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「小市民シリーズ(TVアニメ動画)」

総合得点
68.8
感想・評価
204
棚に入れた
541
ランキング
1995
★★★★☆ 3.4 (204)
物語
3.3
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.3

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小市民シリーズの感想・評価はどうでしたか?

Witch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

『氷菓』や原作を知っているとつい口を挟みたくなるのは申し訳ない

【レビューNo.158】(初回登録:2024/12/15)
小説原作で2024年作品。全10話。
原作についてはアニメ『氷菓』で米澤穂信先生を知って読み漁るようになり、
その際に読了済み。
その当時は漠然と「これもアニメ化されたらいいのになあ」と思っていたら、
このタイミングでまさかのアニメ化ですよ(笑)


(ストーリー)
主人公・小鳩常悟朗は中学時代に問題事を推理したがる性格で苦い経験を持つ。
そして同級生の小佐内ゆきも常吾朗と似た境遇を送っていた。
そんな2人は意気投合、「小市民」を目指すために互恵関係を結ぶことになる。
高校生に進学した2人は平穏を求めながらも、日常の中で発生する事件に巻き
込まれ、結局封印したはずの謎解きに挑むことになる。


(評 価)
上述のように待望のアニメ化だったのですが、率直なところ
「アレ!?思ったほど面白くないなあ」
原作を読んだのも大分前で結構忘れてる部分も多く、思い出補正なんかもあっ
たのかなあと思っていたのですが、最近最終巻(冬期)が図書館から回ってき
たので読んでみると
「おい!やっぱり面白いやんけ!!」
なので、もう一度原作を読み返してみると・・・

・1,2話でやらかしている
 1話を視聴して感じたのが
 「アレ!?こんな不自然なストーリーだっけ?」
 という強い違和感だったんですよね。
 原作を確認すると、やはり「ポシェット事件」と「いちごタルト事件」は
 本来別エピソードでアニメ化で改変されたようですね。
 まあ1話で視聴者を引き付けるために上述構成にした意図は理解できます。
 でもここに問題が発生したんですよね。

 小佐内さんは本来「スイーツ」については異常ともいえるこだわりや執着
 を持っている、個性的なキャラだったんですよね。
 それが本作だと
 ・「春期限定いちごタルト」に強い執着を持ち、絶対ゲットしたい
  しかも今日までという期限付き
 ・そして(2個ゲットするため)小鳩君に同行の約束を取り付けるも
 ・ここで事件に巻き込まれ小鳩君が友人から呼び出される
  → 小佐内さんおとなしく待機
 って、こんなの私の知ってる小佐内さんじゃない!
 売り切れるかどうかの瀬戸際で、呑気に待機してる場合じゃねーだろ!!
 個人的には彼女の強烈な個性は吹っ飛び「普通のスイーツ好き女子」に成
 り下がったなと。
 (この辺はその後のエピソード含め(説明セリフ頼りとか)演出が弱かっ
  たかなっと)
 これだけなら些細なことかもしれませんが、本作は一事が万事こういう感
 じなんですよね。

 例えば続けて2話ですが、今回は「おいしいココアの入れ方」です。
 これはミステリーのオチが斜め上過ぎて酷評の嵐でしたが、原作を読むと
 本編のポイントはここではなく、小鳩君と友人堂島健吾の間で交わされる
 「お前中学で何かあったのか?雰囲気が違い過ぎる。」
 という会話劇なんですよね。
 
 これも
 ・原作だと知恵働きをやめ「小市民」を目指すようになったきっかけが語
  られるのは一番最初のプロローグ(夢の中という設定)
  → それを受けての上述会話劇になるので重さを増す
 ・本作だとこの辺りが語られるのはラスト付近
  → 上述会話劇が唐突な昔話になり伏線めいた扱いに
 制作側としては最後の見せ場にとっておいたようなフシがあるのですが、
 そのせいで
 ・会話劇の重みが薄らぎ「ココアの入れ方」の不出来が悪目立ち
 ・「小市民」という言葉もどこかひとり歩きしているような状態に
  (また後述の2人のキャラの描き方にも影響したような)
 と、やはり違和感を覚えたのは正しかったようです。

 1,2話で「??」となった視聴者も多かったんじゃないですかね。
 (制作側のやろうしていることは分かりますが、序盤からこれだけ違和感
  を覚えるとなあ・・・という感じですね。)


・3話以降は原作の出来に助けられたが・・・
 3話以降は原作者の調子も上がってきた感じで、ミステリー的なストーリー
 は楽しめたように思います。
 しかし「魅せ方」については比較するのは適切でないかもしれませんが
 ・『氷菓』は
  ・「何故この作品をアニメでみせるのか」を考え抜いた上で
  ・それに従い全体像も練り上げて、そこからエピソードに落とし込む
  という意図が感じられ、アニメは原作越えの面白さがあった
 ・しかし本作は
  ・このシーンはどう見映えするか的な”点”で終わってしまってる印象
 という感じで連続性のある積み重ねという部分が弱い感じがしましたね。

 その辺はキャラにしわ寄せがきてる感じで、例えば小山内さんなんかは
 ・普段はスイーツ好きで小動物的にかわいく描いておいて
 ・ここぞの場面で作画のインパクト等で「実はどす黒い女子です」アピール
  しときゃいいやろ的な
 他のレビューで書きましたが、キャラ造形って
 >・作り手が「彼はどういう人間か?」というのを考え抜いた上で、それを
 > 作中の言動に地道に落とし込んていく
 >・その積み重ねを経て、視聴者側がどう受け取るか
 ということだと思うのですが、そういう点では物足りなさを感じたかなっと。
 (全体的にキャラの捉え方が平面的というか、他のレビュアーさんのご指摘
  通り行間を読み取れていないというか・・・)

 それに伴って、小鳩君との「小市民」を目指すための互恵関係という設定も
 作品の面白さに繋がっていない感じですし。


・作画もレベルは高いが・・・
 作画は綺麗でかなりレベルが高いです。
 しかしここでも引っ掛かるところが・・・
 ミステリーだと会話劇が冗長的になりやすいので、飽きさせないようイメージ
 映像を挟んだりするのですが
 ・『氷菓』だとメインの会話がよりわかりやすくなるように等会話劇を面白く
  引き立てる名サポート役的に描かれている
 ・本作は目先の変化だけが目的というか、川辺のシーンなんかむしろ本筋より
  作画がきれいだったりとこっちを強く主張してどうすんねん!
  (会話劇を面白くする方向に機能していない)
 こういう感性が合わなかったところも1話から違和感を覚えたひとつですかね。
 (作画も全体的にアニメとして面白くみせることより、作画自体の凄さを見せ
  つける方向に神経がいっていないかと?)


『氷菓』や原作を知らなければまた評価も違っていたかもですが、なまじ知識
があるとつい口を挟みたくなる点はちょっと申し訳ないですね。
期待値が高かった分辛口気味なレビューになりましたが、標準レベルはクリア
されているとは思います。
(正直なところ1,2話で負のバイアスがかかったのが影響してる感じ)
決して『氷菓』を目指して欲しいわけではありませんが、『氷菓』の真骨頂は
ある意味
「原作へのリスペクトと圧倒的な理解度の高さ」
にあると思っているので、そういう点は見習って2期では
「この原作のどの部分が琴線に触れアニメ化に至ったのか」
が見えるような作品を期待したいですね。
2期分の原作エピソードもより面白いものになっているので。


(追 記1)
>このタイミングでまさかのアニメ化ですよ(笑)
これは2024/4に最終巻が発刊され、完結まで描ける目途がたったのが大きかっ
たのでしょうね。
個人的には、2022/2の米澤先生の「✕」での発表
「KADOKAWAさんから出る新刊は、〈古典部〉シリーズの長篇にしようとご相談
 しています。」
以降『氷菓』の続編どうなっとんねん?が気がかりなんですが。
『小市民シリーズ』も無事完走したことですし、こちらの方もよろしくお願い
します m(_ _)m
(『氷菓』のレビューでも書きましたが、これが完成すればギリ1クール分の
 ストックは確保できるかなっと。
 アニメ化してくれるかは知らんけどw)

(追 記2)
あと堂島健吾のことを彼女が「ケンケン」と呼んでいたが、やっぱアニオリだ
ったんだな。
そこはちょっと面白かった。小鳩君の間とか後でちゃんといじってたしw
(改変が”点”で終わらず、きちんと”線”になっていた。)

ただこの回では堂島が「名前は言えないんだが」といいつつ、次の会話であっ
さり名前を言ってしまう”大雑把さ”に小鳩君が心の中でツッコミを入れると
いう(原作の)流れなんですが、本作ではそこはスルーかよっと。
また最終話の小鳩君が最後のパフェを食べた際の心理描写不足とか・・・
こういうキャラの魅せ方とか細かい感性のズレが原作のよさを活かしきれず、
イマイチ合わないなあっと感じてしまった。

投稿 : 2024/12/15
閲覧 : 48
サンキュー:

13

白毛和牛 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

小佐内のキャラが見え始めてから面白くなった

この作品に付いては最初は退屈かなという印象で同じ原作者で12年前にアニメ化された「氷菓」と比べると微妙かなと思ったけど
ただストーリーが進むに連れて小佐内のキャラが見え始めてからが俄然と面白くなったというか
まさか小佐内があれほどヤバイ奴だったとは原作未読の立場では完全に予想外でした。

さてストーリー的には「夏季限定」の所で終わってますが、
ただ今後において「秋季限定」や「冬季限定」を描く2期の放送が決まってるという事で今後も引き続き楽しみな作品ですね。

【評価】

68点・2B級

投稿 : 2024/12/08
閲覧 : 49
サンキュー:

0

ネタバレ

ろだ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

感想

原作未読。

何と言うか、色々なテンポが非常にスローだった。
自分は氷菓の頃より、ミステリーの内容よりもキャラクター自身やその関係性、その変化等を主に楽しんでいたが、それらは氷菓よりもさらにスローテンポ。氷菓ではミステリーはそれらを引き立てたり、覗かせるための舞台装置だったり、味付けだったりだと思っていた。

主人公2人の胸の内や背景をより知りたいのに、2人が全く自分たちのことを話さないので、なかなかキャラクターの掴み所がない。ゆえにキャラクターに深入りも出来ない。やりとりや仕草はかわいい。けどそれ以上は立ち入れない。1期のラストでは少しだけ垣間見えたが、ここまで耐えられない人もままいるだろうと思う。
1期すべてを使いスタートラインに立った印象。
2期以降見続けられるかどうかは不安。

楽しい面白いで言えば普通。

あとは演出面で、これは現実のことなのか想像の中のことなのか分かりにくいことが稀にあったくらい。

投稿 : 2024/12/04
閲覧 : 45
サンキュー:

0

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

小市民 → 中市民へ

原作未読 全10話

原作は京アニでアニメ化された「氷菓」の米澤 穂信先生なので、「氷菓」知っている方はなんとなくイメージが出来るかも知れませんね。

中学時に問題あることを推理していた男女2人が、高校に入学したことをきっかけに平和な高校生活「小市民」を目指すお話しです。しかし周囲から問題が起こり解決するため推理をしてしまいます。

その度に後悔をするのですが、やっぱり推理してしまいますね。小市民になるにはまだまだ遠い道のりのようですw

最初は、ちょっとしたことを推理して謎を解いていきましたので、そういうエピソードの連続を描く作品だと思いましたが、最後のエピソードはなかなかのものでした。

基本、2人をうち一人の小鳩(男)くんが謎を解きますが、もう一人の小佐内(女)さんが結構ヒントを出してくれますね。ただ、最後は小佐内さんも結構大胆でした。

大きなエピソードが終わり2人の仲を気にしつつ物語は終わるという感じでしたが、その後、2期への伏線が発生して終わりましたね。

2期は2025年4月予定なので楽しみです。

OPはEveさん、EDはammoさんが歌っています。

最後に、副題にスイーツ名が使われているだけあって、たくさんのスイーツが出てきました。美味しそうでしたね^^

投稿 : 2024/11/12
閲覧 : 243
サンキュー:

16

ネタバレ

ケロタン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

全話視聴後消化不良の為原作一気読みした結果

全話視聴終了
まぁ特に叩くところもない普通のアニメという印象
しかし氷菓を見てからハマり原作者の米澤穂信穂信ファンになった身としては違和感を感じ
原作を読んでみた結果原作は読み始めたら止まらないレベルで面白い
以下原作を読んだ後感じた不満点
小佐内さんを全然描けていない事
狼と狐が羊の皮を被って羊になろうとするという作品の根幹が全く表現出来ていないのが致命的
特に感じたのが4話堂島君がお前オサナイ(漢字が一発変換出来ないので以降カタカナ)か?と驚いて双子のマキですと返すシーン
オサナイさんの学校でのオドオドした目立たない小動物然とした印象と外でのアクティブな印象の違いに堂島君は驚いたわけですが全くアニメで表現出来ていないので意味不明な発言に。
表面上は原作をなぞっているけど仕草だったり表情だったりの演出が全く出来ていない
演出者が行間を読めていないからアニメで表現出来ないこれに尽きる
もっと視聴者に印象付けるために小鳩の影に隠れたりモブと同化して全く見つけられない
シーンを大袈裟にでも入れるべきだった
無害そうな小動物から漏れでる異常性や一見笑顔を絶やさない好青年の嫌味な部分が
小市民シリーズの面白さの根幹であると考える
原作読んだイメージではオサナイさんは悠木碧さんに演じて欲しかった
一種のホラー的魅力のオサナイさんの活躍を見たい方は是非原作をどうぞ

投稿 : 2024/11/10
閲覧 : 141
サンキュー:

2

とろろ418 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

構成がよろしくない(65点)

 単純に推理が楽しくなかったです
 解説を聞けば「なるほど」とはなりますが、後出しも結構多い上にほとんどが解決ではなく事後報告
 そもそもの謎も視聴者からすればどうでもいいことばかりなので、鬱憤が溜まるばかりで解放される場所がないのは褒められたものではないかと
 あとはキャラの背景を描くのも遅すぎますね
 主人公かヒロインどちらかに感情移入できるなら謎めいたキャラとして放置するのはいいと思いますが、今作は両方がそうなってるので読者が好感を持てるキャラが不在の状態が長すぎると思いました
 手に取ってもらえれば最後まで読んでくれる保証がある程度あり、一気見も可能なのが小説という媒体
 対してアニメは一話一話引っ張っていかないと見限られてしまう可能性が高いので、ちゃんとそのあたりを考慮した構成にしてほしかったです

投稿 : 2024/11/09
閲覧 : 74
サンキュー:

1

ネタバレ

スイキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

推理もの

推理もの

アニメ「氷菓」と同じ原作者米澤穂信の作品

投稿 : 2024/11/07
閲覧 : 46
サンキュー:

0

ニンゲン さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:----

氷菓好きなら絶対はまる

氷菓のアニメの作者の別シリーズのアニメ。日常に密か謎を解いていくミステリーだった。序盤は正直言ってそんなに面白くないかもしれん。物語が進むにつれてそのキャラのこととかよくわかってくるかな。不穏になってく。でおもろくなっていく。メインの2人が頭で考える系だからちょいむずいところもあった。氷菓とはまた違った面白さ?ビターさ?なんて言うかわからんけどよかった。原作もめっちゃおもろいから是非見てほしい。

投稿 : 2024/11/03
閲覧 : 54
サンキュー:

1

ネタバレ

koboo004 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

つまらなくはないけど事前の期待ほどでは...。

原作は未読です。
氷菓の作者の作品ということで話題になっていたので見てみました。
氷菓の時も思ったのですが、自分はこの人の作品、世間で言われているほど面白いと感じないようです。
つまらないとは思わないけど、ほんとふ~んといった感じ。
話によっては、くだらないしどうでもいい回もあったり...。
ココアの回はとくに酷かった。
小学生じゃあるまいし、牛乳をパックごと温めて、そのアツアツの牛乳を使い切らずにそのまま冷蔵庫に戻すとかありえないよね。
牛乳も冷蔵庫の他のものも傷む事ぐらい高校生なら分かるでしょ?
友人が大雑把な性格ということを表現したかったらしいけど、これじゃ大雑把というより、幼稚で低能な人間にしか見えない。

小市民シリーズを見て、改めて氷菓はいろいろとうまく描かれていたなと思う次第です。

投稿 : 2024/10/31
閲覧 : 62
サンキュー:

1

ネタバレ

ささはら さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:今観てる

エモ系厨二病アニメ

だいぶ昔に原作とコミカライズを拝見済み。
まず表紙イラストや漫画から小鳩は茶髪で太眉のイメージだったが、アニメでは黒髪さわやか系イケメンなのが
解釈違いです。声や喋り方も女子ウケしそうな感じで
小鳩の"めんどくささ"が感じられない。
小左内さんも後ろに隠れたり低身長ぶりっ子でイライラする。
知らん女子のポシェットを知らん男子たちで探すほど高校生はヒマなんか?あんなに欲しかったタルトを手に持たず自転車カゴに鍵もかけず置く神経がわからないが?
とイライラポイントも多い。
ラノベの厨二感と令和のエモ表現を合わせたような空気感の作品で、それが刺さるような年齢はとっくに過ぎてしまったのでアニメ化と聞いた時楽しみにしていたのに期待はずれでした。

投稿 : 2024/10/27
閲覧 : 29
サンキュー:

0

ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

プロ小市民が多すぎる

いきなりですが、本作でいうところの『小市民』とは、
マルクス主義の用語である『小市民(プチブル)』ではありませぬ。
嘉門達夫さんの楽曲『小市民』的なるヒト、つまり、
  
  どこにでもいるふつうの、つましくささやかに暮らしている市井の人々

のことを指しております。

ちなみに嘉門達夫さんが1988年に同曲を発表する以前には、
ふつうの人々を『小市民』と称する言語慣習は日本にありませんでした。
(あったかも知れないけど、メジャーじゃなかったです)
イッパン的にはヒダリにおおきく傾いた方々が、
ジブンたちの主義主張に賛同してくれない中産階級者に逆ギレし、
ブベツするような意味合いで使っていたコトバかと。

そこんとこを逆手にとって、
なかば自虐的に「わしら小市民だもんね」と開き直り、
市井の方々の暮らしをコミカルに歌い上げた嘉門達夫さん、着想がとってもよき。

おかげで日本人が抱く共通の言語感まて変わっちゃいましたしね。
いまの若い人はマルクス的な意味など知らず、
  いや~ジブンなんかたいしたことないっスよ、ほんと小市民っスから
なんて感じで使ってるんじゃないかしら。
とてもよいことだと思います。共同幻想は終わったんだ、小市民バンザイ。


で、本作なのですが、原作は米澤穂信さんの小説(完結済み)で、
  目立つこと・イキったこと・倍返しなこと、
  そういうアレな言動を封印して小市民になろうとしているけれど、
  ついつい血が騒いでナニしちゃう高校生の男女ペア
を主人公にした、
中高生向けのラノベミステリ-ですね。

この原作小説は、
最初に出した『春期限定いちごタルト事件』だけで終わらせるつもりが、
そこそこ売れたのとタイトルに『春期』とつけちゃったので、
  こりゃあ春夏秋冬やんないとダメかなあ
みたいな感じでシリ-ズ刊行することになった作品群であります。
(ちなみに拙は、珍しいことに既読です)

今ク-ルは本編四作+短編集の中から、
  『春期限定いちごタルト事件』
  『夏期限定トロピカルパフェ事件』
と、短編集の中から時系列をいじった一話をアニメ化したもの。

残る『秋』『冬』は来年四月からオンエアということです。
  続きは原作買ってねえ♪
みたく残尿感たっぷりの畳み方はしておりませんので、
原作未読の方も安心してご賞味くださいませ。


さて、米澤穂信さんの中高生向けラノベミステリ-原作アニメというと、
やはり京アニさんが制作した名作『氷菓』が思いだされます。
(あちらの原作は『古典部シリーズ』と呼ばれております)

ここからちょっと原作本に関わるよもやま話。
『氷菓』を見ておられない方や、
  アニメは作品が全て・原作なんか関係ありませんやん
という方にはつまんない内容なので、
まるっとネタバレでかくしておきますね。アニメ本編にあんまり関係ないし。
{netabare}

古典部シリーズは、もともと角川スニーカー文庫で出ていたのですが、
シリーズ完結編のつもりで書いた『さよなら妖精』が、
  テイストがチガウ、
という理由で同文庫からのリリースを拒否られてしまったんですよね。
より厳密に言うと、
サブレーベルのスニーカー・ミステリ倶楽部をやんぺすることになったんだそう。
そういうのは書くまえに言いなさいよ、書くまえに。

ただ、お話自体のデキが素晴らしくよかったので、
先輩作家(笠井潔さん)のすすめもあり、
古典部の要素を排除するように書き直したうえで、
版元を創元社に移し、一般文芸として単行本化されることになりました。
(もちろん、文庫版も創元推理文庫から)

ですが、一般文芸の単行本ってお高いじゃないですか。

で、米澤さんが、
スニーカー文庫で『古典部』を続けられるメドか立たず、
デビューから応援してくれていた中高生ファンに申し訳ないなと思い、
より安価に楽しめるよう創元推理文庫からリリースしたのが、
この『小市民シリーズ』なのであります。

ちなみに創元社から出た『さよなら妖精』単行本の評判がよかったらしく、
それを横目で見ていた角川書店の連中の間で、
  米澤けっこう売れるやん
  『古典部』続けさせなあかんやん
  単行本売れるんやったらスニーカー文庫に置いとくのもったいないやん
というハナシになったようで、
それ以降も古典部シリーズを継続することになりました。節操ありません。
そして出版形態は『さよなら妖精』まるパクリ、
新刊を単行本で出版し、後に角川文庫で文庫化する流れになったんだなう。


その後『古典部』『小市民』シリーズは並行して出版され続けます。
時系列で言うと、こんな感じ。
(ちなみに〇が古典部で●が小市民シリーズであります)

  〇2001年11月 『氷菓』(角川スニーカー文庫)*デビュー作
  〇2002年08月 『愚者のエンドロール』(角川スニーカー文庫)
  *2004年02月 『さよなら妖精(元:氷菓完結編)』(東京創元社)
  ●2004年12月 『春期限定いちごタルト事件』(創元推理文庫)
  〇2005年06月 『クドリャフカの順番』(角川書店→角川文庫)
  ●2006年04月 『夏期限定トロピカルパフェ事件』(創元推理文庫)
  〇2007年10月 『遠回りする雛』(角川書店→角川文庫)
  ●2009年03月 『秋期限定栗きんとん事件上・下』(創元推理文庫)
  〇2010年06月 『ふたりの距離の概算』(角川書店→角川文庫)
  *2012年04月 アニメ『氷菓』放送
  〇2016年11月 『いまさら翼と言われても』(角川書店→角川文庫)
  ●2020年01月 『巴里マカロンの謎(短編集)』(創元推理文庫)
  ●2024年04月 『冬期限定ボンボンショコラ事件』(創元推理文庫)

正直、ドル箱作家を半分さらわれたみたいで、
角川書店の連中は面白く思っていないでしょうが、
そんなん読者・視聴者は知らんがな。
てか、
文句言うまえに社内の人間教育ちゃんとしなさいよというハナシです。
{/netabare}


そんなこんなでアニメとしての本作は、
アニメ『氷菓』と原作者が同じというだけでなく、
 ・主人公の年代(高校生)
 ・物語の舞台(岐阜。ただし本作は岐阜市、氷菓は高山市でロケハン)
 ・対象年齢・テイスト(中高生向けライトミステリ-)
 ・原作の執筆時期
までまるかぶり、性格がちょっと違うふたごみたいなものなのであります。

というわけでアニメ『氷菓』の大ファンである拙は、
本作の製作が発表された時から、
期待ハンブン・心配ハンブンで楽しみにしておりました。
(心配はもちろん『氷菓の劣化版』にならないか、ということですね)

  最初っから京アニ『氷菓』と比較されるのがまるわかりの本作。
  この荒行に挑戦したカントクは、
   『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』『すべてがFになる』『約束のネバーランド』
  などで比較的若めのファンにも名が知られており、
   『約束のネバーランド第2ク-ル』
  の改変でボッコボコに叩かれた記憶が新しい、ベテランの神戸守さん。

  制作は、2014年設立でそんなに有名な会社じゃないけれど、
   『アンデッドガール・マーダーファルス』
  で「おお、けっこうやるじゃん」と思わせたラパントラックさん。

  この期待できるようなできないようなタッグで、
  京アニさんだけでなく日本アニメ史においてもエポックメイキングな作品、
  故・武本康弘氏監督の『氷菓』の姉妹作に挑むことになりました。


でもって、第一ク-ル完走後の印象というのは、
  けっこう頑張った・楽しく見られた
というものであります(いやいや、どんだけ上から目線なんだ、僕)。

極私的なおすすめ度は堂々のAクラス。

ただし、萌え的な観点で申し上げると、
登場する主要女子キャラがヒロインの小山内ゆきただ一人であり、
見かけはともかく中身がアレなヒトなので、
草食系ダンシの方々にはなかなかハードルが高い作品になっております。
(女子高生あるあるも『ない』ですしね)

  そこんところで振り落とされず、
  なおかつ「これは『氷菓』とは別モノなんだ」と割り切れた方のみが、
  ゆったりと作品を楽しめる仕様になっております。


まず、映像がキレイ。というか叙情的。
ロケハンがんばったであろう岐阜市内の風景を巧みに使ってまして、
静かな、そしてパっとしない地方都市の、
『日常生活の緊迫感のなさ』とか『起伏や面白みに欠ける青春』みたいなものが、
いい感じに伝わってまいります。

キャラデ・作画もけっこうなお点前。
デッサンがリアル寄せでおまけにローアクション演出のため、
ジュニア向け作品よりもワンランク大人な物語、という印象になっています。

こんなところにまでこんな手ェ入れるかなあ、
という職人ダマシイはまったくなく、
手抜きなところはけっこうあからさまに手抜きなのですが、
(かなり中国つかってますしね)
それでも全体的には高評価。
デッサンぐちゃぐちゃの量産型なろう系とは一線を画しております。
{netabare}
  ちなみに拙が個人的にとってもお気に入りなのは、
  ヒロイン小山内ゆきの『おかあさん』のキャラデです。
  DNAってすごい、とか思っちゃいました。 {/netabare}


物語や謎解き的なものは、すごくもしょぼくもなく、まあこんなもんかなと。
ただ、推理とは呼べないような日常の知恵働きから、
がっつりと刑法に抵触する、地方あるある的な悪ガキとの対峙に至るまで、
それなりに起伏のあるコース設定なので、
ダレることなく快適に完走できるんじゃないかしら。

あと「なんでこんなプロットに尺とるかなあ」と思ってたら、
それが後の展開でピースとしてぴしっとハマるのは、けっこう快感かもです。
(ただし、ほんとムダに尺とってるプロットもそこそこあります)


キャラクターの魅力度は、
ヒロイン小山内ゆきの独走状態、他を周回遅れにするほどのぶっちぎりかと。
他の方のレビューを拝読していると、
最後のアレがナニなのでけっこうパリィされているようですが、
拙的には『ほどよいクロさ』がお気に入り。

逆に男子主人公の小鳩常悟朗くんは、
拙的には、あんまり感情移入できなかったかもです。
{netabare}
  中学のときにDQN系中二病を発症し、
  イチビって名探偵を気取っていたらウザくてハブられた。
  そんなしょうもない黒歴史をスティグマみたくご大層に抱え込んでいて、
  そんなジブンに酔ってるフシもあり、
  なんかいろいろ完治してないメンドくさいやつだなあ、と。

  お友だちである堂島健吾の小鳩くん評は、まさに正論。
  あとは最終話、
  小山内ゆきを負けインにしてしまった度量の狭さもなんだかな。

  アレって『面白がって罪に陥れた』のではなく、
  一日でも長く『恐怖の対象』を自分から遠ざけるための方策ですしね。
  しかも相手は薬物常用・凶器所持・暴力常套というアレなヒト。
  そこのところを情状酌量せず、
  正論でもってパリィしちゃった『青くささ』が妙にリアルでやだわ。
{/netabare}


音楽は、EveさんのOPと小畑貴裕さんの劇伴だけなら、
満点つけてもいいぐらいの高水準。
とりわけOP映像、
狼とキツネが楽しそうに大空をぴょんぴょん飛び回ってるところが実によき。
(本作の根底に流れているものを楽しく象徴していますよね)

  で、それらを台無しにしているのが、ammoさんのエンディング。
  べちょっとした歌い方もアレなんですが、
  それはスキキライの問題だからよこっちょに置いておくとしても、
    おまえホントに原作読んだ?
  と言いたくなるほど作品と乖離している世界観が壊滅的かと。

    小鳩くんと小山内さんの間柄はレンアイ関係などでは決してなく、
      お互い相手をそこそこ気に入ってる互助関係
    なんですよね。共依存、みたく大層なものじゃない『ほどほど関係』。
    (で、小鳩くんよりも小山内さんの方が、もたれかかり気味)

    ただしニンゲンの感情なんてゼロイチで割り切れるものじゃありません。
    この二人の微妙でふしぎな関係や距離感、
    そしてそれらが事件ごとに変化していく『揺らぎ』を、
    繊細なタッチで美しく描いているところが本作最大の見せ場である、
    そんなふうに思うんですわたし。

  その観点からすると、このベタ甘ED曲は歌詞も曲調もダメダメかと。
  最後にこれが流れることで、
  なにがやりたいアニメなのかまるでわかんなくなってしまっています。

  ammoさんファンの方々にはほんと申し訳ないんですが、
  楽曲単体にケチをつけているわけではありません。
  アニメのED曲ってなんのためにあるんだ、というおハナシなのです。


役者さんのお芝居は、上々の出来かと。

どうやら神戸カントクの方向性として
  狙い過ぎない感じを狙う
みたいなものがあるらしく、そこがきっちり表現できています。

とりわけ小山内さん役の羊宮妃那さん、
ちっこくてかわいらしい外観のうちに秘める『ヤバさ』みたいなものが、
ちょいホラーっぽく楽しく表現できていました。

小鳩くんを演じた梅田修一朗さんは、
雰囲気が若干イタキャラになってしまいましたが、
これはカントクの方向付けなのかな。
(ちなみに『負けイン』の温水くん演ってた方ですね)

その他、レギュラーではなく単話のみの出演になってしまうのですが、
  堂島健吾のお姉さん役に安済知佳さん、
  新聞部であげパン食べてた女子部員役に瀬戸麻沙美さん、
  小山内さんのおかあさん役に早見沙織さん、
おそらくは『オ-ディションの負けイン組さん』がチョイ役で出ておりまして、
地味に豪華なキャスティングとなっております。
(こういうの、オ-ディションあるあるなんですよね)


あと『氷菓』との比較なんですが……
{netabare}
あれこれ述べる前に大前提として知っておいて欲しいのですが、
  制作費がぜんぜんチガウ
んですよね。もちろん『氷菓』の方が三~四割高くて、
ぱっと見、一話あたり400万、ひょっとしたら500万円以上チガウかも知れません。

  イッパン的に深夜アニメの制作費は一話1100~1500万円ぐらいなんです。
  そして本作は、その枠内でもシブめな方なのかな、と。
  かたや『氷菓』は、その枠内に収まらない、数少ない特例作品のひとつ。

  その二作の出来栄えを単純比較するっていうのは、
  いくらなんでもさすがにセッショ-なんじゃないかなあ、と
  元カンケ-者の拙なんかは思うわけです。

  もちろん純粋な視聴者さんからしたら
    そんなのカンケ-ねえ
  というハナシにしかならないと思います。
  そこはまったくそのとおり。
  ほんとそのとおりなんですが……けどさ、でもね、はい、おっぱっぴ~。

演出面を単純比較するなら『氷菓』の圧勝なわけです。
メリハリが利き、わかりやすく、視覚的に楽しく、しかもグリグリ動く。
心象風景もただ美しいだけでなく、いちいち象徴的な意味が込められています。
モブの人数もリアル寄せで豊富、
おまけに作画に手抜きがなく画面バランスがまったく崩れません。

  こういうのってただ予算が多かったからではなく、
  それを物語を紡ぐため効果的に配分して作品クオリティをあげた、
  故・武本監督や京アニスタッフの才能であり手柄なんです。

かたや『小市民』の方は、明らかな枚数不足。
背景や原画・動画合わせると、
一話あたり1000枚あるいはそれ以上、制作枚数が少ないんです。

  モブはがらがらで過疎地域みたいだし、
  心象風景の表現だってムリのある『背景の使い回し』が散見されます。
  写真使ったり背景のズームや色彩変更で枚数稼ぎ。
  ココアのくだりなんか現実と脳内の描写線引きが甘くてわかりづらいですし、
  廃体育館でのバトルなんか枚数節約のため全カットですもん。

  もちろんそれは、予算のモンダイ。

  拙は最初に本作を『叙情的』『大人な物語』と称しましたが、
  そうなるだけのジジョ-があったわけで、
  これを無理に『氷菓』に近づけようとすると劣化版にしかなりません。

そうした観点から鑑みて、神戸守監督、ほんとにいい仕事されたなあ、と。

原作を損なわない範囲で、
キャラクターのニンゲン性や心情を掘り下げていく方向にシフト。
知恵と工夫で枚数を節約し、見せたいカットをきっちり動かし仕上げていく。
動きの少ないぶん役者の芝居品質が大切になるので、
半プレスコみたいな感じで収録し、荒行まがいのMAで品質を維持。

  小山内ゆきが「私有財産の保全」とか言い出すカットとか、
    おお、この手があったか
  と思うぐらい、おカネをかけないのにスゴ味のあるいい演出でしたしね。

ただまあ、そこまでしても1クールで10話しか作れなかったわけです。
いやほんと総額いくらで予算組んでたんだ。
もう一社ぐらい製作委員会に巻き込めなかったんかい、つったく。
   {/netabare}


そんなこんなで、やはり本作と『氷菓』は別モノ。
限りある予算をやりくりし、
精一杯の知恵と努力で『視聴に値する作品』を創り上げています。

派手さはありませんが、じっくり叙情的に物語を紡ぎ、
中高生向けライトミステリ-原作なのに、
しっとりと情感が伝わる本格的な青春譚みたくなっています。

アラを探せばいくらでも発見できるでしょうし、
作品のト-ン上、小鳩くんがいささかイタキャラ気味ではありますが、
それでも充分に楽しめる一本に仕上がっておりまする。

  ただまあ、ジミはジミなんですよね。
  ミステリ-的にはせせこましいし、
  テンポゆっくりだし、動かないし、女の子すくないし。

    殴るける斬る、銃や魔法を打ちまくる。
    とびっきりの美少女とナニがアレして胸がきゅんきゅん。
    歌って踊って泣いて笑って、あたしゼッタイ夢を叶えるんだぁ。

  そういう作品と比べると、圧倒的に『ジミ』です。
  いやもうほんと、
  あんなやつクラスにいたっけレベルのすさまじいジミさです。

  ですが、ジミ子にはジミ子なりの良さがあります。

    とりわけこの子は、
    経済的に恵まれない家庭環境にもイジケたりひがんだりせず、
    ヒトの気持ちを深いところまできちんと考え、
    ナミダぐましいやりくりを続けながらも、
    前向きな努力を惜しもうとしない『よいジミ子』なんです。

  ただ、残念ながら世の中はおおむね、
  そういう子がワリ食うようにできています。

  リアル世界でももちろんその傾向は強いですが、
  とりわけエンタメの世界では、
  小市民の多くが求めているのは、こういうアレじゃないんです。

  いやほんと、
  世の中ってそういうものではあるんですが、
  一人でもふたりでもこの子の良さをわかってあげてくれたらウレしいな。

    そんな思いでつらつら書いていたら、
    またまた長いレビューになってしまいました。

           話の長いオトコって、やだわ。

投稿 : 2024/10/26
閲覧 : 104
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19

倍プッシュ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5
物語 : 1.0 作画 : 3.5 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

「原作が違うせい」なのか「制作会社が違うせい」なのか、 わたし、気になります!!

狙ってなのかわざとなのか分からないけど最初にキャラの背景を明かさないせいで「よくわからないクソガキのイキりムーブ」を見せつけられて生理的に拒否反応がでた

キャラの見た目は可愛いのに喋りだすと不快感すら感じるレベルなので1話前半パートで断念

同じ原作者の氷菓の1話前半パートと見比べて見たけど同じ「しょーもない事件をしょーもない推理で解決」しているのに氷菓の方がちゃんとエンタメしてるんよな

投稿 : 2024/10/23
閲覧 : 58
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0

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101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

<小市民>にだって興味深い動機が潜んでいる

米澤 穂信氏による同名推理小説シリーズ(未読)の連続アニメ化作品の1期目(全10話)

【物語 4.0点】
同作者の『<古典部>シリーズ』のアニメ化作品『氷菓』同様、
学園生活の日常に潜む、不可解な出来事を、
平穏な〈小市民〉を目指す主人公高1男子と、
独特な協力関係にある同学のメインヒロインも巻き込み、また、巻き込まれつつ、
“名探偵”気質の好奇心から、つい解明してしまい、今日もまた〈小市民〉から遠ざかってしまう青春ミステリー。

1話~数話完結の事件を経る内に、
ヒロイン・小佐内ゆきの秘めた心情が徐々に明らかになり、
二人の関係に決定的な転換点が訪れ、1期は締めくくられる。


例え猟奇的な犯行で人が死んだりしなくても、
惹き付けられる動機があれば、ミステリーって出来るんだなと再認識。
そして恋慕は、人を嘘や奇行に走らせると改めて思い知らされました。

さらに、心理解明の矛先が、普通は白日の元に晒さない動機を暴いてしまう、
“名探偵”の性にまで及ぶのが興味深かったし、怖かったです。
世の中には、違和感があっても、そっとして置くことで丸く収まることが多々ある。
そこに狐の如く知恵働きして食い散らかしてしまう“名探偵”小鳩くん。
嫌われても致し方ありませんし、そういうとこだぞと言ってやりたくなります(苦笑)


一方で、ヒロイン・小佐内さんは、平和な<小市民>の日常を糊塗する中で、
嘘や復讐は何処まで許されるのかという問いを内包しています。
ラスト(※核心的ネタバレ){netabare} 復讐相手を誘拐犯に陥れた件が、小鳩との関係解消の決定打{/netabare} となったわけですが、
私も小佐内さんやり過ぎだとは感じました。
が、嘘が全て許されないかと言うと、そうでもないという弁明には情状酌量の余地もあり。

青春における真実の究明の必要性と嘘の許容範囲という、誠にそそるテーマを提示して持ち越される2期。
来年4月予定の放送期間中、私も悩むのを楽しみにしています。


ここまで好評を並べて来ましたが、
単話レベルで見ると、展開が淡々としていて退屈することも。
正直に白状すると、私は何度か寝落ちしましたw
できるだけ頭が冴えている時を選んで観たい、渋いミステリー作品です。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・ラパントラック

昨年のTVアニメ版『アンファル』で、背景美術と小物によるムード演出に関しては信頼できるスタジオだと好感していたので、
制作会社は私の視聴を後押しする要因となりました。

舞台となった岐阜のロケハンからの落とし込みも良好。
夏に展開された“小佐内スイーツセレクション”についても、
各店内の描き込みも含めて“飯テロ”は周到でした。

見事な造形のパフェを眺めていて、
私も聖地巡礼行きたいなとも思いましたが、
行ったら間違いなくスイーツで食い倒れるのでw
胃腸の調子と相談しながら機会を伺いたいですw


会話劇中心で単調になりがちなシナリオを、
作画による演出で支える、また、本作を実写ではなくアニメーションで制作する意義を確立するため、様々な工夫が施された本作。

シネスコサイズの大画面に、大胆な人物配置やアングルを入れてみたり。
全部シネスコサイズで撮影処理したというわけではなく、OPアニメーションではシネスコ画面枠外から、
主人公&ヒロインを象徴する狐と狼が舞い込む演出が成されるのも粋でした。


果ては会話中、物理法則を超越した「背景チェンジ」を次々に繰り出してみたり(※1)

が、私の眠気を覚ますには、「背景チェンジ」にもうひと工夫、
心情を示唆するなど、考察を煽る要素を盛り込んで欲しいという要望も残りました。
もっとも、第三話では小佐内さんのドス黒い感情を示唆するため真っ赤な夕暮れの「背景チェンジ」を仕掛けるなど、
「背景チェンジ」による実験的な心情演出は成されていたそうですが(※2)
率直に、私には、そこまで心情をえぐって来たなという手応えは感じなかったんですよね。

2期目では、会話にリズムを生み出すだけでなく、より噛み応えのある情報量の多い「背景チェンジ」で、寝落ちしかけた私を叩き起こして欲しい。
今後の期待も込めて作画は、ほぼ4.5点の4.0点ということで。


【キャラ 4.0点】
主人公・小鳩常悟朗と腐れ縁の新聞部員・堂島健吾。
無骨で不器用な好漢として、私にとっては作中ほっと一息つけるスポット。
一方で、小学校時代の小鳩を知る彼に言わせれば、
今の<小市民>を目指して、才能を隠し、猫かぶっている小鳩は腹に一物抱えた嫌な奴らしい。
小鳩は、ある程度<小市民>志したほうが良いと思っている私とは逆の小鳩観。

では、どこが小鳩くんの落とし所なのか?
小鳩にはラスト(※核心的ネタバレ){netabare} 仲丸という彼女もできましたが、{/netabare}
2期以降、小鳩を見極める際も、私は堂島を頼りにしたいと思います。


小佐内さんに加えて、堂島という視点“拡張キャラ”がいる小鳩と異なり、
1期において、ヒロイン・小佐内ゆきには、ほぼ小鳩くんしか観察眼がなく、
より謎が残った感。

その意味において、ラスト(※核心的ネタバレ){netabare} 小鳩と離別後、彼氏となった瓜野高彦の新コンビで、2期以降、小佐内さんの何がこぼれ落ちるのか、垂涎の食欲の秋です。{/netabare}


【声優 4.0点】
リップシンクを廃した、ほぼプレスコに近い手法で収録し、
声を張らないナチュラルな会話劇を追求する。

ヒロイン・小佐内ゆき役の羊宮 妃那さん。
これまで数多くの役を射止めてきた傑出したモグモグ演技への期待もまた、
私の視聴動機の一因。
が、今回は、スイーツを頬張る演技も、そこまで露骨じゃなかった印象。

一方で、ふわふわした声質の中に、芯やクセを込める羊宮さんの特技は相変わらず。
スイーツへの執念はむしろ、淡々とした演技の中に垣間見える、
狐狼の如き復讐心の強さから痛感しました。
食べ物の恨みって恐ろしいですw


そんな羊宮さんと掛け合いを繰り広げた主人公・小鳩常悟朗役の梅田 修一朗さん。
人の秘密を暴いてヘイトを受ける際も、人当たりの良い高音ボイスを崩さない。
怒りのぶつけどころが分からなくなる、良い意味で嫌な狐ぶりでした。

そんな小鳩くんでも、小佐内さんのこととなると、多少語気を荒げていたのが印象的でした。
やはりこの2人、<小市民>を目指す利害が一致したコンビ関係だけではないことが、
掛け合いの演技からも伝わって来ました。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は小畑 貴裕氏。
会話と推理を邪魔しないため、基本は無音と環境音。
心情が滲んで来た際に、スッとピアノやストリングスが挿入される静かな構成。
氏のバックボーンがジャズとあって、スイーツが美味いおしゃれなカフェにもマッチ。

OP主題歌はEve「スイートメモリー」
柔らかい高音男性ボーカルとメロディで、
“君が真実(ほんとう)でも嘘でもどうでもよかった”とクリティカルヒットを決めて来る。
油断できない良作バラード。

ED主題歌はammo「意解けない」
如何にもトイズファクトリーな、しゃがれ声の気だるけバンドサウンドに乗せて、
紹介される実写の岐阜の映像で、ホッと一息付いた所で、
“表でも裏でも君だよ”とかまして来る、やはりこちらも確信犯。


【参考文献】(※1、※2)Febri「第2期決定!監督に聞いたTVアニメ『小市民シリーズ』の演出術」

投稿 : 2024/10/22
閲覧 : 222
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22

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877ばなな さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

評価は二期を見てからのほうがいいかな?

注目声優の羊宮妃那さんご出演ということで視聴。
事前情報何も持たない状態で観たからか、世界観が理解できなかった。
淡々とした展開が良さだとしたら、自分との相性は良くないかも。
二期が発表されたので、本当の評価はその時点でやりたい

投稿 : 2024/10/20
閲覧 : 43
サンキュー:

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teji さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

終わったのかなぁ

面白かった なんか似たような作品あるけど
個人的に この手のお話すきですね

投稿 : 2024/10/14
閲覧 : 56
サンキュー:

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ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

間髪いれずに2期決定

小市民ってなんだろう。
今ではあまり使われない古い言葉ってイメージ。
普通の人が慎ましやかに生きるってところか。
とにかく、一般庶民にありがちなことを扱うアニメって思ってました。

あにはからんや。
普通じゃありえない癖のある高校生たちの周囲に起こる小事件の数々。
それを鮮やかに、そしてコミカルに解いていく。
その小憎らしい振る舞いにトキメキながらの視聴でした。

キャラへのツッコミは脇に置くとして、ストーリー構成は熟慮されたもの。
前半は単発推理。
後半は連続推理。
徐々に加速する物語。

{netabare}9話と10話の種明かしは見ものです。
小佐内さんの復讐って・・・
明らかに小市民じゃないよね。
小鳩君の怒りと戸惑いも当然です。{/netabare}

春はいちごタルト。
夏はトロピカルパフェ。
季節に沿った甘味に乗せて繰り広げられる物語。
甘くてしょっぱい秋冬がますます興味深い。

投稿 : 2024/10/13
閲覧 : 57
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薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

このこじらせ案件、どう推理する?

断片化された情報を推理でつなぎ止め、仮説と検証で見えないストーリーの本筋をたぐり寄せる。
シナリオに隠された事実を拾い上げ、状況証拠を積み上げ、動かぬ評定を導き出す。

推理ものは、導入(場の空気感)、展開(謎解きの手順)、結末(驚きと納得感)が高いレベルにあればあるほど、見終わった時に得も言えぬ醍醐味が感じられるものです。

さて、本作の "知恵働き" は如何なる面白さでしょうか・・。



ラノベ原作・学園もの(未読)ですので、読者層は若い方に共感できる作りなのでしょう。
思春期心理のあいまいさ、立場ごとの正義感の違い、価値観のすり合わせ方などがテーマでしょうか。

15才の小鳩くんは知恵働き者を自認し、関心の持てる事案なら、つい出しゃばっては敵を作ってしまうタイプ。
そんな黒歴史を振り返り、高校入学を機に小市民と公言しては自己規制に勤しむようです。
そこを突くのが小佐内さん(中学の同級生)だったり、堂島くん(小学の同級生)だったりするんですね。

でも、むしろ小鳩くんは二人に振り回されることに歓びを感じているようにも思えます。
彼は、口では小市民と言いながら、身についた癖は変えられないし、それほど中身は変わってはいないと言ってよさそうです。
二人はそれを面白がり期待もする、ある意味トラブルの供給者であり、小鳩くんは最高の道化師役なんですね。
その意味では、三人はよき理解者同士ということでしょう。

名探偵を名乗る高校生キャラは、小鳩くんよりもメジャーで、世界を股に掛ける絶対的なヒーローが別作品にいるので、せいぜい一地方の限定甘々事件に関わるくらいがほどほどの味つけ。
事件をスカッと解決するわけでもなく、なんとなく小市民的な落とし所を見つけて安泰しているキャラと言って良さそうです。



小佐内さんは、幼そうな顔立ち、か弱そうな外見とは裏腹に、とんでもない腹黒な奸計家でした。
そんな彼女の性格、私は嫌いじゃありません。(好きでもないですが)。
彼女の人となりは、春季と夏季とで少しずつ開示されますが、どうやら中学時代に "虐められていた" ようです。

小佐内さんは小柄だし、自己主張も弱そうなので、悪い人に目をつけられたら大変かも。
泣き寝入りか、逃げ回るかして、身の安全を図るのが精いっぱいといったところでしょうか。

そんな彼女が小鳩くんに近づくのは、無難に生きていく手立て、危機管理の一つだったのかも知れません。
ただ、本当の目的を果たすためには、なんだって利用する、まさかの展開だって厭わない。
それほどの苦々しい記憶に、リベンジを誓っていた小佐内さんだったのですね。

でも、彼女の動機がそれだけかと言うと、ちょっと違和感があります。
シリーズものとして、まだ何か大きな秘密を抱えていそうなキャラという評価です。



序盤導入のラブレターのお話とかココアのお話は、なんだかよく分からない展開でしたが、堂島くんのプロフィール紹介(正義漢ぶりで甘党?)みたいな雰囲気でした。
でも、前後に関連づくプロットになっていたかというと、少し弱かったかなと感じました。

イチゴタルトがぐっちゃけたのは小佐内さんにはお気の毒でしたが、自転車泥棒騒ぎから彼女の意外な側面を浮き上がらせるにはいい流れに思いました。
ただ、粘着質の割には自転車にロックしなかったのはなぜ?という引っかかりがあとに残りました。

シャルロットの案件で、小佐内さんが小鳩くんにマウントを取るターンに切り替わり、彼女のリベンジに加担させられる展開は、意外性があり面白かったです。
小市民から極悪人への豹変、"互恵関係" の裏設定の種明かし、春から夏へのエポックだったということですね。

とは言え、この春夏シリーズでは、中学時代に訳ありな共感性を持つ二人であっても、視聴者にはどうにも情報が少なすぎて、二人が仲良くする理由や背景が今一つ謎設定なんですね。
このあたりの構成は、ちょっと詰めが甘いというか、興がそがれる思いで観ていました。



小市民という言葉は、一般的にはプチブルジョアを指します。
持ち得る資産があり、そこに労働と生産の喜怒哀楽を含む言葉です。

本作に言うところの小市民の定義は、推理への行き過ぎた有能感からくる奢りへの反省があり、ゆえに目立たず人並みでいたいという望みが込められているように思います。

小鳩くんのそれは、他人への干渉に使ったり、結果として厭われることは避けるべきという "ブレーキ装置" になっている感じです。
小佐内さんは、復讐を果たしたいのはやまやまでも、それをおくびにも出さないという "隠れ蓑" のようなニュアンスです。

小鳩くんはプラス方面の自意識過剰、小佐内さんはマイナス方面のそれという、それぞれ真逆の "資質" を持っていて、だから二人に生じる感情や行動もまた真逆なところが見ものです。
そんなギャップが大きければ大きいほど、ストーリーは面白くダイナミックに感じられました。

とは言え、小鳩くんのつい人には言いたくなる知恵働きも、小佐内さんの絶対に人には言えない憤怒の念も、そうは簡単には変えられないし、抑えきれないものです。
思春期真っ只中の二人は、湧きあがる情動を大いに持てあましており、だからこそ、こじらせ案件を起こしては推理に走り回り、ついには意外な着地点につながっていくのですね。

自分にとっての正義のカタチとは・・・。
あるいは、あるべき人間の姿とは・・・。
何を選ぶべきであり、また、何をなさざるべきなのか。

言わば、自分なりに正しいと思える自己覚知に至るプロセスのありようが、この作品のミソなのかなと思います。
それを「小市民」として定義付け、そこから逸脱してしまうプロセスとプロフィールとを、視聴者に問うているように思えます。



どうやら小佐内さんのプランニングは、新しく友だちになった堂島くんにもその目はしっかり向けられていて、使える役柄かどうかを吟味していた気配があります。

その意味では、小佐内さんの執着心、というよりも "恨みの念" のパワーってすごいなと思います。
2年越しの春季限定イチゴタルトが、怖いくらいの行動力を弾けさせるわけですから、夏季限定の采配はもっと恐ろしい。

彼女は、中学でいじめてきた女子生徒たちに社会的制裁を果たすために、イメージとプランを何度も練り上げ、頭の中で完璧なスケジュールを組み立てていたのですね。

わずか15歳で、シナリオライター、プロデューサー、ディレクター、アクター・アクトレスを一手に切り回していた小佐内さん。
彼女の目線に立って、あらためてお話の中盤までを見直してみると、いろいろと納得できそうなヒントが見つけられました。

初見のアニメユーザー向けには、初手として、小鳩くんとの関係性を丁寧に描き(恋バナ?と思わせるミスリードも織り込んであるのもうまいところです)、次いで、複数のキャラにも出番と役どころを与え(群像劇として進めているのかも?と刷り込ませるテクスチャー)、果ては、小鳩くんどころか、視聴者さえも手のひらの上で転がすというどんでん返しのナビゲーション。

"小市民" は、日常のささいな出来事に、いくらかの知恵を働かせるのが精々のものとして規定していたはずなのに、小佐内さんの腹の中は、そんな甘々な枠組みにはとどまっていなかったわけです。
小鳩くんが推理するほどに、小佐内さんは少しずつ "小市民" から逸脱し、すっかりタバスコ風味に認定されるんですね。

スイーツ巡りに終止符が打たれる9話以降、小鳩くんや堂島くんが最大限活用されていたことが小佐内さんの口から開示されるに至り、なんとなく甘い関係性が続く青春譚と思っていたところを、ドカンと欺くようなオチを作るとは、ものの見事に一本取られた気分です。

高校1年生は、確かに "小市民" かも知れませんが、あくまでそれは見かけ上のもの。
一皮むけば、思いもよらない過去を抱えていることもあるし、むしろ復讐に手を染める意思を練り上げ、実行してしまうことも厭わないなんて、あらためて "小市民" って侮りがたいワードだったんだなと思い至りました。

まさに人を食ったようなタイトルと言えそうです。



夏休みに決行することを決めていた小佐内さんは、小鳩くんを抱き込んだあと、必要な役者をそろえ、マップを用意し、ルート読みさえも仕込むというきめ細やかさです。いえ、手練れ者です。
きっと小鳩くんが推理に走るほど、うきうき、ワクワク、そしてシメシメと思っていたに違いありません。

そんなことは小佐内さんは素知らぬ体で小鳩くんに接し、小鳩くんも彼女の本心などつゆ知らず、ただただ "小市民" 的なシンパシーで向き合い、共鳴しあっていたんだとすれば、さすがにお人よしすぎるというか、狐につままれたようなむずがゆい思いになります。

小佐内さんの可愛げな素ぶりや、もったいぶった口ぶりに、いつかは恋バナの流れが来るのかなと思わせつつ、かつ、フルとかフラれるとかの感情の深まりにも行きつかせず、ただ小鳩くんに推理させ、自分の目的を達成することが狙い目だとすれば、恋愛感情は鼻から必要なかったんですね。

氷菓では「わたし、気になります!」という直球的なセリフでしたが、本作は「わたし、気にさせます!」みたいな言わば意味ありげな変化球。
中学校からよく知っている小佐内さんならではの巧妙な配球だったということなんでしょう。

オススメスイーツご同伴なんて、かなり特殊なマッピングとゾーニングの刷り込みも、どうにも発想が日本的じゃない感じです。
でも、もしかしたらこの手合いは、彼の家が和菓子屋の息子であることを逆手に取ったプランだったのかもしれません。

なかなか手の込んだセットアップですが、今思えば、彼女は小鳩くんの性格分析に十分な知見があり、彼を思いのままに操れる自信と見通しを持っていたのでしょう。
彼だからこそ、危ない橋も渡れるし、鉄火場に首を突っ込む勇気が持てるのですね。

小悪魔的な思わせぶりでなびかせ、男の子たちの強みを全部活用して、自分の計画通りの結末へと目的を果たす。
ここだけを切り取れば、小佐内さんは、かなりな悪女ぶりと言って良いかもしれません。

でも、小鳩くんに「痴話げんかもできない」なんてしれっと言う辺りは、もっとステディな関係を作りたかったのかもと思わなくもないです。
そのためには、スイーツマップの完全制覇にかこつけた、親密な時間を共有する "甘々な夏休み" にしたかったのかな?とも思っています。

とまれ、小佐内さんは、小市民というフレームからは逸脱せざるを得ないシナリオライターだったわけですから、今季の「春と夏」版は、落ち着くべきところに落ち着いたと言うことなのかもしれません。
「一挙両得は難しいもの」。
そんな教訓を思い出すような面白さを感じました。



さて、2期の制作も発表され、新しいキャラも登場しそうです。
ただ、忘れてならないのは、小佐内さん特有の強すぎる執着です。
「積極的な男の子は嫌いじゃない」という彼女の台詞も、何気に意味ありげですし、次のシナリオへの布石なのかとも勘ぐりたくなります。

言うなら、小鳩くんに愛想づかれたことでのリターンマッチ。
小佐内ドクトリンの発動があるのかないのか。
果たして、彼女は誰を本命のターゲットに動こうとするのか、はたまた小鳩くんとのリセットマッチを目論むのか・・。

ちょっとマゾッ気な気分?で、小佐内さんのご活躍を楽しみにし、あれやこれやと推理しながら待ってみようかと思います。

投稿 : 2024/10/10
閲覧 : 95
サンキュー:

16

ネタバレ

こま さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 2.0 音楽 : 2.5 キャラ : 1.0 状態:観終わった

10話最終回まで視聴。推理して気持ち良くなりたい主人公とヒロインは犯罪者で終わり‼️

2024年5月時点で累計部数が90万部を突破している。
アニメの氷菓で有名な米澤穂信の推理小説のシリーズ。
一つ目の作品が面白いから二つ目の作品も面白いとは限らない。
氷菓は面白かったけどコレは意味がわからんマジでw
自転車泥棒の件は4話で解決するのでどうしても観たい方はどうぞ。
個人的にはイライラしかしなかったのでオススメはしない。
最後まで観たら傲慢主人公とサイコパスヒロインでしたとさ()


1話感想。{netabare}物語の内容はこんな感じ。
中学校からの友人の女の子(ヒロイン)と一緒の高校に合格するところから物語は始まる。
同じく小学校からの友人の男の子とも再会。同じく合格していた。
主人公曰く見た目アレだけど優しいらしい。

放課後、主人公はヒロインと春季限定いちごのタルトケーキ(1人一個のみ)を買いに行こうとしたところ、もう1人の友人の男の子からスマホで呼び出しが。
何か困っているらしく助けてくれとの事だった。

校内のある場所に行くがそこには友人以外に女の子1人、男の子2人が居た。
聞いてみると女の子のポーチが盗まれたor隠されたらしく一緒に探して欲しいとの事だっだ。友人としてもだが小市民なので波風を立てたく無いのもあり主人公は協力する事に。
ヒロインは学校内のベンチで待つ事になる。

主人公の推理とヒロインの協力もあり事件は解決。
主人公とヒロインはイチゴのタルトケーキを買いに行く。
運良く2つケーキを手に入れ次はコンビニへ。
駐車場には自転車とケーキらしき物がカゴに入っていた…。

ヒロインはどこにいたか分からないが主人公は雑誌コーナーで雑誌を読んでいた。
するとガラの悪い不良の集団がコンビニに。
話しを聞く限りその中の1人が自転車バイク等が無くどうにかしろと言われ、1人残されたその不良は主人公の自転車を盗みカゴに入れてあったケーキは投げられ、ぐちゃぐちゃになってしまったのだった。
1話はこんな感じ。

間違いなく言えるのはつまらないの一言。
誰かよく分からない女子生徒の探し物に、それに協力するこれまた分からない男子2人。
その中の1人は嫌々協力させられているという感じで途中で帰っている。
何故すぐに帰らなかったのだろう?
呼び出した友人にしても優しいと言うよりおせっかいなだけ。
それも騒ぎを大きくしたいだけにしか見えないんだが。
見つからなかったら警察とか言ってるし。
目立ちたく無いと言っていた主人公も事件解決で目立ってた。


更によく分からない川遊びと道路のよく分からない、場面切り替えでの主人公とヒロインのやり取り。
これが1番何をしてるのか分からなかった。

でツッコミどころの個人的ツッコミたい部分は間違いなくコンビニ。
自転車のカゴにケーキ入ってたのでフラグが立っていたのは間違いない。コレは良い。

ただし主人公は不良達のやり取りは聞いている。
何故か聞いていたのに動かない。
もしかしたら自転車が盗まれるんじゃ?を考えなかったのかと。
ほんとに頭が良いの?この主人公()
推理してた主人公はどこへ?
流石に無理矢理過ぎない?
いくつか他サイトの感想欄で氷菓に似ていると言われていたが中身の濃さが全然違う。
学校でのちょっとした事件で言うなら氷菓の方がキャラも濃いし話しも圧倒的に面白い。
そして何故かコレで評価が高いのも気になった。
アニメ化でカットしたからつまらなくなったとかなのだろうか?


最後に。
自転車盗んでケーキぐちゃぐちゃにした不良をボコって、警察に突き出して欲しいので2話も視聴。アレな展開でない事を祈る。{/netabare}

2話の感想。そうか!ココアは電子レンジで作ったんだ!!
{netabare}ココア推理回。
友人がどうやって美味しいココアを作ったのか?と言うお話し。
シンクが濡れてない更に!そこにココア付きのスプーンのみ…他には何も無かった…ナベでは作ってない…なら電子レンジだ!
なんだコレw
そしてコップに牛乳ココア入れて電子レンジに…何故か試さなくても分かるよね?部分をわざわざ試すと言う…。
電子レンジで試した後のセリフ「そうか美味しいココアだ」じゃねーよw

「電子レンジで作ったんだ。ただそのかわり金属じゃない器がいる」
当たり前の事を、わざわざ言わなくても良い事を毎回言うのでイライラした。

前話もだが毎回風景が変わるシーンコレ何?とか思ってたけど…
多分考えてる時の風景なのかな?
まあ意味が分からないけどw

主人公を中学生の時と性格が変わったがどうしたんだ?とか聞きたいがために休日のヒロインとのデートを邪魔した友達の健吾。それ聞くのいつでも良いよね?
ホント毎回邪魔してくんのマジうざい。
で小市民?になりたいからって主人公も簡単に折れるなよ…そこはヒロイン優先しろよ…。

最後のもなぁ。友人がチョコケーキのクリームを口の回りに付けて気付かないとかコレいる?
女の子が…ではなく子供がやる分には可愛いが高校生男子は流石にキツい…。
実はココアの記載されていた説明文を自慢げに話していた友人A。コレもいる?
2話は無駄に引き延ばしてるようにしか見えなかった。
ついでに言うなら前話の自転車の件も進展無し。
ただし最後の最後で…。{/netabare}


3、4話の感想。自転車泥棒への復讐来たーーーーー!!
{netabare} 小市民にとって大切なのは私有財産の保全にしちゃダメ?w
このシーンの背景は良いね!今までのは違和感ありすぎたけどコレは良い!
心の黒い部分が分かりやすくて良いね。
そしてヒロインが何かをしようと動き出していた…。

で主人公は助けを求めて友人にヒロインとのコレまでの事を説明するはずだった…。
なんで自分の過去話始めるのこの主人公()
ヒロインが復讐のためにそこに突っ込む可能性が高いでいいよねコレ()
だから友人にも来て欲しいで解決だよね?

事情説明→ヒロインに電話するが繋がらない→推理
→主人公が何故小市民になりたいのか?を語りだす!?→推理をしたくないんだ…!?
どうしてこうなった()
そもそもヒロインに先に電話では?安否確認は?
電話→出ない→話すの流れでよかったよねこれ()
友人に開口一番ヒロインが電話に出ないんだ!で良いよね?

ちなみに3話最後がコレ「じゃあ始めよう僕が思うに推理の連鎖でかたがつく」
じゃねーよw何これw
推理してる暇あるなら探しに行け()
順番逆だし事情説明が説明になってないし、ハッキリ言わないし話しが長いし、何がしたいのか分からない主人公って…。この作品起承転結部分死んでるねコレ()

4話はもちろん推理は続いていた!
詐欺を企むグループと対峙している!かもしれないのでヒロイン危ないかも?
行けやw分かってるなら行けw
特にヒロインが危ない目に遭ってるとかは全くないので安心して観れると思う。
で最後に自転車泥棒の犯人と仲間が捕まってようやく解決、ケーキをたくさん食べて終了。
とりあえず友人にボコボコにしてもらって自転車とケーキを弁償して、ちゃんと謝って欲しかったけど、捕まっただけでもまあいいか。スッキリはしない終わり方なのはそう。

この作品とにかく観ていてイライラするし眠くなるし無駄が多いし、主人公と友人の性格も嫌い。ヒロインは豹変したのが良かったので問題無し。{/netabare}

「小市民シリーズのいわば前座なので、キャラクターの表面的な部分しか扱っていなく内容的にはたいしたことないです。むしろつまらないとさえ思うでしょう。
キャラクター紹介とでも思ってさらっと流してください。
このシリーズの本番は夏季、秋季です。」
とのコメがあったので次の話しだけ観てみるかな。
覇権とか言われていたのは確か、もしかしたらこれから面白くなるかもしれないしならないかもしれない。もちろん期待はしていない。

5話感想。イライラは続く…。{netabare}主人公がニヤッと笑うのに気持ち悪さしか感じない。
小市民になりたい!目立ちたく無い!とか言ってたのに友人以外の前で推理を始め、事件内容知ってワクワクし始め笑う主人公!がホント気持ち悪い…。
ヒロインは3回目の生徒指導の先生に呼び出されていた…。
そしてヒロインは行きつけのの店へ行ってるからと主人公へ。
そして主人公はいつものように友人の問題を解決することになっていた。
事件内容。
お菓子ロシアンルーレットで誰がタバスコ入りを食べたのか?
…もんちのあだ名で呼ばれていた男子いたけどホントどうでもいい。

1つ。元々マスタードが入ってなかった。
2つ。マスタードは入ってたけど気付かなかった。
3つ。当たりを引いたけど言いたく無い隠された動機をもっている。
4つ。外部犯の犯行。
と誰でも分かる推理を披露する主人公。コレいる?

別に説明しなくても分かるよね?事をわざわざ毎回言う必要ある?
1話はまだいい。2話以降はただただ、引き延ばしてるようにしか見えないんだが。
それで面白くなるならいいけどマジでつまらな過ぎて眠くなる()
そして主人公と友人の芝居がかった言い方にイライラ…気持ち悪さも感じるからタチが悪い。
前にも似たような事言った気がする()

そしてここまでがいちごタルト事件らしい。
て事は次は夏?なのかな?
夏、面白いと良いな(トオイメ{/netabare}

10話までの感想。
まず6話。ヒロインの家に行く事になる主人公。
ヒロインに頼まれて買ってきたスイーツが美味し過ぎたので、3個のうちの2個を食べてしまったので隠そうとする主人公の話し。
これは主人公とヒロインが逆だったら楽しめたかもしれない。

もちろんヒロインにはバレる。
最初来た時にハンカチで汗を拭いていたのに、今は何故かティッシュで拭いていたから。
ポケットにハンカチで拭けなくなった理由がある。
ヒロインはバレる前提で隠したんだよね?と言っていたが、主人公を見る限りそんなつもりは無かった気がするのは気のせいか。

7〜10話。ヒロインによる完全犯罪回。
こっちは連続4話構成。計2時間。
スイーツ巡りしてたら高校生の薬物事件に遭遇し、ヒロインが身代金目的で誘拐され主人公と友人によって助け出されるが、実はヒロインが黒幕だったと言うお話し。
計画自体を考えたのは夏休み前からで、主人公友人母親その他含めて色んな人を利用していた。
ただし主人公と友人の怪我は想定外だったらしい。
使われてない建物の部屋に椅子に縛られて、複数の女の子に囲まれてその1人はナイフを持っていたのに。誘拐される事になるなら想定してない方がおかしいんだけど。
女子高生ではあるけど犯罪に手を染めてる連中だから。

理由は中学時代の同級生達(女の子)に、逆恨みで夏休みに誘拐され酷い目に遭うので、警察に捕まってしばらくの間出て来れないようにしたいが理由。
なのでなるべく罪を重くしようとした結果こうなった。
もちろん念には念をで、内通者とその内通者の声を録音したボイスレコーダーで完全武装。
ボイスレコーダーには身代金要求時に使った内通者本人の声を録音している。

これらに対して主人公最初こそ怒るが、2人の考え方が違うのを互いに理解しているので、それ以上喧嘩にはならなかった(諦めてるとも言う)
それぞれが利用しあってる状態になってしまってるので、一緒にいる意味が無くなった主人公とヒロイン別れる事に。
主人公はある女の子にヒロインと別れた話しを聞いたので、自分が付き合いたいと言って半ば無理矢理付き合う事に?
ヒロインは図書室で新聞部の男の子(名前が思い出せない)が話しをしたいと言われ…ならとヒロイン、スイーツが美味しいお店へ行こうと提案。
そしてある車が燃えていたで終わり。2期へ続く…。

ヒロインの自衛のためとは言え犯罪犯してるのには引いた。母親も巻き込んでるのもね…。
自分が殺される可能性もあったのに、この計画考えたのホント狂ってる…。
主人公と友人2人が謎を解いてタイミングよく来る前提だしね。

実際間に合わなかったらナイフでヒロインも殺されてた可能性のが高いんだよね…。
…助けに来た主人公とその友人もね…。
もちろん相手が犯罪犯してる連中で逆恨みに誘拐の事を考えると、どうにかする必要はあったのは確かなんだけどね。
その方法が周りを巻き込んで最悪3人全員死んでた可能性考えるとね…やり方に対しては擁護は出来ないかなと。

最初はヒロインの邪魔をしてくる友人が1番嫌いだったけど今は主人公とヒロインと言うね…。
主人公の何がって言うと中学時代の、ただひたすらに自分が気持ち良くなりたい為だけの推理披露がウザかった。
まあ嫌われるよねって言う…。
ただ、これでも主人公はヒロインに対して一応怒ってはいたし、見る限りヒロインよりかはマシかなと。


タイトルがまったりスローライフなのに、全くする気が無いなろう系作品の主人公みたい。
やってる事はそれより酷いけど。
これで小市民になりたい?不可能でしょ()
とか思ったら本人達も自覚していたのだけは良かった(良かったのか?)

2期はもっとキツいとか言われてたけど、これ以上って普通にヤバくね?
アニメ勢は2人の性格知って、コレでも2期観たいと思う人どれだけいるんだろうね?
少なくとも自分はもう観ない。

最後に。
新聞部出て来て思ったけど、愛称で呼ばれる事もある誰だか分からないモブの登場人物が出て来ても、この作品だと空気過ぎるのホント…。
ヒロインに話しかけた新聞部の子も思い出すのに時間が掛かった上、名前は思い出せないと言う誰だっけ?状態…。
ちなみにその子の友人もいたけど…以下略。
少なくとも愛称は要らなかったかな…。
まあ普通に名前言われても、皆んな印象薄過ぎ個性が無いしで結局覚えられない気がする。

話してる最中、突然場面が変わる脳内風景も要らないアレは邪魔でしかない。
分かりやすくて良かったのはりんご飴だけかな。

終わりと。

投稿 : 2024/10/09
閲覧 : 628
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7

ネタバレ

ぴかちゅう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

小佐内さん可愛い狼ですが、推理を成り立たせるために不自然な展開になっているような

小佐内さん、京アニ的な、ビジュアル可愛い路線とは違いますが、表情豊かに描かれていて可愛いですね。が、推理ものとしては、推理が破綻していない場合でも、いろいろな部分で、つっこみどころが多い作品だと思いました。

1話:そもそも論として、好きな女の子のカバンに手紙入れるために盗むのが許されるのは、小学校低学年くらいまでではないか、と思います。高校生でそれはもう完全に犯罪ですね。また、せっかく購入したいちごタルトを自転車に放置したのも解せません。ついでにいうと、この後のお話しからは、ここ(岐阜市)は犯罪グループが蔓延っている、治安の悪い地域のようですので、なおさらですね笑

2話:めっちゃココア作ってる笑、と思ったら思考実験ということですね。しかし、牛乳パックの確認なんて、最初にやるべきことの一つではないでしょうか?

5話:こちらも、個数の確認は家庭科で簡単にできたはずですし、最初にやるべきことの一つではないでしょうか?

6話:推理は成り立っているかもしれませんが、上記と同様、ストーリーの流れが不自然だと感じてしまいました。普通、売切れなどで予定分を購入できなかったとき、家に入って最初か比較的初期の段階で、それを告げるのではないでしょうか。個数を小佐内家に着いたときに最初に明らかにしていたら、そもそもこの話は成り立ちません。そこに弱さを感じました。

9話・10話:なぜ誘拐犯の高校生グループが顔出ししているのだろう、といった疑問は小佐内さんの説明で氷解しましたが、川俣さなえが、自らの行動は小佐内さんの指示ではなく、自分で考えて行ったと信じさせた、という部分は、どういうことか良くわかりませんでした。小佐内さんは催眠術を使えるということでしょうか。まぁなんか使えそうな狼さんですが。

また、ときどき小鳩くんと小佐内さんの会話が空間移動していますが、最初は意味がわからなかったですし、正直不要な演出だと思いました。

最終話ですが、本作は原作がありますし(未読)、アニメ2期も制作が決定したようです。しかし、アニメとして見た場合には、この10話で完結というのも、すっきりしていて、ありかな、と感じました。

若干辛めのコメントでしたが、可愛いけど狼の小佐内さんだけでも見る価値があるので笑、継続視聴の予定です。

投稿 : 2024/10/08
閲覧 : 34
サンキュー:

6

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

小市民の星

ラパントラック制作。

清く慎ましい小市民を目指す小鳩と小佐内、
平穏な高校生活を望むも、推理の得意な、
小鳩の元には様々な事件や災難が舞い込んでくる。

涼やかで綺麗な映像描写とちょっとした推理劇、
実写ドラマを意識しているそんな印象も受けますが、
静かなメインキャラは疲れないので良いです。

少年と少女、不思議な関係ですね。
{netabare}穏やかな時間を享受し、互いに助け合い、
完全な小市民を目指そうって!?
ここらあたりは、善意に解釈しましょう。{/netabare}

季節感溢れる青春×学園ミステリー、
素敵な作品になればと期待しています。

5話視聴追記。
新聞部部室での伯林あげぱんの謎解き、
{netabare}冒頭の小佐内の描写に見事に落ちもついて、
良くまとまった楽しめる回となっています。{/netabare}
 
最終話視聴追記。
娯楽性は乏しいのかも知れませんが、
文学的な会話劇、最後はお見事でした。

{netabare}水面下で遂行される過去の因縁への報復、
誘拐されることにより相手を罰し社会的に葬る、
用意周到なおそるべし少女の思惑が完遂する。

これで2人の関係は解消されたのでしょうか、
小鳩が選んだポップコーンの味は甘くない塩味。{/netabare}

続編を楽しみに待ちたいと思います。

投稿 : 2024/10/04
閲覧 : 435
サンキュー:

34

Sian さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 4.5 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:途中で断念した

氷菓で出し尽くしてるのでは?

なんかいろいろ無理あると思う。
没入できない。

投稿 : 2024/10/04
閲覧 : 114
サンキュー:

0

ネタバレ

xwTza00790 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.0 状態:今観てる

推理物

4話で止まってます。続きを見るかもしれないし見ないかもしれないです。
以下理由です。
作画はいいですし音楽もいいです。全体的に作りこまれてるし、いうことないように見えるんですけど、キャラクターが主人公もヒロインも苦手ですね。内容を見ると自画自賛の作品にも見えます。小市民を志しているはずなのに小市民の主語がとにかくでかい。

謎の完成度が低いように感じます。

・ココア
一般的には牛乳パックごとレンジに掛けません。
一般人はよく理解していないであろう結果的に悪くなるかもしれない行動をしないからです。友人の性格がズボラすぎて百歩譲り、レンジに掛けるとしても、推理側は一般的にしないことを導き出せるかというと、出せないという考えになります。主人公はパックに触りもしないのにその答えを導き出す。無理ですね。ズボラの前に相手は一人の人間なのだから。

作品で主人公の推理力に関しての凄みを出したかったように見えました。やはり少量の冷えた牛乳をコップに移し温めて、ココアを混ぜて足し、もう一度注いで温めるというのが推測として定番の考え方でしょう。作り方の説明があったので2度温めるという順序が美味しい作り方になるのかは知らないけれど、手間がかかりすぎるという一言で無理やり牛乳パックを温めるという方向に持っていくには条件が弱すぎる。見ていて腑に落ちない。なるほどと微塵も思わない。温める温度は一緒なのだから、増える手間は出し入れ混ぜるのワンセット作業が1回増えるだけ。

・カンニング
どうやって鍵の周囲に氷を付着させのかよく分からない。どうやってその氷を花瓶に入れたのかも分からない。どうやってひっそり仕掛けを設置したこととか、どうやってピンポイントで音を鳴らすことに成功したのかとか、仕掛けのハードルが高すぎて、コスパが悪すぎて、そんなミスってしまう可能性の方が高いだろうと思われる仕掛けをするくらいなら、その時間をテストの勉強に使ったほうが有意義かと。

・8%
開いた口が塞がらない。
そもそも、確率で求めるなら3つの項目の数字データは信憑性が高い数字でなければならない。ただのお気持ち表明の数字を%に見立てて、確率を導き出す行為は愚行で説得力がない。項目が増えれば増えるほど確率の数字が下がるのは当たり前で必然だ。
2番目の項目である年齢。これは年齢が16歳に達するかどうかという数字である。数字としてはお気持ちではなく一番まとま数字になる。まともな数字であるにも関わらず計算が雑。6月1日と6月30日では29日間の開きがある。その違いだけで7.8%の開きがある。作中では2ヵ月61日で計算している感じなので、それだと8%の開きがある。もっと言えば、免許センターへ通い始めた時期が正確な数字になるが、盗まれた時期はいつだか分からない。
しかし盗まれたことが本当なら年齢に達していないことが100%になる。
お気づきだと思うが、この項目は繰り返しになるが、年齢が16に達しているかどうかという項目なだけであって、信頼と疑いの項目ではないのだ。しかも作中の答えは平均ではなく確率で導き出す。
本当なら平均で出さなければいけない。その理由は、項目ごとに重複している要素があるから。平均にも穴はあるから、一概にすべてが平均の方が正しいというわけではないが、このとんでもない数字には驚愕した。

推測に関してココアで違和感を覚え、カンニングは無駄だと感じ、数字は見ていて酷いなと思いました。
このまま見ていけば、なるほどと思えるような納得できる推理を見れるのだろうか。

投稿 : 2024/09/30
閲覧 : 86
サンキュー:

3

ネタバレ

まにわに さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

オーディオコメンタリーを思い出す

なので比べるのやめません?

5話: {netabare}個数の問題で、そこだとは真っ先に思うところだが、動機の話をされて次第に選択肢から消えていった。
言い訳をすると、小父内じゃなかったっけ?と気を取られていたのもある。
動機で話を逸らし、辛さで錯誤させ、しかるのちに数を増やす。
そして、空の皿は美味しそうにならない。

ここの出来がいいに一票。{/netabare}

見終わって: {netabare}多くの点で納得がいかないのは、小市民の尺度が曖昧だから。
目の前の自転車泥棒を警察に届けたのかすらわからないのは何とも了見の狭い話だし、電子レンジでパックのまま温めるのは、できるともやろうとも思わないスケールの大きな話。
捏造を小市民として釈明・酌量するでもなし。小市民ではなかったと言ってるから別にいいんだけど。
2人の関係を支えているのは小市民でなく謎演出だけ?

公僕に対しての小市民。大抵の推理ものは警察が事件の保証をしてくれるが、それに頼らないということなら評価できなくもないが。

1話の印象が、「この演出嫌い」と「嫌な事件に巻き込まれそう」だから。でも、一応見たし、さほど嫌な事件でもなかったし。誘拐は嫌な事件だけど。バレないとは言うが微妙に罪をなすりつけ切れてないし、正当防衛にしたいのかなと見たが。最後車が燃えて、嫌な事件に巻き込まれそうだけど。
続きも見るかどうか、見る側の小市民が試されてると思わなくもない。{/netabare}

投稿 : 2024/09/29
閲覧 : 119
サンキュー:

3

ネタバレ

ぽにぃ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

そもそも何がしたいのでしょうか…?

原作未読

【総評】
米澤穂信原作の日常系(?)推理もの。
作画は全体的に良い印象だが、いまいち感情移入できないキャラクターと
何がしたいのかはっきりしないストーリーがとても残念。

10話で終わったので打ち切りなのかと思ったら2期(分割2クール?)があるらしい。

以下、各評価基準ごとの詳細
◎物語の評価◎
好ましくない。
小鳩くんと小佐内さんがスイーツ巡りをする傍らで日常で発生する事件を探偵役の小鳩君が解き明かしていく、やがて小佐内さんの企みが明らかになる、という構造はわかるが絶妙に面白くない。

そもそも二人は口で小市民を志すと言いながら、本当に目指しているようには見えないし、実際二人に小市民なんてものは似合わない。
それでも志そうとするには、小佐内さんが誘う以外にも何か理由があるはずで、
1-2話くらいで中学時代の小市民を志すきっかけになった事件の話が入っていれば、
なぜ二人が小市民を志すのか、ひいては7~10話の小佐内さんにも繋がって物語の印象はだいぶ変わったと思う。

2期でこのあたりの話をやってくれることに期待したい。

◎作画の評価◎
良い。
作画のクオリティ自体は高く安定しているが、たびたび使われるモンタージュ的な演出はやや過剰でくどく感じた。

◎声優の評価◎
可もなく不可もなく。

◎音楽の評価◎
良い。
OPとEDは好き

◎キャラの評価◎
好ましくない。
主人公の小鳩君が何をしたいのかがわからない。小佐内さんは一応ネタバラシはあったが…

「普段は乗り気じゃないが、ちゃんと考えるとすごい」という探偵役で言うと、
作者繋がりで氷菓の折木が思い浮かぶが、あちらは千反田という外圧によって、自分の信条に反して推理をする。
信条に反して推理をする、というのは共通するが、小鳩君は別に外圧がなくても推理をする。
ココアとかどうでもいいのに基本的に断らない。

年齢を重ねるうちに出る杭として打たれた経験から出しゃばらないぞ、と決めたのかもしれないけど、小鳩君の性格的にそれはなさそうにも見える。

推理をするに足る理由付けがあればと思わずにはいられないキャラクターなのでこれも2期に期待。

各星の数は3つを基準に下記で採点。
★☆☆☆☆:好ましくない
★★☆☆☆:やや好ましくない
★★★☆☆:可もなく不可もなく
★★★★☆:良い
★★★★★:群を抜いて良い

投稿 : 2024/09/29
閲覧 : 55
サンキュー:

1

ヒロインコレクター さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

まずまず

作画は素晴らしいと思います
推理要素も作風もいいと思います
日常系の要素もいいと思います
作品自体が悪くないだけに損している作品だとは思います
あと氷菓を制作した京アニさんだったら絶対にカットしている不快なシーンを普通に入れている辺り制作会社のミスにも見えましたね

投稿 : 2024/09/28
閲覧 : 136
サンキュー:

5

ネタバレ

cLzNA78240 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

ヒロインが・・・

物語の評価が低いのは物語が終わっていないからであり、興味を惹く内容ではあったので、他の内容が薄い作品の評価とは別の評価基準になった。
氷菓の作者と聞いたので最終回近くにくるまでまさかこのような邪悪なヒロインだとは思わなかった。いろいろと法に抵触する行為をしており、本人はバレなければよいなどと考えているようなところも垣間見え、この先逮捕される未来しか見えないまま終わってしまった。原作は未読だがヲタクが“えるたそ”のように無邪気に萌えられるヒロインではないようだ。そういう意味でヒロインがミステリアスなファム・ファタールを意識した作品と解釈すればよいのだろうか。続編が作られるようなので生暖かく見守ることにしようと思う。

投稿 : 2024/09/27
閲覧 : 40
サンキュー:

2

ネタバレ

オカルトマン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

感想

氷菓が大好きで、同じ作者って事で期待大で見てました。

結果から言うに、めちゃくちゃ面白かったです。

良かった点
1氷菓と同じく、難事件を解いていく話が頭使えて面白かった。
2ヒロインが可愛すぎる。キャラデザが良すぎる。

悪かった点
1 {netabare} 死ぬほどお似合いな主人公とヒロインなのに、別れてしまうところ {/netabare}
2氷菓に比べて恋愛色強めな気がしたのは気のせい??
3事件が物騒すぎるw

氷菓との違い
1話から最終話まで繋がってるところだと思った。
まぁ氷菓も繋がってるけど・・・。

この作品は、何回も何回も後々見返すと思う。
自分の頭じゃ、何回も見ないと理解できないところが多すぎた。

2期あれば見たいけど、氷菓も無かったしこれも無さそうな所が残念。
続き見たい。気になりすぎる。

と、思ったら、2期決定なのか!!
嬉しすぎます。楽しみー

投稿 : 2024/09/27
閲覧 : 57
サンキュー:

4

ネタバレ

Jun さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

あらためて

性別の違うひとと関係が出る時は、勘違いしないよう注意しないといけないと思い直した。もう一つ、人は見かけで判断できない。透明感のある絵と音にもだまされた。高校生がどう生きるべきかを問う虚構か。シャフトのように心象によって風景が唐突にかわる。自分の感性とは違うが、そこが面白いのかもしれない。

投稿 : 2024/09/26
閲覧 : 57
サンキュー:

7

ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

追記 日常の推理では無いと思います。春から変装していた意味は?

追記 この作品はジャンルとして「日常の推理」ではないです。いや日常の推理なんですけど、本当の構造が隠れているといった方がいいです。これが逆転すると日常の推理としては…と言う評価になります。
 そっちではなく、小佐内さんは高校に入る前から「夏」の結末をある程度計画していたはずです。その証拠が変装です。それがこの作品の推理としての「構造」です。

{netabare} あるいは変装をしても危険な食べ歩きの安全保障のための小鳩だったのかもしれません。スイーツは本当は小佐内は一人で楽しむものだったんでしょう。スイーツを食べるとき小鳩にまったく興味を示していません。

 したがって「小市民」は小鳩をうまく巻き込むためのガワだったと思います。小鳩に男としての興味はないです。だから、中学校時代からの宿題が終わった瞬間、解散を申し出たと取れます。
 ですので、私はこの作品は小鳩に語らせた叙述トリック{/netabare}と定義しました。そこを「騙された」と視聴者として喜べるか。それが推理作品の味わいでしょう。


小佐内のキャラ造形が見事な作品。私は奴が大嫌いですけど。

 なんと10話で終わってしまいましたね。ラストの車が燃えるシーンをはじめいろいろについて言っておくとあれは「秋限定栗きんとん事件」です。なんだその中途半端な感じは…と思ったら2期やるみたいですね。25年4月から?なるほど…

 演出についてです。川を使った心象風景の使い方が正しかったのか?ですね。川に象徴するものがあったとしても宗教とか集団的無意識の共通基盤になっていなければ意味がありません。そこは効果的だったのかな?とは思いました。
動きがないアニメにしづらい作品なので動きを入れたのか、ご当地ものとしてそうしなけば風景の使いようが無かったのか。そこはやりすぎ感はありました。ただ、1話ほどの違和感は10話では感じなかったので見直せばそうでもないのかもしれません。

 作画は動きは少ないですけど良かったです。特に小佐内と小鳩の表情の作り方は小説の意図を上手く見せたと思います。キャラデザに関しては小佐内の目が赤いのも悪魔的で良かったです。全体がリアリティがある色彩のキャラデザの中で面白い工夫でした。

 作品の総評です。この「春・夏」までで一番出来が良くなかったのは「春」つまり教習所の事件の小鳩の動きです。小佐内の悪魔性も小鳩が推理する理由も弱すぎました。小佐内がピンチなはずなのに延々と行われた会話劇に違和感が残りました。
 ココア事件で見せた堂島の行為も姉の暴走による結果論ですが、小佐内と表裏になりました。小鳩の自己顕示欲を確認することができましたが、そこも「春」だけですと単発の出来がイマイチなエピソードとなり活きてきませんでした。

「夏」のシャルロット事件で小鳩と小佐内の関係性が明らかになったおかげで、誘拐事件における小佐内のキャラ性とか小鳩のラストの感情とかが非常に鮮やかになったし、推理としての完成度が上がりました。夏祭りのときの伏線の張り方も見事でした。変装の意味も春からの伏線だったことがわかり、なるほど計算はあったんだなとわかります。ですので「夏」があって初めて「春」の意味があるという構造でした。それは推理小説としてはどうよ?という感じはしました。

 アニメ版では当然この前半までの印象は同じですし、さらに冒頭の自転車盗難の時系列や状況を変えたことで不自然になりました。ですので前半の評価はやはり低く感じました。

「夏」は原作の出来が良いのはもちろんなんですけど、これだけの悪魔的なキャラを日常系の推理で出すこと自体が壮大な仕掛けになっています。

 日常系推理の始祖ともいえる北村薫氏はもちろんですが、似鳥鶏氏、坂木司氏、初野晴(ハルチカの原作者)氏などで小佐内に似たキャラはいたでしょうか?この点においてこの作品は評価せざるを得ません。三上延(ビブリア古書堂の事件手帖)のヒロインはちょっと同じ雰囲気はありますけど内面は全然違います。そしてアニメ勢だと米澤穂信氏の「氷菓」の千反田を先に知っているだけに、その衝撃は結構なものだと思います。原作でも「夏限定」は「クドリャフカの順番」の後だったと思います。

 推理の構造は{netabare}騙された小鳩が視聴者の代弁者となる「他人が語る叙述トリック」と私は捉えています。叙述トリックとは1人称の推理物語の語り部が実は犯人でしたというジャンルです。要するに「メタWHOダニット」なんですけどね。 {/netabare}これが見事だと思います。

 ただ、私はキャラ萌え派なんですよね。ポワロとかエラリークイーンとか外国勢はそうではないですけど、御手洗潔とか<私さん>とか、火村とか、有栖川とか、伊神とか、古くは栗本薫とか…そう見たときにこの2人…いや小佐内ですよね。推理の構造故に内面が見せられないという最大の欠点を抱えてしまいました。これはキャラ萌え勢からするといただけません。

 そして何と言っても私は本作をラノベ的に原作を読んでおり、主要キャラは善人であるという前提を欲していたんだと思います。少年のマインドで読んでいたといってもいいでしょう。いや死ぬかと思いましたよ。小佐内=幼いで、これも原作者の仕掛けた名前遊びなんでしょうか?そこに潜在意識的に仕掛けられた気もします。

 それが本作が嫌いな理由でした。あまりに読む気が起きなくて、「秋」を読んだのは買ってから10年以上たってから「巴里」が発売されると聞いてやっと読みました。結構なトラウマだった記憶があります。

 長くなりましたのでこれくらいにしますが、「夏」の出来は出色です。アニメ版も良かったです。ただ、やっぱり小佐内は嫌いです。なお「秋」にはもっと本領を発揮してくれます。







1話 【悲報】小佐内さん≠千反田える 「夏」で切るのは最悪では?

{netabare} まさかこのシリーズがアニメ化されると思っていなかったので、アニメ化発表のときに驚きました。このシリーズ、春・夏の読後感がちょっとなあ…という感じだからです。

 氷菓の千反田えるのようなキャラを望んでいる人には【悲報】ですが、小佐内さんに萌えられる人はそうはいないと思います。私は、推理小説は大好きですがキャラ萌えとして楽しむところがあるので、本作は「夏」まで読んで「秋」は買うだけ買って積ん読で手が出ませんでした。確か「巴里」が出るタイミングでやっと「秋」を読んだので10年以上放っておいた感じです。

 それくらい心が離れていました。結果的に「秋」を読むと展開に仕掛けがあるのか…と思いましたが、しかし「秋」はこのペースだと多分アニメ化できないでしょう。「夏」までで大丈夫か?と心配です。そこもネタバレになるので言いませんけどね。

 アニメ本編ですが、キャラや雰囲気の再現性は…うーん、ちょっと綺麗に描きすぎというか、無駄に心象表現をしすぎというか、冗長というか…そんな感じです。
 なお、主人公の家は和菓子屋設定なのでしょうか?これは原作ではなかったと思います。小佐内さんって和菓子苦手だっけ?と思いました。もう1回読み返さないと思い出しません。あとは時代的にスマホがあるとラブレターのニュアンスとか20年前と違うよね?など、細かいところは気になりました。

 追記 ああ何か事件の日の2人の動きに違和感があると思ったら、原作読み返したら、当日の目的はクレープ屋さんで、イチゴタルトは違う日なんですね。そこはちょっとアニメ版は行動として無理があったかなあ?{/netabare}


2話 日常系推理のエンタメとしての難しさと不自然さがモロに出ました。

{netabare} いくらなんでも…という回でした。わずか35ページの原作を1話にしましたか…さすがに眠くなるようなテンポの悪さです。

 そもそも、シンクにスプーンの謎かけはいくらなんでも無理があるのは、小説からでした。無理があるというのは、堂島というキャラからいって、その謎を仕掛けるのが不自然だからです。
 ヒントを要素に分解して、謎に気が付くように、解けるように、ただし簡単になりすぎないように難易度の調整をしながら仕掛けるには、常悟朗と同程度以上の頭の使い方が必要です。それは堂島のキャラ造形や言動から言って不自然です。

 そして、日常の中の謎というのはこの無理の連続です。そして、これは本格派推理のジレンマで、パズルを作ろうと思うと、話は不自然になります。ですが、それは本格派小説のマナーみたいなもので、小説ならこういう不自然な話も「そういうものだ」として楽しめます。

 まあ、これは「たまたま堂島のずぼらが作った意図しない謎」という話ととるんでしょう。今度は姉がそこに謎を見出したという不自然さは残ります。堂島のキャラをよく知っているはずですし、一般人にそんな気づきは普通ないでしょう。けど不自然さはマイルドにはなります。

 そして、堂島の意図でないとすると次に別の不自然さが発生します。わざわざ2人を呼び出してココアをふるまった意味がなくなるし、ココアの作り方をレクチャーする意味がメタ的に考えて意味を喪失します。
 推理小説に「無駄はない」の法則から言って、ココアの作り方をわざわざ説明した流れからは謎かけととるべきだと思います。ですので通常なら読み取るならやはり「意図した謎」ととるのが自然でしょう。

 ただ「あんのずぼらが!」のセリフがありますので「意図しない」方にはアニメの解釈は寄せています。そしてそうなるとこの1話が丸々不自然な1話になります。堂島は本当に常悟朗と小佐内を呼んで話がしたかっただけ?


 追記と修正 ここはさっき改めて原作を読んでから件のシーンを見返しました。今回は「ココアの解き方のようなつまらない話を延々と聞かせて反応を見た」という読み方が正解な気がします。ここは私の読み間違いがあった気がします。
 ただ、その行動自体が人間として不自然だし、堂島というキャラの性質上「ココアの入れ方」という話題をチョイスし、反応をうかがうようなことをするのがキャラに合っていない気もしますけど。むしろ単刀直入に聞くでしょう。

 で、これは別の視点なのですが、小学校のころの友人と高校で再会して、キャラが変わった。大きな何かがあったのか?と思う感覚です。普通中学時代の変化は大きいでしょう。変わらない方がおかしな年ごろです。
 むしろ再読してこっちの方が不自然には感じましたが、それだけ常悟朗がインパクトがある少年だったという意味だとは思いますので、この辺は計算があるのでしょう。
 日曜日に家に呼び出して問いただすというのは普通ではありません。つまり「ココアの作り方」の謎を作るためのちょっと無理があるシチュエーションな気はしますが。

 それと小佐内さんを一緒に呼び出す理由は弱い気はします。こういう話をする際、同行者は邪魔なんじゃないかと思います。その点では原作と構成を変えて、小佐内さんが堂島の持ちかけた謎を問いたという話を飛ばした故の不自然さでした。

 いずれにせよ、人間の一般的な言動からは無理があることに間違いはないでしょう。それが日常系推理の不自然さで、今回は見ていて推理のための舞台装置感が非常に強かったです。故にいくら作画が良くても、何を見せられているんだろう?という感覚が強く出ました。

 これは本作に限ったことではありません。ただでさえ日常の謎の推理ものには不自然さがあります。
 ですが、それは小説故に読めるのであって、アニメにしたときのなんと無意味で冗長なこと…その点でやっぱり「氷菓」の出来は良かったんだなあとあらためて思います。

 まあ、小佐内さんの本質が見たいので、そこのポイントはチェックすると思いますが、どうしようかなあ…視聴断念のボーダーライン以下ですが、そこが気になるので、飛ばし飛ばしの視聴継続でしょうか。{/netabare}


3話 制作の解釈と演出は?小佐内さんの本性をちゃんと描けているのか。

{netabare} なるほど、小佐内さんのダークサイドをそう描きましたか…テストの件と連続させたのは、スイーツにかこつけて常悟朗を呼び出す。小佐内さんに推理力はなく常悟朗に推理させる。スイーツをたらふく食べることで自分を押さえる…ということでしょう…か?ここが原作からの疑問でした。

 スマホ(原作だとケータイ)を忘れてきた…というくだりですが、小佐内さんがもし常悟朗に推理をさせようと意図したのだとしたら、ここはちょっと不自然です。常悟朗が学校に戻り現場検証するのが偶然になってしまいます。少し違和感があることろです。

 メールの内容が「話がある」から始まっているなら、小佐内さんの計算ととれるんですけど「ケーキ食べたい」から始まるこのメールの流れだと本当に小佐内さんはやけ食いを意図していたことになります。偶然の流れととるべきか、意図ととるべきかで随分解釈は違います。ただ、2人の約束に縛られて「ケーキ食べたい」がつまり話があるという意味なんでしょうけど。つまり、スマホを忘れて学校に戻る部分はどうやっても不自然にならざるを得ません。

 結局、小佐内さんは常悟朗に対して未必の故意で、推理することをかなりの蓋然性で見込んでいたのでしょう。そうじゃないと、場合によってはテストの件でも復讐するという緊迫感がなくなってしまいますので、そこはいずれにせよ小佐内さんは推理をさせたし、常悟朗は推理をした、ととるのが正解なんだと思います。

 前半でのちょっとした出来事は、小佐内さんは我慢が出来ないことに対しては復讐する、ということですね。

 で、本作のターニングポイント…小佐内さんの笑顔です。いままで無表情だったことの意味を我々はここで知ることになります。もっと素直な笑顔でもよかった気がしますが、そこは解釈ですから少し狂気をはらんだ笑顔というのも理解はできます。

 ただ、ここが大事ですが小佐内さんの本性はむしろ復讐にある、ということが表現できていたかどうかです。あのシーンで一番大事なのはスイーツのときよりも嬉しそうに笑うことではないか、と思ったんですけどどうでしょう?そうなると前半のケーキバイキングのシーンで笑顔が全くないのは演出としていただけません。小佐内さんの狂気が表現できているか?初めての笑顔と、笑顔の違い…演出はどちらが正解なのでしょう?


 そして、原作だと「私有財産の保全」のセリフのところで笑顔を消しているんですよね。復讐のネタを見つけたことに喜び笑顔になって、それを止めようとする常悟朗に対して真顔になることで自分の中にある怒りを再度認識して真顔になる、ということだと解釈しました。ですから本作の「私有財産の保全」のときの小佐内さんの心の動きはちょっと解釈が違うんじゃないかな、と思わなくはないです。


 瓶が落ちる話のトリックですけど、確かに原作では氷やドライアイスの可能性に言及していましたが、特にトリックの明示はありませんでした。本作のあのトリックは証拠を残しています。そこで「濡れ衣」という原作にはないキーワードをアニオリでつけました。原作は純粋にカンニングのため、本作は教室内に悪意があることを示唆しました。この違いに意味があるのでしょうか?

 あと細かいところですが、前半の2人がケーキバイキングの店で並んで座っているのを外から見たシーンで、4分15秒くらいのところは2人のつながりが画面的におかしい気がしました。まるで省略があって何メートルも離れているみたいに見えました。それが本作の演出だと心象なのかともとれるのがややこしいですけど。

 今回は省略もあり随分テンポ良く進みましたが、全体的に小佐内さんの心の動きと本性をちゃんと描けていたか?が、非常に気になります。画面は非常に綺麗なのですが、推理小説ではありますが…特に心理…いや小佐内さんの本質が大事なこのシリーズの前半の根幹ですから、そこは監督・シリーズ構成・演出の人たちはどう考えたのでしょう?OPで狼と狐の絵を見せるだけ?

 それと橋…川の演出はどうなんでしょうね?心象で意味を込めるにしても、ちょっと読み取りづらいかなあ。{/netabare}


4話 この作品の最大のトリックは何か?

{netabare} 本格推理的な雰囲気でありながら、すべて状況証拠の積み上げなので推理としてどうなのか?という点については氷菓も一緒です。ただ、その状況の提示の仕方が、すべて小佐内さんの自転車だよりになってしまったので、非常に不自然になりました。タルトの件、空き巣事件で都合よくナンバーを目撃された件(しかも印鑑が盗まれた…といろいろ調べられたりする)、そして教習所が特定できた件です。

 ただ、重ねて言いますが日常系の人が死なない推理小説は、えてしてそんなものです。捜査ができない以上はそうなざるを得ません。ですので、そこは保留でいいでしょう。小佐内さんのヘイトをためるにも必要だったでしょうから。

 ただ「春限定」の最大のトリックは何か?それは小佐内さんの見た目と内面のギャップです。スイーツの題名でふんわり甘いものを想像して小説を手に取ると、常悟朗の推理ものとして見ていると、最後は実はキャラの性格造形でだまされるというのが本作が読者に仕掛けたトリックです。

 そう考えたとき「春」の不自然なのは推理ではありません。常悟朗が「小佐内さんが危機に陥っているかも」と焦るというところが不自然なのです。小佐内さんが狼と言い切れるほど、狐の常悟朗は「本性」を知っているのに、復讐において小佐内さんがドジするという心配をするというのが作品のカタルシスを減らしたなあと思います。

 ここは小佐内さんの怒りや高校という年齢から言って、どれだけ悲惨な復讐が成し遂げられるか、を心配するくらいでちょうどよかったと思います。本来2人は頼られたら何とかする同盟であって、心のつながりが希薄という前提まで崩してしまいます。
 これは堂島を相手に推理を語らせないと推理として成立させられないからだとは思いますけど。

 それと小佐内さんの復讐に「わからせ」がないです。題名に冠したいちごタルトと自転車泥棒の報いだ、というのが坂上は知ることができません。これを復讐の完遂と呼んでいいかどうかです。

 自転車にまつわる事件を連続させた工夫は感じます。が、最終的には「小佐内さんの内面の恐ろしさに驚愕するミステリ」が本作「春」段階ではそこの描写が弱いので出来損ないの「氷菓」に見えるのでしょう。「氷菓」は各事件の解決の下に潜む人間性・隠れた動機が実は最大のトリックで、さらに作品を通じて主人公が覚醒する話です。その氷菓における隠れた動機に対応する「小佐内さんの本性」の描き方が「春」だけですと非常に弱く、故に面白さが中途半端です。

 それをアニメにしたから、まあ、こうグダグダになったのでしょう。特に3話の小佐内さんの描き方が弱すぎるなあと思いました。ただでさえ短い「春」の話を削った影響もあるかもしれません。

「夏」の方がその意味では本番です。1クールで4話しか「春」に使わないのは当然、主軸は「夏」ということです。推理小説ものなので最後まで見ますけど、やっぱりアニメ化に向かない上に、制作が見せ方をちょっと間違えたのかなあ…という気がしなくはないです。{/netabare}


5話 シリーズの中で出来が良い作品。冬服に戸惑わない方がいいです。

{netabare} この「伯林あげぱん」の話は日常系推理としての出来が良く、与えられた素材から推理される内容もその推理が必要で小鳩が巻き込まれる過程も、自然に描けていたかなと思います。「氷菓」の面白さに匹敵するコミカルな感じも良かったと思います。

 そして、小佐内ゆきというキャラの性格というか行動原理が適格に表現されていて、そこの使い方が見事です。話の導入として読者の疑問を掻き立てるのが非常に上手かったです。加えて堂島が新聞部ということも活用できています。

 ただ、少し画面から違和感を感じないでしょうか?5月の設定なのにどう見ても冬の印象を持つ作画、美術、色彩になってませんか?
 直接推理にも話の面白さにも引っ掛からないのでネタバレすると、本話は「巴里マカロンの謎」に収録されていて、時間軸でいえば1年生の冬になります。(追記 さっきまで2年の冬だと思ってましたが、原作確認したら間違っていました)

 この話は本来原作では1年生の年末に近い時期の話で、「春季限定」と「夏季限定」の間の話になります。それがアニメだと小鳩はいきなり2年A組になっています。春と夏の間という時間軸は変わらないのですが、部室のホワイトボードは「5月」と表示されています。つまり、無理やり2年生の5月の話だと改変しています。
(追記 そうそう、なぜ仲良くなさそうな新聞部でこんなことをしたかと言えば、原作では年末の取材の一環でした。ベルリーナー・プファンクーヘンはドイツでは大晦日または2月の謝肉祭に食べられることが多いそうです。それは調べないとわからないのでまあいいでしょう)
 
 話そのものに影響はないのです。ですが、5月なのに画面が寒々しく全員がきっちり制服を着ています。部室の窓もしまっています。午後4時45分なのに夕日になっています。つまり、冬のつもりで作っている人、5月のつもりで作っている人が混在しているような不思議な画面になっています。これは何か事情があるのでしょうか?

 その画面上の不自然さはおいて置いて、これを説明というか何もなくいきなりここに差し込むのは、アニメとして効果的かどうかは疑問です。まあ、これから「夏季限定」が始まるので2年生にいきなりなっていると戸惑うので、無理やりここにいれたのでしょう。ただ、アニメとして説明が不十分すぎます。

 と、アニメの画面の印象と、シリーズとしての説明の工夫にちょっと疑問は感じますが、そうは言ってもこの1話は大変面白い話でした。キャラたちの性格が悪すぎるのは相変わらずですけどね。{/netabare}


6話 この話は面白いですが、単なる小休止のエピソードでしょうか?

{netabare} 冒頭のお祭りのシーンは原作でもわかりづらいというかはっきりとは確定できないのですが、「会いたくない人」に意味深長なものを感じたのですが、その辺は伏線だと思います。あえて自転車で来たと嘘をついたのは{netabare}「自分は見られたくないけど、相手の顔が見たい」 {/netabare}という小佐内さんの事情が原作では小鳩によって推理されますが、アニメではありませんでした。綿あめも本当に食べたいのもあるでしょうが、 {netabare} 顔を隠す {/netabare}という意図もありました。
 ですが、本作アニメではそこをサラリと流しました。推理としてフェアかどうかはアニメ制作者は考えた方がいいと思います。

 それとこの祭りのシーンで「春」では表現しきれなかった、小佐内さんの本質ですね。小悪魔的ではなく悪魔的に、完全に小鳩の内面を翻弄しコントロールしている感じを描くシーンだと思うのですが、そこがちょっと弱かったかなと。

 そして原作で明確でないのがこの時点で小鳩は小佐内さんをどう思っているか?なんですよね。「春」の教習所の件から、互恵関係と言っている割に小鳩は小佐内さんに甘い感じです。そこに恋愛を見出すことはできますが、それはミスリードでしょう。

 このシャルロットで言いたいのは、小鳩の側でも本当は推理を披露する機会が欲しくて、小佐内さんを利用しているということでしょう。小佐内さんがほぼ唯一のその性癖の理解者です。ですが、小佐内さんはそれが分かって小鳩を利用し支配しているというのが、この祭りとシャルロットで描かれたのかな、と。

 それとまあ、これはネタバレですから隠しますが、 {netabare} この構造が「夏」の大きな仕掛けになります。この6話は「5話と同じく出来がいいちょっとしたショートストーリー」…では無く「夏」事件のキャラ造形としての伏線になります。{/netabare}
 こういうところが「春」に比べて「夏」の方が話としては進化したかな、という部分です。

 演出について。シャルロットのパートなんですけど「何やってるの、小鳩くん」は、心象風景ですね。こういう演出が分かりやすいかどうかはちょっと考えた方がいいかもしれません。
 あと、ネタバレになるので詳しく書きませんが、箱の中のレイアウトはちょっと原作と違うニュアンスになっています。{/netabare}


7話 小鳩と小佐内の表情をどう読み取ったかを覚えておきましょう。

{netabare} ハンバーガーショップの地図の件は、原作だと謎になっていたんですけど、画面でみると成立してなかったですね。どう描くかをちょっと楽しみにしていたんですけど、演出が付いて行ってなかった気がします。
 一方今回の小佐内さんの変装は笑ってしまいました。ついでに、なぜいつも変装しているのかも明言はされてないですが、そこを考えても面白い気がします。

 1話で小佐内の好みを「和菓子ではなくバターとブランデーが効いた濃厚な甘さ」的なものと言ってしまったが故に、鋭い人は小佐内のスイーツに綿菓子とかリンゴ飴が含まれることに、何かの仕掛けか?というアニメ独自の読み方ができてしまいますね。制作スタッフが意図的に入れたのか、何となく入れたのかが良くわからないセリフでした。

 あと、7話の小鳩の表情はそれでいいのか?という気がしなくはないです。ちょっと私の解釈とは違います。一方で小佐内の表情は私と同じ解釈かな、という気もします。小鳩の表情を本作アニメ版のように捉えると、結末がもっと楽しくなると思うのでそこはなるほどな、と思いました。

 この表情についてはアニメでは意図的にかなり丁寧に作画していたと思います。6話の構造と合わせてしっかりとチェックしておきましょう。そして7話の印象を最後まで忘れないようにしましょう。{/netabare}


8話 さて、前提が終わりました。ここからが最大の山場です。

{netabare} かなりあっさりと誘拐事件を描きましたね。原作からして薄めの本ですので、描き方のテンポとしては悪くない気もします。もうちょっとヒリヒリさせるよう、ここは引き延ばしても面白かったかもしれません。

 で、誘拐事件の本編はこれからです。楽しみに待ちましょう。私はこの作品が大嫌いですが「夏期限定トロピカルパフェ」という作品の出来の良さは認めています。夏祭りとシャルロットの味わいが活きてきて、見事な推理小説的な展開と構成でした。

 トリックの種類は ※ネタバレ注意※ {netabare} 他人(小鳩)が語る(小佐内)さんの叙述トリックという感じです。小鳩が8話で行ったことは、そういうガワで見えているという表面上のものだけで、これに視聴者はだまされます。

 注意。具体的内容。{netabare}事件そのものは犯人が引き起こしたものですが、それを事前に察知しその事件を監禁・暴力事件から営利目的の誘拐事件という非常に重い罪に見せかける復讐を小佐内さんが仕掛けます。
 その仕掛けの片棒を担ぐことを小鳩が誘導されて意図せずに行ってしまいます。最大の犯人が小佐内さんだということです。その意味で「春」事件のときの小佐内の描き方が弱いので夏のカタルシスが弱くなるなあ、と思っていました。

 変装の意味、なぜ夏祭りのとき顔を見られたくない相手の顔を見たかったのか、シャルロットのときの小鳩の事件を解決したい心理を小佐内さんが確認したこと、小佐内さんとの関係性に顔を緩める小鳩の表情、逆にそれを知った小佐内さんの悪魔的な表情、なぜ事前に地図の場所を把握できていたのか、小鳩に地図を事前に見せたのか、なにより最大のトリック「小市民」という単語の我々のこざかしいイメージの回収。

 つまり、本作は小鳩VS小佐内であり、小鳩が小佐内の手のひらの上で踊る話です。さらに言えば小市民という人を馬鹿にしたような自分たちの小賢しい考えに気づき、関係が破綻する話です。ですので、6話で小鳩がまるで小佐内のことが好きなような表情を見せたことが効いてきます。苗字に小が付くのも原作者の悪意を感じます。この辺、本当に素晴らしい仕掛けでした。{/netabare}

{/netabare}

 こういう感じですので、肝心なのは次回です。事件の説明の中に潜むいろんなものを理解してこの作品の「味わい」を拾いましょう。何度も言いますが、私はこの小説が大嫌いです。

 これが、この作品の1話でレビューした小佐内≠千反田えるの意味です。今のペースだと9話か少しじっくりやって10話くらいで終わる感じですが…それともいろいろアニメだと私が本作原作を嫌いになる理由に何かアニオリが付いて意味を変えてくる可能性がある尺ですね。

 以上のような話です。せっかくここまで見た人は、最後まで見ることをお勧めします。 {/netabare}



9話 出来はいいですが、小説の面白さとキャラの魅力のバランス問題。

 というわけで、この展開は素晴らしいと思います。一方で推理小説に関してはキャラ萌え派の私にとっては最大の裏切りでした。だから、この作品の出来の良さは認めても、嫌いな小説ということです。

 今回アニメ化にあったって、小佐内さんの内面が見えないことが最大の面白さになるわけですが、そこは小鳩を語り部にすることで結構うまく機能したかなとは思います。しかし、それゆえに本作の魅力、キャラの魅力という点で物足りない部分になっていました。
 特に「春」においては「それだけ?」という感覚が強いので引きが非常に弱かったです。ただ、この9話までの部分を仕掛けた「夏」は推理というより小説の展開として高く評価したいと思います。

 小鳩常悟朗って結構不自然な名前ですよね…多分結構悪意があると思います。「小さな鳩で、常に悟る」です。「朗」の意味はいろいろですけど、ほがらか、明るい、声が高らか。つまり「さかしい小さな鳩がさえずっている」とも取れますから。

 そして、小説の小佐内は大っ嫌いですけど、今回小鳩の描き方が賢しさとか、にやけた表情とかが上手かったので、小佐内のキャラが結構魅力的に思えました。その点ではアニメ化の意味はあったかなと思います。

投稿 : 2024/09/23
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サンキュー:

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なばてあ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

コクーンの浸透圧、ライトハウスの遠心分離

原作は、放送開始時までに10回以上読み返していた。

世評が芳しくないようなので、簡単に。

京アニによる「古典部シリーズ」の映像化は、たしかにすばらしかった。ただ『氷菓』が米澤穂信一流の「苦み」を再現していたかというとそうではない。セリフ上でも、作画上でも、演出上でも、糖分をゴリゴリに足して後味すっきりマイルドに整えられていたのが武本版「古典部シリーズ」だった。それは良い。エンターテインメントとして、好ましいアニメ化だったと思う。

それに対してラパントラックの『小市民シリーズ』は、原作の「苦み」再現のプライオリティをかなり上げてきた。原作の語りである小鳩くんのモノローグを完全に排除するストーリー構成は、その最たる方針と言える。ロングショットの長回しを多用して、静的な、けれども作画が貧しくならないよう細心の注意を払った演出は、小津的視聴感を練り上げる。神戸版「小市民シリーズ」は、けれども、それゆえにこそ、見るヒトを選ぶ映像作品になった。

要は、なにかを拾えば、なにかを捨てることになるというだけの話である。

京アニ『氷菓』もラパントラック『小市民シリーズ』も、それぞれ、プロダクションデザインとして打ち立てられたスタイルが、しっかり貫徹されている。それが「洗練」という言葉の意味なのだとすれば、洗練度において、両者に差はない。萌えアニメのエンターテインメントとして完成された前者と、ストイックなアニメ映画として完成された後者という対比しかない。

本作の世評が芳しくないこと自体は仕方ないこと。至極当然な結果だとさえ思う。そもそもこれは「楽しい」作品ではない。原作に煎じ詰められた「苦み」を可能なかぎり再現しようとしている時点で「楽し」くはない。けれども「面白い」作品であるのはたしかである。視聴者に「面白」さを感じ取れるアンテナがあればの話だけれど(©河内先輩)。

それゆえに、本作が「つまらなかった」と言うのはぜんぜん問題ないけど、本作の「出来が悪かった」と言う向きには、反論したい。この作品の「出来」はとても高いレベルにある。

最後に。わたし自身は武本版「古典部シリーズ」は大好きである。米澤穂信の原作とは完全に異なるコンテンツとして、ほんとうに高く評価しているし、第2期を希いながら、このあいだの京アニの発表を正座して聞いたほどである。夢は破れたけれど。

衝撃:★★★☆
独創:★★☆
洗練:★★★★☆
機微:★★★★★
余韻:★★★★

投稿 : 2024/09/23
閲覧 : 39
サンキュー:

8

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小市民シリーズのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
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小市民シリーズのストーリー・あらすじ

“たがいに助け合い、完全な小市民を目指そう。” かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くんは、清く慎ましい小市民を目指そうと決意していた。 同じ志を立てた同級生の小佐内さんとたがいに助け合う“互恵(ごけい)関係”を密かに結び、小市民としての高校デビューを飾り平穏な日々を送るつもりでいたのだ。ところがふたりの学園生活に、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる。 はたして小鳩くんと小佐内さんは、小市民としての穏やかな日々を手に入れることができるのだろうか。
(TVアニメ動画『小市民シリーズ』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2024年夏アニメ

この頃(2024年夏アニメ)の他の作品

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