yuugetu さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
幼児向けとしては完璧に近い
2018年3月公開のアニメ映画。
YouTubeで12月末まで期間限定公開だったので視聴しました。
【あらすじ】
ガオガオさんの所にお泊りに行くしまじろう、みみりん、とりっぴい、にゃっきい。
不思議な扉が開いて迷い込んできた春の妖精ポカポムを仲間の所へ返すために、魔法の島へ向かいますが、そこでは春が来なくて困っています。しかもお母さんとはなちゃんがついてきてしまったり、悩んでいる魔法使いの女の子アウラに出会ったり。
魔法の島に無事に春が来て、しまじろう達がチャレンジ島に戻ってくるまでの物語。
親子の関係・子どもの個性の多彩さを描く堅実な物語に、たくさんの歌とダンス。小さな子ども達のためにテーマ性とエンターテインメント性をバランスよく配分した名作です。
途中の休憩なども可愛くて、子どもが飽きないように工夫されています。
二つのメインテーマが最初から最後まで綺麗にリンクしているのが素晴らしいです。
{netabare}
一つは子どもの個性の肯定。
魔法が使える子、魔法が使えなくても自分で頑張れる子、発明が上手な子…色んな個性を受容する作劇がとても良かったと思います。
「魔法が使えない子は案外魔法が必要ない子なのかも」というベルナの言葉が全てを言い表してくれていますね。
魔法が使える村人たちは協力するのが苦手だったり、魔法が使えないドリル三兄弟は発明が得意だったり、しまじろうは心の広さと強さを持っていたり…
キャラクターの心理も行動も一貫していて説得力がありました。
もう一つは子ども・親の両方の視点で作られていく親子関係。
しまじろうとお母さん、アウラとベルナがお互いの気持ちを理解して受け入れる過程も順序だてて描いている。親子関係を描く上で子どもの成長をどちらか一方だけで語らないのは本当に大切なことです。
映画冒頭で熱いスープをこぼしてお母さんに叱られて、しまじろうは拗ねてしまいます。
親が子どもの心配をするのは当たり前のことで、小さな子どもには理解できないのも仕方のないこと。
でも親が子どもの可能性を狭めては良くないですよね。
自分のことだけを考えるのではいけないけど、誰かに褒められたい、何かをやり遂げたいという子どもの気持ちも肯定していたのがとても良かったです。
家族の描写が母子だけに留まらないのも好きです。
はなちゃんはいつもお母さんの傍に居て励ますような仕草をしますし、はなちゃんが扉に飛び込んだお陰でお母さんはしまじろうを見て応援してあげられる。
お父さんも短時間の登場でありながら、大きな存在感を残しています。お母さんに叱られた理由を「考えてごらん」としまじろうに投げかける冒頭のシーンが、その後の展開に綺麗に繋がっている。
色んなシーンで家族全員で生活しているのが感じられます。
{/netabare}
全体的にとても良く出来た作品です。(2019.12.19)