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「劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
5
棚に入れた
21
ランキング
7989
★★★★★ 4.4 (5)
物語
3.8
作画
4.5
声優
4.7
音楽
4.3
キャラ
4.5

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劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大人も観れる忍たま──の、段!

映画が始まると戦国時代という設定らしい重苦しい戦の描写から始まる。忍たまはアニメこそ子ども向けだが、一昨年に記念すべき30周年を迎えた歴史ある作品でもある。1期を4~5才の頃に観ていた人はもう現在では立派な社会人を10年は務めていることだろう──務めてますよね?
袈裟斬りにされた案山子は死体、その上に咲き乱れる彼岸花は血飛沫を表している。子ども向けのために表現を規制しながらも大人ならわかる比喩表現のように戦{いくさ}を描写するのは面白く、言わば「大人にも配慮」された映像作りにはグッと心掴まされてしまった。

【変わらない魅力:乱きりしんと土井先生】
そんなシーンから一変、いつもの光景が描かれる。乱太郎、きり丸、しんべヱ──忍たま乱太郎の主人公である3人が「土井先生」と下校時に出会い、いつもの掛け合いをする。習った忍術をもじりにもじって言い間違えた挙げ句──

『『『そうか、まだ習ってないんだ!』』』

そうすっとぼければ先生の『教えたはずだああぁぁっ!!』が木霊する。私としては実に20年ぶりに聴く懐かしいノリだ。
忍者の養成学校『忍術学園』。その最下級クラスである一年生の『は組』は成績も悪く、手裏剣すらろくに当てられない子ばかりが集っている。そんな生徒たちを叱りつつも、若く甘いマスクが故に逆にからかわれたりもするのが「土井先生」であり、彼が生徒に強く慕われていることを感じさせる一幕がある。
懐かしいノリ、ギャグとボケとツッコミが90年代のあの頃を思い返す郷愁{きょうしゅう}感に駆られるような気持ちだ。メインキャラクターの中には覚えていないキャラももちろんいる、私が観ていた時には登場していないキャラもいる。
しかし覚えているキャラも多く、出てくる度に「あーこんなキャラいたなー懐かしいなー」という感覚に浸れる作品だ。話が読みやすい分、最新作である今作に全くついていけないということはなく、子供の頃になんとなく観ていたという人でも問題なく楽しめる部分が多い。

【ココが面白い:子ども向けから逸脱した忍者アクション】
そんな中で土井先生が果たし状をもらい決闘をする流れになる。圧倒的な実力差で、刀も手裏剣もマキビシも使わず出席簿や黒板消しやチョークで戦う姿は「土井先生」というキャラクターを象徴しているかのようだ。
この果たし合いのシーンもそうだが、本作はギャグ一辺倒ではなくきちんとした「忍者」をアクション面から描こうとしていることを感じさせるシーンが多い。
中盤では敵役のドクタケ忍者に『天鬼』という新参が入り忍術学園の面々と相対することになる。その中で多数の忍具によるアクション、それを躱していなし手痛い反撃をする天鬼のアクションなど、1つ1つのシーンがきちんと外連味のあるアクションに仕上がっている。
そのアクションが映画としての見ごたえにつながっており、同時に忍者としての実力が土井先生と天鬼、山田先生や雑渡昆奈門{ざっと こんなもん}などの「プロ忍」のキャラ立ちにも一役買っている。
とくに雑渡は第三勢力である『タソガレドキ城』に属する忍者であり、今の忍たまを知らない私にとっては初見なキャラではあったものの、3人の忍者を相手に圧倒する姿に思わず「かっこいい」と思わせるだけの魅力をきちんと感じさせてくれた。
鬼滅の刃や呪術廻戦のようなド派手なエフェクトでCGを多用し、とんでもない作画枚数をかけて描くようなぬるぬるとしたアニメーションではない。亜細亜堂による静と動──メリハリを意識した忍術アクションが、普段は子ども向けギャグを見せる忍たま乱太郎という作品になんとも不思議にマッチしている。

【ココが面白い:土井先生、失踪!? 臨時教師はこんなもんとかそんなもん】
{netabare}さて土井先生の話に戻すが、彼は決闘の相手である諸泉尊奈門{もろいずみ そんなもん}の意地で崖に投げ落とされて行方不明となってしまう。尊奈門もまたタソガレドキ城の忍者であり雑渡の部下。今タソガレ側が忍術学園と事を構えるのは都合が悪く、然れど部下がやらかしてしまった状態だ。
土井先生の捜索に山田先生も学園を出てしまい、このままでは一年は組の授業をする先生がいない。そこで(恒例の)学園長が思いつきで、雑渡と尊奈門の2人をは組の臨時教師に迎え入れてしまう。
プロ忍中のプロ忍である雑渡と土井先生をライバル視する尊奈門。2人の授業は厳しく圧が強く、土井先生に甘えていたは組にとってはたまったものではない。そんなドタバタを描くものの、尊奈門がは組をダシにして土井先生を貶めると一転、委員長の庄左ヱ門{しょうざえもん}を中心に団結して見返そうとする生徒たちの姿は土井先生への親愛が感じられて微笑ましい。
またタソガレの2人も教職は初経験である。尊奈門はともかく雑渡は例え臨時であってもは組に嫌われず、然れど効果的な授業を行うにはどうすればいいかを模索しており、辿り着いたのが「尊奈門を教壇に立たせて自分は質問責めでしごく」。そんな中々なオチもつけて“土井先生のいない”忍術学園を序盤は描いていた。{/netabare}

【そしてココが尊い:土井先生ときり丸】
{netabare}こうして四年生以下の年少者には土井先生の失踪が知らされないまま学園の日々が過ぎていくのだが、きり丸だけが真実を知ってしまう。果たし合いの中で死んだとも思われていた土井先生が記憶を喪い、敵であるドクタケの軍師・天鬼になっている。これには誰よりも大きなショックを受けてしまう。
きり丸はいわゆる「戦災孤児」であり、学園が長期休暇の時は皆と同じような帰る実家が無い。そんな彼を土井先生は気にかけており、一緒に家に暮らし、まるで弟のように、息子のように、そして生徒と先生として接している。

『──先生は、なんで俺のことをそんなに気にかけてくれるんですか?』

『……同じような育ち方をしてるからかな』

(既にTVシリーズで明かされているため)この作品では語られないが、土井先生の過去も忍たまとは思えないほど重い設定がある。少なくとも現在の土井先生は山田先生一家や忍術学園の存在無しでは成立しなかったと言っていい。「天鬼」とは、そんな大切な存在を忘れてしまったことで表れた過去の「土井半助」なのである。
土井先生を取り戻したい。
きり丸のそんな思いを、は組の皆も受け取ってくれる。{/netabare}
{netabare}一年は組は決して優秀ではない。ろくに忍術も使えず手裏剣すらも真っ直ぐに投げられない。そんな彼らが担任の先生を助け出すために自分たちだけで情報収集し、敵地に乗り込んでいる。
その姿は基本的にコメディタッチで描かれておりギャグ全開だ。3人で肩車して大人になりすましたり、タルの中に入り込んで敵地に侵入したり──忍たま乱太郎らしいコメディタッチな展開でストーリーを描いている。
大好きな先生のために、先生に教わったことを胸に秘めながら必死で命の危険がある場所に赴いている。その姿はどこか可愛らしさがあると同時に、思わず応援したくなり魅力を兼ね備えている。{/netabare}

【そしてココがすごい!:なんと伏線回収】
90分の映画であり忍たま乱太郎という子供向けのアニメだからこそ、誰かが命を落としたりすることはない。しかし今作は意外とシリアスな部分も多く、戦いの中で血を流すキャラクターも多い。
{netabare}そんな中で乱太郎、きり丸、しんべヱの3人が捕まり、天鬼となった土井先生の目の前に連れてこられる。例え記憶が戻ったとしても、3人を斬り殺したという事実があれば土井先生はもう土井先生ではいられない。そんな残酷な作戦を考え出す稗田八方斎{ひえた はっぽうさい}もまた頭を打っており普段とは少し違う、中々の悪役ぶりだ。
土井先生を前にして3人は必死で訴えかける。自分たちのことを思い出してもらおうと、先生が自分自身のことを思い出せるように。
この台詞の数々が見事な伏線回収になっている。映画の冒頭の「いつも」の日常、「いつも」の3人のボケ、そんな「いつも」の3人に、記憶を失ってもいつものようにツッコんでしまう土井先生。

『まきびしは、勿体なくて撒けません!!』

涙ながらにいつものドケチ発言をするきり丸に思わず涙腺を刺激されそうなほどだ。
いつものボケが、いつもの日常が、シリアスな展開を呼び戻すきっかけになるというきれいな伏線回収が心地よく、映画のラストでは『勇気100%』が流れる。
あの頃と変わらない忍たま乱太郎の姿に、どこか懐かしくも新鮮な気持ちで楽しめる作品だった。{/netabare}

【総評】
大人になったということで忍たまを観ることを辞めていた私がいきなり最新作を観に行くという愚行に走ったわけだが、そんな状態でも普通に楽しめる作品だった。あの頃と変わらない忍たま乱太郎のノリとギャグ、愛すべきキャラクターたちの変わらない姿はどこか懐かしささえ感じられる部分がある。
映画だからこその見ごたえもしっかりとある。アニメーション部分ではしっかりと忍術アクションを描いており、それがキャラクターの魅力にもつながっている。
{netabare}ストーリー的にも記憶喪失になって敵になった土井先生と助けたいきり丸を中心に「一年は組」の尊い関係性を描いており、映画冒頭の会話が伏線になっているという気持ちの良いストーリーになっていた。{/netabare}
飽くまでも『忍たま乱太郎』という作品が好きな人に向けた作品で、流石に全く観たことない・興味がない人が本作単体で楽しめるかといえばそれは厳しい。そういう点では毎年公開している『名探偵コナン』や『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』などには劣るのかも知れない。{netabare}実際、登場人物も大分更新・刷新されていたのでタソガレドキ忍軍など知らないキャラクターも多く、誰もが知っている滝夜叉丸先輩は四年生ということで戦力外になっていたのが残念だ(笑){/netabare}
ただそれでもNHK教育(現:Eテレ)の夕方6時にずっと放映されているアニメシリーズということでその認知度はものすごく高い。いつまでも続き決して「オワコン」にはならない忍たま乱太郎を知らない人は恐らくどの世代のアニオタの中にもいないだろう。
であればやはり本作は「誰でも」楽しめるアニメ映画だと評することができ、深夜アニメを嗜むようになった人にも耐えられる大人向けの表現、そして土井先生と天鬼の二役を担う関俊彦さんの怪演が光る良作は世間からきちんと評価されている。それが2ヶ月以上のロングランや興行収入25億円などで反映されているようだ。
乗るしかない、このビッグウェーブに!
実際、乗り心地は悪くなかったぞ!(笑)

投稿 : 2025/02/20
閲覧 : 18
サンキュー:

1

ネタバレ

メガマインド さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

シリアスな忍たま

原作既読


すごくよかった


まるで

群像劇をみているかのようだった。

忍たまは映画化するの今回で3回目!?で長寿シリーズ

でそれならではの一風変わった雰囲気を味わうことができた。

子供向けの作品なので血をたくさんだすわけにはいかないので

彼岸花と案山子で血と死体を表現したりと

 上手く小さい子供でもみれるギリギリのラインを攻めていまし

た。

少しですが斬られて血が飛ぶという血の描写もあります。

忍たまの世界観はもともとは戦国時代で

互いの国同士がバチバチにやりあっていた物騒な世界ながら

プロ忍者の土井先生とかけだしの忍者の卵、乱太郎、きり丸、

しんべえを中心にゆかいなメンバーが忍者の学校で様々な修行をし、


ドタバタ繰り広げるギャグアニメで表向きは平和な世界を

血とは一切無縁な優しい世界

を描いている印象なのですが、背景、舞台が血で血を洗う戦国時代なので


その忌々しい部分も描かれているのもポイント高

い。

忍者同士の命がけのやり取りが行われていた

貧困で弱り切っている市民がでてきたり。

後今作ではきり丸や土井先生や高学年の忍術学園のメンバーにかなりスポットが

当たったお話であった


主人公の活躍が結構少ない

主人公サイドはまだ幼い子供なので

戦が関係する出来事なので忍者のひよっこを前線にだすわけにはいかない

ので高学年を前線に趣かせて聞き込みしたりするところを上手い

主人公ではないが主人公の友達のきり丸というお金にがめついキャラがいる



彼は戦で村や親を失って孤児になってしまい、同じく

一族を滅ぼされた過去を持つ土井先生に拾われたという

過去がある

そういうキャラ設定の部分を映画で色濃くみせてくれたので


そこを知ってみると映画が何倍も楽しめると思います。



なんなら

忍たまの持つキャラ設定や世界観に至るダークな面をできるかぎり全面にだ

しました!!

という印象です。

投稿 : 2024/12/25
閲覧 : 52
サンキュー:

2

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2025/01/13
閲覧 : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/12/25
閲覧 : 11

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劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師のストーリー・あらすじ

2013年に刊⾏された 「⼩説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師」を劇場アニメ化。決闘に向かい消息を絶ってしまった土井先生を捜す上級生と、忍術学園に危機が迫り奮闘する姿を描く。(アニメ映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2024年12月20日

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