劇場版モノノ怪唐傘（アニメ映画）の感想/評価、レビュー一覧【あにこれβ】

shino さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

渇きと潤い

ツインエンジンEOTA制作。

豪華絢爛な大奥に渦巻く女たちの情念、
薬売りの現れるところ、モノノ怪の気配あり。

人を選ぶ作品ではありますが楽しい。

和紙の上に描いたかのような映像表現、
色彩豊かで唯一無二な世界観に圧倒される。
比類なき独特な映像美は健在で美しい。

舞台は大奥、そこは独自の掟が敷かれた社会、
憧れの大奥に居場所を求めた２人の少女が出会う。
{netabare}大奥に住む女たちの内面に渦巻く情念に、
妖（あやかし）は反応し、モノノ怪は生まれた。{/netabare}

物語の大枠として怪異の退治がありますが、
薬売りがここで救済したものは何だろうか！？

一見するだけではつかみにくい。

{netabare}大切なものを捨てた少女たちはやがて、
その心の渇きから「御水様」を欲するようになる。
それは生を縛る信仰の儀式であり、
腐ったかのような匂う水の正体である。
その水で心を潤してはいけない、
それこそが退治すべきモノノ径なのでしょう。{/netabare}

豊潤な色彩と怪奇の世界、ぜひ楽しんで下さい。

投稿 : 2024/12/09

閲覧 : 192

サンキュー：

15

sTlYZ78537 さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

骨身に染みる場面が多く、何度も鳥肌が立った

官僚的で無機質な側面を持つ組織で働いた経験がある人なら誰もが抱いたことのある苦しみや葛藤が生々しく描かれている。

しかしその中には、足枷であると同時に代えの利かない大切なものが隠れていることを主要人物の関係性という形で表現しており、それを捨ててしまった者達と捨てずに済んだ者達との対比を含め、いろいろと考えさせられる作品だった。

視聴中は映像表現の巧みさに惹かれながらも所々に漂う不穏な空気に飲み込まれ、主要人物の二人の関係性が大奥に漂う情念に影響を受けて、どのように変質しまうのかが心配だった。しかし最終的に、二人が道は違えどもそれぞれに目指すべき標を違えることなく己の運命を決め、二人の縁も途切れることなく続くものであることを示す結果に収まり、嬉しく感じた。

モノノ怪の複雑な世界観の一側面を見ることができたという点でも満足。

投稿 : 2024/12/04

閲覧 : 49

サンキュー：

1

たわし（爆豪） さんの感想・評価

4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

傑作ではないが「秀作」

正直、最近見たアニメの中では一番面白かった。特にアニメーション技術は１４年前見たTV版を上回る技術であり、それだけでも一見の価値があるが、１４年前のアニメを今更映画化するメリットよりも、「この時代だからこそ作らなければいけない」という使命感のある内容だと思った。

本作の主題である「渇き」とは「現代人の心」であり、その様子を江戸時代の大奥と重ねている。

それ自体は１４年前のテーマとほぼ変わらないが、見ているこちら側の世情としては身に詰まる部分が多々有るように感じ取れたのは僕だけではないはずだ。

しかし、脚本や構成がそれを上手く手助けしているかと聞かれたら。。。そういうわけでもないのが、少し残念に思えた。人物の掘り下げも間の取り方も少しTV版のような早急さが見られ、映画における深堀が浅い気がした。

既に続編が決定しているそうで、そういうことを踏まえたうえでより人物を深堀できれば、次こそ「世紀の傑作」になりうる伸び代はあるように思える。

投稿 : 2024/09/23

閲覧 : 111

サンキュー：

3

四ツ谷ミツル さんの感想・評価

4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

百花繚乱・唐傘絵巻

実は去年から気になっていたので滑り込みで映画館に行かせて頂いた。
いやあ…非常に良かった。これは映画館で観る価値大いにありだ。

原作なんも知らない状態で見たが特に引っ掛かりもなかったので大奥の知識がふわっとでもあって、かつ細かいことを気にしなければ完全初見でも楽しめる。

さて作画についてだが、これもうマジで素晴らしかった。
浮世絵がアニメーションになった様な不思議な調和と質感だ。なんと言っても背景作画が素晴らしい。色鮮やかな動物や小物があしらわれた屏風や壁かと思いきや記された動物の目がギョロリと動いてこちらを見てくる。それを物ともしない登場人物達が世界の独自性に拍車をかけている。
良い香りは花が舞い、よく無い香りは花が萎れる。香りという4DXにでもしないと伝わらないのを視覚的に表現するのはアニメーションとして美しい。

凄く和を感じるアニメタッチだがセルルック調のCG達が上手いこと溶け込んでいて画面上では常に何かしらが動いていてマジで目が足りない。
唐傘と対峙するシーンはアニメーションの限界に挑んでいるのではないかってくらい全方位動くので製作陣の魂を感じた。
劇場の大画面で観る価値大いにありの豪華絢爛さだ。マジ映画館行って良かった。
また、怪異を扱ってはいるがびっくり描写はほとんど無い。ホラー要素で躊躇する必要は無いだろう。

声優陣も大変良くて、最初はこの和風タッチにアニメ声は浮いてるかもしれんと思ったが聴くごとにどんどん馴染んできた。何より叫びの演技が素晴らしい。
悠木碧さんの悲鳴はホントピカイチだし、アサが気迫を込めて声を張るシーンは迫力満点だ。
ゆかなさんの小姑っぷりも堂に入っていた。
声優陣も文句無しに素晴らしいと言えるだろう。主題歌も良かった。
…この流れで一つ言っておくとBGMは結構ボリュームのアップダウンが激しい。
上げるとこは結構爆音なので声優さんのセリフをたまに聴き逃した。まあ一個人の所感ではあるが。

ストーリーについてだが、
※ふわっとラストのネタバレあり※
初見からするとそこそこ難解ではあるがついていけないほどでは無い。大奥という特殊な環境で溜まる情念を雨や水で表現するのは鬱くしい。(誤字にあらず)
御水の正体が分かった時は鳥肌が立ったし、雨粒の独特な表現は最高である。
物語の本質としては、煩わしいと思っても友を無くすと心が渇く、乾けば唐傘に支配されると言うことだと解釈した。
真に大切な物は手離してはいけない。手離せば自身も気付かぬうちに心が乾いて疲弊する、とは中々深いことをおっしゃる。
その上でラストの離れ離れになる二人は最初アレ？と思ったがカメが手離した大切な簪とアサの簪の両方を持って大奥から出る事は"離れていても繋がっている"と言うことか。まあカメに大奥勤めは厳しいだろうから良かったのではなかろうか。良いラストだった。

以上だ。
結論を述べると映画館で観る価値大いにありの神作だ。もう一回映画館で見たくなったのは久しぶりだ。
エンドロールでクラファンの支援者御礼クレジットを見た時にこの作品は本当に多くのファンに支えられ、製作陣が熱意を持って応えた素晴らしい作品だと改めて思った。
(ちなみに鑑賞後気になってTV版モノノ怪をチラ見したのだが、アニメだけ知ってる方は是非とも映画を観ることをおすすめする。飛ぶぞ、豪華絢爛さに)

投稿 : 2024/09/10

閲覧 : 39

サンキュー：

1

Tio さんの感想・評価

5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

2回観に行った

とにかく色彩豊かで絵が美しくて
終始目が幸せな作品。
観終わったあとの満足感がすごい。
2部も楽しみ

投稿 : 2024/08/19

閲覧 : 70

サンキュー：

1

takato さんの感想・評価

4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ノイタミナ枠みたいなの復活しないかなぁ〜。最初の「化猫」が結局最高傑作。

　声優が神谷さんに変更になったが、基本TVアニメのスーパーサイケデリックアクション作品路線を強化した感じで他にはないナニかになっていました。

　ただ、個人的には花澤さんや悠木さんが出てて、舞台が大奥と聞いて、陰湿な情念でドロドロかつグッチョングッチョンなレズる世界を見たかったので少々残念。どうせ映画なんだし。

　このシリーズは、そもそもノイタミナ枠「妖　アヤカシ」の一編でやった「化猫」の好評から一本立ちしたものですが、正直最初の一本にはその後は遠く及ばないと言いたい。

　「化猫」は、とにかく悲劇として素晴らしく完成しており、それが最後に文字通り「解き放つ！」ことで、多くの感情がカタルシスに至る傑作でした。終わった後の余韻も素晴らしいし、薬売りもより柔らかいキャラだった。

　
　その後の作品では、残念ながらドラマが後退して異常な美術世界のための舞台装置化してしまって少々物足りない。本作で興味を持った方、或いはTVアニメは見てるけど最初のやつは見てない方は是非御覧ください。悲しい悪役作品として屈指の名作です。

投稿 : 2024/08/13

閲覧 : 131

サンキュー：

7

さあや さんの感想・評価

3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

独特。

普通のアニメと思って視聴しない方が良いと注意喚起します。

やはり最初は作画や背景、時代が独特すぎて、入り込めなかったけど、
慣れたら面白くなる作品

だからこそ、最終シーズンの列車のミステリーはとてもおもしろかった。
今年劇場版も公開されたので、足を運びたい。

投稿 : 2024/08/06

閲覧 : 85

サンキュー：

0

nyamu さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

極彩色の中毒性のある映像

とにかく映像が凄い。

グルグル動くアングル、目まぐるしく移り変わるカット。
背景はタイトル分からないが美術で見たことある多分有名な絵画も使われていたり、一瞬しか映らないカットでも手抜きはない。

基本的にキャラクターから建物、空の色、匂いの表現まで独特の印象に残る色遣い。
クライマックスでは極彩色の映像が流れ込むように押し寄せて来て、圧巻。劇伴も良かった。

この映像がとても好みで何度でも見たいと思う中毒性がある。

一方、ストーリーは難解かもしれない。

途中で飽きたり面白くないということはないが、筋は分かるものの根本的な部分が映画を見るだけではちょっと理解しにくい、と思う。
分からないことはないけど完全に理解できたと思わせる爽快感的なものは無く、それがちょっと物足りないと感じさせるところかと。

とはいえ、ストーリー部分の若干の弱さを補ってあまりまるほどの映像なので観て損は無いし映画館でこそ見るべき作品。
この映像表現は10年、20年経っても見劣りしないと思う。

3部作のようなので次も映画館で見たいと思う。

投稿 : 2024/08/01

閲覧 : 81

サンキュー：

3

メガマインド さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

新生薬売り、大奥に潜むモノノ怪、新たなの物語の幕開け

めっちゃよかった。（短文ですまん）

けど、割と難解なストーリーなので物語も中途半端に終わっているように思えたが

終盤までみて納得

薬売り声が代わってもいつもの妖怪を斬っていくクールな薬売りで安心した

し、二人の女性のゲストキャラもよくて　百合を感じました

なによりびっくりしたのが

次回火鼠へと続く

エンドロールのクラファンの多さにびっくりしたので

改めてこの作品のもつ特異さと人気の高さに感激致した。