nyaro さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
説明不足が心地いい作品。短編小説が楽しめる人向け。
ボーイミーツガールものと同時に、コンタクトものだと理解します。設定的には銀河少年は、コンタクティつまり交信能力がある特殊な人間と取れるし、衛星から人間に遣わされたヒューマノイドインターフェースにも見えます。
薄い空気じゃないと生きられないということと、超常的なニュアンスもあるので、どちらかといえば人間ではないように見えました。
そうなってくると、少年=宇宙に漂う衛星ということになり、少女との間に、お互いの理解に距離の隔たりがあります。少年がヘルメットを取ることで地球に生きる生命とはなにかを感じるということと、少女とのコミュニケーションが始まり、少年は人間として生きる事ができるようになる、という感じでしょうか。
そうか、もともと抽象的な存在だった少年が少女との邂逅で人間味を帯びてしまったのかもしれません。それが個の確立=死と言う概念になったのか?
少女側にも、宇宙からの声を聴く能力はあるのでしょう。少女と少年の出会いの場がどこかわからない不思議な空間でした。イメージ的には鳥居が並んでいるので、古来神と呼ばれた存在があの銀河少年なのかなあ、という気もしてきます。
この辺は妄想ですが、こういうのがSF好きにはたまらない快感になります。
キャラとしては、こずえの演技がちょっとうるさい気がしますが、気が強いキャラじゃないとここまで猪突猛進できないのでしょう。あるいは、こずえはもともと選ばれたコンタクティで、その能力が彼女を星好きにし、引っ張っていったような気がします。
ストーリーそのものは、それほど凝ったものではないと思いますが、30分弱にまとめたのが良かったと思います。視聴者の想像に委ねればいいところをそぎ落としていった結果なのでしょう。ストーリーを追うことに集中力を使うよりも、余韻の味わいと想像力に脳みそを使いたくなるところが良い、結構好みなタイプの作品です。小説なら短編小説の読み方をする作品ですね。
わからないところを保留して、エッセンスを楽しみつつ、なんとなく想像が広がっていくのを味わうということでいいんじゃないでしょうか。
まあ、最後ED後のパートはちょっと視聴者に迎合して結末を入れてしまいましたね。あそこをカットできる胆力があれば、手放しで褒めたのですが。
キャラデザが首太で鼻の穴があるというリアルよりなのも、このストーリーに会っていた気がします。
アニメはなかなか奇麗でした。決して作画がいいとはいいませんが、この話に必要十分以上のレベルだったと思います。
企画された意図がちょっと不明ですが、面白かったと思います。ただ、物語もキャラ造形もそこまで深くはないので、極端に高い評価点はあげられませんが、何度か行きつ戻りつ考えさせてもらったので、満足度は高いです。