たナか さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
とある時空の星間(性間)戦争
40年前ですって。ガラケーもネットも普及してない時代。
みんなだいすきマクロス劇場版。
今見ればかなりトンチキ。カッコよければよかろうなのだ。
しかし今の若者にとっては頬がテカテカした萌え絵ではないのでキャラの魅力ガーだし、敵キャラがキス程度でウブなカマトトムーブをかますDT臭さも飲み込みづらそう。TVのわちゃわちゃ昼ドラパートはまるまるカットで掘り下げガーだし、唐突なアホムーブで強引に2人きりにする惚れさせパートも力技に過ぎる。それでいて三角関係も全く成立してない。
メインヒロインかと思わせといてモブとキスするし、不思議な謎の光で隠してもくれないし、そのくせTV版のクソムーブもないためほぼ別人。小言ばかりのクソ上司かーらーのー見事なデレをカマした挙句にさりげなくアダルティな匂わせカットがあるのがシン・メインヒロイン。さすが主人公、責任感がつよい誠実なオトコ。男なら女ならのジェンダー感はやはり昭和的。
ボーカル曲で盛り上げるラストバトルはアニメ史上屈指の名シーン。しかし勝敗を決する最終局面で人類の希望を背負った決戦兵器としての責務を担うはずのミンメイが、凄まじい数の兵士たちがバンバン死んでる景色の前で延々とデモデモダッテしてるシーンはもうギャグにしか見えない。狭い世界のセカイ系っぽい。
リアル風味でスーパーロボットを終わらせたガンダムは萌え要素が無くて打ち切り。マクロスはそこにダブルヒロインを投入したがあくまでもロボが主役。そして萌え属性盛り盛りダブルヒロインで純粋なロボアニメを終わらせたのがエヴァ。しかしその方向性を決定づけたのはマクロスなのかも。当時のメカロボ好きはプラモは買っても円盤買わなかったのかもしれない。マクロス7からはミリタリー風味が完全に消失したザ・深夜アニメなので微塵も見る気が起きなかった。
ガンダムの流れを汲んだリアルテイストを男女関係にも採用。これまでのスーパーロボットの文脈は使えないので、実写ドラマのような昼ドラ感がアニメしか見てない年齢のキッズには新鮮だった。ドラマテイストなのでアニメで多用されがちな心理描写の脳内ポエムは一切なし。モノローグに頼らず表情で語る芝居も劇場版作画品質で見事に成立。セリフ無しで見つめ合う間の取り方もアニメでは珍しい。今ならテンポガー不可避。
せっかくの美樹本晴彦のキャラデザだが今の目で見ればやや古臭いし普通に可愛くないと思う。彼の繊細なテイストを殺さないならエヴァガ並の作画クオリティが求められるかも。もちろんメカは何も言うことないです。冒頭のシーンからあまりに情報量が多すぎでやたらうるさい画面に笑ってしまった。今これ描けっても多分ムリだろ。
根幹の設定すらも簡素化されたキャラアニメなので色々抜け落ちた要約版でしかないが、若い人が教養として軽く流れをおさえるなら十分。マクロスの本領としてのミリタリーテイスト強めな演出描写や異文化交流などのメカロボSF設定など、ロボットSFの醍醐味を堪能したいなら流石に全然物足りない。なのでこれ見てからでもTV版は全然楽しめると思う。
雰囲気をつかむ入門編には最適かと。