tinzei さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
もっと単純な話かと思ったら、一癖もふた癖もある話だった。
近未来の海上人工都市を舞台に11人の女の子がそれぞれの悩みごとを解決する。
主人公(ヒロイン)は1話につき1人で、全員が再登場する最終話以外の11人。同じ時系列で舞台も同じだけど、最終話以外直接的な関わりは薄い(姉妹の5、6話を除く)。
ヒロインといっても基本的に悩みや家庭事情を描くだけで、関係者の恋愛や特殊な恋愛(姉妹愛)はあっても、主人公×男の恋愛はない。
キャラデザは全話共通だけど、ストーリーはコメディ寄りなもの、少し真面目なもの、分かりやすい話や分かり辛い話など様々。特に変わってる話として、まず2話。視点が主人公の持つぬいぐるみに固定されて、ぬりぐるみ視点で主人公の言動を見る。ただそのことにもちゃんと意味がある。
次に5、6話。よく似た姉妹がそれぞれ相手の本心を知ろうと、仮想世界で相手になれる装置を使って探ろうとするが、だんだん現実との境目が分からなくなる。
最後に11話、主人公だけが声を発する一人語りスタイル。厳密に言えば亡くなった父親のセリフもあるけど、基本的に主人公の言葉だけで会話を読む。
他にも、近未来が舞台の割に少しファンタジー要素も入ったような話だったり、つまらない面白いでは語れないような一癖もふた癖もある話ばかりだった。
最初、11人がそれぞれ恋愛していくだけのオムニバスドラマだと思ってたから1話でパワードスーツが出てきた時は少し驚いた。個人的に面白いと思ったのは1、3、9話だけど、この作品の面白さを表わすって意味では、2、5、6、7、10話がいいかも、ただ5~7話は少し分かり辛い話だった。
【各話あらすじ】
1→海上人工都市の中枢に爆弾が仕掛けられる。それを解除できるのは女子高生の天才科学者栗本雪菜だけだったが、極度の男性嫌いのため居場所が分からず。雪菜は警察の高山から連絡を受けるが、高山の凄味に気絶してしまう。爆弾解除の夢を見た後、巨大ロボに乗って現地へ向かうがゲートで止められる。本人確認のとき、男性の視線を浴びてしまい再び気絶。高山たちはその間に雪菜を爆弾の前まで持って行き、通信で同級生のミカコに起こしてもらう。雪菜は無事、爆弾を解除するが、再びたくさんの男性の視線を浴びてしまい気絶。
2→人形と話す少女寺本タンポポは新しく手に入れた人形にマーガリンと名付け、その日あったことを話す。タンポポには千裕という友達がいるが、千裕の好きな人についてマーガリンに話す。千裕が来てタンポポにその話をしようとするが、そこにタンポポの兄が来て少し話す。千裕が好きな人は兄だったが、まだ精神的に幼いタンポポはそんなこと分からず、人形と話す。しかし千裕はもう人形とは話さず、タンポポに怒鳴ってしまう。しばらくして仲直りしたタンポポは再び人形と話し始める。すると警察が来てマーガリンに仕掛けられた盗撮カメラを見つける。実はタンポポのストーカーがずっとタンポポの部屋を監視していた。
3→洋菓子職人を目指してた桜瀬ちなみは自分の進路に迷っていた。離婚した母との会食の後、父に家族が心配だから洋菓子の留学を取りやめて就職すると話す。父はもう少し考えろと言うが聞く耳を持たず。だがある日母とレストランで食事をしていると、母からそのレストランのシェフと付き合ってると告白される。ちなみは友達の紀子や父にそのことを相談するが、祝福するべきと言われる。しかしちなみは納得できなかった。紀子は独断でちなみの母にそのことを言い、家族に気を遣うちなみのためにも再婚すべきと話す。ちなみ踏ん切りをつけるためは母の彼氏に洋菓子勝負を挑む。紀子は気を遣ってちなみのを選ぶと言うが、母は彼氏のを選んだ。ちなみは彼氏の方がおいしいのを分かっており、母が自分に正直でいてくれたことに感謝し、フランスへの留学を決める。
4→楠初摘は陸上部の少女でいつもキャロットを着用していた。しかし内心では女の子らしくスカートやドレスを着たいと思っていたが踏ん切りがつかなかった。ある日、画家のみやびが初摘のヌードを描かせてくれという。当然断る初摘だったが、みやびはわざわざ陸上部のコーチにまでなってしつこく頼んでくる。初摘はみやびと水泳勝負をして勝ったら手を引くように言うが、みやびはわざと溺れたふりをして初摘に勝つ。初摘は反発するがみやびは初摘の本心では女の子らしくなりたいのではと核心をつく。初摘はヌードを受け入れ、みやびが絵を描く。初摘が完成したみやびの絵を見に行くが、抽象画だった。
5→両親が人工都市の重役を務めお嬢様でもある村雨紫苑はよく似た妹の桜と共にお屋敷で暮らしていた。ある日、天才バイオリニストと呼ばれる中沢からラブレターが届くが、名前の部分が焦げており、どっちに宛てたものか分からなかった。桜は紫苑宛てだと言うが、その桜の態度に疑問を持った、紫苑は相手のデータを読み取り、仮想現実でその相手になれる装置を購入し、仮想世界で桜になる。だが紫苑は何回か繰り返すうち現実と仮想の区別がつかなくなり、桜にも見つかってしまう。二人はお互いの想いを確認し、キスをする。
6→5話の妹視点。村雨桜が姉と同じように装置を購入し、紫苑が何を考えているのか調べる。その後、お互いは想いを確認しキスをする。ちなみに中沢が思いを寄せていたのは、二人の母親である緑だった。
7→学校教師をしている柊彩乃は生徒達と共に、昔彩乃がいた研究室へ来る。今は亡き研究室の教授ローゼンクランツは彩乃の恩師だった。ローゼンクランツは有名な数学者で、円を正方形に変える論文の精査を行っていた。彩乃もまた優秀な数学者だったが、ローゼンクランツから離れた途端数学への興味を失い、自分が数学は誰とでも繋がれると言うローゼンクランツの教えに反していたことに気付き、数学から離れ英語教師となっていた。それからローゼンクランツとは会わず、彼が死んだ後、彩乃のもとに本が届く。彩乃はかつての先生の言葉を思い出し研究室へ来ていた。かつてローゼンクランツは研究室の奥にある仮想現実で数学を解く幼い少女と出会い、そこで本を受けとっていたが、それは幼い頃の彩乃だった。幼い彩乃はお姉ちゃんから本を受け取ったと言い、ローゼンクランツは彩乃に、私が死んだ後、本を持って、仮想世界に行けと言っていた。彩乃は仮想世界に入り仮想世界にいるローゼンクランツと出会い、彼の言葉のまま、本を幼い彩乃に渡す。
8→大金持ちの娘凛堂あやかは、金遣いが荒く、犬や猫が普通のロボペットも巨大なカメレオンを飼っていた。ある日、父はあやかにバイトをしろと言い、あやかはラーメン屋で働くが、出前の途中銀行強盗のニュースを見る。実はあやかは街の平和を守るため使用人と共に自警団を組織していた。あやかは出前を止め、銀行強盗を追う。途中、巻き込まれた人たちを救助しつつ強盗を追い詰め、最後は巨大なカメレオンのペットが捕まえ一件落着。あやかはカメレオンに乗って、出前の続きをする。
9→紅かすみの都市伝説が流行り、彼女のやったことをやる少女が増加していた。リポーターの三条ルルもかすみのファンで、かすみ伝説のリポーターをしていた。だがカメラマンの女に、かすみはそんな人間じゃないと言われ腹を立てる。かすみ伝説の再現映像を撮る時、かすみ役の女優が来ず、似てるそのカメラマンがやることになったが、本人の希望でセリフだけは別になる。ルルはそんな彼女に悪態づくが、またかすみの悪口を言われる。ルルは学校でいじめられていた時にかすみの伝説に助けられていた。ある時、伝説の一つであるチキンレースを撮る時、ルルがかすみに近づこうと無理してバイクを走らせる。危うく大事故になるところはカメラマンに助けられるが、ルルは彼女が本物の紅かすみだと知る。かすみはルルに他人の真似事なんかせず自分で生きろと言い残し去っていく。
10→学生で漫画家の松本くるみのもとに父親の知り合い(戦場カメラマン)の息子サトシが来て、しばらく一緒に住むことになる。くるみは同時期に男女が一緒に住む話を描いていたが、過去作に比べて平和すぎると言われていた。ある日友達との帰り道、サトシに会ったくるみはサトシが何故カメラを撮ってるのか聞く。サトシは自分の見た景色を伝えたいからと言うが、それでも人によって感じ方は違うとも言う。両親が旅行でいないとき、くるみはサトシに自分が書いてるのは伏せて漫画が面白いか聞くが、現実味が無さ過ぎてつまらないと言われる。くるみはその後、突拍子もない展開にして、視聴者や編集を驚かせる。ある日、サトシは父親からの手紙で、父親のもとに行くことになる。見送りに来たくるみたちにサトシは、感じ方はそれぞれで良いと話し、くるみはやる気を取り戻し、新連載を始める。
11→七年前に死んだ父親を未だ思い続ける橘うららは、父親への想いから恋に対して否定的で、開かない扉の前で自問を続けていた。うららと仲の良いピアニスト志望の男子はうららに想いを寄せ、周りもうららに彼と付き合えとせっつくが、うららは答えを出せないでいた。ある時、その彼から明確な答えを求められるが、うららは答えられず、しかも彼がオーストリアへ行ってしまうと言う。さらに病弱だった母も倒れ、うららは父親の仏壇の前でどうすればいいか聞く。すると父親の幻影が現れ、うららに助言する。うららはそれを聞き、開かない扉を開き、前へ進む。
12→雪の日、うららは高校の先輩である雪菜に会う。雪菜のトンデモ発明に驚くが、雪菜から試写会の招待を受ける。雪菜は電車の中でたんぽぽと会い、雪が止むかどうか尋ね、たんぽぽも招待する。たんぽぽは家に帰り好きな漫画家に匿名で電話する。相手はくるみでたんぽぽはくるみの作風の変化からくるみが恋をしたと言う。その後、くるみは街中でいつも漫画のネタにしているちなみを見つけ後を付ける。しかし見つかってしまい、くるみは咄嗟にちなみに好きですと言ってしまい、勘違いされる。ちなみは先輩である初摘と食事をして、さっきの出来事を話す。ちなみは元気のない初摘を心配する。初摘は紅かすみに会い、自分が変化したことを相談する。かすみは気を張って生きるより良いと言い去る。かすみは恩師である彩乃に連絡し、かつて出された数学の問題の答えを言い、褒められる。彩乃はあやかに連絡し、村雨姉妹が試写会をやると教える。あやかは村雨桜に連絡を取り、私も参加させろと言う。その後、雪が止み、村雨紫苑は雪菜が作った映写機を使い、月に自分たちの写真を投影させ、思い出を作る。
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