Witch さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「表現の自由」をテーマにした社会派?! →「ミニタリー×恋愛」のエンタメ作品(社会派的なネタが抜けてたので追記)
【レビューNo.153】(初回登録:2024/11/17)
ラノベ原作で2008年作品。全12話。
前々回久しぶりに古いアニメとして『天鏡のアルデラミン』のレビューを書き
ましたが、もっと古い作品を掘り起こそうかなっということで
(ストーリー)
元号が「正化」に変わる頃、社会に悪影響を与える表現を取り締まるため、
「メディア良化法」が制定された。
図書館はメディア良化隊の激しい検閲から「表現の自由」を守るため武装化、
両者の戦闘は激化の一途をたどった。
そして正化31年、その戦いに飛び込んだ一人の少女かいた――
当時高校生だった笠原郁はある一人の図書隊員に検閲の窮地から救われる。
この出会いをきっかけに、彼女は彼を“王子様”と慕い、自分も彼のように
「理不尽な検閲から本を守りたい」という強い思いを胸に、図書隊への入隊
を果たす。
しかし指導教官である堂上篤は、彼女が目指した憧れの図書隊員とは正反対
の鬼教官だった。
(評 価)
昔たまたま深夜にTVを点けたら、なんかアニメをやっていて
「こんな時間にアニメやってるんか」
とちょっとだけ視聴。
(当時は深夜アニメを知らなかった)
後にアニメにハマりいろいろ知識もついて、調べたら本作だったという。
そういう意味では私が知った最初の深夜アニメになると思います。
(以前レビューした『ハートカクテル』は例外だけど)
一応その時全話視聴してますが、今回新たな目で見返してみようと。
・「ミニタリー×恋愛」のエンタメ作品
元々原作者・有川浩先生の
・「図書館の自由に関する宣言」を見たことがきっかけ
→ 図書館の自由に関する宣言が一番ありえない状況で適用されたらどう
なるか
という発想から生まれた作品のようです。
本作は「本を守るために図書館が武装して時には死者も出る」という、なか
なかぶっ飛んだ世界観ではあります。
なので「たかが本のために」と捉えると、受け入れにくい作品ですね。
しかし「本=なにかのアナロジー」と捉え、「自由を守る・勝ち取るための
戦い」と抽象度を上げれば、現実世界でも今までの歴史において武力闘争な
んていくらでも勃発しているわけですから、本作もあながち奇天烈な作品で
もないのかなっと。
本作も本を通して
・「表現の自由」を守らんとする図書隊員たちの正義
・敵対するメディア良化隊や図書隊内の派閥争い、暗躍する未来企画の思惑
・この世界の”世論”というものetc
この世界観を上手く活かしてエピソードが創られていると思いますし。
ただ個人的には
・「言論統制」といった社会派的なテーマを深く掘り下げるというより
・こういう世界観で奮闘する少女の物語
→ なんやかんやいうても『自衛隊三部作』と同様「ミニタリー×恋愛」
をやりたかったんでしょ
という印象なんですよね。
なので難しく考えずエンタメ寄りの作品として、ちょっと脳死で視聴する位
が丁度いいのかなっと。
・「脳筋」ながらも「熱血」で「乙女」な主人公
笠原郁は
・座学は苦手だが、高身長で身体能力に優れた体育会系女子
→ 全国初の女性隊員として図書特殊部隊に抜擢される
・明朗快活で正義感が強く心優しい真っ直ぐな性格
→ それゆえ直情的で軽率な行動に走ってしまうことも
・過去に自分を助けてくれた図書隊員を“王子様”と慕ったり、人生初の
告白を受けテンパるなど乙女な一面も
と、非常にわかりやすい主人公属性を備えたキャラ造形となっています。
そんな彼女が
・図書隊員としての訓練や任務(実戦配備や図書館員業務)
・彼女が巻き込まれる各勢力の陰謀
・堂上といった上官たちや同僚らとの人間模様
・親子間のすれ違いや和解
といった経験を経て、大きく成長していく姿が見どころとなっています。
厳しい教官・堂上との掛け合いだったり、
・理想的な上官:稲嶺指令・玄田部隊隊長・小牧教官
・頼れる親友:柴崎
・最初はいがみ合うも互いに認め合う同僚:手塚
その周りを固めるキャラも魅力的に描かれており、こういうところはさすが
有川先生といったところ。
また彼女をしっかり物語の中心に据えているので、有川作品の中でもラブコ
メ度高めという印象ですね。
個人的な評価としては
・他のキャラは上手く描けていたが、直情型の主人公にはあまり共感できな
かった
・ラブコメ作品としてはミニタリー要素がないと凡庸
(それを踏まえた上で「ミニタリー×恋愛」としたのは、さすが有川先生
のセンスでしょうか)
・ただミニタリー要素も無理やりねじ込んだ感が否めない
(武器を持って殺し合いも辞さない世界観ながらも、勝利条件を満たせば
あっさりノーサイドと闘争が終わるゲームみたいなところ等粗が目立つ)
という感じで、幾分不満が残るという感じでしょうか。
しかし上述したように、特異な世界観を活かしたストーリー展開や『「ミニ
タリー×恋愛」のエンタメ作品』として気軽に視聴する分には十分楽しめる
作品だと思います。
特に最終話は綺麗な畳み方だったなあと好印象でしたし。
コメディのデフォルメ具合やキャラデザの線の太さなどにはやはり年代を感じ
させますね。
(追 記1)
有川作品は一時期読みふけっていた時期があり、本作も読もうと思ったのです
が、結構シリーズ化されてたので躊躇してしまったんですよね。
試しに『別冊図書館戦争1』を読んでみたのですが、なかなかの激甘ぶりで
{netabare}ラストは「堂上×笠原」のプロポーズで終わるという。{/netabare}
個人的には同氏の『自衛隊三部作』のアニメ化を希望なんですが。
(追 記2)
「表現の自由」と言えば、WHOが推進しようとしている「パンデミック条約」
が相当ヤバイとか。
この条約はヤバイことだらけなんですが、そのひとつが
「(SNSなどで)予防接種の副作用が危険」
とか発信すると「誤情報を流した」で逮捕することができるような内容らしい
んですよね。
これって運用次第では完全な「言論統制」じゃん!
これを日本政府は積極的に進める方向らしく、この国大丈夫なのかと。
「そんな危険な未来はアニメの世界」
作品は楽しめたものの現実は笑ってはいられないのかも。
(参考情報)
https://www.youtube.com/watch?v=vtJ2rXFNjC0