルチェラタンという、京大の熊野寮みたいな施設の取り壊しを巡って、学校側と対立する俊。
海も彼の手伝いをするようになり、それがきっかけで惹かれ合っていくのですが……。
やがて、俊と海は父親が同じ兄妹であったことが発覚し、そんな境遇を思い悩む二人の姿を軸として物語は進みます。

一昔前の昼ドラによくありそうなベタなプロットですが、最近はそういうのも滅多に見なくなったので、一周回ってなんだか新鮮に感じました。
戦後のどさくさで起こってしまったという経緯も、とってつけた設定ではないリアリティがありました。

東京オリンピック直前の、朝鮮戦争による特需景気に湧いていた時代の話ですが、実はこの戦争には、少なくない日本人が機雷除去のためにLST(揚陸艦)で参戦していました。
好き嫌いはさておき、物語にそうした背景を絡めてくるのは、反戦思想が強い宮崎駿さんらしい脚本だな、と思いました。

もちろん、見せたかったのはそういった歴史の闇のようなドラマではなく、高度成長期という活気ある時代に、のびのびと青春を謳歌した若者たちの姿でしょう。
主人公の海は、下宿生たちのために忙しく働く、いかにもジブリらしい明るく健気なヒロイン。
海と俊の出生の秘密についても、さらに隠された真実がありますので、そこは本編で確認していただければと。

個人的には、海と俊が惹かれあっていく過程をもう少し丁寧に描いて欲しかったかな。
先に出生の秘密に気づいて、海から距離を取ろうとした俊に対して、「私のことを嫌いになったの!?」と海が詰め寄るシーンがあるんですが、お付き合いを始めるようなやり取りもなかったですし、いつの間にそんなに盛り上がってたんだ?と、ちょっと唐突に感じました。
そういうことをあけすけに語り合うような時代でもなかったのかな?

総評としては、テーマもはっきりしていましたし、変に小難しい部分もなく、素直に楽しむことのできた作品でした。
宮崎吾朗さんの前作「ゲド戦記」ではサブキャラの掘り下げがかなり薄く感じられましたが、本作はそのあたりもすごく丁寧に描かれていて、単なる脇役ではなく、それぞれに昭和の時代を力強く生きている生命力が感じられます。

ファンタジー大作も良いですが、本作を始め、「おもひでぽろぽろ」「海がきこえる」「耳をすませば」等、ジブリの非ファンタジー路線はどくどくのほのぼの感が利いていて良いですね♪

投稿 : 2020/11/19
閲覧 : 216
サンキュー:

7

ネタバレ

7でもない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

1963年を生きるインテリゲンチアな青年達の素直で軽いラブコメ

35行2000文字程度感想雑文
5.2稿目

◇けなげなヒロイン
◇まっすぐさ
◇暖かい眼差しでオタクがかっこよく描かれてる
◇作画
◇うすしお味
◇まとめや細かい疑問等



◇けなげなヒロインと予想したが
イメージイラストから第一次~第二次大戦設定で軍艦乗りの彼氏を待つ少女の暗い話と思って身構えてたらぜんぜん違って軽い恋愛青春譚で拍子抜けした。畑に里芋とか植えたり、竹槍で国土最終防衛戦の為の訓練とか鬼畜米軍との諍いとかないんだ


◇まっすぐ
このアニメはとにかくみんな素直で真っ直ぐで可愛らしい。屈折や躊躇いや回りくどいことは殆どない。

感情が高ぶると自然と皆で合唱し(校長への健全な学生アピール・演出もあるし、むしろそういうシーンの方が多いか。でもいいや)、文化部部室棟カルチェラタンに改装が必要と見ると次の日には集団で乗り込んで掃除をする。ジブリアニメにありそうな「ここは男の砦だ。俺達に任せておけばいいんだ(フンッ)」「馬鹿ね。アンタ達に任せてたらいつまでたっても片付かないわよ」みたいな男VS女の(プロレスのアングル的な)闘いも無く、仲良く掃除する。取り壊し取り消しについて校長と話しても拉致があかないと見ると東京の理事長の所へ意図的にアポを取らずに押し掛ける(関係ないけど待たされるシーンの緊張感といらだち、ぬか喜びが入り混じった感じが非常にリアルで苦笑した)。

特に理事長を迎える時に恥じらったり奇をてらったりせず正面から正々堂々と、全員で並んで迎え、歓迎のメッセージを掲げて、校歌を歌って迎えたのは良かった。中々あの年齢でできる事じゃないよ。あんな出迎えをされたら竹を割ったような性格の理事長じゃなくてひねくれたおっさんだとしてもぐっとくるよね。

風間とメルが相合傘で下校する時もその時は自分の妹だと信じきっていたのに去り際にメルの手をぐっと引き寄せて恋人ムーブをするシーンもそんなストレートさが溢れた1シーン。しかし妹をぐいっと引き寄せる兄ってどうなんだろう。押し殺した感情が爆発しちゃったのかな?

まっすぐと言えばメルの妹の空ちゃん(ちなみに中の声優は白石晴香 a.k.a. アシリパ、ローニャ、高梨ミーシャちゃん、切絵ちゃん、文乃(理系)役)。作品冒頭で屋根からの飛び込みパフォーマンスをした風間に憧がれて次の日には男だらけの魔窟のようなカルチェラタンに突撃し、サインを貰い、貰ったすぐ矢先に風間から水沼に切り替えそしてその後は事あるごとにちゃっかり水沼のすぐ横にいる辺りミーハーかつ欲望にストレートすぎると思った。空ちゃん、恐ろしい子。

◇暖かい眼差しでオタクがかっこよく描かれてる
哲学や文学、化学等に熱くなって語り合い、「カルチュラタン」や後述の「メル」、「ラメール」みたいなおフランス語で気取る彼らはオタクっぽいけどポジティブで暖かい眼差しで描かれ、オタクをやる事に後ろめたさや気恥ずかしとかは無縁で少し羨ましいと思った。またなんとなくアフターヌーンで連載されていた漫画、ディスコミュニケーションを思い出した。(5稿目加筆)そういえば映画Ready Player Oneを見て、なんか80年代やビデオゲームナードを美化しすぎじゃね?こんな持ち上げたり美しく描くようなものだったっけ?って思ったのを思い出した。


◇作画
作画について思った事数点。深夜アニメと比べると色も非常にベーシックだし、キャラデザもシンプルなんだけど、メルちゃんや空ちゃんのちょっとした表情がなんかかわいい。メルは週5で下宿の7人分の食事家事をする事からわかるような性格で、真面目というか案外表情が硬いシーンが多いんだけど、硬いからこそ表情が柔らかくなる時うれしい。

他に作画で気になったのは船のシーンの動きが良い所とか、メルが朝校門に入るシーンでメルが右奥から近寄ってきて、徐々に右に回転していってから左奥の校門に入るまでをワンカットで回転する所をアニメートしている所。テレビアニメだと横に歩くシーン、校門を超えるシーンみたいに2-3カットの簡単な動きに分解するのに、妙な所に力を入れるんだなあって思いつつ2-3回見直してしまった。

最初カルチュラタン訪れるとき等に主人公たちが話し合ってる間に周りのモブ部員達が騒いで動いてるのが気持ちよい。画面に複数以上の動きが独立して動いてる動画演出は豪華な感じで好き。純粋に2倍の作画手間だろうしタイミング調整とか大変なんだろうけど、劇場版マクロス愛覚えていますかのクライマックス寸前で画面手前で言い争っているミンメイと一条光のバックグラウンドでVFが頭部に?ビームを食らい破壊されるシーンとかも好きだった。うん、好き。

またこのアニメでは風間が実用車に乗るシーンが結構多く力が入ってた。ジブリやデミジブリアニメでは個人的には魔女の宅急便のトンボが羽を付けた自転車でカーブのついた坂を駆け降りて飛ぼうとして失敗して転げ落ちるシーンや、アリエッティ(まちがい。メアリと魔女の花のメアリ)が森に自転車で走っている所を即思い出したけどそれらよりも作画と演出が凝っていたかもしれない。関係ないけど歴史物の実写映画で2015年リメイク版日本のいちばん長い日でマントルを纏った青年将校達3人が大きな日本家屋(皇居?)の作戦本部の周りの砂利道を車でもバイクでも無く実用車で走るアンバランスなシーンを思い出した。車はガソリンが無くなって途中で止まるし末期は大変だったんだな。コクリコに話を戻すと、風間が汗だくになりながら立ち漕ぎで登坂を上る時に、車体が左右に揺らすシーンまでアニメーションさせてて細かい。テレビアニメだとハンドルより上を描いて、下は省略させる事も多いのに。

メルを乗せてコクリコ坂から麓の魚屋まで飛ばすダウンヒルのシーンも絵的に心地よい。加速感や、慣性で傾いたり、カーブの遠心力で外側のふくらみ具合とか良くできてるし、体を寄せあった二人が会話するだけのシーンだけなのに、カメラが近寄ったり引いたりをPCの編集では無く手書きでアニメーションしていて凝っていてなんか気になった。どんなコンテなのか興味ある
 
◇うすしお味
ここまでわりと好意的に良いところを挙げてきたし個人的にどちらかというと好きではあるものの、正直このアニメはストーリーが薄味であまり心に訴えかけて来ないから名作とはちょっと言いづらい。最後のシーンで旗揚げで終わるのはちゃんとテーマに合っていてまとまりが良いし、カルチュラタンもしっかり守れたし、メル(海)と風間の恋愛も障害物は取り除かれ大ハッピーエンドを迎えたはずだけど、なんか物足りない。満足感が無い。はらはらどきどきする要素がなさ過ぎてまるで日常系アニメみたいだ。日常系は日常系で別腹で好き。出生の謎も凝ってはいるけど、でも正直そこらへんはあまりそこまで興味ないし……。そういえば中期後期ジブリは一時期恋愛もの~ラブコメっぽい青春アニメ映画を作ってた時期があったな。なんだろう。プロデューサーに作らされてたのだろうか

◇まとめや細かい疑問等
最後に細かい事2つ。松崎家3姉弟の海、空ちゃん、陸の長女であり主人公である海をメルと呼ぶのは簡単に海空陸と気づかせない為のミスリーディング狙い?そういえば他のキャラは日本人名で設定もリアル寄りなのに一人だけめると呼ばれていてファンタジー色が強く違和感があり、慣れたのは終盤に入ってからだった。また最後に理事長に学生に部室棟は他に建てようみたいな事を言ってた気がするんだけど、それってカルチュアたんと新し部室棟合計2つできるということ?

まとめ。軽いラブコメ。自転車、1963年のまっすぐで熱心なオタクの先駆者達、戦争は直接関係ない

投稿 : 2020/08/29
閲覧 : 267
サンキュー:

3

ネタバレ

tomledoru さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

地味だけれど宮崎五朗氏の挽回作品

ゲド戦記で,デビューしたものの,
今一つパッとしなかったの宮崎五朗氏作品第二段。

今度は,地に足がついたノスタルジックな作品で
全体的な印象はよかったと思います。

お話の一つのテーマは,学生運動。
当時の高校生って大人に見えますよね。

カルチェラタンの取り壊しに,大人に堂々と異議
を申し立てるところなど,今の学生名はないパワーを
感じました。

(復興)発展途上の世の中だったことや,学生自身が
自覚と確固な目標をもって生きていた時代の象徴だと思います。

もう一つのお話のテーマは,メルの風間への想い。

メルは,父親を朝鮮戦争のとばっちりで亡くし,
母も単身アメリカへ行ってしまっているという娘。

メルの目線で見ると,自分が学生寮の世話をしなければ
女学生たちが勉学に励めないと思い一生懸命働きます。

両親がいないから兄弟の面倒を,とメルはお母さんに
頼まれていたことでしょう。

若いにもかかわらず,わがままを言わず,
歳を取ったおばあちゃんのためや
家族のため,寮生のためにも,
みんなのためにも,なろうとするメル。

昭和の半ばの時代,親を助けて働いたり
手伝ったりしていた子は多かったはずです。

メルが旗を揚げるのは,亡くなった父への郷愁と
船の安全を願うためでしょうか。

さて,どこかの韓国ドラマのように,メルと風間
の兄妹疑惑が持ち上がりますが,それも,解決して
良かったとつくづく思いました。
メルのお父さんが,助けた友人の赤ん坊が風間君だったのです。

さて,ほかの女子生徒も,カルチェラタンの掃除に協力して
メルが大好きな風間君の希望が叶い,
カルチェラタンの取り壊しが中止されます。

学生の行動が実を結びます。

およそ55年前の話ですが,若物たちがたくさんいて
(ベビーブーム世代?)長いもの(既成権力)には
巻かれたくないという気概を感じる作品でした。

今の若者も,すぐにあきらめたり,不貞腐れたりせず
希望を持って生きて欲しいというメッセージも
含まれていたように思いました。

投稿 : 2020/06/26
閲覧 : 305
サンキュー:

5

ネタバレ

こっとん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

個人的に結構好きです。

レトロな雰囲気が楽しいですね。ストーリーもすごく凝っているとかではないですが、カルチェラタンの話など、「観たい」と思うものがあり、良かったと思います。

投稿 : 2018/02/28
閲覧 : 232
サンキュー:

0

ネタバレ

筒井筒 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

こういう映画は好き

ほんとに、人間って、意味ないなぁ、と思えるものが好きなようですね。
ストーリーも、設定も、当時そうだったんだぁ、自分がそのときいたらそうだったんだぁ、お父さんに会いに行くってこんな感じかもよって、ただ、リアリティと作者のかくあるべしという期待が描かれている。と、感じました。

主観しか、感想はないかもしれませんが、好きですね、こういう話。

投稿 : 2017/11/24
閲覧 : 285
サンキュー:

1

ネタバレ

狗が身 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

バランスの良さが凄い。

吾朗氏は『ゲド戦記』の頃から僕の中では注目株だったのだけど、いやー、やってくれたね。とても良かった!
取り立てて凄い、というような点はないのだけど、全体的な完成度が高く、放映時間も丁度良く、作品として素晴らしい出来なんじゃないかな。

ストーリー自体は作中で風間が言ってるように安いメロドラマ、みたいな内容とも言える。でも登場キャラにしっかり魅力があるから、ストーリーに退屈さは感じない。
何気に廣小路さんの天然キャラの描き方が巧いよね。
「痺れるの~」「電気屋さんなの?」のやり取りは不意打ちだったわ~。

恒例の芸能人の起用に関しても今回は主役二人の演技は問題なく、違和感はなかったように思う。


派手なアニメーションや壮大な音楽、誇張の効いたキャラクターといったいつものジブリらしさはないけど、これが吾朗氏の作風なのだと思う。本作によって、ジブリの中での個性をうまく主張できたんじゃないかな?
素朴だけど味がある、良い作品。
親近感の湧くキャラクターばかりなので、ストーリーを把握してても何度でも楽しめるはず。

唯一引っかかった点としては、終盤の港に向かうシーンのBGMだけが、それまでのBGMの雰囲気からあまりにかけ離れていたこと。いきなりBGMが主張激しくなって、ちょっと戸惑ってしまったかな…。

投稿 : 2017/07/06
閲覧 : 294
サンキュー:

11

ネタバレ

ValkyOarai さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

海と旗、そして恋

食堂の値段がかけうどん20円ったあ、今で換算するとおいくらだ?

部活動の塊であるカルチェラタンっていう部室棟を直すことに
そりゃあ埃には昔の思い出が詰まっているよね~

投稿 : 2016/08/25
閲覧 : 244
サンキュー:

2

ネタバレ

Lovin さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観たい

観たい感じ

 観たいと思ったのはここ1~2日のこと。この暑さで色々とやる気をなくしていたところ、「映画って本当に●●ですね」で締め、MI6エージェントの話の邦題を「危機一発」と命名し、米国保安官の資格を持つ、あのチョビ髭がやっていた番組で2週連続ジブリ放送と告知され、ファンタジー色の無いものなら観たいと考えた。
 真面目に観るため前もって色々準備したつもりだったが、敢えなく所用が発生して七割程度しか観る事は出来なかった。しかし真面目に観ようとした意気込みを抑えるのは勿体無いと感じる内容だと感じた。
 先ず「青春ラブストーリー」的な触れ込みだったと思うが、そう感じなかったこと。次に単純な恋愛話ではなく、もっと深いところに根ざす伏線があったこと。最期に尺の問題でカットされていたかもしれないこと。「幸せの黄色いハンカチ」みたいな終り方だったが、本当にそうなのか疑問に思ったのでもう一度ノーカットで観たいと感じた。

投稿 : 2016/08/13
閲覧 : 258
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17

ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ボランティーア

舞台は一昔前の横浜。

主人公は高校生の海(メル)。妹の空、弟の陸と3人兄弟。父は戦争で既に死亡している。
家は下宿を兼ねていて、家族以外にも同居人がおり、仕事の忙しい母に代わり実質海が切り盛りしている状態である。責任ある立場にあるからか、高校生にも関わらず海はどこか大人びている。

今作は、海の恋と学生運動の二つを主軸として物語が進んでいく。

学校で一つ上の先輩である風間俊と出会い、新聞作成を手伝うことがきっかけで交流を深め、次第に恋心へと発展していく。しかし、過去の写真から二人が兄妹であるという疑念が沸き、一転してギクシャクしてしまう。
ラストにその誤解は解けるが、母の前でいままで溜め込んでたものが決壊して海が泣く場面はいつも貰い泣きしてしまう。

一方、学校ではカルチェラタン(文化部の会館みたいなもの??)の存続が議論されていたが、海の提案で大掃除を始め、最終的には理事長への直談判を経て、何とか存続を勝ち取るという結果に。

その他、ジブリは全部そうだけど、背景・美術のクオリティが非常に高い。昔の日本の港町の風景が実に爽やかに描かれており、画面越しに潮風を感じられそうな程である。

また、フライを揚げる音、包丁の音、ドアを閉じる音等、効果音もリアリティが追求されていて、グッと世界観に引き込まれる。BGMも雰囲気にマッチしていていちいちハイセンスである。綺麗な町並みに「上を向いて歩こう」がとても沁みた。

下宿人やカルチェラタンの住人等、魅力的なキャラクターも多く登場するが、特筆すべきはやはり水沼先輩だろう。インテリイケメンで、生徒会長でありながら、さりげなく女子の肩に手を回し、歌も上手く、空気も読めるという高スペック少年だった。

以上のように全ての項目できめ細かな作品作りがされており、最後まで飽きることなく観ることができた。観たあとには楽しさと切なさと爽やかさが残る。

名言も突き刺さった。
「古くなったから壊すと言うなら、君達の頭こそ打ち砕け!
古いものを壊すことは過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか?
人が生きて死んでいった記憶をないがしろにするということじゃないのか?
新しいものばかりに飛びついて歴史を顧みない君達に未来などあるか!
少数者の意見を聞こうとしない君達に民主主義を語る資格はない!!」by風間俊

ただし、ハッピーエンドな感じだけれど、戸籍上兄妹なのだとしたら結婚したりするのにはまずいのではないかと思うので、後から変更出来るものなのかとひとつ疑問に思った。

投稿 : 2015/08/16
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4

ネタバレ

赤ずきんちゃん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

これわやばいぞーーい

ストーリーも、歌もジブリっぽくて、いいお話だなーと思った。
うたは、オルゴールを聴いているような落ち着く歌です。
一度見てほしい青春ラブストーリーです。

投稿 : 2014/11/11
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9

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無毒蠍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

「上を向いて歩こう」見えてくるのは澄み渡った空と君がくれた信号旗…

初めて宮崎吾朗監督の作品を観ましたが思ってたよりはよく出来ていたという印象。
まぁ原作の存在する作品なので純粋に監督業に専念することが出来たのかもしれませんね。
脚本を父親である宮崎駿氏が担当し原作内容に手を加え映画オリジナルの設定もいくつかあります。
でもいつか宮崎駿監督のように原作から手掛けて名作を生み出してほしいと思います。

この「コクリコ坂から」という作品は簡単に説明すると
戦後の少女と少年の淡い恋心を描いた純愛物語です。
昭和版「耳をすませば」とでも言いましょうか。

物語は松崎海という少女と風間俊という少年の関係性をメインに描写していきます。
海はすごく可愛らしい女の子。コクリコはフランス語で「ヒナゲシ」を意味するのですが
ヒナゲシの花言葉の中に「乙女らしさ」というのがあります。
海はまさにそんな感じで買い物から食事の準備に掃除洗濯までやり、
今風で言えば女子力の高い乙女というやつです。
何でジブリの女の子ってこんなに男受けしそうな子ばかりなのか(笑)
カレーのお肉がなくて弟と妹に買い物を頼んでみるけど断られたら、
そそくさと自分で買い物に行くところとかも好印象、しつこくないw
なんかメルってあだ名で呼ばれてたけど作中で詳しい説明とかはありません。
海をフランス語に訳した「ラ・メール」からきてるらしいです。

風間俊は部室棟取り壊しに強く抗議するメンバーの一人
同じく抗議メンバーで生徒会長でもある水沼と仲が良く、
この二人が率先して行動することが多い。

上記の二人は抗議活動を経てお互い惹かれあいますが
実は生き別れになった兄妹だったことが判明し苦悩します。
俊がこの事実に最初気がつき海に伝えますが
その時「やすいメロドラマみたいだろ」って言うんですよね。
正直、僕は「たしかに…」と思ってしまいました。
まぁ当事者ですら思ったことだし許してくださいな。
でも昭和38年の人物が「やすいメロドラマ」という言い回しを使うのは変な感じ。

「古くなったから壊すと言うなら、
君達の頭こそ打ち砕け!
古いものを壊すことは
過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか?
人が生きて死んでいった記憶を
ないがしろにするということじゃないのか?
新しいものばかりに飛びついて
歴史を顧みない君達に未来などあるか!
少数者の意見を聞こうとしない君達に
民主主義を語る資格はない!!」

上のセリフは集会で風間くんが言った口上ですが
風間くんの名言だと思います。
先人たちがつくりあげてきた思想や伝統を
重んじてる風間くんの気持ちがこもったセリフだよね。

この作品は終始淡々としてる印象が強いので
人によっては退屈とバッサリ切り捨てるでしょう。
特に序盤から中盤はその傾向が強いと思います。
初めて海が部室棟を訪れたときに文化部の生徒が多数登場しますが
シーン的にはガヤガヤ喋ってて盛り上がってる風にはなってるんですが
実際は盛り上がってなく淡々としてるんです。
なんかキャラクターの一人芝居を見せられてる印象で
好き勝手やってるので喋ってる内容がスッと入ってきません。
序盤ということもあって世界観を把握してもいなかったので
若干置いてきぼりでした。
終盤も盛り上がりのようなものはありませんが
クライマックスに向けてこの作品らしい動き方をしてるので
結構良かったと思います。

終盤で海が風間に想いを伝えるシーンは良かった。

「わたし、わたしね…わたしが毎日毎日旗をあげて
お父さんを呼んでいたから
お父さんが自分の代わりに風間さんをおくってくれたんだと思うことにしたの」

「わたし…風間さんが好き!」

「血がつながっていても…例え兄妹でも…ずーっと好き…」

この告白シーンは風間視点でのカットになり、
海が自分より少しだけ背の高い風間を見上げながら
想いを伝えるシーンなんですよね。
挿入歌に「上を向いて歩こう」が使用されており、
まさに上を向いて風間の目を見てしっかり告白できた名シーンではないでしょうか。
ちなみに物語の舞台の1963年は「上を向いて歩こう」が日本をはじめ海外でもヒットし、
一大ムーブメントを巻き起こしていた時代でもあります。

そして最後の5分で語られる真実…
海と風間くんは兄妹ではありませんでした。
澤村、小野寺、立花という親友同士の男たちがいて、
海は澤村の子供です、風間俊は立花の子供らしいです。
唯一生きている小野寺から語られました。
ここからが少しややこしいのですが立花の死を切欠に
当時赤ん坊だった風間俊を海の父親である澤村が引き取り、
後に親交のあった風間家に手渡されたというお話です。
つまり血のつながりは全くない…素直に受け止めればそうなりますが
実際どうだったのか、本当のところは?という疑問がなくもありません。
というのも風間俊はどちらかというと立花よりも澤村に似てるような気がするんですよね。
海も澤村に似てることを認めるシーンがあります、しかもその後号泣。
海が何を想って泣いたのか考察してみても面白いかもしれません。
プラスな考え方もできるけどマイナスな考え方も出来てしまう作品でした。
しかし視聴後は清涼感のあるさっぱりした気持ちになれ後味は良いです。

海は亡くなった父親のために毎朝旗をあげ続けていましたが、
信号旗というのは専門知識なしではさっぱりな設定ですよね。
ちなみに海があげていた信号旗の意味は「航海の安全を祈る」です。
それに対して風間くんは信号旗で「ありがとう」と返事をしていたわけです。
おそらく風間くんが海に興味をもったのは信号旗が切欠。
海があげていた旗を父親の船の上から風間くんは見上げていたわけです。
今まで父親のために旗をあげていた海ですが
最後の旗は風間くんにあげたものだと思います。

「上を向いて歩こう」
幸せは雲の上に…
幸せは空の上に…
見えてくるのは澄み渡った空と君がくれた信号旗…

【B+78点】

投稿 : 2014/04/14
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さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

メルちゃんお嫁に欲しい

作業のBGM的な感じに観ました。
なので細かいところはよくわからないです。

とにかく雰囲気がいい映画だなぁと思いました。
あの時代、個人的に好きなのでそれだけでも楽しめました。
特に主人公たちが通う高校の文化部部室棟、カルチェラタン!あの雰囲気は最高です...!
音楽もいい。たまに、そこでその音楽はちょっと合わないような気がすると感じたり、使い回しが気になりましたが、音楽自体はとても良かったです。
キャラクターもいいですね。よく観てなかったのであれですが、メル、松崎、水沼などの主要キャラ以外の脇役のキャラクターまでいい感じだった気がします。
なんとなく耳をすませばを思い出しました。
ただ、ストーリーが少し分かりにくいところがあったような気がします。(ながら観の自分が言えたことじゃないですが)

個人的に1番ときめいたことは水沼の声が風間さん(遊戯)だったことです。

投稿 : 2014/02/25
閲覧 : 329
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paris2012 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

涼宮ハルヒのミクルの冒険映画を思い出した。

【良い点】
美術。

【悪い点】
見て30秒でわかる、「これは素人が演出してるな」感。
キャラクターの演技がひどい。表情がひどい。もうみてられない。主人公がクスッと笑う一秒のシーンですら、とてつもなく下手。
好感度ゼロのキャラたち。
作画がのっぺり薄い。奥行き感がなく、紙芝居のような二次元で醜い。
音楽の入れ方がひどい。最初のシーンからうるさい、うるさい。
これに加え、ストーリーがとてつもなく退屈。

【総合評価】
ゲド戦記ほどひどくないという評判を聞いていたが、ここまでひどいとは思わなかった。ふつう自分が、とても悪いというような評価をつけるアニメでも、プロが作るある一定のレベルというのはクリアしているものだが、これは素人以下。この監督経験不足とかでなく本当に才能がないんだろうな。同じ時代を描いたマイマイ新子と比べてほしい。なぜこれがマイマイ新子の100倍もお金を稼ぐのか?世の中は不条理。とにかく、とてつもなく退屈なストーリーをとてつもなく下手な演出で美しい美術をバックに描いた映画。

何かに似ていると思ったら、涼宮ハルヒのミクルの冒険映画を思い出した。素人が映画を撮ったときにやる演出をこの監督は本当にやる。まず最初のシーンから、下宿が画面に映り、そこにパンアップして、なんとその下宿にカメラがズームインする。いかにも「これからのお話はこの下宿が中心ですよー」と説明するように。その直後下宿がまた映り、なんとハルヒ監督が好きだったパンアップをまたやって空を映して映画の題名がトバッとでる。このセンスのなさはなんだろう。そしてこの後、また下宿がうつり、主人公の部屋の窓にカメラがまたズームインする。「だからー、この映画の主人公はここに住んでるんですってば」と説明するように。そしてその後ダメ映画の定番である、主人公が朝起きるところからはじめるというのをやるのだが、その起き方を描く動画がとてもぎこちない。こういう感じで全映画が永遠に進んでいく。

しかし何が驚いたかといって、この映画がけっこう好評価をうけてること。超映画評などでは酷評されてるが、好きな人も多い。そういう意味で、つくりは下手でもそういうのを気にしない人はかなり多いというのを見抜いた鈴木プロデューサーには敬服する。

最悪。

投稿 : 2013/11/29
閲覧 : 225
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4

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水音 秋 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

歌が素晴らしい

手嶌さんの歌声がよく合っている作品です。
ゲド戦記よりは好きですね

投稿 : 2013/11/04
閲覧 : 276
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1

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イブ夜 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

??

最後まで何がしたいのかわからない作品でした。

投稿 : 2013/10/26
閲覧 : 257
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1

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yuala さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

よくある落ちに逃げたとしか思えないアニメ。

気合入れて観ていなかったのですが、ラストの方だけ少し…。
二人が本当の兄妹だったのでは…?と言う展開になった時どうなるのかなぁ…と思いました。
私は、二人が兄妹ということが勘違いではなく事実だったらどうするのか!?どう収集をジブリアニメではつけるのか、観たかったです。
なのに、勘違いだった…て言うのは、非常に残念なオチだと思いました。
ジブリで観たかったです。本当の兄と妹の恋愛を…!

投稿 : 2013/10/25
閲覧 : 273
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4

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wjk_anima さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

旧き良き日本の息吹きを感じる作品!経年劣化故の風合が堪らない木造建物の造形美★しずる感のオンパレード

1963年の旧き良き日本の時代背景を元に物語が展開されている。

やはり、その時代の風土なのでしょうか…木造建物や乗り物から滲み出ているレトロモダンな雰囲気が堪らない作品です!

ハッキリ云って、物語云々よりも、レトロヴィンテージなテイストを表現している町並みや建物の方にばっかり見取れてしまっていた為、学生同士の色恋沙汰の様な部分を表現されていた事は、ほとんど入って来ません。

あくまでも、1963年の時代背景を再現している建物,乗り物,風土,音楽,などレトロモダンな按排に限り…超絶最高に萌えました!


2011年7月中旬,東宝系にて公開作品!『ゲド戦記』に続く宮崎吾朗監督作品の第2作との事。



【あらすじ】

乗った船が遭難し、行方不明となった船乗りの父と、仕事のためにアメリカに渡ったカメラマンの母を持つ小松崎海は、母の留守中、小松崎家を懸命に切り盛りしていた。

そのころ、海たちが通う港南学園では、新聞部部長の風間俊と生徒会長の水沼史郎が起こす騒動によって、生徒と教師が翻弄されていた。突如として新聞部によって発表される「ミスター・ミス港南」、物理法則をめぐる風間と水沼の賭け、制服廃止運動をめぐる風間と水沼の対立…。こうした一連の騒動を海は冷ややかに見つめていたが、制服廃止運動の敗北の責任を風間が一身に負わされるのを見て、いつしか海は風間を擁護する声を上げるようになる。風間もまたひたむきな海にひかれ、2人は交際を始める。

しかし、ある日、水沼は風間に海と交際しないよう忠告する。水沼が海の母・小松崎虹江の仕事を手伝った際、偶然、海と風間の父親が同一人物であり、2人が異母兄妹であることを知ってしまったのである。水沼からそのことを聞かされた風間は海を傷つけないよう、父親のことを隠して海に別れを告げるが、それでも海のショックは大きく、やけになって不良の広瀬真と交際を始める。広瀬の本性を知る風間は海を放っておけず、広瀬の毒牙にかかりそうになっている海を助けるが、父親のことは話せなかった。広瀬の魔の手から助けられた帰り道、海は偶然、祖父の小松崎島太郎から海と風間の父親が同一人物だと聞かされ、翌日、風間にことの真偽を確かめる。その際の海と風間のやりとりが広瀬の女友達に聞かれてしまったことで、海と風間が異母兄妹であるという噂が学校内で広まってしまい、海は精神的に追い詰められる。海はつらい現実から逃避するかのように旅支度を始め、娘の様子を見かねた虹江はことの真相を海に話し始めた。果たして海と風間の父親は同一人物なのか?

投稿 : 2013/09/23
閲覧 : 285
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15

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ちゃいにーず☆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

むずかしい、、、

映画館でみたんだけど、少し難しかったなぁ〜
二三回みないとわかんないかもw

投稿 : 2013/04/24
閲覧 : 301
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3

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kain さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ジブリは良い二代目を持ったな

俺やっぱり ジブリは宮崎駿監督よりも宮崎吾朗監督の方が好きだわ!

話はベタの極地だと思って見ていたけれど、
何でも突き詰めると心を揺さぶるものだね。
 
出番の少ない 大人達が好い味を出しています。

主役の学生達も 「うる星」みたいな雰囲気が好いですね。

歌も良いのだけれど、それよりもBGMに感激した。
曲のかかりだしに気づかないほど、丁度良い場面にピッタリのBGMがかかる。
その曲の どれもが好い!

作画も派手さこそありませんが、高度成長期直前の雑とした世界観が自然に描かれていて、
これから力をつけていく時代の息吹を感じる絵でした。

映画の短い時間の中で、よく纏まっていたし、
スピード感は無いですが、バランスが良い作品。
 こういうの好いです。

 宮崎吾朗監督の次回作も楽しみにしています!!

投稿 : 2013/01/14
閲覧 : 333
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5

ネタバレ

ぞぞしぃ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:----

個人的星評価3.0 ★★★

なんだかバカな僕にはよくわからない映画でした
とりあえず兄弟じゃなくてよかったね!

投稿 : 2013/01/12
閲覧 : 228
サンキュー:

1

ネタバレ

dirtclay さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

自分は好きだ!

ありがちな部分は確かにあるかもしれない。でもそれでも好きだ!

投稿 : 2012/12/09
閲覧 : 265
サンキュー:

3

ネタバレ

ぽぽたん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 1.0 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

残念・・・。

まず、声優陣。
ジプリは、そこまで俳優・女優を声優に起用するのか?
背景には大人の事情があるかも知れないが、作品の評価を下げるだけ。

次に・・・
本作のストーリーは内容が薄すぎる!!
盛上がりに欠け、たんたんと終わる。
中盤までは何の作品なのか全くわからない内容だ。
盛上がるだけが全てではないが、印象に残らない作品となった。非常に残念だ。

当時の時代背景を90分も観るだけにすぎない。

投稿 : 2012/10/04
閲覧 : 305
サンキュー:

11

ネタバレ

南のエデン さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

呼吸するように見れるいい作品!

ほのぼのとした日々から恋が芽生えていく感じがいいw
また芽生えた恋がはかなくも兄妹だったとわかった時の絶望感::
だけど思いは忘れたくないと抗う二人の心が良く理解できた
作品でした。
見せ場は最後の方で、うみのお母さん登場で一気に好転ww
母親から事情を聴いた、うみの安堵か、まだ不安の涙にこっちまでもらい泣きされた::
最後は二人で事の真相究明にもうダッシュw
おもわずよっかたね^^と言いたくなった。

投稿 : 2012/09/26
閲覧 : 271
サンキュー:

7

ネタバレ

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「上を向いて歩こう」から吟味する「コクリコ坂から」

このサイトのレビューを見てる感じ、賛否両論って言ったところだろうか。あえて名前を挙げさせて頂くが、「けみかけ」さんと「大和撫子」さんのレビューがこの作品の良い点と悪い点を全て見事に説明していると思う。

その両論を考慮した上で、私はこの作品は素晴らしいの一言に限ると断言したいところだ。

この作品はキャラクターの詳細な心境なるものを描いていない。それを悪い点だと考えるのもありだと思うが、多分それは間違っている。
心境や、分岐点は今作品上では重要要素ではないと断言しておくべきだろう。

つまり、それを求める視聴者には今作品は不満足かもしれないし、見るべきではないかもしれない。




端的に説明しよう。この作品は1960年当時の時代背景と「上を向いて歩こう」という曲を知っているか否かで全てが決まる。



ところで、皆さんは坂本九が歌った「上を向いて歩こう」のことをどれだけ知っているだろうか?


まず、坂本九さんがこの曲を歌うところを必ず見て貰いたい。
歌詞は悲しくて寂しい内容なのに、メロディーは懐かしさを帯びていて、坂本九さんはこの曲を満面の笑みで歌う。

このギャップはちゃんとした理由がある。

この曲を作詞した永六輔は1950年代後半、安保反対闘争に積極的に参加していた。彼はインタビューの中で、安保反対闘争は私の人生の使命だとも発言していた。しかし、皆さんご存知の通り、安保反対闘争のおけるデモ隊と機動隊の衝突の中で女子大学生が命を落とした。また、さらに10月、六輔が慕っていた政治家がTVやラジオの生中継が入った演説会の壇上で、右翼少年に公衆の面前で刺殺されるという衝撃も起こる。

人気番組の構成台本の仕事を何の迷いもなく降板してまで、この運動と行進に参加することを自らの使命と感じていた六輔にとって、それは大きな挫折感以外の何ものでもなかった。
世の中は夢や理想から、現実の利益追求へと転向を余儀なくさせる。

六輔は自らの「胸の内」を託すかのように、翌年の春に「上を向いて歩こう」の詞作に取りかかる。


その歌詞に作曲を手掛けたのが中村八大だ。彼は1958年に行った初リサイタルの失敗や莫大な借金、作曲家としてのスランプ状態といった負の現実から逃げるように、当時、薬物中毒に陥っていた。
ある日、録音スタジオがあるビルの窓際で自殺さえ考えたと上述している。

しかし、
「私には音楽がある。幼い時からの夢がある。人生は楽しいはずだ。その素晴らしい人生にもう一度戻るために、もう一度苦労すべきだ」

と、考えた彼は永六輔の歌詞を見て、独特な歌い方から興味を持っていた坂本九という人物が歌い手になることを想定とした「上を向いて歩こう」のメロディー作りに取り掛かった。


そして、坂本九と言えば、その当時アイドルとしての過密スケジュールのせいもあり、『第3回中村八大リサイタル』当日になって初めて、「上を向いて歩こう」の楽譜をマネジャーの曲直瀬信子から渡される。

「あの曲を貰った時はどうしようかって思った。だってメロディに対して恐ろしく歌詞が少ない。最初間違いかと思ったくらい……で、いろいろ考えてああいう歌い方をしたんです。八大さんは僕ならプレスリーみたいに歌うだろうと思っていたらしいから」


ロックンロールを聴き育った最初の世代で、人の心の痛みが分かる優しい性格の持ち主でもあった九には、八大の求めているものがその身についた感性ですぐに見抜けた。

だからこそあの独特の歌い方で、一人の作曲家の決意と、一人の作詞家の挫折が結実した「上を向いて歩こう」を、大舞台で満面の笑みで歌うことを決めた。
それは悲しみの先に現れた、「希望」という未来への祈りにもつながった。

「もう『上を向いて歩こう』は僕だけの歌じゃない。世界中の人の歌なんだ。生意気なこと言うみたいだけど、『上を向いて歩こう』って世界中の人への素晴らしいメッセージだと思いませんか?僕はそのメッセンジャーボーイになれただけでも光栄です」


これを機に、「上を向いて歩こう」はスキヤキとなって日本の曲で始めて米国の音楽ランキングNo.1を取る快挙を成し遂げた。
それは外国人に日本の音楽センスの高さを揺ぎ無いものにし、アメリカで強制収容を体験した日系人を奮い立たせるものだった。

坂本九はその後アメリカに招待され、日本人が持つアメリカ人に対する嫌悪感を軽減する役割にもなった。それは東京オリンピックを前にしてとてつもない効果を発揮し、日本という国の位置づけを世界に知らしめるトリガーになったと言っても良い。

「上を向いて歩こう」無しにして現代の日本はない、なんて大それたことは言えない。でも、日本とアメリカと世界の境界線を限りなく薄くする役割を果たしたことは確かだ。


そんな戦後の苦しみと悲しみ(学生運動も勿論含む)を歌詞にぶつけ、その曲を満面の笑みで希望と共に歌う。

これが全てだ。これが「上を向いて歩こう」という曲であり、「コクリコ坂から」という作品だ。

苦しみも、悲しみも、憎悪も希望に変えていける。今、こんな言葉を発せれば頭のおかしい奴か?と思われるかもしれない。しかし、1960年にその奇跡は実際に起こり、「コクリコ坂から」はその奇跡をもう一度引き起こそうというメッセージそのものに違いないのではないだろうか。

それを、1960年当時の風景と、悲しみから希望へと変化する物語を通して伝えたかったのではないだろうか?

投稿 : 2012/09/09
閲覧 : 394
サンキュー:

19

ネタバレ

aokabi さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

つまらなくは無いが、大して面白くもない

宮崎吾朗の二作目というわけで、あのゲド戦記から少しは成長したかもしれない。
だから話の流れも悪くなかったし、キャラの棒読みは近年のジブリの中ではマシだったし、さすがジブリと言えるだけの背景・美術は素晴らしい物があったし、メルも可愛いし、出てくるキャラもそこまで悪いもんでもないと感じた。

ただ、死ぬほど退屈なのは何も成長していない。
盛り上がる部分が全然無いのは見てて辛い物があった。

話の〆だけはしっかりして、王道とも言える良いエンディングを迎えたので、一瞬良いアニメだと騙されそうになりましたが、全体を振り返ると酷い退屈な物かなと。
皮肉な事にこんなのでも近年のジブリの中ではマシという…。

投稿 : 2012/07/13
閲覧 : 260
サンキュー:

2

ネタバレ

che さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

スキヤキ

五朗ちゃん、ホンマやってくれなはるわw
いやいや、面白かったですホント!

物語

特にユニークな物語でもないと思います、さほどのひねりもないし、解りやすい物語だったと思います。
まあ、ジブリは目新しい物語や、ややこしい展開なんかに、しなくても面白いアニメ作れるから、いつも通りの解りやすいストーリーが一番いいと思いますw

声優

主人公の「海」を長澤まさみがしてます、良かったですw
そんくらい?w
ほかの声優もいつも通りよかったですw

キャラ

話が、現実的なだけに特にユニークなキャラはいなかったけど、ジブリらしい主人公とヒロインで好感もてましたねw
ジブリのキャラは多弁じゃないところが好きです、言葉やセリフで説明しないところが好き。
とくに「海」は可愛かったな~w
凛とした性格の海が母親の胸で泣くシーンはぐっときましたね!

作画

いつも通り綺麗でしたw
今回は、なんだろ?アリエッティとかより手書きチックと言ったらいいのかな?
ラインにも丸みがあって温かみがある作画だった気がします。

音楽

音楽が今回は今までのジブリと違ってました!
今作は音楽にかなり力を入れてる作りになってました。
音楽メインは言い過ぎだけど、それぐらい音楽を前に出してきたのはこの作品がジブリでは初めてじゃないでしょか?
音楽も、どれもとても良かったし、音楽を前にだしたこの構成はすごく好みでした!

全体的に見て、
ストーリーも綺麗に纏まっていてすごく気持ちよかったし、
舞台となってる横浜の町も子供が思い描くような、楽しい作りで、みてて楽しかった、モダンな文化と古くからの日本が入り混じった横浜って街の過渡期的な時代ってのが、建物やインテリアからすごくよくわかったし、それがとても良かったです。
何時ものことですけど、ジブリの美術はやっぱり凄いですw
どの作品見てもすごい!安定して凄いww

この作品の時代はとても良かったんでしょうね~w
とても楽しそうです、まあもちろん苦労だってあったんでしょうけど、それでも楽しそうな時代だと思います、僕には今の時代より合ってそうな気がしますw
海が買い物してたようなコロッケ揚げてる、目方売りの肉屋なんてもう大阪市内にはほとんどないですよ、寂しいもんです、肉屋のコロッケって美味いんだよねw

あと、講堂での論争で風間くんが言ったて言葉は、メッセージ性が強くて良かったと思いますw
掻い摘んで言えば「温故知新」的な事と、周りに流されず自分って物を持てって感じだったと思いますw
最近の若者へのメッセージなんでしょうね、きっと。

タイトルは作品で流れてた坂本九の「上を向いて歩こう」は外国でスキヤキって名前で呼ばれてたから。
「上を向いて歩こう」=スキヤキ

こんな人にオススメ

ジブリの人
おっさんの人
モダンの人
学徒の人
海の人
横浜の人
それでも好きな人

投稿 : 2012/07/01
閲覧 : 365
サンキュー:

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コクリコ坂からのストーリー・あらすじ

船が遭難し、行方不明となった船乗りの父と、仕事のためにアメリカに渡ったカメラマンの母を持つ小松崎海は、母の留守中、小松崎家を懸命に切り盛りしていた。そのころ、海たちが通う港南学園では、新聞部部長の風間俊と生徒会長の水沼が起こす騒動によって、生徒と教師が翻弄されていた。突如として新聞部によって発表される「ミスター・ミス港南」、物理法則をめぐる風間と水沼の賭け、制服廃止運動をめぐる風間と水沼の対立…。こうした一連の騒動を海は冷ややかに見つめていたが、制服廃止運動の敗北の責任を風間が一身に負わされるのを見て、いつしか海は風間を擁護する声を上げるようになる。(アニメ映画『コクリコ坂から』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2011年7月16日
制作会社
スタジオジブリ
主題歌
≪ED≫手嶌葵『さよならの夏~コクリコの坂から~』
挿入歌
坂本九『上を向いて歩こう』

声優・キャラクター

長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之

スタッフ

原作:高橋千鶴/佐山哲郎(角川書店刊)、 監督:宮崎吾朗、脚本:宮崎駿/丹羽圭子、プロデューサー:鈴木敏夫、音楽:武部聡志

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