レオン博士 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
10年後の8月また出会えるのを信じて
※初期に書いたレビューを手直ししました。
作品のEDは名曲 secret base 〜君がくれたもの〜ですが、
まるでこの作品のために作られたのか?と思ってしまうくらいぴったりな主題歌ですね。すごくいい曲でお気に入りです。
最初に言います。この作品は最高だ。
けど、それは泣けたから最高というわけではないです。
ちょっと長文になりますが、ネタバレはなしでどういうところが
良かったのかを抽象的に書きます。
子どもの頃の思い出って、ほとんどの大人にとって特別な記憶ですよね。
みんなで毎日ワイワイ騒いで、やりすぎて大人に怒られて、毎日楽しいのが当たり前。
楽しい時間の終わりを告げる「沈む夕日」を恨めしく眺めながら家に帰る
「明日は何して遊ぶ?」
その言葉に一生分のわくわくが込められてて、すべてがキラキラした美しい思い出。
この大好きな仲間たちが大人になっても死ぬまできっと仲良しの親友のままなんだろうなってぼんやり思っていたり。
でも、楽しい時間は永遠には続かない。
私が最初にそれに気づいたのは、中学になって違う部活になったり、高校になって別の学校になったりしてそれまで仲良かった友達とどんどん疎遠になっていったことでした。
一緒にいる時間が減ると急に疎遠になってしまうのが寂しくて。
高校生になって、大学生になって新しい友達や知り合いが増える一方で、子どものころの友達はどんどん疎遠になっていく。
新しくできた友達といるのはもちろん楽しいけれど、新しい友達は子どもの頃の私を知らない。
「子どもの頃の私を知っている」
幼馴染というものに特別な感情を抱くのは、これが大きいのではないでしょうか?
大人になってから子どもの頃の思い出を振り返ると、
友達と騒いだ楽しい思い出ばかりが思い浮かびます。
でも楽しかったことばっかりじゃないのが人生だ。
子どもであるがゆえに無神経に言ってしまった酷い言葉、大親友と喧嘩したこと、好きな人と話がしたいのについ興味ないふりしてしまったこと、
後悔。
大人になった私にとって子供の頃の失敗なんてもう実害なんてないはずなのに、子供の頃の後悔って、すごく心に残るんですよね。
あのときああしていれば良かったなー
あんなこと言わなきゃ良かった・・・
きっとそんな苦い思い出が、ずっとのどに引っかかって取れない魚の骨のような心の痛みが、自分が選ばなかった未来に憧れる気持ちが、誰にでもあるのではないでしょうか?
長々と書きましたが、そういった子供の頃の楽しかった思い出と、こうしておけばよかったっていう後悔、本当は昔みたいに仲良くしたいのに、本当はありがとうって伝えたいのに、少年期に置き去りにした想い、そういったものへの向き合い方をテーマにした作品なのです。
あの時、ああすれば良かったという、あなた自身の後悔。
その後悔と向き合う彼らの姿を見て、何かを感じ取れたなら、
きっとこれはあなたにとって最高の作品になるでしょう。