三崎鳴 さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
今敏監督の記念すべき初監督作品
竹内義和作小説『パーフェクト・ブルー 完全変態』を原作としたアニメーション映画作品であり、又、日本のアニメ監督としては宮崎駿や庵野秀明とも名を並べる巨匠である今敏監督の初監督作品でもある。第2回ファンタジア映画祭アジア部門大賞や第17回ポルト国際映画祭アニメーション部門大賞を受賞しており、アニメーションの可能性の一角を見せ付けた鋭いセンスが光る作品。内容は、アイドルグループから脱退し女優への転身を図った主人公自身とその周辺で起こる異変を描いたサスペンスホラー。実写での表現が難しい様な虚構の中の虚構の繰り返し、と展開力の妙は視聴者の集中を引き付けミスリードに誘う、と全体構成においては見事の一言である。R-15指定と言う事もあって残虐な描写を鮮明に描く事でサイコ的な世界観の中に没頭させる。内容自体は難解だが消化不良ということもなく、繰り返し見ることで新たな発見があることもある。
今敏監督の訃報が2010年8月に流れ、アニメ業界に大きなショックを与えた。宮崎駿監督の引退や今敏監督の急逝、とどうしてこうもアニメーション業界に暗雲が立ち込めるのか。この先、業界の行く末はどこへと向かうのだろうか――