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「劇場版「SHIROBAKO」(アニメ映画)」

総合得点
80.4
感想・評価
352
棚に入れた
1688
ランキング
458
★★★★☆ 4.0 (352)
物語
3.8
作画
4.1
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.1

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劇場版「SHIROBAKO」の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

香風智乃ニ号 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

本編の盛り上がりには負けるか

どちらかというと感動よりは哀愁の方が残りました。
あの武蔵野アニメーションが4年後には予算を確保しないまま制作を進めてしまい、企画倒れして廃業寸前…所属していた社内アニメーターも全員フリーになっていたのはショックでした。
そして死に体の同社が昔告知を行っていた劇場版を作り上げるという話。

個人的な印象として爆死必須のこの映画(作中の劇場の事です)…仮に作中パワーでそこそこヒットしたとしても武蔵野アニメーションが再起できるかというと微妙なところで、この映画制作が最後の花火のような気がして、この先はみんなそれぞれ独立や引退していってしまうんじゃないかという雰囲気を感じ取った為視聴後はやはり哀愁が漂いました。

個人的イチオシ制作だった安藤つばきちゃんが既に武蔵野アニメーションを離れていたことが一番ショックだったのですが、今回はヘルプで一時的に帰ってきてくれて姿を見れたのが良かったです。同期の佐藤沙羅さんは未だに所属していてなんというか義理堅い良い人ですね。単にムサニが自宅から近いからってだけかもしれませんが。

やっぱりSHIROBAKOは一期の1~12話が一番盛り上がったかなぁという印象です。本作の主人公であるあおいちゃんの初々しい姿が見れたのがこの範囲までだからかもしれません。以降のあおいちゃんは逞しく力強い。今回は前回のデスクから更に昇格してプロデューサー?凄いキャリアですね。

劇場版は一体誰が主役だったのか、特定の誰かにスポットが当たっていたのか…?イマイチそこが弱かった気がします。まぁあおいちゃんなんでしょうけど…いや監督…?

前作の大団円でこの先も安泰だと思われたアニメ会社の厳しい現実を表したのが今回の劇場版なのだと受け取りました。

[追記]
ふと思ったのですが監督が作中映画の描き直し、というかシーンを大量に追加することを決めて、(このSHIROBAKO劇場版の)映画のラストの10分はそのアニメ現場の修羅場シーンを描くのかと思っていました。
しかし実際に流れたのは作中内劇場アニメの迫力の追加シーンのみを流すという尺の取り方でエンドロールを迎えて終わりました。

…これ作中キャラが映画の試写の感想で言ってたように、序盤~中盤までは盛り上がるけど最後が尻すぼみになってしまい消化不良で物足りないという指摘。
アニメ現場の修羅場のシーンをカットしたことでこの劇場版SHIROBAKO本編がその状態になっていませんか?作中映画の問題を解決したことを証明する代わりに。

散々テレビでやったことの繰り返しにはなると思うんですけど、そこは劇場版なんでテレビを上回る修羅場を見せてほしかったというのが本音です。
それとも現場の修羅場シーンと劇場レベルの作中内アニメ両方を作るのがメタ的に困難だった?テレビシリーズで散々描写したからもういいだろうとあえてカットした?尺が足りなかったから入れられなかった?

勝手な憶測で進めて申し訳ないですが万が一尺が足りない場合なら個人的に思う優先度は
①作中劇場版の追加シーン
①(同率)ラストの修羅場現場をきっちり描写する
③謎のあおいちゃんミュージカルシーン
だったと思いますね…思い返すと。歌はとても良かったんですが人形が巨大化する前のアカペラ部だけで十分でした。
またあえてカットしたというのが一番濃厚だと思いますがそこはテレビシリーズとは何とか違いを出す感じで描写した方がラストに相応しいカタルシスを得れたなと思いました。

その描写がなかったことが余計に視聴後の哀愁を感じさせたのかもしれません。
もしかしたらそれが狙いなのかも…。

投稿 : 2024/10/23
閲覧 : 27
サンキュー:

0

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アニメは「みんな」でつくるんだ!。私的2020年ベスト映画。

 クレイジーボーイこと水島監督はクレイジーな巨匠の領域へと旅立ってしまった…。ガルパンもやってるし、夢のシロバコ映画化!ってだけでも十二分に喜んだ。もうよっぽど酷くなければ満足、なんて駄目なファンに成り下がっていた私の頬をもろに宮森にぶっ叩かれたようだ…。


 信じがたい密度、とてつもない熱量、心の機微を描く上手さ、なによりも決して尽きることない愛、これが愛の映画でなんだと言うのか!。愛といっても純愛などという名の元に量産される愛でも、セカイの名の元に作られる視野狭すぎな愛でもない。


 それは脇役なんて作らない全てのキャラに対する愛、「みんな」でアニメショーンを作ることに対する愛、夢と情熱に対する愛、そしてみっともなく足掻き続けても明日を目指して生きることに対する愛。テレビ版が持っていた魅力が全てグレードアップした、とてつもない大傑作だよこれ!。


 ふ~、少々興奮しすぎた。いったん冷静になってネタバレにならない程度で中身の話を。


 ツカミから各キャラのその後を説明的でなく説明する件も良かったが、今回は本当に枷の重要性を再認識した。基本的な構成はテレビ版とそんな変わらないが、今回のほうが圧倒的に枷が重い。だからこそ宮森が決意する瞬間も、その後の展開も熱すぎる!。


 熱すぎて正直置いてかられる瞬間も正直あったけど、熱いだけじゃなく繊細な機微を描いた小技も見事だからちゃんとメリハリがついてる(まさか遠藤さんの奥様に泣かされるとは…)。


 そしてなによりアニメは「みんな」で作ってることをこんなに感じたことはない。膨大なキャラが出てるけど誰一人適当な脇役でもモブでもない。何故ならばアニメには「みんな」が関わっているのだから!。


 設定だけのようなキャラも、話の上での都合なキャラもない、「みんな」生きてる存在なんだよ!、そんな監督の想いがビンビン伝わってくるほどにキャラクターに対する愛がそれぞれのエピソードをみんな輝かせている(個人的には、指導する側にまわったみーちゃんのエピソードがツボ)。え、この映画って3時間くらいあったっけ?ってくらいボリュームを感じたのに、全然ダラダラしてないとか信じられぬ。



エピローグ

宮森、ロロ、ミムジーが夜道を行く

「みんな」の想い

なにより監督の想い

それらと共に歩いてきた者なら三人の会話に応えざるをえない。

「届くよ、きっと」


二回目鑑賞後


見返すと、終盤の展開は作中作品についての話だけど、本当はこの作品自体で作ってる時の状況をそのまんま盛り込んだようなものなんじゃないかなぁ~と思わざるをえない。


そうじゃなきゃ3日前納品とかにはならないし、ラストの作中内作品におけるアクションの凄まじさはありえないだろう。メタとは違うが、こういう形で現実と二次元の関係が他と明らかに違うのはプリキュアぐらいしかないと思ってたが…。


EDで各キャラの次々に映っていく中、もう恍惚としか言いようがない幸せが心を満たす。膨大なキャラ、その全てが愛おしいほどに肯定的に生きている。それがもたらす効果は、創造されたもう1つ世界、あるいは創造力そのものに対する大いなる肯定。世界を悲観するのは簡単だ、しかしそれでも肯定する真の強さを見た。

投稿 : 2024/08/05
閲覧 : 831
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50

雑食大魔王 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメへの愛がこもった作品。

テレビアニメは見ずに、劇場版だけ見たけれど楽しめた。

投稿 : 2024/08/05
閲覧 : 33
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1

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ドーナツの誓い

P.A.WORKS制作。

高校卒業後、それぞれの場所で、
アニメーション制作に携わっていく、
アニメ同好会女子5人の業界群像劇その後。

感動のテレビシリーズから4年、
ムサニオリジナル作品の制作中止により、
活動規模を縮小された武蔵野アニメーション。
{netabare}主要メンバーもそれぞれ独立し、
どこか錆びれた下請け企業になっている。
舞い込んだ劇場用アニメ制作を機に、
会社の再起を図ろうと宮森の奮闘が始まる。{/netabare}

社会人となった彼女たちの、
アニメ業界での日常、葛藤、挫折、衝突など、
様々なドラマ的演出で魅せてくれる群像劇、
コメディパートも相変わらず健在である。

残念ながら劇場版のみを語れば、
{netabare}テレビシリーズの再生産だと思う。
尺が違うだけで構成は全く一緒であろう。
私としてはテレビシリーズをお勧めする。{/netabare}
ただ基礎点数が高いのでこちらも良品である。

最後の最後まで様々なセクションで、
良いアニメを制作するのだと奮闘している、
そんな絶え間ない人の努力の果てに、
我々を楽しませてくれるアニメが完成する。
難しいなとか、上手くいかないなとか、
日常に躓き、思わず挫けそうになった時、
シロバコは今もきっと優しい作品なのでしょう。

投稿 : 2024/05/29
閲覧 : 479
サンキュー:

40

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

改めて2期切望

劇場用映画を作るストーリーを劇場版でやるというなんともベタな展開だが、そこに至るまでの道程があまりにも重くて一筋縄では行かないのは、このアニメらしい展開でとても面白かった。

それにしても、テレビシリーズから4年後のムサニの現状があまりにも悲惨で人もバラバラになっちゃってて、まずは仲間を集める所から始まるというのはかの有名な「七人の侍」から続いてきた熱い展開である。

仲間との再会、そして議論を重ねてまた一つの目標に向かって突き進む様はとても観ていて熱くなる所である。

アニメ作りにおける利権を巡る悪徳会社とのバトル等、実際にありそうなリアルな裏事情等も描かれていて相変わらずリアリティーが凄い感じられる。
みゃーもりが着物を着て得物を手に討ち入りする場面とか最高だったし、途中のミュージカルシーンとか飽きさせない演出が散りばめられていて、とても良い。

あとはクライマックスにおけるバトルシーンの音響とか迫力があって凄かった。

最後にこれは当時の余談ですが、パンフレットの内容があまりに薄すぎて草でした。

投稿 : 2024/05/29
閲覧 : 77
サンキュー:

10

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ハケンアニメ

漫画やアニメは、映画と違って何かを「描かない」と白紙のままである。

そこにインクが乗っかることによって初めて何かしらの「表現」になるのです。

だからこそ、アニメや漫画は他の映像媒体以上に面倒くさい作業が多く、劇場版でも一本の作品を仕上げるのに、原作会議→企画→スポンサー探し→スタッフ集め→制作スタジオ探し→立ち上げと、企画が上がってから制作に掛かる時間だけでも「丸一年」掛かるのです。

そこからようやく、制作されるわけですが、1時間30分の劇場製作にかかる予算は最低「1億」くらいと言われており、総作画枚数も30分アニメの約十倍「3万枚~」多ければ10万枚などザラなのです。。。

それだけの企画を動かすだけでも、スタッフの心身はすり減り、長丁場に耐えうるだけの気合や根性がまずないととてもじゃないですが作業にならないのです。

その苦しみを如何に超えて、より良い作品を作るかが勝負であり。。。その現場の「リアル」が制作したことがある人間からすると、非常に懐かしく。。。そして感動できる内容になっています。

一般の人にはあまり伝わらないかもしれないですが、アニメを制作したことのある人間からするとすごくよく理解できる水島監督の「魂の叫び」が聞こえてきました。

普段アニメを見ない人にオススメしたく、非常に現実的で、現場の空気がよくわかるので、ドラマ化や実写映画化しても非常に面白くなる題材だと思います。

投稿 : 2023/08/29
閲覧 : 544
サンキュー:

35

ネタバレ

ポリゴン@Radio さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アニメ作ってくれる人たちに感謝したい

アニメ制作は本当に大変なのが伝わってきた。
多くの人が関わるのでそれを取りまとめる大変さ、対人関係、仕事スケジュール、自分のスキル、納期。。
とんでもなく大変なのを理解した。
これから先はアニメを観れる事、作ってくれる人たちに感謝したいと思った。

投稿 : 2023/08/20
閲覧 : 49
サンキュー:

1

ネタバレ

キリンさん さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

期待を大きく下回った

順風満帆に行かないのはある意味リアリティがあると言えるだろうが、白箱に求めているリアリティとはかけ離れている。無駄な設定や謎のミュージカル演出も必要なかった。
正直見なければ良かったと思うレベルの内容でした。

投稿 : 2023/04/01
閲覧 : 175
サンキュー:

2

イザヤ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

途中の歌うシーン必要かな

アニメ版を視聴したので、流れでみました。途中で劇みたいなシーンがあるのですが、そこの存在意義が謎です。

投稿 : 2023/01/15
閲覧 : 159
サンキュー:

0

ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ファンサービス映画かな。

【概要】

アニメーション制作:P.A.WORKS
2020年2月29日に公開された119分間の劇場版作品。

監督は、水島努。

【あらすじ】

TV版最終回の後の話。

『えくそだすっ!』『第三少女飛行隊』のあとも好調だった武蔵野アニメーションは、
制作が大幅に進捗していたオリジナルSF作品の『タイム・ヒポポタマス』が、
権利関係のトラブルでお蔵入りになり、負債丸抱えで倒産の危機に。
丸川社長の引責辞任で幕を引いたものの、信用の問題から元請けの仕事がなくなり、
仕事がないからスタッフの多くが他社に散って活気を失い、
受注してはグロス請けの仕事をこなすだけの小規模な下請け会社になっていた。

『三女』の打ち上げパーティー(TV版最終回)から4年後、
25歳となった主人公の宮森あおいは、ムサニの現状に落ち込み悲しんでいた。
そこへ、丸川の跡を継いだ渡辺社長から、ムサニ久々の元請け案件を提示される。

『空中強襲揚陸艦SIVA』

もとの制作会社が2年もの間、全く仕事しないので、じゃあ代わりにムサニにやってもらおうという、
お鉢が回ってきた難アリの案件だった。タイトル以外に何も決まって無く、
また、劇場アニメを作るのには普通は2年はかかるのに上映予定日まで10ヶ月しか無い。
宮森あおいは奮起して『SIVA』の制作プロデューサーを引き受けて、
木下監督をはじめ、かつてのムサニ作品のスタッフらを集めて、
かつて元気だった頃のムサニのように、アニメ制作に取り掛かるのだった。

【感想】

ものづくりを仕事にしている人間の様々な感情を詰め込んだフィクションとして、
TVアニメ『SHIROBAKO』は、大変に秀逸で面白いアニメ作品でした。

それは、キャラの人格のデフォルメや茶化しや理想や綺麗事が混じった作り物であっても、
クリエイター目線での仕事や人間関係での喜びや苦悩などがしっかりと描かれていまして、
現実のアニメ業界の人間に限らず社会経験のある視聴者ならば、
作品に共感したり元気づけられたり学んだことは決して少なくはなかったと私は思います。

とりわけ、個人的に良かったと思うことは、
ムサニのスタッフの奮闘を通じて、アニメづくりとは大勢のスタッフの技術や矜持に支えられて、
それが寄木細工のように組み合わさって、作品になっているのをわかりやすく見せていることです。

アニメ監督がテレビでドキュメンタリー番組を作られたり、
雑誌のインタビューなどで取材対象となるせいかな、
宮崎駿氏や庵野秀明氏ら新海誠氏らのように名監督と呼ばれる人たちの影響が強いのでしょうか、
野球で故・野村克也氏や古田敦也氏らの影響で捕手の役割の神格化がありますように、
アニメファンにも監督の名前に権威をつけようみたいな風潮があるのですが、
監督とスタッフの関係は野球でいうバッテリーみたいなものでして、
映像スタッフ(ピッチャー)や声優や脚本家やその他諸々の裏方などの尽力なくして、
監督(キャッチャー)のリード(演出)は評価されないですし、
アニメーションづくりの仕事では両方ともが大事ですね。

最終決定権は監督にありますが、
TVアニメは通常、複数の演出家のローテーションで回しているように、
アニメは決して一人だけのセンスや才能に支配されたものではない。
みんなで作ってるものであるということ。

コンテを手に監督が信頼する会社の大先輩スタッフに、ふわっとした言葉で演出を丸投げして、
大まかなイメージの一言を元に、その先輩スタッフが監督の期待に沿えた演出が出来ているのか?
とビクビクしてた話が、そのアニメ作品のBDのブックレットに談話として残っていたり、
某劇場作品で「◯◯くんよろしく!」との監督の一言ではじめた仕事が、
「もっと出来るんじゃないか?」と、担当スタッフの自主的なクオリティーアップが、
完成近くまで延々と続けられたとか、リアルのアニメ現場ではそんな話がいくらでもあります。

様々なアニメに収録されているスタッフコメンタリーを拝聴しますと、
専門的な技術を持ったいろんなスタッフの興味深い話が聞けまして、
理想の映像を作るためのこだわりの凄さに目から鱗が落ちる感じでして、

やはりアニメとは、アニメーター、美術、色彩設計、CG製作など、(これらは一部に過ぎない)
プロフェッショナルの集団作業の成果物でありまして、
膨大な人間の技術や思いで一つの作品になっている。
SHIROBAKOも実在人物らの経験をモデルにした業界話は良かったのですが、
具体的で専門的な技術論の話になりますとやはり現実にはかなわないです。

それらが前提の上で、TV版の『SHIROBAKO』でも触れられていることですが、
監督はスタッフの働きの分も栄誉を受ける代わりに批判の矢面に立つ存在でもあります。
企業が注目されればトップが経済誌の取材を受けたり、
不祥事を起こしたら謝罪会見をするのと同じですね。

自覚のあるアニメ監督であれば、きちんとスタッフに感謝の心でねぎらいの言葉を欠かしませんし、
逆に、功名心の塊であれば、スタッフの仕事にはボクの指示でやらせました!と嘯いて手柄を盗み、
自信満々でやった演出が下品でつまらないと批判されれば◯◯に命令されました!と
手のひらを返して人に責任転嫁などで、実際にそれをやっていた、
昔、ネット界隈で「天才」とか持ち上げる人がいた実在のアニメ監督の某氏には、
最後には仲間が一人もいなくなり誰も仕事に誘わなくなり、とうとうアニメ業界と縁が切れたりで、
才能だけでなくて普段の態度や人間関係も大事ですよね。(もともと、才能もない人でしたが)

さて、この映画の話になりますが観た感じ、お話のパターンは、

『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』などでも見覚えのある、TV版の同窓会的な内容。
それぞれのキャラが新しい仕事をしたり、環境が若干変わったりしています。
順風満帆なひともいれば、行き詰まって悩みを抱えているひともいたりですが、
お話自体は相変わらず地味で、如何にも「SHIROBAKO」らしいですね。

離散したかつての理想のチームがバラバラになった状態からのスタートで、
再結集していくドラマチックな展開で、
ちょっと懐かしい、スクリーンで好きなキャラにまた会えた喜びを堪能するという、
SHIROBAKOのファンのための映画という感じですね。

ただ、やっぱりTV版で2クールかけてやったことを2時間版での焼き直した内容でして、
劇場版より数倍深くて面白い内容のTV版を見れば十分ではないか?という印象。
たくさんのキャラを出してるものの一人一人の物語が浅い劇場版は、
ストーリーを楽しむとまでは至りませんでした。

また、木下誠一監督の創作スタイルや仕事ぶりは、
このアニメの監督である水島努氏がモデルなのですが、
木下監督の演出論やアニメ制作のポリシーなどは、
あくまでも水島努氏の主観と好みに基づくものであって、正解の数はたくさんあって、
会社や演出家によっては作りたいモノやこだわりが全く違うということを知ってる今、
木下監督のこだわりでギリギリまで作った劇中劇『空中強襲揚陸艦SIVA』の実際の映像が、
これを現実に上映したらまず売れないだろうという説得力の薄さからシンパシーが削がれる形になり、
手放しで褒めるには厳しいアニメ映画かなと思いました。

個人的には、宮森ミュージカル「アニメーションをつくりましょう」も、「なめろうマーチ」も、
討ち入りシーンも全く刺さること無く、ケレン味たっぷりでアイデア重視の水島努演出はもう、
自分の好みではなくなったのかもしれないですね。

あ、そうそう。このアニメの悪役として、『空中強襲揚陸艦SIVA』を作る予定が約束破りの、
株式会社げ~ぺ~う~の社長である三崎芳雄。彼にはわかる人だけわかるモデルがいます。
2年間で落書き同然の意味不明なコンテ4枚。問い詰めると、のらりくらりと詭弁で躱す。
こんなどうしようもない奴は業界で生きていけないだろうと普通は思いますよね?実在するのです。

水島努氏が監督の立場から、『ケメコデラックス』のオープニング映像を依頼したのに関わらず、
そいつが全く仕事せずに遊んでいるので、
納品期限が迫ってる段階で水島監督が自分で急いでオープニングを作らざるを得なくなり、
その不義理をきっかけに水島監督とその人物の交友が途絶えた。
ちなみにその人物は2度アニメ会社を作り、会社を追い出されたり潰れたも同然の状態になって、
今では仕事が全くない、ひとりぼっちの状態でアニメ業界への恨み言を吐いています。

その方は『ポルフィの長い旅』の監督を務めた望月智充さんから、
アニメーターが演出意図を拾うことが不可能な落書きと、内容とは無関係なコメントだらけで、
コンテが論外すぎて跡形も残さず監督全修正せざるをなかったことをブログでばらされて、
御本人に噛みつきまくったのが記憶に新しいですね。

わざわざ、そんな人間をアニメに出したら流石にリアリティなさすぎなのか、
会社を潰さずに大勢の従業員を維持しているとか夜鷹書房(モデルは角川書店)
と友好関係を続けているとか手心を加えないといけないのが凄いですよね。
本当なら出す必要のないキャラクターだとは思いますが、
劇場版では水島努氏の地の部分というか私心が強く出ていますね。
TV版ではそのあたりのバランスがうまく保たれていたのではないか?
やっていることは両方とも大差ないのに、ちょっとしたことで作品の印象や面白さが変わるんだなと、
このアニメ映画を見ていて思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/06/13
閲覧 : 337
サンキュー:

37

ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

職業ものとして破綻、カタルシス無し、5人もヒロインも描けず。

 TV版で描かれなかった5人組の成長物語かなあ、と思って2022年6月の今見てみました。

 これは厳しいなあ。前半は武蔵野アニメーションがどれだけ悲惨かの説明でした。中盤がスタッフ集め。とにかく10カ月でアニメを作るという緊迫感がまったくありません。同窓会を見せつけられている感じです。それが目的の劇場版でもあるんでしょう。ファン向けの作品としては成立している可能性はあります。

 そして、私が勝手に思っていた5人のアニメ同好会のカタルシスを期待したんですけど…これどうなんでしょう?まあ、TV版からいってこの設定は邪魔でしかなかったわけですけど…

 大人の世界の仕事として、10カ月でアニメを作れる戦略がありません。むかしのアニメの一部を活かせるという理由もなくはないですけど、これが無いのでまったく映画として機能しません。宮森はどうやって10カ月で?そして個々の奮闘もまったく描かれないし。

{netabare} そもそも10カ月ですら通常の2年に対して無茶なスケジュールだと散々言っておいて、3週間前にできて作り直しって…
 これ出来が一番よかったTV版の前期の全否定ですよね?みんなで力を合わせれば2年を10カ月にできるよ!という風にしか見えません。

 大人が全然描けてないです。TVシリーズは実在の人物を取材したんだと思いますが、だから面白みもありましたが、今回はそういうものがないので、リアリティ云々ではなく、職業ものとして完全に破たんしています。

 契約で1回目の納期でもめたときに取るべき対処を後回しにして、ドラマを作ってますけど悪い奴をギャフンと言わせる以上のものがないです。そもそも契約不履行ですのであの時すぐに損害賠償の裁判を起こすレベルの話です。本来、監督一人で出かけて門前払いとか…法務と弁護士と相談して内容証明ですよね?普通は。
 で、それを放置して2回目もめるって…前回のTV打ち切りの反省が全然いかせて無いですね。あの優秀な総務の女性は何をやっていたのでしょう?

 それと、ミュージカルとか心象風景とか、内容に厚みがあれば活かせるんでしょうけど。そう。ヒロインの宮森に全然感情移入できないんですよね。彼女が何に苦労しているかまったく不明です。
 気合いで作る、気合いで人集める。ガッツポーズして私がんばります?

 作画の遠藤さんの奥さんとのくだり、要りますか?他に描くべきところないでしょうか。5人組の話が無いのに?
 脚本の悩みの部分は?キャッチボールして解決?

 で、完成した劇中劇があのレベル?こんなすごいのを作ったのか、という感動がまったく持てないレベルです。少なくとも本編よりも映像が良くないと駄目でしょう。
 あのキャラデザ、作画、エフェクトのアニメを実際に劇場公開して話題作になると考えたんでしょうか。ここがすごければまだカタルシスになるんでしょうけど。

 で、最後は5人組のショットで終わる?うーん、うーん、うーん…他にも欠点は上げられますが、まあ、もういいです。 {/netabare}


まとめます。

 契約不履行で話を作っているがリアリティがない。1回なら業界あるあるなのかもしれませんが、制作中止で社長やめていて、で、また文書にしないで他社ともめて…さらに、そこでもう1度放置してって…監督はトラウマになるレベルだったんですよね?
 人集めがメインで、それぞれにミニエピソードをくっつけているけど、細かすぎてどうでもいい。
 5人組どうなった?この話が幹に見えて全然幹になっていないので視点がブレブレ。
 ヒロインは何をがんばっているの?ヒロインが10カ月で完成させる作戦は?この作戦のプロセスがストーリーの幹になって、カタルシスになるのが映画だと思うんですけど。
 劇中劇の出来がひどすぎる。

 と、言ったところです。
 
 一応名作ということらしいので、どこかにいいところはあるのかもしれませんが、私は拾えませんでした。ファンはうれしいかもしれないし、同時代性で盛り上がりから外れているせいかもしれません。

 そもそもアニメ映画制作の話をアニメ映画でやる以上、それなりの覚悟も矜持ももって世に送り出すべきでしょう。本作の話だとなんだ、そんな温い世界の話なの?そんな適当にアニメって作ってるんだ…ということになってしまいます。
 テーマ性、エンタメ性、センスオブワンダー、職業ものとしてのウンチク。どれをとってもほぼ0点です。評価点は2.5点ですが、作画でかろうじて3点/100点というところ。ゴスロリ作画の人がいたので加点して9点/100点かなあ。

 ポンポさんとか映像研とか見た後だと余計に…

投稿 : 2022/06/11
閲覧 : 509
サンキュー:

15

ネタバレ

恵み さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

良い延長戦でした

2時間ですら足りないくらい、この者たちの物語が語りきれない、世知辛いですが、頑張りたまえ若人も

投稿 : 2022/04/04
閲覧 : 147
サンキュー:

2

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

As time goes by.

【紹介】
SHIROBAKOアニメから数年後、紆余曲折あってムサニは落ち目となっていて、みゃーもり以外のメンバーもそれぞれなかなかうまくいかない現実に苦悩する日々。
そんな現状に悩むみやもりがムサニの再起をかけて奮闘する話。

【キャラクター】
アニメから時間がたってから視聴したので、名前だけ聞いても誰が誰かわからなくて困ったけど
キャラクターの顔を見たらどんなキャラクターか瞬時に蘇ってきた。
それだけキャラ付けがしっかりしていたんだと思う。

あいかわらずみゃーもりの鼻歌と脳内妄想が恥ずかしさ全開で面白い。
でもみゃーもりが痛々しいわけじゃなくて、脳内妄想なんてだいたいこんなもんですよね。

【音楽】
音量が大きかったり小さかったりして音量調整に困る。

【シナリオ】
現実は甘くない、アニメ業界は厳しいってのをやりたかったんだろうけどなんか夢がなさすぎて、
アニメ版であれだけ盛り上がって楽しく過ごした日々は何だったの?って思って微妙な気持ちに。
忙しくて大変で、何度も何度も万策尽きた、それでもムサニのみんなで頑張って楽しかった日々
それも時の流れとともに色あせていく、楽しい時間は必ず終わるものだって思い知らされて、なんか悲しい

【総評】
話は面白いけど、アニメ版SHIROBAKOの未来の話としてみると複雑。
アニメ業界のブラックな部分を強調しすぎて、辛気臭い作品になってしまった。
崖っぷち感はムサニっぽいなーって思ったけど、ちょっとやりすぎかな。

でもムサニのメンバーが好きなので楽しんで視聴しました。
もし次回作あるのなら、もう少し夢のある楽しい作品を期待しています。

投稿 : 2022/02/23
閲覧 : 357
サンキュー:

31

ネタバレ

マーティ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメーションを作ろう!

 119分。

 面白さとしては、、まあTV版のときと変わらずでしたね。

 主人公の宮森が頼もしすぎる。20代半ばくらい?でここまで年上の人たちを引っ張って、たくさんの障害物ありながらもアニメ映画制作を最後まで遂行とかこいつただ者じゃあねーな、と思わせてくるわけです。
 こういう人が現実にもいてくれたら、アニメ会社だけじゃなくてもいろんなところで活躍できますよ。ホント頼もしいです。
 僕もこんな風に、惰性で生きるのではなく、夢や目標を持って生き生きと活躍できたらなと、見習う点が多いなと感じました。

 これにて感想を終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました。

投稿 : 2022/02/22
閲覧 : 227
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27

アニメ好き さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

SHIROBAKOアニメを見た人は見といて損はない

普段劇場版アニメは見ないですし、レビューも書かないですが、ニコニコ動画で見れて、テレビ版の四年後ということで、正当な続編だと思い見ました。

アニメを作るという事にどれほどの人間と時間が関わるのか。
アニメの絵柄や動かし方の表現の仕方。パターンなどこれでもかというほど詰め込んでくれています。
それでいて物語は劇場版SHIROBAKOとしてまとまっており、完成度と満足度はとても高かったです。
濃密な2時間でした

普段からアニメを見る人は、どうやってアニメができるかの勉強にも復習にもなるので、教材としてこのSHIROBAKOシリーズは見なければいけないと思います。
けものフレンズ2の例もそうですが、どうもアニメの自由を潰すのは権利関係者とか数名のクズが足を引っ張るとか、人間関係な気がします。
最近は労力のかかった良いアニメが売れるわけではないようですし、ひなすらにかけた労力が報われにくい大変な業界なんだなと感じます。

中国アニメも力をつけてきてそのうち小粒作品は抜かれるかもですが、日本のアニメーションというものを、国を上げて守っていってほしいなと思いました。PAworksも最近パッとしませんが、がんばです!期待してます

投稿 : 2022/02/02
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7

ネタバレ

タッキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

宮井さん必要?

劇場版での新キャラ・宮井さんの登場意義が分からない。これといった活躍もなく、宮森や武蔵野アニメーションに何かをもたらした訳でもなかった。

彼女を登場させる意味はあったのだろうか。

また、個人的には矢野さんが宮森を「みゃーもり」と呼ぶ場面が無かったのが残念。

投稿 : 2022/01/30
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1

三毛猫メリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

あがく宮森

2022.1.13 視聴完了。

TV版の話から4年たっていて
アニメ業界はアニメの放映本数が減り厳しい状況だという。
そして、武蔵野アニメーションも傾きそうな会社を
みんなで支えアニメ制作にという話の流れになっている。

面白くないわけではないんだけど
業界で足の引っ張りあいをしている感じが
あんまり好きじゃなかったな。

実際テレビから動画配信サイトが
主流になってきている今だからこそ
アニメ業界も良い方向に転換すればいいなと
素人考えですが思っちゃいますよね。

投稿 : 2022/01/13
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13

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

そんで~そーんでーしかたーないのでー、やれやれ~

P.A.WORKS制作のお仕事アニメ"SHROBAKO"劇場版。
放映版の直接の続編になっていて、放映版同様、アニメ制作会社『武蔵野アニメーション』を中心にした、アニメ制作に携わるいろんな人の情熱が込められた一本になっています。
なお、放映版では1クールもののアニメを血反吐を吐きながらカットオーバーさせていましたが、本作では劇場版アニメだからということなのか、劇場版アニメを作成する内容となっており、劇場版アニメで劇場版アニメを作って劇場版アニメ内で劇場版アニメを公開する劇場版アニメです。
劇場版アニメがゲシュタルト崩壊しそうな劇場版アニメですが、劇場版アニメ内の劇場版アニメも本劇場版アニメも出来がよく、劇場版アニメ劇内の劇場版アニメの方も全編が見たくなりました。
劇場版"SHIROBAKO"もこうやっていろんな人の力が集まって作られたと思うと、感動も一入ですね。

TVシリーズ版で『第三少女飛行隊』を成功させ、その後も数作元請け作品を発表し、波に乗っていた『武蔵野アニメーション(ムサニ)』だったが、ある日、製作途中のオリジナルSF作品『タイム・ヒポポタマス』が、契約問題により急遽制作打ち切りになってしまう。
社長は責任を取って辞任、一緒に仕事をしていたメンバーは散り散りになり、ムサニはしょぼくれた下請けアニメ会社に逆戻りしてしまったという状況から、ストーリーが開始になります。
"ドーナッツの誓い"を結んだ同好会のメンバーもそれぞれ想いを抱えた状態で鬱々と過ごす日々。
そんな中、「宮森あおい」は、ムサニの2代目社長となった渡辺から、オリジナル劇場用アニメの企画を聞かされるという展開です。

単純なチャンスと思いきや、そこは"SHIROBAKO"、10ヶ月後に劇場公開というタイトなスケジュールの中、タイトル以外は何も決まっていない、先行して発表がされてしまっているのでタイトルを変えることもできない。
かつての有能なメンバーもいないという中、あちこちでそれぞれ活躍しているメンバーをかき集め、企画、シナリオからキャラクターデザイン、コンテ作成、作画、撮影・編集、音響、CG制作、声優オーディションなどなど、アニメに携わるすべての人々が頭かきむしりながら勤労する労働アニメになっています。
ホワイトカラーがメインの作品ですが、放映版同様、展開はコミカルでキャラはかわいいです。
本作を視聴して「社会って恐ろしい、就職やめよう」と思わせるような内容にはなっておらず、アニメ業界に興味を持つきっかけになるような、ステキなお仕事アニメと思いました。

登場キャラクターは多業界に渡っていて大勢いますが、ほぼ放映版からの引き継ぎです。
放映版を観ていないとキャラが多すぎて頭がついていかないと思うので、前提として放映版の視聴は必須と思います。
また、登場する女の子はみんな若くてかわいらしく、仕事に夢に一直線です。
ただ、実際は業務後のアニメイトと土日の婚活でオフが忙しいと思うのですが、そういうプライベートが描かれないのは少し残念でした。
宮森自身、アニメ観る隙がないように思えるのは、ある意味ではリアルかもしれないですが、身につまされますね。
私も仕事とかどうでもいいのでマックでチーズバーカー単品で3個ほど買って、ゴロゴロだらだらアニメを観たい今日この頃です。

投稿 : 2022/01/07
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5

ネタバレ

はる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

SIVA観てみたい!

何年ぶりかに観たSHIROBAKOの劇場版。すごく良かったです。またTV版観返してみようかな。特に最後のSIVAのシーン。ほんの短い時間だったけど惹き込まれました。面白かったです。

投稿 : 2022/01/06
閲覧 : 137
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3

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

どんどんドーナッツ、どーんと行こう!の後

119分 テレビ版視聴済

P.A.WORKS(白い砂のアクアトープ)×水島努監督(ガールズ&パンツァー)作品

テレビ版「SHIROBAKO」の4年後のお話なので、テレビ版から観ることをオススメします。

AT-Xで放送されていたので観てみました。

主人公が勤める武蔵野アニメーションが危機に陥った後、再び元受けで1本のアニメショーンを制作しようとするお話です。

テレビ版でもありましたが、業界あるあるやアニメ制作過程を描いています。

また、久しぶりにキャラたちに出会えて思い出しなら観ていました。

この作品を観るたびに色々な作品でテレビ版のOP・ED、劇場版のエンドロールに流れているスタッフさんたちの役割を再認識しますね。

テレビ版「SHIROBAKO」が気に入った方は是非観てくださいね。

主題歌はfhánaさん、挿入歌は色々ありました。

最後に、この作品の劇中劇の作品がダイジェストでありましたが、ちょっとウルウルする内容でした。全部観たいですね。

投稿 : 2022/01/06
閲覧 : 233
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22

たこわさ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

及第点に落ち着いた感じ

テレビシリーズの完成度が大変高くファンの期待も大きい作品だったと思います。
ですが脚本に関しては時間内でまとめるには尺が足りないと感じました。単純に展開がわかりにくい。これ致命的。そして登場人物がかなり多いのでそれぞれ見直してみる必要があります。作画演出は良いものだと感じました。

個人的に主人公の脳内葛藤(ミュージカル演出)は要らない。。

投稿 : 2022/01/04
閲覧 : 164
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3

ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

何故アニメを作るのか。それは・・・

4年後の武蔵野アニメーション。
ある事件により、傾国の憂い。
変な話「限界集落過疎娘」状態です。
それでもなお、宮森は・・・

本劇場版では、絶望的な状態から劇場アニメを制作します。
次々と合流する元メンバー。
あいかわらずのアニメ制作あるある満載。
大量のキャラがテンポ良くコメディってます。

約2時間の劇場版だから総集編っぽいです。
だから、じっくり描けないので感動要素は薄い。
さらに、新ストーリーだけどデジャブ感もあります。
TV版を復習している感覚に捕らわれました。

5人娘はそれなりのポジションに。
4年の月日の重さが感じられます。
今回、同じ仕事にかかわり、さらに絆が深まったような。
また夢に一歩近づいたことでしょう。

終盤の忍者屋敷を筆頭に芝居がかった演出もありました。
まあ、それがSHIROBAKOの平常運転なんでしょう。

悲喜こもごも人間模様。
生き生きとしたキャラが縦横無尽に。
これからも楽しい気分でアニメを観れそうです。

投稿 : 2021/12/31
閲覧 : 233
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25

ネタバレ

りは さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

こんなこともある

忙しくても希望あふれる
TVシリーズとは違って
こんなこともあるよねー
というお話でした。

いま気付きましたが
男性キャラが皆さん一癖あって
めんどくさい方ばかりです。

劇中の劇場版は胸熱で、
武蔵野アニメーション最高でした。

ありがとございました。

投稿 : 2021/12/30
閲覧 : 198
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10

8bit さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

良かった

思わんとする所はありますが熱意が感じられて良かったです。
それが伝わる作品に出来上がったのならそれで良いんじゃないかと。

"私は"それで満足です。

投稿 : 2021/12/29
閲覧 : 154
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3

りんご さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

SHIROBAKOファンに応える劇場版!

2021.12.15
やっと観れた劇場版!序盤でアニメ版の振り返りをざっと。途中ミュージカル調になるところは少し長く感じたけれど、全体的なストーリーとしてはよかった!ほろ苦い展開かと思いきや、後半キャラが集結してくるのがよかったし、宮森のよさが出ていたと思う。

投稿 : 2021/12/29
閲覧 : 117
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3

ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

劇場版「みゃーもり」

まさかの4年後の話とは。

武蔵野アニメーションは、オリジナル作品を制作中に契約問題で、
突如制作中止となり、ムサニのメンバーは、移籍したり、フリーになったり、
独立したりで、元の下請け状態と悲惨な状態に…

アニメ業界でも、契約締結後に制作始めるでしょ。流石に…

トラブル案件を葛城Pから、相談され、元社長の丸川などから励まされ、
立ち上がる「みゃーもり」、そして、元ムサニ集結して、
『空中強襲揚陸艦SIVA』を作り上げます!って内容。

渡辺P(2代目社長)、経営向いてなさそうね、
葛城P、仕事でき無さ過ぎの印象が強かったかな。この2人。

あと、終盤の過剰演出は、アニメシリーズ後半のアレが好評だったから入れたのかな???
観ていて、少しグダグダ感を感じた。

「ゴスロリ様」の武装前状態が見れたのが、ツボったかな。
(ランニング帰りのジャージ姿)

投稿 : 2021/12/25
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6

ネタバレ

saitama さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

TV版をしっかり復習してから観ると楽しめる…でも、それでいいのか? ※追記あり

SHIROBAKOでした。

個人的に思ったことなので、なんと説明すべきか難しいのですが、良くも悪くもSHIROBAKOでした。

■良かった点
TVシリーズを何度も観た人ほど細かい部分を楽しめる。例えば、人間関係、細かいセリフ、モブキャラの数々等々。たぶん、TVシリーズにハマった人ほど、劇場に何度も通って、より細かい部分のイースターエッグ探しをすると思う。

オープニングがわかりやすいが、TV版とあえて同じ構図にして視聴者が比較することで、4年の歳月をハッキリ示している。そうした4年の歳月を感じさせる部分が、キャラクターやセリフなども含めて随所にある。これも一種のイースターエッグか…。

劇場で配布されるグッズのクオリティが高い。コンプリートしたい人は多いと思う。

■果たしてどうなの? な点。
TV版とほぼ同じストーリー展開。水戸黄門みたいに毎回同じ展開な場合は、お約束として同じストーリーが劇場版でも許されるけれど、シリーズ通じて展開した話を2時間で繰り返したことで、結果、全部が浅い。オリジナルアニメなのだから、演出と展開まで同じにする必要は無かったのでは?

正直、TVシリーズを観たことない人は誘えない。これだけで楽しめるよ!というのは甘い。キャラクター数が多いだけに、その個々の人間関係や性格などは、事前情報なしでは会話などもまったく楽しめないままストーリーが展開し、途中インド映画ばりに無駄に歌と踊りが登場し、で、最後はなんだったの? で終わる印象。マニアだけを相手にしたから、何度も劇場に足を運ばせるためのグッズ作りで保険を掛けたのだろうか…。

制作陣が好きなのはわかるが、途中のミュージカルや、契約書を手にした丁々発止の展開部分など、これも、ここまで長尺要らないって感じ。それより、株式会社げ〜ぺ〜う〜が、2年でコンテ4枚の時点で、契約不履行なので、最初の時点で話が終わってしまう。いくらアニメ業界がブラックでも、ヌケサクな契約書ばかりだとしても、あの展開はない。だとしたら、製作委員会ごと馬鹿の集まりだ。なので、もうちょっと現実味あるストーリーにすべきだったし、100万歩譲って、最初の山場として、株式会社げ〜ぺ〜う〜との丁々発止で、元請けを奪取するストーリーじゃないと、リアリティを出す部分がヌケサク過ぎる…。

佐倉綾音は必要だった? 人気声優でファンを取り込みたかったのか、本人がやりたかったのか、制作側に佐倉綾音好きがいたのかは不明だが、あのキャラと、あの程度の役柄なら、キャラごと必要なかった。もっと基本の各キャラをしっかり紹介する尺が盛り込まれるべきだったかなと。SHIROBAKOマニアのみに向けた劇場版なら許されるのだろうけど…。佐倉綾音起用によって、新規ファンや劇場版からTV版へと引っ張る要素は、正直一切なかった。本当にもったいない。

あと、最終パートのSIVAのCG…。敵が揚陸艦に突っ込むところ…けれんみどころか、ちゃち過ぎて…。あれでもすごい金掛かるのはわかるんですよ、わかるんだけど、ちゃち過ぎて…。レゴブロックのCGアニメ? 作品内で遠藤の手書きの感じを表現したい…的なセリフがあるのに、あのしょぼいCGというのは…。ただただダサかった。金掛かるから大変なのはわかるんですけど…ね。それならあの部分、要らなくね? 予算のなさを表面化してしまった。最後に無理やり描いた止め画のタイタニックの方がマシだったレベル…。金がないのは悲しい。

結局、制作側のやりたいことが多過ぎたわりに、なにも収まっていなかった…。TVシリーズをしっかり観た人には、好みはあるだろうけど70点以上の映画。TVシリーズを知らず初めて見る人には30点以下の糞安っすいチープストーリーの駄作映画…に結果成り下がった。

公開後のファンへの後押し企画として用意された武蔵野アニメーション緊急生放送も観劇する前に観たが、あそこで色々と語れば語るほど、この映画尺に何も残ってないし、伝わってないことがハッキリしてしまい、そこは本当にショックだった。熱意が最高にあったことだけは十分伝わっただけに。制作側が声に出しても、作品にはそれが何ひとつ盛りきれなかった感。

公開時期含め、色々な意味で運が無かったかも。ほんのちょっとしたボタンの掛け違い程度のことなんだけど、それだけで90点が20点になることがよくわかった。

■総評
とまあ、残念だらけだったけど、4年の月日が流れた各キャラの成長や、変化はとても楽しめた。つまり、TVシリーズファンじゃないと、なにも楽しめない。それでいいの? 人から2時間、しかも足を映画館まで運ばせるだけの楽しみが、TVシリーズの熱心なファンにしか与えられていないのを贅沢とみるか、残念とみるか、それでこの作品の評価は二分すると思う。自分はSHIROBAKO部分は好きだけど後者だった。


※追記です。

首都圏の緊急事態宣言が宣言される前に2回目を観賞。

1回目よりも、楽しめた。この辺はTVシリーズ同様、繰り返して見るたびに新たな発見や、内容の深みを感じられて良い。各キャラ同士の会話とか、ほんのちょっとした短い会話なんだけど、その背景が更に感じられたりとか。うん、良かった。

ただ、それでも評価を上昇させるまでは至らなかった。結局、TVシリーズを何度も観た人でないと、この劇場版の深みが分からない。それじゃあ、やっぱり新規というか、初見の人を置き去りにしてしまう…。TVシリーズ後、4年が経過した設定なのだけど、本当に現実では4年以上なにも無かったわけで、TVシリーズを知らない人からしたら、なんの事前情報なしでこれを見るのは…。ファンはもちろん楽しいけど…。


異世界カルテットみたいに、間を引っ張るというか、本作やこうした劇場版へと、過去のアーカイブやこの先の作品へと、ファンの興味をつなぐような仕組みがないと、これだけ大量生産、大量消費されるTVアニメ作品が乱発するなかでは、コンテンツ自体の寿命を長くもたせることが難しいだろう。と、今回は武漢ウイルスによる影響が直撃しただけに、アニメ自体をどうファンに届け、伝えていくかという、作品内で主題となっていたテーマについて、ハッキリと浮き彫りになったし、アニメ制作をどう俯瞰して先読みすべきか、という制作陣への課題が投げかけられて、結果的にすごく考えさせられる作品になったと思う。

いろいろ残念。


■追記

dアニメとアマプラで配信されるようになったので、劇場以来久しぶりに観た。

ながら観で見直すと、中盤はいい感じなんだな…。ただ、やっぱりプロットが基本TVそのまま。
だから、配信なら結構楽しめるけど、劇場に金払って見るほどじゃないな…。
TV版SHIROBAKOから続きで見る配信コンテンツとしては悪くない。

あと、配信で見ると、途中ところどころにあるミュージカル調と討ち入りシーンはやっぱり…。
これじゃない感…が酷い…。

投稿 : 2021/12/23
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9

ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

成長したあおい達の姿に感激。ただし、製作視点だとホビロン。

テレビシリーズで人気を博した『SHIROBAKO』の劇場版であります。
放映終了から五年も経っていたわけで、
ファンにとっては『待ちに待った』一作ではなかろうかと。


公開日は2020年二月末日。
世間がコロナコロナと右往左往している時期(緊急事態宣言は4月7日)で、
タイミング的には苦しい状況というか、
すべり込みセ-フと言えなくもないけどアウトと言えなくもない、
実に微妙な時期でのお披露目となりました。

それもあってか興行収入は4億400万円と、
深夜アニメの継続作品としては「まあまあ」レベルで落ち着くことに。
まあ、受け皿の狭い作品ですからこんなものかと言えなくもなく。
(ちなみに『大ヒット扱い』してもらえるのは興収10億円からです)


内容的にはテレビシリーズの正統的続編で、
時系列としては、前作から四年後ということになります。
テレビ版を見てない方は丸ごとおいてけぼり。潔い。

主人公の宮森あおいは制作ラインプロデューサーに出世。
前社長のミスで落ちぶれに落ちぶれてしまった武蔵野アニメーションを、
ムチャぶりされた劇場版の制作で立て直す、みたいなお話です。


テレビ同様、制作現場の熱い『こだわり』は健在ですが、
あおいが出世しちゃったことに伴って、
モノづくり以前のスタッフ集めや、『制作』ではなく『製作』的な場面が増加。
また、チュ-トリアル的な色合いが薄まって、
たくましくなった業界女子たちのドラマ要素が前面に出てきています。

  その分「あるある50%」だったテレビ版と比べると、
  こっちは「あるある25%」みたいな感じになっています。
  うわ、マ〇ルさん出てんじゃん、とか、
  狭い業界ネタは随所にありますが、そんなもん、まず伝わんないと思われ。


結論から言ってしまうと、僕の個人的な満足度はBランクです。

ストーリーで『製作』マタ-が増えた関係上、
  いやいや、おかしいだろそれ
と思わずつっこみたくなるような不自然展開が気になって、
お話に没頭できなかった次第です。
業界ものとしてリアルさに欠けるって言うか……まあそれは後述します。

  ただ、それは僕がたまたま狭い範囲の仕事を体験していたからに過ぎず、
  世間的には「あんた何さま?」的意見ではないかと。

制作とか製作とか難しいことはどっちでもいい、
前作が大好きで、登場人物が進化して頑張っている姿を見たいんだ、
そういう方限定なら、Aランクでも問題ないかと思います。
{netabare}
 テレビ版でまだまだひよっこだった旧上山高校アニメ同好会の五人は、
 みんなそれぞれに逞しくなって登場。
 その若手プロフェッショナルとしての仕事ぶりだけでも一見の価値があります。

 それだけでなく劇場版制作が決まってから、
 かつて『三女』を作った仲間たちが
 一人、また一人と現場に帰ってくるところは見ごたえ充分。
 てか単純にうれしい。

 そして、そのスタッフかき集めに奔走するあおいが、
 めちゃくちゃ逞しく、かつ、めったにいないほど有能になってます。

 テレビ版では新人制作進行だった佐藤・安藤も強キャラに進化、
 僕が大好きなベテラン制作進行の矢野エリカも安定のしたたかさ。
 しかし、いつまで入院してるんだ矢野のお父さん。


作画も役者さんのお芝居も、さすが劇場版というか、高レベルで安定。
モノづくりに対する真剣姿勢も充分に共感できますし、
オ-ディションや劇伴打ち合わせのシ-ンなんかは相当にリアルな出来かと。

ミュージカル仕立てとか殴り込み演出とかは、
はっちゃけ過ぎというか、
そういうので尺とらずにもっと制作現場見せてよと思わなくもないけど、
  エンタメとしてのメリハリが……もごもご
とか返されたら「まあいいですけど」と言えなくもない、こともない?
{/netabare}

そういうわけで、
前作をふつうに楽しめたら方なら延長線で、しかもけっこう新鮮に楽しめる、
ファンサービスとして優良な一本に仕上がっております。

ただ、尺の関係かチュ-トリアル要素がほとんどないため、
なにをやっているのかチンプンカンプンな方もけっこうおられるのでは。
  これ、どういう立場の会社の人なの?
  いきなり出てきたこの人、なにをする人なの?
みたいな感じですね。逆に、全部わかる人ってかなりすごい的な。

お仕事アニメっでそれってどうなのよと思わなくもないですが、
前作ファン限定のサービス作品と考えれば、
まあ仕方ないなと思えたり、そりゃ興収五億いかないわと思えたり。


いずれにいたしましても、
前作が好きかそうでもないかが明確な分水嶺になる作品でありまして、
未視聴の方、まずはテレビ版をご覧になっておくんなまし。


***************************************************************


ここからは僕ごときの浅薄な経験と知識による、
本作品で「はあ?」とか思わされた部分のご紹介になります。

正直、自分でも「僕って何さまよ?」とか思いますし、
ふつうにアニメを見る段にはまず必要のないムダ知識の「ひらけかし」ですから、
興味のない方は、無理してご覧になること全然ありません。

ふん、まあ読んでやらんこともない、という寛大なお方のみ、
ネタバレを開いてやってくださいまし。
{netabare}

その一 武蔵野アニメーションが傾いた理由が『ありえない』

 発注したメ-カ-側で企画が通っておらず制作中止、という話ですが、
 八話まで作画インした状態でそれはありえないんです。
 というのも、そのタイミングならテレビ放映枠が『確定』していますし、
 放映枠をおさえるのは制作会社の仕事じゃないからです。

   じゃあ、どこがテレビ局に話を持ち込んだのか、
   放映間際に企画をぽしゃらせて穴埋めをどうするのか、
   そんなの制作会社に責任押しつけて逃げ切れる話じゃないわけで。
  
 そもそも製作委員会、つまり出資体制が確定しないと、
 制作予算どころかOP・EDの楽曲すら決められないんです。
 もちろんエンドロールにクレジットもできません。
 八話制作インということは最低でも二話まで完パケになってるわけで、
 どうやって作ったんだという話です。

   1970~80年代、テレビ局又は一社が制作費丸抱えの時代はともかく、
   ほぼ100%が製作委員会形式になった2010年代においてこれはないです。
   現実的に作れないんだもの。


 さらに、オリジナル作品だから他の出資者と組み直そうというのが、
 キャラ原案者が降りた会社の紹介だから道義・権利上できないって……
 正直、意味がわかりません。

   道義的には、話をぽしゃらせた会社が他を紹介するのが筋の案件です 。
   そこまでの誠意は示さないとしても、
   キャラ原案を流用することを妨害する理由はありません。
   だって自社商品に関係のない、オリジナル作品なんですから。

   もちろん、そのキャラ原案は『作品のために』描かれています。
   作品のために書いたキャラ原案をその作品で使うのだから、
   権利上の問題が発生する余地がありません。


 というわけで、もっと深いウラ設定があるのなら話は別ですが、
 作品から得られる情報で判断する限り、
 ムサアニが負債丸抱えで作品をオクラ入りさせる理由が『ない』んです。 

 ムサアニが傾いてないと本作のストーリー自体が成り立たないわけで、
 そこはやっぱり、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったな、と。
 たとえ泥臭くなったとしても、
 そこをきちんと描かないと作品全体が『ウソ』になってしまいますから。


その二 『げ~ぺ~う~』がねじ込んでくる根拠がない

 武蔵野アニメーションは、あくまでも製作委員会の『下請け』です。
 万が一『げ~ぺ~う~』に対し製作委員会がドジを踏んでいたとしても、
 善意の第三者であるムサアニには一切関係ありません。

 そして、同じく制作の下請けだった『げ~ぺ~う~』には、
 保護されるべき著作物は、PVの映像と音声しか存在していません。
 🄫はタイトル名ではなく『映像の著作物』であるPVにかかっています。

 おまけに、契約書には契約解除条項が明記されていて、
 制作の実態・進捗が見事なほどそれに該当しちゃっています。
 また、その進捗なら制作費もほとんどかかってないわけで。

  つまり、この件は
   ① 相手方に金銭的な負担・損害がほとんど発生していない。
   ② 自分のものだと主張する『権利』の実態がない。
   ③ 契約解除に異議申立をすることができない。
  という、ほったらかしといても問題ないレベルのちゃちな難癖なんです。

 制作サイドがおたおたするのはわからなくもないですが、
 権利処理のプロであるべき製作がそんなんじゃ『あかん』わけです。
 このぐらい、電話一本でカタつけろよ、と。

   確かに、わけわからん難癖をつけてくる輩がいる業界ではあります。
   僕もそういうの一度受けたことがありますが、
   弁護士に回すことなく電話でさくっとカタつけました。
   そのぐらいふつうにできなくて、なんのための『製作』ですか。

 相手方に乗り込むのも、あおいが行くのは職制上おかしいですしね。

 そもそも、こんな話を制作サイドの耳に届けることがナンセンス。
 制作が心置きなくはっちゃけられるよう、
 こういう問題を陰でつぶして回るのが製作の仕事なわけです。

 ということで、申し訳ないけれどここのくだりは、
 討ち入りという『プロットありき』のちゃち演出としか思えなかったです。
 こういう対応をする人が現実に『いない』とは申せませんが、
 それは、言葉を飾らず言えば、その方のレベルが低いだけのことで、
 わざわざ映画にするような話ではないと愚考いたします。


その三 『第三飛行少女隊めでゅーさ』をどうやって放映したのか

 序盤に、ムサアニがテレビ版後編で制作した『第三飛行少女隊』の続編、
 他社が元請けになった『第三飛行少女隊めでゅーさ』が映されます。

 前作が持っていたシリアスさやドラマ性は皆無、
 ふつうに腰が抜けるようなエロ萌え作品に変貌を遂げておりまして、
 いかにムサアニが真摯なモノづくりをしていたかを逆説表現しているわけですが……

   これ、どうやって原作者承認とおしたの?

 原作者の野亀武蔵って、作品に『こだわり』を持つキャラ設定でしたよね。
 それも、ただこだわりが強いだけでなく
 前作『セーラー服とF3』でぐちゃぐちゃ改変されたトラウマがあるという話で。

 だからこそテレビ版『SHIROBAKO』で、みんな悩まされたわけであります。

 ところがこっちは、似ても似つかぬ、きゃぴきゃぴ萌えエロ系。
 こんなの、原作者が承認しないのはもちろんだけど、
 その原作を売りたい版元が許可するわけないじゃないですか。

 まあ、売れるか売れないかわからないド新人の作品や、
 版元やアニメ制作側に何も言えない気弱な作家センセイならあるかもです。

 だけどテレビ版の流れで考えたら、
 作家も作品も版元からかなり大事にされている状態なわけでして、
 限界まで崩しても『ふもっふ』ぐらいなのではあるまいかと。

 これが通るんならテレビ版の熱いやり取りが『ウソ』になってしまいます。
 いくら演出の一環とはいっても、
 前作との整合性がとれない権利処理ってのは、僕的にはホビロンです。
{/netabare}

そういうところを加味すると、
僕的なおすすめ度はどうしてもBランクになっちゃいます。
製作面でのリアリティが乏しすぎますから。

  ただまあ、昭和は確かにこんな感じだったらしいです。
  マジですか、というずさんな話や、
  大損こかされた話、笑うに笑えない話もいくつか耳にしています。

  だけどその反省があって、いまの権利処理体系があるわけです。
  制作を『いま』のリアルに寄せた映画を作るのであれば、
  もう少し製作にも現実味を持たせた作品にしてくださいな、と。

  2010年代でこれっていうのは、ほとんど時代錯誤の領域です。

まあ、万年人材不足の業界ゆえ、
こういうのが絶対に『ない』とは言い切れないんですけどね。
でも「あるある」なんて言ったら製作の人怒るんじゃないかなあ。

みんなゼニカネにはけっこう慎重ですよ、余裕がないだけに。

投稿 : 2021/12/23
閲覧 : 412
サンキュー:

26

ネタバレ

U-yan さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

お仕事系だもん!そりゃ感情移入しますよね!

アニメ同様楽しい作品です!今回は明るくて前向きな5人組がそれぞれの分野で壁にぶつかって、それを乗り越えていくといったストーリーですね! {netabare}個人的には途中のミュージカル調のシーンはいらなかったかな。と思ったり思わなかったり。{/netabare}普段、真面目に仕事している人や、仕事の悩みを抱えている人ほど刺さるアニメだと思います!

投稿 : 2021/11/28
閲覧 : 162
サンキュー:

4

ネタバレ

Usotarou さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ビシビシ伝わってきました。

最後のセリフ
「どうかな、私たちの伝えたいこと、伝わったかな。」
これに全てが詰まっていた。まるでこの劇場版シロバコを作った人たちの想いが込められているようだった。
監督、制作、演出、CG、原画、声優・・・アニメに関わる全ての人たちのプライド、情熱が詰まっている。

客も製作者側も満足のいくアニメを作るために、挫折や他の会社とのいざこざやプライドを乗り越えて完成させる。そんなアニメを客も製作者側も満足のいく形で作り上げた。PAWorksさんはそんなアニメを作るのだからプレッシャーがないはずがない。

「作中キャラが挫折したり諦めそうになったりするがそれでも納得いく最高の作品を作り上げた。そんなキャラたちを描く製作陣が最後まで妥協しないアニメを作らないはずがない。」そういう視聴者側からのプレッシャーを乗り越え、伝えたいことを伝えきった。

話の内容と製作者側の思いが作品とリンクしながら伝わってくる。アニメ好きでもそうななくても感動できる名作だと思います。

投稿 : 2021/11/27
閲覧 : 161
サンキュー:

4

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劇場版「SHIROBAKO」のストーリー・あらすじ

いつかアニメーション作品を一緒につくろうと、ひょうたん屋のドーナツで誓いを立てた上山高校アニメーション同好会の5人。卒業後、5人はそれぞれアニメーション制作に携わる。宮森あおいは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」の制作を経て、少しずつ夢へ近づき、「自分が本当にやりたいこと」を考え始めていた。一方、日々の仕事に葛藤を抱きながら過ごしていたあおいは、新企画の劇場用アニメーションを任され、「今の会社の状況で劇場用アニメーション制作を進められるのか?」と不安を感じる。はたして、劇場版アニメーションの納品は間に合うのか――!?(アニメ映画『劇場版「SHIROBAKO」』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2020年2月29日
制作会社
ピーエーワークス
公式サイト
shirobako-movie.com/
主題歌
fhána『星をあつめて』

声優・キャラクター

木村珠莉、佳村はるか、千菅春香、髙野麻美、大和田仁美、佐倉綾音、山岡ゆり、葉山いくみ、米澤円、井澤詩織、田丸篤志、松風雅也、中原麻衣、吉野裕行、小林裕介、檜山修之、こぶしのぶゆき

スタッフ

原作:武蔵野アニメーション、キャラクター原案:ぽんかん⑧
監督:水島努、シリーズ構成:横手美智子、キャラクターデザイン・総作画監督:関口可奈味、美術監督:竹田悠介/垣堺司、色彩設計:井上佳津枝、3D監督:市川元成、撮影監督:梶原幸代、特殊効果:加藤千恵、編集:髙橋歩、音楽:浜口史郎、音楽制作:イマジン、プロデュース:インフィニット

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