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「風の谷のナウシカ(アニメ映画)」

総合得点
90.7
感想・評価
1970
棚に入れた
12655
ランキング
50
★★★★★ 4.2 (1970)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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風の谷のナウシカの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

YOU0824 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

コロナとナウシカ

この作品は2021年12月25日に地デジ
「金曜ロードSHOW!」で放映された。
コロナ下のクリスマス。
今この時機に放映されたことに意味を感じる

「巨大産業文明が崩壊してから1000年」
「くさった海・腐海(ふかい)と呼ばれる
有毒の瘴気(しょうき)を発する
菌類の森がひろがり
衰退した人間の生存をおびやかしていた」

と解説が入る。

「マスクをしなければ5分で肺が腐ってしまう」

とナウシカは言う。コロナを彷彿する。
温暖化、自然破壊をも想起する。
牧歌的な風の谷を侵攻する軍隊は
チベットや香港を襲う中国のよう。
世界を滅ぼす力を持つ巨神兵は核兵器、原発。
人はそれを制御しきれない

「誰が世界をこんな風にしてしまったのでしょう」

とナウシカは嘆く。
人間の敵だと思っていた腐海は
自然を再生するためだったことがわかる。
どう考えても人類は自滅の道を歩んでいる。
憤りと悲しみを覚える。
人類は自らを省み、何かをすべき時。
いまコロナから何かを学ばなければいけない。
ふとこの作品の製作年を見て愕然とした。
1984年。その頃から言われ続けていて
いまだ何も変わっていないのか

19の名曲「あの紙ヒコーキくもり空わって」で
夢を書いた紙ヒコーキの名は「メーヴェ」だった。
ナウシカの乗るグライダーと同じだ。

それにしてもナウシカが
ノーパンに見えてしょうがない。
それはそれで可愛いんだが
スパッツが正しいんだろうな、やっぱり

投稿 : 2024/09/16
閲覧 : 23
サンキュー:

0

ネタバレ

マーティ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし

 全116分。

 最近久々に見返してみましたが、やっぱり面白かったし、心揺さぶられました。ラピュタやトトロは子供から大人まで楽しめるストーリーだと思いますが、このナウシカは深く考えされられる、どっちかっていうと大人向けの内容になっております。

 ストーリーは、文明が崩壊してから1000年後の未来。環境破壊してまでも発展しようとする人間側と、住処を奪われまいとする王蟲をはじめとする虫側の争い・葛藤を描いてます。そしてその中間にいるのがナウシカ。終始風の谷の民のことを思いながら、虫や自然のことも大切に思う苦労人です。

 最後の、ナウシカが金色の野を歩くシーンが一番心に残りました。あの瞬間、誰もが敵味方関係なく心が一つになった気がします。

 他にも、王蟲や自然といった作画、音楽も素晴らしいです。

 一応漫画も読んだことはあります。そこでは、ナウシカ達はこの腐海でしか生きられない体になっており、きれいな世界では生きられない、そんなことを言っていたような気がします。あとは終盤でナウシカが巨神兵の子どもの母親代わりになるなど、いろんな展開がありました。とはいえ難しく、あまり理解できませんでした。もう一回読んでみたいですねぇ。

 かなりレベルの高い作品だと思います。とてもおススメです。

 これにて感想を終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました。

投稿 : 2022/10/05
閲覧 : 450
サンキュー:

35

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ジャンジロー「メビウス」アンドSF超大作「デューン」

フランスの大人向けSF漫画「メタル・ユルラン(英:ヘビーメタル)」で掲載されたジャンジローメビウスのSF漫画「アルザック」に「風の谷のナウシカ」はそっくりである。。。

というより、事実上リメイクに近い。。

フランスのバンドデシネ界の巨匠「ジャンジロー」ことメビウスと、宮崎駿、ひいては手塚治虫はこの時期盛んに交流していたらしく、特にメビウスは手塚治虫の「火の鳥」を読み衝撃を受けて、フランスでは知名度が皆無だった日本の「漫画」をアート業界に紹介したとされる。。

今見ても大人向けのSFであり、個人的には「天空の城 ラピュタ」や「もののけ姫」と同レベルで一番好きなジブリアニメである。



追記

最近、「デューン 砂の惑星」のリメイク映画を観たあとに原作読んだのですが、「メビウス」も「スターウォーズ」も「ナウシカ」もはたまた「マッドマックス」もこの「デューン」から影響を受けているんだなと実感しました。話の筋や世界観がほぼ一緒です。そんなに凄いんだなあ。。「デューン」は。

投稿 : 2022/03/31
閲覧 : 563
サンキュー:

29

ネタバレ

Prospero さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

なぜ最後までアニメ化しないのか⁉︎

原作漫画の途中までで、ここまで感動する作品。
原作ではこの後ナウシカの周りの従者が次々に死んで涙が止まらないのに…

最近NHKの番組で、巨神兵が炎で敵を薙ぎ払う爆破シーンは庵野監督が描いたと知って納得した。

投稿 : 2022/02/23
閲覧 : 231
サンキュー:

5

ネタバレ

ねっち さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

レビュー不可能

なんか語彙力ないわたしがこの作品についてあーだこーだ言っても蛇足になっちゃいそうですので、一言だけ。強い女性はやっぱカッコいいですね!

99/100点

投稿 : 2021/03/07
閲覧 : 248
サンキュー:

5

ネタバレ

glashutte さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

タイトルなし

ストーリーはまだこの先があるので、不十分なのだが、ナウシカに声を当てている島本須美さんの強い声、優しい声が本当に素晴らしい。

投稿 : 2020/12/25
閲覧 : 158
サンキュー:

6

ネタバレ

うどん美味しい さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

見ると泣く。

この映画こそが自分にとってのジブリであり、宮崎駿監督だと思う。
家族はラピュタが好きで付き合わされて十回以上見たが、
私はナウシカの方が好き。

らんらんらららんらんらん♪で
ナウシカが王蟲に助けられて生き返る。
初見でここで泣いてから、毎回泣く。

冷静になるとご都合主義な不思議展開だけど
王蟲の金色の触手?がたくさん合わさると
生命エネルギーを貰えるんだろうか???
と視聴者にSFとして考えさせるわけでもなく
子供の王蟲と谷の人達を助ける為に、怒りで我を忘れて王蟲を鎮める為に死んでしまったナウシカを殺してしまったのは、ナウシカという人間と比べたら物理的にめっちゃでかい王蟲そのものである。
そうしたら王蟲が「やべっ、気づかなくて跳ね飛ばしちゃった☆めんごめんご☆」と言わんばかりにあっさり生き返らせよった
よく考えたら王蟲は超チート生命体である
まあ、年を取ったのでこんなこと書けるけど
20代まではナウシカを盲目的に好きだったので、今とは受け止め方が全然違っていた
漫画7巻も読んだけど、超絶暗くて重い。
なのでやっぱりアニメ映画のナウシカの方が一般向けだと思う。

ナウシカというキャラを作れるのも動かせるのも、そして絵として書けるのも宮崎駿監督しかいないのが特徴的だと思う。
他の人が書いたナウシカはなぜかナウシカのようで、ナウシカでないものとなる。
原作を読むと詳しくわかるように
腐海の森も蟲も、王蟲も人間の暮らしをおびやかすけれど、せっせせっせと大地の毒を綺麗に浄化している途中である。
そしてその番人である王蟲は、たびたび大暴走をして国を沈めて滅ぼす。
ナウシカの命を助けたのは、王蟲なりの謝罪と感謝だと思う。
王蟲は本当は人を殺したくないのかもしれない。
人の手に産み出されたはずの腐海も王蟲も、その役目を果たしているばかりなのに残された人間は、畏怖と恐怖を覚える。
誰もがナウシカのようになれはしない。
原作でもそういう台詞がある。
ナウシカは人よりも王蟲と腐海を愛するけど、人も愛している。
ナウシカが宮崎監督の理想の女性だとしたら、とんでもなく良い趣味だと思う。
それを映画として漫画として完成させて
これだけ多くの人に広まり、高い評価を受けていることが
監督が稀代の天才だとわかるし、変態も極まると美しいと思った

投稿 : 2020/10/09
閲覧 : 233
サンキュー:

13

ネタバレ

ゆうすけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

浄化される

とにかくナウシカが魅力的です。
勇敢な聖淑女というイメージが私の中では強く、見習うべきところが多かった。
村の長として仲間を守るためにクシャナ軍の兵を殺してしまうが、その行いを悔いる姿葛藤が純粋で美しいと感じた。
ユパ様や自然をメンターとして著しく成長する姿はとても柔軟性があり英明な印象を受けた。
すぐに蟲を鎮める行動が取れたり、仲間を冷静にさせるため自身を犠牲にしてマスクを外したりと咄嗟の判断も秀でている優秀な君主です。

冒頭に流れる風の伝説が世界観にマッチしすぎて、心がしびれました。オーケストラやピアノなど様々なバージョンがあるのでいつも聞いて癒されてます。

あと個人的に大好きなHUNTER×HUNTERが風の谷のナウシカをちょこっとモデルにしてるところが面白かったですね。
怒ったら目が赤くなったり、小動物に敵意がないことを示すため自身を犠牲にしたり、主人公の世話役がミトさんという名だったりといった共通点が発見できました。

自分もナウシカのように自然の恩恵をしっかり享受して、慈愛の精神を大切に生きていこうと思えました。

投稿 : 2020/09/08
閲覧 : 196
サンキュー:

9

ネタバレ

ちょま さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ナウシカの生き様に胸が痛い!

言わずとしれた宮崎駿監督の初期劇場作品。ちょうど映画館で見れるイベントが開催中で、大画面で楽しんでこれた!ありがとうジブリ!

世界が滅亡し、わずかに生き残った人類が広がり続ける毒の森・腐海に怯えながら細々と暮らす時代。風の谷に住む心優しき姫ナウシカが図らずとも他国と関わることになり、過酷な運命に飲み込まれていくお話。

不気味な森、巨大な蟲、レトロでファンタジーな飛行船などなど、オタク感丸出しな宮崎ワールドがこれでもかと展開していて絵面だけでもすごい迫力!
これだけ独特のセンスを発揮しながら視聴者を置いてけぼりにしないのは、やっぱり主人公ナウシカの魅力とそのドラマだろう。

争いを嫌い、通常なら脅威でしかない蟲や森とも共存していこうと道を模索するナウシカ。弱き者には手を差し伸べ、急に襲ってきた他国軍の理不尽には果敢に立ち向かい、そしてその暴力にも「怯えないで」と慈悲を見せる…そりゃ姫様と崇めたくなるわ。当時の女性キャラ人気投票でも1位だったらしいけどわかる。超わかる。

そしてこれだけ完璧な存在だからこそ、過酷な運命に飲み込まれていくそのドラマが本当に辛い!
まずその血筋ゆえ王の死んだ谷の未来をその肩に背負う。そして他国軍に押し寄せられるが犠牲を出させないため苦渋の決断として要求を呑み、その身は人質として投げ出す。さらには別の国が戦争を起こすと知ってそれを止めようとし、銃弾が肩をえぐろうと足を毒の湖で焼かれようと立ち上がり、迫り来る蟲の大群の前に立つ…完璧ゆえに全部を守ろうとする…

もうホント、やめたげてよぉ!昔は「王蟲スゲー!」「ナウシカ頑張れー!」って感じだったけど、こんないたいけな少女にここまで辛いイベントぶつけて何⁉いくら完璧ったって年端もいかない女の子だぞぉ!もう見てられないよぉ!
でも面白い!悔しい!ビクンビクン!

過酷な状況でも必死にもがく姿にどうしても惹き付けられてしまうのだ。そしてそれに感化されていく周りの反応も見て「どうかハッピーエンドに向かってくれ」と祈ってしまう。そしてラスト。根本的な問題こそ解決はしてないが、一つの終わりを迎え、エンディングで笑顔のナウシカが見れてやっと心が救われた感じである。ああ、よかった…少し休んでくれな…そんな気分…

まあでも原作もこの後とことん鬱イベントの連続だけどな!ホント鬼畜だよ駿さん!

今のアニメに見る「超グリグリ動くカメラアングル」や「スーパーアクション」はないけれど、要所要所で見せる蟲や飛行戦艦の迫力・演出は決して見劣りするものじゃないし、ストーリーもグダグダ長ったらしい会話や説明もなくテンポがいい。センスだけじゃない、アニメ作品としての地力も抜群だと思う(ジブリ全般に言えるけど)。
こんな名作を映画館で見れた幸運に感謝感謝である。

投稿 : 2020/07/15
閲覧 : 275
サンキュー:

9

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ナウシカもまた、1000年前の名もない誰かとのすれ違いに苦しみ闘っているのか・・。私たちもそうなってしまうのだろうか。

・・・もしも。

もしも、私の生き方が、ナウシカが呻吟している世界の元になるのだったら・・・息が止まってしまいそうになる。

もしも、彼女たちが、過去を作った者たちを忌まわしいと思っているのなら・・。私は、何かを捨てなければいけないという思いに駆られる。

できることなら・・・
青い空は、青いままでナウシカに渡したい。
新緑の山々は、緑のままでクシャナ姫に残したい。
清らかな水は、何のまじりっけもないままでアステルに送りたい。

そうして1000年後、ナウシカたちが家族とささやかに幸せに暮らしているなら、嬉しい。

あなたたちはとても遠いところにいるけれど、あなたが今日一日微笑んでいられるなら、私が今日生きている意味があると信じたい。

私も、あなたと同じように微笑みをたたえながら、その意味を探して生きることに立ち向かいたい。
そして、悩んだときは、魂を風に乗せて、あなたの元へ行き、話をしたい。



私は生きている。
そして、ナウシカ、あなたも同じように生きている。

あなたと私たちは、とても似ている。

私も、あなたとおなじように息苦しさを感じる世界に生きている。

あなたの苦悩する姿に、私は心を傾ける。耳を聳(そばだ)てる。あなたの怒れる息遣いを感じ取る。


{netabare}
あなたたちは、遠い過去の「誰か」に、設定され、改変された存在だという。
そうさせたのは、たぶん、今の私たちの価値観かもしれない。

私たちの価値観は、「自然科学」、「社会科学」、「人文科学」の集大成であり、私たちのよるべき知恵でもある。

最大多数の善人の、最大多数の善人による、最大多数の善人のための「未来に残すべき善なる価値観」なのかもしれない。

常識、普通、道徳、勧善懲悪・・。こういった概念は誰も否定できない。
だから、未来の世代に残すべき「善なる」価値観だといっても問題にはならないだろう。
科学者が、声高らかに、あるいは声を潜めて、このプランを進めたのだろうか。

科学者の「良かれと思うお節介」がナウシカの世界のすべてを作った。
ナウシカという人すらをも作った。
その内実は、不便、不快、汚辱、病気・・およそ不幸のオンパレードである。

あまたの不幸の浄化が、完全に終わった時代。
それを、望ましい「未来」といい、「希望に満ちたときの到来」というのが、もちろん科学者の言い分(価値観)である。
そんな言い分だからこそ、わざわざ「神の神託」と宣(のたま)って、おかしな教団が神殿(墓所)を守るのである。あぁ、滑稽ではないか。


私は自問する。
私に近しい「誰か」は、未来のナウシカの「神たりうる存在」なのだろうか?

悍(おぞ)ましく見える腐海も、異形の王蟲も、実は、地球を浄化するためにプログラムされ、人為的に作られた存在。そのように振り当てられた役割だった。
巨神兵も、彼らを利用した人類も、汚辱の輪廻の中に棲息する役者という存在だった。
そう裁定されたシナリオの一部分なのだ。
これはいったい何の冗談だ。

ナウシカにとっては過去の「誰か」、私たちにとっては近未来の「誰か」が、プログラムしたシナリオに沿った世界が、「風の谷のナウシカ」だったのだ。

「誰か」とはなんだ?
シナリオライター?プログラマー?科学者?それとも、政治家?
みな「善なる神」なのか?

いずれにせよ、「誰か」が、1000年先の未来に、直接介入し、影響をおよぼし、あまつさえ、自らを「神」と呼ばしめて、そして「姿を見せない」。

「隠れ身の神」は、ナウシカたちを、トルメキア王を、森の人ですら、徹底的に排除し、拒絶する。

クシャナ姫たちを、過ちをくり返す者、救いようのない者、瘴気で穢れたものとして、断罪する。

しかし、ナウシカは現にそこで生きているではないか。土鬼(ドルク)も、クシャナ姫も、みな呻吟しながらも生きているのだ。

人は土から生まれたのではない。神が作った価値観やシナリオのみに生かされるのであれば、人の生きる価値はどこにあるというのか。

「光」などというまやかしの呼び方で、「善」、「正」、「真」のみで生きるのならば、何のために人は生きるのか。

生きることは、悪に苦しみ、邪に苦しみ、偽に苦しむことなのだ。
生きることは戦いであり、休息であり、切磋琢磨であり、安寧であるのだ。

偏った価値観を美しくあつらえて「光」と称して、生きている者を支配し、侮蔑し、軽んじ、無下にするなど、もってのほかである。

人間の本質は、天の上にも、天の下にも、ただ生きていることが最も尊い唯一の存在なのだ。

科学者が残したものは、1000年前の亡霊。ホログラム。まやかし。そして傲慢。尊大。無慈悲である。

科学者は、そんなものを「神」と名乗らせ、そんな「神」がナウシカたちの気持ちを蔑(ないがし)ろにし、逆撫(さかな)でにして、絶望へと貶(おとし)めるのだ。

科学者に、どうのこうのできる権利はどこにもないのだ。権利があるとしたら、火の七日間戦争を回避できなかったことへの自責を果たすことが彼らの取りうる権利であり責務なのだ。

聖書は「初めに光があった」と記す。それが神の言葉なら、今生きている私たちが神になろうとするなら、迷いなく、ナウシカたちに光を与えなければならないはずなのに・・。

ナウシカたちのことは、ナウシカたちが決めるのだ。

ナウシカたち抜きで、ナウシカたちのことを決める権利など、どこにも誰にもないのだ。

1000年後の未来は、1000年前の者の手のなかにあるのではなく、今を生き抜こうとするナウシカたちだけが決めることができるのだ。

ここに至る多大な犠牲と、多大な友愛の変遷は、ナウシカを変え、クシャナを変え、土鬼も、僧正も、トルメキア王も、森の人も、みなを変えてしまった。

たとえ、腐海が作られたものだとしても、その腐海とともに生きる。虫とともに生きる。

生きて、生きて、生き抜いて、未来に責任を負うことを証明するのだ。
足掻(あが)いて、右往左往して、二進も三進も(にっちもさっちも)いかなくて、行き詰って、泣き崩れていて、身体を折り曲げて呻(うめ)いて、やがて、しずかに風の中に消えていくのだ。

そういう生き方であっても、そう生き方が選べることが、ナウシカたちの生きる希望なのだ。
見えないシナリオに支配されて生きるよりも、誰の目にも見えるしきたりと文化の中で生きることが、深く喜びを感じられるはずであろう。


ついに、ナウシカは、清浄の地に生まれるべく準備された「卵」を巨神兵に握りつぶさせる。そう、ナウシカは、「未来のための光」を消させたのだ。

科学者のシナリオでは、ナウシカらは光にはなりえぬ存在である。
「光は卵そのもの」であり、その卵と同じ設計がされている存在が王蟲である。

ナウシカが最後につぶやいた「同じ青い色だった」という意味がそれを表している。

集合知としての王蟲は、「光である卵」を潰したのが、汚辱にまみれた人類であることをすでに知っている。

その後、ナウシカも、クシャナ姫も、権力を欲せず、強すぎる光とはならなかった。
それぞれが、いるべき場所に戻り、為すべきことを為していく。
それは、やはり、軍事力による支配ではなく、共生の道を選んだのだと信じたい。

ナウシカも、クシャナ姫も、土鬼も、地球の再生の筋道を、あるがままの姿と営みに任せていくことを選ぶのだ。

そして静かに思うのだ。
「生きねば」と。
{/netabare}


ナウシカは、やさしい。
その微笑みは、皆を魅了し、アニメ史上最高のヒロインとなった。

しかし、彼女はヒロインなのだ。
真直ぐな眼(まなこ)の先に、私たちを見据えているのだ。

私たちが、何を思い、何を選び、どう行動するか。
1000年先のはるか未来から、大きな期待と祈りを込めて、私たちに願うのだ。

その者、青き衣をまといて、金色の野に降り立つべし。

それは、今を生きている私たちのことではあるまいか。

「私の風の谷に伝わる伝説の救済者は、あなたたちなのですよ。」

ナウシカも、きっと、そう言うだろう。



とりとめもなく感傷的な散文。
漫画版も綯い交ぜたレビュー。
分かりにくくてごめんなさい。



長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本作が、皆さまに愛されますように。

投稿 : 2019/12/09
閲覧 : 524
サンキュー:

44

ネタバレ

ライロキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

すみませんが私は原作派です。

原作既読です。
原作派とアニメ派でわかれるところみたいですが、私は原作派です。
アニメ自体よくできているし感動もしますが、私的には残念でした。
あの超大作を2時間程度の尺に収めるには、削らないといけない内容もある
でしょうし、話も少しばかり変えないと収まらないのはわかりますが・・・。
原作にはほかにもいいシーンがいっぱいあるのになー。例えば、クシャナの
新鋭部隊の一部がナウシカを生かすためにクシャナに護衛を進言し許可を
得てナウシカの楯になりながら共に突き進むシーンとか。それにクシャナは
もっと凛々しいですよ。
1期24話で3期ぐらいにして原作に忠実に作成してほしいですね。

投稿 : 2019/08/20
閲覧 : 300
サンキュー:

19

ネタバレ

kawadev さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

見た当時は感動したなぁ

上映当時に、映画館で見た作品。

まだ、宮崎駿の名前も知らなかったし、普通に見てしまったし、セリフとかも覚えたなぁ。

ナウシカという「人間」の存在意味を知ったのは後日。結構、酷い話。

原作も読んだけど、劇場版で丁度良いかなぁ?

投稿 : 2019/06/17
閲覧 : 289
サンキュー:

7

ネタバレ

とらお さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

宮崎さんの変化が見れちゃう

若いころ排気ガスや公害といった社会問題を体験した宮崎さん
そんな時代の体験から初期のナウシカは「自然を大切に」といった感じがします
もののけ姫のころになると「自然は大切、人の営みも大切」と変わってった印象です

連載12年でまるで別物になったナウシカも原作を読むべし
自然を超大切にしたけど、火の七日間の再来を残したともいえる結末
食わなきゃヤバイ、いま食ったら種が何倍にも育たないけどどうする?
100人と50人、助けるならどっち?
このように答えが出せない命題を何重も背負わされたからしょうがない選択なのです
原作おもしれーぞ!

大人がアニメを見なかった時代がナウシカ以前かもしれません
そういう意味でナウシカはアニメの立場を変えたんです

投稿 : 2019/05/27
閲覧 : 340
サンキュー:

10

ネタバレ

※アニをた獣医師 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

強くてまだ少し幼い姫の頑張りですよ…

ナウシカ、結婚したい… そんぐらいかわいい、ぐうかわいい!
強くて、優しくてかわいい、生き物にもやさしい♪
完璧じゃないです?
「天使だ」「女神だ」「結婚しよ」


と、冗談はここまでにして(冗談ではない)、この物語は自然に対する人のあり方のようなものが伝わると思います。ジブリ特有の訴えかけてくるものがずっしりと来ます。
違う考えの人がいます。自然を大切にするのか、人の文明の発展のために犠牲にするのか、どっちにも加担しないのか。いろいろです。
ナウシカは人も大事だけど、自然あってこそ、自分達が生きているということをわかった上で共存というかたちを目指しながら奮闘します。
彼女の頑張りは、まだ幼くて危なっかしいところも多いですが、心刺さるものだと思います。

そんな彼女の強さ、弱さを見守ってあげながら視聴することをおすすめします。


ナウシカはかわいい… ヒロインとしてこんなかわいくて強い子、なかなかいません。


金曜ロードショーで何度も見れる悦び。

何度見ても思いますが、ナウシカいてこそのハッピーエンドだと実感する話です。彼女の判断はすごいです。短い一瞬の間に皆を守るための行動をする。すごいです。



何がいいって、強くて勇ましいナウシカも良いけれど、危ないところにも好奇心旺盛で嬉しそうな彼女の笑顔はもう100満点!

投稿 : 2019/01/04
閲覧 : 383
サンキュー:

15

ネタバレ

kabaj31 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

デカイ虫とか世界観は面白いけど、結局ドンパチかいと
思って最後は超常現象で解決しててわけわかめ。
とりあえず、パンツ履け。

投稿 : 2018/06/17
閲覧 : 327
サンキュー:

0

ネタバレ

筒井筒 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

作者は、フェミニストだったのではないか?

かっこいい女の人の成長物語。最後のほう母性も出てくるし、しっかり、ヒロインとして、少女に戻り、幕を閉じている。
もう、このくらいしか、ナウシカについて新しい話はないのではないかと思う。

以降のジブリ作品がそうなのか、女の子の主人公売れる説が、当時からあったら嫌だな。

投稿 : 2017/12/28
閲覧 : 363
サンキュー:

5

ネタバレ

狗が身 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

蟲に監視され、瘴気に怯え、腐海に感謝しなければならない日々って…。

ナウシカとユパがひたすら格好良い。
だけど…全体の感想としては「微妙」ということで落ち着く。
設定とかを色々いじってはいるものの基本的には原作の途中までで終わっているからなのか、オチで全然スッキリしないんだよねー…。

人類の文明のせいで汚れてしまった世界で、猛毒の瘴気を放つ菌類が全土に繁殖していて、人々は瘴気と蟲に怯えながらも細々と生活を営んでいる。
中盤辺りで実は瘴気を放つ腐海と呼ばれる森の地下深くでは濾過された綺麗な砂と水が着実に作られているのだが、しかし、それが世界中に満ちるまでには気の遠くなるような年月を必要としていて、それまで人類は、いつか世界が綺麗になることを夢見ながら蟲と腐海に感謝の念を忘れず生きていかなければならない。

…というのが、個人的にしっくりこなかった。
いくら人類が悪いといってもなー、あんな風にいつ病に冒されるとも分からない中で怯えながら生きていくってのが不憫に思えてならないんだよ。
トルメキアのような国ならまだしも、風の谷の住人なんて、良い人たちばかりなんだもの。どうにかならないかなあって、やっぱり考えちゃうよ。
途中に出てきたナウシカの研究と腐海の事実を絡めて、もう少し希望を感じるエンディングには出来なかったのかな~。
そういう苦しい環境でも生きていける人の生命力というか逞しさを描いた感じでもないから、なんか引っかかるんだよ。

だってこれって実質、人の活動領域と繁栄の規模を蟲に管理されてるようなもんだよね?
そう考えるとこの世界観、ちょっと怖すぎて素直に楽しめない。ナウシカなんて基本的に「蟲は悪くない。悪いのは人間」ってスタンスだし…。
だけどここまでハードな世界観で描くのなら、いっそのことナウシカを死なせるラストの方が、作品としては良かったかもしれないね。風の谷に伝わるあの伝承だけ、なんか作品から浮いてるというか強引な感じするんだよね。


先に『もののけ姫』を観てしまったからか、劣化版、という印象を拭えない。

投稿 : 2017/05/12
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古酒(クース さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ナウシカ

宮崎駿である。
私は宮崎駿ってどちらかと言えば、苦手なんだけど

これは認めざるをえない、傑作であると!

これ自体も何度もみたし、薄い漫画版アニメージュ?の奴もみた。
漫画版のほうが元になるのかな?

漫画版みちゃうと映画の方は、色んな面白い部分を大胆にはしょってて
もったいないと感じちゃった。尺が足りないモンね、しょうがないね

しかし、動かしてこその宮崎駿。

はしょっていても、この作品は傑作である。

投稿 : 2017/02/11
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9

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チョロ松 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人類とは文明とは

ジブリ作品の中でも最も良作の一つ言っても過言ではない作品だと思います。

人とは文明とは
小さい頃はオームや巨人兵が怖かったですが、
大人となり観れば観るほど考え深いと思います。

その一つが腐海と虫達だと思います。
腐海は空気を浄化し、虫達は森を守る。
見ていればわかると思いますが、その実それはとっても難しい事だと思いました。

そしてもう一つが人類と巨人兵です。
何故人類は衰退したのか何故巨人兵は生まれたのかです。

80年代に作られた作品ですがこの先地球に起こるであろう出来事かもしれないそんな問題提示をしてると思います。

まぁともあれとにかくヒロインのナウシカが可愛い。
ナウシカがメーヴェで飛んでる姿はいつ見ても楽しそうに気持ち良さそうに見えて凄く良いと思いました。

投稿 : 2017/01/14
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7

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ValkyOarai さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ジブリの原点 全ての始まり

オームという生物は破壊のための生物ではなかった

それ冥利に尽きる

投稿 : 2017/01/14
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5

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はちこ風味 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

漫画版を知ったら、、

作品としては素晴らしい出来映えだと思う。
今見ても見劣りしないスケールだ。
ナウシカの魅力がすばらしい。
作画や美術に関してはジブリだよなぁという具合。

しかし。
漫画版を知ったら、やはり物足りなくなる。
二時間映画では当然無理だ、ましてやジブリ。
一話完結が基本だ。
だからこそ惜しい。
漫画版は万人受けはしないだろう。
そこがつらいところである。

投稿 : 2016/02/09
閲覧 : 247
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lord さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

映画の先を・・・アニメに

映画では原作の10巻ある中の2巻ほどで、
荒廃した世界の秘密を知って人間の残酷さなどを
知っていくみたいな話だった気がします。
すみませんあまり覚えていません。

投稿 : 2015/11/09
閲覧 : 241
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yMlmw84708 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイトルなし

スタジオジブリの作品。

何度も金曜ロードショー等で放映され、何度も見た作品。
何度見ても面白い。2年に1度くらいの頻度ならば丁度いい。
ジブリの作品は作画も丁寧で素晴らしいと思うが、やはり音楽が秀逸であると考える。
気にいったジブリの作品は円盤を購入する事をオススメしたい。

お気に入りキャラ : クシャナ殿下

投稿 : 2015/08/11
閲覧 : 322
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退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

【 風の谷のナウシカ 】

少年の俺が初めて映画館で風の谷のナウシカを観た時、
とんでもない衝撃に胸を貫かれたのを、今でもはっきりと覚えている。
その時俺は、将来、ナウシカと結婚しよう!と思った。
したいではなく、しよう!だった。w
※銀河鉄道999のメーテルにも、そう思っていたような。。

ナウシカのエンディングは、非常に感動的だか、
実は、俺はオープニングも凄く気に入っている。
物静かなメロディーで始まり、遠い未来の物語のはずなのに、
遥か昔の異国を想わせる見事な雰囲気で始まる。

そして、冒頭から恐ろしい巨神兵が現れる。

これは、俺の勝手な想像だが、宮崎監督は核兵器の象徴として、
この巨神兵を描いたのではないかと思っている。
その後、何処までも広がる壮大な腐海の森の上を、
一直線に、ナウシカのメーヴェが真っ青な大空を切り裂いて行く。
http://perfectnet1004.blog.fc2.com/img/201411180546261ec.jpg/

この僅かなシーンで宮崎監督は、少年が心に描く世界を見事に表現している。
大空、飛行機、少女、そして、行く手を阻む恐怖。。

非常に短いが、素晴らしいオープニングだ。
これは正に、天才にしかできない芸当だ。

更にナウシカで感動するのは、蟲たちの描写だろう。
宮崎監督は、少年の頃に沢山の虫に触れていた事が、俺にはすぐに分かった。

蟲の中でも重要な位置付けにある王蟲。
王蟲って何処かで見た事あるよなぁ。。と思っていたけど、
大きな蟲だから、すぐにはピンと来なかったが、
原形となった虫は、ダンゴムシだと思った。
※俺の勝手な想像。

少年にとって、ダンゴムシは小さいけど、心の中ではとても大きな存在なのだ。
石を動かしてその下にダンゴムシを見つけた時の感動は、少年だけの宝物だ。

また、宮崎監督は飛行機の描写が素晴らしい。
未来少年コナンに出て来るギガントやトルメキア帝国の飛行機、
ラピュタでムスカが乗るゴリアテなど、どう見ても、翼の揚力だけでは
絶対に浮上しないと思われるような胴体を持つ飛行機が、
圧倒的な存在感で空を飛んでいる。

幼少の宮崎監督が見たアメリカの爆撃機が、そのような圧倒的存在感を
持っていたのではないかと、俺は感じた。

それでも、なんだかんだ言っても、最大の見せ場はやはりエンディングである。
金色のじゅうたん(王蟲の触手)の上を、真っ青な服を来たナウシカが、
最高の笑顔で両手を広げて歩いている。何回観ても必ず涙がこぼれるシーンだ。
こんな完璧少女見た事無い。。
http://perfectnet1004.blog.fc2.com/img/201411180559292b1.jpg/

唯一、何故だかそう思うのが、死んだお袋が少女だった頃、
きっとこんな感じだったんじゃないかと思った。。
冷静に考えたら、超ミニスカートで、すげぇーでっかい、おっ○いなのに、
ナウシカには、厭らしさを感じない。(たぶん。w)
※最後のカッコさえ無かったら。。やっぱり、残念な奴だよ。君は。。w

少年の宮崎監督が、どれ程純粋な少年だったかは、
容易に想像がつく、見事な作品である。

投稿 : 2014/11/18
閲覧 : 282
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mvus さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

何度観ても

何度観てもまた観たくなる。
クライマックスは目頭が熱くなります。
いつか漫画版のストーリーでも観てみたいけど、難しいかなあ。

投稿 : 2014/08/25
閲覧 : 204
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2

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みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

すばらしい!

これ以上の傑作アニメをボクは知らない。
原作も含めこの話のテーマがボクの人生の指針となっています。

投稿 : 2014/07/18
閲覧 : 272
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14

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世を忍ぶ仮のボブ(仮 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

宮崎作品ではナウシカをいちばん気に入っている、個人的な理由

すでに認知度が非常に高く、大勢の方がこの作品について語っていると思いますので、まったく個人的な視点で。
まだこの作品を視聴されていない方は、ぜひレビューを読まずに、先入観なしで見ていただきたいです。


さて、わたし自身の個人的な感覚では、テンポのバランス(緩急のつけ方)が宮崎作品の中で随一だと思えること、これが何よりの、いちばんだと思える理由です。
また、声優さんたちの総合的なお仕事が他の作品より良い、と感じられたのも大きな理由です。

もちろんこの他にも枚挙に暇(いとま)がないほど、気に入った点はあるのですが・・・それはナウシカ好き同士で語り合えば良いレベルの話なので、割愛いたします。

蛇足ですが、個人的に「宮崎作品の中でいちばん」だと思っているだけで、他の宮崎作品も、全てではありませんが全体的に好きです。
この意見によって、他の宮崎作品を否定する意図はありません。

投稿 : 2014/06/14
閲覧 : 297
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のろふぇ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

当時としてはかなり頑張った

ストーリーや世界観はかなりよくできてる。

基本的にナウシカはやはり魅力的。
ただ、自分を犠牲にしてでも問題を解決する、人類こそが悪、って言うのは受け入れられるのかな?これから見る人に。

投稿 : 2014/05/11
閲覧 : 242
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イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

失われし大地との絆を取り戻す物語

『火の七日間と呼ばれる大戦争で、産業革命が滅びてから1000年。瘴気を発する細菌がはびこる腐海に征服されようとしている地球。海風によって瘴気から守られた辺境の小国・風の谷で、自然と心を通わせる王女ナウシカが、民と共に暮らしていた。ある夜、風の谷に大国トルメキアの輸送機が墜落する。その輸送機にはかつて火の七日間で使われ、世界を焼き尽くしたといわれる生物兵器、巨神兵の卵が積み込まれていた。そしてナウシカは、大国同士の争いに否応なく巻き込まれていく』※1

腐海とは、ふしぎな蟲たちだけが棲む巨大な細菌の森である。植物は有毒な瘴気を吐き出し、マスクなしでは人間は立ち入ることはできない。少女ナウシカの生きる時代は、この腐海が圧倒的に優勢な力として、人間がおびやかされている。風にのった胞子はいたるところにとび、植物に寄生して瘴気を吐き出す。腐海の巨大な蟲たちは、ひとたび人間の攻撃にさらされると、仲間を呼び集め、人間を襲う。腐海という自然の強大な力を軽視する人々は、逆に腐海に飲み込まれてしまう。そうして、いくつもの街や村が腐海の底に沈んだ。しかしナウシカは、この腐海とそこに集まる蟲たちに、ふしぎな共感をおぼえている。姫様の腐海遊びと城オジたちがいうように、人々の嫌う腐海を縦横に動き回る。自然の営みが繰り返される場所。ナウシカにとって、そこは美しい場所なのである。
ナウシカ「綺麗……マスクをしなければ五分で肺が腐ってしまう死の森なのに」※1


キャラクターの役割から見る風の谷のナウシカ

大ババ様こそ、制作者の代弁者。
この物語に登場する盲目の老婆、大ババ様と呼ばれる人物こそが、制作側の代弁者なのだというのが筆者の見識である。短い言葉で、端的に制作者の言葉を表す役目を持っている。

支える者でありながら導かれる者でもあるユパ
ユパ=ミラルダ 腐海一の剣士。ナウシカの父、ジルの親友。なぜ腐海が人間を飲み込もうとするかのように広がり続けるのか、半生をかけて腐海の謎を解くため旅を続けている。
物語では、旅路から帰還するユパの冒頭シーンがある。大ババ様からも「ユパは探し続けるよう定められた男じゃ」などといわれている。軍事大国トルメキアからの侵略受け、父ジルを殺された痛撃に苦しむナウシカを支える役目であるが、ユパ自身がナウシカに導かれる一面もある。地下五百メルテ(メルテは架空の長さの単位と思われる)から汲み上げた深層水で育てた腐海の植物は毒を吐かないという事実をナウシカはユパに報せる。これはある意味、探し続けていた大きな手掛かりを受け取ったことになる。またナウシカは、腐海の奥底に落下した時も、有毒物質を腐海の植物が取り込み、結晶化して無害にしていることをアスベルに教えるシーンがある。ユパの行動原理を知ろうとすることによって、視聴者に腐海の意味を考えてもらう意図があったものと思われる。

風の谷の姫様を姫様にしている背景として描かれた人物。
ジル 「風の谷の族長」腐海の毒のため、身体の自由が利かなくなっている。周辺諸国を侵略・統合した軍事大国トルメキアの侵略者の手にかかり命を落とす。腐海一の剣士ユパ・ミラルダの親友という設定や、風の谷の族長という位置付けによって、ナウシカの背景の一部として描かれた人物であるといえる。父親を殺害されたナウシカの怒りによってトルメキア兵たち五人が殺害されるという事態を引き起こした。侵略される側の辛さ、その運命と死を描くための役目も負っているというのが筆者の見識である。

城オジ五人衆 海からの風でかろうじて瘴気から守られている小国「風の谷」に住む、つつましく心豊かな人々。年配であるのと腐海の毒のせいで手足がきかなくなり畑仕事をやめ城務めをする。
これもまた姫様を姫様ならしめるもので、周囲から姫様と言われ扱われることにより、ナウシカが姫様になるのである。また、もう一人の姫様との対比の言葉などの発言役でもある。子供たちや女たちも、姫様と呼ぶ。風の谷のみんなの姫様。それがナウシカだ。

ジブリに必要な、ボーイ、ミーツー、ガール。
アスベル 工房都市、ペジテの長の息子。夜中、風の谷に墜落したトルメキアの船で拷問を受けていたと思われるラステルの双子の兄でもある。トルメキア軍にペジテが襲われた時、ただ独り生き残る。腐海で蟲たちに囲まれ苦戦しているさいに、ナウシカに出会い救われる。
アスベルは腐海を焼き払うのに巨神兵が必要だと考えていたようだ。これはナウシカの腐海に対する考えとの対比でもあるし、一般的な腐海に対する当事者の見識として「腐海は忌み嫌われるものである」という位置付けなのだろう。
ペジテに駐留していたトルメキア軍は壊滅していた。ペジテの残党が王蟲の子を囮に、王蟲の群れをおびき寄せたのである。残党たちは巨神兵を取り戻すために、次の標的を風の谷に定めていた。
大ババ様曰く「王蟲の怒りは大地の怒りじゃ、あんなもの(巨神兵)にすがって生き延びて何になろう」
みずからが生き延びるために、王蟲の怒りを利用して卑劣な行為に及ぶことや、巨神兵を使って森を焼くことに対する批難なのだろう。
工業都市ペジテは、風の谷や、軍事国家トルメキアと比較すると、自然に対する態度は平均的だ。森を焼き払おうとする指導者もいれば、説得を聞き入れナウシカを逃がそうとする女性たちもいる。どちらにでも転んでしまう危うい均衡状態にあったのを、ナウシカの説得により、思想が浄化されていく。その浄化を描くことが一つの命題であったと思われる。
ナウシカ「あなたたちだって、井戸の水を飲むでしょう? その水を、誰が綺麗にしていると思うの? 湖も河も、人間が毒水にしてしまったのを、腐海の木々が綺麗にしてくれているのよ? その森を焼こうというの? 巨神兵なんか掘り起こすからいけないのよ!」

もう一人の姫様とその参謀、そして火を象徴する巨神兵
クシャナ トルメキアのヴ王第4皇女、女性ながらも鎧兜に身を包み、侵略戦争の先頭に立つ。「風の谷」に攻め入ったあと、ナウシカを人質にとる。※1

クロトワ ヴ王がクシャナのためにつけた参謀。平民の出身で野心家だが、コルベットのあつかいに長け、クシャナの危機を何度か救う。※1

巨神兵 それは生命の根源まで人間のものにしようと迫る危険な試みによって生み出された。遺伝子工学によりタンパク質を持った細胞で生物兵器が開発された。機械文明と科学文明を信望した者たちが作り出した旧世界の遺物であり、危険な試みの結果、世界すら滅ぼした。※1

クシャナ「我らは、辺境の国々を統合し、この地に王道楽土を建設するためにきた。そなたたちは腐海のために滅びに瀕している。我らに従い、我が事業に参加せよ。腐海を焼き払い、再びこの大地を蘇らせるのだっ! かつて人間をして、この大地の主となした奇跡の技と力を我らは復活させた。私に従う者には、もはや森の毒や蟲共に怯えぬ暮らしを約束しよう」

クシャナ「巨大な力を他国が持つ恐怖ゆえに、私はペジテ攻略を命令された。奴の実在が知られた以上、列国は次々とこの国に大軍を送り込むだろう。お前たちに残された道は一つしかない。巨神兵を復活させ、列強の干渉を排し奴と共に生きることだ。(義手を取り外しつつ)我が夫となるものは、さらにおぞましきものを見るだろう。腐海を焼き、蟲を殺し、人間の世界を取り戻すのに何をためらう? 我が軍がペジテから奪ったように、奴を奪うがいい」

風の谷とトルメキアの対比、蟲を愛するナウシカと蟲を憎むクシャナの対比によって物語の光陰をよりはっきりさせる。そうした目的で制作されたのではないかと推察される。二人の姫様は同じ姫様といってもまったく違う。
城オジたち「あんたも姫様じゃろうが、儂らの姫様とだいぶ違うの。(手を差し出しつつ)この手を見てくだされ。ジル様と同じ病じゃ。あと半年もすれば石と同じになっちまう。じゃが、儂らの姫様は、この手を好きだというてくれる。働き者の綺麗な手だというてくれましたわい」
クシャナ「腐海の毒に侵されながら、それでも腐海と共に生きるというのか?」
城オジたち「あんたは火を使う。それゃあ儂らもちょびっとは使うがのう。多すぎる火は何も生みやせん。火は森を一日で灰にする。水と風は百年かけて森を育てる。儂らは水と風のほうがええ。あの森を見たら姫様悲しむじゃろうのう」
火から連想されるもの、それは自然破壊であり、世界を滅ぼした火の七日間であり、巨神兵であり、トルメキアであり、クシャナでもある。それに対して、水と風を連想させるもの。それは人間の飲み水であり、風の谷を守る『海の風様』であり、ナウシカが飛翔するために必要な風であり、森を育むものであり、最も重要な『失われし大地との絆』を結ぶのに必要不可欠なものでもある。

ナウシカという人物を語る前述。腐海について、制作側からのコメント。
「アメリカの中西部に広がる砂漠化が進んでいる土地で、小麦の収穫量を上げるために肥料を飛行機で散布する。収穫が終わったあとの畑は、吹きっ晒しのまま放置されていく。土地は痩せ衰えていくが、破壊された土地を使い続けるために、小麦にサボテンの遺伝子を組み込み、より強い商品を作ろうとする。こうした自然破壊によって生まれてきたバイオテクノロジーの産物を基にイメージして作られたのが腐海であるという」
「水俣湾が水銀で汚染された死の海になった。つまり人間にとって死の海になって、漁をやめてしまった。その結果、数年経ったら、水俣湾には日本のほかの海では見られないほど魚の群れがやってきて、岩にはカキがいっぱいついた。これは僕にとっては背筋の寒くなるような感動だった」(E・カレンバックとの対談。火を捨てる? 『ナウシカと冷蔵庫にあるエコトピア』)
腐海には二つの側面がある。それがコメントの内容と合致している。一つは腐海が、実は人工物、遺伝子操作で生み出された代物であり、反省することなく自然を傷つけても、修復しないまま使い続ける傲慢さから生み出された側面があるということだ。
もう一つは、人間によって汚染され、死の海となっていたものが、実は生き物をはぐくんでいたという事実である。人間による汚染=瘴気とは、人間による原罪といってもいいだろう。原作でも「有毒物質を結晶化させ安定させる方法」としての腐海があった。

風とナウシカと腐海と王蟲
風の谷の族長・ジルの子、ナウシカはメーヴェと呼ばれる小型飛行機に乗り、風の中を鳥のように飛び、人の忌み嫌う蟲たちと心を通わせることができる娘。
この作品は自然と人間の関わり合いを描いているが、敢えて簡単に解答は出ていない。課題を人々が乗り越えて、明日も生きていく。ナウシカは責任を負った若い人物である。
科学によって自然ですら我がものにしようとした結果、世界は滅び、みずから作り出した『人工的な自然』の圧倒的な力によって人間そのものが滅ぼされようとしている。
人間は自然を征服、あるいは服従させ、力で支配してきた。その結果、人間による汚染=原罪は瘴気となって人々に還り、体を石にさせる恐ろしい病となって現れた。
土地は痩せ衰えていくが、破壊され毒された土地を使い続けるために、小麦にサボテンの遺伝子を組み込んで無理にでも使い続けていくのと同じように……人間が作り出した原罪=腐海に対してクシャナやペジテの人々は『火の七日間によって世界を滅ぼした巨神兵』で毒のある腐海を消し去ろうとした。
巨神兵は人間の傲慢が生み出した破壊の火の象徴として扱われている。
それに反するナウシカは、長期間の自然のサイクルの中で、腐海は汚染そのものを浄化する働きがあることを確信していた。腐海を焼き払うなどしてはならないことなのだとわかっていたのだ。腐海を通過することで、水は浄化され、人間が飲める水となっていたのである。
ナウシカ「腐海の木々は、人間が汚してきた世界を綺麗にするために生まれてきたの。大地の毒を体に取り込んで、綺麗な結晶にしてから、死んで砂になっていくんだわ」
腐海を焼き払った後に残されるものは砂漠であり、人の住める土地などではない。大地の汚れを結晶化して無害なものに変化する。最終的には、砂漠化した土地を肥沃な大地に変えていくという役割があるものと思われる。
征服したはずの自然、人工物と化したはずの自然とは、科学によるユートピア思想から発したものが、結果的に自然どころか文明すら破壊して廃頽、結果、科学技術の産物であるメーヴェやガンシップ、銃器と、重装備の鎧を着込んだ兵士の混在した世界となったのである。
いうなればデストピアになっていた。自然は征服するものでもなければ、服従させるものでもなく、ましてや力で支配するものでもない、というのが、制作側からのメッセージではないか。それが筆者の見解である。
蟲とは、大地や自然の代弁者であり、蟲の代表が王蟲である。
腐海を守護している蟲たちは言葉がない。当然にして語らないのであるが、その不言実行によって思考は明らかとなっている。森を焼き払おうとしたりすることを許さない態度である。
制作者側は、語らない蟲たちの代わりに、大ババ様に代弁させている。
大ババ様「腐海が生まれてより千年。幾たびも人は腐海を焼こうと試みてきた。が、そのたびに王蟲の群れが怒りに狂い、地を埋め尽くす大波となって押し寄せてきた。国を滅ぼし、街を飲み込み、みずからの命が飢餓で果てるまで王蟲は走り続けた。やがて王蟲のむくろを苗床にして胞子が大地に根を張り、広大な土地が腐海に没したのじゃ。腐海に手を出してはならぬ」

制作側の結論とは何か。
解決できるような答えをその場で出すのではなく、問題定義に対して目を背けず、しっかりと見据え、そして明日も生きていくためにはどういう方向性を見出していくか。
これが筆者の推論だ。生きる上で放置できない大きな問題を簡単にこうすればいいという単純な解決などできようはずもなく、まためでたしめでたしとするような物語ではないのだろう。
風の谷のナウシカというアニメーションに必要なのはとりあえずの終わりであって、最終的な解決ではない。
腐海を守る蟲と心を通わせるナウシカの役割は、自然・失われし大地との絆を結ぶ役割だ。本来自然は固体的で明確な意思を持たない。その自然に対して絆を「アニメーションという映像で結ぶ」には、擬人化、またはそれに該当する意思ある者が必要となる。その意思ある者が王蟲だ。
人間は自然に対し、征服し、服従させ、そして支配しようと試みてきた。自然の木々や蟲ですら人工物にさせ、すべてを操る術を身に付けたように思えた。クシャナのいう、「かつて人間をして、この大地の主となした奇跡の技と力を我らは復活させた」なのだ。
しかし、その思想を実行に移した時、世界は火の七日間で焼き尽くされ、滅んだのである。生き残った人々もまた、支配したはずの自然に圧倒され、滅びに瀕している。その自然との絆を結び直すことなのだ。
大ババ様「大気が怒りに満ちておる」
王蟲の幼生を半殺しにして、屈辱の限りを尽くしたペジテの残党たちは、王蟲の群れを使ってトルメキア軍を壊滅させ、さらには巨神兵を奪還しようと試みていた。それを知ったナウシカは機関銃で狙われながらも、正面から飛行船に乗り込み、単独でこれを阻止。怒り狂う王蟲の群れのただ中に降り立ち、逃げも隠れもせず、大地を埋め尽くす王蟲の突進を受けて、撥ねられ、空中に舞い上がる。
王蟲たちは、ナウシカの捨て身の行為に、怒りを解いた。
大ババ様「なんといういたわりという愛じゃ、王蟲が心を開いておる。子供たちよ、儂のめしいた目の代わりによく見ておくれ」
子供たち「姫ねえ様、真っ青な異国の服を着てるの。まるで、金色の草原を歩いてるみたい」
大ババ様いわく「その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし。失われた大地との絆を結ばん。ついに人々を清浄の地に導かん。古き言い伝えはまことであった」
子供たちにこの言葉を語らせるために、大ババ様の目は盲目だったのではないだろうか、それが個人的な見解である。

王蟲とナウシカ。自然からの愛を受けた人間、大地の怒りを鎮めることができた人間、何より『失われし大地との絆を結んだ』人間となったナウシカ。これが映像化された制作側のメッセージであり、最も伝えたかったことだというのが、筆者の見解だ。
ところで……金色の野の伝説とはなんだったのか。筆者が思うに、伝説にあった人物は最低でも王蟲の触手でできた金色の野の上に立ってはいなかったろうという見解である。王蟲の触手によって表現されていたこの野原の原型は、金色の稲穂ではないかと推論しておきたい。人間が生存できる環境と農作物という名の照葉樹林化によって確立されていく指導者的人物像こそが、伝説の人物ではないだろうか。作品は違えども、駿監督の思想には共通点がある。未来少年コナンという作品の、ラオという壮年の人物はテレパシーを使ってこう語っている。
「金色の麦畑を見渡すことができる。人々の笑い声も聞くことができる」
恐らく、駿監督の理想像はこのようなものでないかと思われる。


最後に、なぜクシャナはナウシカと和解したのか。それは語られていない。巨神兵を奪還する予定だったが、当の巨神兵が死亡したし、いつまでも田舎である風の谷にいる必要がないのはわかる。だが、トルメキア軍に対して反乱を起こした風の谷の人間に、見せしめのための報復措置を取った様子もない。テロップと共に再会を果たす場面、二人で肩を並べ、語り合っているらしき場面があり、その後クシャナとクロトワは船に乗り込む。トルメキアの船団が空を飛び、去って行く様子があるだけで、台詞はない。
腐海の深部で見たナウシカの光景に、クシャナは強い衝撃を受けたのだ。持っていた銃を城オジに取られた時も、何の反応もないほどに。そして……
クロトワ「テコでも動きそうにありませんなぁ」
クシャナ「帰りを待っているのだ」
クロトワ「帰り?」
クシャナ「あの娘がガンシップで戻ると信じている」
クロトワ「ガンシップは厄介ですなぁ、いまのうちに、一旗やりますか?」
中略
クシャナ「私も待ちたいのだ。本当に腐海の深部から生きて戻れるものならな。あの娘と一度ゆっくり話をしたかった」
クシャナの中で、確実に何かが変わっていく様子が描かれている。腐海を焼けば王蟲の群れが押し寄せてくると言われても、迷いごとで済ませていたトルメキア軍が、目の前で王蟲の群れに押し寄せられ、壊滅寸前となり、兵士は逃げ出し、頼みの綱である巨神兵まで瓦解して、絶体絶命の危機に陥った。その危機を救ったのは、他でもないナウシカだったからだ。
金色の野に降り立って歩いているナウシカを、クシャナとクロトワは茫然としながらも目撃している。誰にも止められないはずの王蟲の怒りを鎮めたナウシカの言葉に耳を傾けたのも自然であったろうし、そのナウシカの話を聞いたトルメキア兵たちも、聞く耳持つのが自然なほどのインパクトを受けたのだろう。
腐海が瘴気の毒を浄化したように、ナウシカはクシャナやトルメキア軍の心の中にある人間の原罪という毒を浄化してしまった。だからトルメキア軍は国に帰っていったのだ。
クシャナ「腐海の毒に侵されながら、それでも腐海と共に生きるというのか?」
という台詞がある。腐海の毒とは人間の原罪であり、それに侵された城オジたちの石になっていく手を受け入れるナウシカの心もまた、腐海と共に生きることを指し示しているのではないか。腐海の毒は人間の一部であり、本来切り離そうとするものではない、そういっているように筆者には思えるのである。原作の終わりにもナウシカの台詞がある。
ナウシカ「苦しみや悲劇やおろかさは清浄な世界でもなくなりはしない。それは人間の一部だから……」

人々が忌み嫌う腐海の謎を究明してしまったナウシカ。彼女は、人の苦しみや悲劇やおろかさという心まで浄化した。これが筆者の最終的な本作品における結論である。

引用 ※1ロマンアルバム『月間アニメージュ』の特集記事で見る スタジオジブリの軌跡

投稿 : 2014/05/06
閲覧 : 625
サンキュー:

16

ネタバレ

えびぃ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

普通・・・

虫キモイw

投稿 : 2014/04/19
閲覧 : 205
サンキュー:

0

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風の谷のナウシカのストーリー・あらすじ

極限まで発達した人類文明が「火の七日間」と呼ばれる最終戦争を引き起こし、瘴気(有毒ガス)が充満する「腐海」と呼ばれる菌類の森や獰猛な蟲(むし)が発生した。それから千年余り、拡大を続ける腐海に脅かされながら、わずかに残った人類は、古の文明の遺物を発掘して利用しつつ、細々と生きていた。腐海のほとりにある辺境の小国「風の谷」は、大国トルメキアの戦乱に巻き込まれる。風の谷の族長ジルの娘であるナウシカは、運命に翻弄されながらさまざまな人々と出会い、自分自身と世界の運命、太古より繰り返されて来た人の営みに向き合い、大国と小国、そして腐海と人類との共生の道を探っていく。(アニメ映画『風の谷のナウシカ』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
1984年3月11日
制作会社
スタジオジブリ / トップクラフト
Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%...
公式サイト
www.ntv.co.jp/kinro/lineup/20131227/

声優・キャラクター

島本須美、納谷悟朗、松田洋治、永井一郎、榊原良子、家弓家正、辻村真人、京田尚子

スタッフ

原作:宮崎駿
監督:宮崎駿、脚本:宮崎駿、プロデューサー:高畑勲、作画監督:小松原一男、美術監督:中村光毅、音楽:久石譲

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