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「PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)」

総合得点
78.0
感想・評価
655
棚に入れた
3050
ランキング
581
★★★★☆ 3.9 (655)
物語
4.2
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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PERFECT BLUE -パーフェクトブルーの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

AO さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

面白い

ストーリー展開が衝撃だった、怖い

作画や演技はかなり昔の作品で評価が難しいのでとりあえず星4にしましたが当時としてはハイクオリティだと思う。

投稿 : 2024/06/28
閲覧 : 33
サンキュー:

1

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「虚構と現実、その境界の曖昧さ」という今監督のモチーフが誕生した作品

【本作の紹介】
『パプリカ』、『千年女優』、『妄想代理人』などで有名な今敏監督による初のアニメ映画(1997年)。
竹内義和の小説『パーフェクト・ブルー 完全変態』を原案とするが、竹内から「主人公がB級アイドルであること」「彼女の熱狂的なファン(ストーカー)が登場すること」「ホラー映画であること」という3点さえ守れば、好きなように話を作り替えても構わないという許可を得ていたため、内容は大幅に異なる(参考:wikipedia)。その他様々な事情が重なって、今監督に共通する「虚構と現実、その境界の曖昧さ」というモチーフが誕生し、それが世に出るきっかけとなった作品とされる。

あらすじは、B級アイドルグループに所属する霧越未麻は、突如グループ脱退を宣言し、その演技の才能を買われて女優へ転身する。しかし、歌を歌うことが好きで田舎から出てきてアイドルになった未麻は、女優への転身を頭では理解しつつも、完全に受け容れられなかった。そんな折、アイドル時代の自分になりすました何者かが、ウェブ上で、辞めたはずのアイドルの未麻として日記を更新し続けていた。そして、女優として活動していく中で、アイドルとしての未麻のイメージを傷つけたと思われる者たちが次々と殺されていくというお話。

テーマは、単純にいえば、主人公には、「アイドルとしての理想の自分」と「女優としての現実の自分」があって、ストーカーに精神的に追い詰められることで、その境界が曖昧になること。なので、本作は、サイコホラーに分類されるが、殺人の犯人探しのサスペンス要素もある。

もう少し掘り下げるなら、理想の自分と現実の自分のギャップに悩んで自分らしさを見つめ直したり、また、人格の同一性は記憶の連続性に支えられているが、精神的に追い詰められることで妄想と現実が混濁して記憶が曖昧になり、その記憶の連続性に嘘はないのかと疑い始める。
特に後者のテーマは、私がここでレビューを書くようになって、アンドロイドが出てくるようなSF作品で結構書いてきた内容と重なる部分が多い。

だから、本作は、電脳世界を描いたSFアニメとの相性がよく(今監督の『パプリカ』もそこに行き着く)、アニメ以外にも、いろいろな作品に影響を与えているのもわかる。

また、1997年と古い作品であるが、パソコンのモニターがブラウン管だったり、スマホじゃなくて携帯だったりするくらいで、テーマの内容自体に古臭さは感じないので、古いからと敬遠されてる方は心配ご無用。


テーマがテーマだけにわかりにくい作品が多い今監督ではありますが、本作と次に作られた『千年女優』は比較的わかりやすいと思うので、興味を持った方は、とっかかりとして観てみてはいかがでしょうか。


【感想】
本作は、アイドルオタクをステレオタイプに描いているので、型にはまった表現だという批判はできそう。もっとも、私は、単に監督がアイドルオタクに共感できなかったからだと感じました。アイドルオタクに対する表現に全く愛が感じられないので(笑)。実際、上にあげた原作者からの縛りでアイドルを題材にしたにすぎず、監督自身は、アイドルに興味があったようではないようです。

また、本作は、難解なテーマではあるものの、いったんカラクリが分かってしまえば話の筋自体(※細かいところは除く)はシンプルに理解できるので、無闇に謎めいた抽象表現が多いわけでもないと思います。

ただ、内容については、上にあげた点を含めて今観ても賛否ありそうだし、実際当時も賛否があったらしい。特にラストに関する解釈は分かれそう。
今監督自身、ラストについては、「すべてが嘘だったからではなく、人生とは苦難を乗り越えれば完全に成長できるという単純なものではなく、何度も同じことを繰り返して成長するものであり、正面から捉えてしまって確定してしまうことを避けるという意図」(引用:wikioedia)と言っているらしい。
監督のコメントや批判をみたとき、私は、次の『千年女優』で上手く昇華されているように感じました。私は今監督の作品の中で『千年女優』が一番好きです。

投稿 : 2023/12/23
閲覧 : 216
サンキュー:

5

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

サイコジェニックフーガ

今敏監督、マッドハウス制作。
解離性同一障害を扱うサイコスリラー。

アイドルグループ「CHAM」を脱退し、
新人女優として活動を始めた霧越未麻。
未麻は華やかな女優業とは懸け離れた、
ヘアヌードや過激なドラマの仕事に戸惑い、
やがて理想と現実の狭間で自分を見失い始める。
{netabare}衆人環視の不安と緊張、ストーカー、ペットの死、
やがて彼女の周囲では不可解な事件が続発していく。{/netabare}

今敏、お得意の虚構と現実が入り交じり、
{netabare}劇中劇、妄想、解離性同一障害などをモチーフに、
未麻の精神は歯車が狂い始め疲弊していく。{/netabare}
これは後にも繰り返し反復される、
監督にとって終生のテーマであったのでしょう。

短編「オハヨウ」が顕著な例ですが、
ここに「心と身体」の問題を付け加えて頂きたい。
より良く生きると言うことは、
心も身体も健全でなくてはならない。

ここで故人を偲びたいと思います。
パラノイアにもっと魅せられたかった。

投稿 : 2023/12/17
閲覧 : 740
サンキュー:

44

ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

感動。整理がつかないほど、呆けてしまうほど、

【First】
 ずっと観たかったんです。
 『千年女優』を観てから、『パプリカ』を観てから。
 リバイバル上映で観ることができました。感謝しかない。音の良い劇場で大きなスクリーンで。

【Synopsis】
 アイドルを目指して上京した主人公はメンバーの中でも人気が高くセンターをつとめていた。
 彼女の努力が実り、世間から注目されるようになると、女優としての仕事が入ってくるようになる。
 アイドルから女優への路線変更を事務所と話し合い、選択をするも・・・

【Review】
 監督は今 敏さんで原画を担当する面々は今やレジェンドともなっている人たちがクレジットされている。
 一度機会があり、今さんの絵コンテをデータで見たことがあります。
 背景の書き込みがラフ原画並みで鳥肌が立つ。本当に天才ってやつはいるんだと感じた瞬間でした。そのままトーン貼れば漫画になるレベル。

 さて、今回のレビューのタイトルの通りですが、整理がついてません。ぶっちゃけ言語化するなんて無理なんじゃないかって思っている次第ですが、気になった点や自分なりに考えた事を書きなぐっていこうかと思います。

 テーマには社会派といっても良い、ストーカーって奴ですかね。ちゃんとおためごかしなしで気持ち悪く描いていて好印象。
 そして、テーゼは虚構と現実。ともすれば、作家の筒井康隆的なメタを感じさせる仕組みが映像の中あったように思う。
 古い作品ですがネタバレは無いほうが楽しめると思いますので、基本的には無しで頑張りたいと思います。


 劇場を出たあとで、歩道を歩いていた私は、落涙していた。
 レビュータイトルにあるように整理がついていない、呆けてしまうだけで、なんの涙なんだ? 今さんの新作が一切作られる事がないことへの絶望か、物語に圧倒されたのか、作画に、演技に、演出に圧倒されたのか。
 きっとどれもだ。少しずつなのか、まとめて全てなのかは分からない。整理できないからだ。
 ただ、いくつかの事柄があたまの中にある。それを羅列していこう。

●アイドルという像
 アイドルは踊るが、ガムシャラには走らない。後ろに手を組んで跳ぶんだ。
 これは、当時のアイドル像がそうであった。アイドルはウンコをしないなんて冗談が思い込みの力により、信じられるように(もはや宗教に近い)。
 アイドルに興味はないんだけれど、現代のアイドル像との違いを意識させられてしまった。
 現在のアイドルはガムシャラだし、大口を開けて笑いもする。もちろんウンコすることは当たり前。
 これを今更ながら感じたわけだけれど、虚像が現実に近づいてきたのか、現実がメタバース的に拡張された結果そうであって欲しいという願望が新しいプラットフォームへ移行したのかどちらだろうかと考えさせられる。
 無知な私は現在のアイドル像がもしかしたら次のステージに進んでいて気づけていないだけなのかもしれないが、そう浮かんでくるのだった。
 分かりやすいメタバースはネット上に拡がっていて安心なのだが、こっちの方は少し恐怖を覚える。そういう意味では、今作品はSFの香りがして私に刺さった理由のひとつなのかもしれない。

●背景はどこから?
 この場合の背景は人物のバックグラウンドという意味ではなく、背景美術の背景です。
 作品が制作された当時はセル画の時代だっただろう。現代のデジタル作画との違いは色味だったり柔らかさだったりすると思うのですが、その結果として背景とセルの違いが上手くいってないと浮いてしまっていたりして、作り物感(実体感の反対語として)が出てしまう。

 前述したテーゼに戻ると、虚構と現実じゃないかなーっていう感じですが、背景とセルの境目を曖昧にする演出によって作品内で逆に実体感を出すことに成功しているように思える。
 どういう方法をしているのかに言及しなければ、っていうのがレビューを書く上での誠実さかなと思うので書いておきます。間違えている可能性もありますが…って予防線張っちゃう辺りはダサダサ。

・方法とはすっごい単純ですが背景として必要なものを減らすこと。
 主人公の部屋の中を例に挙げると(どこまで正確に思い出せるか…)タンスやテレビ、ぬいぐるみ、小物類をセルで描いてるっぽい。背景は後ろの壁や窓だけ。みたいな。
 これはコントロールするのがめちゃ難しいと思う。描く人によって空間把握が違う可能性があるし、カメラにによっても変化するからだ。
 何でこんなことが可能なのかについてはさらに話を戻して、絵コンテの話になる。
 どうして可能なのか、その答えは今監督本人が完璧にコントロールしているように思えるからだ。
 たとえば、原画さんにカットを発注する際に「ここに小物があります。設定の通りにお願いします」コンテ上で後ろが真っ白になっていて、キャラだけのコンテっていのはかなり難題でしょう。これはセルなのでこれくらいの大きさでみたいな具体性が必要なるんじゃないかな。
 このときに原画(動画?)を担当していた磯光雄さんもこの影響を受けてコントロールしてるんじゃないかなって感じる作品もある。
 もしかしたら業界内では当たり前の演出であるもののできるかどうかは力量次第なのかもしれない。
 3Dレイアウトからの原画だったとしてもこの手法は関係ない。どこをセルにして、どこを背景にするのかの選択だからだ。
 この取捨選択はアニメーターの負担との相談になるんだろうけど、作品内でここまで影響を感じるなんてと個人的には驚いた。
 映像の中のレイヤーを増やす(今も増やす傾向)のをこの当時から当時の技術で成し遂げている点でめちゃくちゃ作画を評価するしかない。

【あとに】
 作品には胸糞展開があり、視聴する際には注意が必要ではあるけれど、観ないと損をしていると感じるレベルですごいです。
 もう、Blu-ray買うよ。

 作品とは関係ないのですが、SNSにおいて手抜き作画がーっていうのを聞いた。
 『セリフがあるキャラなのに顔がかかれていない』ってやつね。
 うん、確かに手抜きなんですよ。
 でも顔を描かないのがではなくて、どんな場面かすでに見せているんだからカットを変えるか、もしくはスライドしたりという工夫もできたのでは・・・って話をしたいんだと思う。
 でもそれをちゃんと書かないからいけないんであって誤解を与えかねない事を理解しておいた方が健全だろう。
 こういったレヴューっていうのは簡単じゃないなって思います。
 なので、個人の感想です。間違えもあるよって事を再度書いておこう(ダサダサ)。

 ふぅ少し書いたことで整理できたかもしれないけれど、ヒッチコックの『めまい』よろしくめまいを感じる稀有な作品でした。
 近郊でリバイバル上映があった際には是非劇場で。

 それでは、よしなに。

投稿 : 2023/12/05
閲覧 : 106
サンキュー:

6

にち さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ネタバレを見ずに観てほしい

いやはや、すごく面白かった。これは本当にネタバレを見ずに観てほしい作品だと思う。二十年以上前の映画とは思えないほどすごかった。(ネタバレになるので)内容は言えないけど、脚本もすごいし、キャラクターの雰囲気もすごい。

個人的には夢が現実か分からなくなるような感じがすごく好きなので(サイコ系とかも)後半からの感じがすごくドキドキして楽しかった。一部苦手な人も多そうなシーンがあったけど、それ以上に楽しめる作品だとは思った(一人で見た方がいいかも)。

下の人の言う 『looking glass of…』は映画内のラジオドラマcd…かな?映画見た後に楽しめるかも。

投稿 : 2023/07/27
閲覧 : 135
サンキュー:

2

Hahaha さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:----

Looking glass of perfect blue

あなた、誰なの?

投稿 : 2023/07/15
閲覧 : 84
サンキュー:

1

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

あなたは誰?私は誰?

米津さんのLIVEで
新曲としてタイトルもないし
出すかどうかも不明な曲と
紹介されてたけど
いい曲で気に入った

昔使ってたハンネも入ってたから
すごく気になってた
もしかしたら
出ないかもしれないでしょ
せめてここに
残しておこうと思って

それでこのアニメ思い出した

パプリカも
今敏監督だったよねって

内容はというと
サイコホラー映画です
ホラー祭り開催中なのと
推しの子見ててついでにこれもと

凄く良く出来てる作品なのよ
これに影響された作品も結構
あると思う

アイドルから女優に転身して
色んなオファーが来るけど
現実か虚構か妄想かと
混ざって足下から世界が
崩れていくような感覚を
映像にしました的な

1998年製作とはいえ
今でも充分通用する名作です
今敏監督作品は凄いのですと
絶賛してみましたw

投稿 : 2023/07/01
閲覧 : 205
サンキュー:

10

ネタバレ

ShouyouACL さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

PERFECTLY DRIVED

Perfect Blue:

A film about how projections can change the way a person sees himself, for better or for worse. About what you become when you're asked what you are, and how disoriented that can make you.

The story follows Mima, a pop idol who finds herself changing her life to something totally different than what she was used to. And, with this exchange, problems are caused around them, problems that generate frustrations for secondary characters, such frustrations that end up becoming the main theme of the film. The agent and the stalker are characters who created a perception of the protagonist and forced her to see this vision of herself, however, these visions disturb her so much that they end up breaking what would be reality. Would reality be what people see of me, or what I see of myself. What if the lies people tell were so widespread that they became the truth, to the point where I would become confused in my purpose and goals.
The film addresses this idea of projections very well, since we ourselves, viewers, create projections about the characters, they are wrong, however, for us, it is true. The cat's jump is in the idea that the protagonist is in such a disturbed mental state that she can no longer locate herself in the world, she doesn't know if the life she lives is real, she doesn't know if she is being true to herself and ends up breaking mentally. These approaches are perfectly projected into the film, with a script that is purposefully confusing and open to interpretation, a masterclass in narrative coordination and character creation, an absolute classic.

投稿 : 2023/01/10
閲覧 : 117
サンキュー:

4

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

虚業の制作者、演者、ファンの心理の歪みを描いた傑作です。

 心理系のサスペンスとしては、アニメのみならず映画や小説含む創作物の中で最高峰といっていいでしょう。日本のみならず、欧米の特に映画関係者に衝撃を与えたようです。
 真偽は定かではないですが、本作をそのままパクったと言われるような映画もあります。映像のオマージュを明言している作品も存在します。

 アイドルから女優という転身による不安。女性を切り売りして行くという葛藤。自分のやりたい事とやっている事のギャップ。自分が誰だかわからないアイデンティティの喪失あるいは分裂。そういう芸能界に生きる女性としての葛藤とファン心理、ストーカー心理を描いた素晴らしいストーリーでした。

 鏡の多用による2つの自分という演出が、心をざわつかせます。今敏独特の画面・色合い、何よりもキャラデザでアニメなのか実写なのかわからなくなるような感覚になります。自分の存在の不確かさというテーマによく合っていました。

 ヌードシーンも多々ありますが、本作においては女優を描いていますので必然に感じます。感じますが、同時に女優のヌードで安易な作品作りをしているような、あるいはそれを喜んでみている我々大衆心理まで、描いている感じです。アイドルファンの醜い側面からの描き方もリアリティがあります。
 そして、そのヌードシーンやレイプシーンの評価・人気と清純のギャップがヒロインそしてファンの歪みの原因になってゆきます。

 本作は1997年。1983年とちょっと離れてますが、松田聖子さんがファンに鉄パイプで襲撃された事件があったのでそこからの着想もあったのでしょうか。

 芸能界という虚業を、制作者、演者、ファンの3方向を心理的な裏側から見たとき、どれだけ歪んだ世界なのかという描写が素晴らしい作品でした。

 この映画が81分ですか。信じられないですね。濃密すぎて見終わったあと、疲労で脳みそがクラクラします。息をするのを忘れるからでしょうか。

 キービジュアルのデザインのセンスもすごいですね。ジグソーパズルで表現されたアイドルでもなくヌードでもなく…残念ながら「パーフェクトブルー」の意味が考察しきれてません。ブルーの心理は憂鬱ですが、それだけでしょうか?ブルーフィルムならポルノ画像の事だし…改めて考察してみます。

 それとラストの一言ですね。これは見た人各自が考察すべきでしょう。

 それにしても、素晴らしい作品です。今敏氏。本当におしい人を失いました。改めて今回視聴しましたがいや、良いですね。本当に世界で認められておかしくない作品だと思います。
 私は氏の最高傑作は「パプリカ」かと思ってましたが、初監督のこの作品が最高傑作だったかなあ、という気がしました。そして「妄想代理人」は本作の焼き直しな気もしました。

投稿 : 2023/01/04
閲覧 : 210
サンキュー:

8

ネタバレ

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

複雑なようで実はストレートな娯楽作

時代を切り取ったアイドル像、そして普遍的な解離性を表す題材

アイドルから女優へと転身する主人公“霧越 未麻”

事務所社長から女優に向いてると言われ、役者の道に進み出し始めるところから物語が始まります。主人公の印象としては世間知らずの生娘で、流されやすく主張をしない、八方美人とも言える
{netabare}
作中でペットである熱帯魚が死に、はじめて激情的に不満を吐露する。主人公である彼女を追っている筈のストーリーで、作中の登場人物はおろか視聴者側にも己の本心をぶつけるようなシーンがここ迄無く、彼女の性格がよく分かるシーン
{/netabare}
この作品で扱われる主題は二面性。“霧越 未麻”という女性と、カメラに映し出される女性。アイドルである自分と女優である自分。自我と非我。作品の中で更に“演じる”行為は、ミラーハウスで幾重にも写し出される自分を俯瞰的に見ているようで、観ているこちら側も境界が曖昧になっていき、映像に組み込まれていく感覚がある
{netabare}
ストーカー(本当はマネージャー)が作成したホームページで、未麻自身が書いたような日記を見て、テレビに映るパブリックイメージの自分と、他人が書いているはずの本心を吐露した文章を対比したシーンがあります。一種の煽動から、書いてあることが本心ではない筈なのに夢遊病者のように自分が書いたものではないかと錯覚していく。勿論彼女自身にも後悔や葛藤があるのでしょうが、周囲の声に流されやすく、対外的な場所に重きを置いてしまっている未麻だからこそ嵌ってしまう

徐々にエスカレートしていく過激な仕事に、もう一人の自分と乖離していき、日常が白昼夢のように過ぎて演じている時と現実が混ざり合っていく。作中で未麻が出演する連続ドラマと、自身の身の回りの出来事がリンクする

ラストシーンに向けて、最後に起こる出来事に対しての映像の違和感を少しずつ無くし、視聴者側に目の前の映像を理解させる作業を与えて先を予想させず、伏線の回収もスムーズ

二面性という言葉が未麻だけに掛かるものでは無かったという事だった

視聴後も晴れやかで面白いものを見たと、作中での雰囲気とは真逆の感覚になるようなエンディングが印象的

「私は本物だよ」という未麻の台詞は、作中で何度も写った過去の自分。アイドル衣装を着た彼女にいわれた言葉対するアンサーで、彼女の自己を肯定する儀式で、時間がない中でもたまに病棟へ足を運んでいるのは確認なのかもしれない

未麻という女性は過去を克服した(もしくは途中)かもしれないが、監督からは「どっちの出来事がホントか?」と言われてるようにも見え、夢(芝居)と現実の反転が起こった事が実はウソで、ホントの未麻は夢で見たような殺人犯だとしても、それはそれで面白いかもしれない

ビデオ屋のサイコスリラー映画に対する監督のボヤキなど、主題含め、時代特有の風潮や事象を皮肉に取ったようなメッセージが何度か投げかけられている作品
{/netabare}
監督(今敏)が書いた最後のブログを読み、
間違いなく日本のアニメーション作家の中でも特筆すべき作家であったし、これからも変わらない
彼が捧げたアニメーションという世界、そして作品に、1つの曇りも無いと今でも思っている

投稿 : 2022/12/15
閲覧 : 439
サンキュー:

23

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

last night in soho

一言で傑作である。

ダーレンアロノフスキーの一連の映画や、特にナタリー・ポートマン主演の「ブラックスワン」はここからとってきたといっても過言ではない。

今から20年前のアニメ映画にも関わらず、海外の映画マニアは国内のDVDを買い求めにやってくるくらいだ。(マジでバイトしていた時はそうだったよ)

エドガーライト監督のイギリス映画「ラストナイトインソーホー」も同じテーマを扱ってますね。

今敏監督の海外の影響は凄いです。

投稿 : 2022/05/09
閲覧 : 956
サンキュー:

25

ネタバレ

publica さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/02/17
閲覧 : 156
サンキュー:

1

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

1秒前の自分と今の自分がどうして同じ人間だとわかるか?

このタイトルの問いに対して、この作品では、こう答えています。
記憶の連続性だけをたよりに一貫した自己同一性と言う幻想を作り出している、と。
幻想、つまり、自分は自分であるというのは思い込みであると言うことです。
この作品は、このことを様々な演出(仕掛け)で実体験させてくれて面白いです。

主人公は、歌うことが好きで上京し、アイドルをしている女性です。
しかし、売れないB級アイドルのため、会社の方針で女優に転身します。
ただ、本人は、心のどこかでは歌を続けたいと思っていました。

女優の仕事はとてもハードで、主人公は、精神的に追い詰められていきます。
そして、あることがきっかけで自分の中のもう一人の自分が顔を出してきます。
つまり、この物語は、仮面(ペルソナ)の話です。
今の自分は、本物の自分なのか、それとも仮面をつけている自分なのかです。
はたして今、女優として役を演じている自分は、本物の自分なのか?
実は、女優を演じている自分であり、本物の自分は他にいるのではないか?
心のどこかにしまったはずのもう一人の自分が独り歩きしているのではないか?
主人公は、どんどん自分が分からくなっていきます。

それに呼応するかのように、主人公のまわりでは、次々に殺人事件も起きてきます。
当然、主人公自身も巻き込まれていきます。
そんな中で、主人公は、さらに記憶が曖昧になっていきます。
これは、夢なのか、現実なのか。
この記憶は、事実なのか?
これは、自分がやったことなのか、他人がやったことなのか?
主人公の精神崩壊にあわせて、これらの境界線がどんどん曖昧になっていきます。

また、これでもかって言う演出(仕掛け)の数々は、視聴者をも欺いてきます。
たった今、自分が観ていたシーンの記憶が曖昧になってくるのです。
自分は、今、だれが、どこで、なにをやっていたシーンを見ていたのかと・・・。
次々に仕掛けに翻弄されていきます。

この作品の仕掛けとは、記憶の連続性を意図的に遮断することです。
主人公は、精神崩壊によって記憶の連続性が壊されます。
これにより、自分は自分であるという幻想が打ち砕かれます。
視聴者は、独特な演出によって記憶の連続性が壊されます。
これにより、主人公と視聴者は、完全にシンクロした状態にさせられます。

これで準備が整いました。
そして、いよいよ主人公の中にいる二人の自分の生存競争が始まるのです。
それは、どちらが本物かをかけた必死の戦いです。
もちろん視聴者自身もその中に否応なく巻き込まれていくのです。


この作品は、サイコホラーなので、恐怖を心理的にうったえかけてきます。
しかも、R-15指定だけあって、内容的には結構エグいです。
でも、最後はスカッとする終わり方なので救われます。
キャラデザにクセがあるのは難点ですが、話はとても面白かったです。
このような作品は、なかなか無いので観ても損は無いと思います。

投稿 : 2021/11/27
閲覧 : 491
サンキュー:

17

ちあき さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

印象が強烈

怖かったけど、興味深い。独特なアニメ映画。

投稿 : 2021/10/26
閲覧 : 434
サンキュー:

7

ネタバレ

にゃん^^ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

大人の人向けのミステリー映画だと思う。。けど卒業のおはなしかも

あらすじはあにこれのを見てね☆

ある人が書いたレビューを読んで
気になって見てみたんだけど。。
(よく分からないところとかあって80分だから2回見た)

この前に見たのが
ちょっとほんとにありそうなアイドルたちのおはなしで
なんだかつづき見てるみたいでフシギな感じがした。。

アイドルって自分がヤダって思っても
お仕事だからまわりの人にめいわくかけちゃうとか思って
やりたくないことでもやらなくっちゃいけなくって
たいへんだなぁって思った

でも
学校だって卒業ってあるから
アイドルだってやっぱり卒業しなくっちゃいけないのかな?

レイプシーンのときに未麻が泣いて
マネージャーさんもいっしょに泣いてて
あぁ。。卒業しちゃうってかなしいなぁって
(そうゆうおはなしじゃないんだけど。。)

それで
あらすじに幻影見るってあったけど

にゃんも見てて
どこまでほんとでどこから夢かって
だんだん分からなくなっちゃって
出てるドラマもごちゃごちゃになってきて

ときどき
わっ!ってなっちゃう
ホラー映画みたいだったり

ミステリーなのかな?
それともぜんぶ幻影なのかな?って
それともぜんぶドラマ?
それも分からなくなっちゃって
ちょっと頭がふらふらして気もちが悪くなっちゃった。。

昔のアニメみたいだけど
絵が写真みたいできれい
でも
ふつうの人の顔とかってわざと気もち悪くかいてるみたいで
それはいやだなぁって思った

終わりのほうは
すごくこわくってドキドキしちゃったけど
さいごのほうはドキドキが急に感動して泣いちゃった。。

未麻もアイドルのままでいたいって思ってたけど
あの人ってきっと
未麻が思ってるのよりずっと
アイドルの未麻がやめてほしくないって思ってたんだよね。。

さいご未麻が
{netabare}「わたしは本物だよ」って言って
それってちゃんとアイドル卒業したってゆうことかな。。
EDの歌詞でも卒業って言ってたから{/netabare}
きっとそうゆうおはなしだったんじゃないかな。。

投稿 : 2021/09/07
閲覧 : 1171
サンキュー:

116

ネタバレ

Bハウス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ラジオドラマ版は怖かったこちらはポカンとした

その昔ニッポン放送でもアニラジのワイド番組があった
本作はその前段階としてラジオドラマを先行放送
劇中劇「ダブルバインド」がモチーフになった

得体のしれない恐怖を上手く音で表現していたので
本番となる劇場版に期待していたのだが

物語としては両方共通
元アイドルで現在は女優をしている主人公

女優としての仕事でヌードやレイプシーンがあったため
アイドル時代のファンから失望を受ける

事務所の方針で転向した事もあって
主人公自身も段々と今の仕事に疑問を感じ始めていた

すると主人公の名前が付けられたHPが立ち上げられ
そこには誰かが成りすまして書かれた日記が更新されている

自分ではない自分に振り回され
主人公はどんどんと精神的に追い詰められていく

ストーカーによる被害が増加した世相が背景があるので
この作品もサスペンス要素として
ストーカーが現れ主人公を襲う

自力で回避した主人公の前に現れたのは
アイドル時代の主人公の衣装を着た
担当の女性マネージャーだった

事件の黒幕がそのマネージャーで
ここからしばらく主人公との追いかけっこが
展開されるのだが

マネージャーの体系がぽっちゃりで
主人公のサイズと違うのによく破れないなと
変な感心する位滑稽で

急にホラーテーストの緊張感がなくなるから
劇場でこれ見たいと思っていないんだがと思っていた

マネージャーも元アイドルで
主人公に思いを重ねていたことから
女優としてアイドルのイメージを傷つけた事に
憎悪しやがて自分自身が主人公に同化してしまっていた

サイコサスペンスとしては古典的でよくある話だけど
それでもマネージャーの体系がなぁ~(T_T)

エロマンガだが「パレードパレード」の方が
同じ設定でも良くできた物語だった

投稿 : 2021/08/24
閲覧 : 191
サンキュー:

3

蜜爺 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

タイトルなし

何度も見てる。もうこの映画大好き!!!!!昔の作品って感じられる声優さんの声質がたまらないです!!!

投稿 : 2021/08/22
閲覧 : 169
サンキュー:

4

ガバ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

演出の妙 醸し出される不気味さ

多分、この映画は私のストライクゾーンではない。見ていて気持ち悪くなるような作品である。しばらくは見返したりはしないと思う。正直内容も100%理解しているとは言えない。(特にラスト15分くらい)

ただ面白かったと思う。

投稿 : 2021/05/22
閲覧 : 246
サンキュー:

4

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

フェイバリットアニメ

【劇中劇】
自分は劇中劇が大好きだ。我々は映像作品をみるときPCや、テレビや、劇場のスクリーンをまんじりと見つめる。そのぼけーっとした様は外から観察していればさぞかし恥ずかしいものだろう、そういうことを自分はよく考える。また、自分はおたくとして、忙しい現実的日々の合間を縫ってせっせとアニメや小説の観賞に没頭する。その結果、現実においても、自分はその時はまっている物語に影響されて、ものを見る。また、当然、現実の経験も、物語の批評に影響を与える。
僕は日々現実を生き日常的なあるいはドラマチックな些事に追われ、同時に作品の中を彷徨っている。
一体現実の出来事と、フィクションへの没入、どっちが自分の多くを占めるのか、わかったものではない。
そんな傾向があるのは日々作品作りに奔走するアニメ制作者たち、あるいは俳優たちもかわらないだろう。
自分が劇中劇が好きなのはその物語と現実の倒錯が自分に親しいものだからかもしれない。
でも、アニメでこういう劇中劇ものって意外とあまりないと思う。声優や漫画家、アニメ制作の仕事にスポットをあてる作品などはある。でも、そういうアニメで学ぶ〇〇のお仕事みたいなのではなく、それを背景にメインディッシュとなるしっかりしたストーリーがある、という作品は少ない。あくまで、その設定をどう料理するか、という範疇のものばかりだ。もっと劇中劇、増やして欲しいなあ。
例えばアニメーター界での殺人事件、とか書いて欲しいなあ。まあ妄想代理人でそんな話もあったが。

【リアルな人間味とグロテスクさ】
自分はアイドル的なモノにはまったためしがないのでわからないが、アイドルというのは、多分アニメのデフォルメイトされた「可愛い」キャラクタのように(無論元来の個性というのはあるが)本質的に偶像的な可愛さが求められるものだと思う。そういった職をテーマに、人間以上に生々しい今敏らしいキャラクタデザインがほどこされ、そのコントラストが心地よい。

またこの作品には何人か本当に気持ち悪いキャラクタが登場する。美が芸術であるの同様、醜悪さも芸術たる。そういう存在感のあるグロテスクさを現実感とともにフィクションに内包させているのも好感がもてる。

【けして華美すぎない】
この後の今敏作品群は、個性的な画風がさらに洗練されカラフルになっていくように思うが、この作品ではもう少し穏当で素朴な画風。これがまた良い塩梅。

【総評】
とにかく自分の中ではアニメ作品の最高傑作。

投稿 : 2021/01/25
閲覧 : 512
サンキュー:

13

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

スッキリとはしきれないところがありますが、意外な結末が待っていてラストは驚きがあります

今敏の初監督作品であり、氏の出世作。
原作小説がありますが大幅に今敏アレンジされているようです。

元アイドルの「霧越未麻」は事務所の意向もあり、女優への転身を謀るが、与えられたドラマのセリフは一言だけで、焦った事務所は脚本家に頼み込み、結果、未麻はレイプシーンを演じることになってしまう。
続けてヘアヌードグラビア撮影の仕事が入り、過去のファンからも白い目で見られ始める。
一方で、役者としての仕事は軌道に乗り始めるが、アイドルだった自分が未麻の前に幻影としてチラつき始める。
さらにインターネット上には自分の生活が細部にわたり記録されている自分の日記サイトが公開されていて、書かれている内容がアイドルだった自分の想いと重なり混乱する。
そして、未麻の仕事で関わった人物が殺され始める。
現実とドラマの自分が混ざり合い、自分がどこにあるのか、悪夢のようなシーンが繰り返され、気が狂ってしまったのか、自分は役者だと思い込んでいるレイプされたストリッパーなのか、自分が殺したのか、何が本当なのか。
途中までは一本道で分かりやすく、アイドルを続けていたらということを思い感情が揺れる様を描いた作品と思って見ていたのですが、どんどん内容がサスペンスホラーになっていき、やがて今見ている場面がどのシーンなのか分からなくなっていきます。
ショッキングなシーンの後、フトンで目覚めるシーンが多々あり、夢か妄想か記憶が飛んでいるのか、視聴していて分からないです。
油断して見ていましたが、ちゃんと今敏らしいからくりのある内容でした。
ただ、きちんとオチがつけられていて、結局よくわからないまま終わるようなものでは無いのは良かったと思いました。
スッキリとはしきれないところがありますが、意外な結末が待っていてラストは驚きがあります。

セルアニメの時代の作品ですが、今見ても作画など違和感なく楽しめました。
作品自体が15Rなだけあり、エロとショッキングなシーンがあるので、少し注意が必要かなと思います。
今敏作品では比較的まとまっていて、クセはもちろんありますが、今敏作品の入口としておすすめします。

投稿 : 2021/01/16
閲覧 : 193
サンキュー:

8

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

サイコスリラー。

【概要】

アニメーション制作:マッドハウス
カナダでは1997年7月、日本では1998年2月28日に公開された劇場アニメ。
原作は、竹内義和による小説の『パーフェクト・ブルー 完全変態』
監督は、今敏。

【あらすじ】

主人公である霧越未麻は、トリオのアイドルグループ「CHAM」で2年間活動していたが、
ドラマにちょい役で出演するようになり、連ドラのレギュラーを打診されたのをチャンスにと、
アイドルのままだと頭打ちだと考えた事務所の社長・田所の方針に流されるがままに、
アイドルグループを脱退・卒業しての女優への転身をステージで発表。
そのことで、【裏切り者】と脅迫のFAXが未麻の自宅に届く。

女優業に専念の未麻であったが、アイドルのイメージが強すぎて使いづらく、
当初は台詞が一言だけだったり数カットの出番のみの端役。
歌をアイドルを辞めてまで、こんなので良いのか?とマネージャーのルミは不満を顕にする。
事務所の社長・田所の営業により、未麻のアイドルのイメージから脱皮を企図した路線を模索。
そんなときに、未麻宛に送られてきた手紙が爆発して、
開封しようとした社長が手に怪我を負う事件が起きる。

一方で、何者かが自分になりすまして「未麻の部屋」というホームページを運営していることを、
ファンレターで知った未麻は、パソコンを購入してルミに設定をしてもらい、
いざそのページを見てみると、詳細に未麻を調べているなりきりどころか、
未麻本人しか知り得ない日常生活がつぶさに書かれていることに、
自分は監視されているのではないか?との恐怖を未麻は感じる。

未麻は女優としての活動が上手く行ってないことや、
自分が抜けてデュオになった「CHAM」の人気があがってきたことで、
現実とは逆にアイドルを続けている自分の妄想に一瞬囚われたりする。

ドラマの中で暴行される性的に過激なシーンを演じたことで注目を浴びて、
女優業が軌道に乗って人気が出始めた未麻。

だが、これは本当に自分がやりたかったこと違う!と、
未麻は強いストレスを感じて、アイドル時代の自分の幻覚を見るようになる。

取材のカメラの前ではアレは仕事だと割り切った女優を演じる未麻。
だが、未麻の前にアイドル未麻の幻覚が現れて、
本当は今でもアイドルに戻りたいと思ってるけど汚れちゃった!と未麻をからかう。
そんな幻覚を必死に否定する未麻ではあったが、どちらが本当の未麻の心なのだろうか?

そんな折に、未麻の過激なシーンを書いたドラマの脚本家の渋谷貴雄を始めとして、
続いて、未麻のヘアヌード写真を撮影したカメラマンの村野など、
アイドル時代の未麻のイメージを壊す仕事をした業界人が殺される事件が続発するのだった。

【感想】

『新世紀エヴァンゲリオン』『機動戦艦ナデシコ』らより後に制作されたのに、
絵柄のせいか、発表年代より古臭く感じられる作品。

このアニメの製作者であり、2010年に46歳で亡くなった今敏監督といえば漫画家出身であり、
大友克洋氏のアシスタントを経てからアニメ業界に入っただけあって画力が堪能。
そのまま絵として商品になりそうなぐらい背景にいたるまでコンテをびっちり描き込むのは、
完璧主義者なのかな? アニメーター視点では、指示がはっきりしていて仕事しやすいのか、
ここまで描かなくて良いんじゃない?と思ったのか、ちょっと聞いてみたいですね。

今敏作品では、監督は漫画家先生でスタッフはアシスタントみたいな関係かな?
で、アニメ作品を数多くの才能の競作の結果として見るよりも、
監督のクリエイターとしての我や個性の強さを尊ぶ類のアニメファンからは、
宮崎駿や押井守と並んで評価されているアニメ演出家の一人であると思います。

氏のこだわりの一つである背景のリアリティは、20世紀末の時代感を醸し出していますね。
ですが、未麻の私室のテレビやデスクトップパソコンのモニターのノートパソコンみたいな、
そのサイズに、え?当時ここまでブラウン管ディスプレイは小さかったっけ?
と今の液晶モニターに慣れてると、記憶を掘り返してみたくなりますね。

さて、90年代後半当時は現実では安室奈美恵、深田恭子、広末涼子らが大人気だった時代。
アーティストであったり、女優業がメインの人気タレントであった彼女らと比べると、
アニメとはいえ、アイドルとしての未麻は昭和を引きずってて古臭い。
岩男潤子さんのアイドル喋りもぶりぶりして気持ち悪いなと思ったり。

アナクロ過ぎるアイドル像の未麻に、これがリアリティ?と思ったりもしたのですが、
創作の物語の世界では、例えば戦国時代ドラマでは、
作品ごとに石田三成が良い人だったり悪役だったり毀誉褒貶が激しいように、
作品で表現したいシナリオやテーマに沿って人間の描き方が変化するものです。

今敏作品を数本観たところでは、監督の描きたい世界観がそうなのか、

『古くさいというより、古びた価値観にいまだに憬れているのかもしれないが。』

と本人の言葉にあるとおりに、『千年女優』で古き良き昭和を情緒的に描くいっぽうで、
平成の時代の人間模様を、性別や年齢に関わりなく薄暗く描く傾向が強いですね。

このアニメにしても、もともと芸能界に対して含むところが監督にあるために、
ウケ狙いで低俗に走りタレントを消費する安直なTV業界であると批判気味に描いており、
まともな神経ではついていけない場所。アイドルとて生々しいただの人間であって、
少なくとも「CHAM」はファンが憧れる可愛くて眩しい特別な存在でもないですし、
だからこそステージの上でも客を魅了するカリスマ性のかけらもなく、
ぱっとしないあまり売れてない時代遅れの凡庸なアイドルの未麻が、
話題作りで注目を集めて事件を経て大人の女優に脱皮する。
そんなコンセプトでキャラが作られていますね。
だから、岩男潤子さんの演技は最初は過剰なまでにぶりっ子気味ながらも、
女優になるにつれて、サスペンスシーンなどで甘さが抜けた演じ分けがされています。

アイドルのファンも、先鋭化した一部の厄介衆でなくても冴えないオタク衆って感じで、
アイドルオタクが、90年代タッチの眼球が異様に大きい萌え絵のアニメポスターが貼られた、
オタクショップに入ってアイドルを上から目線でDisったりしながら駄弁っているシーンなど、
美少女アニメやオタク文化に対してのネガティブさに溢れていますね。
同氏の他の作品を見ても、萌え文化に対する抵抗感が表れていて、
そこらあたりは、漫画『編集王』の原作者の土田世紀氏に感性が似ていますね。

実際のところ一部のオタクは作品で描かれているとおりであって、
アニメが対象の場合はtwitterではあまり見かけませんが、
売れていようが売れていまいが自分の思い通りのものと違うだけで正論と自称して、
ク○扱いしてネットの掲示板で叩きに熱中するマニアのたちの悪さと似たりよったりで、
この手の連中のネガティブな支配欲をよく見ているなと感じました。

自称アイドルファンも決してアイドルの味方ではなくて、
自分が満足するためにアイドルを応援してお金を払って消費していく存在。
だからこそイベントに来るファンの期待を裏切ってアイドルを卒業した未麻と、
アイドル未麻を見られないことに落胆して辛口になる元ファンの意識のズレが何度も描かれている。

この作品内での事情では、ファンや周囲の業界人の感情の押し付け、理想と現実のギャップで、
アイドルでなくなった未麻の葛藤の材料になっている…といったふうに、
と、すべての配役やシナリオを計算して作ってる、
汚しなどにこだわったジオラママニアみたいな凝り性な監督に思いますね。

それが美学なのか、他の作品を見てもキャラの造形はまず否定から入る。
それは歯の形であったり、目つきであったりの歪さで、人柄が外面に表れる。
しょーもない人たちであることを前提に、この作品では不気味さを、
コメディである別作品ではユーモラスであるなどと、役割をトッピングする形。

ですので、個人的にはキャラに興味持ったり好きになることも無いのが常ですね。

未来に可能性を夢見て生きる若者に『人生は甘っちょろくない』と、
冷水をぶっかけるみたいなのが今敏氏の作風。人間はきれいな存在でもない。
何年も付き合いのある仲間らでも情誼が厚くなかったりで、馴れ合いも自己満足。
また、重すぎる感情は押し付けや足かせにしかならない。
自他の区別をつけて、人間は程々が一番に見えたりもする世界。

生きていくのに仕事や生活に必死な者は、
泥と汗にまみれて辛酸を嘗めてその日その日を凌いでいる。
弱さ故に道を踏み外し、容易にクズとして転がり落ちる。
ホームレスなどを数々の作品で好んで登場人物に用いもする。
かと言って成功してる人たちも、まっとうな人種でないケースが多い。
といったおじさん目線の世界観で人間模様を蟻の行列のように観察する。

そんな世界でささやかな幸運を掴んだり苦労や危険を乗り越えようともがくという物語で、
うまく行かないことが本当に多いというオチ。目指しているのはヒューマンドラマですよね。

それがサイコサスペンスである当作品であれ、
人情物である『東京ゴッドファーザーズ』であれ、
そういう人間模様を泥も汚れも楽しむ娯楽作品として頷ける人には、
面白いものであるかもしれませんね。

この『パーフェクトブルー』では、業界の汚れや歪んだ愛情や執着心にさらされて、
どんどんヒロインの未麻が精神的に追い詰められておかしくなって、
「現実と虚構の曖昧さ」や「理想と現実のギャップ」で、
本人の認識する世界が、どこまで現実でどこからが幻覚なのか区別がつかなくなる、
と異常な状態を表現した映像世界に視聴者がどっぷり浸って楽しめるかが全てでしょう。

連続殺人事件の真犯人が誰なのか?などの予備知識無しで視聴した場合のみ、
計算されたシナリオと演出が、出口のない迷路であるかのように、
映像の緊迫感に引き込まれて楽しめるかもしれませんね。

監督のリアリズムゆえにこだわりに溢れた作品ですが、
あくまでも人間の心がもたらす狂気を楽しむエンターテイメントであって、
この作品はドキュメンタリーではありませんね。

だって、真犯人の動機とか奇行とか常軌を逸していてリアルじゃないですから。
フィクションはフィクションとして、クリエイターの作りたい世界が、
どのように表現されているか?千差万別でこれはこれで面白いとは思いますけどね。

そこらも含めて人間のブラックな部分やホラーさをB級娯楽として理解した上で、
観てる人は楽しめたら良いなと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/01/06
閲覧 : 319
サンキュー:

32

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

Pubic hair is art.

作画の5.0は陰毛分。

投稿 : 2020/11/28
閲覧 : 186
サンキュー:

0

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

タイトルなし

複雑なストーリーは1回ではわからないのですが、2回、3回と観てもやもやしたものに一つの解が見つかった時に感動が現れる、そんな物語。
脚本ももちろんすごいのですが、視聴者に考えさせたり、不気味さだったりの見せ方が洗練されている。
これが生きていれば宮崎監督を超えたと言われる今敏監督初監督作品ですよ!
一見の価値はある。
でも、私は東京ゴッドファーザーズの方が好き。

投稿 : 2020/07/15
閲覧 : 359
サンキュー:

10

kabaj31 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

怖い。

R15指定のアニメ映画。
81分。
実写の方でも、パーフェクト・ブルーという映画があるようですが、
そちらは原作が別で、内容も全然違うみたいです。

原作の竹内義和さんは、かつてあった関西の1008KHzみたいな周波数の日曜の深夜にやっていた某ラジオ番組の人という印象です。
最近は怪談の語り手なんかもやっているようです。

内容はアイドルから女優に転向した主人公のお話です。
かなり複雑な内容です。

・オタクから見た視点
主人公はきっと女優という仕事を不安がっているはずた、という勝手な思い込み
アイドルに戻って欲しいという願望

・主人公の視点
女優という仕事への不安はあるが、前向きな姿勢
濡れ場も頑張って挑戦してみる、これも前向きな姿勢でいる
しかし、心の深い部分では大きなストレスを抱えている?

オタクの願望と主人公の不安、
この2つの方向性が”別の主人公”を生み出していく感じです。
全然上手く説明できません。

ドラマの撮影スタジオや舞台裏が中心で、その辺がシナリオに上手く絡んでいると思います。
これはドラマの撮影なのか現実なのか、そういった部分の見せ方が映像的な面でも上手いと思いました。

メタ演出のようなものは無かったと思いますが、
精神的に気持ち悪くなるような怖さ、不安を煽るような演出があります。
あと、エログロもかなりあります。

声に関しては、普通に上手いと思います。
名前を見たら有名な人でした。
あと、北野誠がレポーター役で友情出演していたのが少し笑えました。

全体的に非常に気持ち悪く、気持ち悪いものを見たあとは気持ち悪いです。
あんまりお勧めはできませんが、気持ち悪くなりたい人は止めません。

投稿 : 2020/06/29
閲覧 : 430
サンキュー:

6

セシウス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

難しかった

 女優に転身した元アイドルが、ストーカーに追い詰められ自分を見失っていく様をリアルに描いています。
 物語が主人公目線なので主人公が精神的におかしくなっていくにつれ現実に起こっていることが何なのかわかりにくくなっています。
 しつこいストーカーの怖さと、自分がおかしくなると周りの人が正常かどうかもわからなくなってくる怖さを二重に感じました。この辺は画面の見せ方も上手だったと思います。

 事実と想像の境界が曖昧でラストで全てが明らかになったあとも微妙にもやもや感が残りました。

 サスペンス的な雰囲気が好きな方は一見の価値はあると思います。

 ちなみに海外では18禁だそうです。特段エロいわけではありませんが、主人公が女優として演じる劇中劇の中のシーンのせいだと思います。日本ではさすがにR-15ですが、子供と一緒に見るアニメではありません。

投稿 : 2020/05/27
閲覧 : 276
サンキュー:

2

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

現実と幻想 理想と虚像

アイドルから女優への転身、仕事上の世界観の変化からの情緒不安定。方向性どころか現実まで定まらない不安感、精神崩壊が狂気の世界を誘う。

今更ながら、今敏監督作品を初鑑賞。
20年前に観れば異なる感覚を得ていただろうが、今観ても強烈な作品ですね。

後半は観てる側の神経さえ狂わせて来る辺りは、凄まじい押しの効いた展開で、凄いの一言です。
容赦の無い描写、演出、そして裸体のラインなどは秀逸かと。時間を感じさせない程、引き込まれました。鑑賞後は迷った迷路から抜け出せた様な感覚に襲われました。もう一度鑑賞有りかと思います

観る人によっては…だと思いますが、個人的には自分の中で纏める事は出来たと思います

投稿 : 2019/10/04
閲覧 : 286

けいP さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ラジオとのコラボ

この映画が上映される前に
ニッポン放送の
アニメガチャンとかいうラジオ番組で
このパーフェクトブルーのスピンオフラジオドラマ
みたいのやってて全部聴いてから
この映画観たんだけど、
確か劇中の主人公が出演する
ドラマをそのラジオドラマでやってたんだよなぁ
うる覚えだけど。

そのラジオドラマを聴けば
映画をもっと楽しめる
とか言ってたけど
正直そうは思わなかったw

投稿 : 2019/10/04
閲覧 : 297
サンキュー:

11

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

閲覧要注意

何年かぶりに 観かえしました。

正直、今敏監督は苦手です。

が、この作品は、『原作者』の叫びが聴こえてくるようで好きです。(キャラクター原案、江口寿。最高です。)


お話としては、『あなた、誰なの?』に始まり『私は私よ』で終る。



まず、
未麻子の部屋が 強烈に目に飛び込んできます。

きっと
普通の女の子の普通の部屋。

まるで『覗き』をしているかの様な錯覚を覚えます。
(いいよ、狙いにハマってあげましょう…)

私は覗き魔になる。


そして
女優としての未麻の初の濡れ場のシーン。

レイ◎される未麻はとても美しい。ゾクッとする。

デフォルメのない、正確な躰のライン、
男の『in out in out』の動き…リアルでエロティック。

私は未麻を犯す男優になる。



どんどん不安定になって行く未麻

『解離性障害』という病

『ストーキング』(あえてあたしは偏愛と言いたい)


それらの『不安要素』が絡みあっての
ラストへの疾走。


私は思うのです、
この作品は、誰にでも有り得るであろう『迷い』からの脱出劇ではないの?と。



この作品を、『グロ』と思って欲しくない。

先入観で敬遠して欲しくない。

心の話、愛の話、そう思う人が一人でも多くいて欲しい。


『罪』を
人は 気づかないうちに犯している。

『こうあって欲しい』という願いが高じて

人を傷つけたり
無意識に自分を傷つけたり



今 自分に
『私、誰なの?』と問う
『解らない』と応えることしかできない


一生
応えられないかもしれない

それでいいと 思ってる




今監督の短編映画『オハヨウ』
こちらも合わせて視聴してみてください。


人の中に潜む、複数の『私』


複数が『ひとつ』になって
『自分』が完成する。




さて
今日の『私』はどの子とどの子?

投稿 : 2019/10/03
閲覧 : 1491
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

1998年って何してましたっけ?

オリジナルアニメ劇場版


『東京ゴッドファーザーズ』が面白かったこともあり、続いての今敏監督作品2本目を視聴。とりあえず公開年度順に追っていこうと思います。

初めにお断りすると、作品内容には触れたか触れてないかよくわかんない感想なのできちんとしたのをご希望ならば他の方のレビューをあたったほうがいいです。
それでは、

アイドルグループの一人(ヒロイン)が女優に転身を図り、どうかと思う仕事(いわゆるヨゴレ)をやってるうちに、気持ちと反比例して評価は上がりーの、となると精神のバランスが保てなくなって、、、
とあらすじ見ててもサイコ感プンプンな本作。普通の娘さんが壊れていくさまを見るのは忍びないがこれもまた真なり。という物語です。
仕事が女優とあり劇中劇としての撮影シーンと物語がシンクロする構成です。81分の上映時間ながら密度は濃ゆいと思われるサイコサスペンスの良作でした。

公開は1998年です。

 “解離性同一性障害”
 “ストーカー”
 “インターネット”

現在では一般化した言葉も認知されたかどうかといったお年頃。
解離性同一性障害は1995年のビリー・ミリガンの事例を境に認知されだした言葉でしょう。桶川ストーカー事件が発生するのは1999年。また通信費の兼ね合いでインターネットを利用する人は限られてました。
ISNテレホーダイが最新鋭の回線サービスで、それでも通信速度はISDNの128kbps程度と、スマホ月々〇〇ギガの足元にも及ばぬしょっぱめの環境で、せいぜい竹野内豊主演『WITH LOVE』でのメールのやり取りできゅんきゅんしてたのが1998年なのです。
さらにアイドル冬の時代。安室奈美恵全盛期で10代のSPEEDはアーティスト寄り。アイドル系譜のモー娘はまだモーニングコーヒーを飲んでいて、日本の未来にYEAH!YEAH!するのは翌1999年だったりします。
も一つ脱線すると、宮沢りえの『Santa Fe』(1991年)で“ヘアヌード”というエロの表現方法が提示され、その後玉石混淆の写真集が出尽くして菅野美穂の『NUDITY』(1997年)で一区切りをつけた時期でもあります。

ストーカー一つとってみても、本作ヒロイン未麻ちゃんがちょっと脇が甘く見えてしまったり、事務所もう少しガード固めろよとツッコミを入れたくなりもします。しかしそれはリアリティの欠如ではなくこれがこの時代のリアリティだと言えましょう。
時代背景の色が濃く出てるため古臭くも感じますが、同世代を知る者には懐かしく、一方で、扱うテーマが人間の内面であり、作品が持つ時代の先取り感がハンパなく、今をもってしても色褪せない力強さもあわせもっているのでした。


短い時間の作品なのであまり内容には触れまいと思いつつ二点ほど。


■普段は二次元のエログロは平気なのですが・・・
よくグロい表現があるので閲覧注意!ってありますけど、アレ全く気になりません。「所詮二次元じゃんへーきへーき」と思う人です。実写の比ではないからです。
エロにしても二次元に欲情した経験はありません。めんどくさくて思い通りにいかない現実の女性が魅力的だと思う人でもあります。
そんな自己紹介は不要とお叱り受けそうですが、今回はそのエロのほうで惹かれるところがありました。{netabare}脱いだ時の{/netabare}肉の付き具合と体のラインが現実のそれに近い。心の動きは言わずもがなです。


■乖離する人 同調する人
サイコはサイコでとても人間くさい登場人物たちです。
まさに映画公開された頃合いは、学生ながら夜な夜なお酒を提供しお客さんの話し相手をする側におりました。※ホストやキャバクラのボーイではありません
客にはキャバ嬢さんや音楽関係の人が多く、売れないアイドルも付き合いで来店という空間です。
それでですね。。未麻ちゃんみたいな子は実際いるんですよね。{netabare}ルミさんもしかりです。{/netabare}この作品を観ても二人ともメンヘラの一言で片付けられないんですよね。


人間って実際こうだよな~と感じます。陳腐な物言いですが“リアル”ということなんだと思います。
一方でアニメである必要がどれだけあったかはよくわかりませんね。
あえてアニメ的表現ぽかったのは、{netabare}妄想アイドル{/netabare}未麻ちゃんの軽やかなステップぐらいでしょうか。実写ではCGじゃないと難しい動きでした。
{netabare}となると軽やかに追跡してた“中の人”は動けるデブってこと? きっと日夜トレーニングに励んでたかもしれない!と思うと怖さも増します。{/netabare}


本作公開から20年。実写・アニメ問わず゛虚実ないまぜ” 似たようなプロットの作品に触れてきてる身としては既視感を覚える作品ではあります。こっちが先だよというのは置いといてですよ。
1998年でヒロインが21歳の設定ということはおおむね自分と近い世代です。同年代の女の子がWINDOWS OS('95か'98)に四苦八苦している様がむしろ印象に残りました。あー、俺と一緒やん、と。

勝手に小難しそうな作品を作る監督かも?とイメージしてましたが見やすくて面白かったです。
さらにご新規さんはもちろんリピートさんも着目してみると1998年という時代が透けて見えてくるでしょう。この点は本作の付加価値です。



2019.02.15 初稿
2019.08.03 修正

投稿 : 2019/08/03
閲覧 : 855
サンキュー:

42

ももも さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

サスペンスホラー?ミステリー?

早世された今敏(こんさとし)監督のデビュー作品。
初監督だったっていうのはググって知りました。

原作は一般小説で、ジャンルは多分サスペンスホラー(またはミステリー)になるんだと思います。
ジャンル的にネタバレ=死なので内容は一切書きません(´・ω・`)

この作品を見たのは多分15年くらい前です。
当時思ったのは「これ実写で良くね?」という感想だったんですが、その後色々なアニメを見て考えは変わりました。
当たり前ですが、アニメは実写ではないです。どんなに緻密に描いてもそこには描き手(または作画監督)の意思が入ります。
その意味で、本作は「日常の中に入ってくる違和感」というものを、かなり制御して描いていたんじゃないかなぁと思います。

投稿 : 2019/06/20
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PERFECT BLUE -パーフェクトブルーのストーリー・あらすじ

アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させ(つつも事務所の方針に流されるままに)、ドラマ出演でレイプシーンを演じる。さらにはヘアヌードのオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。(アニメ映画『PERFECT BLUE -パーフェクトブルー』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
1998年2月28日
Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%...

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