テナ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
奥深い
超有名人気作品ですね。
内容を知らなくてもタイトルは知ってるって方も多いくらいの有名作品。
物語は幼い頃に失った母を取り戻すべく人体錬成を試みるも失敗し兄は右手と左足、弟は身体全てを失い、身体を取り戻すべく賢者の石を捜して旅をすると言う物語になっています。
主人公のエルリック兄弟のエドとアルは賢者の石の秘密を知る事になります。
賢者の石は大量の人々の命の犠牲の上に誕生するものだと知ります。
この作品には沢山のメッセージが含まれているのですが、私が印象に残る部分をピックアップして少しを書いてみたいと思います。
賢者の石ですが、物語序盤は殆ど情報がなく伝説級の代物だとされていますが、後半に掛けて大量に出てきます。
エドもアルも何度も手にするチャンスはありましたが2人は使いません。
彼らの目的は賢者の石で身体を取り戻す事でしたが、人の命の犠牲の上に立つ石を身勝手な行動から失った身体を取り戻す事には使えないと思ったからです。
幼い頃は母の温もりを求めるのは当たり前です。
母が亡くなって母が蘇生して日常が戻るならと考えるのも当然です。
でも、それは禁忌なのです。
幼いとは言えその罪の重さを解っているからこその選択。
じゃ、身体は諦めるのか?
いいぇ、他の方法を探します。
途中で諦めるくらいの出来事や自分達が身体を取り戻そうする事で、誰かが危険な目に会うくらいなら……なんて考えることも有りましたが……
彼らの旅に諦めなんて事はありません。
それでも探し続けるのです。
彼らが身体を取り戻す事を心待ちにしている人達がいるから。
この決断は何度かある賢者の石の入手チャンスを手にしない程に強い決意でした。
1番、それを感じたのは最終決戦でアルの判断で自分の魂を引き換えにエドの右手を元に戻しすのですが、対価になったアルを取り戻そうとするも手がなくて、リンが賢者の石を使う様に言うもエドは「賢者の石は使わないとアルと約束した」といい断ります。
そうした強い意志や約束を果たそうと言う強さには感心させられますね。
主人公の持つ決意と約束の重みを感じるシーンを他にも沢山目につきました。
次は、この作品のメッセージ制を感じた部分です。
物語のキーワードにイシュバールの内乱って戦いがキーワードになっていて作中ではスカーがその復讐で国家錬金術師が襲う事件が多発します。
スカーの復讐は完全にやり返しです。
それはまぁ、あれだけの被害が出て友達や家族を失ったので当たり前ですよね。
で、復讐は復讐を呼び連鎖するのですよね…
スカーは復讐を続ける人の姿を描いていて…
一方、ヒロインのウィンリィは両親をスカーに殺された事を知り銃を向けます。
彼女の両親は分け隔てなく人の命を救い続けて、命を助けたスカーに両親を殺されたのです。
でも、エドとアルは銃を向ける彼女を必至に止めようとします。
エドは言います「赤ん坊取り上げて母子を救ったろ オレに立ち上がる為の手足をくれただろ お前の手は人を殺す手じゃない 人を生かす手だ」
後にブリックスにて怪我をしたスカーと再会します。
彼女は怪我したスカーの手当をします。
失血死してしまうと。
憎しみのある相手です。
被害者側からすれば、そのまま死んでも構わないと思うかもしれません。
でも、彼女は強い気持ちで応急処置する。
スカーの自分を許すのか?発言に。
ウィンリィ「お父さんとお母さんが生かした命だもの何か意味があるがあるんだと思う 勘違いしないで理不尽を許してはいないのよ」
彼女は悩んだのだと思います。
沢山考えて…考え抜いて…でも、両親が救った命を娘が奪うと両親はどう思うかとか、自分がするべき事は何なのかとか考えたのでしょう。
そうして、正当に罪を裁く場で裁いてもらおうと考えたのでしょう。
憎しみを乗り越えた彼女の姿がそこに見えた気がします。
この辺りからでしょうか?
復讐心に囚われていたスカーが少し変わり始めたのは…私はウィンリィの選択肢は正しかったと思います。
もし、此処でスカーが失血死して居たら最終決戦で錬金術封じ対策でもある新たな逆転の国土錬成陣をスカーが発動出来ず、エド達や沢山の人が犠牲になっていたかもしれません。
だから結果ウィンリィは沢山の人を救う結果になった。
両親が助けた命の意味を感じました。
復讐で言えばもぅ1人。
マスタング大佐。
彼は親友のビューズ中佐を失って居ます。
エンヴィと言うホムンクルスに殺された事をしり復讐心に火が尽きます。
マスタング大佐は圧倒的な火力で圧倒します。
敵をあと一歩まで追い詰めるのですが。
ホークアイ中尉、エド、スカーから止められます。
対戦前に、中尉とエドの会話に「中尉…本当に2人だけで大丈夫か?」
「何とかしてみせるわ ダメならその時は」と言う会話です。
恐らく2人にはわかっていた。
大佐が圧勝する結末を……
大佐は国を良くする為にトップになりたくて今も国の為にホムンクルスと戦っていました。
でも、VSエンヴィーでは憎しみを晴らすために戦っている。
それを止める為にエドとスカーも合流して3人で説得する。
「なんだろな この状況は子供に怒られ私を敵と狙って居た男に諭され 君にこんなマネをさせてしまった」と大佐は頭を冷やします。
親友を殺されたら誰だって憎しみを持つし仇を取りたと思います。
でも、マスタング大佐の目的はビューズ中佐の為に仇を取るのではなく、自分の憎しみの為に仇を取る事にすり替わっていたのです。
そんな状態で大佐に任せるわけにはいかないのです。
でも、このエピソードは「憎しみ」がテーマになっています。
人間なら憎む事もあるでしょう、その憎しみは消える事はないと思います。
それは当然です。
じゃなきゃ、憎みなんてしないのですから…
でも、憎しみは憎しみしか産まず次の憎しみを産みます。
憎しみを消すの多分無理です。
憎しみを晴らしても、その人が帰ってくる事はないのですから……
どんな結末になろうと晴れることありません。
でも、大佐の様に止まる事はできる。
拳を握って歯を食いしばって…大佐は大人です…部下に、敵に、子供に、ビューズ中佐を思い出して、やっと踏みとどめられました。
沢山の人の説得でやっと。
消える事はないけど……それでも……
それだけに憎しみを抑えるのが難しい事がこのシーンでよく解ります。
憎しみに囚われても道を踏み外さないように力を貸してくれる仲間が居るのは本当に有難い事ですね。
この作品は復讐を乗り越える強さと言うメッセージも込められてると感じました。
最後に、ハガレンキャラは各キャラ色々な目的を持っています。
ですが、それ以上に仲間を想える優しさを持っています。
例えばシンから来たリンやメイ。
メイは捕らえたホムンクルスを手にして国へ連れ帰るように言われます。
不老不死が目的なので国へ帰れば達成です。
それでも彼女は、この国の人達のピンチを見過ごせず残る決意をしたり。
メイだと、目の前にある賢者の石より負傷したリザを優先したりもありました。
リンも不老不死目的で、あれだけ欲しかった賢者の石を手にして、最終決戦後にアルを取り戻すのに自分の石を使えと言います。
ホーエンハイムも自分は賢者の石だから使えと言う…親だからと。
大佐も負傷した部下ハボックの負傷を治す方法を必死に探したり、最終話で視力を失った大佐は自分の視力を直す前に二度と動かす事の出来なくなったハボックの下半身を先に治すと言う部下想いな一面も。
アルも元の身体に戻るチャンスがあるも、本当の身体が、立ってるのがやっとの身体を見て、戦えないからと兄や仲間の為身体に戻る事より仲間を優先して鎧のままで心理から戻ったり。
などなど、仲間や他人思いなキャラが多い気がします。
確かに、こう言う描写は他のアニメやキャラにも有ります。
ですが、この作品において、メッセージ性やら想いの強さなど強く濃く感じるシーンやらキャラが多かった様に思います。
作品はしっかり物語が練られています。
勿論、細かく言えばカットされた部分は有りますが全然気にならず、必要な場面はしっかり映像化されていました。
テンポもかなりよくアニメだからこそ見られるシーンも多々ありました。
5クールくらいあるので、書きたいことが沢山あるのですが、私が特に見ていて強く感じた部分をレビューにさせて頂きました。
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