Witch さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「厨二病・なろう原作者の思い付きを詰め込んだような作品」ながらも破綻なくみせているのは凄い
【レビューNo.164】(初回登録:2025/1/5)
ラノベ原作(カクヨム・なろう発)で2023年作品。全12話。
これも2025冬アニメから2期が始まるので、放置していた1期のレビューをと。
(ストーリー)
本物の魔王が死んだ。
しかし魔王を倒した一人の勇者は、今だその名も実在もしれぬままであった。
恐怖の時代が終息した今、その一人を決める必要があった。
遠い鉤爪のユノは、突如起動した迷宮機魔(ダンジョンゴーレム)により故郷
や友人を失ってしまったところを、異世界から来た剣豪・柳の剣のソウジロウ
に命を救われる。
彼女はソウジロウに黄都で開催される”勇者を決める”上覧試合に参加すること
を提案する。
その頃リチアの警めのタレンが黄都に対し反乱を起こし、各陣営に強者どもが
集結しつつあった。
(評 価)
・多種多様な強者キャラが入り乱れ!?
本作に登場する主要キャラですが
・柳の剣のソウジロウ: 梶裕貴
・遠い鉤爪のユノ: 上田麗奈
・星馳せアルス: 福山潤
・静寂なるハルゲント: 大塚明夫
・警めのタレン: 朴璐美
・鵲のダカイ: 保志総一朗
・夕暉の翼レグネジィ:森久保祥太郎
・晴天のカーテ:雨宮天
・世界詞のキア: 悠木碧
・赤い紙箋のエレア: 能登麻美子
・濫回凌轢ニヒロ: 高橋李依
・音斬りシャルク: 山寺宏一
・鎹のヒドウ: 岡本信彦
・速き墨ジェルキ: 子安武人
・海たるヒグアレ:杉田智和
・月嵐のラナ:花守ゆみり
・通り禍のクゼ: 三木眞一郎
・静かに歌うナスティーク:堀江由
香ばしい二つ名を持つ個性的なキャラを豪華声優陣が演じるというなかなか
の贅沢仕様になっています。
(彼らは決して厨ニ病でなく、この世界では「二つ目の名」までを含めて正式
な名称とされるらしい)
1話を観た感じでは
「ソウジロウやユノが主役となり上覧試合を勝ち上がっていくストーリー!?」
かと思ったのですが、2話でいきなりタレンが黄都に対し戦争をおっぱじめる
ので、1期では上覧試合の前哨戦を描いて終わるという感じですね。
2話以降も前半は上述キャラを順次紹介していく展開がメインになっているの
で、「点と点を見せられているような」モヤモヤした感じが残るという印象
です。
両陣営の面子が出そろった7話から交戦開始、「修羅」と呼ばれる強者どもの
バトルを中心に戦争が激化していきます。
バトルの作画レベルは非常に高く見応えがあります。
「この『修羅』同士の戦い、勝つのはどっちだ!!」
という緊迫感がありますし、また
「紙一重の戦いの中で何故決着がついたのか」
という説得力や納得感もありますし。
ただこの「修羅」という存在、ソウジロウのような人間の剣士だけでなく
・知性を持つワイバーンやマンドレイクにスケルトン
・巨大メカを操る屍魔(レヴナント)の少女(生物兵器的な)
・果ては「『死の牙』を持つ天使」に守られた始末屋や
「思うだけであらゆる現象を引き起こす」謎のチート能力少女
まで「何でもありの”ちゃんぽん感”」が凄いんですよね。
そういう意味では、シラケさせずちゃんと面白く魅せているのはなかなか
凄いなと素直に感心。
・キャラ描写も細やかでよいがやっぱ多すぎw
上述のように表面は結構荒っぽいですが、各キャラの背景や人物像といった
細かい描写がしっかりしているのも本作の特徴。
各キャラを魅力的に描いています。
ただ1クールの中で3つ位の軸を描きながら、多数のキャラが登場し皆それな
りに出番があるので、やはりキャラに感情移入しにくいのかなあという印象
はありますね。
また「修羅」といった強者にスポットが当たりがちですが、本作のテーマは
意外と彼らに生存権を握られても何も抗えない、ユノやラナのような
「(自分の無力さに苛まれる)弱者の叫び」
でもあるんですよね。
(後述する最終話に繋がる部分でもありますし)
この辺は「人間の”性”をしっかり描いているな」と評価したいところ。
ただこの辺も少しヒステリックで過剰演出かなと感じるところはあるので、
好みは別れそうです。
一見すると
「厨二病・なろう原作者の思い付きを詰め込んだような作品」
で、ともすれば空中分解しそうな危うさもあるのですが
・キャラ描写の細やかさ
・上手いストーリー構成
で破綻なくみせているなという印象ですね。
(まあ交戦開始まで「ちょっと長げーよ!」と感じるところもありますがw)
それでもまだ
「すっきりしないモヤモヤ感」
が残るのですが、最終話で今回のカラクリが明かされ
「全ては繋がった!そういう物語だったのか!!」
というカタルシスを得て終われるようになっています。
(幾分ガバガバ感はありますがw)
個人的には原作をよく理解して、レベルの高い作画で仕上げた「パッショーネ」
の大健闘といえるのでは。
(いうても原作は知らんけどw)
(追 記1)
ただ上覧試合を始めるにはまだ「修羅」の数が足りてない感じなので、2期も変
わらず新展開からの新キャラ投入という流れが予想されます。
・更なる面白さを提供できるか(1期の劣化版で終わらないか)
・既出キャラとのバランスは上手く保てるのか
1期は上手く捌きましたが、2期は結構ハードルが高そうなので、上覧試合まで
失速せずに繋げられるのかに注目ですね。
そういう意味では3期位までの制作は決まっていたりするのかも。
最近割と「コレ3期もやってくれるの!!」みたいなパターン増えてますし。
(追 記2)
ソウジロウを初めてみた時
「ん!?こいつの羽織ってるモノって、もしかしてジャージ?」
って目が一瞬点になったわ。
異世界でジャージをかっこよく着こなしているのは、こいつとリゼロのスバル
位だろw