退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
理想と現実の狭間
お前、走るの好きか?なら一緒に走ろう!
箱根駅伝に向けての道は程遠い。だが、夢を目指すのは良い事だ。彼らはそう確信して日々トレーニングに励む。
真のランナーに相応しいのは誰なのか?そして頂点を掴み取る大学はどこだ?本当の答えはそこにある。
本作は複数の登場人物による群像劇です。基本的には蔵原走(くらはらかける)と清瀬灰二(きよせはいじ)のダブル主人公が中心なので、この二人に集中すれば大丈夫。
まず各キャラが徹底的に掘り下げられている所がハイポイントですね。どのキャラも個性的で魅力があり、なおかつ好感が持てます。そしてカッコいいです。
特に灰二は容姿的にも性格的にも一番好きですね。こういう明朗快活な人は大好きです。王子の勇敢さも素晴らしいですよ。初めはやる気なしだったのが、徐々に成長します。
これは他のチームメイトにも言える事です。それぞれ様々な事情を抱えながら、一生懸命頑張っています。時に楽しく、時に厳しく。もはや家族同然です。
あと、スポーツアニメの宿命か、ほとんどイケメン揃いです。言い換えれば、男ばかり。だからと言って敬遠するのは非常に勿体無い。僕は惚れまくりですよ。
マネージャーの勝田葉菜子(かつたはなこ)ちゃんはチームメイトに花を添える存在。出番は少ないものの、要所要所で可愛さを炸裂します。これにはジョータとジョージ兄弟もフォーリンラブ!
同じく出番は少なめですが、灰二の友人である藤岡一真(ふじおかかずま)も男らしくて良いキャラです。とてつもない存在感とカリスマ性があります。
作画のクオリティーは終始高く、非常に美しい。ランニングがきめ細かく描かれていて、常に緊迫感とモチベーションを与えてくれます。背景も素晴らしいです。
サウンド面もよく出来ています。OPは両クールともすごくカッコいいし、EDは気分を落ち着かせてくれます。声優陣の演技も見事。文句無しです。
物語の構成としては、練習・予選・本番の繰り返しです。同じ事を何度もやっているように見えますが、実は違います。その中にドラマ・葛藤・成長が含まれているのです。
走はチームの中で最もコンプレックスを抱いています。彼は辛い過去とやりきれない現在の狭間で苦しんでいて、時々感情を爆発してしまいます。
しかし、そんな走を灰二は誰よりも気遣っていて、度々走に助言します。何故なら灰二はみんなのリーダーであり、同時に仲間だからです。
みんなを家族のように思っているからこそ、走だけでなくチームメイト全員を引っ張っていきます。彼は自分にも他人にも嘘をつくのが嫌いで、それが彼の過去にも影響しています。
それでも灰二は後ろを振り向く事なく、ただ前へと進んでいきます。それが彼のモットーです。そうでないと人生がつまらなく感じるからだと思っているのでしょう。
僕も似たような経験を今までしてきたので、後悔はしたくないと何度も考えていました。結果は上々とは言えませんが、乗り越えたつもりです。二人の生き方に激しく同情します。
どの分野でもそうですが、一度でも諦めてしまうと自分の存在意義が分からなくなってしまいます。いかにして解決するかで奮闘しなければなりません。
このアニメはそれが繊細に描かれています。夢を捨てるのが本望か?それとも「永遠を見ながら」夢を目指すのか?自分だけが主役じゃない。
客観的に考えれば、もっと視野を広げて行動するべきだと言えますね。後々に報われますから。何があっても挫けずに...走り続ければいいんだ!
前述の通りキャラが沢山いるので、顔と名前が一致しない事が多々あります。これは仕方のない部分ですね。
序盤は同じ手順を繰り返しているように見えるので、人によっては途中で飽きてしまうかもしれません。中盤からペース配分が改善されますので我慢してください。
榊浩介(さかきこうすけ)の言動は全面的に同感できません。彼の場合は感情論です。それか単なる逆恨みです。走のライバルとしても相応しくありません。
優秀なアニメと同時に、人生観というものを考えさせてくれます。今の自分がどう見えるか。もっとやりたい事があるのか。それらは各々次第です。
本作には色々なインスピレーションを受けました。熱いし、楽しめたし、感動したし。何よりとても面白いアニメです。間違いなく名作でしょう。
埋もれるには勿体無さすぎます。もし興味がおありでしたら、是非とも全話観てほしいです。完全に過小評価なアニメです。