ひっく さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日本チューニングされたハリウッド映画
ブレートランナーはもちろん、AKIRA、カウボーイビバップ、攻殻機動隊などの諸アニメ作品の影響の先に産まれた自然なハードボイルドSF作品。貧しいながらも頭脳明晰な少年が、母の死をきっかけに徐々にサイバーパンク世界のギャングの道に足を踏み入れていく話。軽快なカット割りとドラッギーに練られた作画が常に気味良くて心地良い。淡々と綴られていくエモーションはスカしているとも捉えられそうだけど、現代のバランスとして最適な格好良さを感じる。
多国籍感がある舞台設定だけど基本的にアメリカを下敷きにしている雰囲気で、今日本人が観たいハリウッド映画をアニメで表現しましたという趣が強い。洋画的だけど、日本人が洋画に感じられる文化の違いによる受け入れづらさはオミットされ、まさに日本人が違和感なく熱狂できるハリウッド映画というバランスのデザイン。凄く観やすい。
日本のアニメ文脈では長らく陰キャ・ナードな男性キャラが主人公として覇権を握っているが、現在アニメは非オタク層に広く浸透してきており、かつてであればアニメを観ずにドラマや実写映画に熱中していた層にも正確にチューニングを合わせている。この作品が注目されることは、アニメにおける男性主人公のナードからの復権も予感させる。
ストーリーの特筆はしないけれど、
最終回の余韻は大きかった......。