takato さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
やはりプログラムピクチャーの雄はしんちゃんか…。広橋さんがゲストな時点で100点!。
初期から戦国大合戦くらいの傑作にしんちゃん映画が世代だった私としては、大きくなったし作品の出来もアレなことが増えてきて離れてしまいました。「ロボとーちゃん」のような間欠的な評判作が出ることはあってもあまり続く流れになってないようでまた見る機会がなかったが、近年は評判が良いのが続いてるし(一番近作のCG版は除く)ゲストが広橋さんさんなんて見る目あるぅ〜なので鑑賞。
評判通りのプログラムピクチャーとして短い時間の中でエンタメしつつ、ちゃんと現実と繋がるテーマを巧妙に入れてくるという、しんちゃん映画の凄さを久々に見ました。あと、風間くんの魅力が横溢してる回ですね。それしても、ヒロシはやはり森川さんじゃないような…(森川さんは大好きだけど、こういうタイプが持ち味な方じゃないかなぁ…)。
本作はテーマはエリート主義というより、中国のようにテックによる評価経済がメインで、他者の評価でなはく自己承認へ…という現代的な問題を上手く物語のエモーションと合わせて描いてる。
中国ではもう実際に導入されていたりするポイント制。誰もが「いい子」になって秩序も保たれて問題がないなら良いじゃんという考えは、やたらお上を伺ってばかりの現代日本にも通じるマインドだろう。しかし、その「いい子」は誰にとっていい子なの?。
人の目を気にしてビクビクして必死で「いい子で」あろうとし、その枠から少しでも外れる人間をむきになって批判して自分を正当化しよう人間は「いい子」なの?それってビッグブラザーなディストピアと何が違うの?。本作はそういう真っ当な人間性と批判精神がエンタメと共に機能している。
そして、しんちゃん作品の大切な要素がゲストキャラ!。本作の広橋さんの活かし方も見事としか言いようがない。クライマックスの感動的なシーンも単に綺麗綺麗に描かないバランス感覚が上手い。
頑張ることは、まっとうであろうとすることは格好悪くなんてない!。誰とも知らない「みんな」の承認より、少数でも心通わせた信頼できる人の承認を、そして自分自身の承認へ…。
権威や数に合わせるんじゃなく、自分自身の真っ当と思える道に沿って生きる。自分勝手や開き直りのスキュラにも、権威主義や全体主義のカリュブディスにも陥らず、バランス感覚をもってご機嫌に生きる。それこそしんちゃん映画のようにありたい。
「血潮ちゃんは変顔じゃない!。頑張ってる顔だぞ。」からの「そうこれが私。しんちゃん達と走る私。今の私大好き!」の件で号泣。