蒼い✨️ さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
教祖カタリナ様物語。
【概要】
アニメーション制作:SILVER LINK.
2020年4月5日 - 6月21日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していたweb小説を改訂し、
一迅社文庫アイリスから刊行されている山口悟によるライトノベル。
原作イラストとwebサイト『ゼロサムオンライン』にて連載中のコミカライズ版は、
イラストレーターの、ひだかなみが担当。
監督は、井上圭介。
【あらすじ】
ソルシエ王国の公爵家の一人娘のカタリナ・クラエスは、
甘やかされて育ち、家柄を鼻にかける我儘で傲慢な子供だった。
王国の第三王子のジオルド・スティアートに一目惚れをするや、
王子にベタベタ付き纏うカタリナであったが、
彼女が石畳で転んで頭を強打した衝撃で前世の記憶を取り戻した。
自分は日本人の女子高生の生まれ変わりであり、
ここは前世で夢中になって遊んでいた乙女ゲーム『FORTUNE・LOVER』の世界。
自分がカタリナであるということは、ジオルド王子の婚約者という立場で、
ゲームの主人公のマリア・キャンベルに嫌がらせのかぎりを尽くして、
ジオルド王子ルートでは、婚約破棄されたうえで王子とマリアがくっつくなどして、
最後はどのルートのエンディングでも国外追放や死亡などのバッドエンドを迎える、
当て馬の悪役令嬢キャラであることに気づいた。
そして、7年後の15歳の魔法学園への入学からゲームのシナリオが始まる。
そこでカタリナがとった行動は、前世の記憶にあるゲーム知識を参考にして、
予めゲームキャラとの関係を改善するなどをして破滅フラグを回避すること。
そのカタリナの行動によって、
乙女ゲームのシナリオとは根本的な人間関係の違いが生じていくのだが、
他人の心に鈍感な彼女は、そのことに気づくことが無かった。
【感想】
原作小説は読んでいないですが、漫画版は1期分の22話まで既読です。
アニメの内容は漫画版とほぼ一緒ですが、
7~9話に漫画版で見たことのない展開が多くあったり、
最終回の構成の変更が一部見られる程度ですね。
シナリオの根幹は、『情けは人の為ならず』で、
人に善行を施しておけば、巡り巡って自分に返ってくる。
異世界転生ものでは珍しく、
チートスキルも贔屓パラメータも持たない主人公のカタリナが、
保身を目的とした行動が好意的に受け取られていまして、
また、ゲームの意地悪なカタリナとは全く別人格で気さくな善人であるがゆえに、
無自覚にゲームキャラたちの好意を集めてしまうのですが、
その違いで生じた周りの心境の差異に全くの無自覚な彼女。
自分が愛されてる善人であるということすらわかってないカタリナと、
そんな彼女に心惹かれていくゲームキャラたちとの、
意識のギャップを楽しむコメディではありますかな。
見てて気持ちのいい明るいアニメとして、評判がすこぶる良いですね。
でも、自分の感覚ではこのアニメが面白いかと言うと微妙ですね。
幼少期に各キャラクターの精神ケアをして行く過程は3話までで概ねコンプリート済み。
目の前の破滅フラグを全て叩き折って、早期に好感度MAXで攻略済み状態であるために、
その影響でシナリオ上の役割を全てカタリナに奪われたゲームヒロインのマリアもまた、
学園でカタリナに攻略されて彼女の親友という名の取り巻きの一人になってしまいます。
他の悪役令嬢ものではゲームヒロインや王子がクズとして投獄されたり死亡したりで、
別のイケメンとくっついた悪役令嬢が、
自分を断罪した連中をザマアする話も結構ありますので、
その点。この作品ではカタリナのおかげで皆が救われて皆が幸せですので、
話の筋としては歪みが少ない部類ではありますけどね。
多分、そこがファンには好ましく捉えられていますね。
しかしながら自分は、男女問わずゲームの攻略キャラ&サブキャラらの誰も彼もが、
早々にカタリナの信者になってからは、ありがちな無自覚逆ハーレムコメディとして、
更にはハーレム状態のままに、ほぼオリジナルな話が後半に2話分増えているために、
一本調子な構成が間延びして退屈に感じられました。
ただただ、幸せな世界が見られれば良い!という境地であれば楽しめたのでしょうけど、
カタリナ様ラブを競い合うキャラたちの台詞回しが90年代アニメみたいであったり、
声優の芝居や表情作画などにも魅力を感じられず、
その、カタリナ様ファンクラブに一辺倒な展開が長く続いたがために、
単調かつ冗長な消化試合を見せられていると思いました。
アニメに出てくるイケメンや美少女らと同じ気持ちでカタリナ様を愛でられればいいという、
その境地に達せられなかったので、ついていけませんでしたね。
悪役令嬢ものでも、善人化した転生悪役令嬢が縁結びを後押しをして、
サブキャラ同士が心通わせてカップルを量産するものもあり、
主人公だけがモテモテのものよりは、そっちのほうは好みではありますので、
結局は個人差ということなのでしょうけどね。
アニメの良い悪いや人気とは関係なく、個人の感性で合わない作品がある!
ということを、このアニメで久々に思い出しました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。
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