剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
青春とは、ある種の痛みを内包する眩しく愛おしい日々である
[文量→大盛り・内容→雑談系]
【総括】
議論の必要のない名作。いわゆる、「泣けるアニメ」。
評価が☆が5ではないのは、素直になれない私の個人的な歪みが原因でして(苦笑)、作品自体のクオリティは非常に高いと思います。
原作を持たないアニオリ作品、しかも深夜アニメで、ここまで広く一般人(アニオタではない人々や学生、芸能人など)に好意的に受け入れられ、社会的な「祭り」になった作品としては、近年では本作がそのハシリじゃないかとも思います。
さっき、レオンさんの素敵なレビューを読み、自分も昔書いた雑なレビューを書き直したくなりました、、、が、案の定、アニメの中身とあまり関係なくなりました(汗) まあ、私の場合、いつも通りですが(自爆)w
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
このアニメを観て大人が泣きたくなるのは、メンマが死んで悲しいからだけじゃなく、そこに青春時代の自分、あるいは、青春時代に出来なかった自分を投影させているからじゃないだろうか。
青春を回顧するとき、眩しくて、愛おしくて、時々、痛い。
その痛さとは、その時にそうできなかった後悔だったり、その時とはかけ離れてしまった今の自分と比較してみたり、戻りたくてももう戻れないことを痛切に感じてしまうからだと思う。
思うに、岡田磨理さんの脚本は、いつもそんなところを突いてくる。真っ直ぐに、自分の隠してきた何かを表層に浮かび上がらせる。
それがまた、秩父の美しい自然とマッチして、子供の頃の元風景としてよみがえってくるのだから、そりゃあ泣くわな、と思った(多分、高校生くらいまでは単純に、メンマが死んで悲しいとか、それを思うジンタン達の心情を慮って泣いていて、大人とは違う涙な気がします)。
レオンさんのレビューにもあったが、幼馴染みは、「昔の自分を知っている」という点において特別だ。この場合特に、「自分が相手を知っている」以上に、「相手が知っている」ことが大きい。
私が大学生になった時に思ったのは、「なんて自分を偽るのは簡単なんだろう」ということだ。田舎から東京に出た私には、それまでの知人なんて1人もおらず、過去を改変するなんてお茶のこさいさいだった。それは、自分が大人になったこともあるし、小中学生の頃とは人付き合いの濃さが格段に薄くなったからだと思う。
大人になると多分、人付き合いにおいて大なり小なりウソをつくようになると思う。少なくとも、つこうと思えばウソを貫けるようにはなる。それは、「社会性」という点では逆に必要な能力だし、だからこそ、飾らない自分を見せられる親友や恋人、家族の有り難みを痛感できるようになる。
ところが、子供の頃の自分は、このウソがつけない。ついていないというより、ヘタクソだからウソをつききれていない。四六時中一緒にいて、行事なんかではぶつかり、幼い嫉妬や劣等感、優越感の中で生きる濃密な子供時代において、自分を良く魅せ続けることは難しい。
一言で言うと、ダサいのだ、ガキの頃の自分は。
だが、それが良い。そんなダメダメな自分を、自分だと認識してくれている人といられるのは心地が良い。
本作の主人公達、「超平和バスターズ」の面々も、一様にダサい(まずネーミングからしてw)。そして、そのダサさを「無かったことにして」大人になろうとしていていたけれど、メンマがそれを、白日のもとに晒してしまう。だからこそ、きちんと向き合い、受け入れ、前進できた。
大人なら多分、みんなそうだと思うけど、何歳になろうが、実のところ実際は内面なんか成長しておらず、心の中にはガキの頃の自分が普通にそのままいる。大人が大人に見えるのは、その隠し方が上手くなっているだけ。
大人になって、時々、地元の同級生と飲むと、それが良く分かる。なんせ、あのダサダサだった自分を知っている奴らだ。今さら格好つける意味なんてない。「別にコイツらに好かれなくても良いや」と、お互いに下心なく雑な感じで付き合っているのが、、、たまらなく心地好い時がある。
このアニメを観る感覚は、それに近い。子供の頃の、ダメダメで、剥き出しで、でも真っ直ぐだった自分と、再び出逢う感覚。それが、本作を名作にしているのだと感じる。
自分、一応30代中、、、そろそろ後半なのだがw、最近、年のせいか夜中の変な時間に起きるようになった(笑) 実はこのレビューも、夜中3時に起きて、レオンさんのレビューを読み、感動し、変なテンションで書いている。今は午前4時半だ(笑)
私ももう大人なので、今日の仕事のためにそろそろちゃんと寝るが、たまにはジンタン達のように、何にもならないかもしれないロケットを打ち上げるような、無意味なことに無謀に一生懸命になってみたい。なんならこのまま寝ずにアニメ観て仕事に行ってやろうか?という無謀で魅力的な提案が頭をかすめるが、きっと15時くらいに後悔するからやめておく。
「見る前に跳べ」という大江健三郎の言葉は名言だったな。でも、お休みなさい(笑)
{/netabare}
【余談~旧レビュー~】
{netabare}
あにこれ参戦初期に書いてたダメレビューですが、まあ、それも自分ということで、残しておきましょう。「あの花」の主題も、「過去から逃げない」ですし(笑)
レビュータイトル「この名作で泣けないのは、私の心が貧しいからなのかもしれない」
1期という短さで、と条件をつければ、この作品ほど綺麗にまとめているアニメはないと思う。ただ、2期やってくれていれば、サブキャラの心情もより深められたし、それぞれの心の闇や、それを解決して行くまでの過程を更に深く描けたと思う。
じゅうぶんに名作なのだが、だからこそ、悔しさが残る作品。secretbaseは確かに良い曲で、「ZONEはこのアニメのために書いたのか」と言いたくなる程、作品に合っている。だからこそ、思春期ど真ん中にリアルタイムでsecretbaseを聴いていた世代としては、ビミョーな違和感を感じてしまった。約10年、あの花とは関係なく聴いてきたから、脳内での変換が追い付かなかった。非常に悔しい。
あと、「泣け~~!」とくると、逆に泣けなくなる、天の邪鬼な性格も少し邪魔をしました(苦笑)
という事で、評価を5にできないのには、個人的要素が大きいので、作品としては間違いなく、素晴らしいと思います。
{/netabare}