チャチャ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アニメを芸術の域にまで高めた作品。
【スタッフ&その他】
制作:シャフト。
監督:新房昭之。(Fate/EXTRA Last Encore、物語シリーズなど)
脚本:虚淵玄。(Fate/Zero 、アルドノア・ゼロ 、楽園追放など)
話数:全12話
【レビュー】
{netabare}まず最初に。この作品は奥が深いです。ですから、色んな人が色んな場所で考察をしていますが、これから初見で観る方は何も考えずにとりあえず観てもらいたいです。さらに欲を言えば3話まで観てもらいたいです。ちなみに、普段アニメを観ない私の友人に無理矢理3話まで観せてみたら、止まらなくなって最終話まで完走してしまったというのは昔の良き思い出で話です。
この作品をセーラームーンのような単純なものだとは思ってはいけません。この作品ほど戦う理由というものにこだわり、心の中の内なる敵との戦いを描いた作品は他にないと思います。かつてFF9というゲームの名言で、「誰かを助けるのに理由がいるのかい?」と戦うため理由を動機付けしていましたが、よくよく考えて見れば、これは曖昧かつ抽象的で戦うための理由としては明確な答えになっていません。しかし、この作品はその部分に正面から向き合い明確な答えを試行した作品だと思います。「世界を救うために戦う」という利他主義的な、さもすれば偽善になり兼ねない動機で戦うべきか?それとも、「身近の人を救いたい」という利己主義的な動機で戦うべきか?「多数を救うためなら少数を犠牲にしても構わない」という最大多数の最大幸福に基づいた善悪判断による功利主義的な動機で戦うべきか?など、まるで永遠に続く答えのない問いかけを繰り返しているようでした。何だか痛々しくてちょっと可哀想になりました。いばらの道とはこの事を言うのでしょう。
キャラクターデザインに関しては、人によって好き嫌いがあって色々賛否があることは否めません。が、あのキュビズム絵画のようなバトルシーンにおける不釣り合いな可愛い系のキャラは、一見すると場違いのように見えますが、私はある種の変態性を有して逆に芸術性を高めているように思いました。心象的に言うならば、バトルシーンでの彼女達の姿は絶望の中に咲く花のように思えました。
この作品は、今後も間違いなくエポックメイキングな作品として評価され続けるでしょう。日本のアニメ史を語る上でこの作品は外せませんし、色々な場面で何かと取り上げられる作品です。観ておいて損はないと思います。{/netabare}