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「すずめの戸締まり(アニメ映画)」

総合得点
77.8
感想・評価
275
棚に入れた
1010
ランキング
595
★★★★☆ 4.0 (275)
物語
4.0
作画
4.5
声優
3.8
音楽
4.1
キャラ
3.8

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すずめの戸締まりの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

まにわに さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とおりゃんせ

 
{netabare}地震を止めているが、実際は用心しかできないので戸締り。
なので閉じ師の設定がすべてであり、設定以上にはならないから、設定を積み上げての本題は終盤からで、忘れたつもりでも燻っているトラウマの戸締りというお話。
通学で坂道を下って、帰り大変だなと思ったのがまさに行きはよいよいで、この印象が残ってか、帰り難く帰らない方向で見れた。
鈴芽が一度死んでいるのが、自身を顧みない行動原理にする以外に意味があるとまた違ったのだろうが。
セカイ系を警戒して、そうでない見方をしたいのだが。セカイ系はだいたい閉じた狭い世界でやるものだが、日本を東進する一方通行に見えて、始めと終わりをくっ付けて閉じた世界にしてしまった。
やはりセカイ系か...

引っかかったのが、扉ごとに要石があるのかと思ったこと。
原因は、そう言ってることと、ネコ型のドアストッパーに見えること。調べてみると要石が固有名詞みたいなものなので、説明不足と、こちらの勉強不足でもあるが。
本物の要石は巨大な岩が地面の下に隠れているから、地震⇔要石⇔トラウマでつながるが、これが猫になると地震を表す力はない。終盤まで、地震を起こす側、止める側でやっているが、このどちらもないとなると、残るのはトラウマをどう表すかだけ。
これなら、このループが仮想の心象表現でも通ることになり、草太が津波から助けてくれたボランティアで飛び回っている今の父親であったとしても成り立つ。
この根拠となるのが、埋めた経緯の見えない綺麗な日記となる。
超紐理論も絵空事な・・・{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
閲覧 : 43
サンキュー:

1

haruto さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2024.6.2

2024.6.2

投稿 : 2024/06/02
閲覧 : 50
サンキュー:

1

ネタバレ

Mi-24 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

主人公「岩戸 鈴芽」が不快で嫌な奴

「過去のトラウマに区切りを付け、新たなスタートを切る」
これが素直なこの作品のメッセージだと思う。


しかし、主人公の行動は終始
「草太さん!草太さん!草太さん!」
こればっか。

主人公の「岩戸 鈴芽」は道で偶然すれ違ったイケメン「宗像 草太」をロックオン。

その後、鈴芽は草太以外の事を考えなくなる。


「お気に入りのイケメンが手に入るなら、それ以外はどうなってもいい」
鈴芽はこの考えを思ったり口に出すだけでなく、実際に行動で示すから凄い。


分かっているのは「数万人が死ぬ大災害が起こる」こと。
その後、事態を収拾できるかは不透明でよく分からない。
この状況で鈴芽は、なんの迷いもなく大災害を起こして草太を入手する選択をして、要石「草太」を引き抜く。

視野が狭くなんの責務も負っていない女子高生だから仕方ないかも知れないが、岩戸 鈴芽は恐ろしく自分勝手で嫌な奴だ。


可哀想だったのは先代の要石の「ダイジン」。
劇中で要石は「場所や要石自体も時代によって変わる」と言っていた。

要石「ダイジン」も、要石になった草太がそうだったように、自身が望んだ訳ではなく成り行きで要石となり、人々を守る為に何百年も責務に耐えてきたのかもしれない。

相手の立場を一切考えずに自身の都合だけで行動する、鈴芽のダイジンに対するふざけた態度といったら...



私には「岩戸 鈴芽」が
「震災の呪縛に捕らわれていたが、“恋”によって未来に前進する女の子」
とは、とても思えず
「自己都合で大災害を引き起こすテロリスト」
にしか見えなかった。

これは好き勝手に振る舞う主人公のブレーキ役がいなかったのが原因だろうか?
岩戸 鈴芽の身勝手な性格も改善せず、全く成長しなかったのも始末が悪い。


不快で嫌な奴「岩戸 鈴芽」の思い通りになる結末で、見た後になんだかモヤモヤする作品だった。

投稿 : 2024/05/26
閲覧 : 89
サンキュー:

1

ネタバレ

いさ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

蟲師

最初は蟲師かと思ったら最後にニャンコ先生がでた 草
フェリー乗船券しらべるだろとか
スナック「はぁばぁ」労基方違反じゃね?とか
東の石が猫になったからミミズでたんじゃねとか
昔の自分に会うことに何の意味が?とか
ダイジン石にもどれるのじゃんとか
車公道走っちゃだめだろとか
君の名は。から世界系になったはんめん
話が複雑化してるから細かいツッコミドコロが多いのかと思った
でも今作で一番気になったのは以前の作品に比べ主人公
両方ともにチョロいこと。やっぱイケメンは強いのか
恋愛といえばおばさんに若いつばめが二匹できたので
最後取り合いになるかとおもったら、なんにもなかったねorz
あと、、、震災から時間たってるし、感動ものなので
大丈夫と判断したのだろうけど、中には思い出して
ブルーになる人もいんだろうなともおもた

投稿 : 2024/05/15
閲覧 : 57
サンキュー:

0

ネタバレ

大重 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

文句なしの高品質。日本だとなんか実在しそうな異能力

TVで視聴

なるほどさすがの高品質ですね。
新開監督は毎回一定以上面白い映画を作り続けているから凄いですね。

日本は地震大国ですし、地脈だの霊脈だの要石だのが普通に実在しているわけですから、閉じ師も普通にいてもおかしくない気がしてしまいますね。
そういう国のなので。

国家の一大事な重要な仕事なのに、一家系がほそぼそとやっているというのも、意外とリアルかも。
もちろんちゃんと国が管理するべきだと思いますが、こういう貴重な伝統技術だのが、人間国宝だのと認められれば良いですが、認められずに消えるに任せていることは多いですからね…。

いや本当にはいないよね? と調べちゃいましたが、似たような感想を持つ人は多いようですね。
閉じ師はクラウドファンディングで資金を集めるべきとかあって面白かったです。

きちんとハッピーエンドで終わるラブコメで、新開監督は悲恋が多い印象でしたがやっぱりこちらの方が受けが良いと見直したのでしょうか。
まあちゃんと子供を残してくれないと閉じ師が途絶えちゃいますからね。

とにかく良い作品でした。満足。

投稿 : 2024/05/02
閲覧 : 64
サンキュー:

4

ネタバレ

やん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

折り合いをつける

新海大先生の一般向けエンタメでした。作家性(キモさ)は極力見えないようにしながらも小出しにして視聴者に違和感を残す手法は巨匠の域に達していると思います。こんなすごい人やったんやなあ。昔の天才は人間生活が下手な人が多かった(それをよしとするまわりの風潮があった)んですが、最近の天才は世の中との折り合いをつけるのも上手でまさに完璧超人です。本作ではJKにケツで座られたいところが作家性でしょうか。多分ザーさんは今回もキモいなと思ったでしょう。

投稿 : 2024/04/30
閲覧 : 99
サンキュー:

2

ネタバレ

ふひょー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新海作品にハズレなし

気になってた人が突然いなくなったら、気が滅入るのも無理はないですね。
最後は自分が要石になる覚悟で救い出したのが本当にカッコよかった!!

次回作にも期待しています。

投稿 : 2024/04/20
閲覧 : 50
サンキュー:

1

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ロマンチック・スペクタクル

新海誠最新作にして集大成かつアニメ映画の一種の到達点。
これこそまさにアニメでやる意義のある物語。実写だとシャレにならん。

「君の名は」「天気の子」からさらに凄みを増した映像美。扱うモチーフから楽しいだけの映画ではないが、いつもの新海節は残しながらもハリウッド大作映画のような臨場感や緊迫感のある映像体験ができる。

悲劇の主人公に酔えるロマンチスト向けの初期作品から、作品を作るたびに段階的に大衆向けに寄せてきた新海作品だが、前作「天気の子」からさらに解釈の幅が広いつくりで酷評から絶賛までさまざまな解釈が許される。良く言えば余白が残され逆に言えばご都合ガバガバ。時を経て見れば解釈が変わる典型例のような作品。刺さる人には生涯の一本と呼べるレベルでブッ刺さる作品だと思う。

秒速こそ至高という古参ファンが嘆くのもまあわかる。振られたくらいで鬱だ死のうってなる自他境界がまだあいまいな発達段階の中高生にとってはセカイ系こそリアリティがあるもの。あの頃を忘れて棚に上げてる大人が見れば「きっしょ」となるくらい突き詰めて尖ってるからこそ、当事者のDTには凄まじいリアリティを感じて自分たちに寄り添ってくれる「俺たちの新海」となり得た。とことんまでやりきったからこそ初期作品は高い評価を受けたわけで、狭い界隈に向けてセルフコピーを続けても意味がない。

監督自身も精神的に成長して見せ方は変わってきてはいるが、貫いてきた新海イズムは決して失われてはいないことを本作を観て実感した。いくらキモいと言われようが新海誠の看板で作るからには決して譲れないものがある。キモいなんてことは新海誠自身が一番よくわかってる。わかってる上で貫いている。表立っては表明しないが見た目やイメージ以上に新海誠は批判上等の反骨精神を貫いてここまできている。スクリーン内のどのキャラクターよりもロマンチストな新海誠はいつになってもメルヘンでファンタジーな青臭くてこっ恥ずかしい理想論を堂々と力強く語っていって欲しい。こんなにも若者ゆえの身勝手な自己中さを正々堂々と正当化して肯定してくれる大人は身近にはなかなかいないもの。自分の自由解釈でこれが正解ではないが、めっちゃ雑に言うと新海イズムとはGoing My Way。そして本作は日本アニメ最高峰のひとつと言えると思う。言いたい。でも秒速はやはりキツい。ギリ言の葉かな。

聲の形も当事者からは非難轟々だったが、これも被災者の方は正直シンドイのかも。

投稿 : 2024/04/17
閲覧 : 83
サンキュー:

5

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これぞ集大成

個人的には日本アニメを再発見した「君に名は」を超える傑作。出世作を超える作品、なかなかものにするのは大変な事と思われますが見事成し遂げてくれました。制作サイドも喜んでいることでしょう。小隕石の落下、異常気象に次いで再び天変地異、地震を取り上げその危機に対処する姿をボーイミーツガールに絡ませる王道展開もバッチリはまっています。更に好みのロードムービーなところも素敵です。
 
 ただ、いきなり猫を追ってフェリーに乗ってしまい、運賃はどうするのって心配していた自分でしたが、今時はスマホがあればそれなりの金額は使えるようになっているのですね。なるほどって感じ。でもなあ、若い女の子がヒッチハイクで移動するって事をおしゃれな冒険的に描くのは少し嫌な感じですね。それで、次の展開につながる出会いになったりするので物語的には必要なんでしょうが。あと、椅子の脚が三本だったことの説明があると思ったんですがそれはありませんでしたがこいつが走り回る姿は傑作でありました。

投稿 : 2024/04/11
閲覧 : 120
サンキュー:

8

BLEU62 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

良作ですが、「君の名は」には届かない。

ロードムービーの要素がありますが、ご都合主義がまかり通りすぎ。
作画は文句なしです。

投稿 : 2024/04/10
閲覧 : 55
サンキュー:

2

ネタバレ

やまげん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

シンプルストーリー

テレビ放送されたものを視聴

見終わってみれば、物語はシンプルですっきりとした話だった。{netabare}簡単に言えば、災害の元となるミミズを抑え込んでいた要石が抜けて、閉じ師が代わりに要石にされてしまったから助けに行く、というような話だろうか

ただ、ダイジンが要石の役目を投げだそうとしたのはなぜなのかの説明がなかったのは残念だった。ダイジンは元は先代の閉じ師で要石としての過酷な役割から逃れたかった、くらいのストーリーはあるかと思っていたが、そんなことはなさそうだった。結局ダイジンは何がしたかったのだろうか

東日本大震災の現場に向かう駐車場で環おばさんが心情を吐露する場面は、サダイジンの影響があったっぽいが、サダイジンは環おばさんに影響を与えて何をしたかったのだろうか{/netabare}

話自体はシンプルなのだが、上記の部分が気になって、雑で浅い物語だなという印象は否めなかった

声優は、本職でない俳優が担当したわりには、意外と違和感がなかった

投稿 : 2024/04/07
閲覧 : 54
サンキュー:

4

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

作画は綺麗

テレビで見ました。
主役の声はかわいくて演技も上手くて良かったのですが、男役の声が最悪でした。CM中にキャスト検索したぐらいです。
他にも有名女優の方が声優担当されてましたがそこまで酷くなかったです。染谷くんと神木君はめちゃくちゃ上手くて全く違和感ありませんでした。ソウタ役だけ下手で台無しになってました。
新海誠クラスなら話題作りに俳優を使う必要はないのでプロの声優使ってもらいたいです。大人の事情か知りませんが俳優使うのマジでやめてもらいたいです。

作画は相変わらず異常なクオリティでした。
ストーリーは苦手な系統なのでそこまで面白いとは思いませんでした。
主役の声と作画だけ良いアニメでした。

投稿 : 2024/04/06
閲覧 : 69
サンキュー:

2

ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

激しく切ない心の旅<追記;地上波TV視聴>

はっきり断言します。
「すずめの戸締まり」は新海監督の現時点での最高傑作です。
美しい映像、迫力ある動きと音響、強いメッセージ性。
どれをとっても心が動かされました。

ストーリーとしては単純明快。
ただし、若干の謎や矛盾点はあります。
緻密な設定で物語を形作る新海監督のこと。
何回か観直したらわかるかもしれません。

{netabare}宮崎から始まり、愛媛、神戸、東京、そして最後は三陸と地震を追う旅です。
それぞれの地区にはそれぞれの地震があります。
日向灘地震、中央構造線地震、六甲断層系地震、相模トラフ地震+東京直下地震。
そして三陸は日本海溝連動型超巨大地震。

古来より日本では、これら地震が繰り返し起こって来ました。
日本人は、この地振るう現象を畏怖し悲嘆にくれました。
それを納得するため、これを地下のナマズの身震いのせいとしてきました。
ナマズの動きを止めるために各地に巨石を置いた日本人のなんと健気なこと。

極めて短い人の一生は、悠久の時流れの中では無力です。
しかし、何とでも生きようとする人の生命力は強いもの。
何度も何度も打ちのめされても、不死鳥の如く蘇ってきたのです。
それこれが人間、とこの作品は言ってるのではないかと思います。

最後に扉の向こうで見た常世の美しい風景。
その中ですずめの見たもの、感じたこと。
それは人の儚くも強い想い。
いわばそれが真の絆かもしれません。{/netabare}

<追記;地上波TV視聴>
{netabare}映画公開から1年半。
やはり、地震はどこかで起きています。
地球が生きている限り、それは未来永劫続くでしょう。

新海監督は人の道を肯定的に描くことに長けている。
例え悲劇が起ころうとも、前を見て歩くこと。
そんなことを教えてくれているように思います。

常世の綺羅星の下で蠢く禍々しいミミズ。
まるで、宇宙の静と動を司る。
現世の実相を体現しているような眺めでした。

眼を見張るような美しさの中に真実は内包される。
新海監督の世界を覗くたびにいつも感じます。
次の作品が楽しみです。{/netabare}

投稿 : 2024/04/06
閲覧 : 324
サンキュー:

28

ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

テレビで視聴。恋愛要素は入れないほうが分かりやすかった?

 24年4月今回円盤持ってるのになぜかテレビで見てしまいました。10回目かそれくらいだと思いますが、CM中に咀嚼が出来るのでまた違った感覚になるので良かったです。

 その中でちょっと思ったのが、恋愛要素がないほうがひょっとしたらテーマ性が明確になったかなあという気もしました。

 というのは、環さん→鈴芽への「うちの子になる?」と鈴芽→ダイジンの同じセリフを考えると、震災によって救われなかった子供、残された家族というテーマ性が浮き立つような気がしたからです。そして、最後の明日を信じるというセリフにもつなげるために、鈴芽の旅は自己救済あるいは家族為の旅か、恋愛目的でなくダイジンとの何かを解決する旅にした方が明確になったかなあ、と思いました。

 別に本作の価値を下げるわけではないですが、この作品の賛否が分かれる理由として恋愛の不自然さというより、恋愛が大きなテーマを見えなくしている気がしました。


23年11月レビュー

「かえるくん、東京を救う」のリメイクという見方が正しいかも

 最近、輪るピングドラムの劇場版「RE:cycle of the PENGUINDRUM」を見まして、そこで村上春樹氏「かえるくん、東京を救う」を探す場面がわざわざ追加されていました。それで本作を思い出しました。

 この作品は短編ですが震災文学の最高峰ともいえる話です。かえるくんが東京で起きるだろう震災を防ぐために地下で暴れるミミズと戦いに行く話です。まさに宗像氏のことですね。

 当然この本は何度も読んでいるので本作がオマージュしていることは意識していましたが、それどころか「すずめの戸締り」は同作のリメイクなのではないか?

 地震と戦う何万人の命を担う存在ですが誰からも知られない、そしてかえるくん自身も戦いは怖いといいます。でも彼は戦います。そこに「なぜ?」はありません。ただ、戦わなければならないと思うから戦います。つまり、宗像氏です。
 その大きな理由は、主人公のように善良な市民がいるからだといいます。悪い人間がいるのはわかっているけど、それでも主人公のような存在がいるから戦いに行く。だから、主人公には応援してほしいといいます。


 本当に震災と戦っている存在はいないでしょう。かえるくんというのは超常的なものと考えることもできます。文明の進化に対する警鐘としてかえるくんを忘れると地震は起きる、と。
 でも、もっと運命論的にとらえたほうが正しい気がします。ですので、本当はかえるくんでも震災は止められません。ただ、その場にいた震災に対処した人々、例えば自衛隊・消防・警察・救援活動に参加した善意の人たちや、率先して協力しあった人たちを思い出せばいいと思います。そういうモノの象徴でもあると思います。

 主人公は両親を亡くしており、弟と妹のために懸命に働きます。でも感謝もされません。これって環さんのことですよね?

 家族というか守るべき人がいれば、自分の人生を犠牲にしても守る。そこに不満がないわけじゃないし、もし、ということも考えてしまう。でも、それはそれで自分の人生だったんだと思うこと。これは是か非かわかりませんが、震災国の日本においては誰でも経験する可能性があることです。


 となると鈴芽という存在ですね。この子の意味がわかりづらくなりますが、この子は我々の象徴でしょう。震災孤児でもあるし、善良な大衆でもある。でも、いつ助ける側にまわるかもしれないということかもしれません。

 さらに「かえるくん…」の主人公の様に、そういう存在を知って応援する、つまり理解してあげる人なのかもしれません。知られずに死にに行く孤独にとって、応援してもらうことは単なる行為ではありません。
 そして鈴芽の存在は、そういう仕組みや存在を理解し、犠牲になった人を思いだす。それが「悼む」ということなのかもしれません。

 こうやって考えると本作の宗像氏や要石のダイジンなどに理由をつけなくていいことになります。彼らは震災と影ながら戦う運命を担った人であり、いつ自分がそうなるかもしれないという象徴でもあります。

 だから「かえるくん、東京を救う」は単なるモチーフやオマージュではなく、本作はそのリメイクという見方が正しいかと思いました。「海辺のカフカ」のモチーフもいっぱいあるのでやっぱりそっちも読み返して考えてみたいところです。

 23年11月。RE:cycle of the PENGUINDRUMを見て、また考えてしまい追記しました。



23年9月記載 東日本大震災後はどうやってテーマを語ればいいのか?

 円盤を買いました。映画は結果6回見ているのに、試しに見たら止まらなくなって7回目を本日見ました。
 小さな画面と音響だと、特に中盤の東京の場面が今一つですが、気になる場面を止めたり戻ったりできるのはうれしいです。

 何度も映画館に通った理由の一つは、この中盤10分程度の東京の場面を見るためです。私は映画史上もっともこの10分に心を動かされました。なぜかは言いませんが、あの場面こそが今この映画を見る大きな価値だと思います。


 本作を見て、やはりはっきりしているのは、東日本大震災以降新しい物語論が必要なんだろうということです。
 実存主義から構造主義、ポスト構造主義。脱構築。第2次世界大戦、安保闘争、経済成長、バブル崩壊、ウーマンリブ、フェミニズム。そういう旧来の文脈とは違った新しい作劇方法が、新海誠氏の3部作なんだろうなあと思います。
 宮崎駿氏の「君たちはどう生きるか」が問いかけてきたものが、既に古い感じがするのは、旧来の作劇法、過去の文学や映画その他を「教養」だと言いきってきた時代の作品に見えます。旧来のデータベース的な教養を語る不毛さが本作と比較すると感じられます。

 いまやコンテンツが巷に溢れ、教養の前提となる共通基盤が若い人ほどありません。となった時に、何をもってテーマ性を出すのか?というと、震災以後の日本の現状とAI・SNS等々がメインにならざるを得ないと思います。

 そして、メッセージ性は共通基盤が希薄な以上、暗喩やアナロジーではなく、感情の動きつまりエモさで表現するしかない気がします。
 もちろん、本作には宮崎駿氏のオマージュはあります。が、宮崎駿氏のオマージュは旧作劇法の否定=古い日本からの脱却を言っていました。つまり、震災前の老害ということです。ユーミンのルージュの伝言を初め、あの青年のオープンカーやタバコ、懐メロというノスタルジーが何を表していたのかは自明でしょう。

 村上春樹の影響は見られます。ここは氏が阪神淡路以降、文学と震災を融合させた唯一と言っていい存在だからリスペクトしたのかなあと思います。

 本作のストーリーについて批判はあると思います。いつ鈴芽は宗太を好きになったのか。行く先々で人に助けられるのはなぜ?など、いろんな指摘を見ました。中には鈴芽の体力が有りすぎだろうとかいうのまでありました。

 これらの指摘は、作中の時間の経過速度に対して事件の頻度が激しいのが原因かと思われます。鈴芽の東京までの旅が数日ではなく1か月なら納得感があるのではないでしょうか。まあ、3本脚のイスとどこかであったことが…から考えることもできます。

 それと、ミカンがなぜ転がったのか?雨が急に降ってきたのは?を考えると、鈴芽あるいは宗太が要石であるダイジンとの接触で「神性」を帯びたのでしょう。SNSで注目される、2人の行くところに人が集まるなども、超常的な要素です。

 そんな説明はメッセ―ジに関係ない部分なので「どうでもいい」と切り捨てた部分でしょう。それよりも、鈴芽が通った道筋は、南海トラフ、阪神淡路、東海道、富士山、そして東京と東北と、地震がいつ起こってもおかしくないルートだということです。
 そんな日本に生きているからこそ、災害で犠牲になった人を悼み、自分もいつ犠牲になるかもしれないという覚悟の元、人とは正直に誠実に利他の心で触れ合って行こうという話だったと思います。

 いま、考えるべきはなのは旧来の資本主義的な価値観での閉塞感に日本は苦しんでいます。その時代の価値観を持ち込んで日本は駄目だという映画を作っても仕方ないでしょう。
 ですが、震災後助け合う土壌は日本にはまだ残っています。であれば、新しい日本を作るためには、どうすればいいかを問いかけた映画だったと思います。

 震災文学、ポスト震災のアニメ映画。その視点をもつことが本作を観賞するポイントではないでしょうか。




以下、劇場公開中に書いたレビューです。
 
 結局5回見ました。最高に面白かったです。もう終わりそうなので考察を少々。

 もう公開も終わりそうな雰囲気なので、いろいろ考察を残しておきます。考察すべきではない感じる映画だと思っていましたが、読み取れる部分が多い作品だし、やっぱり自然と考察してしまいました。なので気が付いたところです。

ダイジンについて
{netabare} ダイジンですが子供ですよね。やせ細っていることから飢えて人柱になったのか、愛情のアナロジーなのかは分かりません。スキじゃないという言葉でやせ細るところを見ると、どうも母親の愛情に飢えていて「ウチの子になる?」で鈴芽になつくわけです。子供としてじゃれついていました。

 東北までの道のりですが、鈴芽を導いていたニュアンスがあります。つまり、鈴芽の子供時代が常世にいることを知っていて、鈴芽の魂を救済するために連れて行ったととることができます。
 鈴芽が死んでもいい、というのは半分常世に魂を置いてきているからだと思います。

 一方で、鎮魂ということを考えると鎮魂が住んでいない東北に大きなミミズがいるので、ダイジン、サダイジンとも東北に移動する気だったとも取れます。宗太のアパートで要石は移動している、というセリフがありました。
 本当は自分で要石として移動しようと思っていたら、思わず鈴芽に優しい言葉をかけられて、ああいう我儘になったということでしょう。
 鈴芽の子供になれなかった、つまり自分の誤解だと気が付いた。だけど、鈴芽からどこかに行けといわれたので一旦離れた。もともとの計画通り要石に自分でなろうということでしょう。ダイジンは本当は要石には戻りたくなかったんでしょうけど最後は鈴芽から優しくされて救済を得たことで納得したんでしょう。{/netabare}

サダイジンについて
{netabare} サダイジンが登場したときに、環さんに本音を語らせます。ということはサダイジンとダイジンの関係は、環さんと鈴芽の関係なのでは?と思います。要石としての先輩なのでしょう。サダイジンだけ巨大猫になれるこということはもう神になっています。ダイジンは子供でもあり成長中なんでしょう。自分の今のポジションに対する疑問があったのかもしれません。つまり鈴芽です。

 サダイジンは要石に戻るために東北に行くから協力してほしい、という感じでした。そして捕まえるときは厳しかったですが、ダイジンを舐め回していました。つまりサダイジンは環さんの側。子供がいない女性だったんでしょう。{/netabare}

鈴芽が宗太を好きになった理由
{netabare} 鈴芽が宗太をなぜ好きになったか、です。一つ目は四国につくときの「ドキドキする」というセリフです。つまり吊り橋効果です。閉塞した田舎にいた田舎娘が旅先でとなりにいた宗太を好きになる。
 イスであったこと。母親の作ってくれた大切なイスです。その姿をしているので愛着がわいた。
 あるいは温もり…温度について何度もセリフがありました。鈴芽は環に育てられたかもしれませんが、温もりが無かったのかもしれません。それで、初めての温もりに惹かれたのか。
 神聖です。ダイジンも宗太もSNSに非常に沢山アップされていました。宗太は不思議なのもありますが、人を惹きつけるという表現でしょう。それで鈴芽が惚れたのか。子供はどうも何かに気が付くようで神戸はもちろん新幹線の中でもガン見されてました。
 初めに「どこかで会った事が」というセリフがありました。母と間違った自分の横に立っていたのが宗太なのでどこかで惹かれていたのか。 {/netabare}

鈴芽はなぜ助けられるか
{netabare}  鈴芽がなぜ助けられるのか。スナックにも民宿にもなぜお客さんが集まったのかは、鈴芽が原因なのか宗太が原因なのか判然としませんが、助けたくなるんでしょう。ただし、ヒッチハイクは苦手なところを見ると危機になると助けたくなる、でしょうか。
 いろいろ考えられますが、アマノウズメ設定もあるみたいですので、神性が正解なんでしょう。つまり常世に言った事があるので、神聖を帯びているという意味なんだと思います。それは宗太がもてる設定とも重なります。{/netabare}

芹沢は捨てるものの象徴
{netabare} 芹沢は捨てるものの象徴でした。外車のオープンカー、懐メロ、タバコ、茶髪、そして宮崎駿。環さんの「いい先生になれる」というのは、そういう捨てるものを捨てれば中身はいいという意味でしょうね。宮崎駿は捨てるべきものの中に含まれています。{/netabare}


 鈴女の周りにいる2匹の蝶は本当の父母の魂なんでしょう。死んでもいつも見守っているということだと思います。

 結局5回みました。さすがに今後は円盤にします。それにしてもここまでレベルが高い作品を見せられると他の映画やアニメが退屈に感じてしまい困ってしまいます。
 キャラ、演出、テンポが最高でした。鈴芽はすばらしいキャラ造形でした。

 テーマ性云々は別にして、地震大国に住む日本人論としてこんなに優れているものはないと思います。なぜ、隣人に優しくすべきか。そして過去を悼むのか。それを深く考えてしまいました。
 未来に命が繋がる人は、明るい明日を信じて生きよう。残念ながら死んでしまった人たちは、ちゃんとその人を思い出してあげよう。日本に住んでいる以上はその覚悟を持つべきだと思いました。


4回目レビュー

 結局4回目見ました。キャラの魅力と面白さにやられました。

 また見てしまいました。RRR見に行ったのにふらふらとこちらに…結局4回見ています。2月にもう1度見に行くかもしれません。なぜこれほどまで心を掴まれたのか。

 震災とか廃墟とか鎮魂とか、そういうテーマ的なものを当初はいろいろ考えましたし重要な要素ですが、本作は映画の原点である「キャラの魅力」「面白さ」この2つにやられました。

 キャラは、この作品魅力的でないキャラが一人も出てきません。そして性格や言動と設定が極めて自然です。なので、ちゃんと演技していると思います。これは稀有な事です。ですので、ともすれば退屈になりがちな人間と人間が会話しているシーンがどれも本当によく描けていました。
 でまあ、やっぱり鈴女の魅力です。言葉にすると安っぽくなるので語りませんが、とにかくこのキャラは素晴らしかった。

 面白さは、スピード感、演出、無駄を省いた編集、幻想的な部分とリアリティの使い分け、映像美など映画としての要素がどれも素晴らしいです。特に中盤の東京のシーンの緊張感。これがいいですね。今まで見たどんなハリウッド映画よりも心理に訴えかけてきました。

 俯瞰すると、結局描いているのは「日本」ですよね。地震も廃墟も人の優しさも神も懐メロもすべてが我々が住んでいる国ですね。新幹線と富士山もそうです。
 なるほど「鎮魂」というのはそうかもしれません。いつ南海トラフや関東直下が起こるかわからない国土である以上、どこかが破壊され人が死んでゆく。だからこそ生きている人は…ですね。
 九州から東北までどこでも地震は起きます。作中旅をしながらそれを表現したのは素晴らしいと思います。

 映画の出来とスケール感という点では「君の名は。」なんですけど、面白さとテーマの重要性、キャラの魅力からいうと本作だなあ。

 なお、設定うんうんという考察をユーチューブでいっぱい見ましたが、ほぼ参考になりませんでした。ほとんど私が作中の表現で納得したところを上げ足とりしているだけでした。
 新海誠監督作品の設定は、すべて省略があるし無理な言い訳をしないのでおかしく見えるところもありますが、普通に行間を咀嚼すればそこに理由やバックストーリーが見えてくると思います。まあ、人それぞれなのでそれが気に入らないのなら仕方ないですね。それも一つの見方です。

 劇場アニメ映画で4回いったのは初めてかなあ。うーん。面白さでは過去最高…と言ってもいいかなあ。4回目でもまったく飽きませんでした。

 なお、原作読みましたが、ほぼシナリオという感じで深掘りや詳細設定等はありませんでしたね。それでいいんでしょう。映画は映画でその範囲で行間を読むべきでしょう。




1回目レビュー

{netabare} 初めの一瞬だけまた映像美かなと思いますが、すぐに完全に忘れます。新海誠ブランドということすら忘れます。とにかく展開につぐ展開で、びっくりするくらい面白かったです。
 誇張抜きで本当にあっと言う間に終わったという感覚ですが、後から考えると密度が濃いという感じでした。情報を完全にシャットアウトしていたのも良かったのかもしれません。

 映画館に行って良かったと心の底から思いました。多分今週…は無理でも来週くらいにまた見に行くと思います。

 で、いわゆる設定の考察を完全に封じる映画です。もちろんテーマ性の奥行きはありますが、それよりも「感情」の映画でした。たかぶる感情の先にもちろんテーマ性はありますが、この作品は見たときの感情、思考ではなく感覚的に何が頭をよぎったのかを大切にしたい映画だと思います。
 含意としてのメッセージやテーマはもちろん大いに考察すべきでしょうが、矛盾がどうとか、マネがどうとか、この設定は実は…みたいな考察はやるだけ惨めになるくらいの力強い映画でした。

 新海誠3作目の超メジャー作品で、ブランドありきでくるだろうなあという諦めというか、斜に構えて見に行った自分が恥ずかしくなるくらいいい映画でした。

 5点満点は思考停止でつけたわけでなく、これ以外ないと思います。まあ22年度…というかここ数年の映画の中ではNO1だと思います。

 完全ネタバレ封じをお勧めです。冒頭12分とか見る必要はないでしょう。私は見なかったのが良かったです。冒頭からワクワクしました。この先は閉じておきますので、是非、先に見てきてください。


 初見での第1次のひっかかりポイントです。今後、この作品を考える上でのメモ程度です。(当日考えたことを若干追記しました)

「すずめ」という名前ですが、これは日本で最近スズメを見なくなったという話があります。いつの間にか気が付かないうちに日本が変わっているのだ、ということかもしれません。
 また、すずめはありふれた人の象徴というレビューを拝見しました。たしかにその意味は大きいと思いました。

「しゃべるイス」ふたりのイーダという児童文学があります。これが原爆によって死んだ家族がモチーフになっていたので、椅子がしゃべった瞬間不穏な感じがありました。

「蝶々」です。これは喰霊ゼロでも出てきますが、魂の象徴です。2匹飛んでいるということは親のことでしょう。つまり、死者の魂=両親の気持ち、死んでも見守っているということだと思いました。

 神戸ですね。もちろん阪神淡路です。すずめが移動した、愛媛のあの尖った半島から四国を横切って淡路島のルートって、地下構造線があって、直下型地震が起きやすいとされているルートな気がします。

 ご都合主義のように、いろんな人が不自然にすずめを助けるように見えますが、これは震災の時の人のつながりを感じました。困っている人がいると助けたくなる日本の田舎に残る古い気質を表していたんでしょうか。初めはまあ、お話だからと思ってましたが、すずめが神戸に来た時にそういう無償の人助けの印象を持ちました。一方でスマホで写真を撮る場面も沢山ありました。

 旅の中でこの親切な人たちは親子の家族でした。そしてヒロインは叔母と2人。イスはお爺ちゃんと。いろんな家族の形がありました。

 廃墟は人口が減り、過疎化が進み、古い日本が死んでゆく。そしてその一方で、いつどんなときに大地震が起こるかわからない日本。人とのつながりが最後は大切だよ、というかとでしょうか。
 廃墟にも人の思い出が詰まっているというのも大事でしたね。廃墟をみて何を感じるのか。昔の人の想いを受け止める。それは「懐メロ」にも通じています。 
 大地震に至らなくても、大雨が降るのも不吉な何かを感じました。

 そして東京です。これは言わずもがな、ですね。のんきに暮らしていても大地震はいつでもきますよ、ということでしょう。
 東京は地下をいじくりまわしていますからね。その辺の意味もある気がします。神田川も確か大地震を起こした断層だった気がします。

「戸締り」は防災というのは短絡ですけど、心構えかもしれません。むしろ過去の自分に対する何かなんでしょうか。ドアを閉めないと不吉なものが…そして死者の世界かあ。次回視聴時の宿題にします。

 教師になるという夢と日本に夢を絶たれて石になってしまうというのも何かを感じました。日本を守る人が、教育者を目指しているというのもちょっと意味を感じました。

 おばさんの言葉ですね。愛情も憎しみも本音ということでしょう。コミュニケーションを絶ってはだめで、話をしようということでしょう。また、震災は犠牲者だけでなく、それを助けた人たちの中にも苦しんでいる人がいるということもあるのでしょう。

「懐メロ」ですね。80年代以前の音楽だと思いますが、ルージュの伝言はまあ宮崎駿に対するちょっと皮肉なメッセージなのか、あの魔女の宅急便のような牧歌的な少女の夢が見られなくなったという事なのか。
 まあ、それは考えすぎにしても、80年代の曲を聞いて、感動していた人たちがもうこの世にいない、という少しノスタルジックな気分になりました。
 阪神淡路が1995年です。そして東日本大震災が2011年。魔女の宅急便は1989年ですね。
 時代を超えて曲が愛されるということで、昔も今も同じ人間だよ、という意味もあるんでしょうか。廃墟の記憶とも重なります。

 とにかく日本の現実と過去の現実で、打ちのめされるくらい「つらい」感情を持ちました。ただ、その「つらさ」をどう受けとめ、今後訪れるだろう「つらい未来」にどういう心構えでいるのか、ということが「戸締り」なんでしょう。

 恋愛部分ですけど、ここも考えすぎかもしれませんが、滅びゆく日本の中に、男女でもっと恋愛しようよ、夫婦で子供を残そうよ。困っている子供に手を伸ばしてみんなで育てようよ。だって、人間だから、というメッセージも感じました。

 猫ですね。猫が愛情に触れると太り立派になり、悪意に触れるとやせ細ります。ここに人間の心の何かを象徴しているような感じはありました。神とはすなわち国土の意志と取ると、人間の心映えで国土の力が弱まっているという風にも感じられました。


 過去の自分に会いに行く。なんのオマージュとかは忘れましょう。それは重要ではありません。過去の自分に何を言いにいったのか。
 肝心なことを書き忘れました。一番恐ろしく、感情が動いたのが「黒く塗りつぶされたノート」です。ここが第1の嗚咽ポイントでした。(がまんしましたけど)もう、なんというか、真っ黒になった心…しかも子供の。この子供に対して、何を言えばいいのか。

 子供が繰り返し黒く塗りつぶすシーンがありますので、ここは子供の心が壊れて行く恐ろしさが一気に理解できました。
 そして震災の象徴である、あのビルの上の漁船の上の場面もありました。
 解答はもう少し考えたいですが、この昔の傷ついた自分に何を言いに行くのか。これは冒険の果てだったからこそ、おばさんと喧嘩し、恋愛したからこその言葉だったと思います。ここに「戸締り」の意味があるんでしょうけど、そこがピタッとまだ理解しきれてません。

 恋愛感情の持ち方の描写が弱いというレビューも拝見しました。これは「君の名は」でも言われたことだし、映画の作りとしてはもっともなご意見でしょう。
 ただ、私は新海誠氏は、好きになるプロセスより好きになった気持ちと行動を大切にする人なんだろうなあと思っています。そして、好きになるプロセスは自分なりの考えで補いたいです。

 船の中のでパンとジュースを買って2人で座っているシーンとかラブシーンとしては最高だったし、途中でイスにキスするシーンが見せてはないですけどありました。イスの上に立つシーンとかでちょっと恥ずかしくなりましたし。
 イケメン(死語?)に恋するのではなく、イスを好きになるというのもポイントでしょう。超美青年という設定はこのヒロインの恋心がルッキズムによるものではなく、純粋だという表現だと思います。
 初めは超イケメン好きだったのは冒頭でわかります。それがイスが好きになるプロセスで純粋さ(行動、使命、人柄、何より一緒に時を過ごす)を表すのに効いている気がしました。

 また、ドアというのは異世界とか時間を飛び越えるというのはありますけど、心の象徴ですから。2人で一緒に扉を閉める旅をしているということで…かつ、鍵をヒロインに預けるし、何より鍵と鍵穴が象徴するのは…もちろん相手はイスですからメタファですけど。

 イスがなぜ足が欠けているのかって、見逃したなあ。ありましたっけ?初めは障碍者を連想しましたが、むしろ家族が欠けるとか、心の何かが欠落しているイメージかなあ。次回確認します。

 要石とか、猫神とか、ナマズとかいろいろ調べようと思いましたが、そういう考察はやっぱり要らないかなあと思いました。


 ちょっと意地悪な見方ですけど宮崎駿氏ありますよね。魔女の宅急便とハウルの過去の部分とかみみずとか…オマージュかあ。

 廃墟=懐メロ=人々の記憶=宮崎映画=悼むもの?

 かなあ…



 とまあ、思いつくままのメモです。初見なのでまた追記するかもしれませんが。
 追記してもしても、書きたい事が出てくるので、2回目まで考えをまとめます。

 言い忘れました。映画館でなければ嗚咽してたかも。最後のスタッフロールが少しの時間ですが暗い画面になるのでハンカチを取り出せました。



追記 「岩戸」とパンフについて。

 配布のパンフは考察の邪魔。読まなくていいと思います。あるいは散々自分で頭を使ってから答え合わせをした方がいいと思います。そして、正解は作った側でなく、見た側だと思います。

 自分の受けた感動とか考えた結果とか何よりも感情を「正解らしきもの」で上書きするのが最悪な映画です。わかった気になって思考停止に陥る可能性を危惧します。

 そして、作品は制作者の手を離れればもう視聴者の判断にゆだねるべきものですし、複数のクリエータが時間をかけて作るものなので、個人の考えはそれが中心人物だったとしても参考でしかありません。
 制作するにも時間はかかるし、いろんな修正が入った結果、当初の意図を超えるのが「作品」です。
 何より、表現したいものは表現したようにしか現れませんが、表現した結果というのは個人の意思を超えるものなので、個人で作るコミック等でも例外ではないでしょう。
 ですので制作者が作品について語るのは見聞きしても放っておくのが一番で、自分の考えと感情を優先すべきでしょう。


 せっかくの名作なのに、余計な事をしてるなあ、というのが正直な印象です。自分で結論を狭めてるじゃん、という気がします。

 ほかのレビュアーさんを拝読して、岩戸ですからやっぱり意図としては当然「天岩戸」は関係あるみたいですね。

 岩戸という名前から当然連想はします。が「扉を開ける」は話でなく「扉を閉める話」だし、地震と太陽が隠れるというのが方向性が違います。モチーフというかイメージとして日本という国を守ると言う感じで単なる名前だけかなあと思ってました。

 ただ、そうか「黒いノート」の意味がそうなると分かる気がします。震災で「世界が暗くなった」=幼いすずめの心が黒く塗りつぶされたということなんですね。
 すずめが一般の人たちのメタファで、幼いすずめ=震災で傷ついた人たちと考えると、黒いノートの意味に背中がゾクリときました。
 そういう人たちは震災の時以来世界が真っ暗になったということでしょう。

 一方で、アマテラスオオミカミと幼いすずめがイコールだと思いません。なぜならすずめが救済のメタファになっているか読み取れないからです。もちろん、物語ですずめは扉を閉めて回る役割として、地震を防いではいますが、閉めると開けるはベクトルが逆の行為だし、そもそもそれはアメノウズメとアメノタジカラオの役割です。

 アマテラス=アメノウズメというのはちょっと無理があるかなあ。自己救済という意味ならまあわからなくはないですけど、地震=災害を絡めるとよくわかりません。

 ですので、みみず=震災を戸締りする=閉じ込めるという行為についてはもう少し考えたいです。これはやっぱり天岩戸とは方向性が違うので。

 すずめが過去の傷ついた自分を閉じ込めるのか、傷ついた世界から連れ出すのか。その結果世界が明るくなった…というにはミミズは退治したわけではないので、余韻としては地震がある国土に住んでいるという暗さが残った気もします。

 ここは岩戸という名前=「天岩戸」というフレーズに引きずられているところもあります。無理に天岩戸に重ねなくてもいいかなあという気はしました。
 あくまで今後起こる地震ではなく、東日本大震災からの救済だけの話なら、そろそろ岩戸から抜け出ようよ、という気もします。ただ、そうなるとみみずがなんのメタファなのか…東京のみみずはなんであんなに大きかったのか。
 東北のみみずの時、火が燃え盛っていましたが、あれは東日本大震災のイメージではなく、阪神淡路の光景です。

 岩戸かあ…余計な名前というか…うーん。やっぱり映画のテーマ性の考察はあまり余計な情報がないほうがいいですね。

 で、まあ、読まないようにしていたパンフを読んでみたわけですけど…うーん。大抵、クリエータってカッコつけるので、奇麗なことしかいいませんから。最終的には読み取れるもので判断した方が良さそうです。
 企画段階から話が変わったのか、あるいは大きなイメージだけは拝借した感じと捉えたほうがいいのかなあ。正直、読まなければ良かった気がします。
 別に映画の出来の良さに変わりがないのだから、語らなきゃいいのにと思いました。そして結果的には、やっぱり天岩戸と本作を無理に重ねなくても、読み取れるものだけ読み取ればいいと思います。

 イスが3本脚の理由もまた震災で傷ついたということでしょう。震災で壊れたんですね。そういえばイケメンは宗像姓かあ…宗像神社でしょうか。たぶん古い神社だから何かのメタファなんでしょうけど。
 草の字をわざわざ使ったのは、草薙剣かなあ。三種の神器だし「家」というフレーズから考察できなくはないですけど、不遜な答えになるので止めておきましょう。こういう設定考察は時間の無駄でしょう。
 やっぱりこういう名前からは「イメージ作り」だけで、物語と重なる部分が少ないかなあ。

 ただ、やっぱり彼が手力男というのはちょっと無理があるかなあ。



 追記 そうかあ、アナロジーでいうなら海辺のカフカ(村上春樹)ですかあ…他の映画のレビューサイトで見ましたけど。うーん。ありえるなあ…すっかり盲点でしたね。四国ですもんね。何よりもっと大きな意味でメタファを感じますね。それに気が付いたからと言って、上で書いた感想もレビューも変わりはないんですけど、天岩戸と言われるよりも、納得感があります。「海辺のカフカ」は「入り口の石」を「開けて閉じる」に「猫としゃべれる男」がでますからね。それに主人公というか母親は昔の辛い記憶の世界に入ることで救済を得ますから。昔の辛い出来事を記憶する。それが悼むということ、そして前を向こうと言う話です。何より「海辺のカフカ」とは絵画ですから=映画と考えるとまた一段と面白いと思います。

 確かにオマージュを感じます。設定を考察してもしょうがないとか言いながらも、このアナロジーに気が付いたのに感心してしまったし、考えるヒントになるので、追記しました。 {/netabare}



2回目視聴しました。一旦レビューはこれくらいにしておきます。

{netabare} いやー2回目はつまらなく感じるかなと思いながらも早々に再視聴。1回目より面白いのはなぜでしょう。

 話の結末が見えていると、カットカットの意味がなるほどということもちろんあります。展開が分かっているので安心して見てられるので、話の面白さがより味わえるのでしょう。とにかくエンタメとしての面白さを再認識しました。まず、これがすごいです。

 東京のシーンの出来は2回目見ても鳥肌でした。カットわり、演出、音楽、効果音すべてが最高…つまり最高に恐怖を感じました。モンタージュ効果というやつでしょうか。


 で、結局なにを感じたかというまとめです。上で書いたものはその通りでいいんですけど、付け加えみたいな感じです。
 まず、人間普通に生きたいという気持ちがある。それは結果的に今生きている人間も過去に不幸にあった人も一緒です。震災大国日本に住んでいる以上は、誰でも不幸は起こりえることです。だから、生きている人は懸命に生きましょう、死んだ人々に想いを馳せましょう。

 それとやはり2匹の蝶々は両親でしょうね。いつまでも子供を見守っていると。

 そうなったときにダイジンです。要石の役割というのは、日本を守るための犠牲でもあります。つまり本当はやりたくない役目です。ダイジンはやせ細っていたことと愛情に飢えていたことから考えて、つまり、貧困の中で不幸に死んだ子供、飢え死にでしょうか…それも親がいない状態で、ということだと思います。だから、鈴芽にご飯を貰って優しくしてもらって、鈴芽の子供になりたいと思ったのでしょう。

 そして鈴芽の不幸な過去を救済するために東北に導いた、のかはわかりません。地震が起こる土地土地に導いて地震を止めていたとも取れます。また、過去から要石は場所を変えていたらしいので、そういうバトンタッチがあって、お役目を終えることができると言う風にも取れます。

 東の要石はどうなんでしょうね。親目線なんでしょうか。親の愛情が理解できない人の魂なんでしょうか。だから、おばさんの本音がわかったようにも見えます。西と東で大小があるのは大人と子供なんでしょう。

 映画の意味として、確かに悼むという意味とか、親から子へ次の世代への気持のようなものとか、もちろん恋愛やホスピタリティと言ったものは感じます。ですが、根底にあるのはやはり、どこか地震と災害があり、夢を犠牲にして日本を支える人がいる、みたいな暗さは感じました。

 ですので、2回目を見て、ますます天岩戸…そうかなあ、という印象でした。

 あと首都高の途中の階段を見て、1Q84でしたっけ?村上春樹を感じたんですけど、どうでしょう?海辺のカフカ…そしてかえるくん、東京を救う?

 ということで3回目も多分行くとおもいます。できれば貸し切り状態で1回見たいなあ。最高の映画でした。{/netabare}
 


で、見てから1週間で3回目見てきました。若干考察らしきものをメモしておきます。

{netabare} やっぱり本作は、映画としてエンタメとしての面白さがまずすごい。ストーリーは当然で、作画・背景美術はもちろんですが、展開、構成、演出・演技・カット割り、間、エフェクト、音楽、音響、効果音すべてが素晴らしいと思います。

 で、テーマ性なんですけど、まずは1つめ。「がんばって生きよう」かなあと思います。「死と隣り合わせだからこそ」「不幸にも死んでいった人がいるのだから」がある気がします。そこには「利他の喜び、感動」もあるでしょう。

 2つめが「親子」でしょうか。「育てのと産みの親」みたいな部分もあるでしょう。ですけど「親は子供を気に掛ける…心配」かなあ、という気がします。やっぱり2匹の蝶々ですね。あれが両親だと思いますし、ダイジンの過去を想像すると、親の愛に飢えた子供をどうしても連想します。環さんの表裏の愛憎もそうですけど。

 もう1つ。キャラの深掘りとしては、鈴芽の行動です。どうも彼女は死を恐れていないという感じ、それが衝動的な行動につながっています。これは、彼女の半身である幼い子供時代が黄泉の国に残っているから…ともとれます。死の世界に半分足を突っ込んでいた。

 それと環のキャラ弁ですね。あれを見ると環との関係が重かったんだろうと言うのが分かるし、後半のセリフでもいいます。心の底でどこかに逃げたかったんでしょうか。

 草太への気持は、一緒に旅をする吊り橋効果とも取れますし、過去に会った事がある、使命感に惹かれた、イケメン等々あると思います。最後の「おかえりなさい」で気持ちが残っていたかどうかはちょっと考えなくちゃなりません。半年時間を置いた理由です。まあ素直に待ち続けているとも取れるし、戦友的な「おかえりなさい」とも取れます。

 結局本来はダイジンと入れ替わるのは鈴芽ということでしょうか?ただ、ダイジンは好きになっから鈴芽と一緒にいる草太を代わりの要石にした?

 旅館とスナックに客が集まった理由は、鈴芽がいるから?鈴芽を助けたくなる理由と一緒?ここのアマノウズメ設定が活きるということ?ここは少し考えたいですね。
 岩戸の中にいたのが鈴芽の幼いころ=アマテラスだとすると自己救済だです。黒い日記帳に対して、明るい未来というのは、なんとなくそのメタファな気がします。
 鈴芽が震災で生き残った人の気持ち=黄泉の世界にいると考えると自己救済です。

 とまあ、いくらでも考察できますけど、これくらいにしておきます。多分、次は円盤待ちか、年末年始にやってたら、どこかで4回目行くかもしれません。


 なお、他サイトその他でダイジンの件で目につく批判がありました。どうも有名なレビュアーがユーチューブで何か言ったみたいです。

 ダイジンまた要石になって、鈴芽は心が痛まないのかという話があります。
 まず、ダイジンと何のために相互理解したのか、そして左大臣を大きく描いて、親のような存在にしたのか。要石が昔から移動した設定。鈴芽が自分が犠牲になっても草太を助けたいという気持ちの後、やっぱり生きたいと言ったところ、何より新海誠映画の省略の読み取り方が分かると、いろいろ考えが及ぶと思うのですが。
 それと最後のスタッフロールで仲が悪かった3人が仲良くしているところとか、痛みもそうですけど草太がいない状態です。「わざと明るくしている」と考えれば、まったく不自然じゃないと思うのですが?
 まあ、人それぞれなのでいいですけど、あまり些事を拾ってもしょうがないし、鈴芽の過去と性格から補完できないかなあという気がしました。

 テーマ的には重要な要素なので、ここに視点をむけるのは良いと思いますが、しかし、ダイジンが要石に戻ることを不自然にとらえると、映画の始まりからダイジンのキャラ設定がかえっておかしくなる気がします。 {/netabare}






 

投稿 : 2024/04/06
閲覧 : 999
サンキュー:

32

RX-178 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

おもろかった

地上波でみました。

映像キレイだし、めっちゃ面白かった。

投稿 : 2024/04/05
閲覧 : 47
サンキュー:

2

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

いわゆる大作、話題作なのでしょうが・・・。

残念ながら、今の私には合わなかったようです。



新海氏はキャラの感情の動きをグラフ化して、その動きを元に作画をしたり、物語の構成を考えたり、全体のバランスをとっていると小耳に挟んだことがあります。


そういう意味では波長が合わなかったという言い方ができるかもしれません。



伝えたかった思いや言いたかったことの方向性までもわからなかった、理解できなかったという事ではないのですが、どうにもしっくりと来ず、なんなら、薄っぺらにさえ感じてしまいました。


期待の反動だと自身でも思うのですが、キビシイ感想を書いてしまっています。



合わなかったと言うところをクドクド書いても仕方がありませんので、感想は以上です。

こればっかりは仕方がないです。



自然、天変地異に対しての人が出来ることって、大して無いのかもしれません。

「かしこみかしこみお頼み申す」

謙虚な祈りと、経験に基づいた準備だけかもしれません。

投稿 : 2024/02/13
閲覧 : 736
サンキュー:

22

ネタバレ

ぴかちゅう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ずっと椅子のイケメンに一目惚れしたすずめ?

「君の名は」は素晴らしかったと思うのですが、個人的に「天気の子」にはかなり不満が残ったので、本作は、映画館視聴はしないつもりでしたが、結局、視聴しました。「天気の子」よりはよかったけども、「君の名は」には届いていないかなぁという感じがします。

ストーリー展開として一番弱いと思うのが、すずめが、どうして宗像草太のためにあれだけいろいろするのか、という部分です。イケメンだから?初めて会っただけの人なのに?

特に、この映画って時間軸で言うと数日間なので、違和感が強いです。一目惚れと言い逃れするにしても、イケメンなのは最初だけで、ずっと椅子ですから笑

「君の名は」だと、主人公二人の関係性が数ヶ月くらいはあったと思うので、ストーリーに無理がないんですよね。

ダイジンはちょっと不気味ですね。まぁこれの可愛い版は、某魔法少女アニメに {netabare}出てくるわけ{/netabare}ですが笑、一回見ただけだと、ダイジンが何を考えているのか、いまいち分からなかったです。サダイジンはもっと分からなかったです笑 (ちなみに、サダイジンの影響下で、環に向かって、すずめが「重いの」というシーンがありますが、ちょっとひどいですね。理由が分からず家出状態の子どもを心配しないほうが、やばい親でしょう)

前二作と同様、自然災害が中心的な命題を占めているのですが、他方、この作品では、衰退していく日本という国も、そこで暮らす善良な人々とともに、かなり明確に描かれていますね。日本の将来を考える上でも示唆に富むように思います。

[2023年12月追記]
完走した作品のみをレビューしているため、とりあえず完走できる質だったということで、これまで、レビュー点数は3.0以上としてきました。しかし、レビュー内容が辛口になっている場合でも3点台をつけているため、他の方の同じ程度の辛口レビューと比べて、点数がかなり高めになっていました。そのため、レビュー点数の下限を2.5点に変更し、この変更に合わせ、このレビューの点数も変更しています。

投稿 : 2023/12/21
閲覧 : 168
サンキュー:

13

ネタバレ

animeradio さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.2
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 2.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

ずずめの恋愛描写不足

あれば恋愛じゃないんだと擁護してる人がいますがそんなことはありません
とじ師のおじいさんが、「せっかく孫が要石になったんだから、抜くな!」
と言っているのに、危なくても抜く!100万人を危険にさらしてでも、私が代わりに要石になるあやふやな可能性にかける!とこう決断して実際後先考えずに抜くわけですからね。
あの抜いてる瞬間はおそろしいことをしてるんですよ
命を守る者としての使命感に共感とかではないんです。

草太のほうもたいした使命感がある描写でなく微妙にチャラ男感だしてましたから、使命感に惚れたみたいな読み取りは無理でしょう

使命感があったら東京の要石の場所くらい知ってるはずです

投稿 : 2023/12/12
閲覧 : 198
サンキュー:

1

カミタマン さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

かなり前に見て放置してたので…

2023/12/3 初投稿

相当前に見たので
申し訳ありませんがほとんないようには触れません。(じゃ、書くな!!と言われればもっともなのですが…

期待値が高過ぎた為か、ややもの足らなく感じました。
『君の名は。』>『天気の子』>『すずめの戸締り』
と感じました。

久々の投稿がこれですいません」…

しかも初めてのアップル製品からの投稿なので変換の勝手が違うので結構苦戦しました(^_^;)

投稿 : 2023/12/03
閲覧 : 163
サンキュー:

5

ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

大災難を乗り越える意志を感じる作品

世界観:7
ストーリー:6
リアリティ:7
キャラクター:6
情感:8
合計:34

<あらすじ>
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、
ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。
(公式サイトより)

前作の『天気の子』をTVで見て、ビルの屋上のお社、ヒロインの極端な設定、警察に追われる主人公(銃を持って戦う)、世界がどうなってもヒロインを選ぶ等といった派手なセカイ系の物語と相性が悪く、そちらの評価は全然高くなかった(3.8)ため、新海誠氏の作品自体に興味を失っていたのですが、姉から薦められたので視聴しました。

{netabare}
本作は、東日本大震災で母を失った主人公の少女すずめが、トラウマを脱し自立を遂げて行く物語と言えそうですが、当初は九州からスタートするためそれがカモフラージュされているのが良かったです。

ミミズと呼ばれる怪異が扉から出てきて地震を起こす設定、壁のないところに扉があるという構図は、日本人にとってドラえもんの“どこでもドア”で見ているためか意外と馴染みがあって、その先が常世(とこよ;死者の世界)というのも理解しやすいものでした。

また、主人公の岩戸という苗字もそうですが、日本の神話のアマテラスの岩戸隠れやその扉(岩戸)を閉じることとのつながりがあるように連想されます。

音楽は、本作もRADWIMPSが楽曲提供していますが、これまでのMVのような使われ方はなく、懐メロを挟む程度で良くも悪くも落ち着いていた印象です。背景美術は新海誠作品ですので、当然のハイクオリティでした。

物語の展開は、登校時にイケメン閉じ師である草太に声をかけられたすずめが、草太のことが気になって廃墟に立入り、閉じておくべき扉を開け、要石を抜いてしまう。以降、要石から姿を変えた猫(ダイジン)が各所で扉を開けてミミズを出現させたことから、すずめと草太は扉を閉めつつダイジンを追いかけて九州から東北へ移動していく。

リアリティ面で少し突っ込むとすると、学生の身で宮崎から愛媛、神戸、東京と移動していってしまうすずめの行動力ですね(交通費も考えると帰れなくなるのではと不安になるはず)。イケメンだから興味があったというわけでもないでしょうが(序盤から草太は椅子に姿を変えられてしまいましたし)、この部分は不自然に思いました。

また、ミミズの存在をすずめは見ることができますが、他の生徒など他人には見えないことが描かれています。一見、突拍子もない事柄であり設定ですが、近年、こういった目には見えない存在があるということは、受け入れられやすい時代になってきたのではないでしょうか。

個人的に様々なYoutubeを見るようになっただけかもしれませんが、昔であれば、霊が見える人から直接そういった話を聞く機会など限られていたものの、Youtubeでは現在でも霊感のある方が多数、情報発信されており、霊の世界の話に接することが容易となりました。そもそも、人間が死んだらどうなるのかといった基本的なことも、いまだ解明されていませんが、そういったスピリチュアル的な関心や考え方は今後も高まっていくと思います。

幼い頃に常世に迷い込み、母のように見えた存在が、実は未来の自分自身であったというクライマックスが印象的でした。
幼い自分も母を亡くしたことを理解していたと思って話しかけ、はじめは拒絶されますが、子どもの椅子を見せ、再度歩み寄ります。
「あのね、すずめ。今はどんなに悲しくてもね、すずめはこの先、ちゃんと大きくなるの。だから心配しないで。未来なんて怖くない。あなたはこれからも誰かを大好きになるし、あなたを大好きになってくれる誰かとも、たくさん出会う。今は真っ暗闇に思えるかもしれないけれど、いつか必ず朝が来る。あなたは光の中で大人になっていく。必ずそうなるの。それはちゃんと、決まっていることなの。」
「お姉ちゃん、だれ?」
「私はね、すずめの明日。」
ここは過去の自分を受け入れて乗り越える、統合化をしているようでもあり深いです。お二人の演技も素晴らしく、感動しました。
臨死体験エピソードでは、昔誰に声をかけられたのかわからなかったのが実は自分だったというのはあるあるなので、スピリチュアル的にはリアリティも感じさせます。

2周して、すずめも草太も自分を粗末にして生きてきた(「死ぬことは怖くない」)ところから、自分と向き合い、生きることを前向きに捉えるように変わっていく変化も理解できました。

まあ、恋愛面は唐突感がありますし(昔見た記憶も回収しましたが、だからと言って命をかけて呪いを解く対象にそう簡単になるのでしょうか?)、ミミズやダイジン、要石等の要素は個人的に若干引っ掛かっていて他になかったかなと思いますが、概ね満足です。(恋愛面も含めたバランスでは「君の名は。」に軍配。でも、クライマックスの出来はこちらが上。)

あと、キャラクターでは芹澤くんが良い味を出してくれていました笑
{/netabare}

新海誠氏が「君の名は。」以降の災害をテーマにしてそれを乗り越えて新たな境地を目指した作品。見る価値アリです。

(参考評価:4.1)
(視聴2023.11)

投稿 : 2023/12/01
閲覧 : 207
サンキュー:

17

オカルトマン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

感想

大ヒットしたすずめの戸締まり

期待して視聴しましたが、
全く面白くなかった。
大衆向けに作られてるなという印象
一言で言うと、浅い。
映像がきれいなのは認めるけど、、、

一番うわー・・・と思ったのは、
主人公が、おばさんに「重いんだよ!」って言ったところ。
その後謝罪もなく終わりましたねw

投稿 : 2023/11/09
閲覧 : 106
サンキュー:

2

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

生きていくことの尊さ

CoMix Wave Films制作。

海沿いの町に暮らす高校生岩戸鈴芽は、
登校中に不思議な青年、宗像草太と出会う。
青年は廃墟に顕現する古い扉を見つけては、
戸締りをするために日本列島を旅している。

君の名は以降、新海誠監督は、
以前に比べ積極的に社会情勢に関わる、
大きな物語を描いているように思う。
ここでも東日本大震災が物語の根幹にある。

前半、物語の展開が駆け足であり、
{netabare}登場人物も皆非常に都合が良く親切で、
キャラ同士の会話、距離感に違和感を覚え、
私としては苦しい展開が続きました。{/netabare}

ただ物語に入り込めれば楽しくなる。

後ろ戸と呼ばれる扉の先には常世があり、
{netabare}扉から不吉な力が暴走し溢れ出ることにより、
この世界では地震が発生しているようだ。
そこに住む人々や土地の声に耳を澄まし、
災いの扉を閉じ、荒ぶる力を要石で封印をする。{/netabare}

日本列島を駆け巡った2人の旅は、
{netabare}同時に鈴芽の幼少期の思い出に繋がり、
とても美しい台詞と描写で終幕を迎える。{/netabare}

少女の成長を描く現代の冒険物語、
前を向き生きていくことの尊さが心に響きます。

投稿 : 2023/10/23
閲覧 : 506
サンキュー:

35

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

災害アニメ第3弾。

【概要】

アニメーション制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
2022年11月11日に公開された122分間の劇場版作品。
監督は、新海誠。

【あらすじ】

岩戸鈴芽は九州の宮崎県で叔母と二人暮らしの17歳の女子高校生。
鈴芽は夢を見た。4歳の自分が母親を捜しているが見つからずにいると、
髪が長い女性と出会ったところで目が覚めた。

その鈴芽が登校中にロン毛のイケメンとすれ違い、彼に見とれてしまう。
そのイケメンは宗像草太といい、
彼に呼び止められて廃墟がこのあたりに無いか尋ねられて答える鈴芽。

一旦別れたあとで草太が気になった鈴芽は、
彼が行ったと思われる山中の廃墟にて、
水浸しの床に立っている白くてボロボロの扉を見つける。
扉を開けると不思議な草原に繋がっているが、
鈴芽は見ることができても草原に足を踏み入れることはできなかった。

そして、水浸しの床に刺さっている小さな石像に引き寄せられる鈴芽。
鈴芽が引き抜くと石像は猫の姿に変わって逃げていった。

その日から日本列島の各地で地震が頻発するようになる。
扉の向こう側の常世からミミズと呼ばれる災いが溢れ出ると巨大な地震が起き、
草太は代々、扉を戸締まりして災いを鎮める『閉じ師』の家系だった。

日本列島を再び安定させるには要石でミミズを封印しなければならず、
鈴芽が引き抜いた石像が要石だった。猫になった要石のダイジンは、
鈴芽と仲良くなるのに邪魔な草太を三本足の椅子の姿に変えて逃げてしまう。

草太を元の姿に戻すために、ダイジンを追いかけての鈴芽の日本各地の旅が始まる。
そして、ダイジンの行く先々には災いの前兆となる扉が出現するのだった。

【感想】

隕石落下で地域壊滅、水害と続いて今回のアニメは現実にあった大震災がモチーフのファンタジー。

国民的アニメ映画監督の道を歩もうとする新海誠氏は、
日本人共通の普遍性を持つテーマとして2011年の東日本大震災を選択し、
映画公開から11年前の忘れがたき大災害の被災者の内心に踏み込んでの、
共感や話題づくりを狙ったのでしょうか。

家族や友人らを亡くし帰る家を失った者が数多くいる生々しい史実を踏まえるに、
つらい記憶を持つ当事者からみれば、このアニメを見るのはやや苦しいのではないかと?
震災時の気仙沼大火災を彷彿させるシーンもあり、被災地から遠く離れた地にある自分としても、
心苦しさがあったのですが、その手の非難も覚悟の上で敢えてのチャレンジでしょうか?

ずばりこれは、アニメとは楽しいだけの娯楽であってはならないと思う人向けの作品。

大震災という忘れがたい現実を敢えて思い出させ風化させず、被災者たちの記憶や感情に訴えかけて、
失う前の生活、震災、被災後の日常の再生、そして続いていく未来。などを踏まえた上で、
どんなことがあってもの生命の営みと日常は繋がっていて、そして次の世代にバトンが渡っていく、
数多の日本人に向けた心の有り様のメッセージ性を伝えたいためだけの2時間でしたね。
子どもたちを含めた各地で出会った人たちと鈴芽との触れ合いのロードムービーを見せたのも、
日本人の変わらない日常を見せたかったのかなと?

それだけではなくて新海誠らしいラブストーリーやエンタメ要素を混ぜてはいるのですが、
アイスクリームを落とすとか壊れたオープンカーとか車内BGMを色々選ぶとかのシーンに、
エンタメ的には笑えなくてどこが面白いのかちっともわからず、
その軽さにリアルで被災した人から見れば、このアニメのキャラクターの描写はどうなんだろう?
絵空事に見えてしまうのか?納得するのか?とか思ったりで、
それほど良いものでもなかったりでして、
個人的には続きの展開があまり気にならなく特には面白いアニメでもなかったので、
評価は控えめになりました。作画がどうとかの言及も今回は割愛します。
もっといろいろ書くには何周も見る必要がありそうですが、取り敢えず今はやめておきます。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/10/16
閲覧 : 152
サンキュー:

36

ネタバレ

カール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

死んだ人は仕方ないので諦めよう

昭和三陸津波にて、
とある家族の父と息子たちは、
末っ子を置き去りに一目散に逃げていた。

奇跡的にその末っ子もみな助かったが、
母親は独りで逃げた父親を責め立てる。
その度に父はこう反論していた。
「てんでんこだ」


本作品は、日本を脅かす存在として、
地震が用いられています。
昔はでかいナマズの仕業でしたが、
この世界では、でかいミミズが地震の元凶。

そのミミズを閉じ込めるのが、
ヒーローである「閉じ師」の宗像草太。
そのイケメン草太に惹かれたのが、
ミーハー女子高生、岩戸鈴芽がヒロイン枠。

この2人の活躍により、
日本の生活は守られています。

一見すると鈴芽は、
行動力のある元気な少女に映りますが、
それが次第に危ういものだと気付かされる。

正義感や責任感ではなく、
自壊衝動に近いもので、
彼女は生への執着が無い。

「生死は運だと思っていましたから、
 死ぬのは怖くはありません」

屈強な兵士のような言葉。
この死生観に至った原因は、
母親の喪失なのでしょう。

鈴芽は4歳の頃、震災で母親を失います。
その死を確認したわけではないので、
必死に小さな歩幅で母を探し回る。
足を止めれば母の死を認めてしまうから。

やがて不思議な世界に迷い込む。
それでも足を止めない鈴芽の前に、
母親が現れる。
何かを言ってはいるが、何も思い出せない。

そこで目が覚める。
これは夢か、それとも過去の出来事か。

母は一体、何を伝えたいのか。
励ましか、この世の未練か。
それとも恨み辛みか……。

母親は見つからず、死も認めず、
生と死の境界を往来する事で、
鈴芽の命は軽くなっていく。

災害は命や財産、
記憶を奪っていくのと同時に、
生存者に爪痕を残す。

「自分だけが助かった……」
罪悪感の植え付け。


そんな多くの犠牲者を生む災害において、
東北地方にはある言葉が継承されている。
「てんでんこ」

最近は、「津波てんでんこ」と呼称され、
津波の際は、各自自ら任意の経路で、
「てんでんばらばらに急いで逃げろ」
と、いう意味で伝わっています。

普通の避難訓練は、全員足並み揃えて、
指定された場所へ退避するものです。
ばらばらに逃げるなんてありえません。

ところが、岩手県のある中学校では、
この「てんでんこ」を
実際に避難訓練に導入していました。

そしてこの中学校に、
3月11日、津波が襲います。
当初、指定の避難場所へ向かう生徒たちに、
教師が叫ぶ。

「てんでんこだ!」

生徒たちは即座に反応し、
指定の場所を越え、更に高い場所を目指す。

教えられた「てんでんこ」どおり、
生徒たちはばらばらに逃げた。
全員同じ経路を辿れば渋滞し、
最悪、津波に飲まれていたでしょう。

彼らの英断により、
この地域の小中学校の生存率は、
99.8%だったそうです。

まさに「てんでんこ」は、
実用的な避難方法ではあるのですが、
その反面、
とても非情な一面を持っています。

みんなばらばらに逃げるとなれば、
みんなで誰かを助けたりはしないのです。
例え、足に障害がある者がいても、
手を貸したりせずに構わず逃げる。

つまり、切り捨てです。
非難される方もいらっしゃるでしょう。

だからこそ、信頼を構築するため、
日頃から大切な人と、
「津波の時はてんでんこしよう」
と、約束しておくのです。

「一緒に逃げよう」ではありません。
ばらばらに逃げる事を互いに誓うのです。
この合意が、生存者の罪悪感を低減させる。

ずっと約束していたのだから、
「死んでしまっても仕方がない」

自分が死んだ時に、
生き残った人の重みにならないように。
自分もいつかは、
切り捨てられる側になるのだから。

災害から逃げるあなたに、
子や孫が手を差し出すかもしれません。
でも、その手を決して握ってはいけない。

「てんでんこだ!」
あなたの役目は叫ぶ事。
生きる人々に前を向かせる事。


本作品の終盤、
鈴芽は夢の、常世の真実を知る。
目の前に現れたのは母親ではなく、
未来の自分だったと。

そして、鈴芽は4歳の自分に伝える。
「あなたはちゃんと大きくなる。
 光の中で大人になっていくよ」

生きる希望を与えたのは、
手を差し出したのは、
母親ではなく自分自身。

誰かの手にすがってはいけない。
最後に自分を支えるのは、
自分自身の手であるのだから。


ありがとうございました。

投稿 : 2023/10/02
閲覧 : 90
サンキュー:

8

なんとか さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

退屈でした

退屈でした。途中から早送りで視聴しました。2時間程度しかないので多少強引な話の進め方は仕方ないけど、なんで出会うひと、1日2日でそんなにしたしくなるの?なんで女主人公が大した理由もないのに男をすきになっているの?とにかく理解が追いつかないような内容でした。ただ、絵はメチャメチャ綺麗。(天気の子がわりとよかったから期待していたんですが・・)

投稿 : 2023/10/01
閲覧 : 86
サンキュー:

3

ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

あの日の星空(追記しました)

[2023.9.30追記]
2回目鑑賞したのであらためて感じた・思ったことを書きたいと思います。

{netabare} 扉を閉じる際に聞こえる声。
それは災害が起こる前、そこにいた人たちの記憶の残滓なのかなと感じました。。
扉を閉めて鍵をかけることで声は聞こえなくなります。
あるレビュアーさんがおっしゃっていた、自分の気持ちに向き合って受け止める=扉を閉めるってところ、そうなんだろなって私も思いました。

"死ぬのが怖くない"
なぜ私は生き残ってしまったんだろう
なぜ私はいきてるんだろう
たぶん、すずめはずっとそう思ってきたのかもしれません。
でも、草太に出会って、要石になった草太から君と出会えたのに!と言われたすずめは独りは怖い、生きたい!と叫ぶんです。

自分に足が欠けたイスをくれたのはお母さんじゃなくて自分からだったんですね。
欠けた足はもうもとに戻ることはありません。
でもすずめは未来は怖くないとあの日のすずめに語り掛けるんです。
光が、明日がきっとくるって。
そして、行ってきますと鍵をかけて前に進んでいくんですね。

それからすずめの子になりたかったというダイジンはもしかすると災害で亡くなった子供の魂だったのかもって思いました。{/netabare}

[2023.9.24初見感想]
劇場公開時、あの新海監督最新作ということで宣伝はよく見かけてたし、君の名はも天気の子も劇場で見たので、見ようか迷いましたが、結局見に行かず、今回配信で見ました。

作画、相変わらずすごく綺麗ですね!
雨や水のシーンが多いのも新海監督ならではかも。

緊急地震速報は心臓に悪いです・・
お話の中のことってわかっていてもドキっとしてしまいます。

メインテーマ曲のルールー・・とかルージュの伝言とか白猫とかジブリっぽいなぁって。
これたぶん狙ってますよね。
いままでの新海監督作品に比べて尖った部分が少なくなってきた感じがしました。
悪いことではないですけど、個人的には初期作品みたいなのも見たいなぁ。。

すずめの{netabare}絵日記が3.11以降真っ黒に塗りつぶされている{/netabare}シーンがとても胸にきました。

もうあれから12年経つんですね・・

震災の記憶はおぼろげになってきていますが、強く印象に残っているのはあの日の星空がすごく綺麗だったこと。
普通は街のあかりで星はほとんど見えないのですが、満天の星空でびっくりした記憶があります。

震災では知り合いが亡くなりましたし、私自身も色々と大変でしたけど、なぜか一番覚えているのはあの星空なんですよね。
そうやって人は前に進んでいくのかな。。
私もすずめも。

投稿 : 2023/09/30
閲覧 : 442
サンキュー:

37

ネタバレ

とまと子 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

あしたの約束

 
Amazon Primeでレンタルして合計5回、観てしまいました。
なんだかんだもうどうもこうもなく、とにかくあれだけ泣いたので5点満点です♡

**新海誠さん**

途中で芹澤くんが「旅立ちにはこの曲でしょ。なんか猫もいるし…」と言っているように、宮崎駿作品へのオマージュ的要素はたくさんあります。
それ以外にもどっかのアニメにでてきたキャラに似てたり、新海さんご自身の過去作にも似ているところもたくさんあります。
でも、それだからといって「これはオリジナリティがない→だから駄作だ」的に断じてしまうのはどうなんだろう?って思うわけです。
その後の、「映画そのものから何を感じるか?」ということがいい加減になってしまっては本末転倒かな…と。
まっさらな気持ちで観て感じることだけが、わたしにとって本当のことです。

もちろんわたしも、今まで見たことのないような映画を観てみたい…っていう思いはありますし、今までも新海さんにしか描けないような画面の美しさ、情景の切なさに感動してきました。
でもこの「すずめの戸締まり」では、そういうデザインやスタイルではないところ…物語そのもの、お話の語られ方そのものに「この映画でなければ感じさせてくれないもの」を感じさせてくれたように思います。
少なくともわたしは、他のアニメや映画では感じることのなかった”何か”を強く感じて、涙しました。

新海さんが独自に磨いてこられた技術もあります。先達からお借りしたギミックもあります。
この映画を観るにあたっては、それらを総動員して作られた「物語の美しさ」こそを、感じてほしい…と思います。

**戸締まり**

この映画を観ていちばんに感じたことを敢えて言葉にしてまとめてみると、「置き去りにしてきた感情(特に愛情)にちゃんと向き合ってけじめをつけることの大事さ」ということかな…と思います。

自分から与えられたものも、誰かから与えたものも、誰かの何かの想いは、それをちゃんと受け取ったのか、返したのか、感謝したのか、それとも諦めたのか、あるいは与え尽くしたのか… どういう形ででもいいから、きちんと「けり」をつけていないと心の底の方の暗闇に潜って潜んで、今の私たちの心を揺さぶって不安定にしてしまう…。

中途半端に後ろ手で締めて確かめずにいた扉からはくすぶって満たされない不満や悲しみが溢れ出してきてしまう。

だから、つらさや悲しさがあっても、封じ込めてしまったり、押し込めて葬り去ったりせずに、かつては自分のものだったその気持ちに向き合って、ちゃんと傷ついて、ちゃんと感謝して、その心細さや悔しさを受け止めなければならない。

そうすることで初めて、しっかりと過去に戸締りをして鍵を閉めることができる。
そしてはじめて、次の鍵を開けて、新しい誰かや何かと出逢いに行く「行ってきます」が言える…
今度はしっかりと気持ちを届けたり受け止めたりする覚悟を持って。

**挨拶**

そんなことを考えていて、今までわたしは新海さんの作品は一貫して「遠距離恋愛のラブストーリー」だと思っていたんですけれど、それと同時に「過去に置き去りにしたもの(トラウマ)を拾いに行く」ということも共通のテーマだったかも知れないなって思いました。
もっと大袈裟に言えば自分の罪悪感と向き合う…というか…。

最初わたしが一番泣いたのは、終盤常世での草太の祓詞で震災前に暮らしていた人たちの「行ってきます」「行ってらっしゃい」のフラッシュバックがばー…っと湧き上がってくるところでした。
それは日常の生活が突然断たれてしまって悲しい…というのとはちょっと違って、その生活には「毎日の挨拶」っていう小さな「愛情の戸締り」がきちんきちんと確かにあったんだ…ということ、そしてそれはなんて貴重で、大切で、でも自然で、当たり前のことなんだろう…っていう思いでした。
普通の日常があまりに美しくて、その美しさに泣いたのです。

もちろんその時はそんなにちゃんと言語化して感じたわけじゃないですけどねw
だから最初は自分がどうしてこの場面でこんなに泣くのかわからなくって、ただただぽろぽろと涙を流して、後からいろいろぼーっと考えてそういうことなのかなぁ…と思ったわけです。

**すずめ**

Webでいろいろな人の感想を読んでみたんですけど、「すずめの行動が突っ走り過ぎてついていけない」という感想も多く見ました。
「イケメンに一目惚れしただけであんな危ない暴走するのはリアリティがない」みたいな。

もしこの「すずめの戸締まり」を今までのような「ラブストーリー」として観てしまうと、そんな感想も持つかもなぁ…と思います。
つまり、わたしはすずめの異常なほどの決断力や行動力は草太に対する「ラブ」ではないと思うんです。

すずめが通学路を引き返して廃墟に向かう草太を追うのは、イケメンっぷりに一目惚れしたからではなくて、彼の姿をどこかで見ている記憶があって、(実際常世で会っていますよね。作品の公式HPには草太がすずめの手を引いて扉に導いているキービジュアルがあります)自分でも不思議なくらいにどうしても気になったからです。
だから自転車を漕ぎながら「私、どうして…」と繰り返し、廃墟についてからは「あのー、私あなたとどこかで会ったことが…」というセリフを言っています。

その後はどうしようもなく引っ張られてどんどん進んでいくのですが、すずめの家で怪我の手当をしながら草太が震災を防ぐ仕事をしていることを知ることが何よりもそのあとのすずめの行動力の源になっているのだと思います。
それは母を亡くした震災という悲劇を繰り返したくないという気持ちもあるでしょうが、何より「必要で大切なミッション」を人知れず仕事にしている人がいる、その仕事にはもしかしたら自分が果たせる役割があるのかも知れない…という気持ちからだと思うのです。

**震災**

すずめは自分が震災を生き残ったことを自分の口から一度も話していません。
大震災を止めるために動いている草太に対してさえそのことを話さず、椅子の脚が欠けていることを話すときも「一時的に無くしてしまった時があって…」とぼやかしています。
すずめの中では震災のことは封印されているのです。
封印する、ということは、忘れているわけではない。
むしろ忘れられないからこそ思い出さないように…振り返らないようにしているのだと思います。

大震災や戦争で生き残ったひとたちの中には自分が原因で亡くなられたわけではなくても「どうしてあの人が死んで、私が生き残ったのか?」「私はあの人よりも生き残る価値があるのか?」と考えてしまうことあるとよく聞きますが、すずめの気持ちの中にもそれが強くあるのではないかと思うのです。
看護師を目指して勉強しているのも、母に憧れたからというよりも、せめて母が果たせなかった仕事を自分が替わりにやらなければ、という気持ちからのように思えます。
そうしないと、必要とされる仕事をしてちゃんと役に立っていないと、許されてある自分のの居場所がなくなってしまうんじゃないか…

「自分は今ほんとうにここにいていいのか?」と。

すずめはそのことを子供のときに刻み込まれ、今でもそれを強く感じているひとに見えます。
そしてそう思って観ると、すずめの行動の原動力が少し違って見えてくるように思えるのです。

**覚悟**

すずめが病院に草太の祖父を訪ねるところは、わたしが大好きなシーンです。

草太の祖父は草太のことを聞いても動じた様子も見せず淡々とその事実を受け入れているように見えます。
でもそこに悲しみや無念さがないわけはないです。
草太を要石としてみみずに刺したのは誰か?とすずめに問う時に彼は声を荒げるように大きくします。
それは草太を思い悲しむ気持ちと、閉じ師としての覚悟をすずめに(もしかしたら自分にも)言い聞かせるためなのだと思います。

でもすずめにも覚悟があるのです。

自分には何も原因がないことで突然親しい人が亡くなってしまう経験をした時に感じることとしてよく聞くもうひとつのことは、死ぬことにも、生き(残)ることにも、何の理由も正当性もない、ということを肌身を持って感じてしまうということです。
死は全く不条理に起きて、死ぬべき人が死ぬわけでもなく、生きるべき人が生き残るわけでもない。
だから、人が、今自分が、生きているということは全くのたまたまの偶然起きていることで、何の根拠も確かさもない…ということ。

愛媛の廃中学校の扉を閉めるとき、「死ぬのが怖くないのか?」と訊かれて、すずめは「怖くない!」と即答しています。
そんなふうに即答する高校生なんて、まずいないでしょう。

この場面は「覚悟」と「覚悟」の対決のように思えます。
草太の祖父の閉じ師としての「死ぬ覚悟」。
草太を救いたい…そのためなら死も恐れずに何でもするというすずめの「生きる覚悟」。

祖父は高笑いをします。
自分の生涯をかけての覚悟が、この若い娘の覚悟に負けたこと。
そしてその敗北がむしろ心地よいものだったことで、思わず笑ってしまったのかな?と思います。

今考えてみると、ここは「もののけ姫」のアシタカがモロに『お前にサンが救えるか?』と問われるシーンに似てるかもですね。
もっとも”高笑い”の意味は全く違いますけど…w

**ダイジン**

Webでよく見た感想のもうひとつは「ダイジンが可哀想すぎる」というものでした。
「自分と恋人は生かして、自分が拾った猫は埋めるのか」みたいな書き方もありました。
確かに、わたしもそう思うところはあります。 ダイジンは、本当に可哀想…。
わたしがすずめだったら、要石になったダイジンをしょっちゅう訪ねて話しかけてるかも知れないです。

ただ、すずめに「好きじゃない」と言われてやせ細ってしまってから、ダイジンはずっと考えています。
最初はひとりでくるまって。
途中でサダイジンに飛びかかってやっつけられ、子猫のように咥えられて舐められて。
ダイジンはずっと何を考えていたんだろう?
…自分が今自由になって現し世に自分の本当の居場所があるのか…?
…この世界で自分が誰かと本当に繋がれる場所はどこなのか…?
そして黙って目を見開き、まっすぐ遠くを見つめるダイジンには、覚悟が感じられます。

すずめと草太の方はどうかというと、草太が最後にサダイジンに呼びかける言葉は「いくら虚しい生命でも、自分は生きたい」というものでした。
敢えて言いますが、生を愛する者でなければ、人や人の世は愛せないと思います。
今は生きて、旅をしながら後戸を締めることが、草太とすずめの役割…なんじゃないでしょうか。

**環さんと芹澤くん**

ダイジンとサダイジンは要石として大きな災いを抑え込んでいましたが、ひとびとがその悲しみのあまり世界への感謝も忘れていく中で次第に抑えきれなくなり、ついには外れてしまいます。
その忘れてしまった人間たちへの怒りは、環さんの隠してきた苦しさを借りて吐き出され、すずめを封印への旅へと駆り立てます。

環さんはまだ4歳だったすずめを引き取って我が子のように育ててくれましたが、その愛情も庇護も、自分の存在理由を認められずに苦しんでいたすずめにとっては、もしかしたらいたたまれないものになっていたのかも知れません。
「守ってくれなくていい。私は自分の存在理由を自分で作らなくちゃいけないんだから…」と思っていたのかもしれない。


この映画はどのシーンをとっても人物の表情の作画が本当に素晴らしいと思うのですが、「けんかをやめて」の歌のシーンでの環さんとすずめの表情は中でも本当に良くて、よくこんな顔が描けたな…って驚きました。
ふたりがお互いの顔を見てもいないのに同じ顔になっているのも、いくらけんかをしても何をしてもこのふたりがしっかり家族であることを語ってくれていてすごく良いです♡

芹澤くんもほんとに良いキャラクターで大好きなんですが、環さんがすずめを現し世に繋ぎ止めるアンカーだとすると、その環さんも常世の引力に引きずられそうになった時のアンカー役は芹澤くんなのかも知れません。

そう考えると芹澤くんがダイジンに話しかけるシーンの関係性もまたちょっと重いものがあるのかもです…。

**約束**

常世ですずめがちいさな自分を見つけ、語りかけるシーン。
観る回数が増す度に、ここで流す涙が増えていきました。
わたしが観てきたアニメ・映画の中でも、特に心に残るシーンになりました。

母がもういないことを本当は知りつつも探し続けていた自分。
悲しくて、寂しくて、本当の世界と向き合うことができなかった自分。

すずめはそのちいさな自分に「じぶんの明日」として語りかけます。

「未来なんて怖くない!」

大丈夫。私はおおきく強くなって、この世界を愛することができるようになる。

自力では生きられなくても、誰かから助けられ、迷惑をかけ、厄介になって大きくなっていく。
それは決して悪いことなんかじゃない。罪でもない。
逆にそれこそがこの世界に生きるということ、素晴らしいことなんだよ…。

「あなたは光のなかで大人になっていくの…」

なんて素敵な言葉なんだろう、なんて素敵な表現をされるんだろう…って思います。

ふたりの背景で常世の空が輝きながら大きく廻ります。
ふたりのすずめの間を流れた未来の時間のように。
この宇宙を律する理のように。

「必ずそうなる。それはもう、ちゃんと決まっていることなの…。」



そして小さなすずめはまた雪の中に帰っていくのですが、その扉を後ろ手で閉じてよく見ていません。
「すずめの明日」がしてくれた約束を、忘れてしまうのです。

すずめはその約束を思い出すため、それが本当だったということを知るため、遠くはるかな旅をしてきて、そしてようやく、長く後戸にしていた自分の扉を締めることができます。

「さよなら」と「ありがとう」を込めた 「行ってきます」の言葉を送って。

**神話**

すずめの名字が岩戸であったり、すずめという名前もアメノウズメノミコトからもじったものであったり、新海さんは日本神話をかなり意識されているようです。
草太を取り戻しに常世に行くすずめのように、死者を取り戻しに地底の国を訪ねていく物語は、例えばイザナミの神話であったり、ギリシャ神話のオルフェウスの物語であったり、世界に共通してあるようです。
それは神話に限らずいくつもの物語に現れてきていて、例えばアニメでいえば「メイド・イン・アビス」もその一例なのかも知れません。
神話・伝承・物語には、離れた土地の間でも不思議に符合する共通の形がよくあるようです。

わたしは、それは人の魂の底には「物語の原型」というものがあるからだと思っています。
新海さんも宮崎駿さんも、物語作家のみなさんは多かれ少なかれ、ミケランジェロが「私は石を削っているのではなく、石の中に埋もれている人物を掘り起こしているのだ」と語ったように、この「物語の原型」を見つけにいく心の旅をしているのだ…とわたしは考えていて、だから神話のような力強い物語を作られる方には、その魂の旅路の苦しさに耐えて何かを掴み取ってこられたのであろうことに尊敬の念を抱かずにいられません。

だからこの映画のミミズがもののけ姫のディダラボッチに似ているのも、要石がロンギヌスの槍に似たイメージなのも、わたしは剽窃というよりはどちらもこの「物語の原型」に近づいたからこそ似てくるのだと思ったりもするのです。


新海さんがこれからも物語を作るために魂の旅路を続けられるのなら、次もきっとまた、こういうわたしの押し込められて自分でも気づいていないような想いを揺り動かして呼び覚ましてくれるような映画を観せてくださるのではないかと思っています。
そしてそこには、他の誰にも描けなかったような世界があるんじゃないか…とも期待しています。

というわけで、「君の名は」「天気の子」と、少し遠ざかっていた新海誠映画ですが、次回作はぜひ劇場に足を運びたいと、今のわたしは思っています。

投稿 : 2023/09/29
閲覧 : 226
サンキュー:

12

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

若干違和感あるものの、やはりよくできた新海作品

相変わらずの新海クオリティ

そろそろこけるかなと思いつつ(嫌な人だ。。自分😅)
恐る恐る観ましたが
トータル良かったです。

日本でよくあるようなお話に
現代の景色、
現代の文化、スマホやSNS、現代のものと言える地震速報、GPS
などを絡めている

展開としてはなにが目的で主人公が何に向かっているか分かりやすい
説教くささもなく
わざとハンデのある人も出さずで。

言い方は変かもですが
好きなジブリ作品、ラピュタや千と千尋とかはこういう冒険的なワクワク感があり
それにクオリティ高い作画をからめてるなぁという気がします。

本編違和感は
最初の方のJAZZのBGM、悪くないけどなんか浮いてた。
猫が大臣とどうも結びつかない
おばさんのあんたがいたからの叫びはいらんかったなぁ。。
※なくても成立してるような。。

あと毎度毎度の封印のセリフ、お返しします!はよくわからんかった。(スーを差し上げます!に変換してしまう笑)


ダイジンの声はムカついたけど
これは無垢な悪気のない心からの悪(結果として)だなぁと。そう思うとしっくりか。

相変わらず何十年経ってこの作品観たら、昔この駅や街はこうだったんだよと振り返れるのも流石。

可愛いキャラデザだけではなくしっかりと頑張った主人公。
イケメン枠から突如マスコット枠にすぐなった彼もまたいい展開。

ラッドウィンプスのエンディングかな?ラストの方の曲の入れ方も良かったかと。
音楽といえばわざとらしく昔の歌がかなり入ってましたが
親世代と観に行っても楽しめる仕掛けなのかな?

ま、ちょっと長かったのでおばさんの下り少し削って良かったかな。
ってこれワンクールのアニメでもいけるかなと思っちゃったけど、まぁこれでいいですね。

流石の新海監督作品でした。

投稿 : 2023/09/27
閲覧 : 86
サンキュー:

8

はろい さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 1.0 音楽 : 2.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

邦画とアニメの寄せ集めだと

思ってしまいますが、それでも刺されば良いと思います。

この映画は何も残らないですし刺さりません。

投稿 : 2023/09/23
閲覧 : 156
サンキュー:

0

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

面白かった!さすがの映像美

最初から期待してて、期待以上の作品で大満足。

ラブストーリーっぽくてくっつかないんかいっ!みたいな二人も良い。

お気に入りは芹澤くんです。
ちょっと自堕落だしチャラけてるけどしっかり教師を目指してるとことか好きv

で、やっぱり美術が良い。星空とか地下の水場のシーンとか好き


2023.9.19
「すずめの戸締り展」見てきた!
最近では珍しく、イスのオブジェ?のみ撮影可でした。
芹澤くんの設定画とか写せるものなら撮影したかった(残念)

でも絵コンテとか名シーンの映像とかめっちゃ良かった。
もう1回観たくなった。円盤早く届かないかな~

投稿 : 2023/09/19
閲覧 : 134
サンキュー:

8

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すずめの戸締まりのストーリー・あらすじ

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。
彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、
まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、
古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが...

やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、
開いた扉は閉めなければいけないのだという。

――星と、夕陽と、朝の空と。迷い込んだその場所には、
すべての時間が溶けあったような、空があった――

不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。(アニメ映画『すずめの戸締まり』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2022年11月11日

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