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「FLEE フリー(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
4
棚に入れた
15
ランキング
7902
★★★★☆ 3.9 (4)
物語
4.1
作画
3.5
声優
3.6
音楽
4.3
キャラ
4.0

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FLEE フリーの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ドキュメンタリーをアニメ化する意義と可能性

【物語 4.0点】
事実を元にしたフィクションではなく、ドキュメンタリーのアニメ化。

題材は旧ソ連のアフガン侵攻~撤退後も続いた内戦の混乱からデンマークに逃れて来た
難民の青年・アミン(仮名)の半生。

が、これを実写でやるとなると、不安定なアフガン情勢等により、大きな問題が2つ生じる。

①取材対象者の身の安全が保証できないこと。
加えてアミンは同性愛者でもあり、イスラムの戒律、世間体の面でも実名顔出しは躊躇される。

②特にアフガニスタン国内ドキュメントが、
政情的にも、物理的にも、撮影、再現不可能であること。

本作はアニメという仮面により取材対象者の匿名性を確保。
考証に基づいた作画により、喪失しかけた記憶をも再構築し、
実際に撮影できた素材を元にした映像との間を自在に行き来し連続させるアニメーションの力。
これにより実写で制作困難なドキュメンタリーを再現するという難題と新境地に挑む。


物語というより取材成果として挙げたいのは、
難民を長期視点でドキュメントしたことで見えてくる側面。
短期的に野次馬的に難民を憐れむだけで、後は忘れ去ってしまうことの残酷さ。
よく象徴的だと言われるのが{netabare}恵まれた先進国の観光船から興味本位で撮影される難民船{/netabare}のシーンですが、
私は{netabare}ロシアにて北欧への密入国待ちで身動きが取れなくなり、
メキシコのドラマ観るくらいしかやることがなくなった{/netabare}
難民の待つ時間の長さ、人生が停止する絶望感を炙り出した点も秀逸だと思いました。

昔、難民キャンプに向かって、暇そうにしてないでチョットは働けば良いのに
と新聞コラムで毒づく作家がいて、私はソイツのことが大嫌いですが、
本作を見て、やはり実態を分かっていないんだなと再認識しました。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・Sun Creature Studio(デンマーク)

動画のクオリティ自体は低め。
枚数不足のせいか人物の動きもカクつき気味。

が、本作が重視するのは表情描写、美術、プロップデザイン、映像演出等によるリアリティ追求。
例えばアミン青年を取材したインタビュアーは、
対象に横たわらせ目を閉じて、じっくりと記憶を呼び起こしてもらうという手法を用いますが、
その"撮影過程”をもアニメーション化することでドキュメンタリー感を醸成。

その上で、記憶の再現シーンでは、当時のニュース映像など、
適宜、実写動画も挿入し、証言に迫真性をもたらす。

一方で、爆撃シーンなどトラウマとなる描写はモノクロタッチで抽象化。
これらはアミンの心象風景として活用される。
その有用性が発揮されたのが、{netabare}アミンが密入国したデンマークの空港で嘘を交えて難民申請するシーン。
これまでの体験の悲惨さもあって、嘘泣き演技が思いの外うまくできてしまった件。{/netabare}
トラウマのフラッシュバック映像が、その時の心情に説得力を持たせていたたまれなくなります。


【キャラ 4.5点】
主人公というより取材対象者のアミン青年。
難民かつ同性愛者。マイノリティの立場が重なり沈む一方かと思いきや、
同性愛者であることが時に個性として一服の清涼剤ともなり得る意外性。
{netabare}密入国トラックの荷台で同乗した男の子への恋。
親族に同性愛をカミングアウトした夜に、兄に放り込まれた初めてのゲイクラブ。{/netabare}
悲惨な状況下でも青春は確かにあります。

アミンの心を開いた親友など温かい人物との出会いもあるが、
人間を貨物と割り切る密入国業者など、人はここまで冷たくなれるのか?との衝撃が上回る。
ソ連崩壊直後、価値観がぶっ壊れた混乱期、ロシア警察も腐敗度合いが底なし。
{netabare}金があれば見逃す。無けりゃ身体で支払いな。{/netabare}
ここまで明確な悪党はフィクションでも中々いない。おそロシア。


【声優 3.5点】
字幕版を劇場鑑賞。

外国語演技の巧拙は判定できないので基準点と行きたいところですが、
インタビューシーンと回想シーンの連続性などの貢献度は確かに感じたので、そこは加点要素。


【音楽 4.5点】
劇伴担当・ウノ・ヘルマーソン
アミンの人生を反映して、全体的に哀しげな弦楽、ピアノが続く重苦しいムード。

それだけに作品内の時代を彩ったロック、エレクトロの挿入歌群が眩しい。
どんなに権威主義的な体制が民衆を抑圧しても、
難民が落ち着いて暮らせる地に一向に辿り着けない苦難の中でも、
音楽は国境を難なく飛び越え少年アミンの携帯カセットプレイヤーの中に入り込み青春の1ページを刻む。
またしても音楽の力を思い知らされました。

投稿 : 2022/07/11
閲覧 : 474
サンキュー:

16

ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

剃っても髭の濃い青年?身の上話

 これはイケメン上腕二頭筋美の若者の水泳を舞台にした「Free!」ではありませんです。

 これは「FLEE」、アミンという男性の1970年代を舞台にした、生まれたアフガニスタンから家族で密入国亡命をしてきたこと、自分がゲイと呼ばれる同性愛者であることを告白する身の上話をインタビュー形式で、ドキュメンタリーに度々当時の実写を織り交ぜながら進めていったお話だったです。
言葉がいろいろな言語で、よくわからない字幕アニメです。

 現代に想像つかないアミンの波乱万丈な人生を生々しく描いていて、面白いというよりこんな事があっていいのだろうかと思いたくなる内容に思えたです。
 やけに多い実写が、現実のものでアニメとかけ離れたように見えたです。多くの人に受け入れられる内容に思えないようにも見え、地味でつまらない退屈だと思う人もいるかもしれないです。

{netabare}  アミンが生まれた当時のアフガニスタン。父親も連行され、また戦争に若者を駆り出す環境です。アミンが母兄弟とロシアに亡命する過程も衝撃的だったと思うです。
 ロシアに着いたら着いたで、自由に生活することが困難で外に出れば警官に身分証の提示を強制的に求められ、お金を渡せば見逃すという環境だったです。
 数年後、密入国の協力者を通して単独デンマークに亡命するなど、幼い頃から過酷ともいうべき道のりがある意味すごきと思うです。

 更に数年、運命の人に会い共に生きることになり、アミンがようやく開放されたような気がするです。
 再開した肉親に対して自らゲイであることに対する告白は、当時今以上に受け入れづらいものであったはずでしたです。でも寛大にもそれを認め、アミンを受け入れる案内をしたところに人間味を感じられたです。{/netabare}
 でもやっぱり、面白いというのと違うと思えるです。

投稿 : 2022/06/15
閲覧 : 176
サンキュー:

4

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/07/05
閲覧 : 45

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/06/10
閲覧 : 50

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FLEE フリーのストーリー・あらすじ

故郷とは、ずっといてもいい場所

アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、
幼い頃、父が当局に連行されたまま戻らず、
残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。
やがて家族とも離れ離れになり、
数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、
30代半ばとなり研究者として成功を収め、
恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。
だが、彼には恋人にも話していない、
20年以上も抱え続けていた秘密があった。
あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、
親友である映画監督の前で、
彼は静かに語り始める…。(アニメ映画『FLEE フリー』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2022年6月10日

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