takato さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
押井守の最高傑作。空虚な静寂さと引き伸ばされる時。
エンタメ性と作家性の両立をなかなかしづらい世界の押井さんだが、ovaでやったクーデター話を元にした本作こそ最高傑作ではないだろうか。押井さんの作家性というとテーマの部分が注目されがちだが、一番のポイントは画作りも含めた演出全般の腕の冴えの方だと思える。
1作めの映画はあくまでキャラの魅力強めなTV版「パトレイバー」の正統な流れを組む良作だったが、本作はもう監督の書きたいこと(大人な後藤さんと南雲さん)により集中する作りになり、かといって攻殻ほど抽象的な作りにならずポリティカルサスペンスの傑作となっている。更に、なにより押井さんの最大の武器である会話、そして世界のそして人の空虚を映すような他には空間と時間の創造。
言葉に溢れているようで沈黙に近い饒舌
事物に溢れているようで空虚な時と時間
バブル期というほんの一時にこそ産まれえた憂鬱