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「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない(アニメ映画)」

総合得点
74.3
感想・評価
92
棚に入れた
485
ランキング
921
★★★★☆ 3.9 (92)
物語
3.8
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.1

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青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ないの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

思春期症候群の痕(きずあと)

想像以上に面白いシリーズなので、
視聴開始。

【作品概要】
 主人公咲太の妹ちゃん梓川花楓。
 咲太周辺で発生している思春期症候群の最初の発症者。
 長く不登校だった彼女が進路という岐路に立たされ、
 選択する物語です。

【作品に対する感想】
 これまでの青ブタは、
 思春期症候群の原因を解明し、解決する流れでした。
 今作は原因は明白で、それを本人がどう克服するか。
 そしてどう決断するか。
 事後処理を含め、後ろの方にスポットが当たっていました。
 これまでと少し毛色が異なる印象です。

 謎解き+解決だったこれまでより爽快感は落ちたものの、
 じんわりとした万感の思い…そんな温かさを感じました。

1)物語
 普通・みんなと同じ。
 これにどれ程の価値があるか。
  
 大多数が同じことをする…それはそうした方がいいという面が
 多いからそうなるんでしょう。
 また、深く考えず流されてる場合も多いと思います。

 ではみんなと同じ ではないことの価値は?
 OnlyOneになりえる価値がある 可能性があると思います。
 違うことそのものは恥ずかしいことじゃない。
 これに納得できるかどうかと思います。


 最後少し謎を残しましたね。
 あれはまた続きで ということでしょうか。

5)キャラ
 ➀梓川花楓
  この娘の問題は他人が自分をどう思うかを
  過剰に気にし過ぎてしまうところが
  根幹にあるように思えます。
  そしてそれをまともに受け止めすぎてる。

  思春期症候群の発端になったLine「死ね」も
  「ちょっと返事遅れたくらいでガタガタ言うな、バーカ」
  って返せるような子だったら、ここまでなってないですよね。

 ➁梓川咲太
  今作は兄としての側面が強く描かれてました。
  いや、もうええ兄ちゃんです。
  花楓が立ち上がれるように、フォローはするけど、
  ちゃんと自分で行動することを尊重してます。
  ただ甘やかすだけじゃないところが高ポイント。

 ➂広川卯月
  超ポジティブ女子。
  この娘も空気に弾かれやすい子なんでしょうけど
  私は好感持てます。
  こういう空気読めなさは尊重してあげていいんではないでしょうか。
  
6)印象深いシーン
 {netabare}
 ➀三者面談
  大人がまともな会話してたところが
  物語の説得力を上げてます。
  先生も経験から否定も含めていろんな意見くれてますしね。

 ➁信頼の双葉
  いつもブタ野郎呼ばわりの双葉が
  意外と頼りになる奴とストレートに言ったシーン。
  ちょっと咲太に毒された?
  ちっちゃい身長から繰り出される上目遣いが余計にやばい(^^;

 ➂信頼の麻衣
  花楓の物語がメインなせいか、二人がもはや親か熟年夫婦
  のような安定感です。
  そんな中の花楓のドアそっ閉じは笑えました。

 ➃花楓の葛藤
  会えない 見えないかえでとの比較、
  
  恐らく人間関係で類推してるんじゃないかな。
  ・花楓はLINEでもめて「死ね」。
  ・かえでは霧島麻衣、のどかなど
   いろんな人に優しくされる価値があった。
  だから自分はダメだ…。
  そう推定しちゃったんでしょう。

  こういう気持ちすごく解るんですよね。

 ➄花楓の決断
  ちゃんと自分で選んだ花楓はえらいと思いました。
  あの歳でなかなかできないことですよね。
  兄の交友関係を含め、彼女にとってプラスになったことを
  ちゃんと受け入れたから出来たことなんでしょう。
  {/netabare}

投稿 : 2024/02/17
閲覧 : 74
サンキュー:

13

ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

もう一人の私からわたしへ

2019年の映画化から久しぶりの続編となる本作。今作を花楓編、そして次作を咲太編として二作を連続で公開して一気に高校生編を完結へと導く一挙展開は、久しぶりに大好きな青ブタシリーズを今年は堪能し切れた

テレビシリーズにて描かれた「かえでと花楓」という妹の持つ思春期症候群のストレスから生まれた別人格の二人。その概要とそして記憶が戻り花楓となりその整理と新しい踏み出しが始まった。しかしそれは咲太の中での決着で、本人特に花楓はかえでとして過ごし残した部分をどう受け止めて、そして自分はどうしていくのかということが受験 そして中学卒業という時期に満を辞して描かれるのが本作の内容

まず自分はこのシリーズ大好きで、様々な思春期症候群にて描かれる切なくてそれでも元気をもらえる前向きになれるエピソードももちろん好きなのだけれど、藤沢という実在の街を舞台にして実在のスポットや施設を利用したりするアニメと現実の融合という部分で自分はかなり気に入っている
本作も実際は七里もない七里ヶ浜を始め…などしっかり取材された上で描かれる背景や場所の描写はその場所にいるキャラに想いを馳せられる大きな役割を果たしていた

さて内容。テレビ本編で描かれた妹編から時間は経ち、記憶が戻りもう一人の私“かえで”が過ごした二年間の思いを受け継ぎ“がんばっている“花楓。この”がんばっている“というワードがかえで そしてこのシリーズを象徴するとても良いワードだと思っている
思春期症候群という自分の深層の不安が様々な症状を発生させる心の病。それを解決する為には自分自身の現状を変えるか精算するしかなく、その為に行動し”がんばってきた“テレビシリーズ 映画で描かれてきたヒロイン達。かえでも最初は自分のそして咲太の為に外に出て学校に通えるようにがんばっていた。この拙いながらも健気さを象徴するこの表現、そのワードを花楓も使ってもう一人の私と向き合っている様子が両者が意識し合ってその解決へ全力でがんばっている様子が見れて良かった
そしてその解決も、逃げではなく正しい選択肢として示された自分の本当に進みたい方への、それを応援し尊重してくれる人が周りにいて、そして何より花楓自身がかえでとの思いを受け継いだ上で決断する、自分の選択肢として描かれる通信制という道も、本人の決断という花楓の努力と成長が見られて、最高の形で決着された

映画化に際して別に必ずしも派手じゃないしっかりと劇場で見るからこそ堪能し切れる作品も劇場体験見る醍醐味であると思っている。まぁ自分もミニシアター系の作品を超見るって訳でもないけれど、やっぱり家でテレビで見るのと劇場で腰を据えて観るのとではやっぱり作品に対する意識や見方も変わるから、結論この作品は劇場で見れて良かったです

そして続きの『ランドセルガール夢を見ない』へと渡され、次作で高校生編完結へと導かれる。ランドセルガールとは。何故麻衣さんに似ているのか

思春期症候群を巡る物語はまた新しい1ページを描き始める

投稿 : 2023/12/26
閲覧 : 70
サンキュー:

6

ネタバレ

teji さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

こんな話だったけ

まったく内容覚えてなかった
よって 今回のお話 よくわからなかった

投稿 : 2023/12/02
閲覧 : 96
サンキュー:

1

ネタバレ

プラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

良くも悪くも普通。

主人公は「他人と違う事」「普通でない事」に対して執着してしまう咲太の妹・かえで。

普通であろうと努力するもなかなかうまくいかないかえで、今回は高校進学という壁にぶつかる。咲太に支えられながら、咲太と同じ高校を受験することを決意。しかし、試験当日に思春期症候群を発症して、あえなく失敗に終わる。

その後、何から何までみんなと同じである必要がない、ということを咲太に諭され、最終的には通信制の高校への進学することを決意した。


・・・と、ストーリーはこんな感じ。特に盛り上がる部分もなく、良くも悪くも普通だった。

投稿 : 2023/10/15
閲覧 : 70
サンキュー:

1

ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「おでかけシスター」は、本当の意味で「おでかけ」できるか!?

今回のガールは、「おでかけシスター」です。
主人公「咲太」の妹「かえで」のことですね。
いえ、ちがいました、「花楓」です。

そうです、TVシリーズ最大の謎。
それは、ヒロイン「麻衣」ではなく、妹「かえで」の方でした。
ちなみにこのシリーズの最大の謎はやはり「牧之原翔子」ですが、これは別格。

話をもどしますと、TVシリーズの最後の最後で明かされた妹の謎。
もう、これにはみなさんやられたと思います。
だって、今までずっと応援してきた「かえで」の存在が無かったことになるんですよ。
それは、「かえで」が思春期症候群による「花楓」の別人格だったからです。
妹は、「かえで」以外に考えていませんでしたから、完全に無防備な状態でした。
しかし、もう、時すでに遅し。
完全に感情移入しきっていて、どうしても気持ちを切り替えられません。
と、言う、視聴者の感情以上に、気持ちを切り替えられないのが兄の「咲太」。
主人公の感情と視聴者の感情をシンクロさせるのが上手いですよね、鴨志田先生。

今までのエピソードは、どちらかと言うと思春期症候群が治ってめでたしでした。
そして、最後の妹のエピソードも思春期症候群が治ってめでたしのはずでした。
しかし、なぜでしょう、思春期症候群が治ってもこの割り切れなさは・・・。
主人公も、妹も、そして視聴者も複雑な気分で幕を閉じたのがTVシリーズでした。


■今回はドラマ
{netabare}
「花楓」の思春期症候群による別人格「かえで」は、本来の妹ではありません。
しかし、それは頭では分かっていても、心では納得できないのです。
本来の妹である「花楓」。
しかし、数々の困難を一緒に乗り越えてきたのは「かえで」。
どちらの人格も兄「咲太」にとっては妹なのです。
どちらも選べないのです。
しかし、選ばなければ前に進めません。
そして、それは、兄「咲太」だけではありませんでした。
妹「花楓」にとっても同じことだったのです。
数々の困難を乗り切って本来の自分「花楓」に戻れたのは「かえで」のおかげ。
しかし、それは、「花楓」にとっては全然知らない人物なのです。
しかも、「花楓」は、「かえで」の頃の日記を読めば読むほど、
「かえで」が望んだ自分にならなければいけないんじゃないかと悩むことになります。

また、「花楓」は、昔の学校の人達からは逃げているので、今は、友達はいません。
しかも、麻衣を始め、今のまわりの人達が知っているのは「かえで」の方です。
「花楓」ではないのです。
そして、父や母も自分のことが原因で壁があるし、兄も悩んでいる。
だから、そんな自分は不要な存在なのではないかと悩んでしまっています。
つまり、妹「花楓」も全然前に進めていなかったのです。
そんな心境を「進学」と言う「前に進む」ためのイベントにからめて物語は進みます。

この物語の上手いのは、そう言ったイベントを用意することだけにとどまりません。
それは、二人の気持ちを複雑に絡めつつもそれを一緒に解決しようとするところもです。
兄と妹のどちらに焦点をあてるのではなく、同時に解決を試みるのです。

兄「咲太」、妹「花楓」は、それぞれの立場で悩んでいます。
兄は、今の妹を受け入れたい。でも、「かえで」は、無かったことにできない。
妹は、自分はいらないから「かえで」になるべきか。でも、自分(花楓)でありたい。
しかし、お互いの悩みの原因は同じです。
しかも、二項対立(選択問題)と言う構図も同じです。
だから、どちらかが解決すれば、もう片方が自動的に解決する問題ではありません。
なんらかの方法でやはり二人の問題を同時に解決する必要があるのです。

今回は、それを思春期症候群と言うファンタジーではなく、
二人の心の葛藤を描く人間ドラマとして見せてくれました。
ですので、「咲太」が奔走すると言ういつもと同じテイストでありながら、
いつもとは、また違った感じの青ブタを観ることができる作品でした。
{/netabare}

■「おでかけシスター」は、本当の意味で「おでかけ」できるか!?
{netabare}
「おでかけ」とは、「出掛ける」、つまり、「外へ出て行くこと」です。
引きこもりだった「かえで」が「おでかけ」できると言うことは、
ただ単に外に出られるようになることではありません。
「かえで」が、本当の意味で「花楓」に戻れるかどうかと言うことです。
つまり、それが心の病でもある思春期症候群が治ったことになるからです。

TVシリーズでは、「かえで」は、「花楓」に戻り、外に出られるようになりました。
それによって、思春期症候群が治ったかに思われました。
しかし、「花楓」の心の葛藤は続いていたのです。
そのままでは、再び思春期症候群を発症しかねません。
TVシリーズの最後、視聴者に対してどことなく複雑な気持ちのまま幕を閉じました。
それは、思春期症候群と言う心にくすぶる病を疑似体験させてくれていたかのようです。

この物語通じて、「かえで」は、思春期症候群を克服し「花楓」となります。
本当の意味で「おでかけ」することができたのです。
それと同時に視聴者もまたこの複雑な気持ちを克服することができたのでした。

「おでかけ」とは、「かえで」と「花楓」をつなぐステキなタイトルだったのです。
{/netabare}

■まとめ

TVシリーズは、妹の思春期症候群が治ってもなんだか複雑な気分で幕を閉じました。
その後、劇場版「ゆめみる少女」で「翔子」の謎でドカンとやられてしまった関係で、
妹の割り切れなさについては、少し忘れ気味でした。
そこへ来て、今回は、再び妹にスポットがあたる感じでした。
なかなか上手いですよね。
忘れたころに何とやらと言うやつでしょうか・・・。
ところで、前回の「翔子」、今回の「花楓」ときて、他にだれか忘れていませんか?
と、言うことで、次回の劇場版は、再び「麻衣」にスポットがあたります。
ホント、心憎い作品展開ですよね、まったく。

投稿 : 2023/09/12
閲覧 : 133
サンキュー:

21

ネタバレ

og3jar さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

もっと頑張って欲しかった・・・

6月23日の封切の朝一番に観に行きました。

原作は読んでいましたので、内容はわかっていました。
アニメが原作を超えることは難しいので、今回気になった点をあげたいと思います。


① 『バニーガール先輩の夢を見ない』のセリフを使いまわして、青ブタらしさを演出していました。不必要な箇所に何度も、過去の遺産を安っぽく使っていました。

②作画が酷かったです。映画なんだから、それなりのクオリティーが欲しかった。Clover Worksさん頑張って欲しかった。

③一番肝心なセリフを予告編で使って欲しくなかった。

④原作の関係で本編が短いのは仕方がないけど、最後に『ランドセルガールの夢を見ない』の予告を入れていた。短いのに次回予告って・・・なんですか

⑤今回良かった点は、僕が原作を読んでもあまりわかっていなかった {netabare} 花楓の高校進学の動機です。花楓は {netabare}定員割れで、峯ヶ原高校に進学できたにも関わらず、通信制の学校を選択した理由が、映画を観ていてよくわかりました。 {/netabare} {/netabare}


『ゆめみる少女の夢を見ない』は2回観に行って、Blu-rayを買いました。今回は残念です。『ランドセルガール』に期待です。

投稿 : 2023/07/10
閲覧 : 202
サンキュー:

7

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

印象は小ぶり。中身は重量級

青ブタシリーズの一つとしては、TV版や劇場版のボリュームと比べるとやや小ぶりな印象です。

でも、じっくり鑑賞すれば、今までにないバリューに溢れていたと私には感じられました。

良いレビューも上がってきていますし、もっと多くの方に観ていただければと思っています。



私の視点は、「そもそも進路って誰のもの、何のためのものだろう?」ということです。

もちろん、答えは「自分のもの」に決まっているわけです。
進路の選択肢も、目的や、学力や、経済力に合わせてなど、それなりに舵取りや段取りがあります。

そうは言っても、思春期症候群と謳ってきたシリーズの劇場版です。
外面に捉われるだけではなく、内面に深くアプローチすることにピントを合わせるべきなんじゃないかなって思っています。



ご存じのとおり、花楓は中学は登校していなかったので、学力に不安があるわけです。
なので、受験にどう対策するのかっていうのが、とりあえずの流れなんですね。

その意味では、学力のある周りの人たちが、花楓の言質に尽力するのは当然のこと。
劇中では、それが十二分に表現されています。

加えて、かえでノートには「お兄ちゃんと同じ高校に行く」と書いてあるわけで、そこは花楓もしっかり読んでいるはずです。
当の花楓も、退院のころに「学校に行きたい」って咲太に自分の気持ちを伝えています。

これって、花楓には、二人ぶんの心理的負担になっているんですね。
普通の受験生より、二倍しんどい進路選択なんです。

となれば、今はもういないかえでに、どんな気持ちで折り合いをつける花楓なんだろう。
そんな花楓の心因に、どんな立ち居振る舞いをする咲太たちなのだろうか。

思索を進めていくにつれ、そんな思いが必然として生まれてくるんです。



青ブタのコンセプトが「心的ストレスに削られた自己肯定感の再獲得に試行錯誤する物語」と捉えるなら、その中心にいた咲太たち全員が、花楓にも、かえでにも、心を寄せることはいつだってできます。

ただ、花楓自身は、自分にではなく、かえでという人格に尽力してもらっている感覚がどうしても拭えないのですね。
なぜなら「お兄ちゃんと一緒がいい」という目標は、かえでが過ごしてきた時間の延長上に設定されているものだからです。

花楓にすれば、かえでの時間軸は、そもそもからして知らないもの。
咲太たちの尽力にも、花楓になのか、かえでになのかみたいな温度差を感じてしまうし、同時代性を少しも共有できない花楓なんです。

花楓には、渦中に巻き込まれた最初の記憶はあっても、過日に積み上げてきた目標は、かえでのものなんです。
咲太たちが関わってきたのは、花楓の知らないかえでの日常であって、火中の栗を拾うのは、かえでの思いに縛られた花楓なんですね。

花楓が救われないのは、そこなんです。
過去を共有できないことは、結局、一人きりなんです。
花楓にとって必要なのは、"兄と同じ学校に向き合う過去" なのではなくて、"新しい進路に結びつけるビジョン" なんですね。



本作には、そんな花楓を支援するキーパーソンが複数登場するのですが、評価ポイントの一つがそこにあると思いました。
 
人が自分のものとして感じる動機のことを "内発的動機" と言います。
「兄と同じ高校へ」は、かえでの動機ではあるけれど、花楓のそれに値するかと言うと、果たしてどうなんでしょう。

かえでは、もうどこにもいないのです。
花楓には、その事実だけが、真実の実感のはずなのです。
かえでの動機としての "あの目標" は、花楓の内発的動機とは同期しないし、"外発的動機" にも同調しようがないんですね。

なぜって、かえでの目標は、花楓の自己決定ではないし、かえでが行きたいその場所は、花楓の有能感(頑張れば自分でもできるという感情)に結びつくかどうかは分からないからです。


本人でも、なかなか気が向けられない。
本人以外なら、なおさら気づきにくい。

そんな二つのモチベーションを、誰がどんな立場で受け止め、どんな言葉で押し出していくのか。

その働きかけが示されることで、オリジナルの "内発的動機" を探せるようになるし、自分ファーストな "外発的動機" にも向き合える花楓なんですね。

人の気持ちのありようをしっかり練りこんだシナリオだと思います。
ぜひ劇場でご覧になっていただき、体感していただければと願います。



もう一つのポイントは、花楓が選んだ自分の本心。
いいえ、その決断にこそ、注目していただきたいなと強調しておきます。

花楓が、かえででなく、花楓を選ぶということの意味。
そのプロセスを、花楓がどう作り上げてきたかということの価値。


私は、本作の魅力をそこに見つけています。
花楓だけじゃなく、多くの子どもたちが学んでいる場所がある。居場所がある。

花楓の選択肢で、そこに光が当てられたこと。
彼ら彼女らが、世の光と輝けるビジョンとポジションが、この世界には存在していること。

それを示してくださったことに、私は驚き、そして感謝しています。

侮れません。青春ブタ野郎!

P.S
{netabare} ネットを介してのイジメが、私たちの巷にも溢れています。

フィクションの世界として、花楓の選択肢に影響を及ぼしたことを思えば、リアル世界との境界線やハードルも、年々小さくなっていくのかも知れません。

案外、この先、近いうちに、アバターやそれに類するものにも、人格権が付される時流が押し寄せて来るのかもと思います。

誹謗中傷が、触法行為として、権利侵害の賠償責任を問われる時代が来れば、咲太はきっと立ち向かうでしょうし、花楓のような事案も減るのかも知れませんね。

ネットにも、リアルにも。
{/netabare}

投稿 : 2023/07/05
閲覧 : 191
サンキュー:

13

ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

今の私と前の私

人気作品の劇場版作品ですね。
これは前回の「夢見る少女」が良かったので今作も見に行こうと思いました。

さて、今回は、かえでちゃんのお話。
題材は皆さんも経験がある受験。

物語の序盤である、咲太と麻衣さんの2人のイチャイチャなやり取りが楽しいです。
やはり咲太よりも1枚も2枚も上手な麻衣さんw
こう言う冗談が言えるやり取りが出来る恋人関係っていいですよね。

さて、「お兄ちゃんと一緒の高校に行きたい」と言う、かえでちゃん。
けど、彼女の成績では、それは難しいと話すスクールカウンセラーの先生。

ただ、この先生はスクールカウンセラーとしては現実的な話をするけど、個人としては、かえでちゃんを応援してあげたいって気持ちは凄く伝わる優しい先生。

で、そんな、かえでが希望の高校に入れる様にと、咲太、麻衣、のどか、が勉強を教えてくれる。
周りのサポートが頼もしすぎる。
そんな皆の気持ちに答えようと必至に勉強を頑張るかえでちゃん。

けど、受験の日に同じ学校の人と目があって体調不良になってしまう。
連絡を受けて心配する咲太の表情は本当に心配そうでしたね。
凄く不安と焦りと心配が入り交じっていたのかな?
不機嫌に人差し指で電車の窓をコツコツするシーンは印象的。

そこで、彼女が咲太と同じ学校に行きたい理由が明かされるのですが…………

それは彼女の悩みでもあった。
「お兄ちゃんと同じ高校に通いたいです」は前の……今は消えてしまった、もぅ1人のかえでの気持ち。

それは今のかえでの気持ちではありませんでした。
そして、彼女は悩み続けいた「皆、前の私の方がいいんでしょう」

アニメでさ、咲太は妹が戻った時にビックリ……いゃショックな顔をしてた様に見えたんです。
多分、その顔を、かえでは気づいていたのかな?
そして時々、寂しそうに自分を見る兄の視線にも……

それを知った咲太の顔が怖くなったのは、自分への怒り……妹の言葉を完全には否定出来ない自分、妹にそんな悩みを抱えていた事に、悩ませていた事に気づけなかった自分の不甲斐なさ。

後に咲太は、前のかえでが消失したのは泣くほど悲しかったけど、元のかえで(今)が帰って来て嬉しかったんだと言います。
多分、その涙の半分は悲しみと嬉しさだったのかな?と思います。

前も今も彼女は彼女である事は間違えなくて……
2人が入れ替わっていた時の記憶はなくて、別人格だったのかもしれないけど、多分本当にどっちが良かったとかじゃなくて、かえではかえで、妹は妹、なんだと思います。

かえでは「全部、前の私がくれたんだよ」って言っていたけど、それは違う。
麻衣さん、のどか、と先に出会ったのは前のかえでが先だったかもしれないけどさ。

視聴者には解る。
咲太や麻衣やのどかも、前のかえでを大切にしてたけどさ、皆、今のかえでも同じくらい大切にしてるよって思いました。

多分、かえでの立場は複雑で色々心配になって不安になるし、少しの事でも「前の自分の方が良かったんじゃないか」「自分は好かれてないんじゃないか」とか考えちゃうんだと思います。

だから、お兄ちゃんの本当の気持ちを聞かせて貰えて、安心したんだと思います。
「そんなの言ってくれなきゃわかんないよ」って泣くけど、そうだよね。

言葉にされなきゃ何も伝わらないし解らない。
言葉にされなきゃ不安にもなるよね。
だから言葉にして貰えて良かったね。って思いました。


で、結果、かえでは高校に受かります。

彼女は最初、先生の提案で、他に通信制の学校もオススメされてましたが、彼女は乗りきではありませんでした。

何故なら、前のかえでの「お兄ちゃんと同じ学校に行きたいです」その夢を叶えてあげたかったから、自分の気持ちより優先してあげたい、消えてしまた自分に、今の自分が叶えてあげられる願いだったから、頑張った。

彼女が通信制の学校に行きたくない理由は、もぅ1つあって「皆と一緒がいい、違うのはかっこ悪いから」ってセリフですが、そうした考えもあったのかもしれない。

実は、私はその逆で皆と一緒は嫌なんです。
よくお母さんにも「皆もしてるから」「皆と同じ物がいいんじゃない?」と言われてましたが、私は自分だけって言う特別感が欲しい人なので、かえでちゃんの言う「皆と一緒」は解らなくて。
皆と違う事も、しっかり楽しいし面白いと思うしそれは個性ですし恥ずかしい事じゃないです。

で、かえでちゃんは最終的に高校合格を蹴って、通信制の学校を選ぶ。
それは彼女が選んだ道。
自分で学校の様子を調べて、聞いて、相談して考えて彼女自身が選んだ事。

前の彼女ではなく、今の彼女が選んだ事。
前の彼女はきっと拍手して頑張ってくださいって背中を押して喜んでくれると思う。

だってそうでしょう?
今のかえでが前のかえでの気持ちを大切にしたように、前のかえでも今のかえでの気持ちを大切にしてくれると思うから。

作中で咲太が「通信制の学校の印象が変わった」って話してましたが、私も変わりました。
前に、通信制の学校に通ってた子が居て、話を聞いたら課題をして、月に数回の体育への参加とテストや遠足などもあるってパッとは聞いて居たんですが、この作品をみてよりイメージしやすかったかな?と思います。

結構楽しそうだと感じたし、パンツを履かないアイドルも居るし最高かもしれませんね。
え?何ですか?
咲太君の感想ですよ?w

さて、次回の劇場版は「ランドセル」ですね。
麻衣先輩の小学生時代……
この劇場版でも映画の前後に前降りを入れてます。


麻衣先輩の過去にある何かに関係するのか、理央の言うように咲太がブタ箱にぶち込まれる前兆なのか……
「青春ブタ野郎はブタ箱から出る夢を見ない」が始まらないことを願いなが2023年秋を待ちましょうか。

さて、今回の劇場版の兄と妹の絆が良かったです。
かえでちゃんは麻衣さんから、ノートパソコン、マフラー、コートなど貰えて羨ましいですね。
私のお兄ちゃんに彼女が出来たら麻衣先輩の様に沢山物を貰えるといいなぁ〜

誰ですか!今セコい奴と思った人は!
大丈夫です。
私には兄は居ませんからww
私の妄想でしたww

まさか妄想でレビューを〆る事になるとは……

投稿 : 2023/07/02
閲覧 : 92
サンキュー:

11

ネタバレ

チョモマンマーン さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

良かった

久しぶりに青春ブタ野郎シリーズを鑑賞しましたが、特に派手な展開が無い中で、間延びすることなく自然と作品に没中できるが良かったと思います

投稿 : 2023/07/02
閲覧 : 73
サンキュー:

1

nobu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/11/10
閲覧 : 3

チャリア さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/10/04
閲覧 : 1

ぞろ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/09/18
閲覧 : 3

ぱぴよんX さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/09/18
閲覧 : 4

電光 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/08/26
閲覧 : 4

1 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/07/07
閲覧 : 5

みやこ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/31
閲覧 : 6

HJRPV00916 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/22
閲覧 : 7

B.O. さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/05/12
閲覧 : 8

kuroneko さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

投稿 : 2024/04/14
閲覧 : 7

ヤギ5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/04/07
閲覧 : 9

神城 悠 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/03/27
閲覧 : 11

りゅう さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/03/20
閲覧 : 9

けろっぴ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/03/18
閲覧 : 9

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/03/06
閲覧 : 13

Ricky さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/27
閲覧 : 11

id さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/26
閲覧 : 16

なるせ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/23
閲覧 : 10

苛性ソーダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/17
閲覧 : 12

ニキータフルチショフ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/01/23
閲覧 : 11

サンジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/01/18
閲覧 : 11
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青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ないのストーリー・あらすじ

高校二年生の三学期を迎えた梓川咲太。
三年生の先輩であり恋人の桜島麻衣と、峰ヶ原高校で一緒に過ごせる学生生活も残り僅かとなった。
そんななか、長年おうち大好きだった妹の花楓は、誰にも明かしたことのない胸の内を咲太に打ち明ける。
「お兄ちゃんが行ってる高校に行きたい」
それは花楓にとって大きな決意。
極めて難しい選択と知りながらも、咲太は優しく花楓の背中を押すことを決める。
『かえで』から『花楓』へ託された想い。
二人で踏み出す未来への物語。(アニメ映画『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2023年6月23日

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