セシウス さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 1.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
昭和の快作。ネタの宝庫
プロ野球入り直前に挫折し失意の日々をおくっていた元名投手が、四国の田舎に招かれて少年たちに野球を教える話です。しかし野球のシーンはあまり多くなく、どちらかというと当時の日本の田舎が抱える色々な問題やそれに振り回される子供たちの葛藤がメインに描かれています。重厚で見ごたえのあるストーリーが展開され、今あらためて見てもとても面白い作品だと思いました。
名作ともいえるこの作品ですが、リメイクしたり海外展開したりが不可能と思える理由が山のようにあります。
・地元の少年たちを「アパッチ」と呼びます。校長は主人公に「アパッチどもに野球を教え人間に戻してやるんじゃ」と頼みます。この物語の根幹ですが、既にアウトですw
・物語の途中で村長選挙がありますが、双方露骨な買収行為をします。選挙違反が堂々と描かれていますw
・村唯一の雑貨店は、街よりも大幅に高値で品物を売っており、店主は息子にボッタクリ精神を推奨しています
・投手の少年はナイフを所持しており、小動物を刺し殺すシーンが頻繁に描かれます。
・少年たちは喫煙し、飲酒し、爆発物を所持し、冒頭は若い女性教師を襲うシーンから始まります。
・村人、林業を営む山人、ダム作業員とそれぞれ対立しており大人同士の殴り合いの喧嘩が描かれます。
その他制作者が野球のルールをわかっていなかったり、作画は同じカットを何度も使い回していたり、審判がボールなのにストライクのジェスチャーだったり、音楽が異様にレベル高かったり、声優がコロコロ変わるのに皆上手だったり、とネタがつきません。
しかし人間は最終的には成長する、ということをリアルに見せてくれる良い作品だったと思います。
当時は義理人情や倫理道徳がコンプライアンスよりも優先される世情だったということがよくわかります。少しでも興味のある人は伝説の25話と26話だけでも見てみることをオススメします。