ヘンゼル さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.5
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
重要な設定の出し方が下手すぎる
第1期から視聴。原作未読。
霊亀っていう守護獣、何の伏線もなしに唐突に登場しましたね。
復讐譚が終わって、その後に急遽考えましたみたいな後付け感がめちゃくちゃありました。
ぶっちゃけこういうのはある程度許せるのですが、本作を観て「こういう所を作品作りで気を付けるべきなんじゃないかな」と思ったのでちょっと書いておこうかなと思います。
知らない人には申し訳ないんですけど、ワンピースの空島編ってあまり脈絡のない始まり方でして、「いきなり船が空から落ちてくる」というのが話の導入なんですよ。
結構唐突で、伏線も別に何もなく物語が始まる…。
本作の霊亀編と同じ感じなんですが、しかし受け入れられない話の流れだ、と感じる人は多分ごく少数だと思います。
なぜなら、「グランドラインという航路は何が起きるか分からない」という作品の常識を、読者が理解しているからなんですよ。
じゃあどうやってその作品に対する「常識」を共有できるのか、理解してもらうのかというと、物語の積み重ねであったり、比較できる事象を出すことだと思います。
グランドラインの冒険は序盤から波乱万丈な物でしたし、行く島先々で起こる出来事やエピソードは、普通とはかけ離れている異常な物でした。
また、イーストブルーという普通の海を渡っているので、ワンピースという作品の中の「普通の海」とグランドラインという「異常な海」の対比があるため、比較が容易なんですよね。
だからいきなり「船が空から落ちてくる」という話の導入でも「グランドラインならそうだよな」と、読者はすんなり受け入れるわけです。
作者目線で言い換えるとつまり、作品の常識を読者・視聴者がどの程度まで理解しているか、を把握していれば、伏線をどこで入れるか、作品の常識をどの程度知ってもらうか、そのためのエピソードをどこで入れるか等の見極めが容易になるという事です。
話を戻します。
実は、本作でもそういった作者と視聴者(私)との間で「そうだよな」とすんなり受け入れられた設定があります。
例を挙げますと、魔物が大量に召喚される「波」という災害は、異世界同士で相互影響しあっているという設定ですね。
つまり異世界の勇者がいるという設定です。
これは分かりやすく、いきなり出てきた新設定だとはなりません。
なぜかというと、本人たちも異世界召喚されてきたので「異世界」がある事は本作の「常識」だと分かります。
つまり、関連性が分かりやすい設定なんですよ。
しかし、逆に霊亀編はそうじゃありません。
霊亀編で出てきた新設定はおおよそ2つ。
1つ目は「波は人の魂を使って食い止められる」、そして2つ目は「世界を守る守護獣がいる」という設定。
これらの設定は初出で作品のために出したという事が分かります。
しかし、受け入れ難いものでした。
それはなぜでしょうか?というと理由は明白です。
何の準備もせずいきなり「魂」・「守護獣」という設定を中心として物語(その話)を作ってしまった事です。
私が異世界の勇者の設定は受け入れられたのは、異世界があるという常識を前々から準備し、唐突に出てきた感を無くしていたことが要因でした。
すんなり受け入れられる設定というのは、すんなり受け入れるための準備を前もって行えるかの一言に尽きます。
本作は霊亀編に入るために、少なくとも「魂」と「守護獣」についてある程度視聴者に認識させるべきだったのではないかなと、思います。
もっと前々から、少なくとも前のお話で準備していればここまで後付けで、急遽作られた設定感は無かったんですけどね。残念です。
以上が、私が本作を観て思った教訓とも呼ぶべき感想ですね。
総評
私としては、唐突な設定や話の展開が嫌いというわけじゃないんですが、本作はそれが顕著に表れていて「流石にこれは…」と思ったので言及してしまいました。
第1期が良かっただけに、物語としての完成度が凄く下がったなという印象です。
まあ、リーシアやオストといったキャラに対しても「その話を描くために急遽追加しました」感があって、打ち切られやすい漫画ってこういうのが多かったな~という事を思い出しました。
というわけで正直本作、キャラが好きじゃなければ見る価値はほとんどないと思います。
普通につまらない作品でした。
というわけで以上です。