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「パプリカ(アニメ映画)」

総合得点
72.1
感想・評価
837
棚に入れた
3969
ランキング
1209
★★★★☆ 4.0 (837)
物語
3.8
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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パプリカの感想・評価はどうでしたか?

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:----

意味不明

意味不明という感想はこのアニメに関しては誉め言葉。夢と現実の境界が、見てるこっちも分からなくなってくる。色々と論理的な回答を求めずに見れば、かなり面白い一作。

投稿 : 2020/05/08
閲覧 : 241

三毛猫メリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

夢のパレードの行方

2020.5.3 視聴完了。
原作未読。

正直、この映画で何を言いたかったのか
つかみきれませんでした。
夢と現実の混在、奇妙な台詞回しは面白いと思いました。

寝ている時の夢って人それぞれですよね。
私は明晰夢や予知夢等には縁のない平凡な夢を見てる気がする。
ただ夢の中でも私は私で性格は引き継いでいるっぽいです。
ちなみに私の夢は色つきです、ただ印象的なものじゃないと
起きた時忘れていますが・・・

投稿 : 2020/05/04
閲覧 : 251
サンキュー:

16

ネタバレ

USB_DAC さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

パプリカはいつだって味を調え引き立てる

物語:
キャッチコピーは「私の夢が、犯されていく」。原作は筒井康隆氏で
今敏監督の遺作となった長編サイコスリラー作品です。R指定ながら、
第25回ポルト国際映画祭受賞を始め、数多くの受賞実績があります。

どれが現実でどれが夢・虚構なのかと迷ってしまうほどのカオスで狂
気じみた世界。現実と虚構は同等であり、虚構での体験は現実に大き
な影響を及ぼすという強いテーマ性を感じる作品です。

作画:
非常に細かいところまで描かれた小道具や背景。そして時折見せる見
事な立体感と遠近感。これはアートだと評するコアなファンがいるの
も納得する作画です。ゴミゴミしたパレードの色使いや動きは一切の
破綻を見せない。そしてパプリカの皮を剥ぐ描写はとても衝撃的で強
烈に脳裏に焼き付いています。

声優:
総じて不満は無く納得のキャスティングだと思います。中でも千葉敦
子兼パプリカを演じた林原めぐみさん。対極の演技は実に見事でした。
それにしても時田浩作を演じた古谷徹さん。肥満体の声に悩みアムロ
の声を自ら嘆願したとは意外でした。それと粉川刑事の夢に出て来る
バーテンの二人。まさかまさかの人物です。

音楽:
1997年、『ベルセルク-forces-』にて一世を風靡し、その後も容姿は
多少変わるも恐ろしく独立独歩な曲を輩出し続ける鬼才平沢進。数音
奏でただけで頭の中をその色に染める『白虎野』。難解と評されるこ
の作品のイメージを更に不思議感でいっぱいにします。

キャラ:
何と言っても千葉敦子とパプリカ。この二人の圧倒的な存在感が今作
品の魅力を支えているのは間違いありません。


[簡単なあらすじ]

精神医療総合研究所に勤める千葉敦子。親友である時田浩作が開発を
した他人の夢を共有可能な『DCミニ』というデバイスを使い、患者
の治療を行うサイコ・セラピスト。夢の世界では別人格のパプリカを
名乗り、精神を患う者の夢に入り込み治療を行っている。

その後、研究所からデバイスが盗まれたこと切っ掛けに、現実世界で
次々と奇妙(精神崩壊)な事象が発生する。千葉敦子ことパプリカは
島所長の友人である粉川警部の強力を得て、現実と虚構が入り乱れる
混沌の世界で、デバイスを盗んだ犯人を追いかける。


[感想]

記憶と経験による欲望が引き起こす『個人的無意識』。創造と普遍的
イメージを源泉とする『集合的無意識』。J・フロイトとC・G・ユ
ングという二人の心理学者によって提唱された異なる夢の理論を独自
に解釈したD・フォンタナ。これは『夢の世界』という彼の著書を引
用し繰り広げられる様々な夢の形。

そして技術が進み、簡単に他人の夢の中に入り込み、本当にそれを共
有することが出来る様な世界になったら。

一緒に鳥の様に自由に空を飛び、人魚の様に自在に海を泳ぐ。映画の
主役になって活躍したり、愛する人となら夢の中で恋を続ける事さえ
出来る。もし悪意によってこの作品の様に夢を乗っ取られ支配されて
しまったら。その虚構から逃げずに真に向き合い戦うことで、それは
簡単に抜け出すことが出来るはず。そう言われている様な気がします。

そしてトラウマを消す弛まぬ努力。現実と虚構が曖昧な今の世の中に
於いて、それはとても大切な事なのかも知れません。

夢を意図的にコントロール出来、五感も起きて活動しているときと変
わらないると言われる『明晰夢』。それは睡眠中の前頭葉の半覚醒状
態によって引き起こされ、今や数々の研究(電気的な脳の実験)によ
り、その方法もある程度確立されつつあると言います。

いつの日かその夢で晴れ渡る大空を果てしなく飛んでみたいものです。




以上、長文拝読頂きありがとうございました。


2019.11.25 初回投稿
2019.11.25 誤字修正
2019.11.26 誤字再修正 

投稿 : 2019/11/26
閲覧 : 344
サンキュー:

16

ilohasu さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

幻想とどう向き合うのか

初めて観た時はラリってる映画だなーと思いましたが、久々に観たら大筋が分かってる分、細かい所々に注目する事できて、今敏監督の伝えたかった事がボンヤリと浮かんできたので、すげー面白かったです。

私なりの理解になりますが、本作のコアとなる思想は”社会も人の精神も幻想によって成り立っている。その事が社会や精神の病として浮き出てくる。しかしその幻想性をとっぱらってしまったら社会も人の精神活動も成り立たない。だからその幻想性を自覚しながらも幻想に浸れ”だと思いました。


だいぶ抽象的に書きましたが、つまり幻想に耽ってないで夢を持って生きようぜ!って事だと思います。

本作を観ていて思うのは多くのシーンが何かしらを象徴している様で、シーンの意味を読み取るには観る側の知識量を試されてる様に思えました。

個人的には現代社会を揶揄しながら生き方を提示する社会哲学のアニメだなーと思いました。

投稿 : 2019/09/27
閲覧 : 372
サンキュー:

9

ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

Don't think . Feel .  …でいってみよう

そういえば原作既読。内容はうろ覚え。


地上波でたまたま流れた『東京ゴッドファーザーズ』を皮切りに~の今敏監督アニメ映画視聴マラソンもこの『パプリカ』でひとまず完走。物理的にもこれ以上これ以外走り続けることはできません。

゛難解な作品” ゛人を選ぶ作品“ ゛芸術性の高い云々”

氏の作品には枕詞のようにこれらの修辞表現が付き纏います。うむ。確かにそんな面はあるかも。でも敢えて私はこうも思うのであります。

{netabare}いいんだよ。そのまんま感じればいーじゃん。テヘッ{/netabare}

絵画におけるレゾネやクラシック音楽の解釈やらもそう。一枚の心奪われる絵を目の前にした時、情感揺さぶる音に触れた時、言葉は蛇足となることがあります。
私のような素人目にもわかる映像表現。強烈なインパクトを残すキャラクター達。{netabare} そして現実世界でのハッピーエンド。{/netabare}
とかく難解だと敷居を上げなくても、娯楽作品として観たまんまで楽しめるアニメ映画だったと思います。凝ろうが凝らまいがあとは受け取る側の判断でしょう。面白いか?面白くないか?それが全てです。

なぜ?そんな当たり前のことを?

氏の作品の多くはどれも90分程度と視聴にあたってのどっこいしょ感がなく、とりあえず4作品鑑賞してどれも粒揃いだったので、できれば多くの方に触れてほしいですし、下手な先入観は持っていただきたくないなというのがその理由です。


さて本作『パプリカ』です。
゛虚構” と ”現実” が入り乱れる秀作を次々と輩出してきた監督の遺作です。今回は 《夢》 。
他人と夢を共有できる゛DCミニ”というデバイスがある。心理療法の次の一手であると臨床試験を重ねていた矢先、DCミニが研究所から盗まれて、という導入。研究所員であるサイコセラピスト千葉敦子/パプリカがヒロインです。
キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―」「夢が犯されていく―」。新たな試みはメリットと同様に副作用が付き纏います。DCミニもご多分に漏れず欠陥がありまして、その隙をついてあれやこれやが巻き起こる物語です。

夢の言葉上の定義は

1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。
2 将来実現させたいと思っている事柄。
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。
4 心の迷い。

と辞書にあります。 夢って何だろう?と突き詰めた形跡が見て取れます。

根幹となる部分はもちろん1。そこに2~4を想起させるキャラがもう一つもう二つとストーリーラインを重ねていくような物語でした。誰がどうかはネタバレ直結なので隠します。

2は{netabare}ヒロインの敦子さんが代表格。もっとも奥にしまってた感情に気づいたということですが。。{/netabare}

3は{netabare}乾精次郎理事長が代表格。現実から逃げ妄想に囚われました。{/netabare}

4は{netabare}粉川刑事。そしてストーリーのもう一つの柱。トラウマに向き合って克服します。{netabare}映画からは前向きなメッセージを受け取りました。{/netabare}{/netabare}
他の登場人物たちも多かれ少なかれこの類型に分類されるのかな~という見立てです。


処女作『PERFECT BLUE』では《劇中劇(虚構)》と《現実》
二本目『千年女優』では《劇中劇(虚構)》と《回想》と《現実》と場面が増えて入り乱れました。
三本目『東京ゴッドファーザーズ』は置いといて(笑)
本作『パプリカ』では《夢(虚構)》と《現実》に夢をモチーフにした登場人物たちが入り乱れました。

作品を重ねる毎に表現の幅を広げていき、本作で集大成、または集大成にならざるを得なかった良作でした。

概念的な話なのでどちらかというと視聴済みの方向けの私の見解となります。
新たに鑑賞される方は先述の通り、そのまんま観ていただければよろしいのかと思います。


そして、゛ならざるを得なかった” の理由。
それは本作のラストを見届けるとその思いが強くなります。


※ラストのネタバレ有
{netabare}映画ラストで監督の過去3作品が背景で流れて粉川刑事が映画館に入っていく。タイトルは『夢見る子供たち』です。

{netabare}なんかの予言だったのでしょうか?
《虚構》と《現実》行ったり来たり。そして溶け合う今敏監督がこれまで手掛けた作品をイメージさせて未来へと繋がるであろう to be continued。{/netabare}
{netabare}次の作品で夢うつつシリーズの完結を構想してたのかもしれませんね。これは私の妄想です。いわばホップステップジャンプのステップ段階で早世されたのかと。{/netabare}{/netabare}

最後の演出は、客観的に作品を楽しむ現実世界の観客を、虚構の世界にいざなう監督の最後の大仕掛け。といったら感傷的過ぎるでしょうか。

例えが妥当かは知りませんが、過去作を上手いこと継承しながらエンタメ作品として爆発的なヒットとなった2016年の映画のようなのが次回作品で来てたかもしれませんね。
それで「俺たちの○○はどこへ行ったんだ?」とオールドファンをやきもきさせたり、一方で新規のファンが出来てたり。
そして、作風をガラッと変えてまた新たな実験を試みたり、と。


夢にはもう一つ。5番目の意味があります。

5 はかないこと。たよりにならないこと。

冒頭でひとまず完走と述べましたが、気分としてはハーフマラソンを走り終えた感じでしょうか。まだ半分、もっとイケる。なんならウルトラマラソンでも構わないのに!

少し、クールダウンしてからいつの日か『妄想代理人』を堪能することにしようと思います。


■雑感
一周しかしてないので、もう一回観たら感想変わるかも



-----
2019.08.04追記

二周めいってみた!
たまに触れたくなるクセになる感じがありますわ。



2019.02.19 初稿
2019.08.04 追記修正

投稿 : 2019/08/04
閲覧 : 959
サンキュー:

47

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

まさに観る麻薬

筒井康隆原作のSFアニメ映画

パプリカは千葉敦子の分身でサイコダイバー

時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニが盗まれ
それを悪用して他人の夢に強制介入し
悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生する

敦子達は犯人の正体、目的
そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る物語

なんですが!
これがまた難解過ぎるんですよ

極彩色の映像、巧みな場面の切り替え
現実と夢の境界がわからないのも相まって
ストーリーを追えば追うほど精神がかき乱されます

でもそれこそ筒井康隆と今敏の思うつぼで精神トリップ

音楽の使い方も非常に巧く物語を盛り上げます
終盤で現実が夢に侵食されていくところは圧巻

結局真犯人はあの人だった(と思いたい)んですが
背景など緻密な描き込みですし
凄い映像体験ですので気になる方は是非

パプリカ滅茶苦茶魅力的で可愛いですよ

何度も観たくなる
そんな映画です

投稿 : 2019/07/28
閲覧 : 321

washin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

熱があるときに見る夢

観賞後すぐ自分が気づけていない伏線がまだあるのかなと思いましたが、パッと調べてみた限り見たまんまのストーリーらしいですね。

いやー怖い映画でした。毒々しい色彩、夢と現実との境の崩壊、誰もが一度は経験したことのあるような夢じゃないでしょうか。さらにそれらが極上の作画で表現されており正直たまったものではありません笑。子供が見たらトラウマ確定ですね。疲れているときに見る映画ではないことは間違いありません。

今後科学が発展して色々できるようになったとしても、夢は自分だけのものであってほしいものです。

PS. 林原めぐみさんの声、本当に素晴らしい

投稿 : 2019/06/12
閲覧 : 299
サンキュー:

6

ネタバレ

Mi-24 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

見果てぬ夢。心に抱えたわだかまりに苦しめられる。

若くキュートな女性が、画面上を所せましと跳ねまわる。
夢と現実の境界があいまいな世界観と相まって、非常に魅力的だ。

研究員の面々も、個性の塊で見ていて楽しい。


中年刑事の心に刺さった消えないトゲ。
必死になって追い求めていた昔見た夢。何度も何度も繰り返し再生されて、夢は何時も同じ所で止まる。
そんな彼にかけられた言葉は、とても印象に残りました。


見応えのある、いいアニメ映画でした。

投稿 : 2019/05/08
閲覧 : 310
サンキュー:

5

てっく さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

すごく。。。難しい作品。

「夢を共有する装置」
他人の夢に入り込める装置が盗まれ悪用されるのを阻止するお話し。

すごくスゴク凄くSUGOKU、難しいです。
何というか、簡単には観れない作品です。
大まかなストーリーとしては理解出来るのですが、作品の本質部分が全く拾えない。それでいて、どこか理解した気分にさせられる、何とも不思議な作品でした。

私には難し過ぎた作品かも知れません。

投稿 : 2019/04/17
閲覧 : 297
サンキュー:

10

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

確かに!

筒井康隆氏の原作を映像化。
あの時期にあのタイミングであの人材で日本のアニメーションを用いて映像化できて「ラッキーだった」と言えるんじゃないかと
大げさではございますがまさしく天の采配とでも申せましょうか
ぐにゃ~っとする表現とか重苦しさ所謂「体感」が伝わる表現とかね、すごいんですよ~
筒井先生は自作と今さんの作品との共通点としてメタフィクションという要素を上げていらっしゃる(たしか対談の中でそう言っていたような。書いた後で不安になってきたw)
相性も良かったんでしょう、誰が企画して両者を結び付けたのか、丸山さんでしょうか?
いや実にこのあたり、興味深いトコロですな~グヒヒヒ(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
私もこの作品、死ぬまでにあと何度か視てゆるりとじっくりと堪能したいものです

投稿 : 2019/04/11
閲覧 : 221

スピッツ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:----

難しいことは正直わからない。けど、心揺さぶられる。

直接脳みそに叩き込まれるような作品。
自分は映画や映像の勉強をしてきた人間ではないから、専門的なことはわからない。ただ、心と脳が揺さぶられる。1時間半の作品だけど疲労感が半端ない。

人が見る夢。そこから見える、人間の複雑性。ドロドロ、ごちゃごちゃ、スッキリ。
人間って自分の中に誰でもモンスターを飼ってて、知らず知らずそういう部分が夢を通して表出してしまう。そういうものを個人的には感じた次第。

刺激的な作画/魅力的なキャラクター/平沢音楽と実力ある声優陣のおかげで、映像作品としてめちゃくちゃ質が高い。ストーリーや設定自体は当時からしてもそこまで目新しくはないSFものだけど、こんなに作品として尖ったものに仕上げたのはやっぱりすごい。何度見ても感動する。

正直、パプリカに恋してますからね。魅力的すぎ。

今後の人生でも何度もみるだろうなーと思える数少ない作品です。
今監督がなくなったのが、本当に惜しいです。

投稿 : 2019/04/11
閲覧 : 244
サンキュー:

2

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

極彩色の狂気。予測を超える作画美。

今敏さんの監督デビュー作「PERFCT BLUE」を観て衝撃的だったので、続けて同じ今敏監督作品の「パプリカ」を視聴しました。
今監督の第4作というか、すでに若くして鬼籍に入られた方なので、劇場作品としてラストの一作が、この「パプリカ」です。

そして・・・
これが、スゴイ!「PERFCT BLUE」以上の衝撃。

内容自体は、ひとことで言っちゃうと、「夢探偵」という、割とありきたりな設定なんですけど、その中身は、想像の範疇外のアバンギャルドな映像と展開でいっぱい!
今監督お得意のメタ構造が、今度は夢と現実の境界線を侵食し、破壊し、逆転して鑑賞者の精神に迫ります。
しかも、今が現実なのか夢なのか? 夢と思った場面が、自分の夢なのか誰か他人の夢の中なのか判らない、という面白さ。

これは、「PERFECT BLUE」の鬱展開・恐怖感覚とは真反対の、
躁展開で、しかも愉快な狂気に満ちています。実際、吹き出しそうに笑っちゃうシーンもたくさんあって、思い返すとそれがすごく気味の悪いことだったりします。

こんなの見たことなかった。

強いて言えば、双極性躁鬱病の人の頭の中に入り込んで、誇大妄想を共有してしまうと、こんな風なのかな?という奇妙な感覚。

人の笑顔の気味の悪さと、視聴者の想像力を軽く超えてしまう、精妙なのに不思議で不安で気持悪い場面を嫌というほどリフレインされて、観ていて強迫観念とも違う不気味な感覚に襲われて、人の狂気のかたちの根源のようなものを、思う存分、疑似体験しているような感じです。
ついでに、「PERFECT BLUE」以来のエロチックでグロテスクな感覚も、一瞬ですけど、結構強烈に味わえますし、
なんだか妙に壮大な勧善懲悪のカタルシスも、最後には得られます。

ただし、気になるところもあって、それは、以下の2点です。

ひとつめは、キャラクターデザインが、いつもそうなんだけど、やっぱり劇画チックで癖が強すぎる。いわゆるTVアニメっぽいキャラとは全然違うので、この部分は慣れは必要だと思います。ただ、監督デビュー作だった「PERFECT BLUE」よりは、ちょっとポップな感じに寄せてきた気もするんで、この作品のキャラは、まあまあ見やすい方かも、とは思います。
もうひとつが、主人公のCVを担当する林原めぐみさん。上手い声優さんだと思っていたのに、今回はかなり残念な感じ。もっとやれたんじゃないかって思うんだけど、役作りが薄っぺらな感じがしたし、もしも不向きな役なのだったなら、こういう役に向く声優さんはいっぱいいるのに!って思っちゃいました。


ともあれ。
自分の夢に捉われて苦悩にまみれながら、さらに他人の夢をシャワーのように浴び続けて心痛にもがき続ける登場人物たちに同期してしまい、
「やばい。今夜、眠るの怖いかも。」と思った、珍しいタイプの恐怖感を植えつけてくれる、まさしく「怪作」だと思わせられた作品でした。

投稿 : 2019/04/11
閲覧 : 534
サンキュー:

25

けいP さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

僕が平沢進を知った作品

けいおん!の主人公・平沢唯は平沢進さんが名前の元だそうです。その平沢進さんが主題歌を担当したアニメ映画です。
この作品がきっかけで僕は平沢進さんのファンになりました。
映画の内容は他の方のレビューをご参考下さい。

投稿 : 2019/01/08
閲覧 : 421
サンキュー:

10

じん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大人はどこで夢を見る?

この作品を見返してみた。初めて見たときは映像表現に目を奪われ、気づけば終わっていたという記憶がある。2回目の視聴ということで、台詞や細かな動きにも目がつけやすくなった。

映画のあらすじを見るとありふれたサスペンスのような書き方だが、答えは早い段階で想像がついてしまう。そう、物語の構造は単純である。ただ、物語の本筋が見失われてしまいがちなので満点はつけられなかった。
大人が夢を見る場合、どうするのだろう。そもそも夢とは何?そんな問いをぶつけてくるのがこのアニメだ。それぞれの思惑は後発で判明してゆく。ただ、特定の何かが絶対におかしいことはない。それぞれに叶えたいものがあり、それらはあるときには成長になるがそれ自体に邪魔をされることもある不思議なことであると。これは人間誰しもの頭の中にある好きな想像として視聴者が受け入れられるかどうかが理解の鍵になる。世界観の完全な導入等を求める人は見ると混乱するかもしれない。この作品が人を選ぶのはこのためでもある。
何故このシーンが繰り返されるのか。このカットは何を意味しているのか。何度も見ることが出来るため、映画という映像作品の楽しみであろう。

声優の演技や作画については今さらわざわざ触れるまでもない。トップクラスの出来である。人の目線の使い方や、カメラワークが非常に上手い、と私は感じた。

大人の、あなたはどう夢を見る?

投稿 : 2018/11/08
閲覧 : 352
サンキュー:

7

ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

難解なので何回も見る

アニメ映画のみ。原作は読んでない。

某動画サイトで主題歌PV(白虎野の娘;平沢進)をみてしまい、気になって気になって仕方がなく円盤購入。

音楽と映像にテレビ画面ですら圧倒される。これを体感するだけでも価値があると思う。映画館で見たかったな。
筒井康孝の思い描いた世界観(筒井の頭の中の世界とどれくらい近いのだろうか?)にこっちの頭を引っ掻き回される。そして、難解きわまる物語。これまでに10回は通してみているんだが、いまだによく掴めないところがのこる。

最大の疑問は、主人公の(ある側面に対してつけられた)名前、兼、作品のタイトルとなった「パプリカ」はどこから出てきたのかという点。

彩り?
スパイス?
それとも、めぐりめぐって中身が空っぽ?

投稿 : 2018/10/11
閲覧 : 349
サンキュー:

10

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

私はUFOに攫われる夢をよく見ますよ

キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―/夢が犯されていく―」

このキャッチコピーにとらわれる必要はないのだけれど、
何かの枠に嵌って書いたほうが楽なので、
この文の中で考えてみます。

あらすじ、簡単な世界観の説明です。
作品世界では夢の中に入り込む新技術が開発されました。

それを利用して、パプリカ/千葉敦子は、「サイコセラピスト」として、
心療、つまり心の病気のような物を治す事を行っていました。

ですが、夢に入り込む装置「DCミニ」が研究所から盗まれ、
無関係な人達が夢により精神が壊れ、現実で事故が起きてしまいます。
パプリカ/千葉敦子はDCミニを盗んだ犯人を目的を探りつつ捜していくことになります。
(あらすじ終わり)

さて、キャッチコピーについて考えてみましょう。


まず夢が犯される、というのはどういう状況でしょうか?
これは、作品内でDCミニを利用して行われる、自分の夢への他者の干渉、盗み見、夢の改変などです。

では、作品内での「夢」とはどういう位置づけでしょうか?
まず「犯される」のは、睡眠中に起きる「夢」です。
夢の内容については、
刑事・粉川利美であれば「過去のトラウマ」「もう一人の自分」「学生時代の思い出」等の過去。
氷室啓であれば、そこに感情的な物が失われた、過去に氷室がみた風景、もしくは氷室の夢世界。

主人公であるパプリカ/千葉敦子は人の夢に入り人の心を元に戻したり、
事件の謎を追ったりしています。その為、他人の夢に入ったとしても
パプリカ/千葉敦子は、睡眠中の夢を犯されていません。

つまり、ここで言う「私」というのは、作品中で夢をおかされた不特定多数またはオッサン達なのです…
と、いうのはちょっと気色悪い。

不特定多数が夢を犯されています、これは問題ですね早く静めなければ…では、
主人公に話の軸がなくて、面白くない。
この作品を、千葉敦子と夢の関係から見たときに、夢の世界に入り彼女が何を感じたかを見たいですね。

では、「私」というのが、主人公、千葉敦子という前提で、コノキャッチコピーを考えてみましょう。

まず、千葉敦子とパプリカの関係について整理します。
現実世界で千葉敦子と呼ばれる女性研究員は、夢の中に入るとパプリカ、という女性に変身します。
変身と言っても、敦子の意識はなく、パプリカという、独自の意識が夢の中での行動を支配します。(途中から敦子とパプリカが会話しているようなシーンがあり、二重人格の人をみているような気分です)
現実世界での敦子は、酷く冷めたような、真面目な仕事人間のように描写されます。
一方でパプリカは、人を魅了するような悪戯っぽさや明るさを持っています。

対照的に見える二人ですが、敦子はパプリカを仕事の一環として割り切って接していますね。

敦子はパプリカの性格に嫉妬しているのかもしれないし、憧れているのかも
しれない。
もしかしたら氷室や小山内が時田に抱く嫉妬心のようなものを描き、それが敦子とパプリカの関係にも言えると暗に示しているということかも知れません。


では私(敦子)の「夢」とは。
「最近私の夢を見ていない…」という敦子のセリフがありましたが、
夢を見ていないというのは、どういう状態なのでしょうか?

そこで、この作品の各所にちりばめられている、登場人物の夢から、どのようなことがいえるでしょうか?
先ほど述べたオッサン達の夢の内容(もしくは島所長に植え付けられた夢で感じた感情)では、「過去」、「トラウマ」「心残り」「理想」「自由」「征服感」

敦子は最終的に夢を見ることになります。その時の要素が、
「過去」「心残り」「理想」といった様々な要素がつまったシーンでした。


時田に対する敦子の恋愛感情はシーン後半の小山内と敦子の会話シーンや敦子の時田に対する態度を見ていれば何となくわかる。
さて、その時に、敦子の夢が犯されている状態と考えたとき、どのような解釈がいいでしょうか?

粉川の最終的な夢の解決は、心残りの解決、トラウマからの脱却でした。パプリカや様々な人物が入り乱れ、粉川自身が変わって事による解決でした。
つまり、夢の中で再現する過去とその夢の続きに対して、他人の干渉により自己が変化し、解決することが「夢が犯されていく」と考えましょう。
他者の干渉により自己が変化するというのは、自分の性格やアイデンティティを他者に踏み込まれ、変化させねばならないので「犯されていく」という過激な表現でもあながち間違っていないでしょう。

とすると、「私(敦子)の夢が犯されている」状態とは。
時田がエレベーター挟まっているシーンの後に、敦子は時田の背中に体を預けた。
それは、他人の干渉を受けたことにより敦子自身が変化し、時田の背中をかりれる状態になりました。
(他者に心を許す、敦子がパプリカに指摘された上から目線の態度が直る)
今までの敦子なら、時田と一緒に転んでも体を預けれるような夢は見れなかったでしょう。
他人の干渉により、自分のパーソナルスペースやアイデンティティを犯され、変化することで、あの夢をみれた、という結末、と考えるならば、
「私の夢が犯されている」というキャッチコピーは中々ポジティブな意味になるかもしれませんね。

と、ここまで書いてきましたが、
このキャッチコピーを考えた人がどんな思いでこの文を書いたのか、わかりませんしね。
夢の中に他人が入るのが怖いと思ったからかもしれないし、
宣伝文句的な意味で、ある種嘘を入れたのかも知れないですしね。

さてまとめですが、
現代社会で働く女性を主人公とし、
そういった女性の中にある少女性、もしくは変身願望の結果がパプリカという存在で、
その願望が具現化して時田との結婚に至ったわけです。
ですがその道程は決して甘いものではなく、
自分を変えること、他者に自分のアイデンティティを犯されて、そして変化していくという、リアリティのある段階を踏ませた、
メッセージ性としては私好みの内容の作品でした。

投稿 : 2018/04/28
閲覧 : 433
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36

ネタバレ

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

夢を題材とした長編アニメ映画

このアニメの名前を最初目にしたとき、
野菜のパプリカを思い出してしまった。
ピーマンの一種だ。当然のことだがタイトルの由来は
野菜のパプリカではない。我ながら恥ずかしい。

おふざけはこの位にして、このアニメは
インセプションと呼ばれる映画のもとになった
といっても過言ではないアニメ映画である。
終盤の展開に関しては変わった印象を受けた。
下記に示す。(ネタバレに設定)

おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。
dcミニの研究者である敦子(パプリカ)は、秘密裏に
dcミニを用いたサイコセラピストとしても活動している。
dcミニが研究所から盗まれたことにより、何者かが他人の夢に
侵略し、精神崩壊を起こさせる事件が発生してしまった。
原因究明のため、敦子(パプリカ)は仲間たちと共に
調査に乗り出すというもの。

個人的には敦子とパプリカの意識が分裂し、
二人が衝突するシーンが印象的だった。
主人公の葛藤をよく表していると思う。

中盤辺りから夢と現実の境界線が分からなくなってくる。
このアニメの魅力でもあるのだが。
個人的にはパーフェクトブルーよりはわかりやすいと思う。

セリフもインパクトに残るものが多い。
攻撃を受けた所長のセリフは名言だと思う。
真似したくなるのも無理はないと感じた。

作画も相当レベルが高い。誠に感服した。
音楽も特徴的。opからedまで全てが病みつきになる。

インセプションはこのアニメを参考にしていると
言われているのもうなずける。
夢と現実をうまく使い分けているシーンや
建物等がゆがむシーン等は
紛れもなくパプリカ由来のものだ。

{netabare}
ただ、後半における夢と現実が入り混じる
展開という部分ではビデオドロームを思い出した。
ビデオドロームの場合は現実と幻想によるものだが。
ただし、ビデオドロームはホラー映画の中でも特異な部類に入る
醜悪なシーン満載のカルト映画だ。
私がホラー洋画にはまったきっかけの一つでもある。
クローネンバーグ監督の作品はこういった
強烈な作品が多く、人を選ぶためホラーに耐性がない人には
到底お勧めできない。
{/netabare}

今敏監督作品の中では比較的
話がわかりやすいのではないかと感じた。
勘の鋭い人は真犯人はだれなのか
見ただけでわかるのではなかろうか。

個人的には今敏作品の入門として見るのはありではないかと思う。
クリストファー・ノーラン作品が
好きな人間は視聴すべし。

投稿 : 2018/02/17
閲覧 : 419
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20

daruma さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

 映像は凝っていたが、テーマがわかりづらかった。

 私自身が夢をテーマにしたSFもの自体向いてないだけかもしれない。

 映像も、音楽も好きだけど、ストーリーが微妙。

投稿 : 2017/12/26
閲覧 : 234
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3

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

コスプレセラピスト「パプリカ」出撃!夢と現実を犯す「あいつ」を追え!

2006年公開の劇場版アニメ 90分

原作 筒井康隆 監督脚本 今敏 制作 マッドハウス

1991年から1993年にかけて連載された筒井康隆の長編小説が原作。
珍しく既読です。
1995年から萩原怜二により漫画化され、アニメ化後には坂井恵理により漫画化。

フロイトの夢判断を現代的にパロッたような近未来SF小説。(舞台は90年代っぽい)
サイコセラピストの主人公千葉敦子が夢に侵入し心の病を解決する。
物語は「夢侵入テクノロジー」を悪用し社会を乱そうとする犯人との戦い。

パプリカ/千葉敦子 CV林原めぐみ
時田浩作 CV古谷徹
乾精次郎 CV江守徹

筒井康隆本人が今敏に直接アニメ映画化を願った作品。
相当難しい作品ですが、さすがに敏腕監督だけあって想像以上のものになりました。
91年時点での予想を上回るネット社会への移行が起こったため、
本作品でもネット内の映像が多いようです。

当時は難解な作品との評判でしたが、現代の基準では普通レベルのSFアニメで問題ないと思います。
前知識など必要なく観れると思いますが、何度か見直すほどに魅力が増すと思います。
12年も前の作品ですが現代でも色あせない作画と物語は驚異的ですね。

2010年に亡くなった今敏監督の遺作となりました。46歳没

PERFECT BLUE 1997年
千年女優 2002年
東京ゴッドファーザーズ 2003年
妄想代理人 2004年 テレビアニメ
パプリカ 2006年

監督作5作品は日本アニメーションの歴史に残る傑作で間違いないでしょう。

ちなみに、80,90年代の日本のポップスの陰の立役者、
日本のジェイグレイドンことスタジオギタリスト今剛は今敏の兄貴です。

投稿 : 2017/12/25
閲覧 : 393
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32

ネタバレ

kurosuke40 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

東京の平日

誰にも心中に隠したいことはあるものですが、
実は本当に目を背けたいことは隠していることも自覚できないものです。
夢はその隠し事を唯一を覗き見れる穴であり、
穴から隠し事を知り、受け止めて人は成熟していくもの。

もし科学が夢の中を見れるようになったならば、
本人が本当に隠そうとしていることを覗き見る行為であり、
まったく無粋で、それは監視社会とどう違うのでしょうかね。なんて。
(理事長たちとの紛争の論点ではあるが、映画の主旨は成熟の方で、こちらの言及はあんまりしてないけどね)


DCミニから夢を守ろうとする立場の理事長たちだったけど、
彼らは守りたいという言葉よりかは、俺のものを奪うんじゃねぇというジャイアンスタイルに近く、
天才も原爆開発後の科学者に求められるような倫理観は持ち合わせていない。
刑事は過去の自分の夢と行為にとらわれ続け、
所長は原作同様頼りなく、
大人な敦子も、医者の不養生よろしく、どこか心を殺している。

そんな彼らが物語と夢という場を経て清濁併せ吞み、成熟していく。
理事長たちの夢も、小山内の幼さも、刑事の過去の逃走も、時田のすんげー子供っぽさも、パプリカも受け止めていく。

カウンセリングとは心を傷つけぬよう諦めを受け入れるようにすることだという。
夢の中で刑事は半ば追い立てられて一線を越えた。
直前に過去の逃走について思い出せたのもあるけど、
彼の現在の状況が、逃げとして逃走ではなく、前進としての逃走と捉えなおさせたんだと思う。
「続きはどうするんだよ」と批判する親友も「別によかったんだぜ」と肯定する親友も両方とも刑事の心が生み出したものだ。
もちろん親友が心変わりしたわけではなく、変わったのは刑事の自分の自分に対する評価。
一線を越えるとケロッと評価を変えるのは、自分に都合が良すぎて厚顔無恥だなと思うところがあるけど、
まぁ過去や他人にくよくよ悩みすぎてもしょーがねーし、適当にポジティブに考え直して生きろってことなんでしょうね。
仏教でいうところの「二の矢は受けるな」ですね。
別に諦めていいんだし、今それよりも大事なことがあるんじゃないの?

原作読んでから見た方いいよというレビューに沿ってみたけど正直失敗でした。
映画は原作の1.5次創作で、DCミニとそれを取り巻く人たちの枠を借りた別作品ですね。
特に敦子は、原作だと自分の心をちゃんと理解している女性なのだけど、映画はパプリカと分裂していたりするほどで、途中まで見誤ってしまっていた。
他にもいろいろと色眼鏡で見てしまった気がするので、もしこれからの人は基本的に別物と見るのが吉だと思う。

原作はエンタメ小説らしく、あらあらうふふ、わーわーぎゃーぎゃー、アスモデ!アスモデ!と進んで面白かったけど、
映画の方が、より舞台にあった心層的な表現と脚本だった思う。
とはいえメタファーに屈折がなく真っすぐで快活な印象があって、えぐいところまでは掘られてはいない。
この感想のタイトルには意味はあるが、なにかおぞましい深遠な意図はない。
映画は全体的にそんな感触の作品でした。
この監督はひねくれてない真っすぐな人なんでしょうね。
私は原作より映画のほうが好きかな。

ご精読ありがとうございました。

蛇足
林原さんが敦子にめっちゃ似合う。いろんなところで声を聴いているはずなのに、一番しっくりきた印象でした。

論理が夢の世界にも浸透しすぎかなと思った。
意味の分からなさも矛盾を元に組み立てており、結局論理の構造の上に成り立っている。夢の世界は、音の意味の横滑りなどの連想の世界で、論理構造自体が貧弱だと思う
そんな世界の表現の仕方なんてさっぱり思いつかないけど。

投稿 : 2017/12/06
閲覧 : 341
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9

ネタバレ

くろ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ごった煮

夢セラピーをしている主人公の女性は、何者かに夢をジャックされ
色んな異質な不思議世界を見せられる。
段々現実なのか夢なのか、そして誰の夢なのかわからなくなっていく。

{netabare}刑事と一緒に夢の中で犯人を追っかけているうちに、
刑事の昔のトラウマも一緒になって場面が目まぐるしく展開する。
その極彩色の映像美が素晴らしい。
お祭り騒ぎみたいなのが全て収束して押し流されてドーンバーンで
謎のハッピーエンド。 {/netabare}

それではお粗末なので、刑事の抱える問題が無事解決出来てよかったかな。
喉に詰まった小骨が取れた感じ。


今敏さんの作品は、目まぐるしく移り変わるアニメーションが
騙し絵みたいで面白いですね。
平沢進さんの白虎野の娘が素敵すぎ。

投稿 : 2017/12/03
閲覧 : 311
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6

Aurum さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ちょっと変わったアニメを観たい方に

色彩や動きが独特。
見終わった後にクラクラするような、眼底がジンジンするような、
心地よくは無いけれど、不快でもない、そんな今敏監督ワールド、
未見の方は一度ためしてみては。

投稿 : 2017/10/23
閲覧 : 325
サンキュー:

4

ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

違和感から触れる夢の世界

原作未読。今敏監督の作品に触れるのも今回が初めて。

事前の情報からとにかく摩訶不思議な作品らしいということは聞いていたので、見ようかどうかかなり迷っていた。実際に見終わってみると、確かに摩訶不思議。様々な夢の世界が息をつく暇もなく連続展開され、また現実から夢、夢から現実へと舞台変換など複雑に入り組んでいる。加えて夢の世界での無機物のパレード、人形たちや夢に侵された人々のセリフ。
世界観として一度見ただけでは理解しきれないほどの情報量が凝縮されており、恐らく繰り返してみないと理解できない部分も多分にあるが、個人的に一回でお腹がいっぱい。

森見登美彦氏原作のアニメ作品で感じた夢か現かわからないファンタジーな世界観を、さらに過激で大人向けに映像化したというイメージかな。

一方で物語全体の流れとしては理解できないわけでもない。キャラクターの心情などは比較的わかりやすく言葉でも表現されている。主人公の恋心や彼女の違う一面がもつ願望をパプリカを通して描く演出。また視聴者と同じ目線で物語に巻き込まれる刑事役のトラウマとその克服、共犯者の小山内の嫉妬など共感もできた部分もある。

黒幕の理事長の台詞で一番印象的だったのは、「夢は人間が最も人間的である最後の楽園」といったニュアンスの一説。夢の中に人間の本質を見出し、それを不可侵にするいうのは確かに一理あるかもと思いながらも、なぜ彼がそういう理念に至ったのかはまた別の話。

摩訶不思議で前衛的な映像表現と、比較的理解しやすかった人物描写。両者のギャップがこの作品にいい意味で違和感を発生させ、作品の異質感をさらに際立たせているような気がした。

投稿 : 2017/09/15
閲覧 : 286
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9

mojo さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

気になってた作品

ずっと気になってたんですけど怖そうだなと思って見るの断念してたんですけど思い立って夜中の暗闇の中で見てみました。

専門的な用語が羅列したり映像が急に変わったりカオスでしたが、内容は意外とすんなり入ってきました。最後まで見て予想だにしてなかった爽快感に駆られました。とても後味が良かったです。

ただ夢の話のせいか少し映像が雑な感じが気になりました。そういう演出かなと思えばなんてことないんですけど

夢の中という莫大な世界観によってストーリーが進んでゆくので色々見落としがちになってる気はしますが、なんだかんだ話はシンプルに一貫してて、主人公が際立って魅力的に見える素晴らしい作品でした。

投稿 : 2017/09/07
閲覧 : 275
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6

みいちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

わからなくても映像作品として面白い

難解な話です
アホなので全く理解できません!!
パプリカの存在?夢?現実?混同できる?ん?????

色々わからなくても映像作品として楽しめます。
夢と現実の混同している表現のすごいこと。
かなり昔のアニメなのに、こんな表現で映画を作ってしまうのはすごいです。
センスをかんじます。
最近は定額制の映画配信サイトなどによく配信されてますので、是非機会があったら見てほしい作品ですね
映像が素晴らしいのでそれだけで面白いですよ

しかし監督はなくなってしまっていたのですね・・・
残念。

投稿 : 2017/09/07
閲覧 : 281
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8

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 2.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

生きてれば日本を代表するアニメ監督になってたはず

今は亡き今敏監督作品、生きていれば大友、新海、細田、押井監督らと肩を並べてたであろうお方。
今監督の作品は人間の内面(闇)を描く作品が多いが、このパプリカは他の妄想代理人やパーフェクトブルーと比べれば、その世界観を楽しむ作品になっている。
ちなみに原作はあの筒井康隆監督だとか、普段バラエティでしか見ないけど、あの人こんな作品書けたんだw

面白いけれど、じっくり見ないと理解できない、え、何で死んでんの?とかいろいろと疑問が多かった、最終的に理解できたからいいけど。

投稿 : 2017/07/03
閲覧 : 332
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4

hinazuki さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

これは難しい、

完全に大人向けです。

眠ったときにみる"夢"を扱った作品で、
その夢を他人と共有したり
人の夢の中に入ったりできる機械が作られ
それを善とするか悪とするかというのが
大まかなストーリーです。

故に夢と現実を行き来したり
話も複雑な為、真面目に見ないと
わかんなくなっちゃいます。

色彩は鮮やか、ド派手で印象的です。
そして夢独特の不思議な感覚や浮遊感等の表現は
上手く出来ていて面白かったです。

投稿 : 2017/02/26
閲覧 : 284
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6

ネタバレ

北山アキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

圧巻の映像

原作未読

AMAZONプライム(お試し1か月無料中)の会員特典で観た。

映像は圧巻としか言いようがない。
それだけで見る価値がある。
映像には迫力だけでなく、説明する力があるため、脚本もセリフに頼っていない。

物語展開は一見バカアニメ風だけど、それはドライな人間観のためだろう。{netabare}
人間は、他人の視線や、人体という物理的な制限がなくなった状況ではどうなるか?
人間の欲望なんて際限なく身勝手なわけで、バカが極まるしかないのだ。
肉としての自分と、その脳内の自分という自分の二重性を暴露しながら、バカ騒ぎが展開してゆく様は秀逸なコメディとなっている。

精神未成熟な天才がその制限を克服する科学技術を発明するという設定は珍しくはないが、ほとんどの創作は巨人の肩の上なわけだから、そこを「ありきたり」とこき下ろすのは卑怯だろう。

カオスを収束させるために、「男と女」とか二元論的な仕分けをする展開は、陰陽思想の発想だとは分かるけど、当然のことながらそんな思想に馴染みがない分、説得力には乏しい。
ただし、勢いが大事って畳み方を否定はしない。

ラストに恋愛要素を入れたのは、動物としての「性欲」を、恋愛という「ナラティヴ(物語)」を通すことで制御する人間社会の仕組み(性欲に限らず、欲望→物語)を明示するためなのかもしれないが、陳腐で蛇足な感もある。{/netabare}

投稿 : 2017/01/29
閲覧 : 262
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5

金閣寺 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

今敏作品の中では・・・

完成度が低いです。
原作(筒井康隆)があるだけに、今敏なりに消化しきれなかったと表現すればよいでしょうか・・・。
物語とテーマとの結びつきが弱く感じられ、惜しい印象を受けました。
万人向けとは決して言えず、今敏ファンか、アニメ好きの方などにしかおすすめできません。

投稿 : 2016/12/14
閲覧 : 242
サンキュー:

2

hamasan さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

大人一枚

何度か観ていたのだが、あらためて見直すとあまりストーリーを覚えていないことにびっくり。なので新鮮な気持ちで見ることができた。

今敏と平沢進の世界観はかなり独特ながら、オープニングの時点でしっかりと万人の心を掴む魅力に満ち溢れている。
夢と現実が混在し始める終盤から若干ストーリーがごちゃっとなっている感じは否めないけれども、作中のカオスな雰囲気とも合っていてデメリットもあまり気にならない。
隠れ主人公である粉川警部はしっかりと葛藤を乗り越えて、余韻の残る最後のセリフにつながっていく。

投稿 : 2016/12/09
閲覧 : 343
サンキュー:

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パプリカのストーリー・あらすじ

医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか?事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。(アニメ映画『パプリカ』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2006年11月25日
制作会社
マッドハウス
公式サイト
bd-dvd.sonypictures.jp/paprika/index.html
Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%AB_%28%E3%82%A2%E3%83...

声優・キャラクター

林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一

スタッフ

原作:筒井康隆、 監督:今敏、脚本:今敏/水上清資、キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司、美術監督:池信孝、編集:瀬山武司、撮影監督:CGディレクター:加藤道哉、音楽:平沢進、音響監督:三間雅文

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