遊微々 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
そしてみんなから愛される存在に....
アニメ見る暇あるなら競馬のレース見る、というくらい競馬に染まりきった競馬沼民、久々にアニメレビュー書きます。
ぶっちゃけ2023年唯一見たTVアニメでした。
ウマ娘待望の3期は私の大好きなキタサンブラックを題材にした作品、なのですがぶっちゃけキタサンブラック主役で2期くらい面白い作品作るの無理じゃね?という期待半分不安半分な中のスタートでしたが.....
悪い方向で的中しちゃいましたね~、正直。
どうしてもストーリーの軸が分かりづらいというか、キタサンブラックに感情移入しづらい。走る理由見つけるまでのくだりが少々くどかったり、後半謎のピークアウト設定入れたり....
いやー、キタサンブラックの操縦性の高さとポテンシャルの高さを再評価された、キタサンブラックを語るうえで欠かせない2017の秋天を曇らせ展開として使うのはちょっと無理があるんじゃねえかなー?
そもそもキタサンブラックの史実での感動的なエピソードの流れとしては、半世紀近い馬主活動をしながらも中々大物に巡り合えなかったオーナーが、付き合いの長かった非社台系牧場生産の二流血統の若駒を一目惚れして購入したら、日本競馬史に残る名馬へと登りつめたという部分にあるので....
これが例えば長年結果の出てない老年トレーナーに見出されたキタサンブラックが二人三脚でライバルとしのぎを削りながら夢を叶えていく、みたいな物語にしてたらもっと面白かったように思うんですよね。変にスピカにこだわり過ぎたのも良くなかったかなー、と。
もっともこれは余計な競馬知識身につけすぎて、ネタバレ全部喰らった状態で斜に構えたような見方しか出来なくなってる自分が悪いような気もするので、史実のこととか全然知らない初見の方とかはもっと楽しめてるのかなーという気もしますし、まあ一長一短あるのかなと言ったところですね。
2話のネイチャとか普通に自分も泣いてましたし、決してク〇アニメというわけではなく、視聴前のハードルを上げすぎていたことにも原因あったと思います。
来年公開の映画に期待しましょう。
あとはクロフネの許可だけお願いします....
{netabare}・キタサンブラックやサトノダイヤモンドだけじゃない!!同時期にターフを彩った名馬たち!!{/netabare}
ぶっちゃけ今回のレビュー書いた目的、8割くらいこれ目当てです。
ウマ娘もいいけどリアル競馬もいいぞ!!!
というわけで、彼らの活躍が描かれた2015~2017年にかけて、アニメでは描かれなかったエピソードを個人的に10個選んでみました。
少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
①:勝ち取った信頼と一番人気、前年王者堂々の連覇!!
{netabare}2015 フェブラリーステークス【コパノリッキー】
今でこそGI級競走11勝の日本記録を保持するダートの名馬として知られるコパノリッキー。しかしGI初挑戦となった2014年のフェブラリーステークスでは16頭立ての16番人気という超穴人気。しかし本番ではエスポワールシチーやベルシャザールといった人気どころを抑え、ダイタクヤマト以来となるシンガリ人気でのGI制覇を達成した。
ここで終わればただの一発屋だが、コパノリッキーはその後も川崎記念とJBCクラシックを勝利、帝王賞も2着とする等その実力がまさしく一線級であることを証明。そしてあの勝利から1年後の2015年のフェブラリーステークスでは、打って変わって堂々の一番人気に支持され、その期待に応えるように見事連覇を達成した。{/netabare}
②:遅れてやってきた快速女王!これが、黄金の12世代の底力!!
{netabare}2015 スプリンターズステークス【ストレイトガール】
ゴールドシップ、ジェンティルドンナ、ジャスタウェイ等、数多くのGI馬を輩出し、スペシャルウィークら98世代と並ぶ日本競馬屈指の黄金時代と称される2012年クラシック世代。ストレイトガールもまた、その世代を象徴する名馬である。
3歳終了時点では、同期のジェンティルドンナやヴィルシーナがクラシック戦線で熾烈な争いをする中で2勝クラスの条件馬止まり。4歳になってからは4連勝でOPへと昇格を果たし、GI戦線でも好走するなど結果を残すが、GI制覇は壁に阻まれた。
しかし同期の女傑2頭がターフを去った2015年にその才能がついに開花。ヴィクトリアマイルで初GI制覇を達成すると、秋のスプリンターズステークスでも1番人気の期待に応えるように見事勝利を収めた。{/netabare}
③:史上初の快挙達成!砂上に舞い踊る、情熱のサンバ!!
{netabare}2015 チャンピオンズカップ【サンビスタ】
「牝馬は牡馬に勝てない」という日本競馬界にかつて存在した格言も今は昔。21世紀以降、スイープトウショウ、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイといった一線級の牡馬と互角以上に渡り合う牝馬が数多く誕生し、今では牡馬と牝馬の差はさほど変わらないものになった.....と、言うのはあくまでも芝においての話。
芝以上のパワーが要求されるダート路線においては依然牡馬優位の状況となっており、中央のダートGIを制覇した牝馬は史上ただ一頭のみ。その唯一の馬がサンビスタである。
本格化が5歳になってからという遅咲きの牝馬であり、さらにはクラブ法人の所有馬。クラブ馬は基本的に引退期限が設けられており、彼女も例に漏れず本来であれば6歳春の時点で引退予定であった。しかし今を全盛期と判断した陣営は特例措置として1年の引退延長を敢行。結果としてはこれが英断となり、この年のチャンピオンズカップにおいてコパノリッキーやホッコータルマエ等を抑え、12番人気ながら優勝。有終の美を飾るとともに、牝馬史上初となる中央ダートGI制覇を達成した。
{/netabare}
④:「世界の矢作」爆誕!15世代の超良血、初戴冠はドバイにて
{netabare}2016 ドバイターフ【リアルスティール】
父ディープインパクトは言わずと知れた21世紀の日本競馬を代表する大種牡馬であり、母ラヴズオンリーミーは父に大種牡馬ストームキャットを持ち、母はキングマンボの全妹。そんな日本と世界の超良血の両親を持つ、生まれついてのエリートこそリアルスティールである。
2015年世代きっての素質馬としてクラシック戦線の主役の一頭に挙げられるも、皐月賞と日本ダービーでは同じく同期の良血馬ドゥラメンテの前に完敗。菊花賞ではキタサンブラックの前にクビ差の二着に敗れ、結局3歳は無冠で終える。
しかし翌4歳、初めて訪れた中東の地で自身の素質を開花、ドバイターフにて見事初GI制覇を果たした。
結局GIはこの1勝のみであったが、この勝利が後に残した功績は大きく、調教師であった矢作芳人はこれを皮切りに後に多くの海外GIを制覇、「世界の矢作」として一躍その名を轟かせることに。
さらにこの勝利から5年後の2021年、自身と全く同じ血を引く全妹が、同じく矢作調教師の元で日本競馬史に残る快挙を達成することになるのだが、それはまた別のお話。{/netabare}
⑤:勇往邁進!これが2歳王者の、そしてクラシックホースの意地!!
{netabare}2016 安田記念【ロゴタイプ】
2012年の朝日杯王者にして、2013年の皐月賞馬、ロゴタイプ。クラシック戦線ではエピファネイアやキズナといったライバルとしのぎを削った名馬であったが、皐月賞以降は勝利に恵まれず、同期のライバルたちが引退する中現役を続けるも、かつての勝利から3年の時が経過しており、時代は次の世代に移っていた。
当時のマイル戦線は、2015年に年度代表馬にも選ばれたモーリスが絶対王者として君臨しており、このレースにおいもダントツの一番人気。一方終わった馬とみられていたロゴタイプは8番人気であった。
しかしロゴタイプはスローの逃げに持ち込み自分のペースを握ると、最後は逃げ粘り後続を完封。自身のペースにはまり折り合いを欠いたモーリスを見事下し、久々の勝利を大金星で飾った。{/netabare}
⑥:「世界のマイル王」から「世界の中距離王」へ!「銀幕の英雄」から受け継ぎし「不死鳥」の翼は距離の壁を越えていく
{netabare}2016 香港カップ【モーリス】
キタサンブラックと同じ時代、マイル戦線において絶対王者として君臨していたタイキシャトル以来となる超大物マイラー、モーリス。
4歳時に堀宣行厩舎への転厩を機に瞬く間にその才能を開花。2015年には安田記念、マイルCS、香港マイルとGI3勝を挙げ見事年度代表馬に。
翌5歳の夏からはそれまでのマイルから距離を伸ばして中長距離の舞台へと進出。初挑戦となった札幌記念では2着に敗れるも、本番の天皇賞秋では見事勝利。さらに引退レースとなった香港カップでも、ラストの直線だけで後方一気のごぼう抜きで3馬身差をつける驚愕のパフォーマンスを披露。古馬以降は11戦9勝2着二回という圧倒的な成績を残した。
特に香港カップと香港マイルの2競争制覇は当競走がGIレースとなってからは地元香港馬でも成し遂げていない史上初となる快挙であり、地元紙では「日本のヒーローは神の領域に到達した」と言われるなど絶大な賛辞をもって評価された。
ちなみに彼の父であるスクリーンヒーローはウマ娘でもお馴染みグラスワンダーの産駒。98世代が誇る怪物の孫もまた怪物だった。{/netabare}
⑦:東の名門、名手とともに掴んだ日本一の栄光!!
{netabare}2017 日本ダービー【レイデオロ】
「西高東低」と呼ばれるほど栗東所属の競走馬が美浦所属の競走馬を圧倒した90年代以降の日本競馬界において、美浦所属の調教師でありながら歴代2位となる通算1570勝を挙げた日本競馬を代表する名伯楽、藤沢和雄。
厩舎開業から29年目の2017年、東の名門厩舎が永らく掴めなかった日本ダービーの栄光を初めてもたらした馬こそレイデオロである。鞍上を務めたのは、M.デムーロと同じく外国人ジョッキーとして初めてJRAの通年免許を所得したフランスが生んだ名手、C.ルメール。彼にとってもこれが念願の初ダービー制覇であった。
特にレースでは向こう正面にさしかかった時点で超スローペースであることを察したルメールが一気に捲って位置を押し上げていくという驚きのレース展開を披露、騎手の腕とそれに応えた同馬が見せた、人馬一体の勝利であった。
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⑧:平成・令和の名脇役、最初で最後のスポットライトは大雨の淀で
{netabare}2017 菊花賞【キセキ】
アーモンドアイが衝撃のレコードで駆け抜けた2018年ジャパンカップ。
リスグラシューが遅咲きの大輪を咲かせた2019年宝塚記念。
マカヒキが5年振りの劇的復活勝利を挙げた2021年京都大賞典。
コントレイルが最後の軌跡を描いた2021年ジャパンカップ。
平成から令和へと時代が移っていった日本競馬において、数多くの名レースを演出してきた名脇役、キセキ。
そんな彼の唯一のGI勝利にして、最後の勝利となったのが2017年の菊花賞。キタサンブラックの天皇賞秋同様、台風の接近に伴う不良馬場の中での開催。大雨+不良馬場+3000mという文字通り身を削るような最悪なコンディションの中、最後の直線で大外から一気に先行集団を押し切り見事勝利。泥にまみれながら掴んだ主役の座は、実に彼らしかった。{/netabare}
⑨:「暴君」の娘、父に捧げるGI勝利!
{netabare}2017 阪神ジュベナイルフィリーズ【ラッキーライラック】
「金色の暴君」の異名をとった史上7頭目のクラシック三冠馬、オルフェーヴル。そんな彼の初年度産駒であり、初GIをもたらした孝行娘、ラッキーライラック。
中段前目でレースを運び、リリノーブル等を抑えて力強く抜け出し完勝。見事JRA賞最優秀2歳牝馬に輝き、父の血統を証明してみせた。
その強さから間違いなく2018年牝馬クラシックの主役になると目されていたラッキーライラックだったが、翌年以降同期の怪物の後塵を拝す苦難の道を歩むことになる。そんな彼女が、2019年に京都で劇的な復活を遂げることになるのは、また別の話。{/netabare}
⑩:前王者か!現王者か!10年に一頭の名馬と、100年に一頭の怪物、暮れの中山で一騎打ち!!
{netabare}2017 中山大障害【オジュウチョウサン】
障害競走。海外では平地以上に人気を博している国もあるが、日本においてはどうしても平地競走に比べて注目度が劣るレース体系となっている。しかし、そんなマイナー路線でも圧倒的な成績を残し続ければ注目は集まるというもの。近年の日本競馬における障害競走の注目度を上げた偉大なる飛越の王者こそ、オジュウチョウサンである。
障害競走において数多くの金字塔を打ち立てた彼であるが、その中でも特に有名なのが2017年の中山大障害。
オジュウチョウサンが台頭するまで障害の王者として君臨していたアップトゥデイトが、大胆な大逃げを敢行。他の馬が中々差を詰められない中、オジュウチョウサン一頭だけは彼を追走。最後の直線、ゴール直前で見事差し切り、現王者としての貫禄を見せつけた。タイムは驚愕のレコードであり、最後二頭がゴールした時、後続には10馬身以上の差がついていた。
アニメの最終回でも使われた、大団円で終わったキタサンブラックの有馬記念ではあるが、その前日に行われたこのレースこそ、2017年のベストレースに推す声も少なくない。{/netabare}
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