nyaro さんの感想・評価
2.8
物語 : 3.0
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
人生においてカフカを読む手間がちょっとだけ省けました。
カフカですから実存主義ですね。個別的な状況に応じて意識するにせよ無意識にせよ、選択することが人間存在である…みたいな感じでしょうか。この後の構造主義、ポスト構造主義と概念だけでも頭に入れておくと、小説、映画、アニメ等のストーリーが理解しやすい…みたいです。哲学は苦手です。
カフカは「変身」が気持ち悪かったので後は全然読んでいません。田舎医者は女中を拉致られたわけですが、往診に行くという選択を行ったのは自分ですし、少年を助けられない事実から逃げ出すという選択をしたわけです。これが田舎医者という主人公の実存である…と。不条理に対する態度によって実存主義はいろいろあるみたいですが、カフカの場合は虚無感があります。
まあ、さすがに事故は誰にでも起こるものさ、という機関車トーマスみたいな達観ではないでしょう。彼が田舎医者というアイデンティティにすがって選択を行っている…だけど田舎医者であるという彼の存在を脅かす患者の死から逃げ出す。ただ、その選択が大切なものを失うことになった。
では彼は「何者か」みたいな感じでしょうか。あ、いや本質を探究しないのが実存主義ですので「何者か?」はないですね。ここが実存主義の分からないところです。主体性の存在になれるか?いや訳が分かりません。
少なくとも、寓話ではないでしょう。善悪を考える意味はないと思います。思うところはありますが、カフカですから優れた評論がいくらでもありますのでそちらでお願いします。
面白いつまらないという話ではないでしょうが、まあ、面白くはないです。何より画面が変にちらちらするし、形は歪むしで、正視しているとクラクラきて気持ち悪くなります。
文学系ですからね。アニメにする必要があったかどうか。文学の上を行っているのかどうかは高尚すぎて私にはわかりません。ただ、人生においてカフカを読む手間がちょっとだけ省けたというのが感想でしょうか。