当サイトはアリフィエイト広告を利用しています

「バブル(アニメ映画)」

総合得点
68.0
感想・評価
84
棚に入れた
284
ランキング
2266
★★★★☆ 3.6 (84)
物語
3.1
作画
4.4
声優
3.3
音楽
3.8
キャラ
3.4

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

レビューを絞り込む
☆の総合評価
文字数
サンキュー数
視聴状況
表示形式
キーワード
この条件で絞り込む

バブルの感想・評価はどうでしたか?

おめが さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

土台は出来上がっているのでもったいない作品

1クールアニメにしてもっと世界観とキャラを見たかった
理解している間にヒビキとウタの話が完結してしまうので感情移入しづらい

強豪に苦戦する様子とかチームの結束とかそういった彼らの日常で時間をかけて作品に入り込ませてからでないとクライマックスで感動は難しい

投稿 : 2024/10/07
閲覧 : 28
サンキュー:

0

中島野球しようぜ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

躍動感と透明感に溢れた作品、見てみればシナリオも意外と悪くない、おすすめ度★★★★★

叫んでいこうぜ 飛び越えて舞って 弾けるこの思いも泡になって

アニメとしてのクオリティはシナリオが微妙なのでそこそこ止まりだがエンターテインメントとしてはわりとよく出来ている。頭を空にして見ればわりと楽しめる構成。

シナリオはよく虚無だのなんだのと批判されているが、全体像自体はボーイミーツガールとディストピア世界の差し引きを描いているようなもの。ただそこの中身がどれも中途半端でとっちらかって損している印象。パルクールチームの交流やパルクールでの競い合い、躍動感はなかなか良く描けている。

作画はWIT STUDIOと荒木哲郎という進撃の巨人初期のチームだからか、躍動感と勢い、透明感に溢れた作画の雰囲気が描かれており、なかなかに魅力的なビジュアル。澤野弘之劇伴のダイナミックさもそこに加わり、映像やサウンドでは大いに見応えがある。

結論としては思っていたより楽しめたしむしろ好きな部類まである、二ノ国同様に若干つまらないは思うけどさすがに叩かれすぎな映画。個人的には好きだが人には勧めづらい。

投稿 : 2024/05/29
閲覧 : 83
サンキュー:

0

Msslnd- さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

シナリオが弱い

ギルクラやまどマギなどのビッグネームが集まった作品、雰囲気は凄かったけどなんか微妙なまま終わったような

ギルクラの監督なのにインパクトがないしまどマギの脚本なのになんか地味、作画の綺麗さと比べて中身は浮いていた

絵はとても綺麗、ヒロインの棒読みは気になるけど無機質な人間像だから違和感は無い

投稿 : 2023/11/05
閲覧 : 76
サンキュー:

1

ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人魚になった長門有希。素直に見るとかなり面白いです。

 23年9月 3回目の視聴をしました。人魚姫のオリジナルをちょっと調べたところ、王子を殺せば人魚に戻れる、という設定があるようですね。そう考えると、ラストシーンの説明はわかるような気がします。

 そして、世界に降り注いだ泡は反文明的なものの象徴、そして、聞こえすぎる主人公の「聞こえすぎる」とは、おそらく本質が分かるということか、人の気持ちがわかるということでしょう。
 ウタの歌が聞こえたはボーイミーツガールの構造ですが、ポイントはなぜウタにアイデンティティが生じるとそこが特異点のようになるかです。

 メタ的にみれば、世界でいち早く「バブル崩壊」が起きて失われた30年=時が止まったのが東京ですから、そのレイヤーでみれば分かりやすいアナロジーです。
 が、文明の終わりをウタが守ったととると、宇宙意思が地球を滅ぼそうとしたけど、ウタとヒビキが出会うことで地球を守った…でも、いずれは滅びるけど、今はもう少し時間を貰ったととも取れます。

 ただ、そういう考察は一回忘れて、長門有希(「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラ)=情報統合思念体の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースが、人魚=ウタであると、素直にとるのが自然な鑑賞の仕方かなあとも思います。1回目は綾波レイとの類似性を考えましたが、設定とキャラ的には長門有希です。

 滅びと再生のサイクルという大上段の設定があるし、泡沫(うたかた)という言葉の通り、命など宇宙から見れば微々たるものですが、それでも恋愛はしようよ、ということ。いつかどんな形かわかりませんけど、ウタとヒビキはどこかで再会するでしょうという、ある意味ハッピーエンドの人魚姫とも言えます。

 そしてこうやってとらえると、東京が再生してもおかしくないでしょう。文明など所詮は泡沫です。

 あまりテーマにこだわりすぎて「宇宙人魚姫」という恋愛物語を忘れてしまうとこの本作をとっつきにくく、つまらないものと捉えてしまいまそうです。せっかく人魚姫を強調しているのだから、素直にそう見るとかなり面白い映画だと思います。
 もちろん含意としていろんな考察はできますし、その方面から見るのも正しいとは思います。2回、3回見ても十分深さがあると思います。

 評価は22年5月で4.0でしたが、4.3に。ストーリーを3.5から4.5に。キャラは4.0から4.5に。作画・声優・音楽は評価変えず。
 


 以下 1回目のレビューです。

 泡と渦は破壊と再生。未来の人魚姫は綾波レイ?

 ネトフリにやられて悔しいですが、迷いに迷って再び会員に…うーん。まあ、先に結論をいうと悪評が多かったですが私はかなり面白かったです。ですので、良しとしましょう。ということで1回目視聴しながらの感想です。

 新海誠との類似性の指摘もありますが、どちらかといえば、本作の映像的な見どころは構図の取り方だと思います。そして映画的な意味においてはまったく似ているように見えませんでした。

以下ちょっと項目ごとに整理してみました。

{netabare}ディストピアもの
東京ですから過去例は沢山あります。こういうSFの場合、舞台設定なのかテーマ性があるのかが問題です。

 小松左京の首都消失やラーゼフォン、アキラなどの類似に見えます。が、私はどちらかと言えば本作は飛ぶこと…重力からの解放、エアギアとの類似性を強く感じました。空を飛ぶ夢というのは不安の表れまたは解放への憧れです。

泡と渦
 バブル…泡がなにを象徴するのか。ぱっと見では経済の崩壊=日本の自信が砕け散ったバブル崩壊=東京が廃墟とかさなります。

 渦が象徴するものは破壊と再生…フィボナッチ数を意識していますので、自然に含まれた法則ということでしょうか。ですが、本作はちょっと禍々しい意味に使ってましたね。銀河=渦は滅びと再生。一番初めに見せていた銀河の集合はボイド構造=「泡」構造という超銀河団、宇宙の大規模構造の世界観ですから泡と渦=宇宙。つまり滅びと再生という意図はわかります。

人魚姫
 出会いの時の「人魚」のセリフと泡を重ねると、人魚姫の結末。つまり風の妖精になるということでしょうね。溺れるところを助けられたし、しゃべらないですし、触ると泡がでる。歌は人魚ではないですが、ローレライを想起します。これは冒頭の20分くらいで読み取れます。と思ったら、普通に人魚姫を本で出しましたね。
 人魚姫=異文明との第1種接近遭遇…コンタクトとかメッセージなだと。知識を得る、しゃべれる…ではなかったですね。そこにフォーカスはあたりませんでした。宇宙意思だと長門有希ですけどね。後述しますが綾波レイとの類似性を感じましたが、心情的な部分では長門有希も入ってたかなあ。

 もう1つ。腕を失ったウタが、抱き合っているヒビキとマコトをうらやましそうに歌が見ていましたね。嫌な予感しかしません。

 つまり、泡と渦という対立構造と人魚姫で、ウタは宇宙の意思ということなんだと思います。


パルクール
 パルクールは立体的な動きですから、肉体回帰と重力からの解放…3次元=リアルの象徴なのかもしれません。
 ちょっと背景のビルですが、アキバ的な萌え映像が廃墟に描かれていましたね。これもちょっとエヴァの結論であるオタクからの脱却を言っていたのかもしれません。
 

 なお、人魚姫の本を出したり、パルクールのルールの説明や親がいないという事をセリフでしゃべってました。これはやらなくても普通にわかります。つまり余計な説明であって、視聴者を信頼していない、という気がします。映画のレベルを上げたいと思うならここは説明しないほうが良かったですね。


エヴァとの類似性
 ジョウロの水やりはスイカになればエヴァの加治さんですねえ。そういえばヒロインの青髪=人ならざるものはエヴァを想起します。重力異常の映像などシンエヴァの影響が感じられます。第2次降泡?(コウホウ)現象。東京の水没。
 なんといっても最後綾波レイは自然とのふれあい、人間の生活を知ってそして消えて行きました。(ニワトリ追いかけてましたね。農業のシーンと重なります。)
 ウタが象徴するものは非常にシンエヴァの綾波に近い気がしました。

{/netabare}

雑感
 本作の廃墟は映画の流れで言うとどうでしょう。
「君の名は。」のように東日本大震災を象徴しているのではないと思います。環境破壊の「天気の子」はあるかもしれません。でも私はどちらかといえばシンエヴァ…3次元への回帰。つまり恋をせよということ。そして文明と経済という価値からの脱却だとおもいます。

 音に過敏ということは人と違うということ。生きづらい世の中をバブルが救ってくれた。静かな東京つまり文明からの脱却で居場所が出来た。道具を持ったアンダーテイカーに勝つということは肉体への回帰ということ。ボーイミーツガール…コミュニケーションで心が芽生える。

 アンダーテイカー=墓堀りですね。既存の価値観にうずもれて行く。機械に頼る。経済重視。勝つための手段を択ばない。動画に投稿すアピールする。未来がないということ。現代的な価値観の否定ですね。

自主性重視。大切なもののために命をかける。

 草食化とポリコレで恋愛が出来なくなった。触れる事が出来ない男女。アナユキではないですね。肉体で触れ合えない。純粋な恋ですけど悲劇でもあります。シザーハンズとか死神坊ちゃんと黒メイド的かなあ。

 そして、自信を失った日本は経済や文明という既存の勝ちから離れることで居場所ができる。

 まあ、ちょっとBL的な演出が余計かなあという気もします。

 新海誠が「君の名は。」で、2011年の東日本大震災でいままでの世界系的な物語や別れによる涙を否定しました。「天気の子」で東京の終わりと「青春の衝動」を描きました。
 ここにシンエヴァ的な2次元からの卒業=3次元へ。

 本作は東京が終わった後の新しい価値観はなにか?経済と文明ではなく肉体と自然への回帰。そして女の子を迎えに行け…というふうに理解しました。

結末
{netabare}  人魚姫である以上結末は必然でしょう。風の妖精=自然と溶け込んだということだと思います。いつかまた会おうは、ヒビキが宇宙になるときなんでしょうね。
 ちょっと我慢してましたけど、最後のウタのカップでうるっと来てしまいました。うーん。最後並走していたあの泡がウタっぽい演出でしたけどあれはちょっと余計だったかなあ。{/netabare}


 作画はもちろんこのレベルの映画ですからほぼいう事はありません。演出はViVyぽかったですね。


 欠点としては、ストーリー内の時間の幅が短くて、ちょっと壮大感がなかったですね。あとウタへの感情移入できるエピソードがせめてもう1個あればなあ…。

 いろんな映画のオマージュは沢山ありますが、それは現代においては仕方がないです。けど、少なくとも新海誠の下手な模倣ではないと思います。ストーリーは面白いし、テーマ性もアップデートしていると思います。

 映画見ながらレビューしたので、ネトフリ会員中にもう1回見ると思います。




で、追記です。2回目…とはいっても気になった部分を重点に。

{netabare}  テーマ性は1回目のレビューの通り。整理すると、東京の喪失=失われた日本の30年。経済、文明で日本は廃墟に。
 虚業である動画配信や2次元コンテンツがはびこる。個人のメシや必需品=経済に支配されてその戦いに明け暮れる。
 東京タワー=昔の日本、東京の象徴の破壊から始まる

 破壊と再生=渦と泡…宇宙の理が入った感じですね。

 パルクール=3次元=自由。価値観からの解放。2次元からの脱却自然回帰。というか何か新しいものを見つけようぜ。

 ただ、工事現場を描いていました。そしてエンディングで日常に溶け込むウタ。うーん。未来の東京はまた逆戻り?それとも新しい東京を作るということ?あの画面は意味が分かりづらかったですね。


 2回目みて思ったのが、東京タワーで怒りに触れた…というよりウタとの出会いな感じなんでしょうか。あのあたりが言葉足らずですね。ウタ=歌とヒビキ=聞くことができる、と言う名前からいって2人はあそこで出会っと見るのが映画的文法の気がします。

 ただ、そこは宇宙のなんらかの存在であるウタがなぜヒビキのところに来たかが説明不足です。
 ここに意味性があるかどうか。未来の人魚姫=綾波プラス長門が消えてなくなる部分。2次元からの解放ではあると思うんですけど、それだけか。なぜ東京なのか。東京が世界で最も歪んだからか。

 最大の欠点はやはりウタが描けてない。ウタとヒビキの心を通わせるエピソードが弱いです。冗長な部分があるのでカットすれば時間をそんなに変えないで、エピソード作りができたはず。

 この2つ。ウタとヒビキに関して設定的な出会いの理由と、ストーリーの骨格としてのラブストーリーが弱かったと思います。

 ということでちょっと評価は下げておきます。{/netabare}

投稿 : 2023/09/08
閲覧 : 481
サンキュー:

19

くまさん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

またね。ウタにひびく、恋ごころ。

面白かったです。

冒頭で、水中に沈む青年が、「人...魚...」と発言し、
すぐに少女が現れる。

この謎を抱えたままOPが始まり、
ちょっと時が遡って、ストーリーは進行していきます。

とにかく、作画の映像美と躍動感に圧倒されました。

ストーリーはわかりやすいし、100分ぐらいで終わるし、
なんか美しいものが観たい、となったらよい感じです。

りりあ。さんのED「じゃあね、またね。」が、
作品と雰囲気が合っていて、じーんときました。

投稿 : 2023/08/17
閲覧 : 98
サンキュー:

6

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

うた∽かた

【概要】

アニメーション制作:WIT STUDIO
2022年4月28日にNetflixで先行配信を開始し、
2022年5月13日に公開された100分間の劇場版アニメ。

監督は、荒木哲郎。

【あらすじ】

未知の力を有した泡が降り注ぐようになって世界中が大混乱。
東京タワーで謎の大爆発があり、爆心地である東京は巨大な泡のドームに包まれた。
それ以降は世界各地で泡の現象が収まったが、東京中心部でのみ泡が止まること無く、
積もった泡が潰れて水没して、泡の影響の重力異常で事故死が多発した東京は首都機能を失った。
東京に住んでいた人々は各地に散り、東京23区は居住禁止区域に指定された。

そんななか、泡による災害で親を失った孤児たちが、東京で徒党を組んで暮らしていた。
孤児である若者たちは、食料品などの生活物資を賭けの対象にして、
5対5のチーム戦で廃墟を駆けて相手陣営の旗を奪う、
パルクール(=東京バトルクール)で競うようになっていた。

東京タワーでの爆発事故から5年後。渋谷のパルクールのチームであるブルーブレイズのエース、
ヒビキという少年は鋭すぎる聴覚であることから、人間が苦手で仲間とも距離を置いていた。

そのヒビキが、ぼろぼろになった東京タワーから聴こえる歌声の正体が気になって、
タワーを探索していたところ、アリ地獄と呼ばれる重力異常の渦に引っ張られて、
水面上昇している海に落下して飲み込まれた。

水中で意識が遠くなっていたところを人魚のような謎の少女に助けられたヒビキは、
彼女を連れて仲間たちと一緒に暮らしている「令洋」という廃棄船に戻るのだった。

【感想】

人魚姫をモチーフにしたSF作品。

「デスノート」「進撃の巨人」の荒木哲郎監督。
「魔法少女まどか☆マギカ」が代表作の虚淵玄氏らによる、ニトロプラスのシナリオ。
キャラ原案は「ヒカルの碁」「デスノート」「バクマン」などで有名な漫画家の小畑健氏。
数々のドラマやアニメで知られる作曲家の澤野弘之氏。
京アニ出身で退社後のキャリアのほうが長いアニメーターの門脇聡氏が作画のトップ。
他にも川村元気氏が企画とプロデュースの担当であったり、
「響け!ユーフォニアム」の原作者の武田綾乃さんがノベライズ担当であったり、
必勝の布陣でクオリティにこだわって作られたアニメ映画らしいです。

キラキラしていて好き嫌いが分かれるでしょうけど間違いなく映像は美しく、
廃墟と化した水浸しの都心に瓦礫や廃車が浮遊している幻想的な風景。
そこに「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」でも見せた立体的なカメラワークが激しく動く、
パルクールのアクションシーンは流石と言えるでしょう。
もっとも、設定ありきで東京を壊滅状態にして少年たちの遊び場にしているのは疑問ですが…。

一方でこのアニメは説明不足過ぎるであるとして、あまり評判が良くはないですね。
他の方のレビューを拝読して知ったのですが、
小説などで開示してある泡(バブル)のSF設定であるとか、
それに基づく物語の流れの捕捉をせずに、アニメでは敢えて全部説明をせずに、
表情やキャラの雰囲気でヒビキとウタの気持ちを含めた概ねの内容を観客に察して欲しいという、
ボーイ・ミーツ・ガールものになってしまいました。このあたりは川村元気氏の入れ知恵で、
新海誠的なアニメづくりを志向したのでしょうか?いつもの虚淵脚本ではないですね。

この場合はキャラの内面を理解して共感するのが重要であると私は思うのですが、
主人公とヒロインの声優が経験が浅かったり初挑戦だったりで、演技力がイマイチ。
コミュ障な主人公のヒビキくんが心の壁を取り払う成長?の話がありきたり過ぎますし、
ヒロインのウタも声は綺麗なのですが彼女の自己投影の人魚姫のあらすじを口ずさむばかりで、
拙くても自分の言葉で自分の気持ちを伝える話が好きな自分としては、
演技の問題もあって、それぞれのキャラクターに魅力が感じられなかったりです。
小畑健氏らしくバクマンの福田に良く似たキャラがいたのは笑いましたけどね。

最近のアニメの流行りのスタイルを踏襲して、一部のマニアだけを対象にせずに、
普通の若者を取り込むべくして『考えるな!感じろ!!』的な作りのアニメですが、
クリエイターの頭の中にある作品の全体図から映像で見せた部分が氷山の一角であり、
視聴者に感受性のセンサーを全開にして説明してない部分を察することを強いてしまったのか、
その手法のアニメは他にもありますが、このアニメの場合は特に説明が不十分であったのか、
映像の中で設定を消化しきれずに意味不明に感じられた視聴者が多数派になってしまいました。
魅せたいシーンありきで構成の客観性を欠いたのは、
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の二番煎じを狙って意味不明な脚本で失敗をした、
「うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー」みたいなものでしょうか。

理解を阻む不親切なシナリオが、情報の集合体として作品を食ってる類のアニメマニアに納得されず、
袋叩きに遭ってしまったと思っています。と言いつつも、
感覚派の自分は視聴中に何度も寝てしまいまして、映像には作品としての美点はあるものの、
楽しかった!もしくは感動したとは素直には言いづらいですね。

有名なクリエイターを集めて、きれいな作画と大ヒット前提の広告戦略でも、
必ずしもヒットするとは限らず、また、「バブル」と違い人気が出た作品は、
それぞれに作画だけではないプラスアルファがあるわけでして、
どんな作品でも評価に毀誉褒貶があるのが常ですが、そうはならなかった「バブル」は、
個人の価値観に依存した評価の偏りと統計的な価値のある一般的な評判との乖離が小さい現実に、
ドリームチームで作っても必ずしもいい結果で終わるとは限らない創作活動の難しさを感じました。


あまり内容について細かい言及が出来ていませんが、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/08/01
閲覧 : 148
サンキュー:

17

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

うーん絵が綺麗。。くらいかな

んーまたなにか障害がある人か。。
まるきり健常な人というのは少ないとは思いますが
なにか最近こういう作品見るとなにかしら主人公がそういうのがあって。。ってのが多いなぁ

もちろん差別とかではなく
製作陣はそういうテーマがないと作品を作る上でダメなのかなぁと。

絵が綺麗でしたが
古典的なボーイミーツガールで
謎少女は物語のキーで
救ったら消えてしまう
古典的な展開

パルクールを設定に取り入れたのは良かったです。
しかし身内が攫われたとはいえ、なんか展開に起伏がなく
飽きる。
身内が攫われたけど普通に競技をしてた気がして、これはやりすぎYouTuberを揶揄してるのかな
パルクールも泡の上を渡ってるの?それだともう身体能力が凄いのか異能力なのかなんかよくわからなく。

パルクールの動きを取り入れたのなら反則スレスレでバトルしたり
そのむかつく敵が最後主人公達を助けるために犠牲にとかならもっと熱かったのかも。

作画が良かっただけに残念。。

※なぜ面白くないかを分析してるwebの記事もあってビビりました。こういうの普通書かないのにね。

投稿 : 2023/07/17
閲覧 : 76
サンキュー:

2

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

心地よい「破滅」

「進撃の巨人」や「王様ランキング」、そして「スパイファミリー」と話題の漫画のアニメ化を多く手がけてるWITSTADIO制作の初オリジナルアニメ映画作品です。

世界観は東京の中央に謎のバブル(泡)状の物体が突如現れたことにより、都市部の機能が低下し無人状態になった世界が舞台の「ハードSF」です。似たような作品にSF小説でJ・G・バラードの「沈んだ世界」「燃える世界」そして本作が一番元ネタにしているだろう「結晶世界(The Crystal World)」があります。これらのJ・G・バラードのSF作品に共通して言えることは、人間社会が突如の「相転移」をすることによって緩やかに文明が「破滅」していくというデストピア小説の先駆け的な作品であり、映画でも旧ソ連の映画監督アンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」(1979年)や、近年だとハリウッド映画監督のアレックス・ガーランドの「アナイアレイション -全滅領域-」があります。

実はJ・G・バラード(ジェームズ・グレアム・バラード)以降こういう題材の小説や映画はよく作られており、あのポストモダンホラー小説家であるスティーブンキングも「Under the Domeアンダーザドーム(2009年)」という小説で書いているくらいメジャーな内容ですが、今回のこの「バブル」では主人公とヒロインとのボーイミーツガールが主軸で動いているので、そこまでディストピアな感覚はありません。

個人的に多くのSF作品を観てきた中ではそこそこ出来がいいので、SFアニメが少ない日本の状況から考えると、非常に良く出来たSF入門的な作品だと思いました。作画もなかなか綺麗でした。

しかし、今敏の「パプリカ」や押井守の「攻殻機動隊」、その他巨匠のアニメ作品に比べると脚本や演出においてもやや見劣りしてしまう気がします。

追記:脚本に虚淵玄って書いてありました。wどうりで往年のSFっぽいわけですね。

投稿 : 2023/06/19
閲覧 : 343
サンキュー:

11

ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 1.5 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

泡沫の夢

東京が泡に沈んだ話

もちろん楽しみにしてました。と、いっても作画も主題歌も声優も監督も見てなかったのですが、なにより劇伴が澤野弘之さん!!!!!!!!(強調)
普段全くと言っていいほどヨウツベを使わなく、今現在私が登録しているのは「澤野弘之」「ガンダムチャンネル」「プラバン」の3つです。それくらい好きな澤野弘之さんが劇伴を担当される、ということで「よっしゃじゃあ見てやろーじゃないか」
結論から言いますが、「澤野弘之さんの必要あった?」もちろん澤野弘之さんだからこその効果も十二分ありましたが、正直キルラキルやプロメアの様なド迫力なバトルもなく、UCや進撃の巨人の様な壮大な場面もなく、澤野さんでないといけない!みたいなのは感じ取れませんでした。

まあ劇伴だけで作品を語っちゃいけないですから、これからは内容にも触れます
正直そこまで好きじゃない。別に嫌いでもないですが、神かカスか問われれば迷わずカスの方を選択するくらいには面白くなかった。
主人公の成長物語ともとれるし、パルクールアニメともとれるし、社会的構図を模している(後述)ともとれるし、人格的要素(後後述)ともとれるため、多角度から見れる作品、といえなくも無いがそれのせいで内容がひっじょうに薄い。意図的に普遍を作ったのでしょうが、個人的には刺さらず、表現方法としては褒められるものかもしれませんが、物語的な面白さで言うなら下。
ピカソの「女」の表現の面白さは理解してもだからといってあんな高額な理由が分からない(個人談)のと同じ感じです。最近の絵師の構図とか何も無いただのイラストの方が価値があると思う(個人談)のと同じですね

そこまでお勧め出来ませんので暇な方は澤野さんの名前だけ覚えて見てください

{netabare}
謎の泡により物理法則がめちゃくちゃになった東京にて命懸けのパルクールで賭けをする主人公は少女(ウタ)に命を救われる。なんやかんやで人として成長した主人公はウタが泡現象の元凶故にの中心地へ行ったと聞き、ウタを取り戻し、泡現象を終わらせる。同時に元凶であるウタも消失したが主人公は今もパルクールをしている

あんだけやっといて結局「少年が世界を巻き込んで成長をした」という何とも新海な作品。いや新海誠は全く関係ないんですけどね。

(個人的に)非常に薄い(と感じた)内容ですが、考察がしやすい作品だったかな、という印象。上手く言葉に出来なかったのですが、nyaroさんのレビューが非常にわかりやすく言語化してくださっているため、是非ご覧ください
https://www.anikore.jp/review/2238363/
{/netabare}

澤野弘之さんと作画を見に行きました

投稿 : 2023/03/27
閲覧 : 115
サンキュー:

3

ゆーしゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

作画と動きすごい!

ヌルヌル動くキャラがすごいです。
みてて飽きなかったです♪

投稿 : 2023/02/25
閲覧 : 92
サンキュー:

1

aRrWb49207 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

作画だけは

パルクールアクションの躍動感やら美麗な世界観は伝わってきた。
話は正直イマイチ。ボーイミーツガールとかスポーツやら詰め込んで薄味にしただけ。

投稿 : 2022/11/04
閲覧 : 117
サンキュー:

0

ネタバレ

ソース さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:----

予定調和

圧倒的アニメーションクオリティと劇伴、この要素のみで劇場に行く価値はあったと思う。

そして肝心のストーリーに関しては{netabare} 中盤に"人魚姫"という話がピックアップされる {/netabare} のだが、それが今作のモチーフだと非常に分かりやすく、オチも読みやすく予定調和な感じに...

それでも面白ければ良いのだが、全体的に詰め込み気味で感情移入しきれていないので終盤の展開にも乗り切れない感が...物足りなさを感じた。

また、所謂セカイ系の作品である今作は"天気の子","新世紀エヴァンゲリオン"などを彷彿とさせ、それらの既視感も否めず。

虚淵さん脚本だからある程度期待していたが既視感,予定調和,詰め込み気味など気になる点が多く、あまりハマりきれなかった。もっと良く出来た気がする。オリジナリティーが弱い。


広瀬アリスさんの演技も...あ、あんまり...

投稿 : 2022/07/05
閲覧 : 186
サンキュー:

5

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

超豪華な佳作。作画は美麗だけど、ボーイミーツガールで肝要な交流掘り下げが弱い

100分ほどの劇場アニメ。廃墟と化し謎の泡に包まれ重力異常起きている東京を舞台に、少年とヒロインが障害物競争みたいな競技する。

【良い点】
世界観が凄い。水没、謎の泡や異空間の渦?ビルや電波塔の鉄骨や建材が重力異常で宙に浮いている…
ファンタステックな舞台設定だけで引き込まれる。
作画が素晴らしく、奇妙奇天烈な廃墟や、廃墟を縦横無尽に駆けるアクションは外連味抜群。
ヒロインのキャラデザも可愛い。

ストーリーは分かり易く、主軸の人魚姫モチーフのボーイミーツガールもまずまず。
ウタちゃんは泡から生まれたばかりで無垢で無知、野生児みたいな可愛さ。
主人公ヒビキと互いに仄かに惹かれ合っていくラブコメが微笑ましい。
グループの姉ポジなマコトに少し嫉妬してたり、分かり易く可愛かった。
ヒビキに触られると泡になってしまう体質?と、競技の過程で手を繋がざるを得ないシチュエーションを効果的に活かした見せ場も良い。

泡は何なのか?ウタは何故生まれたのか?敵の企業は一体?
云々の細かい外部設定には踏み込まない適当さはむしろ悪くない。
気にはなるが、物語的にどうでもいいので。
本作の分類はセカイ系ではないが、物語の見せ方としてはセカイ系寄り。
少年少女の関係性を重視して、世界観は舞台装置と割り切る、自分好み。

敵チームが心持たぬAIなので、この手のスポーツ物にありがちなライバルの嫌味が皆無なのも良い。
また、ウタが無から感情や愛を学んでいくのと、心持たぬ敵AIを対比させている。
作劇を単純化してボーイミーツガールに集中させつつ、人魚姫の無償の愛をより分かり易く描いた。

主演のふたりは本職ではないが問題なし。
楽曲面は主題歌がテーマに沿っており、音楽を作劇に活かすなど手堅い。

【悪い点】
手堅く纏まってはいるが、淡泊。あまり盛り上がらず。
主要キャラクターも悪くないキャラ付けではあるが、仲間との交流掘り下げが薄く良きチーム感が乏しい。
リーダーがヒビキのジャンプ台になった以外はメンバー活躍してない。
敵勢力がAIなのは不快さが無い反面、盛り上がらない要因。
またラストレースがマコト姐さん攫われてというのもマコトには悪いが微妙。
「トライブナイン」とかで定番の展開だが、淡泊。

空中廃墟の障害物競走に関しても、映像は素晴らしいが、競技としての工夫やハラハラ感はそこそこ。
「プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ」みたいな架空障害物競技系だけど、面白く魅せるには映像以外の要素、チームワークや戦術などが必要。

主人公もヒロインもコミュ力低いのと、あまり内面の掘り下げが無いので、感情移入しづらい。
ウタがゼロから色々学び恋をするのは良いが、最初と最後以外の途中経過が不十分。
少しずつ感情が芽生え、好きな男の子と触れたら消えてしまう、おいしいヒロインだったのに、殆ど活かせていない勿体無い。
ヒビキの境遇やウタとの出会いも弱い。
音楽を軸にした関係も、印象に残るには弱かった。
総じて主軸のボーイミーツガールが弱い。主人公ヒロインのキャラが弱い。
何となく影響を感じる新海作品「君の名は」「天気の子」のヒロインの魅力と比べると差が歴然。
ボーイミーツガールは両方大人しいと地味になりがち。
(この話題でガサラキを引き合いに出すロボットアニメ好き)

人魚姫の寓話を前面に出し過ぎて、些か説明気味になってしまっているのも惜しい。
人魚姫モチーフなのは初期の描写で十分分かるので、以降は映像や情緒的な悲恋で見せてほしかった。

本作に込められたテーマや意匠に関して、他論客の方々が素晴らしい考察や分析をされていて、そういう部分を汲み取れるか否かで評価が変わってくると思われ。
自分は専ら重力異常廃墟レースとボーイミーツガールの二本軸しか見ておらず、それ以外のテーマは重視出来ず。
現代社会に対するメッセージ云々は正直興味が無い。
自分のようなタイプの視聴者にも否応なく伝わる程のパワーは無かった気がする。

【総合評価】5~6点
世界観とアニメーションのパワーで水準以上には楽しめたものの、内容は平凡寄り。
駄作ではないけれど、超豪華な割には佳作止まり。
評価は「良い」

投稿 : 2022/06/24
閲覧 : 179
サンキュー:

4

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ささやきは物語の終わりに

ある日、世界中に降泡現象と呼ばれる "泡" が降り注いだ。
それは {netabare} 地球外生命体であり、重力に干渉し、意思を持つもの {/netabare} だった。

HSPと思わせる少年が、東京タワーの展望デッキで聞き留めたのは "不思議な旋律" 。
それを発していた "一つの泡" が、少年の意思を見留め、やがて二人は接触する・・・。

物語の始まりは、出会うはずのない、すれ違って当たり前だった二つの意思が、偶然にキャッチしあった、消えかけてしまいそうに微かなコミュニケーションでした。

それを SFチックなファンタジーものとして昇華し、いろんなアイテムを駆使しながら、隠喩的メッセージを送り出してきている。
そんな印象でした。

てすから、受け取り方は、たぶん人それぞれの解釈で良さそうです。
私の視聴直後の感情をひと言にするなら、「Cool Romantic!」でした。

~    ~    ~

キャラの軸としては、少年のヒビキ、 {netabare} "泡" が人格化した {/netabare} 少女のウタ、研究者のマコト、彼らをサポートするシンの4人のように思いました。

彼らは降泡現象が創り出した巨大なドームに寝ぐらをしつらえ、若い熱量をパルクールに跳躍し、鋭気と英気をぶつけ合っています。

設定は「アニメ・デカダンス」にどこか似ているかも知れません。
{netabare} 閉ざされた空間、重力コントロールバトル、自己利益の輩、真理の追求、魂のふれあい、そして環境負荷としてのディストピアがふんだんに盛り込まれています。{/netabare}

ヒビキとウタは、パルクールや日々の生活を通して、それぞれの隔たりを縮め、言葉を探しながらお互いを尊重していきます。

実は、なぜ世界中に降泡現象が起きたのか、そしてなぜ東京にだけドームがあるのか、作品には説明がありません。

でも、ある日、ウタが「絵本・人魚姫」に興味を示すことから、物語に大きな方向性をもたらします。

「人魚姫」ならワールドクラスのファンタジックラブストーリーだと誰もが直ぐに分かるでしょう。
そしてどういう結末を迎えることになるのかも、思い描くことになるのです・・・。

惹きあう心が、相手の幸せを願ったとき。
響きあう気持ちに、互いの想いが触れたとき。
引き裂かれる激情に、身を焦がし、捧げたとき・・・。

何を胸に残すことになるのか。
深い余韻が終幕に待っています。

~    ~    ~

あと一つ。
急激な環境の変化が描かれていますから、現在の地球環境への社会的負荷の増大が念頭に置かれているのは明らかです。

それに対して、若者たちが、警鐘する声を挙げることはできても、政治に参加できない閉塞感と、大人への不信感が、本作の伏線に滲んでいます。

"泡" と "渦" とが示唆するものを、バブル経済と社会的奈落というリアリティーと、宇宙の原子のはたらきというミクロや、破壊と再生という壮大なマクロへとつなげて、{netabare}「じゃあね、またね。」{/netabare} とウタの気持ちを歌うEDにまとめていきます。

東京のあちらこちらに佇んでいるようなウタの姿は、ようやく最後になって、明々と、でもどこか遠望する優しさで、せつと訴えかけてくるのです。

泡沫とはウタカタと読みますが、たとえ泡のような人生に見えていても、ふとした出会いにも恋は芽生え、全身で愛に生きる日常は、街のそこかしこにはあるものだと受け止めました。

そして多様性を認め合う未来への "訴え" を、ウタカタの先へと届かせなければならないのだろうと感じます。

~    ~    ~

ウタと人魚姫。
憧れにすれ違ってしまうストーリーは同じでも、全く違う解釈が作品には込められています。

そのヒントは、この数ヶ月〜数年の身近な世相に見え隠れしています。
力による一方的な現状変更を強いる群勢に、本作の泡群の振る舞いを、つい私は重ねてしまうのです。

意思を通じ合わせられるものなら、命を煌めかせる恋、燃え尽きるほどの愛に、魂を響かせる関係性であってほしい。
そう思うと、直後に感じた「Cool Romantic!」は、本作にあまりふさわしくないのかも知れないと思いました。

また、今に響かせたいのは、加虐する銃砲の音ではないし、被虐に倒れる断末魔の声でもありません。
人魚姫がモチーフであればこそ、人間への憧れを汚すようなリアルな現実に、想いを強く馳せることも大事なように感じます。

ちなみに、ちまたに不評を言われるような作品ではないと私は思います。
むしろ劇場のスクリーンにこそ、本作の真骨頂が描き出されるように感じました。

どうぞ映画館に足をお運びいただき、「 Cool Romantic 」とは違うあなた自身の言葉を、物語のなかに見つけてみてください。



おまけ。
{netabare}
ほとんどの映画館で、本作は上映が終了しています。
「もう一度スクリーンで」との願いは、もう難しくなってしまいました。

人肌感にも戸惑うウタとヒビキの心情は、「人魚姫」の物語をたどることでどうにか窺い知ることができます。
個人的には、それでも満足できているのですが、もう一方では、SFものとして成立している本作です。
本作への批判、問題点はそこにあるのでしょう。

いったい、どんなやりとりが、"ウタと泡" との間にあったのか。
禍々しい泡や、異常な重力場に狂う街を、どのような概念や定義で共有し、また包摂すれば、ヒビキへと取り戻せたのか。
その描き方があんまりにも弱いです。

宇宙空間で起きる銀河星雲の衝突は、スターバーストと呼ばれています。
それに匹敵するのが、二人が惹き合う想いの強さだろうし、躍動する構図なんだろうなと思うのです。

それなら、ウタが消滅する必然性としての明確なスキーム、納得できる落としどころが、物語の骨格としてあらねばならないはずです。
でも、残念ながら、そのコアとなる十分なアニメーションが見当たりませんでした。

もしかしたら尺不足が背景にあったのかもしれません。
結果的にですが、ウタに固有する意識性と、泡の集合知の目的意識性とが "画然としたままに切れてしまった" という受け止めになりました。
そこを描かなかったのは、とてももったいないなと思いました。

~    ~    ~

そこでいよいよノベライズに "答え" を求めました。
ライターは「響け!ユーフォニアム」の武田綾乃さんです。
それなら、これは読んだほうがいいに決まってます。

その一文一句は、劇場スクリーンのスピード感のままに、優れて魅力的でした。
加えて、監督の荒木哲郎氏が、以下の主旨を解説文にお書きになられています。

"虚淵氏が設定した泡の正体、目的が、アニメではほとんど伝えられなかったものを、武田さんは、言葉としてしっかり伝えて下さいました。"
"アニメとノベライズの、ふたつで一つの作品なんですね。" と。

全くそのとおりに感じました。
アニメをご覧になられた皆さま方。
後追いで全然大丈夫ですので、どうぞご一読くださいませ。

SF設定を埋めるピースとしては、スッキリできると思います。

~    ~    ~

本作は『人魚姫』をモチーフとし、リスペクトしています。
なれば、"プレスティージロマンティック" に匹敵する、相応の "グランドデザイン" や "スキームポリシー" が対峙するべきなのです。

そうでなければ、導かれるビジョンに翳りが残ってしまうし、アレゴリーとアクチュアリーへのアプローチに曖昧さが生じてしまいます。

ロマンティックとサイエンティフィックから芽生え、微かに伝わってくる泡のように淡いメッセージ。
それをすくい取ることが、一番大事なんだろうと思っています。

{/netabare}

投稿 : 2022/06/22
閲覧 : 302
サンキュー:

15

Tomo-Q さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 1.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

もったいない

あらすじを工夫すれば新海誠クラスのヒットになれたと思う。
せっかく作画が優れいているのに、あらすじのひどさが、
作画の良さを痛々しくさせてしまっている。
ようするに、もったいないなーっというのが感想の大部分。

投稿 : 2022/06/09
閲覧 : 155
サンキュー:

0

ネタバレ

かかのん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

いろいろ詰め込みすぎて勿体ない…

個人的には好きな作品でよくここでも書くんですが勿体ない。

作品のおけるバブルの意図と意味が後半になるつれ効かなくなってくる。
主人公とヒロインの1stコンタクトが綺麗だが実は弱い。

パルクールと閉鎖東京の生活感を描こうとしてるんだから何か行動する時に
独自の足かせとか?もっと入れて「ああ大変だけどここで頑張って生きて
るんだ」が欲しいかも?

パルクールって楽しみ意思表示だけなの?アンダーテイカーの方が外部に
配信して金を稼いでスポンサーから装備提供されてってそっちの方が
現実的だし世界感で観たいかも?

もっと歌とウタのエピソード入れて欲しいし泡から人間になった
(そうだよね?ここも分かりづらい)理由と意思をヴィジュアルでハッキリと
見せて欲しかった。タワーで触れ合った!とか抽象的な描写じゃなく!

色々文句書いたけど技術力も絵も凄いしアニメーションも凄いので見てて
楽しかった!ネトフリで大画面液晶使って見たけど劇場でみるべき作品です。

見せ方や設定や若者群像が「君の名は」と「天気の子」を足して割った感じで
別に良いんだけども一つも勝って無いのが残念。
いっそ人間を泡するバブルが充満する放置された東京で企業のデータ回収や
車でも残ったジャンクを回収しながらパルクールをネットで配信する
イカレタ若者集団!っていう単純な構成で良かったのかも?

令和のメガゾーン23で?あっちも歌姫だしw

良いアニメーションですが。どこかで観たような既視感を無視して
何となく観るのがお勧めかも?

投稿 : 2022/05/31
閲覧 : 142
サンキュー:

3

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

凄い作画

作画が良ければ良いじゃない?
とそう思いました。
カバネリの監督と知って納得。
新海誠さんの作風に近いけど、
映像面でのこだわりの幅が広い。
日常芝居を生かすためのシーン、アクションを生かすシーン、背景を生かすシーン、色を生かすシーン、3Dを生かすシーン、特効を生かすシーン、撮影を生かすシーン、
各々のスペシャリストが引き立つ場所が何か所もあって、見合った布陣が揃えられる現場なら、これほどクリエイター冥利な演出家はいないでしょう。

内容や映像から受ける印象は革新的ではないものの、映像のクオリティは間違いなくそれらを凌駕しています。

裏を返せば、作中での盛り上げポイントが分散しすぎており、まとまりが無く感じてしまう。同じ内容を繰り返している。随分と擦られた内容で目新しさがない。などといった問題が起きているわけですが、まあその辺は受け手側の問題でしょうか。

声優や歌はやや残念でした。

投稿 : 2022/05/29
閲覧 : 190
サンキュー:

5

ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

このまま「じゃあね」で終わるの?この宇宙が紡ぐめぐりあわせは、いつかきっと「またね」につながるよ・・・。

劇場で観ました。
まず、エンターテインメントとして、純粋に面白かったです。
最初から最後までテンポよくてハイテンションなストーリー。
それをきれいな映像で繋ぎ 、おしゃれでビートが効いた曲で盛り上げます。
ただ観ているだけでも、とても楽しい作品でした。

この物語は、空から突如降り注いだ泡「バブル」により重力が壊れた東京が舞台です。
この「バブル」とは、いったい何でしょうか?
公式ホームページには、「未知の生態」とだけあります。
この物語の中でも、それ以上のことについては、具体的には語られません。
しかし、圧巻の映像美が情報不足を補って余りあるものでした。


■「未知との遭遇」の音階言語と「バブル」のハミング
{netabare}
この作品を観ていて真っ先に思い浮かぶのは映画『未知との遭遇』です。
スティーヴン・スピルバーグ監督の人類と宇宙人のコンタクトを描いた映画です。

『未知との遭遇』のあらすじを少しだけ
{netabare}
世界各地で不思議な現象が発生します。
それと同時に「5音」からなる不思議な歌が聞こえるようになります。
人々は、その不思議な音に誘われているように感じました。
そこで、これはなんらかの音階言語なのではと解析を進めます。
その結果、地球上の経緯度だと分かります。
そして、その場所を訪れると、巨大な宇宙船が現れます。
人々は、音階言語で交信を試みます。
すると宇宙船からも音が発信され、一つの音楽となり鳴り響きます。
交信に成功したのです。
そして、ついに人類は、宇宙船から現れた宇宙人に会うことになるのです。
{/netabare}


この「バブル」でも、同様に音階言語が使われています。
これは「ハミング」と呼ばれ、「4音」で構成されているそうです。
この物語では、主人公がこの音階の鳴る方に誘われていきます。
そして、「バブル」と遭遇するのです。

未知の生態とのコンタクトに音階言語を使うのは夢があっていいなと思いました。
{/netabare}


■「にんぎょ姫」
{netabare}
この物語のモチーフになっているのがアンデルセンの「にんぎょ姫」です。
公式ホームページにも翻訳版がフルに掲載されています。

この物語では、モチーフと言いつつ、実は、大切な部分はそのままです。
それもそのはずです。
物語の中でもこの「にんぎょ姫」を語りつつストーリーが進行するからです。

ハミングに誘われた主人公が遭遇した「バブル」は、少女にその姿を変えます。
少女の名前は、「ウタ」。
そして、主人公の名前は、「ヒビキ」。

「ウタ」が人類とコンタクトをとるのは初めてです。
最初は、言葉を話すことはできません。
でも、本を読んでもらい、言葉をおぼえ、話せるようになります。
その時に読んでもらった本が「にんぎょ姫」でした。
「ウタ」は、それがまるで自分のことのように思えるようになります。
そして、主人公を王子様に重ね、彼に恋をし、彼の世界を愛すると決めたのです。

しかし、「にんぎょ姫」は、ハッピーエンドではありません。

「にんぎょ姫」のラストは以下の語りかけで終わります。
{netabare}
「「にんぎょ姫、あなたの美しい心は、さまざまな苦しむ人々をいやし、
 幸せをもたらすでしょう。
 そして、あなたは天の門をくぐり、三百年の命のかわりに、
 永遠の命を手に入れるのです。」
 にんぎょ姫の魂は、終わりのない大きな愛となり、
 空高くのぼっていったのだった。」
{/netabare}

そして、この物語もまた同じ結末を迎えるのです。
「バブル」とは、本来、人類に危害を与える存在、いわば敵です。
しかし、「ウタ」は、主人公とコンタクトをとったことによりその考えが変わります。
「ヒビキ」とその世界を守りたいと思ったのです。

もちろん、「ウタ」は、「にんぎょ姫」のラストを知っています。
それでも、覚悟を決め、自分を犠牲にすることにより、この世界を守ったのです。

結構、ウルウルきちゃいました・・・。
{/netabare}


■「じゃあね、またね。」と「崩壊と再生」
{netabare}
「じゃあね、またね。」は、エンディングテーマ曲です。
「崩壊と再生」は、この物語のテーマです。

「ウタ」は、最後、泡に戻り消えてなくなりました。
もう主人公には、会うことはできないのでしょうか・・・。
このまま「じゃあね」で終わってしまうのでしょうか?
そして、「またね」は、永遠にやってこないのでしょうか?

ここからがこの物語の面白いところです。
他のどの物語でも描かれていないスケールで「またね」を語ります。

残念ながら「ウタ」と「ヒビキ」は、この世界で会うことは叶いません。
でも、また会うことができるのです。

それは、「来世」でしょうか?
そもそも、「ウタ」は、人類とは違う未知の生命体。
人間にしか通用しない輪廻思想なんて持っていません。
もっと、科学的でスケールが大きいことです。

私たち人類はおろか、この宇宙空間内の物質は、元素で構成されています。
また、この宇宙では、ビッグバン以降、「崩壊と再生」を繰り返しています。
その中で、私たちの身体を作る元素は何度も集まり、星となります。
そして、燃え尽きては収縮し、放出され、また、繰り返します。
それは、まるで「泡」を作って混ざり合い、やがて分かれるようにです。
それこそ、「ウタ」が手を突っ込んだ鍋の中で泡がブクブク煮えたぎるお湯のよう。

「ウタ」と「ヒビキ」は、別の星の生命体です。
でも、同じ宇宙にいることには変わりありません。
二人の身体が朽ちたとしても・・・、
その元素は、「崩壊と再生」を繰り返す中で再び巡り合える可能性があるのです。


そればかりではありません。
時間や空間も元素と同様にビックバンで生まれたと考えられています。
絶対的なものではないので、時間と空間は、飛び越えられるものであるかもしれません。
また、この宇宙の過去、現在、未来のすべての出来事は、
「波動」として、ホログラム的な構造で量子真空上に保存されている説もあります。
「魔法少女まどか☆マギカ」の最終回で「まどか」が語っていたことです。
もし、この説が正しければ、前世の記憶や生まれ変わり(輪廻)、タイムリープ、
シンクロニシティ、集合的無意識等も説明できるかもしれませんよね。

今回、初めて出会った二人だって、昔どこかで会っているかもしれません。
それは、元素レベルかもしれません。
もしくは、量子真空上の過去、現在、未来の交差点かもしれません。
「ハミング」がどこか懐かしく感じるのは、そこに理由があるのかもしれません。
二人の出会いは「未知との遭遇」ではなく、すでに出会っていたのかもしれません。

いずれにせよ、この宇宙にいる限りは、再び巡り合うことができる可能性があります。
「じゃあね」と「またね」がつながるのです。
夢がありますよね。
{/netabare}


■まとめ

この物語のラストは、「にんぎょ姫」のラストと同じです。
そして、これは、「魔法少女まどか☆マギカ」の最終回に近いものがあります。
どちらも虚淵玄さんが脚本されているので根底にあるものは同じなのだと思います。

確かに、この物語は、内容的には少し浅い部分があるのは否めません。
でも、それは、あくまでも表面的な部分のことです。
それよりも、この物語の裏に広がる世界観は、それこそ宇宙のように広く奥深いです。

「めぐりあわせ」の裏には、宇宙がある。
そして、過去、現在、未来の時間の流れの中でめぐりめぐって、まためぐりあう、
そんな、スケールの大きさを感じさてくれる作品でした。

「まどマギ」のような思想が好きな方は、きっとこの物語にも共感できるでしょう。
この宇宙に思いを巡らせていると、なぜか懐かしさも感じる、そんな物語でした。

投稿 : 2022/05/25
閲覧 : 238
サンキュー:

20

さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.0 作画 : 5.0 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 1.0 状態:観終わった

作画の暴力

まじでなにがいいたいのか全くわからんストーリー

作画見せつけてどやぁ!?って言われてる気分になる映画
中身がなさすぎて、勿体なさすぎて辛かった笑笑

改めて脚本、構成の大切さを思い知らされた作品になりました

投稿 : 2022/05/24
閲覧 : 202
サンキュー:

4

イザヤ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

もったいない

キャストを見た時これは絶対バズると思い,ムビチケを購入しました。しかし,ネトフリでの評判を見たら正にバブル,1500円が弾け飛んだと思いました。しかし酷評を見て覚悟していたためか普通に楽しめました。少なくとも,2時間を無駄にするということはないと思います。内容に批判する点を言えば,感動の要素です。おそらくここで感動してほしいんだな,という場面で感動できません。また,設定が若干無視されているところも気になります。それと広瀬アリスさんの声が少し気になりました…澤野弘之さんの楽曲と作画はとても良かったです。特にPARKOURの流れるシーンは何度でも見たいです。約束された作品がこのようになったのも,評判に左右されて視聴しないのももったいないです。

投稿 : 2022/05/21
閲覧 : 233
サンキュー:

1

ネタバレ

てぶくろ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

ちょうど0になるよくできた数式を見た感じ

 {netabare} 有名な監督、有名な脚本家、有名なプロデューサー、有名な漫画家のキャラデザ、それらを全面に出す広告のアニメ映画は残念になりやすいという通例がありますが、この作品も例外とはなりませんでした。

 足を引っ張りあっている。なんてことはありませんし、それぞれの良さも要所要所ありました。しかし、お互いがもつ特性を掛け合わせ最後までいったらちょうど0になった。そんな印象です。

 映像はキレイ、背景・美術も素晴らしい、世界観も興味を引く、動きもダイナミックで迫力がある、キャラに愛着を持たせる為の日常描写や話のツボも押さえてある。なのになぜか不思議と面白くならない。

 パルクールの映像美も、三度四度と繰り返されると 凄いのはわかったからストーリーを深めてくれ… と思いました。

 そしてこのパルクールなんですが、監督と制作会社から 「進撃の巨人」の立体起動を想起させます。 もちろん、その時に培われた技術がこの作品にも活きているんでしょうが、なんというんでしょう…当て込み感が否めないですよね。
 
 「進撃の巨人」では巨人を倒すシーンを盛り上げるための あのカメラワークや人体の動きでしたが、この作品では 「そういう動き」が得意だからパルクールという要素を入れよう。という魂胆が透けて見えたのも私の琴線に触れなかった理由の一つかもしれません。

 それでもやっぱり映像は凄かったです。{/netabare}

投稿 : 2022/05/19
閲覧 : 219
サンキュー:

3

ケマ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 1.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

個人的にはヒロインの声が

ヒロインの声に違和感がありすぎて、物語に集中できませんでした。
それ以外はとても良いんですけどね。

投稿 : 2022/05/17
閲覧 : 176
サンキュー:

0

ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

浮き彫りにしたのは受け取った側の人達

【まえがき】
 これと攻殻機動隊2045を観るためにNETFLIXに再入会したのだけれど、攻殻はまだ先のようだったので、しょんぼりしつつ、バブルを観ました。
 WITstudioさんは背景を動かしたりするのが上手くてカメラワークがとても楽しい。実写では再現不可能ではないかと思われる技術力ですね。もっとも、実写の世界で3D背景を基にした2.5次元的な使用方法であれば再現できるかもしれないのですが…。


【あらすじ】
 昔、爆発があった
 この宇宙は爆発で生まれた
 昔、爆発があった
 この星は爆発で生まれた
 昔、爆発があった
 この生命は爆発で生まれた
 そしてまた爆発が起こる
 これが我々の目撃する最後の爆発になる
                【ゲーム:DEATH STRANDINGより引用】
 
 東京に泡が降った、それは爆発の兆候で、爆発は東京タワーの近くつまり東京のど真ん中で起こった。
 しばらくして、世界は元に戻ろうとしているが、この周辺だけ泡が降り止まずその範囲は封鎖されることになった。その中は特殊な環境で重力が少なくなっているようだった。
 そして、数年が経ちそこは居場所を失くした少年少女の住処となっていた。
 その中で貴重な物資を掛けてパルクールでバトルをするバトルクールが生活の一部となっており、一喜一憂する毎日だった。
 そんなある日、ヒビキは爆心地となった東京タワーを目指してパルクールをするも、失敗に終わり、落下してしまう。
 ヒビキを助けたのがウタという謎の少女彼女の出現により、世界は彼に違う一面を見せ始めるのだった。


【レビュー】

◆モチーフ
 公式のHPで読める虚淵さんのコメントに人魚姫をモチーフにして、人魚が泡になるを泡が人魚になるっていう着想を得てそこからスタートした物語だそうです。
人魚姫=人魚→泡
バブル=泡→人魚→泡
 ただのモチーフにとどまらず、テーマ性を組み合わせて、一歩すすんだ形で物語を形成させることに成功している。(テーマ性については後述してあります)これにより、作品の中で何度も繰り返し表現されていた、輪廻という世界の仕組みに触れることになる。( {netabare} 気付けない人の為の優しさと思っておく {/netabare})
 この輪廻を世界という広い視野から見ると、デスストランディングのオープニングでも語られるように、まずは爆発があったから始まる。爆発により世界(宇宙)は生まれ、星が生まれ、ブラックホール(渦)が生まれる。

 泡は液体であり、個体でもありえる。また、気体が無いと存在できない。これは人間も同じように思われる。ウタが現れる時に泡がヒビキから出たあわと混ざり合い、細胞分裂し始めるのは面白い表現でした。


◆隠喩としての渦≒災禍
 テーマ性を語る前にここをおさえておくと良いかもしれません。
 物語のなかでも爆発の後に残ったものが泡より沈んだ東京のど真ん中に発生している渦です。
 そして、東京タワー。爆発の中心となった地点にあるブラックホールのような渦です。
 これが何を示すのか…がテーマ性に直結します。ここには風化させている人を浮き彫りにする刃が隠されていて、そこに私は傷付き、感動してしまった。自戒を込めて。

◆テーマ性
 最初に断っておくと勝手な私の受け取り方なので、異論は認めます。

 現代の日本において一番影響を与えた爆発は、まず第二次世界大戦における広島、長崎の原子爆弾。
 これにより、広島、長崎はおろか日本という国の魂のようなものが、爆散してしまいました。
(このあたりを描いた作品としては、『この世界のさらにいくつもの片隅に』がベスト映画です)
 しかし、日本はそこから復興し世界の1位2位を争う経済大国にまでなりました。
 次にバブル景気。爆発的な好景気に見舞われ、膨れ上がり爆発し崩壊した。
 これはここに至りデフレ日常化したことにより、夢幻泡影のごとく無かったものとして今を過ごしている。現状復興できていないと言えますね。
 次に福島原発事故ではないでしょうか。
 これにより、避難指示区域の人々は土地を離れるしかなくなってしまった。これは『バブル』で起きた爆発により東京が立ち入り禁止になってしまった世界と私には重なって見えました。
 物語では“そこに住み着いた人々”=“世界が非日常になり、社会からはみ出してしまった人々”=世界のゴミ=星の原料となる窒素や水素などのガス=原子や分子→新星爆発→星の誕生→生命の誕生…と輪廻する。
 このような関係性を見る事ができるように思われます。
 さらに深層へいくと、生命はDNAという螺旋(ここでも渦が)からGEMEでつながりが現わされる。

 物語の後半では、再度爆発の予兆がみられる。
 人にとってはもう二度と繰り返したくはない爆発を目の前にしてもなお、救いたい人がいる主人公達はこれを止める為爆発の中心へ。
 ヒロインを救い出すことはできたが…モチーフの人魚姫同様に泡となり、爆発は形を変え、結果を変えた。風の精霊となった人魚姫のように。

 爆発は再生と表裏一体である。崩壊は再生と表裏一体である。
 ラスト主人公たちは、復興しつつある東京でも同じようにパルクールを楽しむ。これは、彼らが社会に復帰したことの示唆でもあるように思えます。
 そして、東京タワーは被災のシンボルとして再建中になっているカットで幕を引く。
 このラストは未来へ向けた希望だと感じ、感動させてくれました。

◆重層的な隠喩から読み解くメッセージ。
 この映画のテーマ性が見せる隠喩は、幾重からなる日本という国の再生の物語です。
 爆発と再生、崩壊と復興。
 上記で示したような出来事を見事に思い起こさせる隠喩の数々、実は重たいテーマを扱っているのに、この清々しさはなんだろうか。
 彼らは別に世界を救おうとか思っていない。ただ純粋に、ウタを救いたいという願いからなんだ。それを利用するしかなかった大人を描くことは、実はこの国はもう大人の出番は終わりで、若者が自分達のやりたい事をしっかり見つけ、成長しすることが再興への道なんだと示してくれていて、そんなメッセージが伝わってくるようではありませんか。。。もうおじさんだけれども。


◆マクガフィン
 ・パルクール
  なぜにこの競技を彼らがしているのか。
 1.理由
  唯一残された社会との接合は飲食などの物資でそれを争う方法が必要だった。特に必要な道具もなく、一番シンプルで正当な競争だったためだろうと思います。殴り合いや殺し合いで解決しないのは、彼らがまだ社会性を残している証拠であり、ある種同じ穴の狢という仲間意識もあると考えると割と自然に納得できる競技だと思います。
 2.意味
  無理矢理にでも、意味を付けるのであれば、パルクールは簡単に言うと障害物競走である。様々な障害を乗り越え、ゴールにたどり着く。
『高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな』的なノリなのかもしれません。
 また、躍動感は生命力の表現として機能し、テーマへの絡みも少し見える。
 とはいえ、舞台装置としての競技なので、代替は効くものだろうから、あまりなぜこれなの? ってしまうことで、思考がストップし、意味が理解できない=物語が理解できないは、逆にその考え方が私には理解できないのです。

 ・歌
  主人公の名前がヒビキで、ヒロインの名前がウタである。
  歌にはシニフィアンとしての歌詞とシニフィエとしてのメロディーとして考えると、この物語内では歌詞のある歌は聞こえてきません。つまりイメージの共有をウタにのせヒビキを聞き取る。歌は彼の三半規管(渦)にしか届かない。『あなたの脳内に直接語りかけています』のようなテレパシー的な能力を説明的にするため、また、主人公を特別な存在としての説得力を持たせるための道具としてモチーフに絡めて上手く利用しているように思えます。

 このマクガフィンもつまるところ代替可能のなので、シナリオ(脚本)次第では別のものになりえる。上手いことテーマに結び付けたり、モチーフを強化したり観客に分かりやすくしたりすることが目的としてあるんじゃないかなと思っております。
 個人的にですが、今回の脚本は虚淵さんが携わっているので、整合性とかとるのやっぱり上手いなって思いました。他にも脚本として参加された方もいますので、彼一人というわけではないのでしょうが、私の知識不足のため安易にそこに結び付けるしかないのは悪しからず。

 EDにて歌詞が付いたことで、ウタが我々の世界へ召喚されたのは記号とイメージの世界(社会)が融合したことによってなのかもしれませんね。

◆映像
 映像と副題にしたのは、つまり作画だけではなく、背景、3D、撮影、音楽を総合しての話だなーと思ったからです。
 とはいえ、映像に関してはよくわかりません。作画は普通に動画で崩れることはなかったです。
 特にスゴイのはカメラワークに合わせた作画ですね。
 角度が変われば、見え方も変わるつまり、描かなければならないわけで、アニメでは横や上にPANするは割と当たり前に使うし、TU(トラックアップ)TB(トラックバック)も当たり前に使われます。
 しかし、ティルト、サークルショットのようにパースが変化すると絵の全てを書かなければならないため労力は数倍になります。
 これを多用しているのがスゴイよねって話です。
 カメラワークがあるって事はその分背景の仕事が増えるその分撮影が恐ろしく複雑な仕事をしなければならない。って事ですね。

 また、撮影に関しては昨今どんどん進化しておりますね。
 『ViVi』において気持ち悪かった(技術ではなく演出的に)ハーモニー処理。
 本来は美術の領分だったのが、おそらく撮影でやってるんじゃないかなって思います。“それらしく”が“それ”になったという点とハーモニー処理で動く…だと? という点が新技術。特殊効果の類になるんだろうとは思いますが、一枚一枚に処理入れてるって考えるとスゴイ労力だなって思います。
 実際にどうやったのかは推測の域でもしかしたら全部背景の仕事かもしれませんが…。
 また、バブルの光の反射の処理とかもそうなんじゃないなかなって思って軽く鳥肌立ちました。
 本当に光の処理が上手いですね。最近では『明日ちゃんのセーラー服』で特殊効果とか光の処理とか上手いなぁ~やるなクローバーワークスって思っておりましたが、今イケイケなスタジオ(ufotableとか)はどこも撮影が強いんですね。


【あとがき】
 大抵私がレビューを書くときは作品に興奮した時や他のサイトでのレビューが酷くて理解されていないと感じた時などなのですが、今回は両方ですね。
 タイトルにあるように、このテーマ(合ってた場合)を感じとった上で、意味が分からないなどのレビューをしているのであれば、もはや風化してしまったのだと悲しくなる。また、規定された社会(法)の中では正しく、非日常となった日常に気づく事もなく過ごしている人がここに該当するんじゃないだろうかって思ってしまいます。
 そういった人たちが多くいるという感覚を与えてくれた意味をおいても、この映画の社会に与える影響はプラスにもマイナスにも働いていて、考えさせられました。

(すとーりーで感じたもの)
 などと、偉そうに書きましたが、一番胸を抉られたのは、科学者のマコトさんが泣いたところでした。どういう事が起こっているのか一番わかっている立場でありながら、彼らに真実を告げることをせずただ見送らせ。その結果に罪悪感を覚え涙する。見ていることしかできなかった、いや見ている事を選択した。そうするしかないと分かっているから。。。
 ここまで絶賛しているように読めるかもしれませんが、実はストーリーとしては面白くないです。
 人魚姫モチーフでヒビキとウタのボーイミーツガールを主軸にしてるので、そこだけをトリミングすると、大きな変化ってヒビキくらいしかなくなんか物足りなさを感じるかもしれないなと。
 しかし、じゃあどうすればよかったのだろうかと考えても、うーん…?
 ウタが犠牲にならなければならない事へのアプローチを厚くできればという感じですかね? ヒビキは助けたいという願いがありつつでもウタを犠牲にしないとまた爆発が起こってしまう、みたいな葛藤が彼にはないですし、周りも特にないので、何となく危険を冒してでも仲間を助けるんだ! っていう尊い精神性でしか感動を呼べない仕組みになってしまっていますよね。
 ただ、先述しているようにヒビキは純粋じゃなきゃいけないわけで、葛藤より考えが行動に勝手に出てしまうプロセスが大事だったりするかなって思うんですよね。うーん、難しい。
 なので、やっぱりテーマを見せて、メッセージを発信できているので、この映画はもうそこで成功だと言えるんじゃないでしょうか(放り投げ)
 なのでラストカットでの笑顔は私に希望を見せるが、それも深く傷つけられる。お前忘れてたんじゃないか? 再生させるのはお前達なんじゃないのか? と問われているようで、痛い。


2022.05.15 少し改稿

投稿 : 2022/05/15
閲覧 : 290
サンキュー:

11

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

【コメント辛目】若者の無茶を危険だと止めずに見守るのが大人の役割

劇場版公開前に武田 綾乃氏(『響け!ユーフォニアム』原作小説など)のノベライズで物語を押さえた上でのドルシネ鑑賞。

【物語 3.5点】
アニメーションの力を信じる余り、説明を削ぎ落とし過ぎて、鑑賞者が落下(フォール)する恐れ。

プロデューサー・川村 元気氏が荒木 哲郎監督作を一般層にも認知させたいと立ち上げた企画。
「降泡現象」により重力崩壊&水没した東京を舞台に、
近年のアクション映画で定番となったパルクールを、
より過激に競技化した「バトルクール」を軸に鑑賞体験をアトラクション化し、万人受けを狙う。

その上に現代版『人魚姫』を展開するが、
脚本・虚淵 玄氏によるSF設定の根幹も、主人公&ヒロインが恋に落ちる過程も、
言葉にせずにアニメーションで伝えようとするため、
一般受けを目指しながら、結局、何気ないカットから考察するマニア層じゃないと喰らい付けないミスマッチ感。

例えば泡(バブル)の正体についても……(※核心的ネタバレ)
{netabare}バブルは歌のネットワークで繋がったシャボン玉型の地球外生命体。
泡群体全体で一つの意志を共有した生命を形成。
宇宙を漂い、進化し過ぎた文明、生態系を発見しては浄化(リセット)し、宇宙の均衡を保つ。
調整者の役割を感情を有さず淡々と担う。
泡一つ一つは生物の細胞のような物で本来自我はなかったが、
その中の一つの泡が東京タワーにて泡群体の歌を捉えた少年・ヒビキを意識し自我と感情が芽生えヒロイン化(後にウタと呼称)。
ヒビキにいなくなって欲しくないウタは、泡群体の「お姉さま」たちに浄化の執行を猶予してもらう。
が、ウタ自身も、自我と感情いう“エラー”を生じたガン細胞みたいな物で、抹消の運命にある。
が、ラスト、{netabare}ウタは泡群体に自らの意志の優先を認めさせ、ヒビキと人類を残す判断を泡群体全体の意志に書き換える。(赤泡→青泡。バブルと人類の共存){/netabare}{/netabare}
などと小説版では詳述されますが、劇場版では映像での示唆が大半。

【作画 4.5点】
アニメーション制作・WIT STUDIO

浮遊する瓦礫や列車を飛び回り、時に足場が崩れたり、
泡(バブル)に至っては、踏んでみるまでどの方向に重力が働くか、弾けるか分からないスリル。
さらに水面に落ちたら生きて帰れない渦潮「蟻地獄」。
そこをパルクールでとなると高度なカメラワークが必須。
が、ここはWITも勝手知ったる立体機動。
自主練でスキルを積み上げたヒビキ、猫を彷彿とさせる野生児・ウタとスタイルを描き分けつつ、
東京のビル群をかいくぐる「バトルクール」映像はスクリーンで体感する価値あり。

ヒビキ&ウタが一言も交わさなくとも、共にパルクールで汗を流す内に、
恋に落ちていくアクション動画も、アンテナを張った人には感知できる。


泡(バブル)、球体、細胞、目玉焼き、星々、泡宇宙。

渦、巻き貝、ヒマワリ、ブラックホール、銀河系。

相似形による考察材料の明示はできているので、
誘導に従い思索すれば、方向性は間違えないとは思います。

【キャラ 3.0点】
水没した東京に不法滞在し「バトルクール」に興じる若者たち。
それは外の世界での生き辛さ故。

が、その若者たちの生き辛さに具体性が乏しく共感度がイマイチ。
唯一、主人公ヒビキについては、{netabare}街の喧騒が耐え難い程の聴覚異常からの母との離別{/netabare}と回顧されるが、
生き辛さというより、先天性疾患からくる特殊例という誤解が生じやすいキャラ設定。
注意深く見ればラスト……{netabare}復興工事により東京に喧騒が戻る中、ヘッドフォンを外したヒビキ{/netabare}から、
ヘッドフォンも外部の音を遮断するというより、
周囲とのコミュニケーションを絶つためのツールだったと察知はできますが……。

若者たちの乱心を「バトルクール」の競技ルール整備を通じて発散させたのが
元カリスマ・パルクール競技者のシン。
レビュータイトルは若者の無謀を見守るシンの語りから。
マコトさんとの会話シーンは小説版だとさらに深いのですが、
劇場版では最低限のやり取りに削減。う~む……w

【声優 3.5点】
メインは俳優タレント陣。

脇は宮野 真守さん、梶 裕貴さん、畠中 祐さん、千本木 彩花さん。
荒木監督作品の主役声優同窓会の様相。


ヒビキ役の俳優・志尊 淳さん。
自己表現が苦手だけど、詰まった心情が滲み出る声色を最大限活かそうと、
クライマックスの収録にて、実際に{netabare}床に散らばった泡を集める{/netabare}動作を入れながらアフレコするなど、
俳優としてのチャンネルから演技力を引き出そうと苦心。

ウタ役のシンガーソングライター・りりあ。さん
演者とEDも含む歌い手の一致。
さらに声優初挑戦の彼女が演技を体得していく過程と、
野生児から言葉を覚えていくウタちゃんの生態とのリンクを狙った思い切った抜擢。

その他、マコト役の広瀬 アリスさんも大人の味を出そうと奮闘してはいましたが……。

正直、例えば主演・畠中さん、ヒロイン・千本木さんの『カバネリ』夫妻じゃダメなんでしょうか?
との私的欲求を払拭するまでは至らず……。
千本木さんのウサギ役の少年ボイスが明快で、マスコット感が良好だったので尚更そう感じました。

【音楽 4.0点】
劇伴担当・澤野 弘之氏。
相似形を並べる作画同様、シンプルに4音で構成された学校のチャイムから発想したという
泡(バブル)のハミングをメインフレーズとして各楽曲、楽器に割り振り一貫性をフォロー。
長尺パルクールでは、適宜、楽器パートを抜いたり付加したりしながらメロディを繋ぎ、没入感を持続。

劇場版OP主題歌はEveがUta(りりあ。さん)をゲストボーカルに迎えた「Bubble」
トランスをアレンジした疾走感溢れるメロディの中に物語の核心を捉えた歌詞を乗せる。
動画配信中のAMVの作品要約が優秀なのも相変わらず。

ED主題歌はりりあ。さんの{netabare}「じゃあね、またね。」{/netabare}
本編完走してから曲名知って欲しい気もするので敢えて伏せておきます。


【感想】
鑑賞中、大人たちが若者の無茶に向き合う関係性を見ていて、
日本の都市における子供の遊び場、公園の少なさを嘆くニュースを思い出しました。
泡(バブル)は最後、{netabare}異端児を新たな自我として許容し新生しました。{/netabare}
共同体に冒険する異分子が発生した時、受け入れて新陳代謝できねば社会はやがて壊死する。
破壊と再生の物語から、そう問われているようにも感じました。


【余談】
本作もまたコロナ禍により難航した企画。
緊急事態宣言で東京の街中から人が消えたのも、東京五輪の感染対策にバブル方式が採用されたのも本作の企画後。
ついでにEveが『呪術』OPで一発当てたのも本作タイアップ決定後だったそうで。
現実の数奇を感じるエピソードです。

それよりも私は、アニメーションによる伝達能力の過信、相似形多用による迷宮入りのリスクなど、
川村 元気氏が新房 昭之監督作品を一般層に紹介し損ねた印象の『打ち上げ花火~』のデジャブが(苦笑)
私も小説版先に読んでなければ危なかったと思いますw

投稿 : 2022/05/13
閲覧 : 486
サンキュー:

23

ハル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 1.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

作画だけは神

作画及びCGが神がかってます。

キャラデザは昭和風な感じでいい感じでしたが・・・終始物語の核心部分の説明がなく、最後まで?でした。

映画でやるには短かったのかもしれません。エンディングも私好みではなかった。

投稿 : 2022/05/07
閲覧 : 206
サンキュー:

3

ネタバレ

Prospero さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

人魚は一体何を犠牲にしたのかな…

作画も音楽も素晴らしいのだけど、感動するほどウタに感情移入する間も無く終わってしまった。
映画館で見るべきかも、美しい景色とスピード感あふれるシーンを楽しむ作品。

投稿 : 2022/05/06
閲覧 : 164
サンキュー:

6

ネタバレ

haruto さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2022.5.6

2022.5.6

投稿 : 2022/05/06
閲覧 : 149
サンキュー:

0

ネタバレ

まにわに さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

泡を介ス

 
{netabare}人魚姫で泡を主役にという見方もしたが、最終的に、パルクールを泡で表現したという見方になった。
たぶんであるが、この動きができるなら、パルクール特有の体捌きを必要としないのではないか。そういう意味でヒビキとウタの動きのほうが自然で、最終的には皆がそんな動きになって、泡と渡り合う形にもなっている。
で、泡つながりで人魚姫を引き合いに出し、そのつながりというのが、このどこかで見たことあるようなキャラ群から察するに、泡とは創作作品のことなのではないか?
とくにウタがクリィミーマミ(第一印象がこれだったので)に似てることから、

子供の頃はクリィミーマミが好きだったが誰にも言えず、ある時"俺の中の東京タワーがブッ壊れて"、いつしか生活に追われながらも、それでもいくつものアニメを見てきた(泡を踏んできた)が、たまたまクリィミーマミを見返して、今ではこれが好きだと胸を張って言える。

…ぐらいの話ならば合点もいくし、共感もできるのだが。
SFではない。{/netabare}

投稿 : 2022/05/06
閲覧 : 183
サンキュー:

4

ネタバレ

esm24722 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

美しさで最後まで引っ張る

ネタバレ有で簡単にこの物語を説明すると、、地球外生命体の到来&ファーストコンタクトに上手くいかなかった人類は、その代償として東京だけに問題を抱えてしまうことになる。水没し、泡だらけになる東京。その内日本の中でさえも置き去りにされてしまう。世界的な都市としての面影も今は昔、災害孤児たちの遊び場となってしまう。パルクールのバトル、バトルクールで物資を取り合うゲームに興じる子供たち。研究の名目で子供たちを監視し、一応の義務を果たす大人達。水没してしまった東京には一部重力異常が発生し、ブラックホールさえ出現していた。これが設定ですが、要するに災害によって無法地帯と化した東京の話で、一応の政府の監視によって秩序は保たれていますが、アスレチックと化した瓦礫の山の中で限られた物資を景品として子供たちがゲームをしながら競い合い生活しているという話です。

ここにプロットポイントとして登場するのがウタで、ウタが主人公の生命の危機に現れ人魚姫的に助け、仲間になるというところから物語が駆動します。実は泡は地球外生命体でその一部が人類に興味を持ち、再度接触を図る展開です。人類としては赤ん坊のようなウタが人類から聞かされる人魚姫の話や数多の文献から得られる人類の知識に触れ、成長し、彼らを理解していくことになります。泡の中にも「一」と「全体」という構図が存在し、急に人類に近づいていくウタの存在を許せない全体としての泡がファーストコンタクトの時同様人類に牙をむきます。主人公を含むグループは泡や重力異常の真実に近づきたいわけですが、全体としての泡は強く拒絶し、ウタと主人公の初恋を引き裂く構図ですね。主人公には泡に干渉する特殊能力があるわけですが、黄金比に基づく音階を発する泡とそれを聞き取る主人公というのも面白いモチーフでした。

結局ウタが主人公と初恋に落ち、破局し(消滅)その中で人類の感情や知識を得て全体に還元することで泡と人類の共生は果たされることになります。つまりお互いの成長を持って物語が大団円を迎え次のフェーズへ突入できるのです。

展開が急なのが引っ掛かるでしょうが、物語の構造としては非常に手堅くキチンと考えられているのが分かります。超作画と音楽で100分一気に纏めた手腕も流石でしょう。SFらしく最低限の台詞と表現豊かな映像で表現したことも評価されるべきです。

しかし物語の軟着陸という意味では少し親切さや馴染み易さに欠けると言えるかもしれません。パルクール自体や超絶作画によるウタ(非人類)の初心な可愛さ、一緒に運動し成長する様などエヴァンゲリオン的なシンクロニシティを使って視聴者に感情移入を誘っているのですが、どうやらこの展開にあまり乗れないひともいるようです。理屈や台詞を導入に物語に入っていくタイプは取り残されてしまうかもしれません。そういう人たちには楽しむためのハードルがやや高いと言わざる負えません。

投稿 : 2022/05/06
閲覧 : 172
サンキュー:

6

コタロー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

それでも人類は繰り返す。泡のように生まれそして消える

物語は綺麗にまとめられ
一度見る価値ありありですね。

作画は非常にすばらしいし
スピード感もあり
見るものを引き付ける事間違いない!!

内容については書きませんが
一言、”宇宙”でいいかな・・・

是非オススメする作品です。

投稿 : 2022/05/03
閲覧 : 176
サンキュー:

3

次の30件を表示

バブルのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
バブルのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

バブルのストーリー・あらすじ

世界に降り注いだ泡〈バブル〉で、重力が壊れた東京。
ライフラインが断たれた東京は家族を失った一部の若者たちの遊び場となり、ビルからビルに駆け回るパルクールのチームバトルの戦場となっていた。
ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めていたエースのヒビキは無軌道なプレイで重力が歪む海へ落下してしまった。
そこに突如現れた、不思議な力を持つ少女ウタがヒビキの命を救った。そして、2人にだけ特別な音が聞こえた・・・。
なぜ、ウタはヒビキの前に現れたのか。2人の出会いは、世界を変える真実へとつながる。(アニメ映画『バブル』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2022年5月13日

このアニメの類似作品

この頃(2022年5月13日)の他の作品

ページの先頭へ